それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、装着された熱収縮性フィルムにおける一対の弱め線間の切離片が切離途中で破断しにくい包装体と、該包装体に使用される熱収縮性フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、装着対象である被包装物の径が大きく変化している等、被包装物の周長が大きく変化しているにも関わらず、収縮前の熱収縮性フィルムに形成された一対の弱め線間の幅(離間距離)が一定であることが要因であることを見出した。
図12に従来における収縮前の熱収縮性フィルム120を示している。図12において上下方向が軸線方向である。筒状の熱収縮性フィルム120は扁平に折り畳まれた状態にあるので、図12に示している面を正面とすると背面側も正面側と同一形状であり、弱め線122は背面側にも同様に形成されている。この一対の弱め線122は軸線方向に一直線状に形成されており、両弱め線122間の距離は一定である。従って、一対の弱め線122間の切離片123の幅もまた一定である。図13に、この熱収縮性フィルム120をペットボトル(PETボトル)である容器101の容器本体に装着した状態を示している。容器本体の胴部143は太くて径一定であるが、その上側に位置している肩部142は、胴部143よりも小径であって上側に向けて徐々に縮径していく形状となっている。このような容器本体の胴部143と肩部142の略全体を覆うように熱収縮性フィルム120が装着されている。
熱収縮性フィルム120の収縮量は、胴部143よりも肩部142において大きくなり、しかも、肩部142においては上側に向けて徐々に収縮量が大きくなる。そのため、収縮後の熱収縮性フィルム120における一対の弱め線122の幅は、胴部143において相対的に広く、肩部142において相対的に狭くなり、しかも、肩部142においては上側に向けて徐々に狭くなっていくのである。そして、一対の弱め線122間の切離片123を熱収縮性フィルム120の上端から下側に向けて他の部分から切離していくと、図14のように、肩部142において、例えば一対の弱め線122から切離片123の内側に向けてそれぞれ亀裂150が入り、左右の亀裂150同士が徐々に接近して、最終的に切離片123が切離途中で破断するということがあった。切離片123が最終的に破断する位置は様々であるが、亀裂150が入りやすい箇所は、熱収縮性フィルム120の収縮量が大きくて一対の弱め線122間の幅が胴部143よりも狭くなっている肩部142であった。
上記特許文献1においても、収縮前の状態における熱収縮性フィルムに一対の弱め線(本体剥離ミシン線4)が軸線方向に沿って形成されているが、その一対の弱め線間の幅は特許文献1の図4のように収縮前の状態において一定とされている。一方、被包装物である容器本体の直径は一定ではなく、口部に近い肩部において小さくなっており、熱収縮性フィルムが容器に装着された状態では、特許文献1の図1のように縦方向の一対の弱め線間の幅は胴部よりも肩部において狭くなっている。そのため、容器から熱収縮性フィルムを取り除くために縦方向の一対の弱め線間の切離片をその一対の弱め線に沿って上から下に向けて切離していくと、一対の弱め線間の幅が狭くなっている容器の肩部において切離片に亀裂が入りやすく、切離途中で切離片が破断する結果、切離片を最後まで切離できないという問題がある。
本発明はこのような知見を得て完成されたものであって、本発明に係る包装体は、周長が短い第一部と周長が長い第二部とを有する被包装物に筒状の熱収縮性フィルムが装着された包装体であって、熱収縮性フィルムには周方向に離間した一対の弱め線が形成されていて該一対の弱め線間の切離片が他の部分から切離可能に構成され、第一部の周長をL1、第二部の周長をL2、第一部における一対の弱め線間の幅をW1、第二部における一対の弱め線間の幅をW2とし、L1/L2をRL、W1/W2をRWとしたとき、RL<RWの関係を有していることを特徴とする。
尚、一対の弱め線が形成されることによって筒状の熱収縮性フィルムの全周は大小二つの領域に区画されることになり、弱め線間には、全周のうちの長い方と短い方の二つがあるが、本発明においては短い方を意味する。
また、周長とは、被包装物の上下方向(軸線方向)の中心線まわりに周回する長さをいう。被包装物が多角形等である場合のようにその側周面が横方向に並んだ複数の面から構成される場合には、その側周面を一周、周回する長さであり、また、被包装物が円筒形の容器である場合には、その外周面の円周の長さである。
更に、周長の短い第一部と周長の長い第二部については、例えば、熱収縮性フィルムが被覆する被包装物の範囲において、互いに周長が異なる三つの部分P1,P2,P3が存在していてそれらの周長をそれぞれPL1,PL2,PL3としたとき、PL1<PL2<PL3という関係を有している場合、基本的には周長が最も長い部分であるP3が第二部となり、それよりも周長の短いP1やP2が第一部となる。従って、P1とP3との間で上記RL<RWという関係を有していてもよいし、P2とP3との間でRL<RWの関係を有していてもよい。また、P2を第二部としP1を第一部として、P1とP2との間で上記RL<RWの関係を有していてもよい。
具体例を挙げて説明する。図1に示すような多角形の容器本体に熱収縮性フィルム20を装着する場合、容器本体において周長が最も長い腹部7を第二部とし、それよりも周長が短い拡大部6(肩部)を第一部として、腹部7と拡大部6との間で上記RL<RWという関係を有するように構成することができる。特に、拡大部6において周長が最も短い上端における周長をL1とし、腹部7における周長をL2とすると共に、拡大部6の上端における一対の弱め線間の幅をW1とし、腹部7における一対の弱め線間の幅をW2として、上記RL<RWという関係を有するように構成することができる。
また、図5のように容器1としてのペットボトルに、その容器本体の下端からキャップ44の天面の周縁部までを覆うように熱収縮性フィルム20を装着した場合においては、容器本体の肩部42を第一部とし、容器本体の胴部43を第二部として、上記RL<RWという関係を有するように構成することができる。また、キャップ44を第一部としてもよい。
図6のように熱収縮性フィルム20がキャップ44まで覆わずに肩部42の上部までの領域を覆う構成の場合も同様であって、容器本体の肩部42が第一部となり、胴部43が第二部となって、上記RL<RWという関係を有するように構成できる。特に、肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とすることができる。
また更に、図7のように肩部42が胴部43に対して略90度の角度で内側に折れ曲がった略水平な面である場合や、肩部42が僅かな上り勾配で胴部43の上端から口部41の下端まで達している場合であって、熱収縮性フィルム20の上部が肩部42に回り込むようにして肩部42の周縁部を覆う構成においては、略水平あるいは僅かな上り勾配の肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とし、胴部43を第二部としてもよい。
また、図8のようにキャップ51と容器本体の胴部50が略同一径であってキャップ51から容器本体の胴部50の全体を熱収縮性フィルム20で覆うと共にその熱収縮性フィルム20の上部がキャップ51の天面52に回り込んで天面52の周縁部を覆う構成においては、キャップ51や容器本体の胴部50を第二部とし、キャップ51の天面52の周縁部のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部としてもよい。
更に、図9のように容器本体の胴部が径略一定ではなく、瓢箪型の形状のように中央の括れ部45と、その上側に位置する上部太腹部46と、括れ部45の下側に位置する下部太腹部47とを有する場合には、括れ部45を第一部とし、上部太腹部46や下部太腹部47を第二部とすることができる。また、肩部42を第一部とし、上部太腹部46や下部太腹部47を第二部とすることもでき、特に、肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とすることができる。
ところで、このような熱収縮性フィルムは、いわゆるシュリンクフィルムと称されるものであって、被包装物に装着された状態においては筒状となっている。従って、被包装物の周長方向は、筒状の熱収縮性フィルムの周方向である。また、熱収縮性フィルムは、被包装物への装着前の状態で既に筒状に形成されていることが一般的ではあるが、被包装物への装着前の状態においては未だ平坦な状態であって被包装物への装着時に被包装物に巻き付けられて筒状とされるものであってもよい。かかる熱収縮性フィルムには、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムを使用できるが、軸線方向にも収縮する二軸延伸フィルムであってもよい。尚、一軸延伸フィルムとは、実質的に一軸延伸されているフィルムをいい、周方向(いわゆるTD方向)と軸線方向(いわゆるMD方向)との収縮率が大きく異なるフィルムのことを意味し、何れかの方向に全く収縮しない(いわゆる収縮率がゼロである)フィルムのみを意味するものではない。具体的には、例えば、90℃、10秒(温水処理)における周方向の熱収縮率が20〜80%、軸線方向の熱収縮率が−5〜10%のフィルムが挙げられる。例えば、主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムである場合、周方向が主延伸方向である。
一般的には、短手方向が周方向となるように短手方向をTD方向とする長尺状の熱収縮性フィルムの両側部同士を貼り合わせて長尺筒状とし、それを所定長さ毎に切断して筒状の熱収縮性フィルムを形成する。その筒状の熱収縮性フィルムを被包装物に被せて、シュリンクトンネル等で熱収縮性フィルムを熱収縮させて被包装物に密着させる。一方、フィルムの長手方向が巻き付けた時に周方向となるようにフィルムの長手方向をTD方向とする長尺状の熱収縮性フィルムを所定長さ毎に切断して、矩形の平坦な状態の枚葉型の熱収縮性フィルムを形成し、該平坦な熱収縮性フィルムをそのTD方向が周方向となるように被包装物に巻き付けて両端部同士を貼り合わせて筒状とし、その後に熱収縮させて被包装物に密着させる、いわゆる巻き付けタイプの熱収縮性フィルムとすることもできる。
そして、熱収縮性フィルムの装着対象である被包装物は、周長一定のものではなく、周長が短い第一部と周長が長い第二部とを有するものである。そのような被包装物の形状に対応して熱収縮前の状態において一対の弱め線間の幅、切離片の幅が調整され、設定されている。具体的には、第一部に装着される部分と第二部に装着される部分とにおいて切離片の幅を同じ幅とするのではなく、第一部に装着される部分における切離片の幅の方が、第二部に装着される部分におけるそれよりも広く設定されている。仮に熱収縮前において切離片の幅を一定としたならば、熱収縮後においては、第一部の周長と第二部の周長の比に対応して、第一部における切離片の幅は第二部における切離片の幅よりも狭くなり、即ち、RL=RWとなる。そのため、切離片を切離していくと、第一部において弱め線から内側の切離片に向かって亀裂が生じやすくなり、切離途中で切離片が破断することになって最後まで切離片を切離することができなくなる。これに対して、本発明においてはRL<RWの関係を有しているので、切離途中において第一部で切離片に亀裂が生じにくくなり、切離片の破断が抑制されることになって最後まで切離片を他の部分から切離することができる。
特に、被包装物が多面体形状の部分を有していて、該多面体形状の部分を少なくとも覆うように熱収縮性フィルムが被包装物に装着されている場合においては、一対の弱め線は、被包装物の多面体形状の部分における一つの面内あるいは熱収縮フィルムの軸線方向に並んだ複数の面内に位置していることが好ましい。多面体形状が切離片の箇所において熱収縮性フィルムの軸線方向に沿って一つの面のみを有する場合には、その一つの面内に一対の弱め線が位置することになり、また、多面体形状が切離片の箇所において熱収縮性フィルムの軸線方向に沿って複数の面を有する場合には、その軸線方向に並んだ複数の面内に一対の弱め線が位置することになる。何れにしても、一対の弱め線が被包装物の多面体形状の部分における一つの面内あるいは熱収縮フィルムの軸線方向に並んだ複数の面内に位置していることにより、弱め線から切離片の内側に向けて亀裂が生じにくく切離片が破断しにくくなり、その結果、多面体形状であっても最後まで切離片を確実に切離することができる。尚、一対の弱め線が面内に位置することには、その面の側縁上に弱め線が位置していることも含まれる。
また、本発明に係る熱収縮性フィルムは、上記包装体に使用される熱収縮性フィルムであって、被包装物の周長方向に離間した一対の弱め線を備えて該一対の弱め線間の切離片が他の部分から切離可能に構成され、熱収縮前の状態において、第二部に装着される部分における一対の弱め線間の幅よりも、第一部に装着される部分における一対の弱め線間の幅の方が広いことを特徴とする。
被包装物は、周長一定のものではなく、周長が短い第一部と周長が長い第二部とを有するものである。そのような被包装物の形状に対応して一対の弱め線間の幅、切離片の幅が調整され、設定されている。具体的には、第一部に装着される部分と第二部に装着される部分とにおいて切離片の幅を同じ幅とするのではなく、第一部に装着される部分における切離片の幅の方が、第二部に装着される部分におけるそれよりも広く設定されている。仮に熱収縮前において切離片の幅を一定としたならば、熱収縮後においては、第一部の周長と第二部の周長の比に対応して、第一部における切離片の幅は第二部における切離片の幅よりも狭くなる。そのため、切離片を切離していくと、第一部において弱め線から内側の切離片に向かって亀裂が生じやすくなり、切離途中で切離片が破断することになって最後まで切離片を切離することができなくなる。それに対して本発明においては、熱収縮前の状態において、第一部に装着される部分における切離片の幅の方が、第二部に装着される部分におけるそれよりも広く設定されているので、熱収縮前において切離片の幅を一定とした場合に比して、熱収縮後において第一部における切離片の幅は相対的に広くなる。即ち、被包装物に装着された状態においては、第一部における切離片の幅と第二部における切離片の幅との差が従来に比して小さくなる、あるいは、第一部における切離片の幅と第二部における切離片の幅が略同じになる、あるいはまた、第一部における切離片の幅の方が逆に第二部における切離片の幅よりも若干広くなる。従って、切離途中において第一部で切離片に亀裂が生じにくくなり、切離片の破断が抑制されることになって最後まで切離片を他の部分から切離することができる。
特に、第一部に装着される部分は切離方向上流側に位置し、第二部に装着される部分は切離方向下流側に位置していることが好ましい。熱収縮後において切離片を一対の弱め線に沿って切離していく際、切離方向上流側における切離片の幅に対して切離方向下流側における切離片の幅が広くなっていると、切離片が切離途中で破断しやすい。これは、切離時に、弱め線から切離片の外側ではなく内側に向かって亀裂が入りやすいためである。従って、切離方向上流側の切離片の幅が可及的に広くなるように、第一部に装着される部分を切離方向上流側に位置させることが好ましい。総じて熱収縮性フィルムに形成された弱め線を切離する場合、第一部を越えて第二部にまで切離を至らせれば、熱収縮性フィルムの取り外しという目的は達せられることになるためである。
更に、被包装物は容器本体と該容器本体の口部に着脱可能に取り付けられたキャップとを備えた容器であり、容器本体は口部とその下側の胴部とを備え、該胴部は、腹部と、口部と腹部との間に位置して腹部側に向けて徐々に周長が長くなっていく拡大部とを備え、熱収縮性フィルムは、少なくともキャップの下部から容器本体の腹部までの範囲を被覆可能であり、熱収縮前の状態において、腹部に装着される部分における一対の弱め線間の幅よりも、拡大部に装着される部分における一対の弱め線間の幅の方が広いことが好ましい。このようなキャップ付きの容器に熱収縮性フィルムが装着される場合、切離片を上から下に向かって切離していくことになるが、その際、特に拡大部において弱め線から内側の切離片に向けて亀裂が生じやすい。従って、熱収縮前の状態において、腹部に装着される部分における一対の弱め線間の幅よりも、拡大部に装着される部分における一対の弱め線間の幅の方を広くしておくことにより、拡大部における亀裂の発生を効果的に抑制することができる。
以上のように本発明においては、収縮量が相対的に大きい被包装物の第一部における切離片の幅を予め広めに設定しておくことにより、第一部における亀裂の発生を従来に比して抑制することができ、従って、切離途中において切離片が破断しにくくなって最後まで切離片を一対の弱め線に沿って切離しやすくなる。
以下、本発明の一実施形態に係る熱収縮性フィルムとそれが被包装物に装着された包装体について図1〜図3を参酌しつつ説明する。装着の対象物である被包装物は種々の物品であってよく、容器には限られないが、本実施形態においてはキャップ付きの容器を例に説明する。図1に示すように、被包装物としての容器1は、上下方向の中心線Tまわりに周回する周長が一定ではなく大きく変化している容器1である。
容器1は、容器本体とキャップ3とを備えており、容器本体は内容物を収容可能に構成されてその上端に開口部が形成され、キャップ3は容器本体の開口部を閉塞している。容器本体は、内容物を収容すべく形成された胴部と、該胴部の上部に突設された口部とを備えている。胴部は、三つの部分から構成されている。即ち、胴部は、上から順に、下側に向けて徐々に周長が長くなっていく拡大部6と、周長が略一定であって且つ容器本体において周長が最大の部分である腹部7と、下側に向けて徐々に周長が短くなっていく縮小部8とから構成されている。このように胴部は、上端から上下方向中央に向けて徐々に周長が長くなっていき、そこから更に下端に向けて徐々に周長が短くなっていく形状となっている。本実施形態において、拡大部6と腹部7とを比較したとき、拡大部6の周長は相対的に短く、腹部7の周長は相対的に長い。従って、拡大部6が、周長が短い第一部となり、腹部7が、周長が長い第二部となり、特に、拡大部6のうち最も周長が短い箇所である上端を第一部とすることができる。
また、胴部は、多面体形状であって、具体的には正面視及び背面視において八角形の外形線を有する形状となっていると共に、正面及び背面を前後としたとき、前後に扁平した形状となっており、前後方向の寸法は左右方向の寸法よりも小さくなっている。図1(b)のように側面視において胴部の前後方向の寸法は上下方向に沿って略一定であるのに対して、図1(a)のように正面視及び背面視において胴部の左右方向の寸法は上下方向に沿って一定ではなく変化しているために、胴部の周長は上下方向に沿って一定ではなく変化している。
より詳細には、胴部は、正面乃至背面を構成する八角形の前後一対の主面10と、左右の側面を構成する上部側面11、中央側面12及び下部側面13とを有している。前後両主面10は、側面よりも幅広であって、胴部において最大の面積を有する面である。左右の上部側面11、中央側面12及び下部側面13は、正面視及び背面視において胴部の八角形の外形線のうちの左右三辺ずつ合計六辺を構成しており、上部側面11は下側に向けて徐々に中心線Tから離れるように外側に傾斜しており、中央側面12は傾斜せずに鉛直方向に形成され、下部側面13は下側に向けて徐々に中心線Tに近づくように内側に傾斜している。このように胴部の左右の側面は、それぞれ上部側面11、中央側面12及び下部側面13という上下に並んだ三つの面から構成されている。尚、胴部の下面は容器本体の底面を構成している。
胴部の上面の中央に口部が上方に向けて突設されている。口部は、キャップ3が螺着される部分であって全体として円筒状であり、胴部の上面に突設された大径のベース部17と、該ベース部17の上側に突設されたベース部17よりも小径のネジ部18とを備えている。口部のネジ部18にキャップ3が着脱可能に螺着されるが、該キャップ3は円筒状や角丸筒状であって口部のベース部17の外径と略等しい外径となっている。口部のベース部17やキャップ3は、胴部よりも細い。従って、口部のベース部17の周長やキャップ3の周長は胴部の周長よりも短い。胴部の拡大部6において周長が最も短い箇所は拡大部6の上端であるが、その拡大部6の上端における周長よりも、口部のベース部17の周長やキャップ3の周長は更に短い。
次に、このような容器1に装着される、未収縮状態の熱収縮性フィルム20について説明する。熱収縮性フィルム20は、図2のように筒状であって且つ扁平状に折り畳まれた状態にある。容器1の上下方向は熱収縮性フィルム20の軸線方向(図2の矢印A)であり、容器1の周長方向は熱収縮性フィルム20の周方向(図2の矢印B)である。熱収縮性フィルム20は扁平に折り畳まれた状態にあるので、図2に示している面を正面とすると背面側も正面側と同一形状である。また、両側縁21は軸線方向に沿った折り目であって、扁平状態から拡開すると、折り目を中心として左右対称形状となる。熱収縮性フィルム20は上述した容器1のキャップ3の下部から胴部の下端までを覆う構成とされており、その上端20aから下端までの軸線方向の全長は、容器1のキャップ3の下部から胴部の下端までの長さよりも若干長い。尚、熱収縮性フィルム20が胴部の下面周縁部まで回り込むことが好ましい。また、キャップ3の全体を覆うようにしてもよい。
そして、熱収縮性フィルム20には開封用の弱め線22が周方向に所定距離離間して一対形成されている。即ち、熱収縮性フィルム20の一方の側縁21から所定距離離れた位置に、前後同じ箇所にそれぞれ上端から下端まで全長に亘って弱め線22が形成されている。この前後の弱め線22が開封用の一対の弱め線22であり、両弱め線22間の帯状の部分が開封用の切離片23となる。本実施形態において弱め線22はミシン目であるがミシン目以外の形態であってもよい。熱収縮性フィルム20が容器1に装着された後、一対の弱め線22に沿って帯状の切離片23を熱収縮性フィルム20の他の部分から切離除去すると、筒状の熱収縮性フィルム20が周方向の一箇所で分断されて平面視C字状となり、容器1から熱収縮性フィルム20を容易に取り外すことができる。弱め線22の形成方法は任意であって、弱め線形成用の刃を形成したブロックを一個あるいは複数個配置し、そのブロックを熱収縮性フィルム20に押し当てて形成する方法や、弱め線形成用の刃を形成したブロックを加熱して弱め線22の孔を形成する方法、レーザー光を照射することによって形成する方法、ダイロールを使用する方法等、種々の方法であってよい。
折り目を構成している一方の側縁21は一対の弱め線22の間の中間に位置しているため、一方の側縁21から弱め線22までの距離は、一対の弱め線22間の距離の1/2となり、帯状の切離片23の幅の1/2となる。ここで、弱め線22は一方の側縁21と平行に全長に亘って一直線状に形成されているのではなく、互いに形状の異なる上下二つの部分から構成されている。具体的には、弱め線22は、上側の第一の部分と下側の第二の部分とから構成されており、第一の部分は、上側から下側に向けて徐々に一方の側縁21に近づくように傾斜した直線状の傾斜直線部24であって、第二の部分は、第一の部分の下側に延設されて、一方の側縁21と平行(軸線方向)に直線状に延びた平行直線部25である。従って、切離片23の幅は、傾斜直線部24においては下側に向けて徐々に狭くなっていき、平行直線部25においては一定である。
熱収縮性フィルム20が容器1に装着された際に、傾斜直線部24はキャップ3の下部から容器本体の胴部の拡大部6までを覆う部分に位置し、平行直線部25は胴部の腹部7から縮小部8までを覆う部分に位置する。従って、傾斜直線部24の下端は、平行直線部25の上端であって弱め線22に形成された屈曲点でもあるが、その位置は装着時において容器本体の胴部の拡大部6の下端(腹部7の上端)となる。傾斜直線部24における切離片23の幅(一対の弱め線22間の幅)は、平行直線部25におけるそれよりも広くなっているが、その理由は、容器1に装着された状態において、少なくとも拡大部6と腹部7において切離片23の幅が略等しくなるようにするためである。上述したように、容器1の周長は、容器本体の腹部7において最大であり、拡大部6においては腹部7よりも短く且つ腹部7に向けて徐々に長くなっていく。従って、熱収縮性フィルム20の収縮量は、容器本体の腹部7において最小であり、拡大部6では腹部7よりも大きく且つ上側に向けて徐々に大きくなる。このような容器1の形状、周長の変化に対応するように、傾斜直線部24における切離片23の幅は下側に向けて徐々に狭くなるように設定されている。詳細には、傾斜直線部24における切離片23の幅は下側に向けて徐々に縮小しているが、その変化率の絶対値は、拡大部6における周長の変化率の絶対値と略等しい。尚、図2のように、切離開始側である弱め線22の上端部には切り込み線26を数mm程度設けてもよい。但し、この切り込み線26は省略してもよい。
また、開封時に切離片23を上側から下側に向けて切離していくので、熱収縮性フィルム20の上端20aには開封用の摘み片27を上方に向けて突設しておくことが好ましい。該摘み片27は一対の弱め線22間に形成されて切離片23の上端部を構成する。尚、この熱収縮性フィルム20は扁平に折り畳まれた長尺状の筒状フィルムを所定長さ毎に切断して形成されたものであるため、摘み片27を形成する場合には、熱収縮性フィルム20の下端には摘み片27の形状に対応した切欠部28が形成されることになる。摘み片27の形状や大きさは任意であるが、例えば図2のように上側に向けて徐々に幅狭となった台形状とすることができる。また、摘み片27の根元部に弱め線22が位置することが好ましく、即ち、摘み片27の根元部における幅と、上端における一対の弱め線22間の幅とを略等しくしておくことが好ましい。
熱収縮性フィルム20を構成する樹脂フィルムの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系、ポリスチレン系(PS)、並びにポリ乳酸(PLA)、ポリアミド、及び、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、ポリ塩化ビニル等のビニル系の樹脂からなるフィルムが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合した樹脂混合物を含むフィルムを用いることもでき、二種以上のフィルムを積層した積層フィルムを用いることもできる。これらのうち、適切な収縮応力と高い透明性を有することから、ポリエステル系、ポリオレフィン系、及び、ポリスチレン系のフィルムが好ましく、ポリエステル系フィルムが特に好ましい。また、上述したように主として周方向に収縮する一軸延伸フィルムが好ましい。
熱収縮性フィルム20の厚みは特には限定されないが、8〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは15〜60μmである。また、着色された樹脂筒状フィルムや、商品名やデザイン等を表示するための印刷層が形成された樹脂フィルムを用いることも好ましい。即ち、いわゆるシュリンクラベルであってもよい。
熱収縮性フィルム20のMD方向に略平行な方向に弱め線22を設け、それを容器1に被せて熱収縮した後、弱め線22に沿って切離する場合、MD方向の平均引裂強さが大き過ぎても逆に小さ過ぎても切離途中で破断する傾向が顕著となる。しかしながら、本実施形態の構成を採用することにより、切離途中での破断を防止できる熱収縮フィルム20の適切なMD方向の平均引裂強さの範囲は、広くなる。MD方向の平均引裂強さは、好ましくは20〜80N/mmであり、更に好ましくは27〜66N/mmである。ここで、平均引裂強さはJIS K7128 A法に準じて測定したものである。
以上のような構成の熱収縮性フィルム20を拡開して容器1に被せ、シュリンクトンネル等に入れて加熱して容器1に密着させると図3のようになる。熱収縮性フィルム20が容器1に装着された状態では、一対の弱め線22間の幅即ち切離片23の幅は、キャップ3の下部から容器本体の拡大部6及び腹部7まで略一定であり、容器本体の縮小部8においては下側に向けて徐々に狭くなる。キャップ3の下部から容器本体の腹部7まで切離片23の幅が略一定となるのは、未収縮状態の熱収縮性フィルム20において弱め線22に傾斜直線部24を設けているためである。また、容器本体の縮小部8において切離片23の幅が下側に向けて徐々に狭くなるのは、未収縮状態の熱収縮性フィルム20における弱め線22の平行直線部25が下端まで形成されているためである。尚、仮に未収縮状態において、平行直線部25の下部を一方の側縁21と平行ではなく下側に向けて一方の側縁21から徐々に離れるように傾斜させたとすれば、即ち、平行直線部25の下部における切離片23の幅を下側に向けて徐々に広げるようにすれば、容器1への装着状態において、容器本体の縮小部8においても切離片23の幅は略一定となる。
また、一対の弱め線22は、胴部の側面である上部側面11、中央側面12及び下部側面13に位置していて、主面10には位置していない。少なくとも一対の弱め線22は、側面内に留まって主面10側にはみ出さないように位置しており、主面10と上部側面11や中央側面12、下部側面13との境界部分に位置するか、あるいは、その境界部分よりも側面の内側に位置する。従って、切離片23の幅は、胴部の側面の幅と同幅かあるいはそれよりも狭い。
以上のように熱収縮性フィルム20が容器1に装着されて形成された包装体にあっては、一対の弱め線22に沿って切離片23を上側から下側に向けて切離することにより開封することができる。その際、摘み片27が切離片23の上端部に形成されているので、摘み片27を摘んで容易に切離開始することができる。また、弱め線22の上端に切り込み線26が設けられているので、切離開始がスムーズになる。そして、キャップ3の下部から容器本体の腹部7にかけて切離片23の幅が略一定であるので、切離作業の途中で切離片23が破断しにくく、最後まで切離することができる。切離片23を下側に向けて切離していく際、周長が徐々に長くなっていく拡大部6において弱め線22から内側の切離片23に向けて亀裂が入りやすいのであるが、この拡大部6において切離片23の幅が略一定となっているので、亀裂が入りにくく、切離途中で切離片23が破断することなく腹部7まで到達することができる。そして、切離片23の内側に亀裂が入ることなく腹部7まで切離片23を切り進むことができれば、その後は、腹部7の下端まで容易に切離片23を切離することができ、更には、縮小部8においても同様に切離片23を容易に切離することができる。
尚、仮に従来のように未収縮状態において一対の弱め線22間の幅を一定とし、その熱収縮性フィルム20を上記構成の容器1に装着したとすれば、拡大部6における切離片23の幅はその下側に位置する腹部7に向けて徐々に広がっていくことになる。これに対して本実施形態においては未収縮状態において一対の弱め線22間の幅が一定ではなく上側に向けて徐々に幅が広くなった傾斜直線部24が設けられていて、その傾斜直線部24が容器1の拡大部6を覆うようになっているので、容器1に装着された状態において、拡大部6における切離片23の幅が腹部7におけるそれと略等しくなって、拡大部6から腹部7にかけて切離片23の幅が略一定となる。
例えば、容器1の拡大部6の上端における周長をL1、容器1の腹部7における周長をL2、L1/L2をRLとし、また、容器1への装着状態において、即ち、熱収縮性フィルム20が収縮した状態において、容器1の拡大部6の上端における一対の弱め線22間の幅をW1、容器1の腹部7における一対の弱め線22間の幅をW2、W1/W2をRWとしたとき、従来のように未収縮状態において一対の弱め線22間の幅を一定とした場合には、容器1と同一の収縮率となるのでW1<W2となり、RL=RWという関係になる。これに対して、本実施形態においては未収縮状態において弱め線22に傾斜直線部24を設けていているので、収縮後はW1≒W2となり、W1/W2≒1となるので、RL<RWという関係が成立することになる。但し、必ずしもW1≒W2でなくてもよく、少なくともRL<RWという関係が成立していれば、従来に比して拡大部6における亀裂の発生が従来に比して抑制される。尚、好ましくはRWがRLの1.3倍以上2倍以下、即ち、RL×1.3≦RW≦RL×2であり、より好ましくはRWがRLの1.5倍以上1.8倍以下、即ち、RL×1.5≦RW≦RL×1.8である。また、W1/W2は、好ましくは0.8以上であって1.5以下であり、より好ましくは0.9以上であって1.3以下であり、更に好ましくは0.95以上であって1.1以下である。尚、収縮条件によっては、過剰な熱量が弱め線22の近傍に加えられることもあるため、設計時のW1,W2と実際に収縮した後のそれらは必ずしも同一でなくてもよい。
尚、縮小部8においては、切離片23の幅は下側に向けて徐々に狭くなっているが、切離片23の切離方向は上側から下側であるため、縮小部8においても破断することなくスムーズに切離片23を切離していくことができる。即ち、切離片23の幅が切離方向に沿って徐々に拡大しているとその部分において弱め線22から切離片23の内側に向けて亀裂が入りやすいのであるが、逆に、切離片23の幅が切離方向に沿って徐々に縮小しているとその部分においては亀裂が入りにくいのであり、それゆえに、縮小部8においても破断することなくスムーズに切離片23を切離していくことができる。
また、容器本体の胴部は多面体形状であるが、切離片23は、胴部の側面内に収まるように位置していて、主面10側にははみ出していないので、切離途中において切離片23がより一層破断しにくくなる。従って、図3では、切離片23が胴部の側面の左右方向中央に位置しているが、主面10にはみ出さない程度に左右に偏心していてもよい。
尚、対象となる容器1は種々のものであってよく、円筒状のものであってもよく、例えばペットボトルであってもよい。例えば、図4に示すように熱収縮性フィルム20に傾斜直線部24と平行直線部25とからなる弱め線22を一対形成し、その熱収縮性フィルム20で図5のようにペットボトルである容器1の容器本体の底部からキャップ44の天面までを覆う、いわゆるフルシュリンクの構成としてもよい。この場合においても上述の実施形態の場合と同様に、容器1は、容器本体とキャップ44とを備え、容器本体は口部41と拡大部である肩部42と胴部43とを備えている。肩部42は、口部41の下端から胴部43の上端までの領域であって、下側に向けて徐々に径が大きくなっていく部分であり、その周長は下側に向けて徐々に長くなっていく。胴部43は、径略一定であり、その周長も略一定である。この場合、肩部42が第一部となり、胴部43が第二部となる。
そして、平行直線部25は容器本体の胴部43を覆う部分に位置し、傾斜直線部24は容器本体の胴部43よりも上側に位置する部分の全体を覆う部分に位置する。即ち、傾斜直線部24は、キャップ44から容器本体の肩部42までを覆う部分に位置する。尚、熱収縮性フィルム20の上部はキャップ44の天面に周り込んで天面の周縁部を覆っており、熱収縮性フィルム20の上端20aはキャップ44の天面に位置している。肩部42は、弱め線22から切離片23の内側に向けて亀裂が入りやすい箇所であるが、容器1への装着状態において、一対の弱め線22間の幅が略一定となっているため、切離片23を下側に向けて切離して開封していく際に、肩部42において弱め線22から切離片23の内側に向けて亀裂が入ることが防止され、熱収縮性フィルム20の下端まで切離片23を確実に切離していくことができる。尚、図4のように、摘み片27を設けない構成してもよく、摘み片27の有無は任意である。
また、図6のように熱収縮性フィルム20がキャップ44まで覆わずに肩部42の上部までの領域を覆う構成であってもよい。この場合も、容器本体の肩部42が第一部となり、胴部43が第二部となるが、特に、肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とすることができる。
また更に、図7のように肩部42が、胴部43に対して略90度の角度で内側に折れ曲がった略水平な面であったり、僅かな上り勾配で胴部43の上端から口部41の下端まで達する構成であってもよい。熱収縮性フィルム20の上部が肩部42に回り込むようにして肩部42の周縁部を覆っているが、その肩部42の周縁部を覆う熱収縮性フィルム20の部分は高収縮の部分である。従って、肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とし、胴部43を第二部として、熱収縮後において切離片23の幅が胴部43から肩部42にかけて一定となるようにしてもよい。
更に、図8のようにキャップ51と容器本体の胴部50が略同一径であって、この容器1の略全体を熱収縮性フィルム20で覆う構成であってもよい。熱収縮性フィルム20の上部はキャップ51の天面52に回り込んで天面52の周縁部を覆っており、この場合もキャップ51の天面52の周縁部を覆う熱収縮性フィルム20の部分は高収縮の部分である。従って、キャップ51や容器本体の胴部50を第二部とし、キャップ51の天面52の周縁部のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部として、熱収縮後において切離片23の幅が胴部50からキャップ51の天面52にかけて一定となるようにしてもよい。
また、図9のように容器本体の胴部が径略一定ではなく、瓢箪型の形状であってもよい。具体的には、容器本体の胴部が、中央の括れ部45と、その上側に位置する上部太腹部46と、括れ部45の下側に位置する下部太腹部47とを有する場合には、括れ部45を第一部とし、上部太腹部46や下部太腹部47を第二部としてもよい。括れ部45は肩部42と同様に小径であって周長が短いため、熱収縮性フィルム20はその部分で高収縮となる。従って、収縮後において、上部太腹部46や下部太腹部47における切離片23の幅と括れ部45における切離片23の幅とを同じにすれば、括れ部45における亀裂の発生を防止することができて切離片23の破断を抑制することができる。尚、肩部42を第一部とし、上部太腹部46を第二部としてもよい。特に、肩部42のうち熱収縮性フィルム20の上端20aが位置する部分を第一部とすることができる。そして、熱収縮性フィルム20の上端20aから下端まで切離片23の幅を一定とすることがより好ましい。
また、弱め線22の形状も種々の変更が可能であって、容器1等の被包装物の形状に対応して任意に変更すればよいが、下記に代表的な形状を例示する。例えば、図10(a)のように弱め線22が全体として曲線状であってもよい。曲線の形状も任意であるが、例えば一対の弱め線22間の幅が、上端から中央まで徐々に狭くなっていき、中央から下端に向けては逆に徐々に広がっていくような、全体として切離片23の内側を凸とする円弧状とすることができる。また、図10(b)のように一対の弱め線22間の幅が全体として下側に向けて徐々に狭くなるように形成してもよい。即ち、弱め線22の全体が一方の側縁21に対して傾斜した傾斜直線部であってもよい。また更に、弱め線22が三つの部分から構成されていてもよく、例えば図11(a)のように、上から順に、一対の弱め線22間の幅が下側に向けて徐々に狭くなっていく傾斜直線部30と、一対の弱め線22間の幅が一定の平行直線部31と、一対の弱め線22間の幅が下側に向けて徐々に広がっていく傾斜直線部32とから構成されていてもよい。無論、弱め線22が四つ以上の部分から構成されていてもよい。更に、弱め線22が曲線部と直線部との組み合わせから構成されてもよく、例えば図11(b)のように上側の曲線部と下側の直線部とから構成してもよい。詳細には、一対の弱め線22間の幅が上端から下側に向けて徐々に広がった後、逆に徐々に狭くなるような、切離片23の外側を凸とする円弧状の曲線部33を上側に設けて、その下側には平行直線部34を設けるようにしてもよい。また、曲線部33に平行直線部34ではなく傾斜直線部を組み合わせてもよい。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示した次の容器1及び熱収縮性フィルム20を用い、次の条件で容器1に熱収縮性フィルム20を装着後、開封テストを行った。
[容器1]
キャップ3を含めた全高:57.0mm
容器本体のみ(拡大部6、腹部7及び縮小部8)の高さ:36.0mm
容器本体における腹部7の上端までの高さ:25.0mm
容器本体における拡大部6(第一部)の上端の周長(L1):58.7mm
容器本体における腹部7(第二部)の周長(L2):100.9mm
RL=L1/L2=0.6
[熱収縮性フィルム20]
材質:ポリエステル系(東洋紡株式会社製「SC820」、厚み40μm)
軸線方向の全長:45.0mm
周長:104.0mm
下端から平行直線部25の上端までの長さ:25.0mm
切離片23における傾斜直線部24の拡大部6(第一部)の上端を覆う部分の幅:13.5mm
切離片23(一対の弱め線22の間)における平行直線部25の幅:8.0mm
[装着条件]
具体的には、キャップ3の下部に熱収縮性フィルム20の上端20aが位置するように容器1に外嵌する。その後、その熱収縮性フィルム20の全体を所定温度(例えば、80℃〜100℃)に加熱すると、熱収縮性フィルム20が周方向に収縮し容器1の外面に密着する。このとき、加熱収縮はスチーム、熱風等で行われるが特に限定しない。
[結果]
その結果、拡大部6(第一部)の上端における切離片23の幅(W1)は8.1mm、腹部7(第二部)における切離片23の幅(W2)は7.8mmとなり、RW=W1/W2=1.0であった。RL=L1/L2=0.6であるから、RL<RWという関係である。そして、摘み片27を摘んで下側に向けて切離片23を切離していくと、切離途中で切離片23が破断することなく最後まで切離片23を切離することができた。
<比較例1>
実施例1の熱収縮性フィルム20の傾斜直線部24の代わりに平行直線部25を熱収縮性フィルム20の上端20aまで設けた以外は、実施例1と同様にして容器1に熱収縮性フィルム20を装着後、開封テストを行った。その結果、W1=4.6mm、W2=7.9mmとなり、RW=W1/W2=0.6であった。上述したようにRL=0.6であるから、RL=RWという関係になる。そして、開封テストを行うと、弱め線22から切離片23の内側に向けて亀裂が入り、切離片23は切離途中で破断し、下端まで完全に切離することができなかった。特に胴部の拡大部6において亀裂が入り、その結果、切離片23が途中で破断した。