JP2015186912A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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JP2015186912A JP2015013098A JP2015013098A JP2015186912A JP 2015186912 A JP2015186912 A JP 2015186912A JP 2015013098 A JP2015013098 A JP 2015013098A JP 2015013098 A JP2015013098 A JP 2015013098A JP 2015186912 A JP2015186912 A JP 2015186912A
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宇賀村 忠慶
Tadayoshi Ukamura
忠慶 宇賀村
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Abstract

【課題】延伸された光学フィルムを製造した際、巻き取り時や経時で発生する光学フィルムロール内部のシワによる折れスジなどの品質不良を低減し、且つ生産性の高い光学フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】特定のアクリル系重合体含む熱可塑性樹脂を用いて成形し、延伸工程と巻取工程を経て得られる光学フィルムの製造方法において、光学フィルムを押圧しながら10m/分以上200m/分以下の巻取り速度にて巻き取ることのできるタッチロールを有する巻取り機を用い、タッチロールを3℃以上15℃以下に温度調整する巻取工程を経ることで上記課題を解決できることを見出した。【選択図】 なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。特に延伸フィルムをロール状に巻き取る
際のロール内部のシワの発生を防止する光学フィルムの製造方法に関する。
非晶性の熱可塑性樹脂、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるア
クリル系熱可塑性樹脂、およびポリスチレンに代表されるスチレン系熱可塑性樹脂は、重
合性が高く製造が比較的容易であるとともに光学的透明性に優れることから、光学用途に
幅広く使用されている。
光学用途には、レンズなどのバルク体としての使用のほか、当該熱可塑性樹脂から構成
される樹脂フィルム(光学フィルム)としての使用も一般的である。光学フィルムは、近
年、液晶表示装置(LCD)および有機電界発光表示装置(OLED)をはじめとする画
像表示装置への使用がますます拡大している。
アクリル系熱可塑性樹脂やスチレン系熱可塑性樹脂を含む光学フィルムは、柔軟性に欠
けるため、フィルムの破断やひび割れが生じ易く、安定的に製造することが難しいという
問題がある。この問題に対しては、樹脂フィルムを延伸して延伸フィルムとすることで、
当該フィルムの可撓性が増し、機械的特性が向上することが知られている(例えば、特許
文献1)。
しかしながら、アクリル系熱可塑性樹脂やスチレン系熱可塑性樹脂を含む光学フィルム
は、その柔軟性の低さから延伸フィルムであってもロール状に巻き取った際にロール内部
にシワが発生すると、後工程では解消することができない折れスジのような外観不良を誘
発するという問題がある。
また、生産効率を上げるためにフィルム走行速度(ライン速度)を早くすることに伴い
、同伴エアーを巻き込むことによる巻き弛みや、自重による撓みに伴う凹みなどが発生す
ることが知られている。これらの故障はライン速度が速くなり、生産する光学フィルムの
広幅化・薄膜化が進むにつれ、より顕著に発生する傾向がある。
これらの故障の発生を防止するため、一般的には光学フィルムの両端にナーリング部を
設けたり、巻き取り時の張力をフィルムロールの巻き径に合わせて変化させたり、タッチ
ロールでフィルムロール表面を押圧し同伴エアーの巻き込みを制御する方法が採られてい
る(例えば、特許文献2、3)。
しかし、近年の画像表示装置は、より薄く、より軽くすることが求められており、これ
らの表示装置に使用される光学フィルムの要求品質は更に厳しくなっているのが現状であ
り、巻き取り時や保管時に発生する故障、特にシワに起因する故障を低減する方法が望ま
れていた。
特開2010−72135号公報 特開2002−255409号公報 特許第3955518号公報
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、その目的は延伸された光学フィルムを
製造した際、巻き取り時や経時で発生するフィルムロール内部のシワによる折れスジなど
の品質不良を低減し、且つ生産性の高い光学フィルムの製造方法を提供することにある。
延伸された光学フィルムを巻き取る際、巻き取られる光学フィルムには周方向の応力と
径方向の応力が発生する。このうち周方向の応力が引張応力として作用しているうちは問
題ないが、周方向の応力が圧縮応力として作用し始めるとロール内部の巻き締りやシワが
発生する。
周方向の応力には、巻き取る際の巻き取り張力や巻き取り長さ(周回数)などが密接に
関係しているが、巻き取られるフィルム自体の温度変化による膨張、収縮も影響を及ぼす
。この巻き取られる光学フィルムの温度を一定範囲に保ちながら巻き取ることにより、巻
き取り直後や経時での周方向の応力の変化が少ない、つまりロール内部のシワの発生が抑
制され得ることが分かり、検討した結果、本発明に至った。
本願発明者らは、鋭意検討を重ねたところ、以下の方法によって、上記目的を達成する
光学フィルムの製造方法を見出した。
具体的には、本発明は以下の構成を要件とする。
(1)溶融押出により成形したアクリル系重合体を含む帯状の熱可塑性樹脂を加熱して延
伸する工程(延伸工程)を含む光学フィルムの製造方法であって、該延伸工程で形成した
光学フィルムを10m/分以上200m/分以下の巻取り速度にて巻き取る工程(巻取工
程)を更に含み、該巻取工程において光学フィルムを押圧しながら巻き取ることのできる
タッチロールを有する巻取り機を用い、該タッチロールが3℃以上15℃以下に温度調整
されることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
(2)前記巻取工程において、タッチロール通過前の光学フィルムとタッチロール通過後
の光学フィルムの表面温度をサーモグラフィにより観察し、該タッチロール通過後の光学
フィルムの表面温度が15℃以上23℃以下となるように前記タッチロールの温度を調整
する(1)に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明により、生産性が高く、且つ延伸フィルムをロール状に巻き取る際や、巻き取り
後の経時で発生するロール内部のシワの発生、折れスジ等を抑制することができ、外観欠
陥の少ない光学フィルムロールを提供することができるという効果を奏する。
本願製法におけるタッチロールを有する巻取り機を光学フィルムが通過する一例を示した図である。
以下の説明において、特に記載がない限り、「%」は「質量%」、「部」は「質量部」
をそれぞれ意味し、範囲を表す「A〜B」は「A以上B以下」を意味する。
本明細書における「樹脂」は「重合体」よりも広い概念である。樹脂は、例えば1種ま
たは2種以上の重合体からなってもよいし、必要に応じて、重合体以外の材料、例えば紫
外線吸収剤、酸化防止剤、フィラーなどの添加剤、相溶化剤、安定化剤などを含んでいて
もよい。
[アクリル系重合体]
本発明におけるアクリル系重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単
位を含むアクリル系重合体を使用できる。アクリル系重合体の(メタ)アクリル酸エステ
ルに由来する構成単位の含有率の合計は、10質量%以上が好ましく、より好ましくは3
0質量%以上、さらに特に好ましくは50質量%以上、さらに特に好ましくは70質量%
以上である。また、アクリル系重合体は、環構造を有する単量体との共重合や重合後の環
化反応などにより主鎖に環構造を導入してもよい。この場合、(メタ)アクリル酸エステ
ル由来の構成単位および環構造の合計が全構成単位の50質量%以上であれば、アクリル
系重合体とする。
(メタ)アクリル酸エステル単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリ
ル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベン
ジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプ
ロピルなどの単量体に由来する構成単位が挙げられる。アクリル系重合体は、(メタ)ア
クリル酸メチル単位を有することが好ましく、メタクリル酸メチル単位が特に好ましく、
この場合、成形品の光学特性と熱安定性が向上する。アクリル系重合体は、(メタ)アク
リル酸エステル単位として、これらの構成単位を2種以上有していてもよい。
アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単位や環構造以外の構成単位を有し
ていてもよく、このような構成単位は、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチル
スチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、アクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、メタリルアルコール、アリルアルコール、エチレン、プロ
ピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、2−ヒドロキシメチル−1−ブテン、
メチルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどの単量体に由
来する構成単位である。これらの構成単位を2種類以上有していてもよい。
アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg)は、得られる光学フィルムの耐熱性が向上
することから、好ましくは110℃以上であり、より好ましくは115℃以上であり、さ
らに好ましくは120℃以上である。
アクリル系重合体の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜500,000、よ
り好ましくは50,000〜300,000である。
主鎖に環構造を導入する場合、環構造の種類は特に限定されないが、例えば、無水マレ
イン酸構造、N−置換マレイミド構造、無水グルタル酸構造、グルタルイミド構造および
ラクトン環構造のいずれかであることが環構造の導入しやすさから好ましい。
共重合により主鎖に環構造を導入する場合、前記(メタ)アクリル酸エステルと無水マ
レイン酸やN−メチルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、N−ベンジルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド等
の環構造に2重結合を有する単量体と共重合することにより、主鎖に環構造を有するアク
リル系重合体とすることができる。これらの環構造を有する単量体を2種類以上共重合し
ても良い。
環化反応により主鎖に環構造を導入する場合、アクリル系重合体は重合時に水酸基やカ
ルボン酸基を有する単量体を共重合することが好ましい。具体的には、水酸基を有する単
量体として、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)ア
クリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシ
メチル)アクリル酸ブチル、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチル、また、カルボ
ン酸基を有する単量体として(メタ)アクリル酸単位は、例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸、2−(ヒドロキシエチル)ア
クリル酸などの単量体に由来する構成単位が挙げられる。これらの単量体を2種類以上共
重合していてもよい。水酸基やカルボン酸基を有する単量体は環化反応により環構造へと
変化するが、主鎖に環構造を有するアクリル系重合体に未反応の水酸基やカルボン酸基を
有する単量体由来の構成単位が含まれていてもよい。
主鎖に環構造を有するアクリル系重合体は公知の方法により製造できる。環構造が無水
グルタル酸構造あるいはグルタルイミド構造であるアクリル系重合体は、例えば、WO2
007/26659号公報あるいはWO2005/108438号公報に記載の方法によ
り製造できる。環構造が無水マレイン酸構造あるいはN−置換マレイミド構造であるアク
リル系重合体は、例えば、特開昭57−153008号公報、特開2007−31537
号公報に記載の方法により製造できる。環構造がラクトン環構造であるアクリル系重合体
は、例えば、特開2006−96960号公報、特開2006−171464号公報ある
いは特開2007−63541号公報に記載の方法により製造できる。
[熱可塑性樹脂]
本発明における熱可塑性樹脂は、前記アクリル系重合体を含む。熱可塑性樹脂は、本発
明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂の含有割
合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜25質量%、さらに好ましくは0
〜10質量%である。
その他の樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビ
ニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリ
ル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アク
リロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等の
スチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートなどの生
分解性ポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリ
アセタール:ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド:
ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルニトリル;ポリサルホン;ポリエーテルサル
ホン:ポリオキシペンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴ
ムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。
本発明における熱可塑性樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤を
含んでいてもよい。その他の添加剤は、例えば、位相差調整剤、各種安定剤、ガラス繊維
、炭素繊維などの補強材、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防
止剤、着色剤、有機フィラー、無機フィラー、樹脂改質剤、可塑剤、滑剤、ゴム質重合体
などである。その他の添加剤の添加量は、例えば熱可塑性樹脂全体に対して0〜5質量%
であり、好ましくは0〜2質量%であり、より好ましくは0〜0.5質量%である。
[光学フィルム]
本発明における光学フィルムは、前記アクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなる。
アクリル系重合体を含む熱可塑性樹脂からなる光学フィルムは硬く脆いため、シワによる
折れスジが付き易く、本発明の効果が顕著となる。
本発明における光学フィルムには、目的に応じて、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、
易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層
、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、光拡散層、ガスバリヤー層等の種々の機能
性コーティング層を塗工していてもよい。
本発明における光学フィルムのガラス転移温度(Tg)は、例えば110℃以上であり
、熱可塑性樹脂の組成および光学フィルムにおけるアクリル系重合体の含有率によっては
、115℃以上、120℃以上となる。このような高いTgを有する光学フィルムは、画
像表示装置における光源などの発熱部近傍への配置が容易となるなど、光学用途に好適で
ある。
本発明における光学フィルムは、JIS P8115に準拠して測定した荷重200g
におけるMIT耐折度試験回数がMD方向、TD方向いずれにおいても30回以上であり
、好ましくは100回以上であり、より好ましくは200回以上である。耐折度試験回数
が30回未満の場合、フィルムとしての可撓性が不十分となることがある。
本発明における光学フィルムの厚さは特に限定されないが、10〜300μmであり、
好ましくは20〜150μmであり、より好ましくは20〜100μmである。
本発明における光学フィルムは平滑性に優れ、フィルムの厚さムラは平均厚さの5%以
内であり、より好ましくは3%以内、さらに好ましくは1%以内である。
光学フィルムの幅は特に限定されないが、例えば300mm以上であり、600mm以
上が好ましく、1000mm以上が特に好ましい。
本発明における光学フィルムは、前記アクリル系重合体に由来する高い光線透過率を有
する。JIS K7361−1に準拠して測定した全光線透過率が、好ましくは85%以
上であり、より好ましくは90%以上である。
本発明における光学フィルムは、着色が少なく、250μm厚みあたりのb値が好まし
くは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下である。
本発明における光学フィルムは、好ましくはヘイズが5%以下であり、より好ましくは
3%以下である。ヘイズが5%を越えると透過率が低下し、光学用途に適さないことがあ
る。
本発明における光学フィルムの欠点は、好ましくは100個/m以下、より好ましく
は10個/m以下である。ここで言う欠点とは、フィルム中のきょう雑物によるもの、
又は、透明な架橋樹脂によるものがある。きょう雑物とは、例えば、光学フィルムの製造
工程において、原料の溶融混練中に熱可塑性樹脂が部分的に過熱され、劣化することによ
って発生する炭化物(いわゆる「焼け異物」)や、細かい砂、繊維、人体由来の有機物等
が挙げられる。透明な架橋樹脂とは、化学構造は原料樹脂に非常に近いが分子間架橋が生
じている為に、完全に溶融しない弾性体となっている物である。光学特性が原料樹脂と異
なっている場合は、透過光では影として、反射光では輝点として観察される。光学物性が
全く同じ場合でもフィルムの表面付近に存在すれば観察される場合がある。
光学フィルム中の欠点の含有量は、例えば、JIS K6718に記載の外観の観察方
法に準じた方法で測定することができる。具体的には、まず光学フィルムを散乱光下にお
いて目視で外観検査し、次に、20μm以上の欠点数を倍率20〜100倍の顕微鏡下で
カウントすることによって測定することができる。
[光学フィルムの製造方法]
本発明では、溶融押出により成形したアクリル系重合体を含む帯状の熱可塑性樹脂を加
熱して延伸する工程(延伸工程)と、延伸工程で形成した光学フィルムを巻き取る工程(
巻取工程)を経て光学フィルムが製造される。
延伸工程における延伸温度としては、フィルム原料の重合体、若しくは延伸前のフィル
ムのガラス転移温度近辺で行うことが好ましい。具体的には、(ガラス転移温度−30)
℃〜(ガラス転移温度+50)℃で行うことが好ましく、より好ましくは(ガラス転移温
度−20)℃〜(ガラス転移温度+20)℃、さらに好ましくは(ガラス転移温度−10
)℃〜(ガラス転移温度+10)℃である。(ガラス転移温度−30)℃よりも低いと、
十分な延伸倍率が得られないために好ましくない。(ガラス転移温度+50)℃よりも高
いと、樹脂の流動(フロー)が起こり安定な延伸が行えなくなるために好ましくない。
面積比で定義した場合の延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましく
は1.2〜10倍の範囲、さらに好ましくは1.3〜6倍の範囲で行われる。1.1倍よ
りも小さいと、延伸に伴う位相差性能の発現や靭性の向上につながらないために好ましく
ない。過度に大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲、より好まし
くは100〜10000%/分の範囲である。10%/分よりも遅いと、十分な延伸倍率
を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるために好ましくない。20000%/
分よりも早いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがあるために好ましくない。
本発明における光学フィルムは延伸されていることで強度や光学特性が向上する。また
、本発明の製造方法は延伸されている光学フィルムにおいて特に大きな効果を発現できる。
延伸する方法には特に限定はなく、例えば、複数のロールに周速差をつけ、そのロール
周速差を利用して進行方向(縦方向)に延伸する方法、フィルムの両端部をクリップやピ
ンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦延伸する方法、同様にクリップ
やピンの間隔を進行方向と垂直な方向(横方向)に広げて横延伸する方法、あるいは縦横
同時に広げて両方向に延伸する方法などが挙げられ、これらの方法は適宜組み合わせても
良い。
本発明の巻き取り機としては、一般的に使用されているもので良く、巻き取り軸に巻き
取られる光学フィルムに接触して押圧するタッチロールを有しており、テーパーテンショ
ン法、定テンション法、定トルク法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
光学フィルムを巻き取る際の張力は60〜450N/mが好ましく、60〜350N/m
がより好ましい。60N/mより低い張力で巻き取ると、弛みの大きなフィルムロールと
なり巻きズレなどの故障が発生し易くなるため好ましくない。また、450N/mより高
い張力で巻き取った場合は、フィルム同士が貼り付いたり、ゲージバンドなどの不具合が
発生するため好ましくない。
上記タッチロールは3℃以上15℃以下に温度調整されたタッチロールである。好まし
くは3℃以上12℃以下である。上記範囲に制御することで延伸フィルムをロール状に巻
き取る際や経時で発生するフィルムロール内部のシワの発生を抑制することができる。
タッチロールの材質としては、金属または金属ロールの周りに樹脂やゴムなどを被覆し
たものを用いることができる。
タッチロールの幅は特に限定されないが、巻き取る光学フィルムの全幅を押圧すること
ができる幅が好ましい。また、中央部から端部へ行くに従い、ロール径を変化させたクラ
ウンロールを用いることもできる。
タッチロールを光学フィルムに押圧する圧力(タッチロール線圧)は、1.0〜20.
0N/mが好ましく、1.0〜15.0N/mがより好ましく、1.3〜13.0N/m
が更に好ましい。
なお、上記圧力はタッチロールを押し付けている力をフィルムとタッチロールの接触幅
で割った値である。上記範囲の微押圧により、本発明の効果がより一層発現できる。
タッチロールを冷却する方法はロール表面の温度を均一に制御できるものであれば特に
制限されないが、例えば、幅方向に行きと返りが交互に流れるようにしたり、スパイラル
状に流れるようにしたりすることでロール表面の温度分布の小さい温度制御ができる。
タッチロールを冷却する冷媒は特に制限はなく、所定の温度設定ができるものであれば水
やオイルを使用することができる。
上記タッチロールは、例えば、特開平11−314263号公報、特開2002−36
332号公報、特開平11−235747号公報、国際公開第97/28950号パンフ
レット、特開2004−216717号公報、特開2003−145609号公報記載の
ものを利用でき、ロール内部に冷媒を流すなどの手法を採用することで温度制御できる。
本発明では巻取工程において、タッチロール通過前の光学フィルムとタッチロール通過
後の光学フィルムの表面温度をサーモグラフィにより観察し、タッチロールの温度制御を
行うことが好ましい。その他、非接触式の赤外温度計で測定できる。表面温度は、例えば
、フィルムの表面から0.5m離れた位置で測定する。
本発明におけるタッチロール通過後の光学フィルムの表面温度は15℃以上23℃以下
が好ましく、16℃以上22℃以下がより好ましく、17℃以上20℃以下が更に好まし
い。
本発明における光学フィルムの巻き取り速度は特に限定されないが、10〜200m/
分であり、好ましくは15〜150m/分であり、より好ましくは20〜100m/分で
あり、特に好ましくは20〜50m/分である。上記数値範囲に巻き取り速度を制御し、
且つ特定の温度範囲に調整したタッチロールを用いることで、巻き取り時や経時で発生す
る光学フィルムロール内部のシワによる折れスジなどの品質不良を低減し、且つ生産性が
高いものとなる。
本発明の光学フィルムは、例えば特開2002−255409号公報に記載されている
ように、巻き取り直前で除電器によりフィルム上に帯電している電荷を除去することが、
フィルム間の静電気による密着を防ぐことができるため好ましい。
本発明の光学フィルムは、フィルム両端部にナーリング部を有していてもよい。
ナーリング部の高さは通常1μm以上25μm以下が好ましい。ナーリング部の高さと
は、ナーリング加工が施されたフィルム端部の厚みから、ナーリング加工が施されていな
い部分の厚みを差し引いた値であり、1μm未満であるとロール状としたときのフィルム
同士の貼りつきが起こりやすくなるために好ましくない。また、ナーリング部の高さが2
5μmよりも大きくなると、ロール状としたときにフィルムの幅方向における中央部と両
端部の見かけ上の直径差が大きくなり、馬の背故障、変形故障等を誘発するので好ましく
ない。
ナーリング部を成形する方法は特に限定されないが、例えば、特開2009−0409
64号報などに記載されているレーザー照射による成形方法や、加工歯を有する一対の転
写ロールや凹凸の刻印されたエンボスロール、エンボスベルトでフィルムの両端部を押圧
する方法などを用いることができる。
本発明における光学フィルムロールは、JIS Z0208で規定される透湿度が5%以
下である包装材で包装されていてもよい。包装材内の光学フィルムロールの湿度変化を好
ましい範囲内(たとえば4%/分以下、好ましくは1.3%以下)に抑制することができ
る。これにより、包装体の内部に湿度差が発生することを抑制することができ、包装体の
保管・輸送・荷受け渡し時に光学フィルムの変形、傷が発生することを抑制することがで
る。
前記包装材は、その外面が蒸着フィルム又は金属箔であることが好ましい。包装材の外
面が蒸着フィルム又は金属箔であると、日射反射率に優れているため、光学フィルムロー
ルの急激な温度変化を抑制することができ、保管・輸送・荷受け渡し時における光学フィ
ルムの変形、傷が発生することを抑制することができる。
本発明の製造方法で得られる光学フィルムロールは、温度が15℃以上30℃以下で保
管されることが好ましく、18℃以上25℃以下がより好ましい。その際の湿度は50〜
70%RHであることが好ましい。
上述した条件で保管することで、本発明の効果がより一層発現される。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定
されない。フィルム物性の測定用サンプルは、幅方向の中央部からサンプルを取得した。
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度(Tg)はJIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、
示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mg
のサンプルを常温から200℃まで昇温速度20℃/分で昇温して得られたDSC曲線か
ら始点法により算出した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
<フィルム平均厚み>
ミツトヨ製デジマチックマイクロメーター(最小表示量0.001mm)を用いて幅方
向に20mm間隔で測定し、平均値を求めた。
<フィルム表面温度>
アピステ製サーモグラフィ(FSV−7000S)を用いて巻き取り前後のフィルム表
面を撮影し、表示された熱画像からフィルム表面の最高温度と最低温度を読み取った。
<フィルムの表面状態の観察>
フィルムに反りやたるみがない状態で、反射光により表面状態を観察した。表面状態が
良いフィルムは、光源の像が歪むことなくフィルム表面に写るが、そうでないフィルムは
光源の像がいびつに変形して見える。
<ロールの保管>
作製したフィルムロールは、ダンボール箱に入れ、室温20〜25℃、湿度50〜60
%RHに空調を行った清潔な室内に保管した。
[製造例1]
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応釜に、メタクリル酸メ
チル(MMA)40部、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)10部
、重合溶媒としてトルエン50部および酸化防止剤(ADEKA製、商品名:アデカスタ
ブ2112)0.025部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。
昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナ
ノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルペロックス570)0.05部を添加するととも
に、上記t−アミルパーオキシイソノナノエート0.10部を2時間かけて滴下しながら
、約105〜110℃の還流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、リン酸2−エチ
ルヘキシル(堺化学工業製、商品名:Phoslex A−8)0.05部を加え、約9
0〜110℃の還流下において5時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を
進行させた。次に、得られた重合溶液を熱交換器に通して240℃まで昇温し、当該温度
において環化縮合反応をさらに進行させた。
次に、得られた重合溶液を、バレル温度240℃、回転速度100rpm、減圧度13
.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個およびフォアベント数
4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、第3ベントと第4ベントと
の間にサイドフィーダーが設けられており、先端にリーフディスク型のポリマーフィルタ
ー(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)
に、90部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入し、脱揮を行った。
その際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を1.06部/時
の投入速度で第1ベントの後から、イオン交換水を0.34部/時の投入速度で第2およ
び第3ベントの後から、それぞれ投入した。
酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液としては、50部の酸化防止剤(BASFジャ
パン製、商品名:イルガノックス1010)と、失活剤である35部のオクチル酸亜鉛(
日本化学産業製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛3.6%)とを、トルエン200部に溶
解させた溶液を用いた。
これに加えて、脱揮の際に、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂:スチレ
ン単位/アクリロニトリル単位の比率が73質量%/27質量%、重量平均分子量が22
万)のペレットをサイドフィーダーから、10部/時の投入速度で投入した。
脱揮完了後、押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂を当該押出機の先端からポリマ
ーフィルターにより濾過しながら排出し、ペレタイザーによりペレット化して、ラクトン
環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体を主成分(含有率が90質量%)とし、さ
らにスチレン−アクリロニトリル共重合体を10質量%の含有率で含むアクリル樹脂の透
明なペレット(1A)を得た。樹脂ペレット(1A)を構成する樹脂組成物の重量平均分
子量は132000、Tgは125℃であった。
[製造例2]
グルタルイミド構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体を主成分とするアクリル樹
脂(ダイセル・エボニック製、商品名:プレキシイミド8813)100部と、0.66
部の紫外線吸収剤(ADEKA製、アデカスタブ LA−F70)を、260℃で二軸押
出機に供給して、グルタルイミド構造を主鎖に有する(メタ)アクリル重合体からなるア
クリル樹脂の透明なペレット(1B)を得た。
[製造例3]
液下槽および攪拌装置を備えた100Lのステンレス製重合槽に、メタクリル酸メチル
42.5部、N−フェニルマレイミド5部、スチレン0.5部、トルエン50部、有機酸
として無水酢酸0.2部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン0.06部を仕込
み、100rpmで攪拌しながら、窒素ガスを10分間バブリングした後、窒素雰囲気下
で昇温を開始した。
重合槽内の温度が100℃に達した時点で、重合槽内にt−ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネート0.075部を加え、同時に、液下槽にて窒素ガスをバブリングした、
スチレン2部とt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.075部との混合液
を5時間かけて等速添加し始めた。そして、重合温度105〜110℃、還流下で15時
間、重合反応を行った。
その後、得られた重合液に対して、リン系酸化防止剤として、9,10−ジヒドロ−9
−オキサ−10−ホスファネナントレン−10−オキシド(三光株式会社製、商品名:H
CA)を0.1質量%、フェノノール系酸化防止剤としてペンタエリスリチル−テトラキ
ス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(旭電化
製、商品名:AO−60」)を0.02質量%、添加混合した。
次いで、得られた重合液をシリンダ温度240℃にコントロールしたベント付き30m
m2軸押し出し機に供給し、ベント口より真空脱気し、押し出されたストランドをペレッ
ト化して、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系樹脂ペレット(1C)を得た。
得られた樹脂ペレット(1C)を構成する樹脂組成物の重量平均分子量は100000
、Tgは132℃であった。
[実施例1]
製造例1で作製した樹脂ペレット(1A)を用いて、溶融成膜、縦延伸、横延伸、トリ
ミング、ナーリング、巻き取りの各工程を連続して実施し、幅700mm、平均厚み40
μmの延伸フィルムを作製した。その際、横延伸の前で易接着層を塗布した。
作製した延伸フィルムを巻き取る際、巻き取り機に設置されたタッチロールの通過前の
フィルム表面温度をサーモグラフィにより観察したところ、最高温度32℃、最低温度3
1℃であった。これを元に巻き取り機のタッチロールを8℃に設定して巻き取りを実施し
、サーモグラフィによりタッチロール通過後のフィルム表面温度を観察したところ、最高
温度19.5℃、最低温度19℃であることを確認した。巻取り張力は134N/m、タ
ッチロール線圧は5N/m、巻き取り速度は40m/分で実施し、3000m巻きの光学
フィルムロールを取得した。光学フィルムに塗布された易接着層はフィルムロールの内側
となった。
得られた光学フィルムロールを、巻取り直後、並びに3か月間保管した後のそれぞれの
時点でロールを巻き出し、内側のフィルムの表面状態を確認したところ、表1のような結
果となり、ロール内部のシワの発生が抑制され、折れスジなどの外観不良のない良好な表
面状態であった。
[実施例2]
製造例2で作製した樹脂ペレット(1B)を用いて、実施例1と同様に幅700mm、
平均厚み40μmの延伸フィルムを作製した。作製した延伸フィルムを巻き取る際、巻き
取り機に設置されたタッチロールの通過前のフィルム表面温度をサーモグラフィにより観
察したところ、最高温度34℃、最低温度33℃であった。これを元に巻き取り機のタッ
チロール5℃に設定して巻き取りを実施し、サーモグラフィによりタッチロール通過後の
フィルム表面温度を観察したところ、最高温度19℃、最低温度18.5℃であることを
確認した。巻取り張力は134N/m、タッチロール線圧は5N/m、巻き取り速度は4
5m/分で実施し、3000m巻きの光学フィルムロールを取得した。光学フィルムに塗
布された易接着層はフィルムロールの内側となった。
得られた光学フィルムロールを、巻取り直後、並びに3か月間保管した後のそれぞれの
時点でロールを巻き出し、内側のフィルムの表面状態を確認した結果を表1に示す。
[実施例3]
製造例3で作製した樹脂ペレット(1C)を用いて、実施例1と同様に幅700mm、
平均厚み40μmの延伸フィルムを作製した。作製した延伸フィルムを巻き取る際、巻き
取り機に設置されたタッチロールの通過前のフィルム表面温度をサーモグラフィにより観
察したところ、最高温度34℃、最低温度33℃であった。これを元に巻き取り機のタッ
チロールを6℃に設定して巻き取りを実施し、サーモグラフィによりタッチロール通過後
のフィルム表面温度を観察したところ、最高温度20℃、最低温度19℃であることを確
認した。巻取り張力は134N/m、タッチロール線圧は5N/m、巻き取り速度は40
m/分で実施し、3000m巻きの光学フィルムロールを取得した。光学フィルムに塗布
された易接着層はフィルムロールの内側となった。
得られた光学フィルムロールを、巻取り直後、並びに3か月間保管した後のそれぞれの
時点でロールを巻き出し、内側のフィルムの表面状態を確認した結果を表1に示す。
[比較例1]
巻き取り機のタッチロールに温度調整のできないロールを用いた以外は実施例1と同様
に延伸フィルムを作製した。巻き取り機に設置されたタッチロールの通過前後のフィルム
表面温度をサーモグラフィにより観察したところ、タッチロール通過前では最高温度32
℃、最低温度31℃であり、タッチロール通過後では最高温度29℃、最低温度28.5
℃であった。巻取り張力は134N/m、タッチロール線圧は5N/m、巻き取り速度は
40m/分で実施し、3000m巻きの光学フィルムロールを取得した。光学フィルムに
塗布された易接着層はフィルムロールの内側となった。
得られた光学フィルムロールを、巻取り直後、並びに3カ月間保管した後のそれぞれの
時点でロールを巻き出し、内側のフィルムの表面状態を確認したところ、表1のような結
果となり、3ヵ月保管した後ではロール内部の巻芯側に折れスジなどの外観不良が確認さ
れた。
[比較例2]
タッチロールの温度を35℃に設定した以外は、実施例1と同様に延伸フィルムを作成
した。巻き取り機に設置されたタッチロールの通過前後のフィルム表面温度をサーモグラ
フィにより観察したところ、タッチロール通過前では最高温度32.5℃、最低温度32
℃であり、タッチロール通過後では最高温度33.5℃、最低温度32.5℃であった。
巻取り張力は134N/m、タッチロール線圧は5N/m、巻き取り速度は40m/分で
実施し、3000m巻きの光学フィルムロールを取得した。光学フィルムに塗布された易
接着層はフィルムロールの内側となった。
得られた光学フィルムロールを、巻取り直後、並びに3か月間保管した後のそれぞれの
時点でロールを巻き出し、内側のフィルムの表面状態を確認したところ、表1のような結
果となり、3ヵ月保管した後ではロール内部の巻芯側に折れスジなどの外観不良が確認さ
れた。
Figure 2015186912
〈評価〉
◎:フィルムロール全長においてフィルム表面のシワや折れスジがない。
○:フィルムロール全長においてフィルム表面に薄いシワが確認されるが、折れスジ
はない。
△:フィルムロールの巻芯側にフィルム表面のシワが多く、折れスジが確認される。
×:フィルムロールの全長においてフィルム表面のシワが確認され、巻芯側に折れス
ジが多い。
本発明の光学フィルムの製造方法を用いることにより、光学特性、物理特性に優れた光学フィルムを安定的に製造することができる。従って、本発明は、液晶表示装
置等のフラットパネル表示装置に用いられる、保護フィルム、反射防止フィルム、位相差
フィルム、偏光フィルム等の各種光学フィルムの製造に好適に用いることができる。
1 光学フィルム
2 フィルムロール
3 巻取り軸(巻芯)
4 タッチロール
5 サーモグラフィ

Claims (2)

  1. 溶融押出により成形したアクリル系重合体を含む帯状の熱可塑性樹脂を加熱して延伸する
    工程(延伸工程)を含む光学フィルムの製造方法であって、該延伸工程で形成した光学フ
    ィルムを10m/分以上200m/分以下の巻取り速度にて巻き取る工程(巻取工程)を
    更に含み、該巻取工程において光学フィルムを押圧しながら巻き取ることのできるタッチ
    ロールを有する巻取り機を用い、該タッチロールが3℃以上15℃以下に温度調整される
    ことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記巻取工程において、タッチロール通過前の光学フィルムとタッチロール通過後の光学
    フィルムの表面温度をサーモグラフィにより観察し、該タッチロール通過後の光学フィル
    ムの表面温度が15℃以上23℃以下となるように該タッチロールの温度を調整すること
    を特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
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