JP2015183535A - 蒸気タービンおよび蒸気タービンのノズル皮膜形成方法 - Google Patents

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顕生 佐谷野
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浩正 鹿目
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Kenichi Okuno
研一 奥野
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榮 川崎
竜朗 内田
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竜朗 内田
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【課題】空力的な損失や信頼性の低下、大幅なコストアップを伴うことなく、効果的に湿りの影響を低減させ高効率かつ高信頼性を有する蒸気タービンおよび蒸気タービンのノズル皮膜形成方法を提供することである。【解決手段】ノズル表面の少なくとも一部分に、樹脂材料を含んでなり、純水に対する接触角が25℃において95度以上である皮膜を形成する。【選択図】図3

Description

本発明の実施形態は、蒸気タービンおよび蒸気タービンのノズル皮膜形成方法に関する。
蒸気タービンは、ボイラから供給された高温高圧蒸気のエネルギをノズル(静翼)と動翼を組み合わせた翼列に供給して回転エネルギに変換することができる。
蒸気タービンは、供給される蒸気の温度および圧力の条件により、高圧タービン、中圧タービン、または低圧タービンに分類されている。そして、特に、低圧タービン最終段落近傍の蒸気は、温度の低下に伴い10%程度の水分を含むいわゆる湿り蒸気となっている。また、原子力発電システムの場合においては、もともと供給される蒸気が飽和蒸気であるため、高圧タービンの段落においても湿り蒸気で運転されている。
図1に水滴によるエロージョン発生に関する模式図を示す。湿り蒸気がノズル6を通過する際、蒸気14中に含まれる水分はノズル6の表面において集積されて微小な水滴15を形成する。さらにこの微小な水滴は相互に合体して粗大な水滴16を形成する。この粗大な水滴16は、蒸気流とともに飛散し、ノズルの下流側に位置する動翼5に衝突し、その回転を制動して、全体としてタービンの性能を低下させることがある。同時に、この粗大化した水滴は、動翼5の表面に対してエロージョンを起こす原因にもなっており、このエロージョンにより動翼5の減肉が発生し、その寿命を低下させることもあった。このエロージョンの問題はタービン最終段落における翼(羽根)の長翼化が進むに連れて益々大きな問題となっている。
この際、水滴の径が増加するとエロージョンによる浸食量は加速的に増加することが知られており、従って、エロージョンによる浸食を低減するためには、粗大な水滴の発生を防止することが重要とされている。
また、ノズルの場合は、蒸気流れの旋回の影響を受けることにより、水滴が外周側に多く集積されることが知られている。従って、ノズルにおける粗大な水滴の発生も外周側が顕著となる。
このような湿り蒸気による影響の低減技術の1つとして、発生した粗大な水滴を蒸気流中から分離する方法がある。動翼5の外周側のケーシングに吸引孔を設けて、流れの遠心力を利用して外周側から水滴を除去するドレンキャッチャや、ノズル翼面にスリットを設け、ここから水滴を吸引するスリットノズルなどが実機に適用されている。
さらに、動翼の翼面に半径方向の溝を設けることで水滴を積極的に外周側に移動、飛散させ、上述のドレンキャッチャなどで除去する方法も採用されている。また、ノズルと動翼の間隔を広げることによって水滴の微細化と加速を促進し、動翼に対する水滴の衝突速度を小さくすることによって影響を低減させる方法も検討されている。
一方、翼のエロージョン対策としては、翼先端の前縁部に耐エロージョン性の優れた硬質の皮膜や材料、例えば12Cr合金鋼に対してはCo系のステライト材、チタン合金に対してはTi−15Mo−5Zr−3Al系皮膜を形成することが行われている。
また、ノズル近傍で発生する水滴径を微細化するために翼表面に非晶質カーボンまたはプラズマ重合したポリマーを含む疎水性でかつ平滑な皮膜を形成することが提案されている。
特開平8−210105号公報 特開平7−42506号公報 特開平10−280907号公報 特開2002−195004号公報
上述した公知の蒸気タービンにおける湿り蒸気の影響を低減させる技術のうち、水滴を除去する方法は、かなり複雑な除去機構が必要となるため、製作上のコストアップにつながることがある。また、水滴を除去するため、蒸気通路に水滴除去用の開口部を設けたり、翼面に付帯的な構造を設けることは空力的な損失を発生させる可能性があり、蒸気タービンの性能低下を招く可能性も高い。さらに、水滴だけを選択的に蒸気中から分離、排出することは容易ではなく、活用しようとする蒸気をも同時に排出させてしまうことになり、蒸気タービンの効率低下にもつながることが多い。
一方、ノズルと動翼の間隔を広げることは、空力的な損失を発生させる可能性がある。また、機械的な寸法が大きくなるので、タービンロータ軸長が長くなることに伴う振動等の発生の可能性が高くなる。このため、このような方法では信頼性確保の面で設計上の制約となることなどの問題があった。
さらに、耐エロージョン材のような硬質材や皮膜を動翼に付加、形成することは、高度な接合技術を必要とし、ロウ付けによる翼母材の強度が低下する等の問題があった。加えて、硬質材自体が高価であるとの問題もあった。
また、水滴を微細化するために非晶質カーボンまたはプラズマ重合したポリマーを含む疎水性かつ平滑な皮膜を形成することは水滴の微細化に対する効果は期待できるが、皮膜が非晶質カーボンまたはプラズマ重合したポリマーを含むため、ビッカース硬度が500から1500と非常に硬くなり、高速蒸気中に晒される蒸気タービン翼では皮膜が剥離する虞がある。また、非晶質カーボンまたはプラズマ重合したポリマーを含む皮膜を形成するためには、真空容器内においてグロー放電やスパッタリング等の手法を用いる必要があるため、高価であると同時に蒸気タービンの低圧最終段翼のように大型部品に対して適用することは極めて困難であった。
このように、公知の湿り蒸気の影響の低減技術については、いずれも、湿りの影響を低減する代わりに性能・信頼性・コストを犠牲にする可能性があり、それらの課題を解決することが急務とされていた。
本発明が解決しようとする課題は、空力的な損失や信頼性の低下、大幅なコストアップを伴うことなく、効果的に湿りの影響を低減させ高効率かつ高信頼性を有する蒸気タービンおよび蒸気タービンのノズル皮膜形成方法を提供することである。
本発明の実施形態に係る蒸気タービンは、タービンロータと、前記タービンロータに植設される動翼と、前記動翼の上流側に配設されるノズルと、前記ノズルを支持するとともに前記タービンロータ、動翼およびノズルを内包するタービンケーシングとを具備してなり、前記動翼と前記ノズルとの対により形成された段落を、前記タービンロータ軸方向に複数配置することにより蒸気通路が形成された蒸気タービンであって、前記ノズル表面の少なくとも一部分に、樹脂材料を含んでなり、純水に対する接触角が25℃において95度以上である皮膜を具備してなることを特徴とするものである。
水滴によるエロージョン発生に関する模式図。 純水に対する接触角の定義を表わすための模式図。 実施形態による皮膜の形成範囲を示す模式図。
本発明の実施形態による蒸気タービンおよび蒸気タービンのノズル皮膜形成方法は、蒸気により動翼を回転させて回転エネルギを取り出すものであれば特に限定されない。このような蒸気タービンは、例えばタービンロータと、前記タービンロータに植設される動翼と、前記動翼の上流側に配設されるノズルと、前記ノズルを支持するとともに前記タービンロータ、前記動翼および前記ノズルを内包するタービンケーシングとを具備してなり、前記動翼と前記ノズルとの対により形成された段落を、前記タービンロータ軸方向に複数配置することにより蒸気通路が形成されたものである。
そして、実施形態による蒸気タービンにおいて、そのノズルの少なくとも一部に撥水性皮膜(以下、簡単のために単に「皮膜」ということがある)が形成されている。このように撥水性皮膜を具備することによって、蒸気中に含まれる水分が皮膜表面に付着して微少な液滴が形成されても、液滴同士が結合して粗大な液滴となる前に、再び蒸気流中に放出される。この結果、粗大粒子が下流側にある動翼に衝突することによる、動力低下やエロージョン発生が抑制されるのである。
実施形態による皮膜の撥水性を示す基準として、純水に対する接触角が採用される。具体的には、皮膜の純粋に対する接触角が25℃において、95度以上であることが必要であり、100度以上であることが好ましい。
ここで、接触角は以下の通りに定義される。図2は水滴28に対する皮膜部21との接触角θの定義を概略的に示したものである。ここで水滴28の直径2rとし、水滴28の高さをhとし、皮膜部21との接触角をθとするとき、接触角θは、
θ=2tan−1(h/r)
と定義される。
本発明の実施形態においては、形成される液滴を十分に小さくし、また粗大な液滴が形成されるのを抑制するために、接触角が大きいことが好ましい。実施形態においては形成される液滴が粗大化しにくいために、蒸気タービンの性能低下が最小限にされ、またエロージョンも起きにくくなっている。
また、本発明の実施形態において、皮膜は樹脂材料を含んでなるものである。ここで、樹脂材料とは、有機ポリマーまたは無機ポリマーを包含するものである。このような樹脂材料としては、フッ素樹脂やシリコン樹脂が挙げられる。
ここで適用されるフッ素樹脂の具体例としては、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)、PFA (4フッ化エチレンパーフロロプロピルビニルエーテル)、FEP (4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体)、ETFE(4フッ化エチレン共重合体)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(2フッ化))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化))、ECTFE(クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体)、およびこれらの誘導体が挙げられる。
また、本発明の実施形態に用いることができるシリコン樹脂の具体例は、シロキサン結合 (−Si−O−Si−)を骨格構造にもつシロキサン樹脂である。このようなシロキサン樹脂は、直鎖状構造を有するもののほか、分岐鎖を有するもの、環状構造を有するものなど、種々のものがある。このようなシリコン樹脂は種々のものが市販されており、それらから任意に選択して用いることができる。また、シリコン樹脂はシロキサン樹脂に限られず、シラザン結合(−Si−N−Si−)を含むシロキサザン樹脂や、3次元構造を有するシルセスキオキサン樹脂などを用いることもできる。
なお、実施形態に用いることができる樹脂材料は、これらに限定されるものではない。また、用いられる樹脂材料は、溶剤に対する溶解性が高いと、施工が容易になるので好ましい。
また、これらの樹脂材料は、本発明の効果を損なわない範囲で、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。また、上記したフッ素樹脂またはシリコン樹脂以外の樹脂材料を少量配合することも可能である。
このような樹脂材料を用いて皮膜を形成させるためには、一般に、樹脂材料を溶剤に溶解させて塗布液を調製し、その塗布液を基剤表面に塗布した後、加熱することで、乾燥および/または硬化させる。溶剤としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、アルキレングリコールアルキルエーテルなど、従来知られているものから、樹脂材料の溶解性に応じて任意に選択することができる。また、必要に応じて硬化助剤や塗布性改良剤などを用いることもできる。塗布方法も特に限定されず、ブラシ塗布、スプレー塗布、浸漬塗布など任意の方法を用いることができる。塗布後、乾燥または硬化のために、例えば300℃以下の低い温度で加熱し、溶媒を除去し、必要に応じて硬化反応によって硬化させることで、所望の皮膜を得ることができる。
ただし、ここに挙げたポリマーを原料として用いて形成された皮膜でもあっても、高温焼成やプラズマ処理などにより無機質皮膜とされたもの、例えば酸化ケイ素膜やダイヤモンドライクカーボンは包含しない。このような無機質皮膜は、硬度が高すぎて破損しやすく、また基材と皮膜の熱膨張差に起因して、剥離などの問題が起きやすい傾向がある。
このような観点から、皮膜は比較的硬度が低いものが好ましい。具体的には、皮膜の鉛筆硬度が3H以下であることが好ましく、2H以下であることがより好ましい。ここで、 鉛筆硬度とは、鉛筆の芯を試料表面に押付けて動かし、傷付きの有無により試料の引っかき硬度を鉛筆の芯の硬さ(6B〜HB〜6H)で表すものである。この鉛筆強度は、比較的柔らかい皮膜に対する硬さの指標として用いられており、JIS K5600−5−4、ISO15184、またはASTM D3363に規定されている。鉛筆強度は、6B<5B<4B<3B<2B<B<HB<F<H<2H<3H<4H<5H<6Hの順で左から右に向かって硬くなる。
また実施態様において、皮膜はノズル表面に形成される。このとき、皮膜はノズル表面の少なくとも一部に形成される。ノズル表面の一部に皮膜が形成されることで、その部分での粗大な液滴の形成が抑制されるので、本願発明による効果を得ることができる。そして、皮膜によって被覆される面積の割合が大きいほど、効果が顕著になる傾向がある。このため、ノズル表面の全体が皮膜によって被覆されていてもよい。
しかしながら、蒸気タービンの内部においては、蒸気の流れがあるため、液滴が形成されやすい部分と、形成されにくい部分がある。このため、液滴の形成されやすい部分に皮膜を形成させることがより顕著な効果を得るために好ましい。実施形態において、皮膜を形成させるのが好ましい領域は、図3に示すとおりである。
まず、皮膜が、前記ノズルの後縁端から上流側に向かってある距離Lまでの範囲で形成されていることが好ましい。具体的には、距離Lが20mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。この理由は、最終段動翼へ衝突する際の水滴径は、ノズルの後縁端に近い部分で決まるからであり、その領域のノズル表面が撥水性であると、粗大粒子の形成が効果的に阻害されるからである。
また、皮膜が前記ノズルの外周側に近い部分で形成されていること、つまりノズルの外周縁からタービンの中心軸側に向かって形成されていることが好ましい。そして、このとき、皮膜の外周縁から中心側端部までの距離がHであり、ノズルの翼の高さをHであるとき、
0.4≦H/H≦1.0
を持たすことが好ましい。この理由は、蒸気流れの旋回の影響を受けることにより、水滴がノズル外周側に多く集積されるので、粗大な水滴の発生はノズルの外周近傍で顕著となるので、その領域における液滴の形成を阻害することで、より本願発明の効果をより顕著に得ることができるからである。
また、実施形態において、皮膜の十分な密着強度を維持し、剥がれなどの問題を防ぐために、皮膜の膜厚が150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
以下、本発明に係る蒸気タービンおよび蒸気タービンのノズル皮膜形成方法の実施形態を、図3を用いて説明するが、本発明の実施形態はこれらの例に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
本実施形態では、湿り条件で運転される段落のノズル6の全表面について皮膜を形成させた。この皮膜は、樹脂材料としてPTFEフッ素樹脂(PTFE:4フッ化エチレン樹脂)を含むものであった。この皮膜の水に対する接触角は108度であって、十分な撥水性を有しており、かつ鉛筆硬度がHであった。また、皮膜の膜厚は、100μmであった。
本実施形態では、撥水性皮膜がノズル表面に形成されていることにより、水滴の粗大化が抑制され、最終段の動翼には粗大な水滴の衝突が低減されているためエロージョンが抑制される。
なお、この実施形態では、撥水性皮膜は、ノズル6の翼面全体に形成させたが、ノズルの後縁領域に皮膜が形成されていることでその効果が期待できる。具体的には、後縁端から上流側に向って20mm以上の領域に皮膜が形成されていれば十分な効果を得ることができる。また、形成される液滴は翼の後縁全体に分布するのではなく、局所的、特に翼の先端側に多く分布する傾向にある。このため、必ずしも後縁端の全体に皮膜を形成させる必要はなく、ノズルの外周側に近い領域に形成させることで十分な場合がある。そして、そのときに0.4≦H/H≦1.0を満たすことが好ましい。
このように、本実施形態によれば、性能上の悪影響やコストの大幅な増加なしに、後縁から放出される水滴径を最小化することが可能となり、この結果、水滴が次段動翼に及ぼす浸食(エロージョン)量を低減することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様の方法により、図3に示した蒸気タービンにおける最終段ノズルの全表面に、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系ポリマーをフッ素系溶媒に溶解した溶液をブラシ塗布し、100℃の熱風で10分加熱し硬化させた。このときの皮膜の膜厚は約4μm、皮膜の水に対する接触角は105度、また皮膜の鉛筆硬度はBであった。
この場合も、撥水性皮膜が形成されていないものと比較して、タービン性能が向上し、また放出された水滴は細かくなり、次段落以降の翼におけるエロージョンの発生が抑制された。
(第3の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態と同様の方法により、図2に示した蒸気タービンにおける最終段ノズルの全表面に、特殊変性シリコン樹脂をブラシ塗布し、常温で硬化させた。このときの皮膜の膜厚は約50μm、皮膜の水に対する接触角は100度、また皮膜の鉛筆硬度は3Hであった。
この場合も、撥水性皮膜が形成されていないものと比較して、タービン性能が向上し、また放出された水滴は細かくなり、次段落以降の翼におけるエロージョンの発生が抑制された。
(第4の実施形態)
本実施形態では、第2の実施形態と同様にして皮膜を形成させた。ただし、このとき皮膜の形成範囲を変更し、蒸気タービンにおける最終段ノズルの後縁端から上流側に向って20mmまでの領域に皮膜を形成させた。このときの皮膜の膜厚は約4μm、皮膜の水に対する接触角は105度、また皮膜の鉛筆硬度はBであった。
この場合も、撥水性皮膜が形成されていないものと比較して、タービン性能が向上し、また放出された水滴は細かくなり、次段落以降の翼におけるエロージョンの発生が抑制された。
(第5の実施形態)
本実施形態では、第2の実施形態と同様にして皮膜を形成させた。ただし、このとき皮膜の形成範囲を変更し、0.4≦H/H≦1.0を満たすようにした。このとき形成された皮膜の膜厚は約4μm、皮膜の水に対する接触角は105度、鉛筆硬度はBであった。
この場合も、撥水性皮膜が形成されていないものと比較して、タービン性能が向上し、また放出された水滴は細かくなり、次段落以降の翼におけるエロージョンの発生が抑制された。
(第6の実施形態)
本実施形態では、図3に示した蒸気タービンにおける最終段ノズルの全表面に、TiO粉末を含む塗布液をスプレー塗布し、常温で一昼夜乾燥後、大気中にて100℃の熱風を10分間当てることにより熱処理した。形成された皮膜の膜厚は約0.8μmであった。このときの皮膜の水に対する接触角は30度以下であり、高い親水性を示した。
この場合は、皮膜が形成されていないものと比較して、タービン性能および水滴径に顕著な変化は認められなかった。
(第7の実施形態)
本実施形態では、図3に示した蒸気タービンにおける最終段ノズルの全表面について水に対する接触角108度であり、かつ鉛筆硬度がHのPTFEフッ素樹脂皮膜(PTFE:4フッ化エチレン樹脂)を膜厚約160μm形成させた。この場合、放出された水滴は細 かく、本発明の効果を得ることができたが、長時間の運転後に皮膜の剥離が生じた。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、空力的な損失や信頼性の低下、大幅なコストアップを伴うことなく、効果的に湿りの影響を低減させ高効率かつ高信頼性を有する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
5 動翼
6 ノズル
14 湿り蒸気
15、16 水滴
21 基材
28 水滴

Claims (6)

  1. タービンロータと、
    前記タービンロータに植設される動翼と、
    前記動翼の上流側に配設されるノズルと、
    前記ノズルを支持するとともに前記タービンロータ、前記動翼および前記ノズルを内包するタービンケーシングと
    を具備してなり、前記動翼と前記ノズルとの対により形成された段落を、前記タービンロータ軸方向に複数配置することにより蒸気通路が形成された蒸気タービンであって、
    前記ノズル表面の少なくとも一部分に、樹脂材料を含んでなり、純水に対する接触角が25℃において95度以上である皮膜を具備してなることを特徴とする蒸気タービン。
  2. 前記皮膜の鉛筆硬度が、3H以下である、請求項1に記載の蒸気タービン。
  3. 前記皮膜が、前記ノズルの後縁端から上流側に向かって20mm以上までの領域に形成されている、請求項1または2記載の蒸気タービン。
  4. 前記皮膜が、ノズルの外周縁からタービンの中心軸側に向かって形成されており、皮膜の外周縁から中心側端部までの距離がHであり、前記ノズルの翼高さをHとしたとき、
    0.4≦H/H≦1.0
    を満たす、請求項1〜3のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  5. 前記皮膜の厚さが、150μm以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  6. 蒸気タービンのノズル表面の少なくとも一部分に、樹脂材料を含んでなり、純水に対する接触角が25℃において95度以上である皮膜を形成することを特徴とする蒸気タービンのノズル皮膜形成方法。
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