JP5651532B2 - 蒸気タービン - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、蒸気タービンに関する。
蒸気タービンは、火力プラント、ガスタービンと組み合わせたコンバインドサイクルプラント、原子力プラント、さらには、再生可能エネルギを利用した地熱発電プラント、太陽熱発電プラントに広く適用されている。蒸気タービンにおける性能および信頼を向上させることは、CO排出の削減やエネルギ消費の削減へ大きく寄与する。
原子力用蒸気タービン、地熱用蒸気タービンの大部分の段落あるいは火力用蒸気タービンの低圧タービンの段落では、作動流体である蒸気の一部が凝縮して液化する。液化した蒸気の一部は、静翼の翼面、ダイアフラム外輪の壁面に付着して水膜を形成し、静翼の後縁部やダイアフラム外輪の壁面から吹き千切れて液滴となる。この液滴は、下流側の動翼に衝突し、動翼の一部を侵食する。
このような現象は、特に、蒸気圧力や温度が低下した、湿り度が高い最終のタービン段落の近傍で生じる。この現象は、経年的に信頼性の低下を招き、タービン効率を低下させ、CO排出量を増加させる。
一般的な火力プラントに備えられる低圧タービンにおける最終のタービン段落の近傍における蒸気などの流動について説明する。
図9は、従来の低圧タービンにおける最終のタービン段落近傍の子午断面を示す図である。なお、図9において、破線は蒸気の流線を示し、実線は発生した水滴の流線を示している。
図9に示すように、ケーシング300の内周には、ダイアフラム外輪310a、310bとが備えられている。このダイアフラム外輪310a、310bとダイアフラム内輪311a、311bとの間には、周方向に複数の静翼312a、312bが支持され、静翼翼列を構成している。
また、静翼翼列の直下流側には、タービンロータ320のロータディスク321に、周方向に複数の動翼322a、322bが植設された動翼翼列が構成されている。そして、静翼翼列とその直下流に位置する動翼翼列とによって一段のタービン段落が構成される。図9には、最終のタービン段落330と、それよりも一段上流のタービン段落331が示されている。動翼322a、322bでは、静翼312a、312bにおいて膨張された蒸気の速度エネルギを回転エネルギに変換し動力を発生する。
蒸気は、図9に示すように、下流に行くに伴って拡大する拡大流路に沿って膨張する。水滴は、蒸気の圧力および温度が降下し、湿り度が3〜5%程度まで非平衡膨張した際に発生する。通常の火力用蒸気タービンのおける水滴の発生は、最終のタービン段落330よりも一段上流のタービン段落331で発生する。
初期に形成される水滴径は、0.1μm〜1μm程度であり、下流での蒸気の膨張に伴い水滴径が増加する。その際、一部の水滴は、静翼312bや動翼322bの表面に衝突して付着するが、水滴径が比較的小さいため、タービン段落331における動翼322bの侵食は軽微である。
タービン段落331の動翼322bに衝突し付着した水滴は、実線で示すように、遠心力、コリオリ力を受けて外周側へ流れる。そのため、タービン段落330のダイアフラム外輪310aの内周面には多くの水滴が付着して液膜を形成する。
この液膜は、ダイアフラム外輪310aの内周面側に発生する蒸気の二次流れによって、静翼312aの腹側から、周方向に隣接する静翼312aの背側へと導かれる。そして、液膜は、背側に達した後、二次流れに乗って、静翼312aの背側の外周側から内周側へ拡散され、静翼312aの後縁に到達する。図9では、液膜が拡散する領域を一点鎖線のハッチングで示している。
静翼312aの後縁に到達した液膜は、図9に示すように、後縁端より蒸気流に吹きちぎられて液滴340となって、蒸気流内に放出される。このときの液滴径は、数百μm程度に達し、直下流側の動翼322aに衝突し、動翼322aを侵食する。翼断面形状は、この侵食によって設計時の翼型とは異なる形状となるため、翼型損失が増加する。また、成長した液滴の速度は、蒸気流の速度よりも低下するために、液滴は、動翼322aの背側より流入する。そのため、動翼322aには、回転方向とは逆方向の力が作用し、タービン効率が低下する。
このような液膜から発達した液滴による侵食に伴う翼型損失の増加や、タービン効率の低下を抑制するために、例えば、発生した水滴を除去する水滴除去装置を備えた蒸気ターンなどが提案されている。
水滴除去装置として、静翼の腹側および背側にスリットを形成し、そのスリットから水滴を回収する技術などが提案されている。また、ダイアフラム外輪の内周面に、周方向に隣接する静翼間に亘ってスリットを形成し、液膜を回収する技術などが提案されている。
特公昭49−9522号公報
しかしながら、従来の水滴除去装置においては、ダイアフラム外輪の内周面に設けられたスリットは、静翼間をほぼ横切るように設置されているため、液膜(水滴)と一緒に吸い込まれる蒸気の流量が過剰となり、タービン効率が低下するといった問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、発生した水滴や液膜を的確に除去するとともに、タービン効率の向上を図ることができる蒸気タービンを提供するものである。
実施形態の蒸気ターンは、タービンロータの周方向に複数の動翼を植設して構成された動翼翼列と、前記動翼翼列を囲むケーシングに設けられたダイアフラム外輪に周方向に複数の静翼を取り付けて構成され、前記動翼翼列とタービン段落を構成する静翼翼列とを備え、低圧となるタービン段落に湿り蒸気が流れる。
前記ダイアフラム外輪が、蒸気タービンの外部に設けられた復水器に連通する中空部を有し、前記静翼翼列における静翼間の前記ダイアフラム外輪の内周面に、静翼の背側の翼面に沿う所定の位置から、前記ダイアフラム外輪の内周面における等圧線に沿って、隣接する静翼の腹側に向かって、次の関係式を満たすように、前記ダイアフラム外輪の中空部に連通する外輪スリットが形成され、静翼が中空の翼構造を有し、背側と腹側に翼スリットが形成され、静翼の中空部が、前記外輪スリットと連通する中空部とは区切られた異なる前記ダイアフラム外輪の中空部を介して、前記復水器に連通する。
0.3≦X/Cx≦0.8、かつS/L≧0.5
ここで、Xは、静翼の前縁から、静翼の背側の翼面に沿う前記外輪スリットの一端までのタービンロータ軸方向の距離、Cxは、前記静翼の前縁から後縁までのタービンロータ軸方向の距離、Sは、前記等圧線に沿う前記外輪スリットの長さ、Lは、静翼の背側の翼面に沿う前記外輪スリットの一端となる点に接し、前記外輪スリットが形成される静翼間に内接する円の直径である。
本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービンの鉛直方向の子午断面を示す図である。 本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービンにおける最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。 本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービンにおける最終のタービン段落の一部が示された図2のA−A断面を示す図である。 本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービンの最終のタービン段落において、静翼間のダイアフラム外輪の内周面上を流れる液膜の流線を模式的示した図である。 本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービンにおける最終のタービン段落の一部が示された断面図であり、図2のA−A断面に相当する断面を示している。 本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービンにおける最終のタービン段落の断面が示された図5のB−B断面を示す図である。 ダイアフラム外輪の内周面上における、X/Cxと液膜幅との関係を示す図である。 外輪スリットの、ダイアフラム外輪の中空部への貫通方向と、ダイアフラム外輪の内周面とのなす角θと、外輪スリットを介して回収した液膜の回収流量比との関係を示す図である。 従来の低圧タービンにおける最終のタービン段落近傍の子午断面を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン10の鉛直方向の子午断面を示す図である。また、以下において、同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
図1に示すように、蒸気タービン10は、ケーシング20を備え、このケーシング20内には、動翼21が植設されたタービンロータ22が貫設されている。動翼21を周方向に複数植設して動翼翼列を構成し、この動翼翼列をタービンロータ軸方向に複数段備えている。タービンロータ22は、図示しないロータ軸受によって回転可能に支持されている。
ケーシング20の内周には、タービンロータ軸方向に動翼21と交互になるように、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24に支持された静翼25が配設されている。静翼25を周方向に複数植設して静翼翼列を構成し、静翼翼列と直下流側に位置する動翼翼列とで一つのタービン段落を構成している。
タービンロータ22とケーシング20との間には、作動流体である蒸気の外部への漏洩を防止するために、グランドシール部26が設けられている。
蒸気タービン10には、内部に蒸気を導入するための蒸気入口管27がケーシング20を貫通して設けられている。
なお、図示しないが、最終のタービン段落の下流側には、タービン段落において膨張仕事をした蒸気を排気するための排気流路が設けられている。この排気流路は、復水器(図示しない)に連通されている。
次に、低圧となり湿り蒸気が流れるタービン段落の構成について説明する。
ここでは、発生した水滴や液膜を除去する機能を、最終のタービン段落に備えた一例を示す。図2は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン10における最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。なお、図2には、静翼25間のダイアフラム外輪23の内周面に形成される外輪スリット30を含む位置での断面が示されている。図3は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン10における最終のタービン段落の一部が示された図2のA−A断面を示す図である。
図2および図3に示すように、静翼翼列を構成する静翼25間のダイアフラム外輪23の内周面23aには、蒸気が凝縮することで発生した水滴や液膜などの凝縮水を回収するための外輪スリット30が形成されている。
この外輪スリット30は、図3に示すように、一端E1が、静翼25の背側の翼面に沿う所定の位置に形成され、この一端E1から、ダイアフラム外輪23の内周面23aにおける等圧線に沿って、隣接する静翼25の腹側に向かって、次に示す式(1)かつ式(2)の関係式を満たすように形成されている。
0.3≦X/Cx≦0.8 …式(1)
S/L≧0.5 …式(2)
ここで、Xは、静翼25の前縁25aから、静翼25の背側の翼面に沿う外輪スリット30の一端E1までのタービンロータ軸方向の距離である。Cxは、静翼25の前縁25aから後縁25bまでのタービンロータ軸方向の距離である。Sは、ダイアフラム外輪23の内周面23aにおける等圧線に沿う外輪スリット30の長さである。Lは、静翼25の背側の翼面に沿う外輪スリット30の一端E1となる点に接し、外輪スリット30が形成される静翼25間に内接する円の直径である。
X/CxおよびS/Lを上記範囲とすることによって、静翼25間のダイアフラム外輪23の内周面23a上を流れる液膜を的確に外輪スリット30に導くことができ、凝縮水を効率よく回収することができる。なお、S/Lの最大値は、風洞試験の観察結果より水膜が存在する範囲である0.85となる。より好ましいのは、X/Cxが0.3以上0.8以下、かつS/Lが0.5以上0.85以下の範囲である。
また、X/Cxの範囲においてX/Cxが増加するに伴って、S/Lの範囲においてS/Lが減少するように、上記した関係式(式(1)かつ式(2))が満たされることが好ましい。例えば、X/Cxが0.3のときにS/Lを0.85に設定し、X/Cxの増加に伴って、S/Lを減少させ、X/Cxが0.8のときにS/Lを0.5に設定することができる。
外輪スリット30の長さSに垂直な方向の幅Wは、外輪スリット30への蒸気の流入を抑制しつつ、液膜を確実に回収するために、0.3〜3mm程度に設定することが好ましい。
静翼25は、図3に示すように、中空の翼構造を有し、腹側と背側に翼スリット40、41が形成されている。これらの翼スリット40、41は、蒸気が凝縮することで発生した水滴や液膜を回収するためのものである。腹側の翼スリット40は、後縁25b側に形成され、背側の翼スリット41は、前縁25a側に形成されている。水滴や液膜を確実に回収するため、翼スリット40、41を、例えば、図2に示すように、タービンロータ軸方向には互いにくい違い、かつ半径方向には重なり合う千鳥格子状に形成することができる。水滴などは、蒸気流路の外周側に向かって流されるため、翼スリット40、41は、静翼25の半径方向(高さ方向)における中心よりも外周側に形成されることが好ましい。
例えば、静翼25の腹側および背側に形成された翼スリット40、41は、それぞれ静翼面における等圧線に沿って形成され、かつそれぞれの等圧線が示す圧力が等しいことが好ましい。このように、静翼25の腹側および背側に翼スリット40、41を形成することで、均等に水滴や液膜を回収でき、不均一な圧力場により発生する液滴や液膜の逆流現象を防止することができる。
図2に示すように、ダイアフラム外輪23には、蒸気タービン10の外部に設けられた復水器(図示しない)に連通する中空部50が形成されている。この中空部50は、中空部51と中空部52とから構成され、それぞれの空間は区切られ、異なる別個の空間を構成している。
中空部51は、ダイアフラム外輪23の内周面23aに形成された外輪スリット30に連通する。外輪スリット30から中空部51に回収された水滴や液膜は、復水器(図示しない)に導かれる。
中空部52には、図2に示すように、静翼25の半径方向の端部が挿入し、中空部52は、静翼25の中空部25c、すなわち静翼25の腹側および背側に形成された翼スリット40、41に連通する。翼スリット40、41から静翼25の中空部25cを介して中空部52に回収された水滴や液膜は、復水器(図示しない)に導かれる。
このように、外輪スリット30からの水滴や液膜の回収経路と、翼スリット40、41からの水滴や液膜の回収経路とを独立した分離構造とすることができる。そのため、例えば、外輪スリット30を形成するダイアフラム外輪23の内周面23aにおける等圧線が示す圧力と、翼スリット40、41を形成する静翼25の腹側および背側における等圧線が示す圧力とが異なるように、任意に構成することができる。
このように構成することで、外輪スリット30、静翼25での圧力設定の自由度を増すことができる。そのため、従来のように、静翼25と外輪スリット30を等圧にすることで発生していた蒸気の過剰な吸い込みを抑制することができる。これによって、タービン効率を向上させることができる。
ここで、外輪スリット30は、図2に示すように、蒸気の流れの上流側に向かって開口されている。外輪スリット30の、ダイアフラム外輪23の中空部51への貫通方向と、ダイアフラム外輪23の内周面23aとのなす角θは、30〜60度に設定されることが好ましい。
この範囲に角θを設定することで、外輪スリット30の内周面23aに発生した液膜の回収率を向上することができる。また、角θが60度を超えると、ダイアフラム外輪23の内周面23aから中空部51へ至るまでの外輪スリット30の長さが長くなり、圧力損失が増加する。角θのより好ましい範囲は、30〜45度である。
ここで、蒸気タービン10の動作について説明する。
図4は、本発明に係る第1の実施の形態の蒸気タービン10の最終のタービン段落において、静翼25間のダイアフラム外輪23の内周面23a上を流れる液膜の流線を模式的示した図である。なお、図4では、外輪スリット30の内周面23a上を流れる液膜の流線を実線の矢印で示し、内周面23a上における等圧線を破線で示している。
蒸気入口管27を経て蒸気タービン10内に流入した蒸気は、各タービン段落の静翼25、動翼21を備える、徐々に拡大する蒸気流路を膨張仕事をしながら通過し、タービンロータ22を回転させる。
蒸気は、下流に行くに伴って、圧力および温度が低下する。例えば、蒸気の圧力および温度が低下し、湿り度が3〜5%程度まで非平衡膨張すると水滴が発生する。通常の火力発電用の蒸気タービンでは、水滴は、最終のタービン段落よりも1段落上流のタービン段落で発生する。
初期に形成される水滴径は、0.1μm〜1μm程度であり、下流での蒸気の膨張に伴い水滴径が増加する。その際、一部の水滴は、静翼25や動翼21の表面に衝突して付着する。最終のタービン段落よりも1段落上流のタービン段落の動翼21に衝突し付着した水滴は、遠心力、コリオリ力を受けて外周側へ流れる。そのため、最終のタービン段落のダイアフラム外輪23の内周面23aには多くの水滴が付着して液膜を形成する。
図4に示すように、静翼25の入口側から流入した液膜の流れは、ダイアフラム外輪23の内周面23a上を流れているために、静翼25間を流れる蒸気の流れに流引される。ダイアフラム外輪23の内周面23aの近傍を流れる蒸気は、境界層を形成して流速が遅くなり、静翼25間の圧力差とバランスするために、静翼25間の流路の曲率に対して流れの曲率が小さくなる。
その結果、蒸気の流れは、静翼25の腹側から、隣接する静翼25の背側へ向かって流れ、背側の翼面に到達すると渦流となって下流側へ流出する。液膜も、蒸気の流れに追従し、静翼25の腹側から、隣接する静翼25の背側へ向かって流れる。そして、静翼25の入口側の内周面23a上に存在する液膜は、図4に示すように、下流側に行くに伴い集合し、隣接する静翼25の背側へ流れる。そして、集合した液膜は、外輪スリット30を介して中空部51に回収され、復水器(図示しない)に導かれる。
外輪スリット30の長さSは、集合する液膜の幅に対応するように構成されているため、液膜の回収率に優れるとともに、蒸気の回収を抑制することができる。そのため、液膜から発達した液滴による動翼21の侵食に伴う翼型損失の増加や、蒸気が回収されることに伴うタービン効率の低下を抑制することができる。
一方、最終のタービン段落における静翼25に付着した水滴や流動する水滴は、静翼25の腹側および背側に形成された翼スリット40、41を介して中空部52に回収され、復水器(図示しない)に導かれる。このように、静翼25に翼スリット40、41を備えることで、水滴が下流の動翼21側へ流出するのを抑制することができ、これによっても、動翼21の侵食に伴う翼型損失の増加を抑制することができる。
最終のタービン段落を通過した蒸気は、最終のタービン段落の下流に設けられた排気流路(図示しない)を通過し、復水器(図示しない)に導かれる。
上記したように、第1の実施の形態の蒸気タービン10によれば、例えば、最終のタービン段落の静翼翼列において、水滴や液膜を的確に除去することができる。そのため、動翼21の侵食に伴う翼型損失の増加を抑制しつつ、タービン効率の向上を図ることができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の蒸気タービン11は、ダイアフラム外輪23の内周面23aの構成以外は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の構成と同じであるため、ここでは、ダイアフラム外輪23の内周面23aの構成について主に説明する。
図5は、本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービン11における最終のタービン段落の一部が示された断面図であり、図2のA−A断面に相当する断面を示している。図6は、本発明に係る第2の実施の形態の蒸気タービン11における最終のタービン段落の断面が示された図5のB−B断面を示す図である。
図5および図6に示すように、外輪スリット30が形成されたダイアフラム外輪23の内周面23aに、静翼25間の上流側から外輪スリット30に連通する凹状の溝60が形成されている。この溝60は、前述したダイアフラム外輪23の内周面23a上を流れる液膜の流線(図4参照)に沿って形成されることが好ましい。溝60は、少なくとも1つ形成されていれば、本実施の形態に係る作用効果が得られ、図5および図6に示すように、複数形成されてもよい。
このように溝60を備えることで、ダイアフラム外輪23の内周面23a上を、蒸気の流れに追従して、静翼25の腹側から、隣接する静翼25の背側へ向かう液膜の流れは、溝60内またはその表面を外輪スリット30に向かって流れる。これによって、液膜の流れを確実に外輪スリット30に導くことができる。
第2の実施の形態の蒸気タービン11によれば、液膜から発達した液滴による動翼21の侵食に伴う翼型損失の増加や、蒸気が回収されることに伴うタービン効率の低下を抑制することができる。
(X/CxとQ/Lとの関係)
図7は、ダイアフラム外輪23の内周面23a上における、X/Cxと液膜幅との関係を示す図である。なお、図7には、風洞試験における結果が示され、この試験は、外輪スリット30を形成しない状態で行った。
風洞試験では、静翼25の上流側から静翼25間の幅に相当する液膜幅Qを有する液膜をダイアフラム外輪23の内周面23a上に形成し、X/Cxで定められる、静翼25の背側の翼面に沿う点からの等圧線に沿う液膜幅Qを計測している。図7の縦軸に示されたQ/Lは、計測された液膜幅Qを、前述した直径L(静翼25の背側の翼面に沿う外輪スリット30の一端E1となる点に接し、外輪スリット30が形成される静翼25間に内接する円の直径)で除したものである。
図7に示すように、液膜は、静翼25の先端部では、静翼25間に亘って存在している。下流側に行くに伴い、すなわちX/Cxの増加に伴い、二次流れの影響によって、液膜が静翼25の翼腹から隣接する静翼25の背側へ移動し、液膜幅Qが減少している。
ここで、外輪スリット30の長さSを液膜幅Qと同程度とすることで、外輪スリット30を介して液膜を的確に回収することができる。本実施の形態では、式(1)かつ式(2)の関係を満たすように外輪スリット30が形成され、X/Cxが0.3以上0.8以下の範囲において、S/Lを0.5以上となるように設定しているため、外輪スリット30を介して液膜を的確に回収できることがわかる。
また、X/Cxの範囲においてX/Cxが増加するに伴って、S/Lの範囲においてS/Lが減少するように、式(1)かつ式(2)の関係を満たすように、外輪スリット30を形成することで、X/Cxの増加に伴う液膜幅Qの減少に対応した、好適な外輪スリット30を構成できることがわかる。
(角θと回収流量比との関係)
図8は、外輪スリット30の、ダイアフラム外輪23の中空部51への貫通方向と、ダイアフラム外輪23の内周面23aとのなす角θと、外輪スリット30を介して回収した液膜の回収流量比との関係を示す図である。なお、図8には、風洞試験における結果が示されている。
風洞試験では、静翼25の上流側から流量G0の水を供給してダイアフラム外輪23の内周面23a上に液膜を形成し、角θを変化させて、外輪スリット30を介して回収された回収流量G1を計測した。ここでは、X/Cxを0.8とし、これによって定められる、静翼25の背側の翼面に沿う外輪スリット30の一端E1から等圧線に沿って設けた外輪スリット30を備える構成とした。また、S/Lを0.7とし、外輪スリット30の幅Wを1mmとした。
なお、図8の縦軸に示された回収流量比は、供給された流量G0に対する回収流量G1の比(G1/G0)である。
図8に示すように、角θが30〜60度における回収流量比は、0.95を超えており、良好な回収率であることがわかる。
以上説明した実施形態によれば、発生した水滴や液膜を的確に除去するとともに、タービン効率の向上を図ることが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
10,11…蒸気タービン、20…ケーシング、21…動翼、22…タービンロータ、23…ダイアフラム外輪、23a…内周面、24…ダイアフラム内輪、25…静翼、25a…前縁、25b…後縁、25c,50,51,52…中空部、26…グランドシール部、27…蒸気入口管、30…外輪スリット、40,41…翼スリット、60…溝。

Claims (7)

  1. タービンロータの周方向に複数の動翼を植設して構成された動翼翼列と、前記動翼翼列を囲むケーシングに設けられたダイアフラム外輪に周方向に複数の静翼を取り付けて構成され、前記動翼翼列とタービン段落を構成する静翼翼列とを備え、低圧となるタービン段落に湿り蒸気が流れる蒸気タービンであって、
    前記ダイアフラム外輪が、蒸気タービンの外部に設けられた復水器に連通する中空部を有し、前記静翼翼列における静翼間の前記ダイアフラム外輪の内周面に、静翼の背側の翼面に沿う所定の位置から、前記ダイアフラム外輪の内周面における等圧線に沿って、隣接する静翼の腹側に向かって、次の関係式を満たすように、前記ダイアフラム外輪の中空部に連通する外輪スリットが形成され
    静翼が中空の翼構造を有し、背側と腹側に翼スリットが形成され、静翼の中空部が、前記外輪スリットと連通する中空部とは区切られた異なる前記ダイアフラム外輪の中空部を介して、前記復水器に連通することを特徴とする蒸気タービン。
    0.3≦X/Cx≦0.8、かつS/L≧0.5
    ここで、Xは、静翼の前縁から、静翼の背側の翼面に沿う前記外輪スリットの一端までのタービンロータ軸方向の距離、Cxは、前記静翼の前縁から後縁までのタービンロータ軸方向の距離、Sは、前記等圧線に沿う前記外輪スリットの長さ、Lは、静翼の背側の翼面に沿う前記外輪スリットの一端となる点に接し、前記外輪スリットが形成される静翼間に内接する円の直径である。
  2. 前記X/Cxの範囲において前記X/Cxが増加するに伴って、前記S/Lの範囲において前記S/Lが減少するように前記関係式が満たされることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン。
  3. 静翼の背側および腹側に形成された前記翼スリットは、それぞれ静翼面における等圧線に沿って形成され、かつそれぞれの等圧線が示す圧力が等しいことを特徴とする請求項1または2記載の蒸気タービン。
  4. 前記翼スリットが形成された静翼の背側および腹側における等圧線が示す圧力と、前記外輪スリットが形成された前記ダイアフラム外輪の内周面における等圧線が示す圧力とが異なることを特徴とする請求項3記載の蒸気タービン。
  5. 前記外輪スリットが形成された前記ダイアフラム外輪が、湿り蒸気が流れるタービン段落に備えられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  6. 前記ダイアフラム外輪に形成された前記外輪スリットは、蒸気の流れの上流側に向かって開口され、前記外輪スリットの、前記ダイアフラム外輪の中空部への貫通方向と、前記ダイアフラム外輪の内周面とのなす角が30〜60度であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  7. 前記外輪スリットが形成された前記ダイアフラム外輪の内周面に、静翼間の上流側から前記外輪スリットに連通する少なくとも1つの凹状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の蒸気タービン。
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