JPH08232604A - 蒸気タービンのエロージョン防止装置 - Google Patents

蒸気タービンのエロージョン防止装置

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JPH08232604A
JPH08232604A JP3884695A JP3884695A JPH08232604A JP H08232604 A JPH08232604 A JP H08232604A JP 3884695 A JP3884695 A JP 3884695A JP 3884695 A JP3884695 A JP 3884695A JP H08232604 A JPH08232604 A JP H08232604A
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JP
Japan
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nozzle
blade
outer peripheral
steam turbine
peripheral wall
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JP3884695A
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English (en)
Inventor
Motoharu Otomo
元晴 大友
Toshiyuki Harada
稔之 原田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ノズル外周壁面を流れるドレンがノズル翼部で
の二次流れによってノズル背側に流れ込むことを確実に
防止し、動翼の侵食を有効的に防止できる蒸気タービン
のエロージョン防止装置を提供する。 【構成】タービン軸方向下流側に向って拡大する環状流
路を構成する外周壁1と、この外周壁1の内面側に円周
方向に沿って間隔的に複数枚配置されたノズル翼4と、
このノズル翼4の後段側に配置され環状流路に供給され
る湿り蒸気によって作動する動翼5とを備える。このも
のにおいて、二次流れによって外周壁1からノズル翼面
上を伝わり、ノズル後縁11から吹き飛ばされる水滴の
半径方向の位置を規制する水滴流れ規制手段を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿り蒸気で作動する蒸
気タービンの動翼のエロージョン防止対策技術に係り、
特に流路の外周壁を流れるドレンが二次流れによってノ
ズル背側に流れ込むことを防止するようにした蒸気ター
ビンのエロージョン防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】火力タービンの最終段付近や、飽和蒸気
を使用する原子力タービンの大部分の段落では、動翼が
多量の水滴を含んだ湿り蒸気中で作動している。このた
め、周速度の大きい動翼の入口縁に水滴が衝突すること
により、エロージョンの発生の問題が生じていた。特に
近年では、湿り度の大きい原子力タービンが増加すると
ともに、蒸気タービン全般が大容量化により最終段動翼
が長大なものになり、上述した問題への効果的な対策が
強く求められるようになってきた。
【0003】図15は蒸気タービンの子午面における水
滴流線Nを示している。同図に示すように、蒸気流路の
ノズル外周壁面1を構成するノズル外輪2と、流路内周
壁を構成するノズル内輪3との間に、ノズル翼4が固定
されている。また、ノズル翼4の後方には動翼5が取り
付けられている。
【0004】湿り蒸気が流れる蒸気タービンの流路にお
いて、湿り蒸気が膨張して発生した微小水滴は、ノズル
翼4とその上下流段の動翼5,12とに衝突しながら集
合して大きな水滴になっていく。ノズル翼4の上流段の
動翼12に衝突した水滴は、その動翼12に振り切られ
てノズル外周壁面1に衝突し、このノズル外周壁面1上
のドレン流れとなる。すなわち、ノズル部でのドレン流
れは大きく分けると、ノズル翼4の表面上を流れるドレ
ン流れと、ノズル外周壁面1上を流れるドレン流れの2
つになる。
【0005】図16はノズル翼表面における水滴の生成
状況を示している。同図に示すように、破線矢印で示す
水滴流fと、実線矢印で示す蒸気流eとが、ノズル翼4
に対して同一方向から流入するが、水滴流fは慣性力の
ために転向できず、ノズル腹面9に衝突して、そこに捕
集されるようになる。
【0006】なお、水滴径が非常に大きくなると、水滴
流と蒸気流との前段動翼での出口相対速度が大きく異な
るため、水滴流は図16に破線矢印gで示すように蒸気
流とは異なる角度で流入し、ノズル背面7に衝突して、
そこに捕集される。このようにして、ノズル腹面9およ
びノズル背面7に捕集された水滴は、ノズル翼後縁11
から粗大水滴となって引き裂かれ、後段の動翼5に衝突
してこれを侵食することになる。
【0007】また、湿り域で作動する蒸気タービンでは
翼長が長くなり、動翼内では、遠心力、コリオリ力、お
よび蒸気力による外周方向への運動が支配的となり、水
滴はノズル外周壁面1およびノズル翼4の外周部近傍に
付着することとなる。
【0008】図17および図18は、それぞれノズル翼
4の翼面圧力分布およびノズル外周壁面1近傍での流れ
を示している。
【0009】図17に示すように、ノズル翼4の表面圧
力は、ノズル腹面9で高く、ノズル背面7で低い。この
ため、ノズル翼4間の蒸気通路部では、図18に示すよ
うに、ノズル腹面9からノズル背面7へ向かう力Fが発
生する。特にノズル外周壁面1上では、蒸気の粘性によ
って蒸気主流方向の流速が遅くなるため、上述したノズ
ル腹面9からノズル背面7へ向かう力Fの影響が大きく
なる。したがって、ノズル外周壁面1では、ノズル腹面
9からノズル背面7へ向かう力Fにより、いわゆる二次
流れと呼ばれる渦流れVが発生する。
【0010】図19はノズル外周壁面1を伝わる水滴流
線Nを示し、図20はノズル外周壁面1近傍の水滴流線
Nを立体的に示している。図19に示すように、ノズル
背面7には多くのドレンが流れ込み、このノズル背面7
に到達したドレンは図20に示すように、二次流れの影
響でノズル背面7上をノズル内輪1側へ移動しながらノ
ズル翼後縁11に到達し、粗大水滴となって引き裂か
れ、後段の動翼に衝突してそれを侵食する。
【0011】このような浸蝕を防止するため従来、蒸気
タービンの段落中の水滴を除去する装置が提案された
(例えば特公昭49−9522号)。図21および図2
2は、この提案による水滴除去装置の構成を示してい
る。図21はノズル翼の子午面での断面図であり、図2
2は図21のJ−J断面図である。
【0012】この装置では、ノズル翼4と、このノズル
翼4を保持するノズル外輪2と、ノズル内輪3とが、全
て中空となっており、その各中空部18,19,20は
互いに連通している。そして、ノズル腹面9とノズル背
面7とに径方向に沿うスリット状の水滴吸込口8,6が
それぞれ穿設されるとともに、ノズル外周壁面1にも互
いに隣接する一のノズル翼4のノズル腹面9と他のノズ
ル翼4のノズル背面7との間に位置してスリット状の水
滴吸込口10が穿設されている。
【0013】ノズル外輪2側の中空部19は、図示しな
い復水器等の低圧源に連通しており、水滴吸込口6,
8,10から水滴の吸引が行われるようになっている。
ノズル腹面9を伝わった水滴は、そのノズル腹面9の水
滴吸込口8から、またノズル背面7を伝わった水滴は、
そのノズル背面7の水滴吸込口6から、それぞれ中空部
18に吸込され、さらにノズル外輪2側の中空部19か
ら復水器に流入するようになっている。また、ノズル外
周壁面1を伝わった水滴は、そのノズル外周壁面1の水
滴吸込口10から中空部19に吸引され、これも同様に
復水器に流入するようになっている。
【0014】図23は、水滴吸込口を有するノズル翼4
についての水滴吸込口6,8の位置関係を示している。
水滴は、これらの水滴吸込口6,8を介して同一の中空
部18に吸込されることから、図23に示すように、ノ
ズル腹面9およびノズル背面7の、圧力が互いに等しい
位置に穿設される。
【0015】一方、ノズル外周壁面1では、ドレンが前
述した水滴吸込口10にて吸込される。吸込側であるノ
ズル外輪2の中空部19の圧力は、ノズル翼4の中空部
18の圧力とほぼ等しいため、ノズル外輪2の水滴吸込
口10は図22に示したように、ノズル腹面9およびノ
ズル背面7の水滴吸込口6,8を結ぶ直線上に穿設され
している。
【0016】図24は、他の提案(特開平4−2462
05号)によるエロージョン低減装置の構成を示してい
る。この他の提案によると、図24に示すように、ノズ
ル翼4のノズル背面7に僅かな高さの水障壁23を設置
することにより、二次流れによって外周壁面1上からノ
ズル背面7へ流れ込むドレンをせき止めることができる
ようになっている。せき止められたドレンは、図示しな
い集水装置を用いて給水再熱器に案内される。
【0017】このようにして、ノズル翼4およびノズル
外輪2の表面に沿って伝わる水滴を除去し、ノズル後縁
翼11での粗大水滴の発生を減少させて、動翼のエロー
ジョンの低減を図るようになっている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところが実際には、上
述した従来の水滴除去装置を採用しても、必ずしも水滴
を十分に除去することができず、動翼のエロージョンが
発生していた。その理由を、以下に詳しく説明する。
【0019】ノズル翼後縁11から引き裂かれた粗大水
滴による動翼のエロージョンを確実に防止するために
は、ノズル翼4の表面上のドレンを全て捕獲しなければ
ならない。その場合、ノズル翼4の表面上をノズル後縁
11に向かって流れるドレンをできるだけノズル翼4の
表面の下流にて捕獲する必要がある。
【0020】特に、前述したノズル外周壁面1上を流れ
るドレンは二次流れの影響でノズル背面7に流れ込むの
で、水滴吸込口6,8を可能な限りノズル翼後縁11側
に近付けるのが理想であるが、一般的には前述したよう
に、ノズル背面7の水滴吸込口6とノズル腹面9の水滴
吸込口8とは翼面上の等圧となる位置に配置されるた
め、ノズル腹面9の水滴吸込口8はノズル後縁側に、ノ
ズル背面7の水滴吸込口6はノズル前縁側にそれぞれ穿
設されることになる。
【0021】また、ノズル翼4表面およびノズル外周壁
面1上を流れるドレンを全て捕獲するためには、ノズル
外周壁面1の水滴吸込口10をノズル翼4表面上の水滴
吸込口6,8に連通させる必要がある。しかし、ノズル
外周壁面1の水滴吸込口10をノズル表面上の水滴吸込
口6,8に連通させることには強度上の問題があるた
め、実際には間隔をあけている。
【0022】図25および図26は、前述した特公昭4
9−9522号の水滴吸込口6,8,10を設けた場合
の水滴流線Nを示している。
【0023】これらの図に示すように、水滴吸込口6,
8,10に掛からないところを流れるドレンMは、除去
されることなく前述した二次流れによってノズル背面7
を伝わり、ノズル翼後縁11に達し、蒸気力で吹き千切
られて粗大水滴となり、動翼を侵食する。
【0024】また、前述した特開平4−246205号
のノズル背面7上に僅かな高さの水障壁23を設置し、
二次流れによってドレンがノズル背面7に流れ込むこと
を防止するという技術では、モデル試験の結果による
と、僅かな高さの水障壁ではドレンがノズル内輪3側へ
流れるのを阻止できないことが明らかになった。その理
由は、ノズル背面7の後縁付近では二次流れの渦径が大
きく発達するので、ドレンが水障壁23を乗り越え、こ
の水障壁23を乗り越えたドレンがそのまま粗大水滴と
なってノズル翼後縁11から吹き飛ばされるためであ
る。
【0025】本発明はこのような種々の事情に鑑みてな
されたもので、その目的は、ノズル外周壁面を流れるド
レンがノズル翼部での二次流れによってノズル背側に流
れ込むことを確実に防止し、動翼の侵食を有効的に防止
できる蒸気タービンのエロージョン防止装置を提供する
ことにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、タービン軸方向下流側に向
って拡大する環状流路を構成する外周壁と、この外周壁
の内面側に円周方向に沿って間隔的に複数枚配置された
ノズル翼と、このノズル翼の後段側に配置され前記環状
流路に供給される湿り蒸気によって作動する動翼とを備
えた蒸気タービンにおいて、二次流れによって外周壁か
らノズル翼面上を伝わり、ノズル後縁端から吹き飛ばさ
れる水滴の半径方向の位置を規制する水滴流れ規制手段
を設けたことを特徴とする。
【0027】請求項2記載の発明は、請求項1記載の蒸
気タービンのエロージョン防止装置において、水滴流れ
規制手段として、タービンロータの回転中心を通る基準
ラジアル線に対してノズル翼をノズル腹面方向凸になる
形状に円周方向で湾曲または傾斜させたことを特徴とす
る。
【0028】請求項3記載の発明は、請求項1記載の蒸
気タービンのエロージョン防止装置において、水滴流れ
規制手段は、ノズル外周壁面と平行に全周に取り付け
た、環状の仕切板であることを特徴とする蒸気タービン
のエロージョン防止装置。
【0029】請求項4の発明は、請求項3記載の蒸気タ
ービンのエロージョン防止装置において、ノズル翼の流
出角度をα、ノズル翼後縁から動翼前縁までの軸方向距
離をA、動翼半径をBとしたとき、仕切板端のノズル翼
後縁点での半径位置Rを、
【数2】 となるように設定したことを特徴とする。
【0030】請求項5記載の発明は、請求項3または4
記載の蒸気タービンのエロージョン防止装置において、
2枚以上のノズル翼、これらのノズル翼に設けられる仕
切板およびノズル内外輪が精密鋳造によって一体に製作
されており、これらノズル翼、仕切板およびノズル内外
輪が周方向で結合され、かつ前記仕切板同士はノズル翼
の腹側面と背側面との両方に突出した部分で結合されて
タービンノズルを構成していることを特徴とする。
【0031】請求項6記載の発明は、請求項1記載の蒸
気タービンのエロージョン防止装置において、水滴流れ
規制手段として、ノズル翼の腹側面と背側面とを貫通す
る孔を穿孔し、この貫通した孔のノズル翼背側面におけ
る開口部をノズル翼の外周側に向けはことを特徴とす
る。
【0032】
【作用】本発明によれば、水滴流れ規制手段によってノ
ズル翼後縁から吹き飛ばされる水滴の半径方向の位置を
規制することで、二次流れによって外周壁からノズル背
側上に流れ込むドレンを外周壁近傍にとどめることがて
き、ノズル翼後縁から吹き飛ばされたドレンが動翼に到
達する前にノズル外周壁に衝突させることにより、水滴
の衝突による動翼のエロージョンを防止することができ
る。
【0033】この場合、ノズル翼をタービンロータの回
転中心を通る基準ラジアル線に対してノズル腹面方向凸
になるように円周方向に湾曲または傾斜させることによ
り、二次流れによって外周壁からノズル翼の背面に流れ
込むドレンを、流体力によって効果的に外周壁近傍に押
し付け、ノズル翼後縁から吹き飛ばされる水滴の半径方
向の位置を高くすることにより、動翼の侵食を低減させ
ることができる。
【0034】また、二次流れによって外周壁からノズル
背面に流れ込むドレンを仕切板によりせき止め、ノズル
後縁から吹き飛ばされる水滴の半径方向の位置を高くす
ることにより、動翼の侵食を低減させることができる。
【0035】さらに、ノズル翼の腹側面と背側面との圧
力差により背側面を流れるドレンを外周壁近傍に移動さ
せ、また背側表面にて外周壁方向へ吹き付ける流体力に
より外周壁からノズル背面に流れ込むドレンを外周壁面
へ押し付け、ノズル後端から吹き飛ばされる水滴の半径
方向の位置を高くすることにより、動翼の侵食を低減さ
せることができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明に係る蒸気タービンのエロージ
ョン防止装置の実施例を図面に基づいて説明する。な
お、従来の構成と同一または対応する部分には同一の符
号を用いて説明する。
【0037】第1実施例(図1〜図3) 図1および図2は本実施例による蒸気タービンのエロー
ジョン防止装置の構成を示している。これら図1および
図2に示すように、蒸気流路のノズル外周壁面1を構成
するノズル外輪2と流路内周壁を構成するノズル内輪3
との間に、ノズル翼4が固定されている。また、ノズル
翼4の後方には動翼5が取り付けられている。
【0038】ノズル背面7にはノズル背面吸込口6、ノ
ズル翼腹面9にはノズル腹面吸込口8、ノズル外周壁面
1にはノズル外周壁吸込口10がそれぞれ穿設されて、
水滴を吸込むようになっている。
【0039】そして図2に示すように、タービンロータ
の回転中心13を通る基準ラジアル線Gに対し、ノズル
翼4が、ノズル腹面方向で凸になるように円周方向に湾
曲形成され、これによって水滴流れ規制手段が構成され
ている。
【0040】次に、図3によって上記の構成からなる本
実施例の作用について説明する。図3は、ノズル流出方
向を立体的に示した図である。
【0041】同図に示すように、ノズル翼4間での流体
の通過する流路には、最小通路としてのスロート21が
設けられており、このスロート21に対し、流体は直交
方向に流出する。
【0042】このスロート21を半径方向に積み重ねる
と、スロート面22となる。三次元的に考えると、流体
はスロート面22に対して直交方向に流出する。したが
って、二次流れによって、ノズル翼背面7を流れるドレ
ンは、流体力によってノズル外周壁面1側へ押し付けら
れるので、本実施例のように、ノズル後縁端11から吹
き飛ばされる水滴の半径方向の位置を高くすることによ
り、後段側の動翼5の先端側に水滴流れを規制し、動翼
5のエロージョンを防止することができる。
【0043】また、本実施例によると、ノズル外周壁面
1の水滴吸込口10が無い場合でも、ノズル外周壁面1
上を流れるドレンは全て動翼5のチップ回転半径よりも
外側に飛ばされ、従来設けられているドレンキャッチャ
ーにより全て除去できる。そのため、ノズル外周壁面吸
込口10を省略してもよい。
【0044】第2実施例(図4および図5) 図4は本発明に係る蒸気タービンのエロージョン防止装
置の第2実施例の構成を示している。なお、前記第1実
施例と同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0045】前記第1実施例と異なる点は、ノズル翼4
をタービンロータの回転中心を通る基準ラジアル線Gに
対してノズル腹面方向凸になるように円周方向に傾斜さ
せている点である。
【0046】このような構成の本実施例によると、図5
に示すように、前記第1実施例と同様に、二次流れによ
ってノズル背面7を流れるドレンを流体力によってノズ
ル外周壁側へ押し付け、ノズル後縁端から吹き飛ばされ
る水滴の半径方向の位置を高くすることにより、動翼5
のエロージョンを防止することができる。
【0047】第3実施例(図6〜図8) 図6および図7は本発明に係る蒸気タービンのエロージ
ョン防止装置の第3実施例の構成を示している。なお、
前記第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説
明する。
【0048】図6および図7に示すように、本実施例で
はノズル外周壁面1と平行に、環状の仕切板14が全周
に亘って取り付けられている。
【0049】そして、本実施例では図7に示すように、
2枚以上のノズル翼4と、ノズル内外輪2,3および仕
切板14からなるノズルを精密鋳造法にて加工し、それ
を複数合せて環状にすることによって、ノズル全体が形
成される。製造の際には、図7に示すように、各仕切板
14をそれらの先端が半ピッチ分突き出るように加工し
ておき、これらを後に結合する。
【0050】次に、上記の構成からなる本実施例の作用
について説明する。
【0051】前述したように、ノズル背面7上に僅かな
高さの水障壁17を設置しても二次流れによってドレン
がノズル外周壁面1上からノズル背面7へ流れ込むこと
をせき止めることはできない。そのため、完全にせき止
めるには、環状の仕切板14を全周に取り付ける必要が
ある。
【0052】図6において、ノズル外周壁面1と平行
に、環状の仕切板14を全周に取り付けることにより、
前述したノズル背面7を流れるドレンをせき止めてドレ
ンを動翼5のチップ回転半径よりも外側へ飛ばし、動翼
5のエロージョンを防止することができる。
【0053】勿論、仕切板14の内面15上にも前段か
ら吹き飛ばされた水滴が仕切板14に付着するが、外周
壁面1上を流れるドレン量よりも圧倒的に少ないので、
動翼5のエロージョンには殆ど影響はない。
【0054】また、モデル試験によると、ノズル外周壁
面1上のドレンはノズル翼外周側端部の軸方向翼弦長C
の1/2より下流側においてノズル背面7に流入するの
で、仕切板14をC/2からノズル翼後縁11までとす
れば、仕切板14の内面15上の二次流れによる動翼5
のエロージョンは、殆ど防止できる。
【0055】一方、水滴は主流の蒸気より比重が十分大
きく、主流の流体力に影響されずにノズル後縁11から
ノズル後縁線に直角に吹き飛ばされる。
【0056】図8は、ノズル後縁11から吹き飛ばされ
た水滴の軌跡を示したものである。本図において、ノズ
ル流出角度をα、ノズルチップ後縁から動翼チップ前縁
までの軸方向距離をA、動翼チップ回転半径Bとする。
また、ノズル後縁11から吹き飛ばされたドレンが動翼
チップ前縁に当たるときの、そのドレンのノズル後縁位
置16の半径距離をR、ドレンが動翼チップ前縁に当た
る衝突位置をDとする。
【0057】本図に示した幾何学的形状により、
【数3】 となれば、ドレンは動翼チップ前縁に到達する前に外周
壁に衝突する。よって、
【数4】 のときはドレンは動翼5に当たらず、エロージョンを防
止できる。
【0058】第4実施例(図9〜図11) 図9は本発明に係る蒸気タービンのエロージョン防止装
置の第4実施例の構成を示している。なお、前記第1実
施例と同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0059】図9において、本実施例ではノズル翼4の
ノズル腹面9とノズル背面7の外周壁付近を貫通する複
数の孔17を穿設し、かつノズル背側の孔17の開口部
をノズル翼外周壁面1の方向に向けている。さらに、ノ
ズル腹面9とノズル背面7とを貫通する孔17の半径位
置は等しく設定されている。
【0060】次に、上記の構成からなる本実施例の作用
について説明する。
【0061】図10は、ノズル表面の圧力分布図であ
り、横軸にノズル翼の軸方向位置、縦軸に圧力を示し、
各々をノズル翼の軸方向距離とノズル翼入口全圧を用い
て無次元化している。ノズル背側の圧力bはノズル腹側
の圧力aよりも低いので、流体はノズル腹側から孔17
を介してノズル背側へ移動する。
【0062】図11はノズル背側の孔17の開口部の形
状を示している。この図11に示すように、ノズル翼背
側に開口した孔17をノズル翼外周壁面1の方向に向け
ることによって、孔17を通る流体が外周壁面1の方向
に向かって吹き出すので、二次流れによるノズル背面7
を流れるドレンを外周壁面1へ押し付けることができ
る。
【0063】したがって、二次流れによってノズル背面
7を流れるドレンは流体力によりノズル外周壁側へ押し
付けられ、ノズル後縁から吹き飛ばされる水滴の半径方
向の位置を高くすることにより、動翼5のエロージョン
を防止することができる。
【0064】第5実施例(図12〜図14) 図12は本発明に係る蒸気タービンのエロージョン防止
装置の第5実施例の構成を示している。なお、前記第1
実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明する。
【0065】図12に示すように、本実施例ではノズル
翼4のノズル腹面9とノズル背面7の外周壁付近を貫通
する孔18を穿孔し、かつ孔17のノズル背側での開口
部をノズル翼外周壁面1の方向に向けている。さらに、
ノズル腹面9の開口部の半径位置は、ノズル背面7の開
口部の半径位置よりも小さく設定されている。
【0066】次に、上記の構成からなる本実施例の作用
について説明する。
【0067】図13は、ノズル表面の圧力分布図であ
り、前記第4実施例と同様に無次元化している。孔17
のノズル背側の開口部の圧力bはノズル腹側の開口部の
圧力cよりも低いので、ノズル腹側から孔17を介して
ノズル背側へ流体が移動する。
【0068】図14は、孔17のノズル背側の開口部の
形状を示している。この図14に示すように、ノズル翼
背側に開口した孔17をノズル翼外周壁面1の方向に向
けることによって、孔17を通る流体が外周壁面1の方
向に向かって吹き出すので、二次流れによるノズル背面
7を流れるドレンを外周壁面1へ押し付けることができ
る。
【0069】したがって、二次流れによってノズル背面
7を流れるドレンは、流体力によりノズル外周壁側へ押
し付けられ、ノズル後縁から吹き飛ばされる水滴の半径
方向の位置を高くすることにより、動翼5のエロージョ
ンを防止することができる。
【0070】
【発明の効果】以上で詳述したように、本発明によれ
ば、二次流れによって外周壁からノズル背側上に流れ込
むドレンを外周壁近傍にとどめることがてき、ノズル翼
後縁から吹き飛ばされたドレンが動翼に到達する前にノ
ズル外周壁に衝突するので、水滴の衝突による動翼のエ
ロージョンを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蒸気タービンのエロージョン防止
装置の第1実施例におけるタービン構成を示す断面図。
【図2】図1に示すノズル翼のI−I矢視図。
【図3】同実施例における流体の流出方向を示す説明
図。
【図4】本発明に係る蒸気タービンのエロージョン防止
装置の第2実施例におけるノズル翼をノズル出口方向か
ら見た図。
【図5】同実施例における流体の流出方向を示す説明
図。
【図6】本発明に係る蒸気タービンのエロージョン防止
装置の第3実施例におけるタービン構成を示す断面図。
【図7】同実施例におけるノズルの組立方法を示す説明
図。
【図8】同実施例におけるノズル後縁から吹き飛ばされ
たドレンの移動距離を示す説明図。
【図9】本発明に係る蒸気タービンのエロージョン防止
装置の第4実施例におけるタービン構成を示す断面図。
【図10】同実施例における同一半径高さでの翼面圧力
を示す図。
【図11】同実施例における孔のノズル背側での開口位
置を示す図。
【図12】本発明に係る蒸気タービンのエロージョン防
止装置の第5実施例におけるタービン構成を示す断面
図。
【図13】同実施例における異なった半径位置での翼面
圧力を示す図。
【図14】同実施例における孔のノズル背側での開口位
置を示す図。
【図15】蒸気タービンにおける段落での水滴流線を示
す断面図。
【図16】ノズル翼表面の水滴の生成状況を示す説明
図。
【図17】ノズル翼表面の圧力分布図。
【図18】ノズル外周壁近傍の渦流れを示す説明図。
【図19】ノズル外周壁面での水滴流線図。
【図20】ノズル外周壁近傍での水滴流線図。
【図21】従来のエロージョン防止装置を示すノズル断
面図。
【図22】図21に示す外周壁面のJ−J線断面図。
【図23】図21に示すノズル翼の表面の水滴吸込口の
位置を示す説明図。
【図24】他の従来例を示すもので、ノズル翼と水障壁
を示す説明図。
【図25】外周壁面に水滴吸込口を設けたときの外周壁
面上の水滴流線図。
【図26】外周壁面上とノズル背側の各々に水滴吸込口
を設けたときの外周壁近傍の水滴流線図。
【符号の説明】
1 ノズル外周壁面 2 ノズル外輪 3 ノズル内輪 4 ノズル翼 5 動翼 6 ノズル背面吸込口 7 ノズル背面 8 ノズル腹面吸込口 9 ノズル腹面 10 ノズル外周壁面吸込口 11 ノズル後縁 12 動翼 13 回転中心線 14 仕切板 15 仕切板内面 16 仕切板ノズル後縁半径位置 17 ノズル背面を貫通する孔 18 ノズル翼中空部 19 ノズル外輪中空部 20 ノズル内輪中空部 21 スロート 22 スロート面 23 水障面 A 仕切板ノズル後縁点から動翼チップ前縁までの距離 B 動翼チップ半径 C ノズル外周側端部の軸方向翼弦長 D 水滴の衝突位置 F ノズル腹面から背面に向かう力 G 基準ラジアル線 H ノズル後縁での水滴半径 M,N 水滴流線 R 仕切板のノズル後縁部半径 V 渦流れ α ノズル流出角度 a ノズル腹側外周壁付近の圧力 b ノズル背側外周壁付近の圧力 c 任意のノズル腹側圧力 d 任意のノズル背側圧力 e 蒸気流線 f,g 水滴流線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タービン軸方向下流側に向って拡大する
    環状流路を構成する外周壁と、この外周壁の内面側に円
    周方向に沿って間隔的に複数枚配置されたノズル翼と、
    このノズル翼の後段側に配置され前記環状流路に供給さ
    れる湿り蒸気によって作動する動翼とを備えた蒸気ター
    ビンにおいて、二次流れによって外周壁からノズル翼面
    上を伝わり、ノズル後縁端から吹き飛ばされる水滴の半
    径方向の位置を規制する水滴流れ規制手段を設けたこと
    を特徴とする蒸気タービンのエロージョン防止装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の蒸気タービンのエロージ
    ョン防止装置において、水滴流れ規制手段として、ター
    ビンロータの回転中心を通る基準ラジアル線に対してノ
    ズル翼をノズル腹面方向凸になる形状に円周方向で湾曲
    または傾斜させたことを特徴とする蒸気タービンのエロ
    ージョン防止装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の蒸気タービンのエロージ
    ョン防止装置において、水滴流れ規制手段は、ノズル外
    周壁面と平行に全周に取り付けた、環状の仕切板である
    ことを特徴とする蒸気タービンのエロージョン防止装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の蒸気タービンのエロージ
    ョン防止装置において、ノズル翼の流出角度をα、ノズ
    ル翼後縁から動翼前縁までの軸方向距離をA、動翼半径
    をBとしたとき、仕切板端のノズル翼後縁点での半径位
    置Rを、 【数1】 となるように設定したことを特徴とする蒸気タービンの
    エロージョン防止装置。
  5. 【請求項5】 請求項3または4記載の蒸気タービンの
    エロージョン防止装置において、2枚以上のノズル翼、
    これらのノズル翼に設けられる仕切板およびノズル内外
    輪が精密鋳造によって一体に製作されており、これらノ
    ズル翼、仕切板およびノズル内外輪が周方向で結合さ
    れ、かつ前記仕切板同士はノズル翼の腹側面と背側面と
    の両方に突出した部分で結合されてタービンノズルを構
    成していることを特徴とする蒸気タービンのエロージョ
    ン防止装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の蒸気タービンのエロージ
    ョン防止装置において、水滴流れ規制手段として、ノズ
    ル翼の腹側面と背側面とを貫通する孔を穿孔し、この貫
    通した孔のノズル翼背側面における開口部をノズル翼の
    外周側に向けはことを特徴とする蒸気タービンのエロー
    ジョン防止装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011506841A (ja) * 2007-12-20 2011-03-03 シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト 動翼のエロージョン防護シールド板
JP2012241607A (ja) * 2011-05-19 2012-12-10 Toshiba Corp 蒸気タービン
WO2013027239A1 (ja) * 2011-08-24 2013-02-28 株式会社 日立製作所 軸流タービン

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