JP2013124561A - 蒸気タービン - Google Patents
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Abstract
【課題】随伴蒸気の除去を抑制しつつ、静翼やダイアフラム外輪の表面に付着した凝縮水を的確に除去することができる蒸気タービンを提供する。
【解決手段】実施形態の蒸気タービン10は、タービンロータ22の周方向に複数の動翼21を植設して構成された動翼翼列と、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間に周方向に複数の静翼25を取り付けて構成され、動翼翼列とタービン段落を構成する静翼翼列とを備え、低圧となるタービン段落に湿り蒸気が流れる。少なくとも最終のタービン段落における静翼25が、最終のタービン段落の下流に設けられた排気流路に接続された復水器に連通する中空部30を有し、この静翼25の翼長方向の中心から半径方向外側の少なくとも一部が多孔質構成部40で構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】実施形態の蒸気タービン10は、タービンロータ22の周方向に複数の動翼21を植設して構成された動翼翼列と、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間に周方向に複数の静翼25を取り付けて構成され、動翼翼列とタービン段落を構成する静翼翼列とを備え、低圧となるタービン段落に湿り蒸気が流れる。少なくとも最終のタービン段落における静翼25が、最終のタービン段落の下流に設けられた排気流路に接続された復水器に連通する中空部30を有し、この静翼25の翼長方向の中心から半径方向外側の少なくとも一部が多孔質構成部40で構成されている。
【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、蒸気タービンに関する。
一般に、蒸気タービンにおける作動流体である蒸気は、高真空まで膨張するため、蒸気タービンの出口付近では、微小水滴を含む湿り蒸気となる。多くの微小水滴は、蒸気の流れとともに、蒸気通路を通過して復水器へ排出されるが、一部の水滴は、慣性力によって主流から逸れて静翼(ノズル)の表面に付着する。また、一部の水滴は、動翼の回転による遠心力によって外周方向に飛ばされ、ダイアフラム外輪の壁面に付着する。
静翼の表面に付着した水滴およびダイアフラム外輪の壁面に付着した水滴の一部は、ノズルの後縁付近で水膜となり、静翼の後縁から吹き千切れ、粗大水滴(数十〜数百μm)となって動翼の背側に衝突する。これによって、動翼の一部が浸食されることがある。そのため、従来の蒸気タービンの静翼において、水膜などを除去するスリットを表面に備えるなどの対策が実施されている。
図10は、従来の蒸気タービンに備えられるスリット210、211を有する静翼200の背側200aと腹側200bの圧力分布、および静翼200の中空部212の圧力を示す図である。なお、図10には、スリット210、211を有する静翼200の断面も示されている。
図10に示すように、例えば、スリット210から一旦中空部212に吸い込まれた凝縮水がスリット211から外部に流れ出す、いわゆるバイパス流れが生じないように、背側200aのスリット210と腹側200bのスリット211は、圧力レベルが同等の位置に形成されている。なお、中空部212は、復水器(図示しない)などの高真空部と連通させている。
このような構成を備えることで、静翼200の表面に付着した凝縮水は、スリット210、211から中空部212に吸込まれ、蒸気通路から外部に除去される。
長尾進一郎、「蒸気タービンにおける湿り蒸気の挙動と影響」、ターボ機械、Vol.14,No.6(1986)
しかしながら、従来の蒸気タービンの静翼の表面における凝縮水の除去方法では、静翼に形成されたスリットを通過する凝縮水の一部が除去され、残りの凝縮水は、静翼の後縁側に流れる。そのため、除去されなかった凝縮水が静翼の後縁付近で吹き千切れて動翼に衝突するため、動翼は浸食される。さらに、静翼に形成されたスリットから凝縮水以外にも、随伴蒸気が排除されるといった問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、随伴蒸気の除去を抑制しつつ、静翼やダイアフラム外輪の表面に付着した凝縮水を的確に除去することができる蒸気タービンを提供するものである。
実施形態の蒸気タービンは、タービンロータの周方向に複数の動翼を植設して構成された動翼翼列と、ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間に周方向に複数の静翼を取り付けて構成され、前記動翼翼列とタービン段落を構成する静翼翼列とを備える。この蒸気タービンの低圧となるタービン段落には、湿り蒸気が流れる。
少なくとも最終のタービン段落における静翼は、最終のタービン段落の下流に設けられた排気流路に接続された復水器に連通する中空部を有し、当該静翼の翼長方向の中心から半径方向外側の少なくとも一部が多孔質材料からなる多孔質構成部で構成されている。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の鉛直方向の子午断面を示す図である。また、以下において、同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
図1は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の鉛直方向の子午断面を示す図である。また、以下において、同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
図1に示すように、蒸気タービン10は、ケーシング20を備え、このケーシング20内には、動翼21が植設されたタービンロータ22が貫設されている。動翼21を周方向に複数植設して動翼翼列を構成し、この動翼翼列をタービンロータ軸方向に複数段備えている。タービンロータ22は、図示しないロータ軸受によって回転可能に支持されている。
ケーシング20の内周には、タービンロータ22の軸方向に動翼21と交互になるように、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24に支持された静翼25(ノズル)が配設されている。静翼25を周方向に複数植設して静翼翼列を構成し、静翼翼列と直下流側に位置する動翼翼列とで一つのタービン段落を構成している。
タービンロータ22とケーシング20との間には、作動流体である蒸気の外部への漏洩を防止するために、グランドシール部26が設けられている。
蒸気タービン10には、内部に蒸気を導入するための蒸気入口管27がケーシング20を貫通して設けられている。
なお、図示しないが、最終のタービン段落の下流側には、タービン段落において膨張仕事をした蒸気を排気するための排気流路が設けられている。この排気流路は、復水器(図示しない)に連通されている。また、ここで示された蒸気タービン10として、例えば、火力発電所などに備えられる低圧タービンなどが挙げられる。
次に、低圧となり湿り蒸気が流れるタービン段落の構成について説明する。
図2は、第1の実施の形態の蒸気タービン10における最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。図3は、第1の実施の形態の蒸気タービン10における最終のタービン段落の一部が示された図2のA−A断面を示す図である。
なお、便宜上、図2では、静翼25の一部を断面で示している。また、図2および図3では、凝縮水の流れを矢印で示している。また、ここでは、蒸気タービン10における最終のタービン段落に、水滴や水膜などの凝縮水を除去する構成を備えた一例を示しているが、さらに上流側のタービン段落で凝縮水が発生する場合には、そのタービン段落に凝縮水を除去する構成を備えることができる(以下の他の実施の形態においても同じ)。
図2に示すように、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間に、静翼25が設けられている。静翼25は、図3に示すように、中空構造からなり、静翼25の内部には、中空部30を有している。また、例えば、静翼25の翼長方向(ダイアフラム内輪24側からダイアフラム外輪23側へ向かう方向)の中心から半径方向外側は、多孔質材料で構成されている。この静翼25の多孔質材料で構成された部分を多孔質構成部40と呼ぶ。
ここでは、静翼25の翼長方向の中心から半径方向外側のすべてを多孔質材料で構成した一例を示しているが、多孔質構成部40のダイアフラム内輪24側の端部は、静翼25の翼長方向の中心よりもダイアフラム外輪23側に位置してもよい。すなわち、多孔質構成部40のダイアフラム内輪24側の端部の位置は、水滴との衝突の頻度の高い部分や水膜が形成される部分が多孔質構成部40で構成されるように設定される。
この多孔質構成部40は、例えば、三次元的に連通する細孔を有する三次元網目構造体で構成されている。三次元網目構造体として、例えば、ポーラス体が挙げられる。
多孔質構成部40を構成する多孔質材料として、例えば、静翼25を構成するCrMo鋼やCrMoV鋼などで構成される。なお、多孔質材料は、これらに限られるものではなく、静翼25の作動条件において、機械的強度や溶接性などの要件を満たす材料であれば使用することができる。
このような多孔質構成部40を使用することで、中空部30と蒸気通路28とが三次元的に連通する細孔を介して連通される。そのため、蒸気が凝縮することで発生した水滴や水膜などの凝縮水は、この多孔質構成部40を介して中空部30へ回収される。
また、多孔質構成部40は、例えば、厚さ方向に、孔径、孔の密度を段階的に変化させた層を積層した積層構造体で構成されてもよい。この場合、最も小さな孔径の孔を有する側が蒸気通路28に面するように配置されることが好ましい。
このように配置することで、表面張力に伴う毛細管現象によって、凝縮水が多孔質構成部40の内部へ浸透し易くなる。また、孔径の小さい側を蒸気通路28に面するように配置することで、静翼25の表面の相対的な粗さを小さくすることができ、摩擦抵抗を減少させることができる。また、孔径の小さい側を蒸気通路28に面するように配置することで、凝縮水以外の蒸気が通過する際の圧力損失が大きくなり、随伴蒸気の吸込み量を抑制することができる。また、中空部30側に向かって孔径を大きくすることで、蒸気通路28側と中空部30側との差圧によって、多孔質構成部40の表面に浸透した凝縮水を、小さな圧力損失で中空部30に吸引することができる。
静翼25を支持するダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24には、図2に示すように、それぞれ周方向に連通する中空部50、51が形成されている。ダイアフラム外輪23の中空部50は、連通孔52を介して静翼25の中空部30と連通している。ダイアフラム内輪24の中空部51は、連通孔53を介して静翼25の中空部30と連通している。
また、ダイアフラム外輪23の中空部50は、ドレン排出管60を介して、高真空圧状態にある、例えば復水器(図示しない)に接続されている。そのため、中空部50と連通する静翼25の中空部30も、復水器に連通する構成となる。これによって、中空部30の圧力は、静翼25の表面の圧力よりも低くなるため、上記した毛細管現象による凝縮水の回収機能の他に、これらの差圧によって凝縮水を中空部30側に吸引する機能を有する。
ここで、多孔質構成部40と静翼25の母材41、多孔質構成部40とダイアフラム外輪23は、例えば、溶接やろう付けなどによって接合される。
ここで、蒸気タービン10の動作について、図1〜図3を参照して説明する。
蒸気入口管27を経て蒸気タービン10内に流入した蒸気は、各タービン段落の静翼25、動翼21を備える、徐々に拡大する蒸気通路28を膨張仕事をしながら通過し、タービンロータ22を回転させる。
下流に行くに伴って蒸気の圧力および温度は低下し、蒸気は凝縮して水滴となる。発生した水滴の一部は、静翼25や動翼21の表面に衝突して付着する。例えば、最終のタービン段落よりも一段上流側のタービン段落の動翼21によって外周側に飛ばされた水滴は、最終のタービン段落の静翼25の前縁25c付近や翼面上に付着して水膜流となって下流側に移動する。静翼25の翼長方向の中心から半径方向外側は、多孔質構成部40で構成されているため、毛細管現象および表面の圧力と中空部30の圧力との差圧により、多孔質構成部40の表面に付着した凝縮水は、中空部30内に吸引される。
なお、図3に示すように、このように静翼25の翼長方向の中心から半径方向外側における翼面全域から凝縮水を吸引するため、多孔質構成部40に付着した凝縮水は、確実に吸引される。さらに、多孔質構成部40が微小な細孔で構成されているため、凝縮水以外の蒸気が通過する際の圧力損失が大きくなり、開口面積当たりの随伴蒸気の中空部30への吸込み量が抑制される。
ここで、タービンロータの回転軸の中心より上方の上半側の静翼25では、重力の作用する方向が半径方向内側となる。そのため、多孔質構成部40を介して吸引された凝縮水は、静翼25の中空部30(上半側)、ダイアフラム内輪24の連通孔53(上半側)、ダイアフラム内輪24の中空部51(上半側)、ダイアフラム内輪24の中空部51(下半側)、ダイアフラム内輪24の連通孔53(下半側)、静翼25の中空部30(下半側)、ダイアフラム外輪23の連通孔52(下半側)、ダイアフラム外輪23の中空部50(下半側)、ドレン排出管60の順に流路を通って、復水器(図示しない)に排出される。
一方、タービンロータの回転軸の中心より下方の下半側の静翼25では、重力の作用する方向が半径方向外側となる。そのため、多孔質構成部40を介して吸引された凝縮水は、静翼25の中空部30(下半側)、ダイアフラム外輪23の連通孔52(下半側)、ダイアフラム外輪23の中空部50(下半側)、ドレン排出管60の順に流路を通って、復水器(図示しない)に排出される。
また、最終のタービン段落を通過した蒸気は、最終のタービン段落の下流に設けられた排気流路(図示しない)を通過し、復水器(図示しない)に導かれる。
上記したように、第1の実施の形態の蒸気タービン10によれば、多孔質構成部40で構成された静翼25の翼長方向の中心から半径方向外側における翼面全域から凝縮水を吸引することができる。そのため、多孔質構成部40の表面に付着した凝縮水を確実に吸引して的確に除去することができる。
さらに、多孔質構成部40が微小な細孔で構成されているため、凝縮水以外の蒸気が通過する際の圧力損失が大きくなり、開口面積当たりの随伴蒸気の吸込み量を抑制することができる。
このように、凝縮水を的確に除去して動翼21の浸食に伴う翼型損失を抑制し、かつ随伴蒸気の吸込み量を抑制することで、タービン効率の向上を図ることができる。
ここで、第1の実施の形態の蒸気タービン10における静翼25の多孔質構成部40の構成は、上記した構成に限られるものではない。図4は、第1の実施の形態の蒸気タービン10における静翼25の背側25aと腹側25bの圧力分布、および静翼25の中空部30の圧力を示す図である。なお、図4には、図2のA−A断面に対応する静翼25の断面も示されている。また、横軸は、静翼25のタービンロータ22の軸方向位置を示している。
図4に示すように、静翼25の翼構造や静翼翼列の特性により、翼面の背側25aと腹側25bの圧力分布は大きく変化する。双方ともに、前縁25c側から後縁25d側に向かって翼面の圧力は低下している。
一方、静翼25の中空部30の圧力は、ほぼ一定となる。そのため、翼面と中空部30との差圧は、背側25aと腹側25bの軸方向位置によって大きく変化する。また、背側25aの圧力は、腹側25bの圧力に比べて低いが、双方ともに、差圧は、前縁25c側から後縁25d側に向かって低下している。
例えば、多孔質構成部40の厚さが一定の場合、差圧が大きな領域では凝縮水を吸引する力が大きいが、差圧が小さな領域では凝縮水を吸引する力は小さい。また、吸引する力が大き過ぎると、凝縮水以外の蒸気の吸込み量が増加することがある。
このようなことから、多孔質構成部40の厚さを、静翼25の前縁25cから後縁25dに向かって徐々に薄くなるように構成することが好ましい。さらに、タービンロータ22の軸方向位置が同じ位置において、多孔質構成部40の厚さを、静翼25の背側25aよりも腹側25bの方を厚く構成することが好ましい。
ここで、例えば、背側25aにおける多孔質構成部40の厚さは、図4に示すように、中空部前縁30cおよび中空部後縁30dを除く、中空部30の背側25aの内壁面30a上の任意の点Pと、この点Pにおける接線Lと点Pで垂直に交わる直線Mが背側25aの表面と交わる点Qとの間の距離で定義される。なお、図示しないが、腹側25bにおける多孔質構成部40の厚さも同様に、中空部前縁30cおよび中空部後縁30dを除く、中空部30の腹側25bの内壁面上の任意の点と、この点における接線とこの点で垂直に交わる直線が腹側25bの表面と交わる点との間の距離で定義される。
このように、多孔質構成部40の厚さを変化させることにより、軸方向位置によって翼面と中空部30との差圧が変化しても、凝縮水を効率よく吸引することができる。さらに、差圧が大きくなる領域をなくし、凝縮水以外の蒸気の吸込み量が増加することを防止することができる。
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態の蒸気タービン11における最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。図6は、第2の実施の形態の蒸気タービン11における最終のタービン段落の一部が示された図5のB−B断面を示す図である。
図5は、第2の実施の形態の蒸気タービン11における最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。図6は、第2の実施の形態の蒸気タービン11における最終のタービン段落の一部が示された図5のB−B断面を示す図である。
なお、便宜上、図5では、静翼25の一部を断面で示している。また、図5および図6では、凝縮水の流れを矢印で示している。
第2の実施の形態の蒸気タービン11の最終のタービン段落の静翼においては、第1の実施の形態の蒸気タービン10の最終のタービン段落の静翼と、多孔質構成部40が構成される領域が異なる。なお、それ以外の構成は、第1の実施の形態の蒸気タービン10と同じである。
静翼25は、図5および図6に示すように、中空構造からなり、静翼25の内部には、中空部30を有している。また、静翼25の翼長方向(ダイアフラム内輪24側からダイアフラム外輪23側へ向かう方向)の中心から半径方向外側で、かつ後縁部は、多孔質構成部40で構成されている。
ここで、後縁部とは、静翼25の翼弦長方向の中心よりも後縁25d側をいう。そのため、多孔質構成部40の前縁25c側の端部は、静翼25の翼弦長方向の中心の位置であっても、その中心位置よりも後縁25d側に位置してもよい。また、多孔質構成部40のダイアフラム内輪24側の端部は、静翼25の翼長方向の中心よりもダイアフラム外輪23側に位置してもよい。
このように構成された蒸気タービン11において、例えば、最終のタービン段落よりも一段上流側のタービン段落の動翼21によって外周側に飛ばされた水滴は、最終のタービン段落の静翼25の前縁25c付近や翼面上に付着して水膜流となって下流側に移動する。静翼25の翼長方向の中心から半径方向外側かつ後縁部は、多孔質構成部40で構成されているため、毛細管現象および表面の圧力と中空部30の圧力との差圧により、多孔質構成部40の表面に付着した凝縮水は、中空部30内に吸引される。
吸引された凝縮水は、前述したように、各流路を通って、ドレン排出管60から復水器(図示しない)に排出される。
上記したように、第2の実施の形態の蒸気タービン11によれば、静翼25の後縁部側に多孔質構成部40を備えることで、静翼25の表面を水膜となって後縁25d側に移動する凝縮水を的確に除去することができる。
さらに、多孔質構成部40が微小な細孔で構成されているため、凝縮水以外の蒸気が通過する際の圧力損失が大きくなり、開口面積当たりの随伴蒸気の吸込み量を抑制することができる。
このように、凝縮水を的確に除去して動翼21の浸食に伴う翼型損失を抑制し、かつ随伴蒸気の吸込み量を抑制することで、タービン効率の向上を図ることができる。
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態の蒸気タービン12における最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。図8は、第3の実施の形態の蒸気タービン12における静翼25の背側25aおよび腹側25bの圧力分布を示す図である。なお、図7では、静翼25は側面図で示され、凝縮水の流れは矢印で示されている。また、図8には、図7のC−C断面およびD−D断面における圧力分布が示され、さらに図7のC−C断面およびD−D断面に対応する静翼25の断面も示されている。また、横軸は、静翼25のタービンロータ22の軸方向位置を示している。
図7は、第3の実施の形態の蒸気タービン12における最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。図8は、第3の実施の形態の蒸気タービン12における静翼25の背側25aおよび腹側25bの圧力分布を示す図である。なお、図7では、静翼25は側面図で示され、凝縮水の流れは矢印で示されている。また、図8には、図7のC−C断面およびD−D断面における圧力分布が示され、さらに図7のC−C断面およびD−D断面に対応する静翼25の断面も示されている。また、横軸は、静翼25のタービンロータ22の軸方向位置を示している。
静翼25は、図8に示すように、中空構造からなり、静翼25の内部には、中空部30を有している。また、図7に示すように、例えば、静翼25の翼長方向(ダイアフラム内輪24側からダイアフラム外輪23側へ向かう方向)の中心から半径方向外側は、多孔質構成部40で構成されている。
ここでは、静翼25の翼長方向の中心から半径方向外側のすべてを多孔質材料で構成した一例を示しているが、多孔質構成部40のダイアフラム内輪24側の端部は、静翼25の翼長方向の中心よりもダイアフラム外輪23側に位置してもよい。すなわち、多孔質構成部40のダイアフラム内輪24側の端部の位置は、水滴との衝突の頻度の高い部分や水膜が形成される部分が多孔質構成部40で構成されるように設定される。また、第2の実施の形態で示した多孔質構成部40の構成を適用してもよい。
また、静翼25のダイアフラム内輪24側の後縁25dには、貫通部70が形成されている。この貫通部70は、中空部30と静翼25の外部である蒸気通路28とを連通するものであり、例えば、孔またはスリットなどで構成される。孔またはスリットは、ダイアフラム内輪24側の後縁に、1つまたは複数形成されている。多孔質構成部40を介して中空部30に吸引された凝縮水は、この貫通部70を介して蒸気通路28に流出する。
なお、ここでは、貫通部70を静翼25の後縁25dに形成した一例を示したが、貫通部70は、後縁25dに限らず、後縁25dの近傍に形成されていればよい。例えば、静翼25のダイアフラム内輪24側の後縁25dの近傍における翼面の背側25aまたは腹側25bに貫通部70を形成してもよい。
静翼25を支持するダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24には、中空部は形成されず、ダイアフラム外輪23およびダイアフラム内輪24は、中実部材で構成されている。そのため、ダイアフラム外輪23には、ドレン排出管60なども備えられていない。このように、構成を簡易化することができる。
ここで、一般的なタービン段落の設計においては、反動度(動翼熱落差と段落熱落差との比)は、半径方向の内周側(ダイアフラム内輪24側)から外周側(ダイアフラム外輪23側)に増加する。そのため、静翼25の出口においては内周側の圧力が最も低くなる。図8に示すように、静翼25の後縁25d、すなわち静翼25の出口の圧力は、ダイアフラム内輪24側の後縁25d、すなわち貫通部70を備える部分が最も低いレベルにある。
このような圧力分布により、多孔質構成部40を介して中空部30に吸引された凝縮水は、貫通部70を介して蒸気通路28に流出する。貫通部70から流出する凝縮水は、例えば静翼25の外周側の後縁から吹き千切れて流下する水滴と比較して、動翼21への相対流入速度が小さい。さらに、貫通部70に対向する動翼21の周速度は、静翼25の外周側に対向する動翼21の周速度よりも小さい。そのため、貫通部70から流出した凝縮水が動翼21に衝突しても、動翼21の浸食が抑制され、浸食量を低減することができる。
上記したように、第3の実施の形態の蒸気タービン12によれば、多孔質構成部40を備えることで、多孔質構成部40の表面に付着した凝縮水を確実に吸引して的確に除去することができる。さらに、多孔質構成部40が微小な細孔で構成されているため、凝縮水以外の蒸気が通過する際の圧力損失が大きくなり、開口面積当たりの随伴蒸気の吸込み量を抑制することができる。
また、静翼25のダイアフラム内輪24側の後縁25dに貫通部70を備えることで、動翼21の浸食を抑制することができるとともに、構成を簡易化することができる。
このように、凝縮水を的確に除去して動翼21の浸食に伴う翼型損失を抑制し、かつ随伴蒸気の吸込み量を抑制することで、タービン効率の向上を図ることができる。
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態の蒸気タービン13における最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。なお、図9では、最終のタービン段落の静翼25間における断面が示され、凝縮水の流れは矢印で示されている。
図9は、第4の実施の形態の蒸気タービン13における最終のタービン段落の一部の断面を示した図である。なお、図9では、最終のタービン段落の静翼25間における断面が示され、凝縮水の流れは矢印で示されている。
図9に示すように、ダイアフラム外輪23とダイアフラム内輪24との間に、静翼25が設けられている。ダイアフラム外輪23には、周方向に連通する中空部50が形成されている。この中空部50は、ドレン排出管60を介して、高真空圧状態にある、例えば復水器(図示しない)に接続されている。
また、図9に示すように、周方向に配置された静翼25間におけるダイアフラム外輪23の蒸気通路側の壁部は、多孔質構成部40で構成されている。なお、周方向に配置された静翼25間におけるダイアフラム外輪23の蒸気通路側の壁部の少なくとも一部が多孔質構成部40で構成されていればよい。例えば、周方向に配置された静翼25間に亘り、かつ静翼25の翼弦長に亘る部分、すなわち静翼25間の全ての範囲を多孔質構成部40で構成することもできる。また、ダイアフラム外輪23の蒸気通路側の壁部で水膜が形成される領域を多孔質構成部40で構成することもできる。
このように構成された蒸気タービン13において、例えば、最終のタービン段落よりも一段上流側のタービン段落の動翼21によって外周側に飛ばされた水滴は、最終のタービン段落のダイアフラム外輪23の表面に付着して水膜流となって下流側に移動する。
ダイアフラム外輪23の蒸気通路側の壁部の少なくとも一部は、多孔質構成部40で構成されているため、毛細管現象および表面の圧力と中空部50の圧力との差圧により、多孔質構成部40の表面に付着した凝縮水は、中空部50内に吸引される。吸引された凝縮水は、ドレン排出管60から復水器(図示しない)に排出される。
なお、例えば、上半側のダイアフラム外輪23の中空部50内に吸引された凝縮水の一部は、重力の作用により、下半側のダイアフラム外輪23の中空部50に流入することもある。また、下半側のダイアフラム外輪23の中空部50内に吸引された凝縮水も、下半側のダイアフラム外輪23に設けられたドレン排出管60から復水器(図示しない)に排出される。
ここで、ドレン排出管60は、下半側のダイアフラム外輪23のみに備えられてもよい。この場合、上半側のダイアフラム外輪23の中空部50内に吸引された凝縮水は、重力の作用により、下半側のダイアフラム外輪23の中空部50に流入し、多孔質構成部40を介して下半側のダイアフラム外輪23の中空部50内に吸引された凝縮水とともに、ドレン排出管60から復水器(図示しない)に排出される。
上記したように、第4の実施の形態の蒸気タービン13によれば、ダイアフラム外輪23の蒸気通路側の壁部の少なくとも一部に多孔質構成部40を備えることで、多孔質構成部40の表面に付着した凝縮水を確実に吸引して的確に除去することができる。
さらに、多孔質構成部40が微小な細孔で構成されているため、凝縮水以外の蒸気が通過する際の圧力損失が大きくなり、開口面積当たりの随伴蒸気の吸込み量を抑制することができる。
このように、凝縮水を的確に除去して動翼21の浸食に伴う翼型損失を抑制し、かつ随伴蒸気の吸込み量を抑制することで、タービン効率の向上を図ることができる。
ここで、第4の実施の形態の蒸気タービン13に、上記した第1の実施の形態〜第3の実施の形態のいずれかの蒸気タービンにおける凝縮水を除去するための構成をさらに適用することもできる。
以上説明した実施形態によれば、随伴蒸気の除去を抑制しつつ、静翼やダイアフラム外輪の表面に付着した凝縮水を的確に除去することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,11,12,13…蒸気タービン、20…ケーシング、21…動翼、22…タービンロータ、23…ダイアフラム外輪、24…ダイアフラム内輪、25…静翼、25a…背側、25b…腹側、25c…前縁、25d…後縁、26…グランドシール部、27…蒸気入口管、28…蒸気通路、30,50,51…中空部、30a…内壁面、30c…中空部前縁、30d…中空部後縁、40…多孔質構成部、41…母材、52,53…連通孔、60…ドレン排出管、70…貫通部。
Claims (9)
- タービンロータの周方向に複数の動翼を植設して構成された動翼翼列と、ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間に周方向に複数の静翼を取り付けて構成され、前記動翼翼列とタービン段落を構成する静翼翼列とを備え、低圧となるタービン段落に湿り蒸気が流れる蒸気タービンであって、
少なくとも最終のタービン段落における静翼が、最終のタービン段落の下流に設けられた排気流路に接続された復水器に連通する中空部を有し、当該静翼の翼長方向の中心から半径方向外側の少なくとも一部が多孔質材料からなる多孔質構成部で構成されていることを特徴とする蒸気タービン。 - タービンロータの周方向に複数の動翼を植設して構成された動翼翼列と、ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間に周方向に複数の静翼を取り付けて構成され、前記動翼翼列とタービン段落を構成する静翼翼列とを備え、低圧となるタービン段落に湿り蒸気が流れる蒸気タービンであって、
少なくとも最終のタービン段落における静翼が、中空部、および当該中空部に連通し、当該静翼のダイアフラム内輪側の後縁部に形成された貫通部を有し、当該静翼の翼長方向の中心から半径方向外側の少なくとも一部が多孔質材料からなる多孔質構成部で構成されていることを特徴とする蒸気タービン。 - 少なくとも最終のタービン段落における静翼の翼長方向の中心から半径方向外側が、前記多孔質構成部で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の蒸気タービン。
- 少なくとも最終のタービン段落における静翼の翼長方向の中心から半径方向外側で、かつ後縁部が、前記多孔質構成部で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の蒸気タービン。
- 前記多孔質構成部の厚さが、前記静翼の前縁から後縁に向かって薄くなることを特徴とする請求項3記載の蒸気タービン。
- タービンロータの軸方向の位置が同じ位置において、前記多孔質構成部の厚さが、前記静翼の背側よりも腹側の方が厚いことを特徴とする請求項3または5記載の蒸気タービン。
- タービンロータの周方向に複数の動翼を植設して構成された動翼翼列と、ダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間に周方向に複数の静翼を取り付けて構成され、前記動翼翼列とタービン段落を構成する静翼翼列とを備え、低圧となるタービン段落に湿り蒸気が流れる蒸気タービンであって、
少なくとも最終のタービン段落を構成するダイアフラム外輪が、最終のタービン段落の下流に設けられた排気流路に接続された復水器に連通する中空部を有し、当該タービン段落の静翼間におけるダイアフラム外輪の蒸気通路側の壁部の少なくとも一部が多孔質材料からなる多孔質構成部で構成されていることを特徴とする蒸気タービン。 - 前記多孔質構成部が、厚さ方向に、孔径の異なる孔を有していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の蒸気タービン。
- 前記多孔質構成部において、最も小さな孔径の孔を有する側が蒸気通路に面していることを特徴とする請求項8記載の蒸気タービン。
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2011
- 2011-12-13 JP JP2011272554A patent/JP2013124561A/ja active Pending
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