JP2015181358A - 5−アミノレブリン酸又はその塩の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微生物を用いるさらに新たな5−アミノレブリン酸の製造法の提供。【解決手段】培養途中に培養液を抜き出し、培地の酵母エキス量が1g/L以上の新鮮な培地を投入する操作を1回以上行い、5−アミノレブリン酸生産微生物を培養することを特徴とする5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、微生物を用いる5−アミノレブリン酸又はその塩の製造方法に関する。
5−アミノレブリン酸は、テトラピロール化合物(ビタミンB12、ヘム、クロロフィルなど)を生合成する色素生合成経路の代謝中間体として広く生物圈に存在し、生体内で重要な役割を果たしている。5−アミノレブリン酸は、生体系中で、グリシンとスクシニルCoAから5−アミノレブリン酸合成酵素によって、又はグルタミン酸からグルタミルtRNAを経て生合成され、5−アミノレブリン酸デヒドラターゼに続く代謝によりヘムやクロロフィルなどのポルフィリン化合物に変換される。この5−アミノレブリン酸は分解性が高く、環境への残留性もないため多くの産業への応用が期待されている(特許文献1、2)。
微生物を用いる5−アミノレブリン酸又はその塩の製造方法としては、種々の光合成細菌、特にロドバクター(Rhodobacter)属の微生物、その変異株を用いる方法(特許文献3)が提案されている。しかし、この方法で用いるロドバクター属の微生物は、著量な色素合成には光照射を必要とする光合成細菌であり、色素の前駆体である5−アミノレブリン酸の生産においても十分な光の照射が求められる。この光照射により高コストとなる問題を解決するために、光照射を必要としない条件下での5−アミノレブリン酸又はその塩の製造を可能とするロドバクター属の微生物の変異株が取得された(特許文献4)。さらにこれらの変異株を用いて高い収率で5−アミノレブリン酸又はその塩を産生できる製造法の検討が成され、酸素制限条件として培養液中の溶存酸素濃度を1ppm未満とする条件、培養液中の酸化還元電位を−180〜50mVとする条件、菌呼吸速度を5×10−9からKrM−2×10−8〔mol of O/mL・min・cell〕とする条件が見出された(特許文献5)。また、この酸素制限条件を緩和した条件下でも5−アミノレブリン酸を生産するものとしてロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)CR−0072009株(FERM BP−6320として寄託)が取得され(特許文献6)、さらに酸素条件設定方法に関しても酸素移動容量係数ka(h−1)を好気条件での微生物の呼吸速度qO [(g−O consumed)・(g−dry cell)−1・h−1]で除した値による方法が見出されている(特許文献7)。
また、上記のような培養条件の検討以外にも、培地組成の改良による5−アミノレブリン酸又はその塩に関する製造方法も報告されており、特には、鉄分量(特許文献6)、植物蛋白質加水分解物と使用する培養法(特許文献8)が報告されている。
上記のように、5−アミノレブリン酸の収率向上のための培養手法や培地組成の改善に関する報告は数多くなされているが、かかる製造方法は全て、製造毎に培地を準備し、そこへ5−アミノレブリン酸生産微生物を植菌後、発酵終了まで同一の発酵槽にて培養を行い、特に培養液の抜き出しや投入を実施しない回分培養法で行う製造方法であった。
しかし、このような回分培養法による製造方法では、一般的に培養中、特に培養後半における生産物阻害や、微生物の栄養源となる基質の不足、塩濃度の向上等により、微生物活性の低下や生合成反応の阻害が起こる。その結果、その微生物による生産物の生産速度は培養の経過と共に低下し、生産物の蓄積量はある水準で頭打ちもしくは最終的に低下する場合もあり、連続的に5−アミノレブリン酸を製造する方法はこれまで見出されていなかった。
特開昭61−502814号公報 特開平2−138201号公報 特開平6−141875号公報 特開平6−153915号公報 特開平8−168391号公報 特開平11−42083号公報 特開2008−29272号公報 特開2013−208074号公報
しかし、5−アミノレブリン酸又はその塩の用途は、極めて広範囲になっており、さらに効率的な微生物を用いた製造法の開発が望まれている。
従って、本発明の課題は、微生物を用いるさらに新たな5−アミノレブリン酸の製造法を提供することにある。
前記のように、5−アミノレブリン酸の収率向上のための培養手法や培地組成の改善に関する報告は数多くなされているが、かかる製造方法は全て、製造毎に培地を準備し、そこへ5−アミノレブリン酸生産微生物を植菌後、発酵終了まで同一の発酵槽にて培養を行い、特に培養液の抜き出しや投入を実施しない回分培養法で行う製造方法であった。しかし、このような回分培養法による製造方法では、一般的に培養中、特に培養後半における生産物阻害や、微生物の栄養源となる基質の不足、塩濃度の向上等により、微生物活性の低下や生合成反応の阻害が起こる。その結果、その微生物による生産物の生産速度は培養の経過と共に低下し、生産物の蓄積量はある水準で頭打ちもしくは最終的に低下する場合もあり、連続的に5−アミノレブリン酸を製造する方法はこれまで見出されていなかった。
そこで、本発明者は、5−アミノレブリン酸生産微生物の培養条件について種々研究を重ねた結果、培養の途中に培養液を一部抜き出し、一定量の酵母エキスを含有する新鮮な培地を投入、培養を継続させる半連続培養法を適用することにより、これまでの回分培養法を用いた製造方法よりも、単位時間あたりの高い収量で5−アミノレブリン酸を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔5〕を提供するものである。
〔1〕5−アミノレブリン酸生産微生物による5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法において、培養途中に、培養液を抜き出し、培地の酵母エキス量が1g/L以上の新鮮な培地を投入する操作を1回以上行うことを特徴とする5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
〔2〕培地の抜き出し量が、培地の抜き出し時の発酵槽内培養液量の10%〜90%、新鮮な培地の投入量が抜き出した培養液量の0.8〜4倍容量である〔1〕に記載の5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
〔3〕培地の抜き出し及び新鮮な培地の投入時期が、培養開始後88時間以内である〔1〕又は〔2〕記載の5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
〔4〕5−アミノレブリン酸生産微生物が、ロドバクター(Rhodobacter)属の微生物である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
〔5〕5−アミノレブリン酸生産微生物が、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)又はその変異株である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
本発明の製造方法によれば、5−アミノレブリン酸生産微生物の培養途中に、培養液の一部を抜き出し、その後に一定量の酵母エキスを含有する新鮮な培地を投入、培養を継続することにより、5−アミノレブリン酸の生産速度の低下を防ぎ、その結果、単位時間当たりの5−アミノレブリン酸の生産量を増加させることができる。
本発明の5−アミノレブリン酸の製造方法は、培養の途中に発酵装置より一部の培養液を抜き出し、その後に酵母エキスを1g/L以上含有する新鮮な培地を投入する操作を1回以上行うことを特徴とする。抜き出す培養液の液量は、5−アミノレブリン酸の生産量という観点から、抜き出し時の発酵槽内培養液量の10%〜90%が好ましく、15%〜70%がより好ましく、20%〜60%がさらに好ましい。新しく投入する新鮮培地の液量は、5−アミノレブリン酸の生産量という観点から、抜き出した培養液量の0.8〜4倍容量が好ましく、0.9〜2倍容量がより好ましく、1〜1.5倍容量がさらに好ましい。
本発明方法における培地の抜き出し時期及び新鮮な培地の投入時期は、培養中のどの時期でも良いが、5−アミノレブリン酸の生産量をより多くするためには、培養開始後10〜88時間が好ましく、培養開始後20〜82時間がより好ましく、培養開始後30〜76時間がさらに好ましい。
本発明において培養液の抜き出し後に投入される新鮮な培地に含まれる酵母エキスは、5−アミノレブリン酸の生産量の観点から、1g/L以上が好ましく、2g/L以上がより好ましく、5g/L以上が特に好ましい。また、酵母エキス由来の不純物を低減する観点から、20g/L以下が好ましく、15g/L以下がより好ましく、10g/L以下が特に好ましい。当該新鮮な培地の組成は、酵母エキス含量を1g/L以上とする以外は、後述の組成でよい。
培養液の抜き出し及び新鮮な培地の投入操作は、1回以上行うが、1〜50回が好ましく、1〜20回がより好ましく、1〜10回がさらに好ましい。初回の培養液の抜き出し及び新鮮な培地の投入時期から1〜100時間後に、2回目の同様の操作を行うのが好ましく、5〜50時間後に行うのがより好ましい。3回目以降の培養液の抜き出し及び新鮮な培地の投入までの時間も同様である。なお、培養液の抜き出し及び新鮮な培地の投入操作と次回の同様の操作までの間は、通常通りに培養を行う。
本発明の方法に使用される5−アミノレブリン酸生産微生物は、5−アミノレブリン酸を培地中に蓄積する微生物であればよく、例えば、光合成細菌、大腸菌、酵母、コリネ菌、これら微生物の遺伝子組換え体などが挙げられる。特に光合成細菌が好ましく、Rhodobacter属の微生物、Rhodopseudomonas属の微生物が挙げられ、Rhodobacter属の微生物がより好ましく、さらに、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)又はその変異株が好ましく、特には、ロドバクター・スフェロイデス CR−0072009と命名され、FERM BP−6320として寄託された微生物が好ましい。
本発明の方法で培養が行われる培地は、初期に準備する培地及び培養途中に投入する培地共に、乾燥酵母、ペプトン、ポリペプトン、肉エキス、魚粉、カザミノ酸、CSL(コーンスティープリカー)及びPDB(Potato Dextrose Broth)から選ばれる1種以上を含有するのが好ましい。
本発明の培地に含まれる酵母エキスは、初期に準備する培地においても、5−アミノレブリン酸の生産量の観点から、1g/L以上が好ましく、2g/L以上がより好ましく、5g/L以上が特に好ましい。また、酵母エキス由来の不純物を低減する観点から、20g/L以下が好ましく、15g/L以下がより好ましく、10g/L以下が特に好ましい。
さらに、本発明に用いられる培地は、初期に準備する培地及び培養途中に投入する培地共に、資化し得る炭素源及び窒素源を適当量含有するのが好ましい。炭素源としては、グルコース等の糖類、酢酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸等の酸類などを用いることができる。また、窒素源としては、硫安、塩安、リン安等のアンモニア態窒素化合物、硝酸ナトリウム等の硝酸態窒素化合物等の無機窒素源、尿素、ポリペプトン、酵母エキス等の有機窒素化合物などを用いることができる。
また、本発明に用いられる培地には、初期に準備する培地及び培養途中に投入する培地共に、さらに、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、グルタミン、アスパラギン、チロシン、リシン、ヒスチジン、アスパラギン酸等のアミノ酸を適宜添加することができる。
本発明においては、さらに、無機塩類等の微量成分、特には、リン化合物、マンガン化合物及び鉄化合物を含有する混合物を100℃以上で加熱又は0.1MPa以上で加圧して得られたものを培地に添加するのが、5−アミノレブリン酸の生産性を向上させる点で好ましい。リン化合物としては、リン元素を含むものであればよく、好ましくは、リン酸、リン酸塩、ピロリン酸等が挙げられる。より具体的には、リン酸カルシウム(例えば、Ca10(PO(OH)、Ca(PO))、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ピロリン酸、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸鉄、リン酸マンガンが挙げられ、特に好ましくは、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二アンモニウムが挙げられる。
マンガン化合物としては、マンガン元素を含むものであればよく、好ましくは、有機栄養源に含まれるマンガン元素、酸のマンガン塩、マンガンハロゲン化物等が挙げられ、より具体的には、Mn含有酵母エキス、硫酸マンガン無水和物、硫酸マンガン五水和物、塩化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、二酸化マンガンが挙げられ、特に好ましくは、Mn含有酵母エキス、硫酸マンガン無水和物、硫酸マンガン五水和物が挙げられる。
鉄化合物としては、鉄元素を含むものであればよく、好ましくは、酸の鉄塩、鉄のハロゲン化物、硫化鉄等が挙げられ、より具体的には、EDTA−鉄、塩化鉄(II)又はその水和物、塩化鉄(III)又はその水和物、硫化鉄、クエン酸鉄、硫酸アンモニウム鉄、酢酸鉄、臭化鉄、乳酸鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、リン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、シュウ酸鉄、シュウ酸鉄アンモニウムが挙げられ、特に好ましくは、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)が挙げられる。
加熱又は加圧する混合物には、媒体を用いてもよく、その媒体としては、実質的に培地成分を含有しない液体が挙げられ、好ましくは、水である。
上記混合物の加熱は、100℃以上で行われるが、加熱温度は、110〜130℃が好ましい。また、上記混合物の加圧は、0.1MPa以上で行われるが、加圧圧力は、0.13〜0.20MPaが好ましい。上記混合物は、加熱し、かつ加圧するのが好ましい。このような加熱及び加圧は、リン化合物、マンガン化合物、及び鉄化合物を混合した後に行う必要があり、混合前に行っても、優れた5−アミノレブリン酸生産微生物の増殖促進効果や、5−アミノレブリン酸生産能や酸化酵素活性といった微生物の活性を十分に向上させる効果が得られない。加熱又は加圧の時間は、10〜30分が好ましい。
また本発明の製造方法では、菌体が十分に生育した段階で、グリシン、L−グルタミン酸、糖類、有機酸などの5−アミノレブリン酸の原料やレブリン酸などの5−アミノレブリン酸デヒドラターゼの阻害剤を添加して5−アミノレブリン酸の生産性を高めることが好ましい。グリシンの添加量は培地全量中の10〜1000mM、特に10〜400mMとすることが好ましい。レブリン酸の添加量は培地全量中の0.01〜20mM、特に0.1〜10mMが好ましい。このグリシンやレブリン酸の過剰な添加は5−アミノレブリン酸の生産性を低下させる場合があるので、そのときは菌体の生育時間を延長したり、これら添加剤を数回に分けて添加したりすることにより5−アミノレブリン酸の生産性の低下を回避できる。また、これらの物質は培養液の抜き出し後、新鮮な培地の投入後に添加する場合も同様な方法で実施することができる。
さらに本発明の製造方法では、培養液中に5−アミノレブリン酸の原料となる糖類を枯渇させないため、適宜添加することが好ましい。この糖類は特にグルコースが好ましく、その添加量は培地全量中の5mM〜300mM、特に25mM〜100mMになるように添加することが好ましい。
培養にあたっての培養温度、pHは5−アミノレブリン酸生産微生物が生育する条件でよく、例えば、培養温度は10〜40℃、特に20〜35℃とするのが好ましく、培地のpHは4〜9、特に5〜8とすることが好ましい。なお菌体生育後に5−アミノレブリン酸生産に適さないpH域に液性が変化した場合には、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カリウム等のアルカリ溶液や塩酸、硫酸、リン酸等の酸を用いてpHを調整することが好ましい。これらの方法は、培養液の抜き出し後、新鮮な培地の投入後に実施する場合も、同様な方法で実施することができる。また、培養にあたっては、特に光照射をする必要はない。
また、培養液を抜き出し、新鮮な培地を添加した後の培養では、培養液中の溶存酸素量を0.001〜2ppm、酸化還元電位を−250mVから150mVの範囲、で制御することが望ましく、更に望ましくは、それぞれ0.001〜1ppm 、−200mVから100mVの範囲である。このときの制御方法としては、攪拌回転数や通気量を変化させる方法、糖類や酵母エキスなどを添加して微生物の呼吸を活発化する方法、あるいはそれらを組み合わせて行うことができる。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、これらは単に例示の目的で掲げられものであって、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
培地1(組成は表1に示す)200mLを2L容三角フラスコに分注し、121℃で20分間滅菌した後、放冷した。これにロドバクター・スフェロイデスCR−0072009(FERM BP−6320)を植菌後、32℃、暗所にて26時間振盪培養した。
Figure 2015181358
得られた培養物を再び、2L容三角フラスコに200mLの培地1を調製したところへ、初期菌体濃度(OD660nm)が0.4となるように植菌し、32℃、暗所にて20時間撹拌培養した。
(比較例1)
3L容の培養槽に1.8Lの培地2(組成は表1に示す)を調製したところへ、製造例1で得られた前培養物を、初期菌体濃度(OD660nm)が0.4となるように植菌し、28℃、通気量1.8L/分、溶存酸素濃度(DO)の下限値を5%として撹拌培養した。培養開始から25時間後に、最終濃度がグリシン65mM、レブリン酸5mMとなるようにこれらの水溶液を添加し、撹拌回転数を420rpmにして、硫酸を用いてpHを6.4〜6.5に保ちながら培養を続けた。グリシンは、始めのグリシン添加後から16時間後、その後は12時間毎にそれぞれ65mMとなるように添加し、培養開始から100時間後に培養を終了した。この培養にて得られた5−アミノレブリン酸量(5−アミノレブリン酸塩酸塩換算)を表3に示す。
(実施例1)
3L容の培養槽に1.8Lの培地2を調製したところへ、製造例1で得られた培養物を、初期菌体濃度(OD660nm)が0.4となるように植菌し、28℃、通気量1.8L/分、溶存酸素濃度(DO)の下限値を5%として撹拌培養した。培養開始から25時間後に、最終濃度がグリシン65mM、レブリン酸5mMになるようにこれらの水溶液を添加し、撹拌回転数を420rpmにして、硫酸を用いてpHを6.4〜6.5に保ちながら培養を続けた。グリシンは、始めのグリシン添加後から16時間後、その後は12時間毎にそれぞれ最終濃度が65mMとなるように水溶液を添加し、3回目のグリシン添加から12時間後に、40%(0.8L)の培養液を抜き出した。その後、抜き出した量と同量(0.8L)の培地3(組成は表2に示す)を投入後、4回目のグリシン添加を実施した。その後も12時間毎にグリシンを添加し、培養開始から100時間後に培養を終了させた。この培養にて得られた5−アミノレブリン酸量(5−アミノレブリン酸塩酸塩換算)を表3に示す。
Figure 2015181358
(実施例2)
はじめに準備した培地に培地2を用い、培養液抜き出し後に添加する培地に培地4(組成は表2に示す)を用いた以外は実施例1と同様な方法で実施した。培養開始から100時間後に培養を終了させた際に得られた5−アミノレブリン酸量(5−アミノレブリン酸塩酸塩換算)を表3に示す。
(実施例3)
はじめに準備した培地に培地5(組成は表2に示す)を用い、培養液抜き出し後に添加する培地に培地6を用いた以外は実施例1と同様な方法で実施した。培養開始から100時間後に培養を終了させた際に得られた5−アミノレブリン酸量(5−アミノレブリン酸塩酸塩換算)を表3に示す。
Figure 2015181358
表3から分かるように、初期培地中酵母エキス量が8g/Lの場合は、途中に投入する培地の酵母エキス濃度を2g/L以上にすることにより、比較例と同等以上の5−アミノレブリン酸を生産可能である。さらに、初期培地の酵母エキスを7g/Lの場合、途中に投入する培地の酵母エキス量を8g/Lとした際には、同培養時間の比較において約20%の向上が見られた。

Claims (5)

  1. 5−アミノレブリン酸生産微生物による5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法において、培養途中に、培養液を抜き出し、培地の酵母エキス量が1g/L以上の新鮮な培地を投入する操作を1回以上行うことを特徴とする5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
  2. 培地の抜き出し量が培地の抜き出し時の発酵槽内培養液量の10%〜90%であり、新鮮な培地の投入量が抜き出した培養液量の0.8〜4倍容量である請求項1記載の5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
  3. 培地の抜き出し及び新鮮な培地の投入時期が、培養開始後88時間以内である請求項1又は2記載の5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
  4. 5−アミノレブリン酸生産微生物が、ロドバクター(Rhodobacter)属の微生物である請求項1〜3のいずれかに記載の5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
  5. 5−アミノレブリン酸生産微生物が、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)又はその変異株である請求項1〜4のいずれかに記載の5−アミノレブリン酸またはその塩の製造方法。
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APPL. MICROBIOL. BIOTECHNOL., (2002), 58, [4], P.435-438, JPN6017028561, ISSN: 0003732771 *

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