JP2005080529A - 生分解性重合体の製造方法 - Google Patents

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竜彦 山本
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栄一 新谷
Junichi Kubo
純一 久保
Hidehiro Kubo
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Abstract

【課題】 生産性の向上した新規なPHAの生物学的製造方法を提供する。
【解決手段】 3−ヒドロキシブチレート単位、3−ヒドロキシオクタノエート単位、3−ヒドロキシデカノエート単位及び3−ヒドロキシドデカノエート単位を少なくとも含む生分解性重合体を産生し得る微生物を培養して生分解性重合体を製造する方法であって、窒素源に対する炭素源のモル比を20以上、かつ、pHを5.0〜7.0に維持した培地にて上記微生物を培養する工程を含有する、生分解性重合体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、微生物を培養して生分解性重合体を製造する方法に関する。
長年にわたって、石油由来の合成高分子がプラスチックなどとして利用されてきたが、石油資源の枯渇や、上記合成高分子が分解されにくく自然界に残留することによる産業廃棄物の蓄積などが大きな社会問題となってきている。上記の合成高分子は、焼却処理を行うと二酸化炭素排出量の増加に繋がり、またある場合には、ダイオキシンや環境ホルモンなどの有害物質の発生原因ともなることも問題視されている。
近年、上記の石油由来の合成高分子に換わり、自然界の微生物によって分解される生分解性高分子が注目されてきている。生分解性高分子の中でも、天然生物資源、微生物を利用して生産するポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、上記問題の解決が可能であり、現在までに様々な研究開発、実用化が行われてきている。
しかしながら、微生物が産生する生分解性高分子は、その理化学的性質が多岐にわたっており、それぞれの使用目的に適合する生分解性高分子の探索が要求されている段階であり、従来なかったような有用な特性を有する生分解性高分子の開発が進められている。
特公平3−65154号公報 特開平7−75590号公報
我々は、独自に見出した新規微生物シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)RFL−010株(FERM P−18893)より産生される新規なPHAを提案している(特願2002−221440号明細書、特願2003−148044号明細書)。かかるPHAは、生分解性を有するのは勿論のこと、樹脂に対して高い可塑化作用を示し、少ない添加量で樹脂に十分な柔軟性を付与することができ、樹脂用可塑剤としての用途に特に有用であることが判っている。また、当該PHAを樹脂に添加しても、この添加による樹脂(被可塑化樹脂)の熱的特性の変動が小さく、中でもガラス転移点(Tg)の低下を十分に抑えることができるという利点もある。
しかしながら上述のような微生物により産生されるPHAは、用いる微生物の種類や培地組成、培養の条件などによって影響を受ける。微生物の一般的な培養方法としては、(1)回分培養、(2)二段培養、(3)連続培養などの手法が従来より広く知られているが、これらの培養方法を上記シュードモナス エスピーRFL−010株に適用すると、PHAの生産に際し、それぞれ以下のような問題があることが判明した。
(1)回分培養
回分培養は、培養槽中に培地を仕込、種菌を接種した後は適当な通気攪拌を行うほかには培養終了時まで栄養源の補給や、培養液のpHや培養温度などの因子以外の環境因子の制御などを殆ど行わないため、操作及び装置が簡単であるが、培養経過に伴う環境因子の変動には著しいものがあると共に、最終生成物濃度は原料の仕込量により決定される。生産されるPHAの絶対的な量を増やすためには、炭素源や窒素源などの基質の仕込量を増やす必要があり、培地中の基質濃度を高めることで、ある程度のPHA生産性の向上が見られる。しかし、基質のうち炭素源であるグルコースの高濃度化は、菌体生育の阻害を引き起こし、窒素源であるアンモニウムイオンの高濃度化は、菌体生育の阻害及びPHA生産の長期化をもたらす。その結果として、回分培養では、基質の仕込量を増やしたとしても、PHA生産に必要な培養時間が延び、PHAの生産性が低下してしまう。
(2)二段培養
菌体生育とPHA生産を別々に行う二段培養では、PHA生産への移行の際、培地組成の変化による菌体へのショック等で培養期間が延びたり、無菌的な菌液分離や培養液移送など、製造プロセスの煩雑化の問題が考えられる。
(3)連続培養
連続培養では、連続的に栄養源を補給すると同時に、連続的に培養液を抜き出す方法であり、培養の終了ごとに菌体の回収や装置の洗浄などを行う必要はなく、生産性も高いという利点はあるが、菌体生育とPHA生産とを両立する必要がある。また、菌体中に充分にPHAを蓄積させるのに時間を要したり、培養の長期化により、雑菌汚染(コンタミネーション)や菌株の変異が起こる可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、3−ヒドロキシブチレート単位、3−ヒドロキシオクタノエート単位、3−ヒドロキシデカノエート単位及び3−ヒドロキシドデカノエート単位を含む生分解性重合体(PHA)を産生する微生物の新規な培養方法(生産性の向上された新規なPHAの生物学的製造方法)を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1)3−ヒドロキシブチレート単位、3−ヒドロキシオクタノエート単位、3−ヒドロキシデカノエート単位及び3−ヒドロキシドデカノエート単位を含む生分解性重合体を産生し得る微生物を培養して生分解性重合体を製造する方法であって、
窒素源に対する炭素源のモル比を20以上かつ、pHを5.0〜7.0に維持した培地にて上記微生物を培養する工程を含む、生分解性重合体の製造方法。
(2)窒素源の枯渇後に窒素源を新たに供給することによって、上記窒素源に対する炭素源のモル比を維持することを特徴とする上記(1)記載の方法。
(3)上記工程の後、窒素源を供給することなく培養を行う工程をさらに含む、上記(1)または(2)記載の方法。
(4)窒素源が硫酸アンモニウムである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)窒素源を用いて培養中のpHを6.6〜7.0に制御した培地に炭素源を供給することによって上記窒素源に対する炭素源のモル比を維持することを特徴とする上記(1)記載の方法。
(6)窒素源がアンモニア水である、上記(5)記載の方法。
(7)上記生分解性重合体が、3−ヒドロキシヘキサノエート単位をさらに含有するものである、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)上記生分解性重合体が、1モル%〜15モル%の3−ヒドロキシブチレート単位と、0モル%〜15モル%の3−ヒドロキシヘキサノエート単位と、15モル%〜55モル%の3−ヒドロキシオクタノエート単位と、15モル%〜55モル%の3−ヒドロキシデカノエート単位と、1モル%〜15モル%の3−ヒドロキシドデカノエート単位とからなるランダムコポリマーであることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)上記生分解性重合体が、1モル%〜15モル%の3−ヒドロキシブチレート単位と、0モル%〜15モル%の3−ヒドロキシヘキサノエート単位と、15モル%〜55モル%の3−ヒドロキシオクタノエート単位と、15モル%〜55モル%の3−ヒドロキシデカノエート単位と、1モル%〜15モル%の3−ヒドロキシドデカノエート単位とからなるランダムコポリマーと、3−ヒドロキシブチレート単位のみからなるホモポリマーとの混合ポリマーである、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(10)混合ポリマーが、ランダムコポリマーを5重量%〜50重量%含有するものであることを特徴とする、上記(9)記載の方法。
(11)上記微生物がシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)RFL−010株(FERM P−18893)である、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、従来の各種培養法(回分培養、二段培養、連続培養)とは異なり、基質の仕込量に左右されることなくより短い時間にて、煩雑な作業を行うことなくPHA生産量を向上することができ、格段に生産効率が改善された新規なPHAの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記式
Figure 2005080529
で表される3−ヒドロキシブチレート(3HB)単位(以下、「C4単位」と呼ぶことがある。)、下記式
Figure 2005080529
で表される3−ヒドロキシオクタノエート(3HO)単位(以下、「C8単位」と呼ぶことがある。)、下記式
Figure 2005080529
で表される3−ヒドロキシデカノエート(3HD)単位(以下、「C10単位」と呼ぶことがある。)、及び下記式
Figure 2005080529
で表される3−ヒドロキシドデカノエート(3HDD)単位(以下、「C12単位」と呼ぶことがある。)を含む生分解性重合体であるポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を産生し得る微生物を培養して当該PHAを製造する方法であって、窒素源に対する炭素源のモル比を20以上(好ましくは、20〜60)、かつ、pHを5.0〜7.0に維持した培地にて上記微生物を培養する工程を含有することをその特徴とする。培地中の窒素源に対する炭素源のモル比が20未満であると、菌体は十分に生育するが、PHA含有率が低下し、PHA生産性が低下する傾向がある。培地のpHが5.0未満であると、菌体生育が阻害され、PHA生産も行われない。また、培地のpHが7.0を超えると、菌体生育速度が低下し、供給する窒素源としてアンモニア水を用いる場合、揮発の問題を生じる。本発明においては、窒素源に対する炭素源のモル比を20以上で、かつ、pHを5.0〜7.0に維持した培地で上記微生物の培養を行うことで、微生物の生育を行いながら当該微生物にPHAを産生せしめることができ、効率的なPHAの製造が可能となる。
本発明においては、培地の炭素源の濃度を40g/L以下(好適には、5g/L〜30g/L)に調製し、窒素源の濃度を8g/L以下(好適には、0g/L〜2.4g/L)に調製することで、上記微生物を培養する培地の窒素源に対する炭素源のモル比を20以上に維持するのが好ましい。培地の炭素源の濃度が40g/Lを越えると、菌体生育速度が低下し、PHA生産性が低下する虞がある。また、窒素源の濃度が8g/Lを越えると、菌体は生育するが、PHA含有率が低下し、生産性が著しく低下する傾向にある。炭素源及び窒素源の濃度を上記のように調製し、窒素源に対する炭素源のモル比を20以上、かつ、pHを5.0〜7.0に維持することで、菌体生育に適した条件下で基質の供給量に応じて菌体の高集積化及び効率的なPHAの製造が可能となる。
これらの培地中の炭素源、窒素源の濃度は、当分野において従来から広く用いられている測定方法を用いて測定することができる。例えば、グルコースの場合、グルコースオキシダーゼ法による酵素法を、アンモニウムイオンの場合、インドフェノール法を適用することができる。こうして測定された培地中の炭素源、窒素源の濃度より、上記窒素源に対する炭素源のモル比を算出することができる。
本発明における培地中の窒素源に対する炭素源のモル比及びpHの維持は、かかるモル比が20以上、かつ、pHを5.0〜7.0に維持されているのであれば、かかるモル比及びpHを維持する具体的方法には特に制限されるものではないが、以下の(1)または(2)の方法にて行うのが好適である。
(1)窒素源の枯渇後に窒素源を新たに供給する方法
この場合、まず、培養の開始時点の炭素源及び窒素源の濃度(初発炭素源濃度、初発窒素源濃度)が上述の如くなるように、炭素源及び窒素源、さらには必要に応じてその他培地栄養源を、培地に添加しておく。培養開始後、培地中の炭素源及び窒素源は経時的に減少していくが、炭素源については、培地中における濃度が上述したようになるように連続的または断続的に供給しておき、窒素源については、培地の溶存酸素量(DO)が急激な増加傾向(培地の溶存酸素量の1分当たりの増加量が1.0ppm以上)に転じた後にのみ新たに供給する。すなわち、DOは、微生物による窒素源の消費に伴い経時的に減少していくが、このDOが急激な増加傾向になった時点が、培地中において窒素源が枯渇したことを示す指標となる。このようにして培地における窒素源に対する炭素源のモル比を20以上に維持することで、培地中の窒素源濃度を菌体生育に適した範囲に制御しやすく、単に当該モル比を維持して炭素源及び窒素源を供給して微生物を培養する場合とは異なり、時間ごとにおけるPHAの生産量を格段に向上させることができる。DOが急激な増加傾向に転じる前に窒素源を供給すると、窒素源濃度が高くなり、菌体生育に適した濃度範囲に制御しにくくなる。また、DOが急激な増加傾向に転じても窒素源を供給しないと、菌体生育が止まり、菌体の高集積化が困難になる。かかる観点からは、新たな窒素源の供給は、DOの急激な増加傾向が観測された後、直ちに(3分以下程度)行うことが好ましい。なお、培地中のpHは水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ物質の水溶液を用いて5.0〜7.0に調整する。
(2)窒素源を用いて培養中のpHを6.6〜7.0に調整した培地に炭素源を供給する方法
この場合、培養の開始時点で炭素源、窒素源を予め培地に添加しておくのは上記(1)の方法と同様であるが、窒素源に塩基性窒素源を用いてpHを調整する点において相違する。炭素源については、上記と同様、培地中における濃度が上記のようになるように、連続的または断続的に供給しておき、窒素源については培地のpHを6.6〜7.0(好ましくは6.8〜6.9)を維持するように供給する。pHが6.6未満の場合、培地中への窒素源の供給が不十分になり、菌体生育が上手く行われない。また、pHが7.0を超えると、菌体生育速度が低下し、塩基性窒素源としてアンモニア水を用いる場合、揮発の問題が生じる。塩基性窒素源は、中でもアンモニア水が好ましく、アンモニア水を使用して培地のpHを調整することによって、他の塩基性窒素源であるリン酸アンモニウム等を用いた場合に生じるカウンターイオン等を抑えることができ、より効率的な菌体生育とPHA生産が可能になる。このようにして、培地中における窒素源に対する炭素源のモル比を20以上に維持して上記微生物を培養することで、培地中の窒素源の濃度が安定し、しかも、pHにより窒素源濃度を制御できるので、効率的な菌体生育とPHA生産が可能となり、高いPHA生産性を達成できる。
本発明のPHAの製造方法に使用される炭素源としては、特に制限はなく、たとえば、グルコース、フラクトース、シュークロース、マルトースやデンプンなどの糖類、メタノールやエタノールなどのアルコール類、グルコン酸、オクタン酸や吉草酸などの有機酸とその塩類、糖蜜、酵母エキス、肉エキス、大豆油、ナタネ油や魚油などの複合炭素源などの従来より微生物の培養に広く使用されてきている炭素源を使用することができる。炭素源は、2種以上使用しても勿論よい。中でも、微生物により代謝され易いという利点を有するグルコースを炭素源として使用するのが好ましい。
また本発明のPHAの製造方法に使用される窒素源としては、特に制限はなく、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの硝酸塩、アンモニア水をはじめとする無機窒素源や、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、トリプトン、尿素、大豆粉、油粕、コーンスティープリカーなどの有機窒素源が挙げられる。これらのうち、アンモニウム塩、アンモニア水等が前記の塩基性窒素源である。本発明において窒素源は2種以上用いても勿論よい。また、生産されるPHAの菌体からの分離・精製の効率化の面からは無機窒素源が好適である。上記培地のDOが急激な増加傾向に転じた後に窒素源を新たに供給することによって培地中の窒素源に対する炭素源のモル比を20以上に維持する場合には(前記(1)の方法の場合には)、培地への硫黄の供給源となる上に、中性塩であるため、供給時に培地のpHに影響を与えないことから、硫酸アンモニウムを窒素源として用いるのが特に好ましく、また、窒素源を用いてpHを6.6〜7.0に調整した培地に炭素源を供給することによって培地中の窒素源に対する炭素源のモル比を20以上に維持する場合には(前記(2)の方法の場合には)、上述したようにアンモニア水を窒素源として用いるのが特に好ましい。
本発明においてはさらに、培地栄養源としてMgSO・7HOを培地に添加するのが好ましい。MgSO・7HOは、濃度が1.0g/L以下、好ましくは0.1g/L〜0.5g/Lとなるように適宜培地に供給する。
その他、培地栄養源としては、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛、鉄等のリン酸塩、硝酸塩、塩化物、炭酸塩等や、クエン酸ナトリウム等の有機酸塩、チアミン、リボフラビン、パントテン酸塩、ビオチン、ニコチン等のビタミン類等を培地に添加してもよい。
本発明において用いられる上記PHAを産生し得る微生物としては、シュードモナス属に属する微生物であるPseudomonas sp.61−3(特許2799818号)等があげられるが、後述するような好適な組成のPHAを産生し得ることから、本発明者等が見出した、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)RFL−010株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター 受託番号 FERM P−18893)が特に好ましい。
上述した炭素源、及び所望に応じて窒素源を含有するものであれば、本発明で用いる培地には特に制限はなく、当分野において従来より広く用いられてきている各種の培地を用いることができるが、上述したシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.) RLF−010株の菌学的性質より、たとえば、炭素源と窒素源の濃度をある一定の範囲に設定した培地を用いるのが好ましい。かかる培地を用いることで、効率よく菌体の生育とPHAの生産を行えるというような利点がある。
本発明における微生物の培養は、基本的に、流加培養を利用して行う。流加培養とは、培養開始時の各栄養源濃度を菌体生育に適した条件に設定しておき、微生物による消費量に応じて必要量を補給し、培養終了により培養液を抜き取る方法である。この方法によれば、培養全期間を通して栄養源の濃度を最適値に維持することができるため、回分培養に比べて生産性が著しく向上し、また連続培養よりも培養を安定に行い得、さらに二段培養よりも培養操作やプロセスの簡略化ができるという利点がある。
培養温度は、15℃〜34℃が好ましく、20℃〜32℃が特に好ましい。また、培地のpHは5.0〜7.0が適当であるが、6.0〜7.0が最適である。窒素源を用いて培養中のpHを6.6〜7.0に調整することなく培地の窒素源に対する炭素源のモル比を20以上に維持する場合(すなわち、DOが急激な増加傾向に転じた後に窒素源を新たに供給する場合)に、培地のpH調整に使用される試薬としては、上記窒素源以外の従来公知の適宜のものを特に制限なく使用することができ、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ物質の水溶液等が挙げられる。中でも、価格が比較的安く、水への溶解性が良く、経済的であることから、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整するのが好ましい。
培養は、通常、空気、酸素あるいはこれらの混合ガスを培養液中または培養槽空隙に供給して行う。その際、培養液を攪拌羽根等で攪拌して酸素が培養液中に溶解するようにする。空気、酸素あるいはこれらの混合ガスの供給量は、通常、0.5〜2.0vvm(ここでのvvmは、1分当たりの送気量/培地量を表す。)となるようにし、攪拌羽根の回転数を調整して、DOが2ppm以上を保つようにする。DOはそれ自体公知の酸素検出機構を用いて測定することができる。例えば、発酵用酸素電極(OE−8350M、東亜ディーケーケー社製)とDOコントローラー(MD−2C、ミツワバイオシステム社製)を用いて測定される。
上記により培養された培養物中から、濾過あるいは遠心分離などの通常の手段によって菌体を分離回収し、この菌体を洗浄、乾燥して乾燥菌体を得る。菌体の収量は、通常15g/L〜70g/L程度である。
該方法によって、菌体はC4単位、C8単位、C10単位及びC12単位からなるランダムコポリマーとC4単位のみからなる3HBホモポリマーとを、通常、50:50〜5:95(重量比)の割合で含有する混合ポリマーのPHAを生産する。培養条件、特に、窒素源や炭素源の種類と含有量、培地の初期pH、培養温度等を適宜変更することにより、混合ポリマー中のランダムコポリマーの含有率を調整することができる。また、目的に応じ、上記ランダムコポリマー、3HBホモポリマーをそれぞれ単離することができる。
該PHAを微生物菌体より単離する方法としては、常法にしたがって、たとえば、得られた乾燥菌体にクロロホルムを加え、還流させてPHAを抽出した後に濃縮し、これをメタノールに再沈殿させた後、上澄みのメタノールを取り除き、真空乾燥機で沈殿物を乾燥する。
ランダムコポリマー、3HBホモポリマーの単離は、定法に従って、例えば、得られたPHAにアセトンを加え、還流させた後にアセトン不溶部を除去し、アセトン可溶部を濃縮して真空乾燥機で乾燥してランダムコポリマーを得る。また、除去したアセトン不溶部を真空乾燥機で乾燥して3HBホモポリマーを得るというような手順で行うことができる。
本発明の方法にて製造されるPHAは、生分解性を有するものである。なお生分解性を有することは、JIS K 6950(活性汚泥による好気的生分解度試験方法)の規定に準拠して、対象とするプラスチックを混合した活性汚泥を攪拌培養し、培養液の生物化学的酸素消費量及びプラスチックの残存量から生分解度を求めることで確認することができる。本発明で得られるPHAは、かくして求められた生分解度が60%〜100%である。
このようなPHAは、従来のプラスチックと同様、溶融加工などにより各種製品の生産に利用することができるとともに、石油由来の合成高分子とは異なり、生物により分解され得るという特性を有する。したがって、廃棄した際、PHAは生分解されることにより自然界の物質循環に取り込まれるので、従来利用されていた多くの合成高分子化合物のように自然環境に残留して汚染を引き起こすことがない。また生分解処理を行うことで、燃焼処理を行う必要もないため、大気汚染や地球温暖化を防止するという点で有効な材料であり、環境保全を可能とするプラスチックとして利用することができる。
本発明の方法で得られるPHAは、容器、袋、フィルムなどの包装材料、魚網、釣糸などの水産用材料、植生シート、育苗ポットなどの農園芸材料、縫合糸などの医療材料などの分野への適用が期待できる。
また、本発明で得られるPHAは、樹脂に対して高い可塑化作用を示し、少ない添加量で樹脂に十分な柔軟性を付与することができ、可塑剤としての用途に特に好適に供することができる(従来の可塑剤に比べて同程度の可塑化作用を得るに必要な添加量を少なくできる。)。さらに、従来のフタル酸エステル類、クエン酸エステル類、グリセリンエステル類などの低分子量化合物からなる可塑剤を樹脂に添加する場合、樹脂のガラス転移点(Tg)が大きく低下してしまう問題があったが、本発明で得られるPHAは、それを添加することによる樹脂(被可塑化樹脂)の熱的特性の変動は小さく、中でもガラス転移点(Tg)の低下を十分に抑えることができる。また、従来のポリカプロラクトンやポリブチレンサクシネートなどの生分解性ポリエステルよりなる可塑剤は、その可塑化作用が小さいため、樹脂の柔軟性を十分に高めるためには添加量が多くなり、それによって生分解性ポリエステルを可塑剤として混合した樹脂の機械的特性が被可塑化樹脂本来のものと大きくかけ離れたものになるという問題が生じていたが、本発明で得られるPHAを可塑剤として用いると、比較的少量の添加で樹脂に十分な柔軟性を付与することができるので、柔軟性付与に伴う樹脂の機械的特性が、被可塑化樹脂本来のものからかけ離れることを抑制することができるという利点がある。
本発明の方法にて製造されるPHAは、上記のようにC4単位、C8単位、C10単位及びC12単位を含むものであるが、好ましくは、下記式
Figure 2005080529
で表される3−ヒドロキシヘキサノエート(3HHx)単位(以下、「C6単位」と呼ぶことがある。)をさらに含み、これらC4単位、C6単位、C8単位、C10単位及びC12単位より構成されてなるのが好ましい。
PHAのポリマー形態は、特に制限されるものではないが、上記C4単位、C8単位、C10単位及びC12単位からなるランダムコポリマー(若しくは、C4単位、C6単位、C8単位、C10単位及びC12単位からなるランダムコポリマー)であるのが好ましく、該ランダムコポリマーとC4単位のみからなる3HBホモポリマーとの混合ポリマーであるのがより好ましい。
本発明において、上記ランダムコポリマーの共重合組成は特に制限されないが、C4単位1〜15モル%、C6単位0〜15モル%、C8単位15〜55モル%、C10単位15〜55モル%及びC12単位1〜15モル%からなる共重合組成が好ましい。このようにランダムコポリマーよりなるPHAは、C8単位、C10単位及びC12単位等の長鎖単位の含有比率が高い共重合組成であると、樹脂への相溶性及びそれ自体の柔軟性がより向上し、樹脂に対してより優れた可塑化作用を示す。
かかるランダムコポリマーよりなるPHAは、ガラス転移点(Tg)が−55℃〜−40℃の粘稠な油状物(明確な融点や結晶化点は示さない。)の形態をとる。
上記混合ポリマーであるPHAは、上記ランダムコポリマーを5重量%〜50重量%含有するのが好ましく、15重量%〜40重量%含有するのがより好ましい。ランダムコポリマーの含有率が5重量%未満であると、PHAが柔軟性に乏しいものとなってしまう傾向にあるためであり、またランダムコポリマーの含有率が50重量%を越えると、PHAが柔軟性が高すぎて成形品への適用が困難となってしまう傾向にあるためである。当該PHAにおいて、ランダムコポリマーは、3HBホモポリマーの可塑剤として働いていると考えられる。
このような好ましい混合組成を有する混合ポリマーよりなるPHAは、そのガラス転移点(Tg)が−6℃〜−3℃、結晶化点(Tc)が52℃〜57℃、融点(Tm)が170℃〜175℃の白色固形物となる。従って、白色固形物であるので、ランダムコポリマー単体よりなる油状物に比べて取扱い性に優れるといった利点も有し、また、本発明のPHAは、引張強度が6MPa〜40MPa、ヤング率(引張弾性率)が300MPa〜1100MPa、さらに伸び率が10%〜150%であり、プラスチックとして良好な機械的特性を有するものである。すなわち、混合ポリマーであるPHAにおいては、可塑剤として働くランダムコポリマーが含有されているため、C4単位からなる3HBホモポリマーと比較して柔軟性があり、上述したような機械的特性(ヤング率、伸び率等)、熱的特性(ガラス転移点等)に優位性が現われると考えられる。
本発明の方法においては、上述した培地の窒素源に対する炭素源のモル比を20以上、かつ、pHを5.0〜7.0に維持して微生物を培養する工程の後に、窒素源を供給することなく培養を行う工程をさらに含むのが好ましい。かかる工程をさらに含むことによって、その理由の詳細は不明ではあるが、得られる上記3HBホモポリマーとランダムコポリマーとの混合ポリマーであるPHAにおいて、よりランダムコポリマーの割合の高い好適なPHAを製造することができる(かかる工程を経て得られた混合ポリマーであるPHAにおけるランダムコポリマーの含有率:15〜40重量%)。上述したように混合ポリマーであるPHAにおいては、ランダムコポリマーが3HBホモポリマーの可塑剤として働いていると考えられるが、上記工程をさらに有することによって、混合ポリマーとして好適な機械的特性、熱的特性を有する比較的高い含有率にてランダムコポリマーを含有する混合ポリマーを確実に製造することが可能となる。
なお、上記の窒素源を供給することなく培養を行うことにより、微生物の産生するPHA(混合ポリマー)における3HBランダムコポリマーの含有率が向上するという効果は、上述した培地の窒素源に対する炭素源のモル比を20以上に維持して微生物を培養する工程の有無に関わらず、従来の培養法にて本発明で使用される微生物を培養する場合であっても得ることができる。すなわち、本発明は、C4単位、C8単位、C10単位及びC12単位を含む生分解性重合体(PHA)を産生し得る微生物を培養して生分解性重合体(PHA)を製造する方法であって、炭素源及び窒素源を含有する培地にて上記微生物を培養する工程と、上記工程の後に窒素源を供給することなく上記微生物を培養する工程とを含む、生分解性重合体(PHA)の製造方法をも提供するものである。かかる方法にて製造されるPHAについても、上述したのと同様、C4単位、C6単位、C8単位、C10単位及びC12単位からなるランダムコポリマーであるのが好ましく、該ランダムコポリマーとC4単位のみからなる3HBホモポリマーとの混合ポリマーであるのがより好ましい。ランダムコポリマーの共重合組成についても特に制限はされないが、上述と同様にC4単位1〜15モル%、C6単位0〜15モル%、C8単位15〜55モル%、C10単位15〜55モル%及びC12単位1〜15モル%からなる共重合組成が好ましい。
本明細書中の特性(物性)は以下の方法で測定した。
1.引張り強度、ヤング率及び伸び率
JIS K 7127(プラスチック及びシートの引張試験方法)の規定に準拠して、混合ポリマーをクロロホルムに溶解後、45mmφのシャーレにて乾燥し、キャストフィルム(10mm×5mm×0.02mm)を作製する。かかるキャストフィルムを精密万能試験機(オートグラフAGS−100G、島津製作所製)を用いて20mm/minの速度で引張り試験を行い引張り強度(MPa)、ヤング率(MPa)及び伸び率(%)を測定した。
2.ガラス転移点(Tg)、結晶化点(Tc)及び融点(Tm)
DSC(示差走査熱量計)装置(DSC−8230、リガク社製)を用いて、混合ポリマー及びランダムコポリマーのガラス転移点(Tg)、結晶化点(Tc)及び融点(Tm)を測定した。
ガラス転移点(Tg)は−20℃/minの降温スピードで測定し、結晶化点(Tc)及び融点(Tm)は10℃/minの昇温スピードで測定した。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
実施例1
〔前々培養〕
表1,2に示す組成の培地20mLを入れた100mLの三角フラスコに下記培地組成のスラントに生育させたシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)RFL−010(受託番号FERM P−18893)を一白金耳植菌し、30℃で72時間培養した。
〔前培養〕
下記表1,2に示す組成の培地100mLを入れた500mL三角フラスコに前々培養液を1%植菌し、30℃で72時間振盪培養した。
Figure 2005080529
Figure 2005080529
〔本培養〕
表1に示した培地成分のうち、グルコース濃度を15g/L、硫酸アンモニウム濃度を1.2g/Lに変えた培地2Lを入れた5L発酵槽(ミツワバイオシステムズ社製)に前培養液を5%植菌し、温度30℃、回転数200rpm、内部圧力0.5kg/cm、空気流量3L/min(1.5vvm(1分当たりの送気量/培地量))で培養をスタートした。培養中、pHは、水酸化ナトリウム水溶液でpH5.5以上を保つように調整した。回転数は、DOが4ppm以上を保つように必要に応じて上げた。培地中の炭素源は、適宜サンプリングを行い、グルコース濃度を測定(グルコースCIIテストワコーを使用)し、5〜30g/Lの範囲になるように高濃度のグルコース溶液をぺリスターポンプにて供給した。また、窒素源は、DOの急激な増加傾向(DOの1分当たりの増加量が1.0ppm以上)が観測されたら、直ちに高濃度の硫酸アンモニウム溶液をぺリスターポンプにて供給し、観測後3分以内に培地中の硫酸アンモニウム濃度(アンモニアテストワコーによって測定)が2.4g/Lになるようにした。更に、培養時間30時間以降は、窒素源の供給をストップした。このようにして48時間培養した。培養中の培地における窒素源に対する炭素源のモル比(炭素源/窒素源)は21〜68の間で推移し、添加した総炭素源量は82g/L、総窒素源量は9.9g/Lであった。
[菌体分離]
このようにして得た培養液から遠心分離(8000rpm)によって菌体を回収し、純水で2回洗浄を行った。この菌体を105℃、24時間乾燥して乾燥菌体20.3g/Lを得た。
[混合ポリマーの分離・精製]
得られた乾燥菌体にクロロホルムを加え、還流させて菌体内よりPHAを抽出した。濾過により菌体を除去し、クロロホルム溶液を濃縮して、メタノールに再沈殿させた後、上澄みのメタノールを取り除き、真空乾燥機で乾燥して、PHA9.8g/Lを得た。
[ランダムコポリマー、3HBホモポリマーの単離]
得られたPHAにアセトンを加え、還流させた後、濾過によりアセトン不溶部を取り除いた。アセトン不溶部を真空乾燥機で乾燥し、3HBホモポリマーを得た。また、アセトン不溶部を濃縮して、ランダムコポリマーを得た。ランダムコポリマーと3HBホモポリマーとの混合比は15.3:84.7(=15:85)であった。また、ガスクロマトグラフィ(ガスクロマトグラフGC−17A、島津製作所社製)によって、ランダムコポリマーのモノマー組成比を測定した結果、モノマー組成比(モル%比)は、C4単位:C6単位:C8単位:C10単位:C12単位=13.7:8.9:26.1:39.8:11.5であった。
実施例2
本培養の際、培地成分のうちMgSO・7HOと微量元素の濃度を2倍、培養スタート時の回転数を250rpmにし、培養中のpHを水酸化ナトリウム水溶液ではなく、アンモニア水で6.9以上になるように調整する一方、硫酸アンモニウムの供給は行わず、0.1MのMgSO・7HO水溶液を炭素源の供給時に適宜供給した。すなわち、窒素源にアンモニア水を用いることで、pH調整も同時に行った。また、DOを2ppm以上に保った。これ以外の条件は、実施例1と同様にして40時間培養した。培養中の培地における窒素源に対する炭素源のモル比(炭素源/窒素源)は22〜46の間で推移し、添加した総炭素源量は128g/L、総窒素源量は16.8g/L、総MgSO・7HO量は8.1g/Lであった。
得られたPHA(34.6g/L)はランダムコポリマーと3HBホモポリマーとが4.6:95.4(=5:95)で混合された混合ポリマーであった。実施例1と同様にして単離し得られたランダムコポリマーのモノマー組成比は、C4単位:C6単位:C8単位:C10単位:C12単位=13.1:0:32.5:42.7:11.7であった。
比較例1
表1に示した培地成分のうち、グルコース濃度を15g/L、硫酸アンモニウム濃度を1.2g/Lに変えた培地3Lを入れた5L発酵槽(ミツワバイオシステムズ社製)に前培養液を5%植菌し、温度30℃、回転数200rpm、内部圧力0.5kg/cm、空気流量3L/min(1vvm(1分当たりの送気量/培地量))で培養をスタートした。培養中、pHは、水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0以上を保つように調整した。回転数は一定のままとし、炭素源や窒素の供給を行わずに、39時間培養した。
得られたPHA(5.5g/L)はランダムコポリマーと3HBホモポリマーとが18.2:81.8(=18:82)で混合された混合ポリマーであった。実施例1と同様にして単離し得られたランダムコポリマーのモノマー組成比は、C4単位:C6単位:C8単位:C10単位:C12単位=13.6:5.7:20.2:49.8:10.7であった。
比較例2
表1に示した培地成分のうち、グルコース濃度を128g/L、硫酸アンモニウム濃度を29.2g/Lに変えた培地3Lを入れた5L発酵槽(ミツワバイオシステムズ社製)に前培養液を5%植菌し、温度30℃、回転数200rpm、内部圧力0.5kg/cm、空気流量3L/min(1vvm(1分当たりの送気量/培地量))で培養をスタートした。培養中、pHは、水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0以上を保つように調整した。回転数は一定のままで40時間培養した。結果、菌体生育は認められず、PHAは得られなかった。
以下の事項についての実施例1,2、比較例1、2の結果をそれぞれ表3に示す。
・初発炭素源濃度〔g/L〕
・初発窒素源濃度〔g/L〕
・総炭素源量〔g/L〕
・総窒素源量〔g/L〕
・pHの経緯(初発→下限)
・pH調整に使用した試薬(pH調整液)
・培養時間〔h〕
・乾燥菌体量(DCW)〔g/L〕
・PHA生産量〔g/L〕
・PHA含有率〔%〕
上記PHA生産量〔g/L〕を乾燥菌体量〔g/L〕で除して算出した。
・PHA中のホモポリマー含有量〔g/L〕、ランダムコポリマー含有量〔g/L〕
それぞれ得られたPHAにアセトンを加え、還流させた後、濾過によりアセトン不溶部を取り除いた。アセトン不溶部を真空乾燥機で乾燥し、3HBホモポリマーを得た。また、アセトン可溶部を濃縮して乾燥し、ランダムコポリマーを得た。このようにして、それぞれ得られたPHAにおけるホモポリマー含有量〔g/L〕、ランダムコポリマー含有量〔g/L〕を測定した。
・PHA生産性〔g/L・h〕
上記PHA生産量〔g/L〕を、培養時間〔h〕で除し、PHA生産性(生産効率)〔g/L・h〕を算出した。
Figure 2005080529

Claims (11)

  1. 3−ヒドロキシブチレート単位、3−ヒドロキシオクタノエート単位、3−ヒドロキシデカノエート単位及び3−ヒドロキシドデカノエート単位を含む生分解性重合体を産生し得る微生物を培養して生分解性重合体を製造する方法であって、
    窒素源に対する炭素源のモル比を20以上かつ、pHを5.0〜7.0に維持した培地にて上記微生物を培養する工程を含む、生分解性重合体の製造方法。
  2. 窒素源の枯渇後に窒素源を新たに供給することによって、上記窒素源に対する炭素源のモル比を維持することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 上記工程の後、窒素源を供給することなく培養を行う工程をさらに含む、請求項1または2記載の方法。
  4. 窒素源が硫酸アンモニウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 窒素源を用いて培養中のpHを6.6〜7.0に制御した培地に炭素源を供給することによって上記窒素源に対する炭素源のモル比を維持することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 窒素源がアンモニア水である、請求項5に記載の方法。
  7. 上記生分解性重合体が、3−ヒドロキシヘキサノエート単位をさらに含有するものである、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 上記生分解性重合体が、1モル%〜15モル%の3−ヒドロキシブチレート単位と、0モル%〜15モル%の3−ヒドロキシヘキサノエート単位と、15モル%〜55モル%の3−ヒドロキシオクタノエート単位と、15モル%〜55モル%の3−ヒドロキシデカノエート単位と、1モル%〜15モル%の3−ヒドロキシドデカノエート単位とからなるランダムコポリマーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 上記生分解性重合体が、1モル%〜15モル%の3−ヒドロキシブチレート単位と、0モル%〜15モル%の3−ヒドロキシヘキサノエート単位と、15モル%〜55モル%の3−ヒドロキシオクタノエート単位と、15モル%〜55モル%の3−ヒドロキシデカノエート単位と、1モル%〜15モル%の3−ヒドロキシドデカノエート単位とからなるランダムコポリマーと、3−ヒドロキシブチレート単位のみからなるホモポリマーとの混合ポリマーである、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  10. 混合ポリマーが、ランダムコポリマーを5重量%〜50重量%含有するものであることを特徴とする、請求項9記載の方法。
  11. 上記微生物がシュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)RFL−010株(FERM P−18893)である、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
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