JPWO2015122190A1 - ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに微生物製剤 - Google Patents

ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに微生物製剤 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2015122190A1
JPWO2015122190A1 JP2015562746A JP2015562746A JPWO2015122190A1 JP WO2015122190 A1 JPWO2015122190 A1 JP WO2015122190A1 JP 2015562746 A JP2015562746 A JP 2015562746A JP 2015562746 A JP2015562746 A JP 2015562746A JP WO2015122190 A1 JPWO2015122190 A1 JP WO2015122190A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyhydroxyalkanoic acid
decomposing
acid
classified
polyhydroxyalkanoic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015562746A
Other languages
English (en)
Inventor
亨 重松
亨 重松
晃徳 井口
晃徳 井口
剛彦 菅谷
剛彦 菅谷
松本 圭司
圭司 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THE NIIGATA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
Kaneka Corp
Original Assignee
THE NIIGATA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THE NIIGATA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY, Kaneka Corp filed Critical THE NIIGATA INSTITUTE OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
Publication of JPWO2015122190A1 publication Critical patent/JPWO2015122190A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F3/00Biological treatment of water, waste water, or sewage
    • C02F3/34Biological treatment of water, waste water, or sewage characterised by the microorganisms used
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/20Bacteria; Culture media therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/20Bacteria; Culture media therefor
    • C12N1/205Bacterial isolates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12RINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES C12C - C12Q, RELATING TO MICROORGANISMS
    • C12R2001/00Microorganisms ; Processes using microorganisms
    • C12R2001/01Bacteria or Actinomycetales ; using bacteria or Actinomycetales

Abstract

ポリヒドロキシアルカン酸を効率よく分解しメタンを主成分とするバイオガスに変換する嫌気性微生物群集を使用したポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに、メタン発酵プロセスの種汚泥として使用可能な微生物製剤を提供する。下記(A)のメタン生成古細菌、及び、下記(B)の細菌を含んでなる微生物群集により、ポリヒドロキシアルカン酸を分解処理する。(A)Methanosarcina属のメタン生成古細菌、または、単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌(B)Acidobacteria門、Bacteroidetes門、Chloroflexi門、Firmicutes門、Nitrospirae門、Proteobacteria門、Synergistetes門、Thermotogae門、および未分類門のいずれかの門に分類され、ポリヒドロキシアルカン酸を分解しうる細菌

Description

本発明は、ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに、その分解に使用される微生物製剤に関する。
近年、家庭、学校給食、レストランなどから出される生ゴミ等の有機系廃棄物を、メタン発酵法によりメタンを主成分とするバイオガスに変換する技術開発が推進されている。この技術で得られたバイオガスはエネルギーとして再利用できるため、廃棄物処理にかかる費用を低減させるだけでなく、創エネルギー産業の創造へと転換することが可能となる。
しかし、有機系廃棄物をメタン発酵プロセスに利用するためには、その中に含まれるプラスチック廃棄物を分別除去する必要があり、このような分別除去には多大な労力を要することから、メタン発酵技術の大きな課題となっている。
現在までに数多くの微生物において、エネルギー貯蔵物質としてポリエステルを菌体内に蓄積することが知られている。3−ヒドロキシアルカン酸のホモポリマーあるいはコポリマーであるこれらのポリヒドロキシアルカン酸(以下、PHAと称することがある。)は熱可塑性高分子であり、堆肥化や自然環境中で微生物によって分解されることから、環境にやさしいプラスチックとして注目されている。このためこのような生分解性プラスチックは、環境中で利用される農業用資材、使用後の回収・再利用が困難な食品容器、包装材料、衛生用品、ゴミ袋などへの幅広い応用を目指して開発が進められている。特に食品容器や包装材料、ゴミ袋などをメタン発酵に用いる際に分別除去の必要がなくなると、前記課題の解決につながり、大きな期待が寄せられている。
しかし、現在のプラスチック使用量を考慮すると、自然界やメタン発酵プロセスに存在する微生物による分解を待っているだけでは処理しきれなくなることが予想される。そこでPHAを分解する微生物を探索して、これを利用して積極的にPHAを分解する方法が検討されている。
PHAはshort−chain−length PHA(以下、PHASCLと称することがある。;炭素数3〜5)とmedium−chain−lengthPHA(以下PHAMCLと略す;炭素数6〜14)に分類されている。PHAを分解する菌株は細菌やカビに広く分布し、PHASCLやPHAMCLを分解する微生物が多数分離されている(非特許文献1)。ほとんどの細菌はPHASCLまたはPHAMCLを特異的に分解する。また、両タイプのPHAを分解できる微生物としてStreptomyces exfoliatusが見いだされているが、この微生物はそれぞれのタイプのPHAに対応する2種類以上の分解酵素を持つために両タイプのPHAを分解可能であることが分かっている(非特許文献2、非特許文献3)。
近年、PHASCLの一種である3−ヒドロキシ酪酸(以下3HBと略すことがある)とPHAMCLの一種である3−ヒドロキシヘキサン酸(以下3HHと略すことがある)の共重合ポリエステル(以下PHBHと略すことがある)およびその製造方法について研究がなされている。
PHBHの分解酵素に関する研究は少ないが、Bacillus megaterium N18−25−9株の生産するPHB分解酵素と、同株より単離されたPHB酵素遺伝子及びPHB酵素遺伝子発現ベクターにより形質転換された当該形質転換体を培養することにより得られるPHBH分解酵素とがあることが知られている(非特許文献3、非特許文献4)。前記株は生育条件温度が20〜45℃の範囲にある。
また、PHBHを分解するサーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)が単離され、この株からクローン化したデポリメラーゼ遺伝子を宿主細胞で発現させることにより製造したデポリメラーゼの活性は、至適温度が65〜75℃と高く、そのPHBH分解活性も非常に優れていることが見出された(特許文献1)。
しかし、これらの優れた研究成果は全て好気的な環境で生息する微生物によるPHAの分解に関する成果である。メタン発酵は嫌気性微生物群集の相互作用によって有機物をメタンへと変換するプロセスであるため、PHBHを含むPHAあるいはPHBHを含む有機系廃棄物のメタン発酵への利用のためには、PHBHを含むPHAの分解能を持つ嫌気性微生物群集を用いる必要がある。
ところが、メタン発酵によるPHAの分解については研究例がほとんど無い。
特許文献1:特開2009−207424号公報
非特許文献1:Jendrossek等,Ann.Rev.Microbiol.2002,vol56,403.
非特許文献2:Schirmer等,Appl.Environ.Microbiol.,vol59,1220(1993)
非特許文献3:Klingbeil等,FEMS Microbiol.Lett.,vol142,215(1996)
非特許文献4:Takaku等,FEMS Microbiol.Lett.,vol264,152(2006)
本発明は、上記現状に鑑み、PHAを効率よく分解しメタンを主成分とするバイオガスに変換する嫌気性微生物群集を使用したPHA分解方法、並びに、メタン発酵プロセスの種汚泥として使用可能な微生物製剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、嫌気性消化槽汚泥を種汚泥とし、PHA粉末及び酢酸塩を炭素源として含有する合成廃水を連続供給することによって生成した特定の微生物群種が、PHAの分解性に優れ、PHAを効率的に分解しメタンを主成分とするバイオガスを生産することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(11)を提供するものである。
(1)ポリヒドロキシアルカン酸を生物学的に分解する方法であって、下記(A)のメタン生成古細菌、及び、下記(B)の細菌を含んでなる微生物群集により、ポリヒドロキシアルカン酸を分解処理することを特徴とするポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(A)Methanosarcina属のメタン生成古細菌、または、単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌
(B)Acidobacteria門、Bacteroidetes門、Chloroflexi門、Firmicutes門、Nitrospirae門、Proteobacteria門、Synergistetes門、Thermotogae門、および未分類門のいずれかの門に分類され、ポリヒドロキシアルカン酸を分解しうる細菌
(2)前記(A)の古細菌が、Methanosarcina属のメタン生成古細菌を含有するポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(3)前記(A)の古細菌が、Methanosarcina属のメタン生成古細菌と、単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌の両方を含有するポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(4)前記(B)の細菌が、Firmicutes門に分類される細菌の少なくとも1種を含有するポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(5)前記Firmicutes門に分類される細菌が、16S rRNA遺伝子のクローンの割合として、前記微生物群集の全体に対し占める割合が50%以上95%以下であるポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(6)前記Firmicutes門に分類される細菌が、Peptococcaceae科またはThermoanearobacteraceae科に分類される細菌を、16S rRNA遺伝子のクローンの割合として合計で20%以上95%以下含有しているポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(7)嫌気条件下でポリヒドロキシアルカン酸を分解処理するポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(8)20〜65℃の温度条件下でポリヒドロキシアルカン酸を分解処理するポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(9)前記ポリヒドロキシアルカン酸が3−ヒドロキシ酪酸および3−ヒドロキシヘキサン酸のうち少なくとも1種類を繰り返し単位構造として含む重合体であるポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(10)ポリヒドロキシアルカン酸が3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸を繰り返し単位構造として含む重合体であるポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
(11)下記(A)のメタン生成古細菌、及び、下記(B)の細菌を含む、ポリヒドロキシアルカン酸分解及びメタン製造用微生物製剤。
(A)Methanosarcina属のメタン生成古細菌または単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌
(B)Acidobacteria門、Bacteroidetes門、Chloroflexi門、Firmicutes門、Nitrospirae門、Proteobacteria門、Synergistetes門、Thermotogae門、および未分類門のいずれかの門に分類され、ポリヒドロキシアルカン酸を分解しうる細菌

本発明により、PHBH等のPHAを、効率良く安価に分解し、メタンを主成分とするバイオガスを製造することが可能となる。これにより、PHBH等のPHAから形成されたゴミ袋ごと生ゴミを処理し、エネルギーとして再利用することが可能になる。
PHBH:酢酸塩の炭素濃度比2:8の合成廃水を希釈率0.05d−1で運転するリアクター槽内液の顕微鏡観察による位相差像 前記顕微鏡観察による蛍光像 リアクターから検出された16S rRNA遺伝子クローンのFirmicutes門における系統樹を示した図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、PHAを効率的に分解する方法であって、特定の微生物群を使用して、特に嫌気条件において、PHAを生物学的に分解しメタンを主成分とするバイオガスに変換する方法である。
本発明におけるPHAは以下の一般式で表される。
Figure 2015122190
(式中のRは炭素数1〜13のアルキル基を表し、mは2以上の整数を表す。m個のRは同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
本発明において、PHAは、3HB及び3HHのうち少なくとも1種類から構成されるPHAが好ましく、より好ましくは、下記一般式:
Figure 2015122190
(式中のm、nは1以上の整数を表す)で表される、3HBと3HHから構成される共重合体である。
本発明の微生物群集は、(A)メタン生成古細菌と(B)PHA、特にPHBHを分解し、酢酸、水素、二酸化炭素といった、メタン生成古細菌の基質となる物質を生成する過程を担う微生物(細菌)により構成される。
(A)のメタン生成古細菌は、詳細には、Methanosarcina属のメタン生成古細菌または単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌である。PHAの分解性の点でMethanosarcina属のメタン生成古細菌を含むことが好ましく、PHAの分解性が更に優れる点で、Methanosarcina属のメタン生成古細菌と単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌の両方の細菌を含有することがより好ましい。
(B)の細菌としては、Acidobacteria門、Bacteroidetes門、Chloroflexi門、Firmicutes門、Nitrospirae門、Proteobacteria門、Synergistetes門、Thermotogae門、および未分類門のいずれかの門に分類され、PHAを分解しうる細菌であれば、特に制限はないが、PHAの分解性に優れる点でFirmicutes門に分類される細菌を含有することが好ましい。特に、Firmicutes門に分類される細菌が、16S rRNA遺伝子クローンの割合として、前記微生物群集の全体に対して占める割合は、下限値が、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、69%以上が特に好ましい。また、その上限値は95%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、79%以下が特に好ましい。
また、更にPHAの分解性の点で、Firmicutes門に分類される細菌として、Peptococcaceae科またはThermoanearobacteraceae科に分類される細菌を含有することが好ましく、さらに、Firmicutes門に分類される細菌のうち、Peptococcaceae科またはThermoanearobacteraceae科に分類される細菌が合計で占める割合は、16S rRNA遺伝子クローンの割合として、下限値が20%以上が好ましく、25%以上がより好ましく、29%以上が特に好ましい。また、その上限値は95%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、83%以下が特に好ましい。
本発明による嫌気性微生物群集は、PHB、PHBH等を含むPHAを分解する活性を有している。
本発明によってPHAを分解する際の分解処理温度は、微生物の活性に優れる点で、20〜65℃が好ましく、25〜50℃がより好ましく、30〜40℃が特に好ましい。
なお、一般的なメタン発酵プロセスは、通常の場合30〜40℃、あるいは50〜65℃の条件のいずれかで運転されている。
本発明の分解方法は、メタン発酵の設備を有する処理場等においてPHAを分解しバイオガスに変換する際に、既存の設備に適用できる点できわめて有用である。
また、本発明で使用する微生物群集は、酢酸やタンパク質の加水分解物が共存することにより、その分解活性が向上する特徴も有している。
本発明の分解方法は、嫌気条件下で効率よくPHAを分解できることを特徴としており、極めて有用である。
本発明による微生物群集はPHAの分解を目的としたメタン発酵プロセスに使用できる微生物製剤を構成することができる。この微生物製剤はメタン発酵プロセスにおける種汚泥として使用可能である。
これら微生物製剤をもちいてメタン発酵プロセスを構築することによって、PHAを含む有機性廃棄物を原料として、メタンを主成分とするバイオガスを得ることが可能になる。
(PHA分解嫌気性微生物群集の集積方法)
本発明の微生物群集は、既存の嫌気性消化槽汚泥等のメタン発酵プロセスの汚泥から集積することができる。しかし、PHAを効率的に分解できる微生物群を集積できればよく、集積する方法は特に限定されない。
以下に、集積方法として、汚泥を種汚泥とし、PHBHおよび酢酸塩を炭素源として含有する合成廃水を連続的に供給するメタン発酵プロセスによる微生物群の集積方法を例に説明するが、本発明はこれに限定されない。
好ましい集積方法としては、完全混合型リアクターを使用し、乳化したPHBHと酢酸塩を炭素源として含有する合成廃水を、リアクターに対して連続的に供給し、合成廃水の供給速度と同じ速度で槽内液を排出するケモスタット式の連続培養を行う方法が例示できる。
合成廃水におけるPHBHと酢酸塩の濃度比率は炭素濃度として目的の微生物群が集積できれば特に限定されないが、より、PHA分解性を有する微生物群集を得られやすい点で、1:9〜5:5、特に1:9から3:7の範囲の合成廃水を使用することが好ましい。
種汚泥としては、本発明で使用する微生物群集を集積できれば特に制限されないが、効率よく集積できる点で、生ごみを処理するメタン発酵プロセスの槽内液を用いることが好ましい。
合成廃水中の有機態炭素濃度は、PHA分解性を有する微生物群を得られやすい点で、5,000mg/L〜10,000mg/Lが好ましく、特に7,000mg/L〜9,000mg/Lが好ましい。
合成廃水の希釈率は、PHA分解性を有する微生物群を得られやすい点で0.01〜0.1d−1が好ましく、特に0.025〜0.05d−1(水理学的滞留時間20〜40日)の範囲が好ましい。
運転温度は25〜50℃の範囲であれば問題ないが、PHA分解性の高い微生物群を得られやすい点で30〜40℃で運転することが好ましい。
また、集積は、嫌気条件下にて行うことが好ましい。
水理学的滞留時間の2倍から3倍の時間の運転で定常状態に到達し集積が完了し、リアクターの槽内液中に、本発明に使用される微生物群集が集積している。
以上の方法により集積した微生物群集は、PHAを効率的に分解し、メタンを生成する性能を有している。
(PHAの分解方法)
以下に、集積した微生物群集を用いてPHAを分解する方法を説明する。
集積した微生物群集には、(A)Methanosarcina属のメタン生成古細菌または単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌、及び、(B)Acidobacteria門、Bacteroidetes門、Chloroflexi門、Firmicutes門、Nitrospirae門、Proteobacteria門、Synergistetes門、Thermotogae門、および未分類門のいずれかの門に分類され、PHAを分解しうる細菌を含有している。
PHAの分解は、例えば、バイアル瓶を用いた嫌気性回分培養により行うことができる。
ガラスバイアル瓶にリン酸二水素カリウム、炭酸水素カリウム等から作成された無機塩培地とシート状等のPHAを入れ、バイアル瓶をブチルゴム栓等で密閉した後、密封状態を保ちながら微生物群集を含むリアクターの槽内液を添加し、バイアル瓶を振盪しながら回分培養することができる。
培養中の温度は、20〜65℃が好ましく、25〜50℃がより好ましく、30〜40℃が特に好ましい。
また、分解性に優れる点で、反応は嫌気条件下で行うことが好ましいため、密封前に、硫化ナトリウムやシステイン塩酸塩を注射器で添加し、絶対嫌気条件環境とすることができる。
本発明の分解方法により、培養開始後30日以内でPHAシートの分解が認められる。
また、理由は定かではないが、この回分培養においてトリプトンやLブドウ糖などの有機物や酢酸塩等の有機酸塩等を共存させることにより分解を促進させることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術的範囲を限定されるものではない。
〔ポリヒドロキシアルカン酸粉末を用いた分解用微生物群の集積〕
(PHBH粉末合成法)
培養生産にはKNK−631株を用いた。
種母培地の組成は1w/v% Meat−extract、1w/v% Bacto−Tryptone、0.2w/v% Yeast−extract、0.9w/v% NaHPO・12HO、0.15w/v% KHPO、(pH6.8)とした。
前培養培地の組成は1.1w/v% NaHPO・12HO、0.19w/v% KHPO、1.29w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)とした。炭素源としてパーム核油を10g/Lの濃度で一括添加した。
ポリエステル樹脂生産培地の組成は0.385w/v% NaHPO・12HO、0.067w/v% KHPO、0.291w/v% (NHSO、0.1w/v% MgSO・7HO、0.5v/v% 微量金属塩溶液(0.1N 塩酸に1.6w/v% FeCl・6HO、1w/v% CaCl・2HO、0.02w/v% CoCl・6HO、0.016w/v% CuSO・5HO、0.012w/v% NiCl・6HOを溶かしたもの)、0.05w/v% BIOSPUREX200K(消泡剤:コグニスジャパン社製)とした。
まず、KNK−631株のグリセロールストック(50μl)を種母培地(10ml)に接種して24時間培養し種母培養を行なった。次に種母培養液を1.8Lの前培養培地を入れた3Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDL−300型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度33℃、攪拌速度500rpm、通気量1.8L/minとし、pHは6.7〜6.8の間でコントロールしながら28時間培養し、前培養を行なった。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。
次に、前培養液を6Lのポリエステル樹脂生産培地を入れた10Lジャーファーメンター(丸菱バイオエンジ製MDS−1000型)に1.0v/v%接種した。運転条件は、培養温度28℃、攪拌速度400rpm、通気量6.0L/minとし、pHは6.7から6.8の間でコントロールした。pHコントロールには14%水酸化アンモニウム水溶液を使用した。炭素源としてパーム油を使用した。培養は64時間行い、培養終了後、遠心分離によって菌体を回収、メタノールで洗浄、凍結乾燥し、得られた乾燥菌体の重量を測定した。
得られた乾燥菌体1gに100mlのクロロホルムを加え、室温で一昼夜攪拌して、菌体内のポリエステル樹脂を抽出した。菌体残渣をろ別後、エバポレーターで総容量が30mlになるまで濃縮後、90mlのヘキサンを徐々に加え、ゆっくり攪拌しながら、1時間放置した。析出したポリエステル樹脂をろ別後、50℃で3時間真空乾燥し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の3HH組成は以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定した。
乾燥ポリエステル樹脂20mgに2mlの硫酸−メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱して、ポリエステル樹脂分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生がとまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、遠心して、上清中のポリエステル樹脂分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析した。
ガスクロマトグラフは島津製作所GC−17A、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製NEUTRA BOND−1(カラム長25m、カラム内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、サンプルは1μlを注入した。温度条件は、初発温度100から200℃まで8℃/分の速度で昇温、さらに200から290℃まで30℃/分の速度で昇温した。上記条件にて分析した結果、得られたポリエステル樹脂はPHBHであった。前記PHBHにおける3−ヒドロキシブチレート(3HB)の比率は、89モル%、3−ヒドロキシヘキサノエート(3HH)の比率は、11モル%であった。
培養後、培養液から国際公開第2010/067543号に記載の方法にてPHBH粉末を得た。GPCで測定した重量平均分子量は65万であった。
(合成廃水調製例1)
1L容ビーカーに約800mLの蒸留水をいれ、撹拌子でかき混ぜながら、酢酸、酢酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸水素カリウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム六水和物、システイン塩酸塩一水和物、微量元素溶液、ビタミン溶液を添加し混合した。更に約100mLの蒸留水に懸濁させたPHBH粉末を超音波ホモジナイザーにて分散し、上記の水溶液に添加し、蒸留水で1LにメスアップすることでPHBHと酢酸塩の炭素濃度比(PHBH:酢酸塩)=1:9の合成廃水aを調製した。尚、合成廃水aは、総炭素濃度8,000mg/Lとなるように調製した。合成廃水aにおける各化合物の組成比を表1に示した。
Figure 2015122190
(合成廃水調製例2、3)
合成廃水調製例1の方法に従い、表1に示したPHBHと酢酸塩の炭素濃度比、および各化合物の組成比で、合成廃水b、cを調製した。
(CODcr除去率の測定方法、およびPHBH分解率の算出方法)
各合成廃水およびリアクター槽内液のCODcr(化学的酸素要求量:有機物量の指標)は、試料中の有機物をニクロム酸カリウムで酸化した際に要求される酸素量として、COD試薬HR (Hach社)を用いて測定した。
リアクター槽内液のCODcrを合成廃水のCODcrで除した値を1から引き、百分率で表した数値をCODcr除去率とした。
リアクター槽内液および合成廃水の水溶性CODcrと、不溶性成分を含む全CODcrをそれぞれ測定し、その差から不溶性成分のみのCODcrを算出した。この不溶性CODcrから不溶性CODcr除去率を算出し、これをPHBHの分解率とした。
(バイオガス発生速度の測定方法)
リアクターから発生したバイオガスはプラスチック製のガスホルダに集気し、24時間間隔で発生バイオガス量を測定した。これを1時間当たりのバイオガス発生量に換算した数値をバイオガス発生速度とした。
〔微生物群の集積〕
(実施例1)
表2に示した微生物群を含有する嫌気性消化槽汚泥を種汚泥として、実容積1Lの完全混合型リアクターを37℃に設定した恒温水槽(実際の温度は36〜38℃)に浸漬し、嫌気的に運転した。乳化した合成廃水aを完全混合型リアクターに対して連続的に供給した。
合成廃水供給速度と同じ速度で槽内液を排出するケモスタット式の連続培養を行った。この連続培養を通して、種汚泥中に生息する微生物の中から、PHBHの分解ならびにメタンガス生成に寄与する微生物群集を集積した。
前記連続培養において、合成廃水aを希釈率0.025d−1の速度で供給し、培養を水理学的滞留時間(この場合40d)の三倍の期間継続し、培養が定常状態に到達した後のリアクター処理性能をCODcr除去率ならびにバイオガス発生速度で評価し、その結果を表3に示した。
Figure 2015122190
Figure 2015122190
この合成廃水aに含まれる有機態炭素の10%がPHBH由来であり、供給されたPHBHのうち約44重量%が分解され無機化された。
(実施例2〜5)
表3に示した合成廃水、および希釈率とした以外は、実施例1と同様の方法でPHBH粉末を処理し、それぞれの定常状態でのリアクター処理性能をCODcr除去率ならびにバイオガス発生速度で評価し、その結果を表3に示した。
PHBH:酢酸塩の炭素濃度比2:8の合成廃水bを供給した条件では、CODcr除去率は希釈率0.025d−1で92.4%(実施例2)、0.05d−1で91.7%であった(実施例3)。この合成廃水bに含まれる有機態炭素の20%がPHBH由来であり、供給したPHBHのうちそれぞれ約62重量%、58重量%が分解され無機化された。
PHBH:酢酸塩の炭素濃度比3:7の合成廃水cを供給した条件では、CODcr除去率は希釈率0.025d−1で93.7%(実施例4)、0.05d−1で87.7%であった(実施例5)。この合成廃水cに含まれる有機態炭素の30%がPHBH由来であり、供給したPHBHのうちそれぞれ約79重量%、59重量%が分解され無機化されていた。
バイオガスの発生速度は、合成廃水の種類によらず、希釈率0.025d−1において約4ml/h、0.05d−1において約8ml/hでほぼ一定しており、全てのリアクター運転条件において、PHBH粉末を約40〜79重量%分解できており、全リアクター槽内にはPHBHを嫌気的に分解してメタンを生成する微生物群が集積されたと考えられる。
〔ポリヒドロキシアルカン酸シートの嫌気生分解性試験〕
実施例2〜5における各リアクター槽内に集積された微生物群のシート状PHBHの分解性能を評価するために、嫌気環境におけるPHBHシートの分解試験を行った。
(PHBHシート作成法)
PHBH粉末(3HH比率11モル%)を同方向噛合型二軸押出機(東芝機械社製:TEM−26SS)を用いて、設定温度100〜140℃(出口樹脂温度160℃)、スクリュ回転数100rpmで溶融混練し、ダイスからストランド状に引き取り、ペレット状にカットした。
続いて、得られたペレットを60℃で十分に乾燥させた後、横幅:150mm、リップ幅:0.25mmのT型ダイスを装着した単軸押出機(東洋精機製作所製「20C200型」ラボプラストミル)を用いて、成形温度:140〜170℃、スクリュ回転数:50rpmの条件で押し出し、55℃に温調した冷却ロールで引き取り、幅約110mm、厚み約50μmのTダイシートを得た。
(分解性の評価)
分解処理後の培地からPHBHシートを取り出し、PHBHシートの分解状態を、以下の基準により4段階で評価した。
−:未分解(シートの形状に変化がみられない。)
+:破損(分解により、切断や穴が開いたりしてシートの一部が破損しているが、長方形のシートの原型が保たれている。)
++:崩壊(シートの原型が認められないが、分解されたシートの残骸が観察される。)
+++:消滅(シートの原型もシートの残骸も培養液中に見られない)
(実施例6)
100ml容ガラスバイアル瓶に、表4に示した組成の無機塩培地40mlと、1cm×4cmに切断した厚み50μmのPHBHシート1枚とを入れ、N:CO=80:20の混合ガスで培地中の酸素を20分間置換した後、バイアル瓶をブチルゴム栓で密閉し、硫化ナトリウムおよびシステイン塩酸塩を注射器で添加することで絶対嫌気環境とした。
Figure 2015122190
このバイアル瓶に実施例2のリアクターの槽内液を10ml注射器で添加し、37℃で振盪しながら回分培養しつつ、分解性評価を適時行い、その結果を表5に示した。培養開始後9日から27日にかけて、PHBHシートの分解が認められた。
Figure 2015122190
(実施例7〜9)
表5に示したリアクター槽内液を使用した以外は、実施例6と同様の方法で培養し、分解性評価を行い、その結果を表5に示した。
使用した槽内液のリアクター運転条件によらず、培養開始後21日から27日にかけて顕著にPHBHシートが崩壊した。
各リアクターに集積した微生物群集はシート状のPHBHに対しても分解能を持つことが判った。
(比較例1)
実施例1の種汚泥である表2に示した微生物群を含有する嫌気性消化槽の槽内液を用いた以外は、実施例6と同様の方法で分解性評価を行い、その結果を表5に示した。
〔酢酸塩添加系のポリヒドロキシアルカン酸シートの嫌気生分解性試験)
実施例1〜5においてリアクターに供給している合成廃水には酢酸塩が含まれている。酢酸塩の共存によるPHBHシートの分解能を評価した。
(実施例10)
バイアル瓶に6.8g/Lの酢酸塩をさらに添加した上で回分培養を行った以外は、実施例6と同様の方法で培養し、分解性評価を行った。その結果を表6に示した。
酢酸塩を添加することにより酢酸塩無添加の条件よりもPHBHシートの分解性に優れることが判った。
Figure 2015122190
(実施例11〜13)
表6に示したリアクター槽内液を用いた以外は、実施例10と同様の方法で培養し、分解性評価を行った。その結果を表6に示した。
いずれの場合でも、酢酸塩を添加することにより酢酸塩無添加の条件よりもPHBHシートの分解性に優れることが判った。
〔有機物添加系のポリヒドロキシアルカン酸シートの嫌気生分解性試験)
PHBHシートをごみ袋に使用した場合、生ごみを袋ごとメタン発酵により処理する必要があるため、有機物の共存下でPHBHシートの分解性を評価した。
(実施例14)
タンパク質の加水分解物であるトリプトンを10g/Lの濃度となるようにバイアル瓶にさらに添加した上で回分培養を行った以外は、実施例6と同様の方法で培養し、分解性評価を行った。その結果を表7に示した。
タンパク質の加水分解物を添加した条件下であっても、分解性に低下は見られず、無添加の条件よりもPHBHシートの分解性に優れることが判った。
Figure 2015122190
(実施例15〜17)
表7に示したリアクター槽内液を用いた以外は、実施例14と同様の方法で培養し、分解性評価を行った。その結果を表7に示した。
いずれの場合でも、タンパク質の加水分解物を添加した条件下であっても、分解性に低下は見られず、無添加の条件よりもPHBHシートの分解性に優れることが判った。
(実施例18)
10g/Lのトリプトンと共に、5g/Lのブドウ糖をバイアル瓶にさらに添加した上で回分培養を行った以外は、実施例16と同様の方法で回分培養を行った。その結果、回分培養開始後5日でシートが崩壊した。このことから、タンパク質由来の有機物と炭水化物由来の有機物が共存した条件でも、リアクター槽内に集積した微生物群集はPHBHシートの分解性を示すことが判った。
〔各リアクターに生息する微生物の顕微鏡観察〕
(実施例19)
実施例3のリアクター槽内液を採取し、落射蛍光顕微鏡(BX−41,オリンパス社)を用いて槽内液に存在する細胞を観察し、その結果を図1に示す。
リアクター槽内には、凝集塊を形成する細胞が優占しており、それ以外に、球菌、桿菌、単桿菌からなる多様な微生物細胞が検出された。水素資化性メタン生成古細菌に特有な補酵素F420を蛍光観察により検出した結果、凝集塊を形成する細胞が青白い蛍光を発することが観察された。
補酵素F420の自家蛍光を発し、凝集塊を形成する細胞は、酢酸、水素および二酸化炭素を資化してメタンを生成するMethanosarcina属のメタン生成古細菌と考えられる。また、同時に、自家蛍光を示す単桿菌状の細胞も観察されたことから、Methanosarcina属以外の水素資化性メタン生成古細菌の存在を示唆している。
自家蛍光を示さない球菌、桿菌、単桿菌からなる多様な微生物細胞が、PHBHを直接あるいは間接的に分解している細菌である。これらの細菌がPHBHを分解して、メタン生成古細菌の基質である酢酸、水素および二酸化炭素を生成する。
(実施例20〜23)
実施例1、2、4、5のリアクター槽内液について実施例19と同様に顕微鏡観察した結果、供給する合成廃水のPHBH:酢酸塩の炭素濃度比および希釈率の違いに関わらず、実施例19と同様の結果が観察された。
〔16SrRNA遺伝子のクローンライブラリの構築〕
(実施例24)
実施例3のリアクター槽内液に生息する微生物のDNAをDNA抽出キットISOIL for Beads Beating(ニッポンジーン社)を用いて抽出した。得られたDNAを鋳型として、前記微生物に含まれる細菌の16SrRNA遺伝子を、Go Taq Green Master Mix(Promega社)を用いたPCR法により増幅した。使用したPCRプライマーは、EUB338mixFと1490R(5‘-GGTTACCTTGTTACGACTT-3’)である。
その結果、1100塩基対のDNA断片がPCR産物として増幅された。得られたDNA断片は、MinElute PCR purification Kit (QIAGEN社)を用いて精製した。精製したDNA断片は、TOPO TA Cloning Kit(Life technologies社)を用いて、ベクタープラスミドpCR2.1-TOPOに連結後、大腸菌に導入し、リアクターから約50個の16SrRNA遺伝子のクローンからなる遺伝子ライブラリを構築した。
(実施例25〜27)
実施例2、実施例4、実施例5のリアクター槽内液を用いた以外は、実施例24と同様の方法で各リアクターからそれぞれ約50個の16SrRNA遺伝子のクローンからなる遺伝子ライブラリを構築した。
〔16SrRNA遺伝子の塩基配列に基づく各リアクターに生息する微生物の系統分類〕
(実施例28)
実施例24で得られた形質転換体に含まれるプラスミドに挿入された16S rRNAの塩基配列を、シーケンスプライマー907Rを用いて決定した。塩基配列の決定は、タカラバイオ社ドラゴンジェノミクスセンターにて行った。得られた塩基配列は、NCBI(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLASTプログラムにより相同性検索を行った。その後、ミュンヘン工科大学のARBプログラム(http://www.arb-home.de/)を用いて16S rRNAのアライメントを行い分子系統学的な解析を行った。解読した16S rRNA遺伝子配列のV3−V4領域を含む約500bpに対して、配列の相同性がお互いに97%以上であるものを同一のOTU(Operational Taxonomy Unit)としてグループ化した。各OTU代表配列の分類は、Blastプログラムの相同性検索によって得た最も相同性の高い遺伝子配列を、マックス・プランク研究所のThe SILVA ribosomal database project (http://www.arb−silva.de) のデータベース SILVA ver. 117 に照合し、その配列の属する分類とした。実際には、リアクター由来の16S rRNA遺伝子配列から44のOTUに絞り込んだ。次に、各OTUの代表クローンの塩基配列とそれぞれに最も相同性の高い種の16S rRNA遺伝子配列を用いて近隣結合法(NJ法)ならびに最節約法(MP法)により最終的な系統樹を作成した。
リアクター由来の16S rRNA遺伝子を門および綱レベルで分類した結果を表8に示した。
Figure 2015122190
(実施例29〜31)
実施例2、実施例4、実施例5のリアクター槽内液を使用した以外は、実施例28と同様の方法で、リアクター由来の16S rRNA遺伝子を門および綱レベルで分類し、その結果を表8に示した。
リアクターの運転条件により細菌の構成は異なり、のべ9の門(門レベルの未分類群を含む)に分布していることが判明した。その中でも、Firmicutes門に分類されたクローンが、リアクター運転条件に関わらず顕著に高頻度に検出された。PHBH:酢酸塩の炭素濃度比2:8の合成廃水を希釈率0.05d−1で運転するリアクター(実施例3)、希釈率0.025d−1で運転するリアクター(実施例2)、PHBH:酢酸塩の炭素濃度比3:7の合成廃水を希釈率0.05d−1で運転するリアクター(実施例5)、希釈率0.025d−1で運転するリアクター(実施例4)から得られた16S rRNA遺伝子の、それぞれ69.8%、72.9%、78.7%、72.9%がFirmicutes門に分類された。さらに、綱レベルで分類した結果、Clostridia綱に分類されるクローンが多く検出された。PHBHの分解リアクターの細菌の群集の特徴的な構成であり、この門に分類される細菌、特にClostridia綱に分類される細菌がPHBHを分解する主要な役割を果たしていると考えられる。
(実施例32)
実施例3のリアクター由来の16S rRNA遺伝子の内、Firmicutes門に分類されたものをさらに詳細に分類した。系統樹を作成した結果、Firmicutes門に分類された16S rRNA遺伝子は、さらに7つのグループに分類されることが示された(図2、表9)。
(実施例33〜35)
実施例2、実施例4、実施例5について、実施例32と同様の方法で、各々のリアクター由来の16S rRNA遺伝子の内、Firmicutes門に分類されたものをさらに詳細に分類し、その結果を図2および表9に示した。
Figure 2015122190
尚、図2では、リアクターから検出された16S rRNA遺伝子クローンのFirmicutes門における系統樹を示しており、実施例32〜35にて得られたクローンを太字で示し、カッコ内には、検出されたクローンの数と、全クローン数(Firmicutes門以外のクローンも含む)186を示した。図中のバーの長さは10%の塩基配列の不一致を示す。アウトグループには、Synergistetes門の細菌Cloacibacillus evryensisを用いた。
7つのグループの中でも、リアクターの運転条件によらず多くのクローンが分類されたグループが、Group 5であり、Peptococcaceae科ならびにThermoanaerobacteraceae科の細菌により構成されるグループである。Firmicutes門、Clostridia綱の中でも、特にこのグループに属する細菌がPHBHを分解する主要な役割を果たしていると考えられる。

Claims (11)

  1. ポリヒドロキシアルカン酸を生物学的に分解する方法であって、下記(A)のメタン生成古細菌、及び、下記(B)の細菌を含んでなる微生物群集により、ポリヒドロキシアルカン酸を分解処理することを特徴とするポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
    (A)Methanosarcina属のメタン生成古細菌、または、単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌
    (B)Acidobacteria門、Bacteroidetes門、Chloroflexi門、Firmicutes門、Nitrospirae門、Proteobacteria門、Synergistetes門、Thermotogae門、および未分類門のいずれかの門に分類され、ポリヒドロキシアルカン酸を分解しうる細菌
  2. 前記(A)の古細菌が、Methanosarcina属のメタン生成古細菌を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  3. 前記(A)の古細菌が、Methanosarcina属のメタン生成古細菌と、単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌の両方を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  4. 前記(B)の細菌が、Firmicutes門に分類される細菌の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいすれか1項に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  5. 前記Firmicutes門に分類される細菌が、16S rRNA遺伝子のクローンの割合として、前記微生物群集の全体に対し占める割合が50%以上95%以下であることを特徴とする請求項4に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  6. 前記Firmicutes門に分類される細菌が、Peptococcaceae科またはThermoanearobacteraceae科に分類される細菌を合計で、16S rRNA遺伝子のクローンの割合として20%以上95%以下含有していることを特徴とする請求項4または5に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  7. 嫌気条件下でポリヒドロキシアルカン酸を分解処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  8. 20〜65℃の温度条件下でポリヒドロキシアルカン酸を分解処理することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  9. 前記ポリヒドロキシアルカン酸が3−ヒドロキシ酪酸および3−ヒドロキシヘキサン酸のうち少なくとも1種類を繰り返し単位構造として含む重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  10. ポリヒドロキシアルカン酸が3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシヘキサン酸を繰り返し単位構造として含む重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヒドロキシアルカン酸の分解方法。
  11. 下記(A)のメタン生成古細菌、及び、下記(B)の細菌を含むポリヒドロキシアルカン酸分解及びメタン製造用微生物製剤。
    (A)Methanosarcina属のメタン生成古細菌、または、単桿菌状の水素資化性メタン生成古細菌
    (B)Acidobacteria門、Bacteroidetes門、Chloroflexi門、Firmicutes門、Nitrospirae門、Proteobacteria門、Synergistetes門、Thermotogae門、および未分類門のいずれかの門に分類され、ポリヒドロキシアルカン酸を分解しうる細菌
JP2015562746A 2014-02-14 2015-02-12 ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに微生物製剤 Pending JPWO2015122190A1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014026498 2014-02-14
JP2014026498 2014-02-14
PCT/JP2015/000644 WO2015122190A1 (ja) 2014-02-14 2015-02-12 ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに微生物製剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2015122190A1 true JPWO2015122190A1 (ja) 2017-03-30

Family

ID=53799938

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015562746A Pending JPWO2015122190A1 (ja) 2014-02-14 2015-02-12 ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに微生物製剤

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP3106513A4 (ja)
JP (1) JPWO2015122190A1 (ja)
WO (1) WO2015122190A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10505412B2 (en) 2013-01-24 2019-12-10 Clearwater Holdings, Ltd. Flux machine
AU2015292613A1 (en) 2014-07-23 2017-01-19 Clearwater Holdings, Ltd. Flux machine
JP2019081149A (ja) * 2017-10-31 2019-05-30 国立大学法人東京工業大学 廃水の嫌気性処理方法及び微生物製剤
JP7142501B2 (ja) * 2018-07-03 2022-09-27 日立造船株式会社 バイオガスの発生量を予測するための予測情報の作成方法、および、当該予測情報の利用

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009207424A (ja) * 2008-03-04 2009-09-17 Kaneka Corp ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに微生物製剤及び酵素製剤
JP2010527786A (ja) * 2007-05-31 2010-08-19 ケミラ オイ 浄水法における酵素的なスラッジ処理方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014132831A (ja) * 2011-04-29 2014-07-24 Kaneka Corp 水浄化方法および水浄化用液

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010527786A (ja) * 2007-05-31 2010-08-19 ケミラ オイ 浄水法における酵素的なスラッジ処理方法
JP2009207424A (ja) * 2008-03-04 2009-09-17 Kaneka Corp ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに微生物製剤及び酵素製剤

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
SHIGEMATSU T., ET AL.: "Microbial Diversity of Mesophilic Methanogenic Consortium That Can Degrade Long-Chain Fatty Acids in", THE JOURNAL OF BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING, vol. Vol. 102, No. 6, JPN6015015303, 2006, pages 535 - 544, XP028042373, DOI: doi:10.1263/jbb.102.535 *
TANG Y. Q., ET AL.: "Anaerobic Treatment Performance and Microbial Population of Thermophilic Upflow Anaerobic Filter Rea", THE JOURNAL OF BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING, vol. Vol. 104, No. 4, JPN6015015300, 2007, pages 281 - 287, XP022349146, DOI: doi:10.1263/jbb.104.281 *
YAGI H., ET AL: "Thermophilic anaerobic biodegradation test and analysis of eubacteria involved in anaerobic biodegra", POLYMER DEGRADATION AND STABILITY, vol. Vol. 98, JPN6015015298, 2013, pages 1182 - 1187, XP028591129, DOI: doi:10.1016/j.polymdegradstab.2013.03.010 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP3106513A1 (en) 2016-12-21
EP3106513A4 (en) 2017-08-30
WO2015122190A1 (ja) 2015-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Mannina et al. Recovery of polyhydroxyalkanoates (PHAs) from wastewater: A review
Teixeira et al. Towards controlled degradation of poly (lactic) acid in technical applications
Luyt et al. Can biodegradable plastics solve plastic solid waste accumulation?
Liao et al. Biodegradable plastics in the air and soil environment: Low degradation rate and high microplastics formation
Ahmed et al. Biodegradation of plastics: current scenario and future prospects for environmental safety
Mastropetros et al. Biopolymers production from microalgae and cyanobacteria cultivated in wastewater: Recent advances
Abou-Zeid et al. Degradation of natural and synthetic polyesters under anaerobic conditions
Shah et al. Biological degradation of plastics: a comprehensive review
Azeko et al. Biodegradation of linear low density polyethylene by Serratia marcescens subsp. marcescens and its cell free extracts
WO2015122190A1 (ja) ポリヒドロキシアルカン酸の分解方法、並びに微生物製剤
Lee et al. Production of medium-chain-length polyhydroxyalkanoates by activated sludge enriched under periodic feeding with nonanoic acid
Zhang et al. Coupling of polyhydroxyalkanoate production with volatile fatty acid from food wastes and excess sludge
Kushwah et al. RETRACTED ARTICLE: Towards understanding polyhydroxyalkanoates and their use
Tseng et al. Biodegradability and methane fermentability of polylactic acid by thermophilic methane fermentation
Wang et al. Promotion of polylactide degradation by ammonia under hyperthermophilic anaerobic conditions
Koller et al. Polyhydroxyalkanoates (PHA): Microbial synthesis of natural polyesters
Gilani et al. Plastic waste impact and biotechnology: Exploring polymer degradation, microbial role, and sustainable development implications
CN110564783A (zh) 利用剩余污泥与白酒废水联合生产聚羟基烷酸酯的方法
White et al. Comparative study of the biological degradation of poly (3-hydroxybutyrate-co-3-hydroxyhexanoate) microbeads in municipal wastewater in environmental and controlled laboratory conditions
Anitha et al. Microbial synthesis of polyhydroxyalkanoates (PHAs) and their applications
JP2005080529A (ja) 生分解性重合体の製造方法
CN1685048A (zh) 3-羟基链烷酸共聚物的精制方法
JP6864585B2 (ja) ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法
Mudhoo et al. Degradation of biodegradable and green polymers in the composting environment
Amanna et al. Biological degradation of microplastics and nanoplastics in water and wastewater

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160725

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190307

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190903