JP2015176073A - 注射手技練習具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 人体に刺入した感覚に近い注射手技練習具を提供する。【解決手段】弾性チューブからなる模擬血管30が、中間層20上に一部が係合されて支持され、好ましくは、その一端及び他端を係合して支持され、中間層20とは別部材からなるカバー層40により被覆されている。すなわち、模擬血管30は、一部のみが係合され、しかも、中間層20とカバー層40との間でサンドイッチされているだけであるため、注射針の刺入時の力によって、ぶれるような動きを生じやすい。従って、実際に人体の血管に刺入した感覚に極めて近い感覚が得られ、注射手技の練習に適している。【選択図】 図1

Description

本発明は、注射手技練習具に関し、特に、採血、静脈注射(輸液も含む)の手技の教育、練習に適する注射手技練習具に関する。
人体あるいは人体モデルの腕などに装着して、採血や静脈注射の手技を練習する装着型練習具として、特許文献1に示されたものが知られている。すなわち、人体の皮膚を模擬した軟質の薄皮状部材と、この薄皮状部材の下側に配置される皮下組織若しくは筋肉組織を模擬した軟質の肉厚部材とからなり、この肉厚部材に血管を模擬した細管状部材を埋設した構造である。細管状部材に模擬血液を流通させる場合は、細管状部材をループ状にし、該細管状部材の各端部を、装着型練習具の外部に配備した模擬血液貯留容器に連結して模擬血液を流通させる。また、人体に装着する場合に備えて、肉厚部材の下側に、注射針の貫通を防止する保護部材を配置することも開示されている。
特許文献2には、枠体内に、弾性チューブからなる模擬血管を張設し、また、必要に応じて模擬血管の周囲に流動性又は半流動性を有する模擬筋肉層を充填して、注射針の刺入時に血管の動きを再現できるようにした練習具が開示されている。また、枠体をシリコーンゴムから形成することで、腕、脚部等に装着できることも記載されている。
実用新案登録第2541332号公報 実開平6−4768号公報
特許文献1では、血管を模擬した細管状部材を、筋肉組織を模擬した肉厚部材に埋設している。そのため、注射針の刺入時に血管が逃げるようにぶれる現象が生じにくく、実際の刺入時の感覚とはずれがある。特許文献2では、弾性チューブを張設することで、刺入時の動きが生じやすくし、さらに、模擬血管の周囲に流動性又は半流動性を有する模擬筋肉層を設けることで、その動きがより実際に近いものにしようとしている。しかし、特許文献2では、模擬血管としての弾性チューブを枠体内にどのように配設すると、刺入時の動きが生じやすいか、ということについての具体的な説明は全く開示されていない。確かに、特許文献2には、模擬筋肉層内に弾性チューブを埋設して支持すること開示されている。しかし、この手法の場合、弾性チューブが模擬筋肉層で囲まれてしまうため、特許文献1と同様に、弾性チューブ自体は動きにくい。また、特許文献2の図3及び図4には、模擬筋肉層を用いずに弾性チューブを枠体内に配設することが示されているが、弾性チューブを模擬筋肉層を用いずにどのように枠体内で支持するか、並びに、どのように支持すれば弾性チューブが刺入時に動くかについての具体的な開示がない。
また、特許文献1及び2の練習具は、模擬血管(細管状部材や弾性チューブ)が肉厚部材や枠体に予め一体化された構造である。そのため、練習内容や練習者のレベルに拘わらず、同じ練習具を用いなければならず、練習者のレベル等に見合った練習が行い難い。練習者のレベル等に見合った練習を行うとすれば、模擬血管の太さや、配置数、配置角度等の異なる練習具を、予め複数種類準備しておく必要があり、コストも大きい。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、注射針の刺入時における血管が動く感覚と同等の感覚を従来技術よりも、より確実に生じさせることができ、さらに、刺入時の感覚がより人体に刺入した感覚に近い注射手技練習具を提供することを課題とする。また、本発明は、これに加えて、練習者のレベル等に見合った練習を容易にかつ低コストで行うことができる注射手技練習具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の注射手技練習具は、人体に装着される、注射針の突き抜け防止部を備えたベース層と、弾性素材からなり、前記突き抜け防止部上に積層される中間層と、前記中間層上で、一部が係合されて支持される弾性チューブからなる模擬血管と、前記模擬血管を被覆するカバー層とを有することを特徴とする。
前記模擬血管は、その一端及び他端を係合して支持されることが好ましい。前記模擬血管は、前記中間層上における配置角度を調整可能であることが好ましい。前記中間層に、前記模擬血管の一端及び他端を係合する係合部が、それぞれ複数設けられており、前記模擬血管の一端及び他端を、前記複数の係合部の中からそれぞれ選択して係合することにより、前記模擬血管の配置角度を調整可能であることが好ましい。前記模擬血管を複数備えており、それぞれを、前記複数の係合部の中から選択して複数一緒に配置可能であることが好ましい。
また、前記カバー層による前記模擬血管の押し付け力を調整可能であることが好ましい。前記ベース層は、前記突き抜け防止部に隣接して巻き付け部を有し、前記巻き付け部を人体に巻き付けて固定されるものであることが好ましい。前記突き抜け防止部に、アラミド繊維を用いた布帛又は金属製薄板のいずれか少なくとも1種が用いられていることが好ましい。前記ベース層、中間層、模擬血管及びカバー層がそれぞれ別部材から形成され、相互に一体化又は分解可能な組立式であることが好ましい。
本発明では、弾性チューブからなる模擬血管が、中間層上に一部が係合されて支持され、好ましくは、その一端及び他端を係合して支持され、中間層とは別部材からなるカバー層により被覆されている。すなわち、模擬血管は、一部のみが係合され、しかも、中間層とカバー層との間でサンドイッチされているだけであるため、注射針の刺入時の力によって、ぶれるような動きが生じやすい。従って、実際に人体の血管に刺入した感覚に極めて近い感覚が得られ、注射手技の練習に適している。また、ベース層に注射針の突き抜けを防止する突き抜け防止部を有するため、人体の腕、脚部等に装着した状態でも安心して刺入でき、臨場感のある注射手技の練習を行うことができる。
また、模擬血管の配置角度を調整可能な構成とすることにより、実際の人体の血管の配置(向き)に近い状態とすることが可能となり、その点でさらに臨場感のある注射手技の練習が可能になる。
また、ベース層、中間層、模擬血管及びカバー層がそれぞれ別部材から形成され、相互に一体化又は分解可能な組立式であるため、模擬血管の交換、配置数の変更、配置角度の変更等だけで、練習内容や練習者のレベルに見合った練習が可能である。しかも、注射手技練習具自体を交換する必要がないため、練習者のレベル等に見合った練習を低コストで実現できる。
図1は、本発明の一の実施形態に係る注射手技練習具の全体構成を示した斜視図である。 図2はベース層を示した図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 図3は中間層を示した図であり、(a)は底面図、(b)は平面図、(c)は(b)のB−B断面図である。 図4(a)〜(c)は、太さの異なる模擬血管の例を示した平面図である。 図5(a)〜(d)は、模擬血管の配置例を示した図である。 図6はカバー層を示した図であり、(a)は底面図、(b)は平面図、(c)は(b)のC−C断面図、(d)は嵌合部材を係合部へ嵌合させる過程を示した図、(e)は嵌合部材が係合部に嵌合した状態を示した図である。 図7(a)〜(d)は、上記実施形態の注射手技練習具の使用方法を説明するための図である。 図8は、本発明の他の実施形態に係る注射手技練習具の斜視図である。 図9は、上記他の実施形態に係るベース層を示した図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。 図10は、上記他の実施形態に係るカバー層を示した図であり、(a)は底面図、(b)は平面図、(c)はカバー層を装着した状態を示した図である。
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。図1に示したように、本実施形態の注射手技練習具1は、ベース層10、中間層20、模擬血管30及びカバー層40を有して構成される。
ベース層10は、図2に示したように、装着対象である人体の腕や脚部等に巻き付け固定可能な大きさの略長方形であって、編物、織物、不織布を含む柔軟な布帛等から形成される。例えば、腕に巻き付ける場合には、幅300mm、長さ180mm程度の大きさとして、幅方向中央の100mmの範囲を突き抜け防止部11とし、その両側を、腕に巻き付け固定するための巻き付け部12,13とする。巻き付け部12,13は、腕に巻き付けた際に、少なくとも一部が重なるような大きさになっており、その重なり範囲の対向面同士を接合させて固定される。本実施形態では、一方の巻き付け部12の表面にメス側又はオス側の面ファスナー12aを取り付け、他方の巻き付け部13の裏面に面ファスナー12aに係合するオス側又はメス側の面ファスナー13aを取り付けて、面ファスナー12a,13a同士を重ね合わせて接合する構成となっている。
ベース層10は、本実施形態では、2枚の布帛10a,10bを重ね合わせてその周縁部を縫合して形成され、突き抜け防止部11は、2枚の布帛10a,10bの間に、アルミニウム等の金属製薄板(シート状、フィルム状等も含む)11aを挟み、その両側部において、長さ方向に沿って布帛10a,10bを縫合し、該金属製薄板11aが左右にずれないようになっている。突き抜け防止部11は、金属製薄板11aを用いるほか、アラミド繊維を編成してなる布帛等を用いて構成することもできる。この場合、金属製薄板11aと同様に、布帛10a,10b間に挟んで保持するようにしてもよいし、アラミド繊維を編成してなる布帛のみによって突き抜け防止部11を構成し、その両側に通常の布帛からなる巻き付け部12,13を直接縫製等により接合した構成としてもよい。
中間層20は、弾性素材からなる。具体的には、中間層20上に、後述の模擬血管30が支持されるため、模擬血管30に注射針が刺入した際に、模擬血管30がぶれるような動きを生じさせることができる程度の弾性を有するもので、また、注射針が模擬血管30を誤って貫通してしまった場合に、実際の血管を注射針が貫通した場合と同様の感覚、すなわち、人の筋肉に相当する程度の弾性を有するものが素材として用いられる。エチレン・プロピレン共重合体、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム類、天然ゴム、あるいは、ポリウレタンフォーム等の軟質合成樹脂類などを用いることができる。好ましくは、5〜15mm程度の厚さのポリウレタンフォームである。
中間層20は、図1に示したように、ベース層10の突き抜け防止部11上に積層される。突き抜け防止部11との接合手段は任意であるが、本実施形態では、図2及び図3に示したように、突き抜け防止部11の表面及び中間層20の裏面の長さ方向の一端縁及び他端縁付近に、面ファスナー11b,20aを設け、接合するようにしている。なお、面ファスナー11b,20aは、いずれをオス側、メス側としてもよい。
中間層20の表面側の一端縁及び他端縁には、模擬血管30を係合するための係合部21a〜21c及び22a〜22cが設けられている。係合部21a〜21c及び22a〜22cは、模擬血管30の一端30a及び他端30bを係合できる限りどのような形状、構造であってもよい。本実施形態では、中間層20の裏面側から表面側に突出するピンにより構成している。なお、この係合部21a〜21c及び22a〜22cを構成するピンは、頭部側が中間層20の裏面に位置しており、面ファスナー20aを裏面に固定する際に、面ファスナー20aで該頭部を覆うようにすることで中間層20に固定している(図3(c)参照)。
模擬血管30は、図4に示したように、一端30a及び他端30bに、ピンからなる上記係合部21a〜21c及び22a〜22cに係合可能なリング部材やフック部材等からなる被係合部31,32が設けられている。一方の被係合部31を中間層20の一端縁付近に設けられた係合部21a〜21cのいずれかに係合し、他方の被係合部32を中間層20の他端縁付近に設けられた係合部22a〜22cのいずれかに係合して配設される(図5,図7参照)。
ここで、本実施形態では、係合部21a〜21c及び22a〜22cが中間層20の幅方向に、それぞれ3つずつ設けられている。従って、例えば、図5(a)に示したように、模擬血管30の一方の被係合部31を中間層20の一端縁側の中央に位置する係合部21bに係合し、他方の被係合部32を、一端側の中央に位置する係合部21bに対応する他端縁側の中央に位置する係合部22bに係合すると、模擬血管30は、中間層20の長さ方向にほぼ真っ直ぐな姿勢で配置されることになる。すなわち、模擬血管30の各被係合部31,32を、一端縁側の係合部21a〜21c及び他端縁22a〜22cのうち対向するもの同士を選択して係合すると、ベース層10を腕に巻き付けた際に、模擬血管30は、腕に沿ってほぼ真っ直ぐな姿勢で配置される。中央に位置する係合部21b,22b間に係合させた場合には、腕の幅方向ほぼ中央位置で真っ直ぐな姿勢で配置され、各側部に位置する係合部21a,22a間又は係合部21c,22c間に係合させた場合には、腕の幅方向の左寄り又は右寄りにおいて、腕の長手方向にほぼ真っ直ぐな姿勢で配置されることになる。
本実施形態では、係合部21a〜21c及び22a〜22cが中間層20の幅方向に複数設けられているため、例えば、模擬血管30の一方の被係合部31を中間層20の一端縁側において図の右側に位置する係合部21cに係合し、他方の被係合部32を、中間層20の他端縁側において図の左側に位置する係合部22aに係合すると、図5(b)に示したように、腕に巻き付けた際に、模擬血管30は腕側から手首側に向かって右に傾斜した配置角度でセットされることになる。模擬血管30の一方の被係合部31を中間層20の一端縁側において図の左側に位置する係合部21aに係合し、他方の被係合部32を、中間層20の他端縁側において図の中央に位置する係合部22bに係合すると、図5(c)に示したように、模擬血管30は腕側から手首側に向かって左に傾斜した配置角度であって、図5(a)の状態を基準とした傾斜角度が図5(b)の場合よりも浅い角度でセットされることになる。模擬血管30の各被係合部31,32を係合させる係合部21a〜21c及び22a〜22cを任意に選択することにより、模擬血管30の配置角度を種々の角度でセットできる。実際の腕の血管は、真っ直ぐに近いもの、若干斜めになっているもの等が存在するため、模擬血管30の配置角度の調整により、より人体に近い状態とすることができる。また、係合部21a〜21c及び22a〜22cが中間層20の幅方向に複数設けられているため、模擬血管30を複数本、例えば3本一緒に配置することも可能であるし(図7(c)参照)、1本を真っ直ぐに配置し、他を斜めに配置することも可能である(図5(d)参照)。これにより、さらに実際の腕の血管配置にイメージを近づけることができる。
なお、本実施形態では、係合部21a〜21c及び22a〜22cを3つずつ設けているが、もちろんこれは一例であり、2つずつであってもよいし、4つずつ以上であってもよい。また、中間層20の幅方向の適宜の位置に1つずつ設けた構成とすることも可能である。
模擬血管30は、弾性チューブを用いて形成される。弾性チューブを用いることにより、注射針の刺入時の抵抗感やぶれが生じ、実際に近い感覚が得られる。素材としては、エチレン・プロピレン共重合体、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム類、天然ゴム、あるいは、ポリウレタンフォーム等の軟質合成樹脂類などを用いることができるが、実際の血管刺入時にできるだけ近い感覚を得るためには、ウレタンゴムから形成することが好ましい。また、模擬血管30の周壁の厚さは、好ましくは0.2〜2mmの範囲、より好ましくは0.5〜1.5mmの範囲である。模擬血管30の直径は、実際に採血、静脈注射等の対象となる血管の太さに近いものであれば特に限定されるものではなく、例えば1〜30mmの範囲のもの、好ましくは2〜10mmの範囲のものが用いられる。また、図4(a)〜(c)に示したように、太さの異なる模擬血管30を複数準備しておき、適宜の太さのものを選択して使用するようにしてもよい。なお、図4(a)は直径3mmタイプ、図4(b)は直径5mmタイプ、図4(c)は直径7mmタイプの模擬血管30を例示したものである。太さの異なる各模擬血管30は、取り付け時の便宜のため、各端部30a,30b付近を異なる色で着色するなどの目印を付けておくことが好ましい。また、本実施形態のように、係合部21a〜21c及び22a〜22cが中間層20の幅方向に複数設けられている場合には、太さの異なる模擬血管30を複数本配置するようにしてもよい。
模擬血管30は、模擬血液を封入せずに用いてもよいが、模擬血液を封入することが好ましい。模擬血管30は、上記のように弾性チューブからなるため、刺入時の抵抗感や動く感覚などが得られ、その点を練習する場合には、模擬血液を封入してないタイプでも可能である。しかし、静脈注射時の感覚により近づけたり、採血の練習用としたりする場合には、模擬血液を封入したものが用いられる。模擬血液は、水溶性で、生体血液に近い色、粘性を備えたものを用いることが好ましい。なお、模擬血管30は上記のように弾性チューブからなるため、注射針を刺入しても、その素材の弾性によって針穴がほぼふさがり、模擬血液が漏れにくいという特徴もある。従って、模擬血液の注入は、注射針を模擬血管30に刺して容易に行うことができ、模擬血管30に必ずしも専用の模擬血液の充填孔を設ける必要がなく、また、何度も繰り返し使えるという利点がある。
模擬血管30は、図6に示したような略長方形のカバー層40により被覆される。模擬血管30上に配置され、注射針は、カバー層40を突き抜けて模擬血管30に刺入される。従って、カバー層30は、人体に刺入した際に血管に到達するまでの組織、主に皮膚組織に近い特性を有することが好ましい。そのため、カバー層40は、エチレン・プロピレン共重合体、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム類、天然ゴム、あるいは、ポリウレタンフォーム等の軟質合成樹脂類などを用いることが好ましいが、人体の皮膚に刺入した際の感覚に近い感覚を得られるものとして、厚さ0.5〜2mm程度のシリコーンゴムを用いることがより好ましい。
カバー層40は、模擬血管30を被覆した上で、中間層20に接合される。接合手段は任意であるが、本実施形態では、図6(a)〜(c)に示したように、長手方向の一端縁及び他端縁に、下端開口面がカバー層40を突き抜けて下方に突出し、ヘッド部がカバー層40の上面に支持される中空ピンからなる嵌合部材41a〜41c及び42a〜42cを設け、これを用いて接合している。すなわち、嵌合部材41a〜41c及び42a〜42cを、中間層20から突出するピンからなる係合部21a〜21c及び22a〜22cに嵌合して、両者を接合している(図6(d),(e)参照)。
カバー層40は、模擬血管30上に上記のように配置されるが、嵌合部材41a〜41c及び42a〜42cと、係合部21a〜21c及び22a〜22cとの嵌合度合い(嵌合深さ)を調整することにより、カバー層40が模擬血管30を押し付ける力を調整することができる。この押し付け力を調整することで、模擬血管30の注射針刺入時の動き易さを調整することができる。
本実施形態の注射手技練習具1は次のように使用される。図7に基づいて説明する。まず、図7(a)に示したように、ベース層10の突き抜け防止部11の裏面を腕に押し当て、巻き付け部12,13を腕の周方向に回して、面ファスナー12a,13a同士を重ね合わせて接合する。次に、図7(b)に示したように、ベース層10の突き抜け防止部11に中間層20を、面ファスナー11b,20aを介して接合する。これにより、ピンからなる係合部21a〜21c及び22a〜22cが表面側に突出した状態となる。次に、模擬血管30を少なくとも1本配設する。例えば、図7(c)に示したように、模擬血管30の一端30a側及び他端30b側にそれぞれ設けられた被係合部31,32を、各係合部21a〜21c及び22a〜22cにそれぞれ係合し、3本配設する。次に、図7(d)に示したように、カバー層40を模擬血管30上に位置させ、嵌合部材41a〜41c及び42a〜42cを、係合部21a〜21c及び22a〜22cに嵌合する。本実施形態の注射手技練習具1は、このように組立式であるため、模擬血管30を配置する際に、練習に適した配置角度、配置数、配置する模擬血管30の太さ等を選択することができ、練習者各個のレベルに見合った練習を実現できる。
練習の際は、皮膚組織の役割を果たすカバー層40を介して模擬血管30に注射針を刺入する。本実施形態では、カバー層40が所定厚さのシリコーンゴムからなるため、人体の皮膚に注射針を刺入した際の感覚に近い感覚が得られ、さらに、模擬血管30が弾性チューブからなるため、実際に近い抵抗感、血管がぶれる動き等を再現できる。しかも、上記のように、カバー層40の押し付ける力を調整することができるため、模擬血管30の配置角度、配置数、太さ等に合わせて、実際の動きに近いものに容易に調整することができる。
練習時において模擬血管30を仮に突き抜けた場合、あるいは、カバー層40を突き抜けた後、模擬血管30に刺入しなかった場合には、注射針は中間層20に突き刺さることになる。中間層20も弾性素材からなるため、筋肉に突き刺した感覚に近い感覚が得られ、実際に血管を突き抜けた場合や血管外に突き刺した感覚を得ることができる。さらに、誤って中間層20を突き抜けた場合、本実施形態では、突き抜け防止部11がその下層に位置しているため、注射針はそこで止まり、注射手技練習具1を巻き付けている人の腕に損傷を与えることがない。従って、本実施形態によれば、人に注射手技練習具1を装着しての注射手技の練習を安心して行うことができ、臨場感のある練習が可能で、練習者の手技の上達、熟練に向けての高い貢献が期待できる。
本実施形態では、模擬血管30に注射針を刺入することで、静脈注射、採血の練習に適しているが、模擬血管30が配置されている部位以外の部位は、皮膚組織に相当するカバー層40及び筋肉組織に相当する中間層20との積層構造となっているため、その部位を利用して皮下注射、皮内注射、筋肉注射等の手技の練習に供することも可能である。
なお、上記の説明では、ベース層10を人の腕に巻き付け、その後、中間層20を積層し、さらに、模擬血管30の配置、カバー層40による被覆を行っているが、人の腕に装着する前に、ベース層10の突き抜け防止部11上に中間層20、模擬血管30及びカバー層40を組み立てておき、すなわち、図1に示した状態に予めセットしておき、その後、人の腕に巻き付けるようにしてもよい。いずれにしても、本実施形態の注射手技練習具1は、ベース層10、中間層20、模擬血管30及びカバー層40がいずれも別部材からなり、相互に接合したり係合して一体化したりあるいは接合や係合を解除することで分解できる組立式であるため、例えば、ベース層10を腕に装着したまま、カバー層40を取り外して、模擬血管30だけを練習内容、レベル等に適した配置角度、配置数、太さ等に変更することが可能である。従って、練習者の熟練度、練習の目的等に合わせた種々のバリエーションの練習に速やかに対応することができる。
本発明の注射手技練習具1は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、図8〜図9に示したようなベース層100を用いることができる。このベース層100は、伸縮性を有する生地から予め筒状に加工したものである。そして、円周方向の所定の範囲が、金属製薄板110aを貼り付けてなる突き抜け防止部110となっており、円周方向のその他の範囲が腕等に巻き付けられる巻き付け部120となっている。突き抜け防止部110の長手方向の一端側及び他端側には、それぞれ接合手段としての例えば面ファスナー110bが取り付けられており、この面ファスナー110bを介して、上記と同様に、中間層(図示せず)が取り付けられ、さらに模擬血管(図示せず)がセットされる。
この筒状のベース層100を用いると、開口端から腕を挿入するだけで装着可能であり、しかも、伸縮性のある生地を用いているため、腕等への密着性が高く、注射針の刺入時に動いたりすることがない。なお、図1及び図2に示したベース層10も、伸縮性のある生地を用いることで、巻き付け時の腕等への密着性を高めることができることはもちろんである。
また、図6に示したカバー層40は、中間層20を被覆する程度の大きさしか有していないが、図10に示したように、中間層の面積よりも幅の広いカバー層400を用いることもできる。このカバー層400は、中間層上に配置された模擬血管を被覆して、幅方向の各端部をベース層10に接合して配置される。接合手段は任意であるが、例えば、カバー層400の幅方向各端部の裏面側に面ファスナー410を取り付け、この面ファスナー410に係合する面ファスナー120aをベース層10の巻き付け部120に取り付けて接合する構成とすることができる。なお、符号411a〜411c及び412a〜412cは、中間層から突出する係合部に係合する嵌合部材である。
図6に示したカバー層40は、嵌合部材41a〜41c及び42a〜42cを、係合部21a〜21c及び22a〜22cに嵌合させることによって配置される構成であったが、図10に示した態様では、嵌合部材411a〜411c及び412a〜412cの係合部への嵌合だけでなく、面ファスナー410のベース層100への接合によって一体化される。従って、注射針の刺入時にカバー層40が動くことが抑制され、注射針の刺入を行いやすくなる。また、面ファスナー410,120aを介して接合するため、カバー層40を幅方向に引っ張りながら接合したりすることが可能であり、それによって、模擬血管の押し付け力を調整することもできる。なお、図1〜図6に示した実施形態においても、カバー層40として、図10と同様に、幅広のものを用い、ベース層10に接合するようにすることも可能である。
また、図6に示した態様では、嵌合部材41a〜41c及び42a〜42cとして中空ピンを用いているが、嵌合部材41a〜41c及び42a〜42cと係合部21a〜21c及び22a〜22cは、模擬血管30を支持しつつ嵌合し合えばよいため、いずれが中空ピンで合っても構わないし、両者とも通常のピンを用いつつ、両者間に中空の筒部材を介在させて嵌合することも可能である。
1注射手技練習具
10,100 ベース層
11,110 突き抜け防止部
11a,110a 金属製薄板
12,13,120 巻き付け部
20 中間層
21a〜21c,22a〜22c 係合部
30 模擬血管
31,32 被係合部
40,400 カバー層
41a〜41c,42a〜42c 嵌合部材

Claims (9)

  1. 人体に装着される、注射針の突き抜け防止部を備えたベース層と、
    弾性素材からなり、前記突き抜け防止部上に積層される中間層と、
    前記中間層上で、一部が係合されて支持される弾性チューブからなる模擬血管と、
    前記模擬血管を被覆するカバー層と
    を有することを特徴とする注射手技練習具。
  2. 前記模擬血管は、その一端及び他端を係合して支持される請求項1記載の注射手技練習具。
  3. 前記模擬血管は、前記中間層上における配置角度を調整可能である請求項1又は2記載の注射手技練習具。
  4. 前記中間層に、前記模擬血管の一端及び他端を係合する係合部が、それぞれ複数設けられており、
    前記模擬血管の一端及び他端を、前記複数の係合部の中からそれぞれ選択して係合することにより、前記模擬血管の配置角度を調整可能である請求項3記載の注射手技練習具。
  5. 前記模擬血管を複数備えており、それぞれを、前記複数の係合部の中から選択して複数一緒に配置可能である請求項4記載の注射手技練習具。
  6. 前記カバー層による前記模擬血管の押し付け力を調整可能である請求項1〜5のいずれか1に記載の注射手技練習具。
  7. 前記ベース層は、前記突き抜け防止部に隣接して巻き付け部を有し、前記巻き付け部を人体に巻き付けて固定されるものである請求項1〜6のいずれか1に記載の注射手技練習具。
  8. 前記突き抜け防止部に、アラミド繊維を用いた布帛又は金属製薄板のいずれか少なくとも1種が用いられている請求項1〜7のいずれか1に記載の注射手技練習具。
  9. 前記ベース層、中間層、模擬血管及びカバー層がそれぞれ別部材から形成され、相互に一体化又は分解可能な組立式である請求項1〜8のいずれか1に記載の注射手技練習具。
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