JP5992217B2 - 注射シミュレータ - Google Patents
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Description
新卒者を教育する臨床現場でも、リスクマネジメントの観点から、患者に実施する前に院内で演習を実施しているのが現状である。これらのことから、注射シミュレータの需要は教育現場および臨床の双方で拡大している。
ベース101は、所要の収容スペースを有して上方に開口された箱形形状とされ、このベース101の収容スペース内に模擬血管102,103が敷設されるとともに、肉質感を高めるためのスポンジ(模擬筋肉)104が充填され、これら模擬血管102,103とスポンジ104を覆ってベース101の開口を塞ぐように模擬表皮材105がその開口縁に装着されている。
ここで、ベース101の底面部には、面ファスナ106aにて結束・開放自在なバンド106が取り付けられている。
注射を練習するための注射シミュレータであって、
腕または脚の肢体に巻き掛け可能で模擬表皮部を有する可撓性シート体と、前記模擬表皮部の裏側に配されて前記可撓性シート体の形状を保持する板ばね体とを備え、
前記板ばね体は、注射針が前記模擬表皮部を突き抜けてもそれ以上の刺入動作が遮られるように前記模擬表皮部の全体を載せることができる大きさであり、弾性力に従って前記肢体と直交する横方向で裏側に丸く巻かれた巻き形状と、この巻き形状から弾性力に抗して横方向に展開された展開形状とに変形可能で、前記巻き形状から前記展開形状に変形させたときにその展開形状を維持するために前記肢体に沿う縦方向で表側に反りを持たせてなることを特徴とするものである(第1発明)。
また、平板形状に保たれた可撓性シート体を肢体に巻き掛けるように押し付けるだけで板ばね体の弾性力によって可撓性シート体が自動的に肢体に巻き掛けられるので、肢体にワンタッチで装着することができる。
なお、模擬表皮部の裏側に注射針が模擬表皮部を突き抜けてもそれ以上の刺入動作が遮られるように模擬表皮部の全体を載せることができる大きさの板ばね体が配されることにより、注射針が模擬表皮部を突き抜けても板ばね体によってそれ以上の刺入動作が遮られ、可撓性シート体を注射針が貫通するのを防止することができる。
ここで、模擬血管を模擬表皮部と板ばね体との間に埋め込む構成を採用することにより、血管注射をよりリアルに練習することができる。
図1(a)に示される注射シミュレータ1は、主として人体の腕や脚の肢体(本例では腕2)に装着されて、皮内・皮下注射は勿論のこと、血管注射や筋肉注射などをよりリアルに練習するための練習器であって、人体の皮膚を模擬した可撓性シート体3を備えている。
なお、以下においては、主として、人体の腕2(またはその模型)に装着するタイプの注射シミュレータについて説明するが、人体の脚(またはその模型)に装着するタイプの注射シミュレータについてはその基本構造が同じであるので、その詳細な説明は省略することとする。
可撓性シート体3は、図1(b)に示される展開状態において、腕2と直交する横方向と腕2に沿う縦方向とに広がりを有する四角平板形状を呈し、樹脂製の比較的軟らかい可撓性を有する複数のシート材3a,3b,3cが積層されて構成されている。
すなわち、図3に示されるように、可撓性シート体3は、人体の腕2に巻き掛け可能な裏側シート材3a上に、仕切シート材3bを介して、表側シート材3cを重ね合わせ、これら裏側シート材3a、仕切シート材3bおよび表側シート材3cの外周縁を一体的に接合して構成されている。
表側シート材3cは、所要の大きさの窓部4aを有する四角枠状の表側シート材本体4を備え、人体の表皮を模擬した薄い可撓性シート状の模擬表皮材5をその表側シート材本体4の窓部4aに嵌め合わせ、両者を接着剤等で接合して構成されている。ここでは、表側シート材本体4に模擬表皮材5を嵌め付けることで、表側シート材3cに模擬表皮材5からなる模擬表皮部を部分的に設けた例を示したが、表側シート材3cを模擬表皮材5のみで構成して表側シート材3c全体を模擬表皮材5からなる模擬表皮部とする態様もあり得る。
仕切シート3bと模擬表皮材5との間には、肉質感を高めるための模擬筋肉6が組み込まれている。
ここで、模擬筋肉6は、人体の筋肉を模擬するものであり、その材質としては、適度の弾性率のものであれば特に制限されないものであり、先に例示した合成ゴム類、軟質合成樹脂類の他、それらの発泡体、例えばポリウレタンフォームなどが好適に使用される。
図1(a)に示されるように、表側シート材本体4において、腕2に沿う縦方向の一端部には、横方向に所定間隔を存して第1模擬血管挿通孔11および第2模擬血管挿通孔12がそれぞれ穿設されるとともに、腕2に沿う縦方向の他端部には、横方向に所定間隔を存して第3模擬血管挿通孔13および第4模擬血管挿通孔14がそれぞれ穿設されている。
図2に示されるように、可撓性シート体3における仕切シート材3bと模擬表皮材5との間には、人体の血管を模擬した第1模擬血管15および第2模擬血管16がそれぞれ組み込まれている。これら模擬血管15,16は、いずれも実際の血管に類似した状態とするため弾性チューブで構成されている。
ここで、模擬血管15,16を構成する弾性チューブの材質としては、天然ゴムや、先に例示した合成ゴム類、軟質合成樹脂類が挙げられるが、特に天然ゴムまたはシリコーンゴム等が好ましい。これら模擬血管15,16の外径や肉厚は、訓練対象となる血管に応じて種々選択されるものである。
また、第2模擬血管16においても同様に、一端側は第2模擬血管挿通孔12を通して、他端側は第4模擬血管挿通孔14を通して、それぞれ可撓性シート体3の外部に取り出されている。
こうして、可撓性を有する可撓性シート体3に設けられた模擬血管挿通孔11,13;12,14に模擬血管15;16が挿通されるため、模擬血管挿通孔11,13;12,14に対して模擬血管15;16を容易に抜き差しすることができる。
第1模擬血管15および第2模擬血管16のそれぞれの他端部は、三又管26を介して止水アジャスト27が装着された下流側ホース28の一端部と接続されている。
なお、止水アジャスト22,27は、上流側ホース23または下流側ホース28の任意の位置で模擬血液の流れを止める役目をする。
図4に示されるように、可撓性シート体3における裏側シート材3aと仕切シート材3bとの間には、板ばね体30が組み込まれている。
注射シミュレータ1を腕2に装着するにあたっては、図1(b)に示されるような平板形状に保たれた可撓性シート体3を腕2に巻き掛けるように押し付けて板ばね体30に設けられた反り30aを、展開形状と巻き形状との変わり目の形状(図5(b)参照)を越えて巻き形状へと変形させるように押し潰す。これにより、反り30aによって展開形状が維持されていた板ばね体30が弾性力に抗しきれずにその弾性力に従って図5(c)に示されるような巻き形状とされ、これに伴って可撓性シート体3がその板ばね体30の弾性力によって自動的に腕2に巻き掛けられる。こうして、平板形状に保たれた可撓性シート体3を腕2に巻き掛けるように押し付けるだけで板ばね体30の弾性力によって可撓性シート体3が腕2に自動的に巻き掛けられるので、腕2にワンタッチで装着することができる。
これに対して、板ばね体30が図5(a)に示されるような展開形状の状態においては、図3に示されるように、可撓性シート3の表面側および裏面側のいずれにも引張力や圧縮力が生じないので、可撓性シート体3と模擬血管15,16との間に互いに押し付け合うような力が作用せず、両者間の摩擦力が微小なものとなり、可撓性シート体3に対して模擬血管15,16の位置が可変とされ、可撓性シート体3に対して模擬血管15,16を容易に抜き差しすることができる。
使用に伴い模擬血管15,16の損傷がある許容範囲を超えれば新しい模擬血管15´,16´と交換する必要がある。
模擬血管15,16の交換作業は、図5(a)に示されるような展開形状に維持された板ばね体30の保形作用によって可撓性シート体3が図1(b)に示されるような平板形状に保たれた状態で以下の手順に従って実施される。
まず、図6(a)に示されるように、可撓性シート体3に取り付けられている古い模擬血管15,16の端部と別途用意されている新しい模擬血管15´,16´の端部とを継手31,31で連結する(新旧模擬血管連結工程)。
次いで、図6(b)〜(c)に示されるように、古い模擬血管15;16を模擬血管挿通孔11,13;12,14を通して引き抜くに伴いその引き抜き動作に連動して新しい模擬血管15´;16´を模擬血管挿通孔11,13;12,14を通して可撓性シート体3に差し込む(新旧模擬血管差替え工程)。
そして、古い模擬血管15,16と新しい模擬血管15´,16´との継手31,31による連結を解除する(新旧模擬血管連結解除工程)。
本実施形態の注射シミュレータ1によれば、以下の(1)〜(3)のような作用効果を得ることができる。
(1)可撓性のシート材からなる可撓性シート体3を腕2に巻き掛け装着する構成とされているので、薄型でフィット感に優れる。
(2)平板形状に保たれた可撓性シート体3を腕2に巻き掛けるように押し付けるだけで板ばね体30の弾性力によって可撓性シート体3が自動的に腕2に巻き掛けられるので、腕2にワンタッチで装着することができる。
(3)上記の新旧模擬血管連結工程と新旧模擬血管差替え工程とを実施することにより、たとえ模擬筋肉6が可撓性シート体3の内部に充填されていたとしても、可撓性シート体3の内部を縫うようにして新しい模擬血管15´;16´を元の位置に模擬血管挿通孔11,13;12,14を通して差し込むことができ、古い模擬血管15,16だけを新しい模擬血管15´,16´と容易に交換することができて、ランニングコストを下げることができる。
3 可撓性シート体
3a 裏側シート材
3b 仕切シート材
3c 表側シート材
4 表側シート材本体
5 模擬表皮材
6 模擬筋肉
11〜14 模擬血管挿通孔
15,16 模擬血管
30 板ばね体
30a 反り
Claims (2)
- 注射を練習するための注射シミュレータであって、
腕または脚の肢体に巻き掛け可能で模擬表皮部を有する可撓性シート体と、前記模擬表皮部の裏側に配されて前記可撓性シート体の形状を保持する板ばね体とを備え、
前記板ばね体は、注射針が前記模擬表皮部を突き抜けてもそれ以上の刺入動作が遮られるように前記模擬表皮部の全体を載せることができる大きさであり、弾性力に従って前記肢体と直交する横方向で裏側に丸く巻かれた巻き形状と、この巻き形状から弾性力に抗して横方向に展開された展開形状とに変形可能で、前記巻き形状から前記展開形状に変形させたときにその展開形状を維持するために前記肢体に沿う縦方向で表側に反りを持たせてなることを特徴とする注射シミュレータ。 - 前記模擬表皮部と板ばね体との間に、模擬血管または模擬筋肉が埋め込まれる請求項1に記載の注射シミュレータ。
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