JP2019061134A - 手技シミュレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】皮下トンネルを形成する手技のトレーニングを効率的に実施することが可能な手技シミュレータを提供する。【解決手段】手技シミュレータ10は、人体の皮下組織を模擬した模擬皮下組織12と、人体の皮膚を模した模擬皮膚14と、模擬皮下組織12を支持する台座18と、模擬皮下組織12を台座18に固定するために模擬皮下組織12に挿入される固定部材20とを備える。【選択図】図3
Description
本発明は、外科手技のトレーニングに用いられる手技シミュレータに関する。
従来、血液ポンプを用いて腎不全患者等の血液を体内から透析器(ダイアライザー)に誘導し、老廃物及び水分を除去した後再び体内に戻す血液透析が広汎に行われている。
このような血液透析を行うために、人工血管(グラフト)を前腕部に埋め込んでシャントと呼ばれるバイパス通路を形成するシャント造設術が行われる。シャント造設術を習得するための教育・実験・練習等では、人体を用いて行うことができないため、感覚的には実際の手技と大きく異なり満足できるものはなかった。そのため、シャント造設術を習得するためには、多くの臨床経験を踏まずしては困難な場合があった。
シャント造設術においては、人工血管を埋め込むための皮下トンネルが形成される。ところで、血液透析に関する手技シミュレータが、例えば、特許文献1にて提案されている。しかしながら、特許文献1の手技シミュレータは、前腕部の血管吻合部(シャント)に注射針を指す針刺手技をトレーニングするためのものである。皮下トンネルを形成する手技のトレーニングを効率的に実施するのに適した手技シミュレータが望まれる。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、皮下トンネルを形成する手技のトレーニングを効率的に実施することが可能な手技シミュレータを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の手技シミュレータは、人体の皮下組織を模擬した模擬皮下組織と、前記模擬皮下組織を覆い、人体の皮膚を模した模擬皮膚と、前記模擬皮下組織を支持する台座と、前記模擬皮下組織を前記台座に固定するために前記模擬皮下組織に挿入される固定部材と、を備える。
上記の構成を備えた本発明の手技シミュレータによれば、模擬皮下組織が模擬皮膚により覆われるとともに台座に固定されるため、皮下トンネルを形成する手技のトレーニングに好適に用いることができる。また、固定部材により模擬皮下組織が台座に固定されるため、手技シミュレータを横に向けたり逆さまにひっくり返したりしてトレーニングをした場合でも、模擬皮下組織が台座から脱落することが防止される。従って、様々な留置箇所に対応した皮下トンネルを形成する手技のトレーニングを効率的に実施することが可能となる。
前記模擬皮下組織には、前記固定部材が挿入される貫通孔が設けられ、前記模擬皮下組織が前記固定部材により固定された状態で、前記固定部材は、前記貫通孔を貫通するとともに前記台座に支持されてもよい。
この構成により、模擬皮下組織が固定部材により良好に支持されるため、模擬皮下組織を台座に安定して固定することができる。
前記台座は、前記固定部材のうち前記模擬皮下組織の前記貫通孔の両端から突出する第1部位及び第2部位をそれぞれ支持する第1支持孔及び第2支持孔を有してもよい。
この構成により、固定部材が台座に良好に支持されるため、固定部材による模擬皮下組織の台座に対する固定をより強固にすることができる。
前記台座は、前記模擬皮下組織が載置される台座本体と、前記台座本体から上方に突出するとともに互いに間隔を置いて配置された複数の突起部とを有し、前記模擬皮下組織が前記台座に載置された状態で、前記複数の突起部は、前記模擬皮下組織に設けられた複数の孔部に挿入されてもよい。
この構成により、固定部材と異なる方向で模擬皮下組織を支持するので、トンネラーを押し込む際又は引き抜く際に、模擬皮下組織が台座上で水平方向にずれることが防止される。このため、トレーニングの一層の効率化が図られる。
前記固定部材が前記台座に取り付けられた状態で、前記固定部材は、前記複数の突起部の間に配置されてもよい。
この構成により、固定部材と複数の突起部との干渉を回避することができる。
前記模擬皮膚と前記模擬皮下組織との間に、織物又は編み物として構成された補強部材を備えてもよい。
この構成により、模擬皮膚直下の浅い領域(模擬皮膚と模擬皮下組織との間、又は模擬皮下組織の表層部)に皮下トンネルを形成する場合でも、医療デバイスの挿入に伴う模擬皮下組織の損傷や損傷に伴う模擬皮下組織片の露出を抑制することができる。
前記補強部材は、前記模擬皮下組織を全周に亘って覆ってもよい。
この構成により、補強部材のずれが防止されるため、補強部材の機能を良好に発揮させることができる。
前記台座及び前記模擬皮下組織は、人体の腕を模した形状を有してもよい。
この構成により、人体の腕における人工血管の埋込範囲の位置をイメージしながら、よりリアリティのあるトレーニングを実施することができる。
前記固定部材が前記台座に取り付けられた状態で、前記固定部材は、前記台座の長手方向に沿って延在してもよい。
この構成により、腕型の模擬皮下組織を台座に対して良好に固定することができる。
前記台座は、人体の手を模した手部を有してもよい。
この構成により、よりリアリティのあるトレーニングを実施することができる。
本発明の手技シミュレータによれば、皮下トンネルを形成する手技のトレーニングを効率的に実施することが可能となる。
以下、本発明に係る手技シミュレータについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態に係る手技シミュレータ10は、人工血管48で動脈と静脈をバイパスする人工血管内シャント(arteriovenous graft;AVG)の手技トレーニングに用いられるものである。具体的に、この手技シミュレータ10は、トンネラー50(図6参照)と呼ばれる器具を用いて人工血管48を皮下に埋め込むための皮下トンネルを形成する手技(以下、「トンネリング手技」ともいう)のトレーニングに用いられる簡易モデルである。
図1又は図2に示すように、手技シミュレータ10は、人体の皮下組織を模擬した模擬皮下組織12と、人体の皮膚を模した模擬皮膚14と、模擬皮下組織12と模擬皮膚14との間に配置される補強部材16と、模擬皮下組織12を支持する台座18と、模擬皮下組織12を台座18に固定する固定部材20とを備える。本実施形態において、手技シミュレータ10は、人体の腕(主に前腕)を模した形状を有する。
図2に示すように、模擬皮下組織12は、人体の手首からひじ付近までの範囲を模した長尺形状を有する。このため、模擬皮下組織12は、基端方向に向かって徐々に太くなっている。模擬皮下組織12には、貫通孔22が形成されている。図3に示すように、貫通孔22は、模擬皮下組織12の長手方向(矢印A方向)に直線状に延在している。貫通孔22は、模擬皮下組織12の先端面12a及び基端面12bにて開口している。貫通孔22の横断面形状は円形である。貫通孔22の横断面形状は、非円形(楕円形等)であってもよい。
図4に示すように、模擬皮下組織12の下部12Lwには、複数の孔部24が設けられている。複数の孔部24は、模擬皮下組織12の長手方向に沿って間隔を置いて複数配列されるとともに、模擬皮下組織12の幅方向に沿って間隔を置いて複数配列されている。具体的には、貫通孔22を基準に幅方向一方側に、模擬皮下組織12の長手方向に沿って配列された複数の孔部24からなる孔部列24Rが設けられ、貫通孔22を基準に幅方向他方側に、模擬皮下組織12の長手方向に沿って配列された複数の孔部24からなる孔部列24Rが設けられている。従って、貫通孔22は、一方の孔部列24Rと他方の孔部列24Rとの間に形成されている。模擬皮下組織12の幅方向(矢印B方向)の両端部において、模擬皮下組織12の上部12Upと下部12Lwとの間には、段差面12sが設けられている。
模擬皮下組織12は、人体の皮下組織に似せるために、適度な弾力性を持つ材料により構成される。模擬皮下組織12に用いる素材としては、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂(超軟質ウレタンエラストマー等)、天然ゴム、高吸水性樹脂(ポリアクリル酸ナトリウム等)、水溶性ゲル等が挙げられる。模擬皮下組織12は、可塑剤や保存剤を含んでよい。模擬皮下組織12は、デュロメータ値(デュロメータ アスカーゴム硬度計CSC2型:高分子計器株式会社)で10°〜20°に設定されるのが好ましい。
図2において、模擬皮膚14は、模擬皮下組織12の上部12Up(湾曲上面)を覆うシート部材である。模擬皮膚14の厚さは、人体の皮膚の感触に近似させるために、0.5mm〜3.0mmであるのが好ましく、1.0mm〜2.0mmがより好ましい。ただし、模擬皮膚14の厚さは、任意に設定可能である。模擬皮膚14は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム、水溶性ゲル等により構成してもよいが、ウレタン樹脂により構成されるのが好ましく、超軟質ウレタンエラストマーにより構成されるのが最も好ましい。
図1に示すように、模擬皮膚14は、拘束部材26により模擬皮下組織12及び台座18に固定される。本実施形態において、拘束部材26は、弾力的伸縮性を有するリング状部材26Aである。なお、拘束部材26は、リング状部材26Aに代えて、模擬皮膚14及び模擬皮下組織12に穿刺可能なピン部材であってもよい。
補強部材16は、模擬皮下組織12を覆う織物又は編み物である。具体的には、補強部材16は、天然繊維、化学繊維あるいはポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂性の線材を所定形状に織る又は編むことにより構成されている。補強部材16は、例えば不織布である。補強部材16の網目の大きさは、縫合糸を補強部材16の網目に容易に挿通させることが可能なように、縫合糸の太さよりも大きく設定されている。
図2に示すように、本実施形態では、補強部材16は、模擬皮下組織12の全周を覆うように筒状に形成されている。この場合、補強部材16は、例えば、シート状の不織布の厚さ方向の中間領域を剥離して筒状に形成してよい。なお、補強部材16は、シート状に形成され、模擬皮下組織12に巻き付けられてもよい。
補強部材16の厚さは、模擬皮膚14の厚さよりも薄い。具体的には、補強部材16の厚さは、例えば、0.3mm〜0.7mmの範囲であるのが好ましく、0.5mmであるのがより好ましい。この場合、補強部材16によって模擬皮下組織12及び模擬皮膚14の強度を適度に高めることができる。
台座18は、模擬皮下組織12が載置される台座本体28と、台座本体28から上方に突出するとともに互いに間隔を置いて配置された複数の突起部30と、台座本体28の先端から延出した手部32と、台座本体28の基端に設けられた基部34とを有する。台座本体28は、下方に湾曲状に凹む凹部36を有する。凹部36に、模擬皮下組織12の下部12Lwが挿入される。模擬皮下組織12が台座本体28に載置された状態で、台座本体28の幅方向両端の上面28sは、模擬皮下組織12の段差面12s(図4参照)を支持する。
複数の突起部30は、台座18の長手方向に沿って間隔を置いて複数配列されるとともに、台座18の幅方向に沿って間隔を置いて複数配列されている。本実施形態では、台座18の長手方向に沿って間隔を置いて配置された複数の突起部30からなる突起列30Rが、台座18の幅方向(矢印B方向)に間隔を置いて2列設けられている。模擬皮下組織12が台座18に載置された状態で、複数の突起部30は、模擬皮下組織12に設けられた複数の孔部24に挿入される。
手部32は、人体の手を模した部分であり、手の平が上方を向く形状に形成されている。図3に示すように、手部32の基端部には、第1支持孔40が設けられている。第1支持孔40は、固定部材20の先端が挿入可能な有底の穴であり、基端方向に開口している。なお、本実施形態では、手部32は、人体の左手を模した形状となっているが、人体の右手を模した形状であってもよい。
基部34は、台座本体28の基端から上方に突出している。基部34は、基端壁42と、基端壁42の外周に沿って設けられた周壁部44とを有する。基端壁42には、固定部材20が挿入可能な第2支持孔46が形成されている。周壁部44は、基端壁42の外周から先端方向に突出している。これにより、基部34は、台座本体28側の部位が基端方向に凹んだ形状となっている。
図2において、固定部材20は、模擬皮下組織12に挿入可能に構成されている。本実施形態では、固定部材20は、直線棒状に構成されている。固定部材20の断面形状は円形である。固定部材20の外径は、模擬皮下組織12に設けられた貫通孔22の直径と略同じか、それよりも若干大きい。模擬皮下組織12が固定部材20により固定された状態で、固定部材20は、模擬皮下組織12に設けられた貫通孔22を貫通するとともに台座18に支持される。具体的には、図3に示すように、固定部材20のうち模擬皮下組織12の貫通孔22の両端から突出する第1部位20a及び第2部位20bが、台座18に設けられた第1支持孔40及び第2支持孔46によってそれぞれ支持される。
図5に示すように、固定部材20が台座18に取り付けられた状態で、固定部材20は、台座18の長手方向に沿って延在する。また、固定部材20が台座18に取り付けられた状態で、固定部材20は、複数の突起部30の間(具体的には、一方の突起列30Rと他方の突起列30Rとの間)に配置される。
次に、手技シミュレータ10の組立方法(セットアップ方法)を説明する。
図2において、模擬皮下組織12に、筒状に形成した補強部材16を被せる。これにより、補強部材16が模擬皮下組織12の全周を覆った状態となる。補強部材16がシート状に形成されている場合には、シート状の補強部材16を模擬皮下組織12に巻き付けてもよい。
次に、補強部材16で覆われた模擬皮下組織12を、台座18に載せる。具体的には、補強部材16で覆われた模擬皮下組織12を台座本体28に載せる。その際、模擬皮下組織12の下部12Lwが、台座本体28の凹部36に挿入される。また、模擬皮下組織12に設けられた複数の孔部24(図4)に、台座18に設けられた複数の突起部30が挿入される。なお、模擬皮下組織12を台座18に載せる前に、模擬皮下組織12を覆う補強部材16の、複数の孔部24に対向する位置に切り込みを入れておく。これにより、複数の突起部30の複数の孔部24への挿入が支障なく行われる。
次に、模擬皮下組織12及び台座18に固定部材20を挿入することにより、模擬皮下組織12を台座18にしっかりと固定する。この場合、固定部材20は、第2支持孔46、貫通孔22、第1支持孔40の順に挿入される。固定部材20の外径は、貫通孔22の直径と略同じかそれよりも若干大きいため、固定部材20が貫通孔22から容易に抜けることはない。
次に、補強部材16で覆われた模擬皮下組織12を、模擬皮膚14で覆う。具体的には、模擬皮下組織12及び台座18にシート状の模擬皮膚14を巻き付けて、模擬皮膚14の長手方向の両端部付近を拘束部材26により模擬皮下組織12及び台座18に固定する。これにより、手技シミュレータ10のセットアップが完了する。
次に、手技シミュレータ10を用い、人工血管48を皮下に埋め込むための皮下トンネルを形成する手技(トンネリング手技)のトレーニングを行う際の手順例を説明する。なお、以下では、人工血管48をU字状(ループ状)に埋め込む手技のトレーニングを例に挙げるが、手技シミュレータ10の使用方法はこれに限らず、人工血管48をストレート状に埋め込む手技のトレーニングにも適用可能である。また、通常、人工血管48は、皮下に留置されるが、留置深さは術者によって異なる。形成する皮下トンネルの長さは、患者の個々の状態に応じて設定される。手技シミュレータ10は、術者の好みに応じた留置深さでのトレーニングや、様々な長さの皮下トンネルを形成することが可能である。
図6に示すように、皮下トンネルの形成には、トンネラー50と呼ばれる医療デバイスが用いられる。トンネラー50は、アウタシース52と、アウタシース52に抜去可能に挿入されたインナロッド54と、インナロッド54の基端に設けられたハンドル56と、インナロッド54の先端に装着されたチップ部58とを有する。トンネラー50の皮下挿入部は、通常、長さ20〜70cmである。なお、アウタシース52を有しないトンネラー(ケリーウィックトンネラー)が用いられてもよい。図示例のトンネラー50は湾曲した形状を有するが、ストレート状のトンネラーが用いられてもよい。
まず、図6のように、模擬皮膚14に対し、間隔を置いた2箇所にメス等により切り込みを入れて、第1切開部60a及び第2切開部60bを形成する。次に、第1切開部60aからトンネラー50を挿入し、トンネラー50を先端方向に押し込むことにより、模擬皮下組織12の表層部付近あるいは模擬皮下組織12と模擬皮膚14との間(模擬皮膚14の直下)にトンネラー50を通していく。そして、トンネラー50の先端部を第2切開部60bから突出させる。
次に、人工血管48をアウタシース52に挿通させる。具体的には、図6の状態から、チップ部58をインナロッド54の先端部から取り外した後、インナロッド54を取り去り、アウタシース52のみを留置する。そして、図7に示すように、アウタシース52の先端開口52aから、人工血管48の端部48aを押し進めることにより、アウタシース52の基端開口52bから人工血管48の端部48aを引き出す。このとき、生理食塩液等を流しこみながら人工血管48を挿入してもよい。その後、アウタシース52のみを抜去する。
次に、図8に示すように、模擬皮膚14に対して、必要に応じて、第1切開部60aの近くに切り込みを入れ、模擬皮膚14に第3切開部60cを形成する。次に、第3切開部60cから組立状態のトンネラー50を挿入し、トンネラー50を先端方向に押し込むことにより、模擬皮下組織12の表層部付近あるいは模擬皮下組織12と模擬皮膚14との間(模擬皮膚14の直下)にトンネラー50を通していく。そして、トンネラー50の先端部を第2切開部60bから突出させる。
次に、チップ部58をインナロッド54の先端部から取り外した後、インナロッド54を取り去り、アウタシース52のみを留置する。そして、図9に示すように、アウタシース52の先端開口52aから、人工血管48の他方の端部48bを押し進めることにより、アウタシース52の基端開口52bから人工血管48の端部48aを引き出す。このとき、生理食塩液等を流しこみながら人工血管48を挿入してもよい。その後、模擬皮膚14下に残っているアウタシース52を抜去する。この場合、第2切開部60bを介して人工血管48の中間部48c(折り返し部)を露出させた状態としておいておく。これにより、トンネリング手技の一連の作業が終了する。その後、必要に応じて、中間部48cを皮下組織に固定する訓練をしてもよい。
手技シミュレータ10は、上記のトンネリング手技に係るトンネラー50以外も使用できる。例えば、ケリーウィックトンネラーのように、先端部と、シャフト部と、把持部とを備えるトンネラーの訓練に用いることもできる。この場合、例えば、模擬皮下組織12の表層部付近あるいは模擬皮下組織12と模擬皮膚14との間(模擬皮膚14の直下)にトンネラーを通していく。そして、トンネラーの先端部を第2切開部60bから突出させる。次に、トンネラーの先端部に人工血管48を仮固定した後、基端方向へトンネラーを引きぬくことで、人工血管48を皮下に引き込んで留置する。
この場合、本実施形態に係る手技シミュレータ10は、以下の効果を奏する。
上記の構成を備えた本発明の手技シミュレータ10によれば、図1に示すように、模擬皮下組織12が模擬皮膚14により覆われるとともに台座18に固定されるため、トンネリング手技のトレーニングに好適に用いることができる。また、固定部材20により模擬皮下組織12が台座18に固定されるため、手技シミュレータ10を横に向けたり逆さまにひっくり返したりしてトレーニングをした場合でも、模擬皮下組織12が台座18から脱落することが防止される。従って、様々な留置箇所に対応したトンネリング手技のトレーニングを効率的に実施することが可能となる。
台座18及び模擬皮下組織12は、人体の腕を模した形状を有する。この構成により、人体の腕における人工血管48の埋込範囲の位置をイメージしながら、よりリアリティのあるトレーニングを実施することができる。
台座18は、人体の手を模した手部32を有する。この構成により、よりリアリティのあるトンネリング手技のトレーニングを実施することができる。
図2に示すように、台座18は、模擬皮下組織12が載置される台座本体28と、台座本体28から上方に突出するとともに互いに間隔を置いて配置された複数の突起部30とを有する。そして、模擬皮下組織12が台座18に載置された状態で、複数の突起部30は、模擬皮下組織12に設けられた複数の孔部24(図4)に挿入される。この構成により、複数の突起部30が固定部材20と異なる方向で模擬皮下組織12を支持するので、トンネラー50を押し込む際又は引き抜く際に、模擬皮下組織12が台座18上で水平方向にずれることが防止される。このため、トレーニングの一層の効率化が図られる。
図3に示すように、模擬皮下組織12には、固定部材20が挿入される貫通孔22が設けられている。そして、模擬皮下組織12が固定部材20により固定された状態で、固定部材20は、貫通孔22を貫通するとともに台座18に支持される。この構成により、模擬皮下組織12が固定部材20により良好に支持されるため、模擬皮下組織12を台座18に安定して固定することができる。
台座18は、固定部材20のうち模擬皮下組織12の貫通孔22の両端から突出する第1部位20a及び第2部位20bをそれぞれ支持する第1支持孔40及び第2支持孔46を有する。この構成により、固定部材20が台座18に良好に支持されるため、固定部材20による模擬皮下組織12の台座18に対する固定をより強固にすることができる。
手技シミュレータ10は、模擬皮膚14と模擬皮下組織12との間に、織物又は編み物として構成された補強部材16を備える。この構成により、模擬皮膚14直下の浅い領域(模擬皮膚14と模擬皮下組織12との間、又は模擬皮下組織12の表層部)に皮下トンネルを形成する場合でも、医療デバイス(トンネラー50)の挿入又は抜去に伴う模擬皮下組織12の損傷や損傷に伴う模擬皮下組織12片の露出を抑制することができる。
補強部材16は、模擬皮下組織12を全周に亘って覆う。この構成により、トンネラー50を押し込む際又は引き抜く際に、補強部材16のずれが防止されるため、補強部材16の機能を良好に発揮させることができる。
図5に示すように、固定部材20が台座18に取り付けられた状態で、固定部材20は、複数の突起部30の間に配置される。この構成により、固定部材20と複数の突起部30との干渉を回避することができる。
固定部材20が台座18に取り付けられた状態で、固定部材20は、台座18の長手方向に沿って延在する。この構成により、腕型の模擬皮下組織12を台座18に対して良好に固定することができる。
本実施形態に係る手技シミュレータ10は主に人体の前腕を模した形状を有するが、本発明はこれに限らず、人体の上腕、大腿、前胸部等を模した形状を有していてもよい。これにより、人体の上腕、大腿、前胸部等を対象としたトンネリング手技のトレーニングを効率的に実施することが可能となる。
手技シミュレータ10に模擬動脈及び模擬静脈が設けられてもよい。これにより、トンネリング手技に引き続き、人工血管48を動脈及び静脈に吻合する手技のトレーニングも併せて行うことが可能となる。この場合、模擬動脈及び模擬静脈に模擬血液(着色した水等)を流すと、出血も模擬することが可能となるため、リアリティの一層の向上が図られる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
10…手技シミュレータ 12…模擬皮下組織
14…模擬皮膚 16…補強部材
18…台座 20…固定部材
22…貫通孔 30…突起部
14…模擬皮膚 16…補強部材
18…台座 20…固定部材
22…貫通孔 30…突起部
Claims (10)
- 人体の皮下組織を模擬した模擬皮下組織と、
前記模擬皮下組織を覆い、人体の皮膚を模した模擬皮膚と、
前記模擬皮下組織を支持する台座と、
前記模擬皮下組織を前記台座に固定するために前記模擬皮下組織に挿入される固定部材と、を備える、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項1記載の手技シミュレータにおいて、
前記模擬皮下組織には、前記固定部材が挿入される貫通孔が設けられ、
前記模擬皮下組織が前記固定部材により固定された状態で、前記固定部材は、前記貫通孔を貫通するとともに前記台座に支持される、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項2記載の手技シミュレータにおいて、
前記台座は、前記固定部材のうち前記模擬皮下組織の前記貫通孔の両端から突出する第1部位及び第2部位をそれぞれ支持する第1支持孔及び第2支持孔を有する、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の手技シミュレータにおいて、
前記台座は、前記模擬皮下組織が載置される台座本体と、前記台座本体から上方に突出するとともに互いに間隔を置いて配置された複数の突起部とを有し、
前記模擬皮下組織が前記台座に載置された状態で、前記複数の突起部は、前記模擬皮下組織に設けられた複数の孔部に挿入される、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項4記載の手技シミュレータにおいて、
前記固定部材が前記台座に取り付けられた状態で、前記固定部材は、前記複数の突起部の間に配置される、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の手技シミュレータにおいて、
前記模擬皮膚と前記模擬皮下組織との間に、織物又は編み物として構成された補強部材を備える、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項6記載の手技シミュレータにおいて、
前記補強部材は、前記模擬皮下組織を全周に亘って覆う、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の手技シミュレータにおいて、
前記台座及び前記模擬皮下組織は、人体の腕を模した形状を有する、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項8記載の手技シミュレータにおいて、
前記固定部材が前記台座に取り付けられた状態で、前記固定部材は、前記台座の長手方向に沿って延在する、
ことを特徴とする手技シミュレータ。 - 請求項8又は9記載の手技シミュレータにおいて、
前記台座は、人体の手を模した手部を有する、
ことを特徴とする手技シミュレータ。
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JP2017186659A JP2019061134A (ja) | 2017-09-27 | 2017-09-27 | 手技シミュレータ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2017186659A JP2019061134A (ja) | 2017-09-27 | 2017-09-27 | 手技シミュレータ |
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-
2017
- 2017-09-27 JP JP2017186659A patent/JP2019061134A/ja active Pending
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