JP2015175913A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コア粒子の表面にシェル層を形成する製造方法を連続化することにより、高い粒子生産性等の連続式の製造方法一般の効果が得られることは勿論のこと、更に、低温定着性、耐環境性を優れた、高画質の画像が得られるトナー母粒子を得ることを可能とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。
【解決手段】帯電極性の異なる粒子同士による静電吸着性能を利用して、コア粒子の水系分散液の流動経路に、連続的に且つ一定順番に帯電極性の異なる1種或いは数種のシェル剤を添加することで、連続的にコア粒子の表面に単層或いは複層のシェル層を形成し、コアシェル構造を持つトナー母粒子を連続生産可能であることを見出した。
【選択図】図1

Description

本発明は、高画質および低温定着性と環境安定性に優れた静電荷像現像用トナーの製造装置及び製造方法に関する。
静電荷像現像用トナーは、プリンターや複写機、ファクシミリなどにおいて、静電荷像を可視化する画像形成に用いられる。電子写真方式による画像の形成を例にとると、先ず感光体ドラム上に静電潜像を形成し、次いでこれをトナーにより現像した後、転写紙等に転写し、熱等により定着することによって画像形成が行われる。
静電荷像現像用トナーとしては、通常、結着樹脂及び着色剤に、必要に応じて帯電制御剤、離型剤、磁性体等を乾式混合した後、押出機等で溶融混練し、次いで粉砕、分級する、いわゆる溶融混練粉砕法により得られたトナー粒子に、流動性等の各種性能を付与することを目的として、例えばシリカ等の固体微粒子を外添剤として表面に付着させた形態のものが用いられている。
そして、複写機やプリンター等の画像形成において高精細画質化が要求され、溶融混練粉砕法よりトナー粒子の粒径そして粒度分布を制御しやすい懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの重合法を提案されている。
近年、近年における複写機やプリンター等の普及に伴い、画像品質への要求に加え、特に高速印刷および低エネルギー定着性に優れたトナーが望まれるようになり、トナーの低温定着性の改善が試みられている。低温定着を達成するためには、結着樹脂のガラス転移点を低くしたり、結晶性樹脂を併用する方法が多く用いられているが、低温定着性と耐ブロッキング性や耐高温オフセット性とは、通常は二律背反の関係にあり、両立を図ることが望まれている。
これらの課題に対して、カプセル構造のようなより低温定着に優れた低粘弾性樹脂から構成したトナー母粒子の表面により硬いシェル層を形成することで、トナーの低温定着性を維持しながら耐ブロッキング性を改良する方法も良く使われている。しかしながら、シェル層の制御が困難であり、シェル層が厚すぎると、トナーの低温定着性を悪化し、逆にシェル層が薄すぎると、シェル層がトナー母粒子層に埋め込んだたり、コア部分の結着樹脂成分がトナー表面で出たりすることで、期待する耐ブロッキング性能を得られることが困難である。
例えば特許文献1では、トナー核表面に対して被覆率10%〜80%で一体化された粒状の凸部を形成し、制御された構造を作ることで、低温定着と耐熱保管性の両立を試みている。また、特許文献2ではトナー母体粒子表面に樹脂微粒子を埋没固着させることで、耐熱保存性とクリーニング性の両立を試みている。さらに、特許文献3では、コアは主として結晶性樹脂を含み、シェルはコアに対して15質量%以上120質量%以下であり、シェルは段差0.3μm以上の半球状の突起を有することで、低温定着性とクリーニング性の両立を試みている。特許文献4では、結晶性ポリエステルを無定形高分子を主成分とする表面層で被覆することで、低温定着性、帯電特性を両立させる技術が知られている。
しかしながら、このようなシェル粒子がコア粒子に埋没しているコアシェル構造(以下、カプセル構造と称することがある)は、シェル粒子が徐々に内部に沈降していくために、コア粒子部分が表面に露呈し、性能が時間と共に悪化してしまう問題点がある。さらには、一般的にシェル粒子は耐熱保存性やクリーニング性を担保させるために、ガラス転移点の高い樹脂を用いる必要があり、低温定着性を悪化させる要因となってしまう。また、
コア樹脂とシェル樹脂の相溶性が高い場合、定着後の画像においてコア樹脂とシェル樹脂が相溶してしまい、ガラス転移点が低下し、画像がタック性を帯びてしまう問題点がある。
特開2008−233430号公報 特開2012−58489号公報 特開2005−274964号公報 特開2004−191927号公報
低温定着と耐ブロッキング性を両立するため最も効果的形態とは、シェル粒子が、低温定着に適用するコア粒子の表面により高い被覆率(カプセル効率)で、より薄く、しかもコア粒子表面に留まりやすいカプセル構造である。
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を重ね、コア粒子の分散液にシェル粒子の分散液を添加混合することで、コア粒子の表面に0.2μm以下のシェル粒子を単層に近い非常にシェル層が薄いコアシェル構造を形成する方法を見出した。
しかし、このシェル粒子のカプセル工程には、コア粒子の製造工程とは別に、カプセル化工程用の反応容器等の設備の増設が必要であり、更に工程を進行させるための反応時間も必要であるため、生産コストの増加が避けられない。本発明で解決しようとする課題は、コア粒子の表面にシェル層を形成する製造方法を連続化することにより、高い粒子生産性等の連続式の製造方法一般の効果が得られることは勿論のこと、更に、低温定着性、耐環境性を優れた、高画質の画像が得られるトナー母粒子を得ることを可能とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。
本発明者らは、帯電極性の異なる粒子同士による静電吸着性能を利用して、コア粒子の水系分散液の流動経路に、連続的に且つ一定順番に帯電極性の異なる1種或いは数種のシェル剤を添加することで、連続的にコア粒子の表面に単層或いは複層のシェル層を形成し、コアシェル構造を持つトナー母粒子を連続生産可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水系媒体中でトナー粒子を製造する静電荷像現像用トナーの製造方法において、コアシェル構造を有するトナー母粒子を連続的に製造することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するものである。
本発明は、上記知見に基づくものであり、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 独立して分散部及び加熱部を有する連続反応装置においてコア粒子と該コア粒子表面に付着又は固着させる被覆材を含むトナーの製造方法であって、
該コア粒子の表面の帯電極性と、該被覆材の帯電極性との関係が、逆極性の関係であり、該分散部に該コア粒子のスラリー及び該被覆材の溶液又はスラリーを連続的に供給し、該分散部により該コア粒子のスラリーと該被覆材の溶液又はスラリーとを連続的に混合分散する工程と、該混合分散工程後に該加熱部により加熱処理する工程と、を有し、
該混合分散する工程と該加熱処理する工程とが連続的に行われ、該コア粒子に該被覆材が付着又は固着されたトナー母粒子を連続的に得ることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
[2] 前記分散部がインラインミキサーを有することを特徴とする[1]に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[3] 前記インラインミキサーがスタティックミキサーであることを特徴とする[2]
に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[4] 前記分散部が、複数の撹拌翼が直列的に配置された混合分散機構を有する混合分散槽であることを特徴とする[1]に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[5] 前記混合分散槽が撹拌翼と撹拌翼の間に仕切りが設けられた混合分散機構を有する混合分散槽であることを特徴とする[4]に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。[6] 前記分散部又は前記送液部が加熱部と一体であることを特徴とする[1]乃至[5]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[7] 前記加熱部の送液方式が、正圧または負圧より制御されることを特徴とする[1]乃至[6]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[8] 前記被覆材の溶液又はスラリーを添加した後、さらに電解質溶液を添加することを特徴とする[1]乃至[7]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[9] 前記加熱部の加熱温度が、前記コア粒子を構成する樹脂のガラス転移温度未満であることを特徴とする[1]乃至[8]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[10] 前記コア粒子のスラリーの濃度が5%以上30%以下であることを特徴とする[1]乃至[9]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[11] 前記コア粒子のスラリーは、湿式造粒法により得られた分散液を洗浄工程によって、電導度を10μs以下に処理した分散液であることを特徴とする[1]乃至[10]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[12] 前記被覆材を付着又は固着させる工程が複数回あり、最終回に付着又は固着させる被覆材が樹脂微粒子であることを特徴とする[1]乃至[11]のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[13] 前記樹脂微粒子の体積平均粒径が50nm以上150nm以下であることを特徴とする[12]に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
[14] 前記樹脂微粒子の含有率がトナー母粒子に対して10wt%以下であることを特徴とする[12]又は[13]に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明によれば、低温定着と耐ブロッキング性を両立でき、高い帯電安定性、高画質および画質の環境安定性に優れたコアシェル構造を有する静電荷像現像用トナーを高い生産効率で製造することができる。
この効果は、低温定着性を持つコア粒子の表面に帯電性及び耐ブロッキング性に優れたシェル粒子を高い付着強度および高い被覆率で連続的に付着させることにより得られるものである。この新規な連続的生産方法より、より品質安定性の高く、しかも生産コストの低い方法で、コアシェル構造を有するトナーの製造を可能となる。更に、この方法で得られたトナーは、コア粒子とシェル粒子とを静電気的に付着または固着させたコアシェル構造により、より効果的な低温定着性を実現するのと同時に、帯電安定性及び優れた耐環境性を発揮する。
連続カプセルシステム100の略図。 連続カプセルシステム200の略図。 連続カプセルシステム300の略図。 連続混合槽(仕切りあり)の略図。 連続混合槽(仕切りなし)の略図。 連続カプセルシステム400の略図。
以下、本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法について詳細に説明する。
本発明で得られるトナーにおいて、シェル粒子等のシェル層を形成する被覆材が付着又は
固着される前の状態のものをコア粒子と称し、外添剤を有する前のコアシェル構造のもの(カプセル構造状態のもの)をトナー母粒子と称し、トナー母粒子の表面に外添剤を有するものをトナーと称する。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、水系媒体中でコアシェル構造を有するトナー母粒子を製造する方法であり、コア粒子にある帯電極性を持たせ、該コア粒子の帯電極性に対してシェル層を形成する被覆材の帯電極性を逆に設定し、静電気的に付着させることでコアシェル構造を形成することを特徴とする。また、本発明の製造方法は、連続的に送液されるコア粒子のスラリーに連続的に被覆材の溶液又はスラリーを供給し混合分散しながら送液を行うことで、コアシェル構造を連続的に形成させ、該コア粒子に該被覆材が付着又は固着されたトナー母粒子を連続的に得ることを特徴とする。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤を含有し、その他必要に応じて、ワックス、帯電制御剤などを含有していても良い。また、本発明のコア粒子は、粉砕法、或いは湿式重合法によって製造される。
<1.コア粒子>
コア粒子は、結着樹脂、着色剤を含有し、その他必要に応じて、ワックス、帯電制御剤などを含有する。
コア粒子は、粉砕法、或いは湿式重合法によって製造することができる。
粉砕法によってコア粒子を製造する場合は、結着樹脂、着色剤及びワックスなどを高温で溶融混練した後、粉砕工程及び分級工程を経ることによってコア粒子を得ることができる。得られたコア粒子は、乳化剤より水に分散して、コア粒子の分散液を得られる。更に後述シェル粒子を添加し、コアシェル構造を形成することができる。
湿式重合法の例としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、及び溶融懸濁法が挙げられる。
懸濁重合法によってコア粒子を製造する場合は、結着樹脂モノマーに着色剤、ワックスを溶解させた後、そのモノマー溶液を水性媒体中で機械的せん断力によりモノマー滴として懸濁させる。その後、モノマーを重合させることによって、コア粒子を得ることができる。
乳化重合凝集法によってコア粒子を製造する場合は、まず、重合開始剤及び乳化剤等を含有する水性媒体中において、結着樹脂の重合性単量体を乳化させる。次に、重合性単量体を攪拌下で重合させることによって、重合体一次粒子を得ることができる。次に、重合体一次粒子に着色剤並びに必要に応じて帯電制御剤等を添加して、重合体一次粒子を凝集させ、さらに得られた凝集粒子を熟成させることによって、コア粒子を得ることができる。
溶融懸濁法によってコア粒子を製造する場合は、溶媒中に結着樹脂、ワックス等を溶解させて油相を得た後、その油相を水系媒体中に油滴として懸濁させた後に、溶媒を除去することでコア粒子を得ることができる。
コア粒子を製造するためには、湿式重合法の中でも、トナー粒子の粒径や形状などの制御のし易さの観点から、乳化重合凝集法を用いることが好ましい。
本発明において、結着樹脂を製造するために用いる単量体成分としては、トナーの結着樹脂として従来から用いられている単量体を適宜用いることが出来る。
例えば、酸性基を有する重合性単量体(以下、単に酸性単量体と称することがある)、塩基性基を有する重合性単量体(以下、単に塩基性単量体と称することがある)、酸性基も塩基性基も有さない重合性単量体(以下、その他の単量体と称することがある)のいず
れの重合性単量体も使用することができる。
酸性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性単量体、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性単量体等が挙げられる。また、塩基性単量体としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら酸性単量体及び塩基性単量体は、本発明に用いられるラジカル性単量体とともに、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶融懸濁法等でトナー母粒子を製造する過程において、粒子の水中での安定化に寄与する。これらの単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。
結着樹脂を構成する重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド等が挙げられ、重合性単量体は、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
更に、結着樹脂を架橋樹脂とする場合、上述の重合性単量体と共にラジカル重合性を有する多官能性単量体が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ヘキサエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有する重合性単量体、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性重合性単量体が好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性重合性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよい。
結着樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと記載する)における数平均分子量が、好ましくは2000以上、より好ましくは2500以上、さらに好ましくは3000以上であり、好ましくは5万以下、より好ましくは4万以下、さらに好ましくは3.5万以下である。また、同様にして求めた重量平均分子量が、好ましくは3万以上、より好ましくは4万以上、さらに好ましくは5万以上であり、好ましくは200万以下、より好ましくは100万以下、さらに好ましくは50万以下である。結着樹脂の数平均分子量および重量平均分子量が前記範囲にある場合、トナーの耐久性、保存性、定着性が良好となるため好ましい。
結着樹脂の重合に際し、必要に応じて公知の重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用する事ができる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、等の過硫酸塩、及び、これら過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元
剤を組み合わせたレドックス開始剤、過酸化水素、4,4’−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロペーオキサイド、等の水溶性重合開始剤、及び、これら水溶性重合性開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤と組み合わせたレドックス開始剤系、過酸化ベンゾイル、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、等が用いられる。これら重合開始剤はモノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせても良い。
本発明では、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤の具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン、等があげられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して0〜5重量%用いられる。
また、本発明では、必要に応じて公知の懸濁安定剤を使用することができる。懸濁安定剤の具体的な例としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは、一種或いは二種以上を組み合わせて用いてもよく、重合性単量体100質量部に対して1質量部以上、10質量部以下の量で用いてもよい。
重合開始剤および懸濁安定剤は、何れも、重合性単量体添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
その他、反応系には、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
本発明において、結着樹脂を乳化重合法によって製造する場合、用いる乳化剤としては公知のものが使用できるが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる一種又は二種以上の乳化剤を用いることが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
本発明において、乳化剤の使用量は、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下であることが好ましい。また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
本発明において、乳化重合法により得られる重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。粒径が前記範囲よりも小さいときは、凝集工程において凝集速度の制御が困難となる場合があり、前
記範囲よりも大きいときは、凝集して得られるトナー母粒子の粒径が大きくなり易く、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
トナーには、オフセット防止剤として、ワックスを使用することができる。近年、トナーの低温定着性の改善が試みられているが、低温定着性と耐ブロッキング性、耐高温オフセット性とは、通常は二律背反の関係にあり、それらの両立を達成するためには、オフセット防止剤としてのワックスの使用が好ましい。
トナーに用いられるワックスは、公知のワックスを任意に使用することができるが、具体的には低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ひまし油カルナバワックス等の植物系ワックス、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基を有するシリコーン、ステアリン酸等の高級脂肪酸、長鎖脂肪酸アルコール、ペンタエリスリトール等の長鎖脂肪酸多価アルコール、及びその部分エステル体、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、等が例示され、好ましくは、パラフィンワックスまたはフィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系、エステル系ワックス、シリコーン系ワックスが挙げられる。
本発明において、ワックスは単独で用いても混合して用いても良い。また、これらのワックスの中で定着性を改善するため、融点は120℃以下が好ましく、110℃以下が更に好ましく、100℃以下が特に好ましい。融点の下限としては、40℃以上が好ましく、さらに好ましくは50℃以上である。融点が高すぎると、定着温度低減の効果が乏しくなる場合があり、融点が低すぎると、固結性、保存性に問題が生じる場合がある。
本発明においてワックスの量は、トナー100質量部中に1質量部以上であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。また、40質量部以下であることが好ましく、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは、30質量部以下である。トナー中のワックス含有量が少なすぎると、高温オフセット性等の性能が十分でない場合があり、多すぎると、耐ブロッキング性が十分でなかったり、ワックスがトナーから漏出することにより装置を汚染したりする場合がある。
本発明において、重合法におけるワックスの配合方法としては、予め水中に体積平均粒径0.01μm以上、2.0μm以下のワックスを分散させておくことが好ましい。ワックスの粒径は、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが特に好ましい。
さらに、乳化重合凝集法においては、上記平均粒径範囲に分散したワックス分散液を乳化重合時に添加するか、あるいは凝集工程で添加することが好ましい。
また、トナー中に好適な分散粒径でワックスを分散させるためには、乳化重合時にワックスをシードとして添加する、いわゆるシード重合とすることが好ましい。シードとして添加することにより、ワックスがトナー中に微細かつ均一に分散するため、トナーの帯電性や耐熱性の悪化を抑制することができる。
また、ワックスをステアリルアクリレートなどの長鎖重合性単量体と予め水系分散媒体中で分散し得られるワックス・長鎖重合性単量体分散液を予め調製し、ワックス・長鎖重合性単量体の存在下において重合性単量体を重合することもできる。
コア粒子に含有される着色剤としては公知の着色剤を任意に用いることができる。着色剤の具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナ
クリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができる。フルカラートナーの場合にはイエローはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤は、重合体一次粒子100質量部に対して3質量部以上、20質量部以下となるように用いることが好ましい。
乳化重合凝集法における着色剤の配合は、通常、凝集工程で行われる。重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子の分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。着色剤は、乳化剤の存在下で水中に分散した状態で用いるのが好ましい。着色剤粒子の体積平均粒径は、0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、3μm以下、より好ましくは1μm以下である。
本発明のコア粒子は、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの何れの重合法で製造してもよく、特に限定されない。
懸濁重合法によってコア粒子を製造する場合には、上述の結着樹脂の単量体中に着色剤、重合開始剤、そして必要に応じてワックス、極性樹脂、荷電制御剤や架橋剤などの添加剤を加え、均一に溶解又は分散させた単量体組成物を調製する。この単量体組成物を、分散安定剤等を含有する水系媒体中に分散させる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のコア粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行い、重合を行う。
得られたコア粒子の分散液を洗浄よりコア粒子以外の不純物をある程度除去して、後述するように、シェル粒子をコア粒子の表面に被覆させる工程(カプセル工程)を経て、コアシェル構造を有するトナー母粒子を得ることができる。
乳化重合凝集法によってコア粒子を製造する場合には、まず、着色剤分散液及びワックス分散液を準備する。つぎに、乳化重合により得られた結着樹脂単量体の重合体一次粒子、又は、ワックス分散液存在下で乳化重合により得られたワックス内包結着樹脂単量体の重合体一次粒子を準備する。つぎに、着色剤分散液、ワックス分散液、及び結着樹脂単量体の重合体一次粒子を混合する。その後、この混合液を加熱して、凝集、及び熟成工程を経ることによって、コア粒子を製造することができる。
また、乳化重合凝集法によってコア粒子を製造する場合には、着色剤存在下で、或いは着色剤とワックス存在下で乳化重合により得られた結着樹脂単量体の重合体一次粒子と、ワックス分散液とを混合する。つぎに、この混合液を加熱して、凝集、及び熟成工程を経ることによって、コア粒子を製造することができる。
また、乳化重合凝集法によってコア粒子を製造する場合には、着色剤とワックス存在下で乳化重合により得られた結着樹脂単量体の重合体一次粒子と、ワックス分散液とを混合する。つぎに、この混合液を加熱して、凝集、及び熟成工程を経ることによって、コア粒子を製造することができる。
乳化重合凝集法によってコア粒子を製造した後、後述するように、シェル粒子をコア粒子の表面に被覆させる工程(カプセル工程)を経て、コアシェル構造を有するトナー母粒子を得ることができる。
上記の乳化重合凝集法の製造方法の中でも、着色剤存在下で結着樹脂単量体を重合させると、着色剤中の金属がラジカル重合に影響し、樹脂の分子量やレオロジー制御が困難となり、所望の重合体一次粒子が得られないおそれがあるため、着色剤を乳化重合時に添加
しない、凝集工程で着色剤分散液を添加する乳化重合凝集法が好ましい。
乳化重合凝集法において、重合体一次粒子、着色剤粒子、必要に応じて帯電制御剤、及びワックスは、同時に混合してもよいし、逐次に混合してもよい。あるいは、それぞれの成分の分散液を調製した後に、これらの分散液を混合してもよい。
乳化重合凝集法によってコア粒子を製造する場合には、攪拌装置を備えた槽内において凝集工程を行うことができる。この場合、粒子同士の凝集力と、攪拌による剪断力とのバランスによって、粒子凝集体の粒径を制御することができる。また、重合体一次粒子を含む混合液を加熱する、あるいはこの混合液に電解質を加えることによって、重合体一次粒子の凝集力を大きくすることができる。
本発明において、電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、酸、アルカリ、塩のいずれでも、そして、有機系、無機系のいずれでも良いが、具体的には、酸として、塩酸、硝酸、硫酸、クエン酸等、アルカリとして、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等、塩として、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3COONa、C65SO3Na等が挙げられる。これらのうち、
2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
本発明において、電解質の添加量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、0.02質量部以上が好ましく、0.05質量部以上が更に好ましい。また、25質量部以下が好ましく、更には15質量部以下、特に10質量部以下が好ましい。添加量が少なすぎると、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しないなどの問題を生じたりする場合があり、多すぎると、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた粒子凝集体中に粗粉や不定形のものが含まれるなどの問題を生じる場合がある。電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、20℃以上、好ましくは30℃以上であり、80℃以下、好ましくは70℃以下である。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、コア粒子の粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが好ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
トナーの構造制御より帯電性、保存安定性などのトナー性能向上を実現するためには、得られた粒子凝集体に更に重合体一次粒子を添加し、粒子凝集体の表面にカプセル層を形成することが可能である。この重合体一次粒子は、コア粒子凝集体の重合体一次粒子と同じものでも良い、違うものでも良い。
凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において、粒子同士の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、好ましくは重合体一次粒子のTg以上、より好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくはTgより80℃高い温度以下、より好ましくはTgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするコア粒子の形状により異なるが、重合体一次粒子のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが好ましい。
なお、凝集工程以降、好ましくは熟成工程以前又は熟成工程中の段階で、界面活性剤を添加するか、pH値を上げるか、或いはこれらの方法を併用することが好ましい。ここで用いられる界面活性剤としては、重合体一次粒子を製造する際に用いることのできる乳化
剤から一種以上を選択して用いることができるが、特に重合体一次粒子を製造した際に用いた乳化剤と同じものを用いることが好ましい。界面活性剤を添加する場合の添加量は限定されないが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に界面活性剤を添加するか、pH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後の粗大粒子の生成を抑制することができる。
熟成工程での加熱処理により、凝集体における重合体一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのコア粒子の形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、重合体一次粒子の静電気的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、コア粒子の形状も球状に近いものとなる。熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、重合体一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のコア粒子を製造することができる。
得られたコア粒子の分散液を洗浄よりコア粒子以外の不純物をある程度除去して、後述するように、シェル粒子をコア粒子の表面に被覆させる工程(カプセル工程)を経て、コアシェル構造を有するトナー母粒子を得ることができる。
溶融懸濁法のようなその他の湿式重合法の場合も、得られたコア粒子の分散液を洗浄工程によって、コア粒子以外の不純物をある程度除去して、後述するように、シェル粒子等のシェル層形成用の被覆材をコア粒子の表面に被覆させる工程(カプセル工程)を経て、コアシェル構造を有するトナー母粒子を得ることができる。
湿式重合法により得られたコア粒子分散液の洗浄方法について、コア粒子製造時得られたスラリー液を脱水及び降りかけ洗浄より水及び水中含まれる乳化剤及び可溶性不純物を除去した後、得られたコア粒子のケーキを水に再分散することによりコア粒子分散液を作ることができる。連続生産の観点から、重合法よりコア粒子製造時のスラリー液を連続的濾過と洗浄水より濃度調整する連続洗浄装置により連続洗浄し、洗浄処理したコア粒子分散液を連続的次のカプセル工程に供給できる方式は好ましい。
コア粒子分散液の電導度は、100μs以下が好ましい、更に10μs以下が最も好ましい。電導度はこれより高くなると、その後のカプセル工程では、シェル粒子が自己凝集したり、コア粒子への付着性が悪くなったりになる恐れがある。
<2.シェル層形成用の被覆材>
本発明では、コア粒子の表面にシェル粒子等のシェル層形成用の被覆材を静電気的に付着又は固着させることによって、コアシェル構造を持つトナー母粒子を製造する。目的によって、1種類或いは2種類以上のシェル剤を使って、単層或いは多層のカプセル層を作成することができる。
(2−1.中間層)
本発明において、シェル層を2層以上の多層構造にする場合には、中間層を設けることができる。中間層は、シェル層を形成する2種類以上の被覆剤を用い、コア粒子の表面に多層カプセル構造を形成した際に得られたトナー母粒子において、最表面のシェル層を除いたシェル層を意味する。この中間層は最表面のシェル粒子等の被覆材を均一に被覆するための土台となるものであり、中間層とシェル粒子等の被覆材の帯電性を逆に設計することで、シェル粒子等の被覆材が中間層表面のあらゆる部分に付着してシェル粒子の体積平均粒子径相当の薄さと、中間層表面に対して密にシェル粒子等の被覆材が配置された状態を有するシェル層を形成し、その結果、低温定着性を損なわずに良好な耐ブロッキング性
を得ることができる。
コア粒子が負帯電性の場合は、中間層を形成する被覆材として、正帯電性の樹脂を用いると、薄く均一な中間層が形成しやすいため好ましい。正帯電性の樹脂は特に指定しないが、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHC、−N(C、−NHCOH等のアミノ基を含有する樹脂;それらがアンモニウム塩化された4級アンモニウム塩を含有する樹脂が挙げられる。これらの中でも、4級アンモニウム塩を含有する樹脂が好ましい。4級アンモニウム塩を含有する樹脂は、アミノ基を含有する重合体をアンモニウム塩化することによって得ることができる。また、アンモニウム塩の基を含有するモノビニル単量体を重合することによっても得ることができる。また、結着樹脂に一般的に用いられる単量体と共重合させてもよい。ただし、正帯電性樹脂の製造方法は、これらの方法に限定されない。
4級アンモニウム塩の基を含有する樹脂の中でも、下記の構造式(1)に示す4級アンモニウム塩を含有するアクリレート、及び下記の構造式(2)に示す4級アンモニウム塩を含有するアクリルアミドが好ましく、下記の構造式(1
)に示す4級アンモニウム塩を含有するアクリレートがより好ましい。
上記の構造式(1)及び構造式(2)において、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、アルキレン基であり、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、あるいは炭素数1〜6の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基であり、X−は、ハロゲンイオンまたはベンゼンスルホン酸イオン若しくはアルキルベンゼンスルホン酸イオンである。
上記の構造式(1)に示す4級アンモニウム塩において、X−は、塩化物イオンまたはトルエンスルホン酸イオンであることが好ましく、Rは、水素原子またはメチル基であることが好ましく、Rは、CH、C、Cなどの炭素数1〜3のアルキレン基及びその誘導体であることが好ましく、R〜Rは、それぞれ独立にCH、C、Cなどのアルキル基であることが好ましい。
アミノ基含有(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−1−エチル(
メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−2−エチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−1−プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノ−2−プロピル(メタ)アクリレートなどのN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
アミノ基をアンモニウム塩化するために用いられる4級化剤としては、例えば、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化メチル、及び臭化エチル等のハロゲン化アルキル、パラトルエンスルホン酸メチル、パラトルエンスルホン酸エチル、及びパラトルエンスルホン酸プロピル等のパラトルエンスルホン酸アルキルエステル等が挙げられる。
コア粒子が正帯電性の場合は、中間層を形成する被覆材として、負帯電性の樹脂を用いると、薄く均一な樹脂層が形成しやすいため好ましい。負帯電性樹脂は特に指定しないが、カルボキシル基を含有する樹脂、スルホン酸基を有する樹脂、スルホンアミド基を有する樹脂が挙げられる。また、結着樹脂に一般的に用いられる単量体と共重合させてもよい。ただし、負帯電性樹脂の製造方法は、これらの方法に限定されない。
カルボキシル基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等が挙げられる。スルホン酸基含有単量体としてはスルホン化スチレン等が挙げられる。スルホンアミド基含有単量体としてはスチレンスルホンアミド等が挙げられる。
中間層を形成する被覆材として用いられる樹脂の分子量は特に限定されないが、GPCにおける重量平均分子量が3000以上であり、50万以下であることが望ましい。重量平均分子量が3000以下であると、コア粒子表面への吸着力が弱くなる可能性があり、50万を超えると、ポリマー鎖が長くなるため、複数のコア粒子に橋掛け状に吸着する可能性がある。
中間層の含有率は、本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、通常、コア粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、また、好ましくは3質量部以下である。0.01質量部よりも少な過ぎると目的とする中間層が均一層として得られ難くなり、また3質量部より多過ぎるとトナーの定着性が悪化する傾向がある。
中間層を形成する被覆材の形態は特に限定されないが、後述のシェル粒子と同じ微粒子形態あるいは水溶性樹脂等からなる樹脂膜形態のいずれでもよく、トナー母粒子の再表層のシェル層がシェル粒子からなる場合には、均一且つ密なシェル層の形成の観点から、樹脂膜形態であることが好ましく、水溶性樹脂からなる樹脂膜形態であることがより好ましい。また、コア粒子表面に中間層を形成する際には、中間層成分として水溶性樹脂を水溶液に調製して、中間層形成用の被覆材の溶液として使用することが、操作性の観点から好ましい。また、PAS−H、PAS−J(ニットーボーメディカル(株)製)、ジュリマ
ーAC−103(東亞合成(株)製)等、種々の市販の樹脂水溶液を用いることもできる。
上記において、中間層が水溶性樹脂からなる樹脂膜形態であるとは、コア粒子表面の凹凸に由来する凹凸は有するものの、実質的に平滑な表面を有する膜の層を意味する。この水溶性樹脂膜は、本発明の効果を著しく損なわない限り、複数の水溶性樹脂を含んでいてもよい。ここで、水溶性とは、25℃における水への溶解度が1g/100ml以上であることを指す。
溶液とする被覆材である水溶性樹脂としては、上述した正帯電性又は負帯電性の樹脂のうち前記溶解度を満足するものを用いればよい。
(2−2.コア粒子の上に中間層を形成する方法)
コア粒子分散液に、中間層樹脂水溶液等の中間層形成用の被覆材の溶液、或いは、中間層用シェル粒子の分散液等の中間層形成用の被覆材のスラリーを添加し、混合および分散することで、コア粒子の表面に中間層を形成することができる。具体的には、後述する<連続反応装置の実施態様2>及び<連続反応装置の実施態様3>に記載に従って中間層は連続反応装置により形成され、中間層は、<連続反応装置の実施態様2>及び<連続反応装置の実施態様3>における「コア粒子の表面に被覆材の付着又は固着により形成される第1の被覆層」が相当する。
以下、中間層の形成方法について、中間層を水溶性樹脂膜形態とする態様を取り上げて具体的に説明するが、本発明は当該態様に限定されるものではない。
中間層として樹脂膜を形成する際のコア粒子と中間層形成用の被覆剤の溶液である樹脂水溶液との混合温度は、特に限定されないが、コア粒子のTgより10℃以上低い温度で混合すると、コア粒子の凝集体の発生を防ぎ、コア粒子と樹脂水溶液を均一混合することができることから好ましい。
均一混合の後、混合液のpH、電解質濃度、温度を調整することができる。コア粒子と中間層成分のいずれか、または両方が、pHによって帯電性が変化する性質を有する場合は、混合液のpHを、両者の帯電性が逆の符号を示す領域に調整することが好ましい。このpH領域は、コア粒子が負帯電性で正帯電性の樹脂膜中間層を形成する場合はアルカリ性、コア粒子が正帯電性で負帯電性の樹脂膜中間層を形成する場合は酸性であることが多い。通常、コア粒子表面と中間層成分が逆の帯電性を示すpH領域に調整すれば、中間層の形成が進行するが、補助的に電解質濃度を調整してもよい。電解質は無機系あるいは有機系の酸、アルカリ、塩を使うことができる。温度の調整は、コア粒子同士の凝集を防ぐため、コア粒子のTg(℃)以下で行うことが好ましい。
中間層形成後、水系媒体中に残留しているコア粒子表面に付着しない過剰な被覆剤成分及びコア粒子以外の不純物を、洗浄によって除去することが好ましい。具体的な方法は、コア粒子の洗浄と同様の方法を用いることができる。
または、コア粒子と中間層形成用の被覆剤の比率を厳密に調整して、コア粒子表面に付着しない過剰のシェル剤が水系媒体中に残留しな
いようにすることもできる。この場合は洗浄を省略することができる。
中間層の形成を確認する方法としては、中間層形成前後の分散液のζ電位の符号が逆になること、あるいは、中間層形成前後の分散液を洗浄・乾燥した粉体の帯電量の符号が逆になることで確認できる。
(2−3.シェル層(最表層))
最表層として、コア粒子表面もしくは中間層表面に被覆させるシェル層は、粒子からな
る粒子状の層、樹脂からなる膜状の層若しくは樹脂粒子が一部溶融して粒子状と膜状の層が混在した層のいずれの状態の層でもよい。コア粒子表面もしくは中間層表面に対して最表層となるシェル層を均一に薄く且つ密に形成する観点、並びに低温定着性及び固結性の両立の観点から、粒子からなる粒子状の層が好ましい。
最表層となるシェル層を膜状の層として形成する場合の被覆材(以下、シェル材と称することがある)としては、上記(2−1.中間層)にて挙げた正帯電性の樹脂あるいは負帯電性の樹脂をシェル材として用いることができる。
最表層となるシェル層を粒子状の層として形成する場合の被覆材(以下、シェル粒子と称することがある)としては、無機粒子でも樹脂微粒子でもよく特に限定されないが、粒子製造及び粒子性能の制御性、低温定着性の観点から、シェル粒子は樹脂微粒子が好ましい。
シェル粒子が樹脂微粒子の場合は、樹脂成分は特に指定しないが、例えばスチレン系、アクリル系、エステル系など一般的に結着樹脂として用いられる樹脂、或いはそれらの共重合系、ブレンド系でも良い。
樹脂シェル粒子の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは20,000〜500,000、特に好ましくは40,000〜300,000である。樹脂シェル粒子の重量平均分子量が低すぎると、トナーの耐ブロッキング性が悪くなったり、カートリッジ内での耐久性が悪くなる場合があり、一方、高すぎると低温定着性が悪化する場合がある。
樹脂シェル粒子のTgは、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは45℃以上であり、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは80℃以下であり、更に好ましくは75℃以下である。また、コア粒子のTgより高いことが好ましく、(コア粒子のTg+2)℃以上がより好ましく、(コア粒子のTg+5)℃以上が更に好ましく、(コア粒子のTg+50)℃以下が好ましく、(コア粒子のTg+40)℃以下がより好ましい。樹脂シェル粒子のTgが低すぎると、トナーの耐ブロッキング性が悪くなる場合があり、一方、高すぎると低温定着性が低下する場合がある。
シェル粒子の含有率は、本発明の効果を損なわない限り特に限定はないが、通常、コア粒子100質量部に対して、好ましく0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、また、好ましくは8質量部以下である。0.5質量部より少ないと目的とするシェル層が均一層として得られ難く保存安定性が悪化し、また8質量部を超えて使用するとトナーの定着性が悪化する傾向がある。
コア粒子の表面又は中間層形成後の表面が正帯電性の場合は、シェル粒子に負帯電性の樹脂を用いると、薄く均一なシェル層が形成しやすいため好ましい。負帯電性樹脂は特に指定しないが、カルボキシル基;スルホン酸基;スルホンアミド基を有する単量体と、結着樹脂に一般的に用いられる単量体とを共重合させた樹脂が好ましい。これらの単量体は、シェル粒子に負帯電性を付与するのと同時に、シェル粒子の乳化安定性も付与するので、シェル層形成時にシェル粒子同士の凝集が生じにくくなる。これらの中でも、スルホン酸基を有する樹脂が好ましい。ただし、負帯電性樹脂の製造方法は、これらの方法に限定されない。
コア粒子の表面又は中間層形成後の表面が負帯電性の場合は、シェル粒子に正帯電性の樹脂を用いると、薄く均一なシェル層が形成しやすいため好ましい。正帯電性樹脂は特に指定しないが、−NH、−NHCH、−N(CH、−NHC、−N(C、−NHCOH等のアミノ基を含有する単量体;それらがアンモニウム
塩化された4級アンモニウム塩を含有する単量体と、結着樹脂に一般的に用いられる単量体とを共重合させた樹脂が好ましい。これらの単量体は、シェル粒子に正帯電性を付与するのと同時に、シェル粒子の乳化安定性も付与するので、シェル層形成時にシェル粒子同士の凝集が生じにくくなる。これらの中でも、4級アンモニウム塩を含有する樹脂が好ましい。ただし、正帯電性樹脂の製造方法は、これらの方法に限定されない。
帯電性を与える官能基を有する単量体単位の量は、樹脂中、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜12重量%、特に好ましくは2〜10重量%である。該単量体の量が少なすぎると、シェル層を形成した後のトナーの帯電性が不十分になる場合があり、多すぎると、高温高湿下におけるトナーの帯電量の低下が大きくなり、かぶりが発生する場合がある。
樹脂シェル粒子は、樹脂を水系媒体中で分散あるいは乳化して作成してもよく、乳化重合、懸濁重合など重合法によって作成してもよい。粒子径制御及び微粒子化のしやすさの観点から、重合法が望ましく、微粒子の粒径、粒度分布制御の観点から、乳化重合法が更に好ましい。
乳化重合法より樹脂シェル粒子を作成する場合は、前述の乳化重合凝集法で使った結着樹脂単量体の重合体一次粒子と同じ乳化重合法で作成することができる。
シェル粒子の体積平均粒径は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、20nm以上が好ましく、50nm以上が更に好ましい。また、500nm以下、さらに150nm以下が好ましい。
シェル粒子は、種々の市販品を用いることもできる。例えば、藤倉化成社製FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
(2−4.コア粒子又は中間層上にシェル層を形成する方法(カプセル工程))
以降、コア粒子表面或いは中間層上にシェル層を形成する工程をカプセル工程と称することがある。
シェル層を膜状の層として形成する場合は、(2−2.コア粒子の上に中間層を形成する方法)と同様にして行うことができる。シェル層を粒子状の層と膜状の層とが混在する層として形成する場合は、以下に詳述するシェル層を粒子状の層として形成する場合の態様において、被覆材粒子を付着また固着させて得られたトナー母粒子を被覆材粒子のTg以上の温度で加熱処理する等することで、形成することができる。
以下、シェル層の形成方法について、シェル層を粒子状の層とする態様を取り上げて具体的に説明するが、本発明は当該態様に限定されるものではない。
コアシェル構造を有するトナーの製造方法は、従来はコア粒子にシェル粒子を付着させた後、コア粒子のTg又はシェル粒子のTg以上の温度で加熱処理する等の熟成工程を経て、トナー母粒子を得る。例えば、乳化重合凝集法や乳化凝集法の場合、コア粒子より小さい体積粒子径の重合体一次粒子や樹脂粒子を凝集させたものをコア粒子とし、この凝集体コア粒子にシェル粒子を更に凝集させた後に熟成工程を行い、トナー母粒子を得る。
これに対して、本発明では、コア粒子表面上あるいはコア粒子表面に形成された中間層上にシェル粒子を静電気的に付着又は固着させた後、コア粒子のTg又はシェル粒子のTg以上の温度で加熱処理する等の熟成工程を経ない。例えば、乳化重合凝集法や乳化凝集法の場合、コア粒子より小さい体積粒子径の重合体一次粒子や樹脂粒子を凝集させた後、熟成工程を経てコア粒子とし、このコア粒子にシェル粒子を静電気的に付着又は固着させて、トナー母粒子を得る。
従来からの態様である前者の場合は、トナー母粒子製造過程でシェル粒子がコア粒子へ埋まり込むため、コア粒子成分がトナー母粒子表面に露出する。コア粒子を完全に被覆しようとすると多量のシェル粒子を被覆する必要があり、その結果、低温定着性が損なわれる。
一方、本発明で採用する後者の場合は、コア粒子の表面にシェル粒子、或いは中間層とシェル粒子を被覆するので、製造過程でシェル粒子のコア粒子への埋まり込みが起こらず、少ないシェル粒子でコア粒子を完全に被覆することができる。また、コア粒子、中間層とシェル粒子の帯電性がそれぞれ逆であり、それぞれの樹脂の濡れ性が高くないことも、シェル粒子の埋まり込みの発生を抑制する効果がある。
また、コア粒子、或いは中間層とシェル粒子の帯電性は逆なのでコア粒子、或いは中間層表面にはシェル粒子が付着しやすいが、シェル粒子同士は帯電性が同じなのでシェル粒子層が形成した後は、さらにそのシェル粒子層上へのシェル粒子の付着は起こりにくくなる。そのため、容易に、シェル粒子の体積粒子径と同等の薄さに且つ均一にシェル層を形成できる。
以上より、シェル層が薄くても耐ブロッキング性を保つことが可能となり、結果として低温定着性に優れたトナーとなる。
コア粒子の表面上或いは中間層上にシェル粒子を被覆する工程(カプセル工程)は、コア粒子分散液或いは中間層形成粒子分散液にシェル粒子を添加し混合することにより行われる。
コア粒子或いは中間層形成粒子とシェル粒子との混合温度は特に限定しないが、コア粒子、中間層、シェル粒子のTgの中で最も低いTgより10℃以上低い温度が、粒子の凝集体の発生を防ぎながら均一混合することができることから好ましい。
均一混合の後、混合液のpH、電解質濃度、温度を調整することができる。
pHの調整について、コア粒子表面に直接シェル粒子をカプセルの場合は、コア粒子が負帯電性で正帯電性のシェル粒子を混合した場合はアルカリ性、コア粒子が正帯電性で負帯電性のシェル粒子を混合した場合は酸性であることが多い。通常、コア粒子とシェル粒子が逆の帯電性を示すpH領域に調整すれば、シェル層の形成が進行するが、さらに電解質濃度を調整してもよい。一方、中間層がある場合では、コア粒子表面と中間層成分のいずれか、または両者が、pHによって帯電性が変化する性質を有する場合は、両者が逆の帯電性を示すpH領域に調整することが好ましい。このpH領域は、中間層形成粒子が負帯電性で正帯電性のシェル粒子を混合した場合はアルカリ性、中間層形成粒子が正帯電性で負帯電性のシェル粒子を混合した場合は酸性であることが多い。通常、中間層形成粒子とシェル粒子が逆の帯電性を示すpH領域に調整すれば、シェル層の形成が進行するが、さらに電解質濃度を調整してもよい。電解質は無機系あるいは有機系の酸、アルカリ、塩を使うことができる。
温度の調整は、粒子同士の凝集を防ぐため、コア粒子のTg+20℃以下で行うことが好ましい。
シェル層が形成されたことの確認方法としては、シェル層形成前後の分散液のζ電位を測定すると符号が逆転すること、あるいは、シェル層形成前後の分散液を洗浄・乾燥した後帯電量を測定すると符号が逆転することで確認できる。
(3.本発明に用いられる連続反応装置)
(3−1.連続反応装置)
本発明の製造方法は、上述したコア粒子のスラリー及び中間層を含むシェル層を形成す
る被覆材のスラリー又は溶液を原料として、以下の実施態様で説明する連続反応装置に連続的に供給し、連続的にカプセル工程を行い、トナー母粒子を得ることを特徴とする。
[連続反応装置の実施態様1]
本発明のトナー製造方法において、コア粒子の表面に被覆材を付着又は固着させる工程(以下、カプセル化工程と称することがある)に用いられる連続反応装置について説明する。本態様は単層のシェル層を有するトナー母粒子を得るものである。
図1は、実施態様1に係る連続反応装置の全体図である。
実施態様1では、コア粒子の表面に被覆材の付着又は固着により形成される被覆層(シェル層と称することがある)を有し、該被覆層が、被覆材の膜あるいは被覆材の粒子で形成される単層あるいは実質的な単層であるトナーあるいはトナー母粒子を製造するための連続反応装置の構成について説明する。
図1に示すように、連続反応装置100は、カプセル化工程に供給されるコア粒子のスラリーを撹拌貯留するための撹拌貯槽T1と、コア粒子の表面の帯電極性と逆極性を有する被覆材の溶液又はスラリーを貯留するための貯槽タンクT2と、を備えている。また、連続反応装置100は、コア粒子のスラリーと被覆材の溶液又はスラリーとを混合するための混合部K1と、撹拌貯槽T1から混合部K1へコア粒子のスラリーを供給するための定量ポンプP1と、貯槽タンクT2から混合部K1へ被覆材の溶液又はスラリーを供給するための定量ポンプP11と、を備えている。
連続反応装置100は、混合部K1で混合されたコア粒子のスラリーと被覆材の溶液又はスラリーとの混合液を均一に分散するための分散部M21と、被覆層の被覆率を高めることを目的とした種々の添加剤等を貯留するための貯槽タンクT3と、分散部M21で得られた混合分散液と添加剤等とを混合するための混合部K2と、分散部M21から混合部K2へ混合分散液を送液するための送液部31と、貯槽タンクT3から混合部K2へ添加剤等を供給するための定量ポンプP12と、を備えている。実施態様1では、分散部M21はスタティックミキサーを有しており、送液部31は樹脂製の配管から構成されている。
連続反応装置100は、また、混合部K2で混合された、分散部M21で得られた混合分散液と貯槽タンクT3から供給された添加剤等との混合液を均一に分散するための分散部M22と、前記コア粒子の表面に前記被覆材を付着又は融着させるための加熱部Hと、分散部M22から加熱部Hへ分散部M22で得られた混合分散液を送液するための送液部32と、送液部32から加熱部Hへ供給するための定量ポンプP3と、加熱部Hにより加熱された混合分散液を冷却するための冷却部C1と、加熱部H11により加熱された混合分散液を冷却部C1へ供給するための定量ポンプP4と、を備えている。実施態様1では、分散部M22はスタティックミキサーを有しており、送液部32は樹脂製の配管から構成されている。加熱部H11は、恒温水槽B1と該恒温水槽B1を貫通する送液部35を有し、冷却部C1は、恒温水槽B2と該恒温水槽B2を貫通する送液部36を有している。
連続反応装置100は、上記の態様に限定されるものではなく、分散部と送液部の設定について、送液速度及び各混合分散工程に必要な混合時間となるように、分散部と送液部の数及び長さを調整する。連続反応装置100の構成は、特に限定されないが、分散部と送液部から構成されていればよく、複数の分散部と送液部を交互設置してもよく、分散部と送液部とを独立させた形で設置してもよい。均一に混合分散する観点から、分散部による混合分散工程は、一つ以上あればよい。
連続反応装置100においては、分散部M21、送液部31、分散部M22及び送液部
32において、(2−4.)で詳述したように、コア粒子上にシェル層を形成する被覆材が静電気的に付着又は固着する。また、分散部M22では、種々の添加剤等、例えば、pH調整剤が混合分散され、分散部M22及び送液部32を通じて、上記静電的付着又は固着効率を高め、被覆層の被覆率を高める。
分散部及び送液部の形状について、混合分散時間ムラの影響を抑えるために、分散部及び送液部の内径と長さとの比が低い細長いパイプ型が好ましい。
分散部にスタティックミキサーを採用する場合には、スタティックミキサーを一つ或いは複数を直列接続して使用することができる。更に混合分散効果を向上するためには、スタティックミキサー内の流速を高める必要があり、より内径小さいスタティックミキサーを使用することが好ましい。
なお、連続反応装置100は、分散部M21及びM22において、それぞれ独立して、スタティックミキサーに替えて、インラインミキサーを使用でき、後述の実施態様3で用いられる図4に示される混合槽を備えることもできる。
分散部と送液部の材質については、特に限定されないが、腐食しにくいステンレス製、或いは加工しやすいプラスチック製が好ましい。
連続反応装置100においては、加熱部H11では、コア粒子への被覆材の付着強度を高めることを目的として、加熱処理をしており、上記(2−4.)で詳述したとおり、加熱部を通過する分散液の温度が、コア粒子のTg又は第1の被覆層形成用の被覆材のTgのうちのいずれかの温度であって一番低い温度以下となるように、加熱部の温度が設定されていればよい。
[連続反応装置の実施態様2]
図2は、実施態様2に係る連続反応装置の全体図である。
実施態様2では、コア粒子の表面に被覆材の付着又は固着により形成される第1の被覆層と第1の被覆層の表面に被覆材の付着又は固着により形成される第2の被覆層を有し、第1の被覆層及び第2の被覆層が、それぞれ、被覆材の膜あるいは被覆材の粒子で形成される単層あるいは実質的な単層である、トナー母粒子を製造するための連続反応装置の構成について説明する。実施態様2においては、第1の被覆層及び第2の被覆層を合わせてシェル層と称することがある。
図2に示すように、連続反応装置200は、カプセル化工程に供給されるコア粒子のスラリーを撹拌貯留するための撹拌貯槽T1と、コア粒子の表面の帯電極性と逆極性を有する第1の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを貯留するための貯槽タンクT2と、を備えている。また、連続反応装置200は、コア粒子のスラリーと被覆材の溶液又はスラリーとを混合するための混合部K1と、撹拌貯槽T1から混合部K1へコア粒子のスラリーを供給するための定量ポンプP1と、貯槽タンクT2から混合部K1へ第1の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを供給するための定量ポンプP11と、を備えている。
連続反応装置200は、混合部K1で混合されたコア粒子のスラリーと第1の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーとの混合液を均一に分散するための分散部M21と、第1の被覆層の被覆率を高めることを目的とした種々の添加剤等を貯留するための貯槽タンクT3と、分散部M21で得られた混合分散液と添加剤等とを混合するための混合部K2と、分散部M21から混合部K2へ混合分散液を送液するための送液部31と、貯槽タンクT3から混合部K2へ添加剤等を供給するための定量ポンプP12と、を備えている。
連続反応装置200は、また、混合部K2で混合された、分散部M21で得られた混合分散液と貯槽タンクT3から供給された添加剤等との混合液を均一に分散するための分散
部M22と、前記コア粒子の表面に前記第1の被覆層形成用の被覆材を付着又は融着させるための加熱部H21と、前記第1の被覆層形成用の被覆材と逆極性を有する第2の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを貯留するための貯槽タンクT4と、前記加熱部H21で加熱処理された混合分散液と第2の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーとを混合するための混合部K3と、前記加熱部H21で加熱処理された混合分散液から混合部K3へ供給するための定量ポンプP2と、貯槽タンクT4から混合部K3へ第2の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを供給するための定量ポンプP13と、を備えている。実施態様2では、前記加熱部H21は、恒温槽と該恒温層を貫通する送液部32を有しており、送液部32は、分散部M22から混合部K3へ前記定量ポンプP2を通じて混合分散液の送液を行う。
連続反応装置200は、混合部K3で得られた混合液を均一に分散するための分散部M23と、第2の被覆層の被覆率を高めることを目的とした種々の添加剤等を貯留するための貯槽タンクT5と、分散部M23で得られた混合分散液と添加剤等とを混合するための混合部K4と、分散部M23から混合部K4へ混合分散液を送液するための送液部33と、貯槽タンクT5から混合部K4へ添加剤等を供給するための定量ポンプP14と、を備えている。
また、連続反応装置200は、混合部K4で混合された、分散部M23で得られた混合分散液と貯槽タンクT5から供給された添加剤等との混合液を均一に分散するための分散部M24と、前記第1の被覆層上に第2の被覆層形成用の被覆材を付着又は融着させるための加熱部H11と、分散部M24から加熱部H22へ分散部M24で得られた混合分散液を送液するための送液部34と、送液部34から加熱部H22へ供給するための定量ポンプP3と、加熱部H11により加熱された混合分散液を冷却するための冷却部C2と、加熱部H11により加熱された混合分散液を冷却部C2へ供給するための定量ポンプP4と、を備えている。実施態様2では、加熱部H11は、恒温水槽B1と該恒温水槽B1を貫通する送液部35を有し、冷却部C2は、恒温水槽B2と該恒温水槽B2を貫通する送液部36を有している。
実施態様2では、上記分散部M21〜M24はスタティックミキサーを有しており、送液部31〜34は樹脂製の配管から構成されている。
なお、連続反応装置200は、分散部M21〜M24において、それぞれ独立して、スタティックミキサーに替えて、一般的な動力ある或いはないインラインミキサーでも使用可能であり、後述の実施態様3で用いられる図4に示される混合槽を備えることもできる。
連続反応装置200においては、実施態様1と同様に、分散部M21から送液部32において、(2−4.)で詳述したように、コア粒子上に第1の被覆層形成用の被覆材が静電気的に付着又は固着し、分散部M23から送液部34においては、コア粒子上に形成された第1の被覆層上に第2の被覆層形成用の被覆材が静電気的に付着又は固着する。また、分散部M22及び分散部M24では、種々の添加剤等、例えば、pH調整剤が混合分散され、分散部M22及び送液部32並びに分散部M24及び送液部34を通じて、上記静電的付着又は固着効率を高め、各被覆層の被覆率を高める。
加熱部H21では、コア粒子への第1の被覆材の付着強度を高めることを目的として、加熱処理をしており、上記(2−4.)で詳述したとおり、加熱部を通過する分散液の温度がコア粒子のTg又は第1の被覆層形成用の被覆材のTgのうちで一番低い温度より、低い温度となるように、加熱部の温度が設定されていればよい。また、加熱部H11では、コア粒子表面の第1の被覆材の被覆層への第2の被覆材の付着強度を高めることを目的として、加熱処理をしており、上記(2−4.)で詳述したとおり、加熱部を通過する分
散液の温度がコア粒子のTg、第1の被覆層形成用の被覆材のTg又は第2の被覆層形成用の被覆材のTgのうちのいずれかの温度であって一番低い温度以下となるように、加熱部の温度が設定されていればよい。
[連続反応装置の実施態様3]
図3は、実施態様3に係る連続反応装置の全体図である。
実施態様3では、実施態様2と同様に、コア粒子の表面に被覆材の付着又は融着により形成される第1の被覆層と第1の被覆層の表面に被覆材の付着又は融着により形成される第2の被覆層を有し、第1の被覆層及び第2の被覆層が、それぞれ、被覆材の膜あるいは被覆材の粒子で形成される、単層あるいは実質的な単層である、トナー母粒子を製造するための連続反応装置の構成について説明する。
図3に示すように、連続反応装置300は、カプセル化工程に供給されるコア粒子のスラリーを撹拌貯留するための撹拌貯槽T1と、コア粒子の表面の帯電極性と逆極性を有する第1の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを貯留するための貯槽タンクT2と、を備えている。また、連続反応装置300は、コア粒子のスラリーと被覆材の溶液又はスラリーとを混合し、分散し、送液するための分散送液部41と、撹拌貯槽T1から分散送液部41へコア粒子のスラリーを供給するための定量ポンプP1と、貯槽タンクT2から分散送液部41へ第1の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを供給するための定量ポンプP11と、第1の被覆層の被覆率を高めることを目的とした種々の添加剤等を貯留するための貯槽タンクT3と、分散送液部41で得られた混合分散液と添加剤等とを混合し、分散し、送液するための分散送液部42と、貯槽タンクT3から分散送液部42へ第1の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを供給するための定量ポンプP12と、前記分散送液部42で得られた混合分散液を分散送液部43へ供給するための定量ポンプP2と、を備えている。
連続反応装置300は、前記第1の被覆層形成用の被覆材と逆極性を有する第2の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを貯留するための貯槽タンクT4と、前記分散送液部42で得られた混合分散液と第2の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーとを混合し、分散し、送液するための分散送液部43と、貯槽タンクT4から分散送液部43へ第2の被覆層形成用の被覆材の溶液又はスラリーを供給するための定量ポンプP13と、第2の被覆層の被覆率を高めるための種々の添加剤等を貯留するための貯槽タンクT5と、分散送液部43で得られた混合分散液と添加剤等とを混合し、分散し、送液するための分散送液部44と、貯槽タンクT5から分散送液部44へ添加剤を供給するための定量ポンプP14と、分散送液部44から加熱部H11へ分散送液部44で得られた混合分散液を供給するための定量ポンプP3と、を備えている。
また、連続反応装置300は、前記コア粒子の表面に前記第1の被覆層形成用の被覆材を付着又は固着させ且つ前記第1の被覆層上に第2の被覆層形成用の被覆材を付着又は固着させるための加熱部H11と、加熱部H11により加熱された混合分散液を冷却するための冷却部C3と、加熱部H11により加熱された混合分散液を冷却部C3へ供給するための定量ポンプP4と、を備えている。実施態様3では、実施態様2と同様に、加熱部H11は、恒温水槽B1と該恒温水槽B1を貫通する送液部35を有し、冷却部C3は、恒温水槽B2と該恒温水槽B2を貫通する送液部36を有している。
上記分散送液部41〜44は、図4に示されるような、複数の撹拌翼が直列的に配置され、撹拌翼と撹拌翼の間に仕切りが設けられた混合分散機構を有する混合分散槽を採用し、混合分散液はポンプや加圧により前記撹拌翼の回転軸付近に設けられた隙間を通じて送液される。図4に示されるような混合分散機構を有する混合分散槽を採用することにより、仕切りのない図5に示されるような混合分散機構を有する混合分散槽と比較して、例え
ば、コア粒子と第1の被覆層形成用の被覆材とを均一に混合分散することができる。
連続反応装置300においては、分散送液部41において、(2−4.)で詳述したように、コア粒子上に第1の被覆層形成用の被覆材が静電気的に付着又は固着し、分散送液部43においては、コア粒子上に形成された第1の被覆層上に第2の被覆層形成用の被覆材が静電気的に付着又は固着する。また、分散送液部42及び分散送液部44では、種々の添加剤等、例えば、pH調整剤が混合分散され、分散送液部42及び分散送液部44を通じて、上記静電的付着又は固着効率を高め、各被覆層の被覆率を高める。 連続反応装置300においては、加熱部H11では、コア粒子への被覆材の付着強度を高めることを目的として、加熱処理をしており、上記(2−4.)で詳述したとおり、加熱部を通過する分散液の温度がコア粒子のTg又は第1の被覆層形成用の被覆材のTg又は第2の被覆層形成用の被覆材のTgのうちのいずれかの温度であって一番低い温度以下となるように、加熱部の温度が設定されていればよい。
[連続反応装置の実施態様4]
図4は、実施態様4に係る連続反応装置の全体図である。
実施態様4に係る連続反応装置400は、実施態様3に係る連続反応装置300において、加熱部H11を、分散送液部45と分散送液部45の温度を制御するジャケットJ1からなる加熱部とし、冷却部C1を、分散送液部46と分散送液部46の温度を制御するジャケットJ2からなる冷却部としたものである。それ以外については、実施態様3に係る連続反応装置400と同様である。
以上、実施態様1乃至4においては、各定量ポンプに替えて、連続反応装置全体で正圧または負圧の圧力による制御により送液する方法を採用してもよい。
(3−2.連続反応装置とカプセル化工程)
本発明の製造方法では、コア粒子の上に中間層(第1の被覆層)を形成する工程、または、コア粒子上もしくは前記中間層上にシェル粒子等の被覆層を形成する工程(カプセル工程)は、前述した連続反応装置おいて、撹拌貯槽及び各貯槽タンクよりコア粒子及び被覆材等の原料を連続的に供給し、且つ各定量ポンプ及び各送液部により連続反応装置全体で連続的に送液し、分散部によりコア粒子等の表面上に被覆材の付着又は固着を行う工程が連続的に行われる。
以下、カプセル化工程について、連続反応装置とあわせて詳細に説明する。
本発明の製造方法は、コア粒子のスラリー液が定量ポンプにより送液され送液状態にある混合部に、各貯槽タンクより、一定の添加速度でシェル剤及びその他の添加剤を一定の順番で連続的に供給し、混合液が分散部において、送液されながら、分散により、コア粒子の表面にシェル粒子等の被覆材を付着又は固着させ、コアシェル構造を有するトナー母粒子を連続的に製造する方法である。
コア粒子のスラリーは、粉砕法により得られたコア粒子の場合は乳化剤より分散した分散液、或いは湿式重合法により得られたスラリー液をそのまま利用することができる。より精密にカプセル制御する観点から、湿式重合法により得られたコア粒子のスラリー液を使う場合は、コア粒子同士の凝集体を発生しない範囲で、コア粒子分散液中に存在するコア粒子以外の乳化剤などの不純物を洗浄などの方法より除くことが好ましい。
コア粒子スラリー濃度の調整は、粉砕トナーの場合は乳化剤より分散液を作成する時、湿式重合トナーの場合は洗浄工程時行う。コア粒子分散液の固形分濃度低い場合、生産効率が悪くなる。コア粒子分散液の固形分濃度高い場合は、コア粒子分散液の粘度が高くなり、コア粒子と被覆剤との混合が難しくなり、均一に被覆することが困難となる恐れがある。更にコア粒子スラリーの粘度が高いと、定量ポンプ及び送液部による送液が困難とな
り、配管の目詰まりが発生する場合がある。よって、送液される前の撹拌貯槽中のコア粒子スラリー液の最適な固形分濃度は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、一方、30%以下が好ましく、20%がより好ましい。
湿式重合法により、得られたコア粒子のスラリーを洗浄する場合は、洗浄方法は特に指定しないが、ベルトフィルター、フィルタープレース、遠心脱水、真空濾過のような一旦脱水してコア粒子のケーキを作って、洗浄液への再分散よりスラリー液を調液する固液法でもよく、また、ディスク遠心、セラミック膜、メンブレンのような一旦濃縮してから洗浄水を添加する液液法でもよい。洗浄工程は、バッチ洗浄システムでもよいが、本発明の製造方法はコア粒子を連続的に供給されながら行うことができるため、洗浄方法としては、洗浄されたコア粒子のスラリーが連続的に得られる洗浄システムを採用することが好ましい。本発明においては、上記連続反応装置の撹拌貯槽に洗浄されたコア粒子のスラリーが供給されればよい。
本願の連続カプセル方法で使用するスラリー液の電導度は、本発明の効果が著しく損なわれない限り特に限定されないが、100μs以下が好ましく、20μs以下が更に好ましく、10μs以下が最も好ましい。
コア粒子のスラリー中に粗大粒子が含まれる場合には、定量ポンプにより送液する前に、粗大粒子をカットするためのフィルターを設けた方が好ましい。定量ポンプの種類は特に限定しない、一般でスラリー液を定量的供給できるポンプ或いは流量制御装置であれば、特に限定されない。
分散部により分散された混合分散液は、送液部に送液され、次の混合部において貯槽タンクから定量ポンプにより供給された被覆材或いは電解質溶液からなる凝集剤などの添加剤と混合し、分散部あるいは送液及び分散できる混合槽からなる送液分散部により、カプセル化を確実に行う。複数種の添加剤を使用する場合は、均一且つ密なシェル層(被覆層)を形成するために、一括で添加するのではなく、添加剤をそれぞれ別々添加し、さらに添加後もそれぞれ一定の反応時間を与えることが好ましい。具体的には、上記連続反応装置で説明したように、本発明に用いられる連続反応装置は、添加材の種類数に合わして、複数の貯槽タンク、混合部及び分散部を有することが好ましい。
分散部では、スラリーや混合液を送液しながら、短時間で且つ均一に分散することが好ましく、具体的には、撹拌翼等の回転速度を上げたり、気泡により乱流を発生させること等が挙げられる。分散部の態様は、スラリー等を配管内で送液しながらインラインミキサー等により分散する態様でもよく、混合槽を設置し、撹拌翼を使って分散する態様でもよい。いずれの態様においても、スラリー液等が外気と接触しない密閉構造が好ましい。外気と接触すると、混合より空気泡を巻き込まれ、スラリー液等の粘度上昇、コア粒子等の凝集体の発生により、配管の目詰まり発生する場合があるためである。インラインミキサーを使用する場合は、送液機能を兼ねたポンプ式でもよく、別の独立した送液ポンプを使う場合は、スタティックミキサー等の動力を使用しないインラインミキサーを使用してもよい。
分散部や送液分散部の容積は、カプセル化に必要な時間に合わせて、調整する。
スラリー等の混合分散液を送液部で送液する際、通常は撹拌されていないため、必要に応じて、コア粒子等の凝集体の発生を抑制する観点から、配管の長さに合わして、送液部内にインラインミキサーを設置することが好ましい。特に動力使用しないスタティックミキサーは、送液部の一部とすることができ、スラリー液を分散しながら、送液できるため好ましい。 送液部、分散部及び混合部を統合して、混合分散機構を有する図4あるいは図5で示される混合槽を使用することができる。特に添加剤供給後の反応時間が長く要求される場合に利用することが好ましい。混合分散液の該混合槽中での流動経路及び送液時
間(混合槽への滞在時間)を制御するため、図4で示したように複数の混合室と各混合室に設けられる撹拌翼から構成される筒状混合槽を使用することが好ましい。
混合分散液の反応時間を制御するために、必要に応じて、分散部及び混合部の温度制御を行うために、上述した実施態様2の加熱部H21のような加熱部を設けることが好ましい。加熱部による分散部及び混合部の温度は、コア粒子や中間層が被覆されたコア粒子同士の凝集を防ぐために、コア粒子のTg(℃)以下とすることが好ましい。
各種被覆材、各種添加剤及びコア粒子との混合分散により得られたコアシェル構造を有するトナー母粒子は、静電的な力によりコアシェル構造が形成されている。しかしながら、コア粒子に対する被覆材の付着強度が弱い場合があるため、そのままトナー母粒子として使うと、その後の洗浄工程、乾燥工程、外添工程で、シェル粒子が脱落し、均一なコアシェル構造を維持できなくなり、トナーの性能に大きな影響を与える場合がある。そのため、中間層やシェル粒子層等の被覆層を以下に述べる方法により、コア粒子の表面に確実に付着又は固着することが好ましい。
以下、中間層やシェル粒子層等の被覆層をコア粒子の表面に確実に付着又は固着する方法として、コア粒子の表面にシェル粒子を固着する例を取り上げて具体的に説明するが、本発明で製造されるトナー母粒子は以下の態様に限定されない。
コア粒子表面にシェル粒子を固着する方法は、一般的には加熱処理により熟成する方法が用いられる。コアシェル構造のトナー母粒子の分散液のまま、コア粒子或いはシェル粒子の樹脂成分のガラス転移温度或いは融点近くまで加熱すると、コア粒子或いはシェル粒子が柔らかくなり、シェル粒子のコア粒子表面への付着強度を高めることができる。本発明おいては、シェル粒子のコア粒子表面への付着強度を高めるために、上述した各実施態様の連続反応装置には、カプセル化工程を終えたスラリーを加熱するための加熱部を設けており、熟成工程を行う。また、熟成工程を終えたスラリーを冷却するために冷却部を設けている。加熱部及び冷却部の構成は、送液部及び恒温槽からなり、必要に応じて、混合槽、定量ポンプ、温度測定装置、温度調整装置を加えることができる。
加熱部の温度は、粒子同士の凝集を防ぐため、コア粒子のTg(℃)以下で行うことが好ましい。粒子同士の凝集を防止する必要がある場合には、加熱部と冷却部内に、インラインミキサー、或いは撹拌槽を設置してもよい。加熱部での送液方法として、定量ポンプでもよいが、正圧または負圧の圧力により送液する方法でもよい。
上述したように、本発明においては、コア粒子を形成した後、コア粒子と逆帯電極性を有するシェル粒子を混合し、コア粒子表面にシェル粒子を静電気的に付着させる方法を採用することにより、より少ないシェル粒子の添加量で、高い被覆率(カプセル化効率)でコアシェル構造を形成することができる。高いカプセル化効率を有するシェル層によって、トナーの帯電性を安定的に供与し、トナーの耐ブロッキング性を向上させ、また、必要最小限量のシェル粒子添加によってコア粒子の低温定着性への影響を最低限に抑え、本発明の課題である低温定着性と耐ブロッキング性との両立を実現することができた。
連続式シェル粒子のカプセルプロセスにより、単一混合容器を使うバッチ方式より、より短時間で混合そしてシェル粒子の被覆することができ、更に流速、温度などのプロセス条件の精密制御より、より高い生産安定性を実現できる。
<4.トナー母粒子の洗浄乾燥>
コア粒子をシェル粒子で被覆することにより得られたトナー母粒子は、水系溶媒から分離され洗浄、乾燥され、必要に応じて外添処理などが施されて静電荷像現像用トナーに供される。
洗浄に用いる液体としては水が用いられるが、酸またはアルカリの水溶液で洗浄することもできる。また、温水や熱水で洗浄することもでき、これらの方法を併用することもで
きる。このような洗浄工程を経ることによって、懸濁安定剤や乳化剤、未反応の残存モノマー等を低減、除去することが出来るため好ましい。洗浄工程は、洗浄する液体を、例えば濾過、デカンテーション等することによって着色粒子を濃厚スラリー或いはウエットケーキ状とし、これに新たに洗浄するための液体を加えてトナー母粒子を分散する操作を繰り返すことが好ましい。洗浄後の着色粒子は、ウエットケーキ状で回収することが、引き続き行われる乾燥工程における取り扱いの面で好ましい。
乾燥工程では、振動型流動乾燥法や循環型流動乾燥法など流動乾燥法、気流乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、スプレードライ法、フラッシュジェット法などが用いられる。乾燥工程における温度、風量、減圧度等の操作条件は、着色粒子のTg、使用する装置の形状、機構、大きさ等をもとに、適宜最適化される。
<5.トナー母粒子の物性>
本発明のトナーの体積平均粒径は、3μm以上が好ましく、さらに5μm以上がより好ましい。また、15μm以下が好ましく、さらに10μm以下がより好ましい。また、形状は、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000を用いて測定した平均円形度が、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、更に好ましくは0.94以上であり、好ましくは0.99以下である。平均円形度が小さすぎると、着色粒子への外添剤の付着不良による帯電悪化から画像濃度の低下を引き起こす場合があり、一方大きすぎると、着色粒子形状に起因するクリーニング不良となる場合がある。
本発明のトナーのDSC法によるガラス転移点Tgは、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下である。Tgが前記範囲である場合、トナーの保存性、定着性が良好となるため望ましい。
<6.外添剤(外添微粒子)>
本発明においては、トナーの流動性向上や帯電制御性向上のために、必要により上記導電性微粒子以外の外添微粒子を添加することができる。そのような外添微粒子としては、各種無機または有機微粒子の中から適宜選択して使用することができる。
無機微粒子としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン、炭化カルシウム等の各種炭化物、窒化ホウ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム等の各種窒化物、ホウ化ジルコニウム等の各種ホウ化物、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化セリウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、リン酸カルシウム等のリン酸化合物、二硫化モリブデン等の硫化物、フッ化マグネシウム、フッ化炭素等のフッ化物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、滑石、ベントナイト、各種カーボンブラックや導電性カーボンブラック、マグネタイト、フェライト等を用いることができる。有機微粒子としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂等の微粒子を用いることができる。
これら外添微粒子の中では、特にシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、各種カーボンブラックや導電性カーボンブラック等が好適に使用される。また、外添微粒子は、前記の無機または有機微粒子の表面を、ヘキサメチルジシラザン( H M D S ) 、ジメチルジクロロシラン( D M D S ) 等のシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等のシリコーンオイル処理剤、シリコーンワニス、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系シリコーンオイル、アミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤等の処理剤によって疎水化などの表面処理が施されているものを使用
することもできる。該処理剤は二種以上を併用することもできる。
本発明のトナーにおいては、帯電制御の観点から、外添剤として導電性微粒子を添加することが好ましい。導電性微粒子の抵抗は、上限が、通常、400Ω・cm以下であり、好ましくは200Ω・cm以下であり、より好ましくは100Ω・cm以下であり、さらに好ましくは60Ω・cm以下である。一方、下限は、通常、0.1Ω・cm以上であり、好ましくは1Ω・cm以上であり、より好ましくは5Ω・cm以上であり、さらに好ましくは15Ω・cmである。導電性微粒としては、例えば、導電性酸化チタン、シリカ、マグネタイト、等の金属酸化物またはそれらに導電性物質をドープしたもの、ポリアセチレンやポリフェニルアセチレン、ポリ- p -フェニレン等の共役2重結合を有するポリマ
ーに金属等の導電性物質をドープした有機微粒子、カーボンブラックやグラファイトに代表される炭素等が挙げられるが、トナーの流動性を損なわず導電性を付与できるという観点から、導電性酸化チタンまたはその導電性物質をドープしたものがより好ましい。導電性微粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対して、下限は、通常、0.0質量5部以上であり、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましい。一方、導電性微粒子の含有量の上限は、通常、3質量部以下であり、好ましくは、2質量部以下であり、より好ましくは1質量部以下である。
本発明において、導電性微粒子以外の外添微粒子を使用する場合、外添微粒子の含有量は、トナー母粒子100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
本発明においては、導電性微粒子と併用する外添剤として、更にシリカを採用し、その種類及び添加量、添加方法を選択することにより、トナーの性能、特にトナーの帯電性、耐ブロッキング性、流動性など粒子性能を制御することができる。更にシリカを採用する場合、各性能のバランスを取るため、2種以上のシリカの併用することが好ましい。
また、本発明においては、トナー母粒子の表面に、さらフッ素原子を含有する微粒子を有することにより、帯電安定性を向上させることができる。
更に本発明では、トナーの帯電性に合わして、同じ帯電極性を持つ外添剤をすること以外、帯電性能向上のため、場合より、帯電極性違いシリカを混用することも可能である。
<7.外添剤(外添微粒子)の外添方法>
外添微粒子の添加方法としては、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌機を用いる方法や、圧縮剪断応力を加えることの出来る装置による方法等が挙げられる。
外添トナーはトナー母粒子に全ての外添剤を同時添加して外添する一段外添法より作成できるが、外添剤毎に外添する分段外添法より作成することができる。
外添の温度について、温度上昇を防止するため、容器に冷却装置を設置するか、分段外添することを好ましい。
<8.その他>
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナーをキャリアとともに用いる二成分系現像剤、又は、キャリアを使用しない磁性もしくは非磁性一成分系現像剤のいずれの形態で用いてもよい。二成分系現像剤として用いる場合、キャリアとしては、鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等の磁性物質またはそれらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性キャリア等公知のものを用いることができる。樹脂コーティングキャリアの被覆樹脂としては一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの混合物等が利用できる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「質量部」を意味する。また、実写試験は以下の方法により行った。
各粒子径及び円形度、電気伝導度、熱特性等は次のように測定した。
<中位径測定(D50)>
1ミクロン未満の中位径(D50)を有す粒子の中位径(D50)は、日機装株式会社製型式MicrotracNanotrac150(以下ナノトラックと略す)および同社解析ソフトMicrotracParticle Analyzer Ver10.1.2-019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を溶媒とし、溶媒屈折率:1.333、測定時間:600秒、測定回数:1回の測定条件で取り扱い説明書に記載された方法で測定した。その他の設定条件は、粒子屈折率:1.59、透過性:透過、形状:真球形、密度:1.04とした。
<体積中位粒径測定(Dv50)>
1ミクロン以上の体積中位粒径(Dv50)を有す粒子の体積中位粒径(Dv50)は、ベックマン・コールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm:以下、マルチサ
イザーと略す)を用い、同社アイソトンIIを分散媒として、分散質濃度0.03%になるように分散させて測定した。
<平均円形度測定>
平均円形度は、分散質を分散媒(セルシース:シスメックス社製)に5720〜7140個/μlとなるように分散させ、フロー式粒子分析装置(FPIA3000:シスメックス社製)を用いて、HPF分析量0.35μl、HPF検出量2000〜2500個の条件下でHPFモードにより測定した。
<電気伝導度測定>
電気伝導度の測定は、導電率計(アズワン株式会社製のCyberScanCON100)を用いて行なった。
<重量平均分子量(Mw)>
重合体一次粒子分散液、シェル粒子分散液のTHF可溶成分を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8020、カラム:ポリマーラボラトリー社製
PL−gel Mixed−B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1重量%、検量線:標準ポリスチレン
中間層水溶液を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8010、カラム:東ソー社製TSKgel GMPWx1、溶媒:0.5M酢酸+0.5M酢酸ナトリウム水溶液、試料濃度:0.2重量%、検量線:ポリエチレングリコール
<ガラス転移温度(Tg)測定>
セイコ−電子工業株式会社製の示差熱分析装置(DSC200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した。Tgは、DSC曲線のベースラインの延長線と吸熱カーブで最大傾斜を示す接線との交点から求めた。
<帯電量測定>
キャリアとしてパウダーテック(株)製F−80を使用し、キャリアとの重量比1:24の混合物10gを容量30mlのガラス製サンプル瓶に入れ、三田村理研工業製ミキサーミルにて600rpmの振動数にて1分間振動した後、そのうち0.1gを用いて東芝
ケミカル(株)製ブローオフ帯電量測定装置を用い、吸引ブローオフ法にて帯電量を測定した。
ブロー条件:0.05kgf×3秒
吸引圧力 :350〜400mmH
スクリーン:400メッシュ
<ζ電位測定>
ζ電位の測定は、ゼータサイザー ナノ(マルバーン社製)を用い、実施例中で得られる各分散液を、純水で1/1000に希釈して測定した。
[実施例1]
<ワックス分散液A1の調製>
パラフィンワックス(融点82℃)27.2部、ステアリルアクリレート2.8部、20%DBS水溶液1.9部、脱塩水68.1部を90℃に加熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マークIIfモデル)を用い10分間攪拌した。次いで、90℃加熱下で、高圧乳化機を用いて20MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し中位径(D50)が250nm以下になるまで分散してワックス分散液A1を作製し
た。最終粒径(D50)は、244nmであった。
<重合体一次粒子分散液B1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にワックス分散液A1 36.3部、脱塩水260部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類・乳化剤溶液の混合物を300分かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を添加開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液1を重合開始30分後から270分かけて添加した。その後開始剤水溶液2を120分かけて添加した。その後、攪拌下で内温90℃のまま60分保持した。
[モノマー類]
スチレン 67.8部
アクリル酸ブチル 32.2部
アクリル酸 1.5部
トリクロロブロモメタン 1.0部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.2部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.5部
[開始剤水溶液1]
8%過酸化水素水溶液 15.5部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 15.5部
[開始剤水溶液2]
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液B1を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は265nmだった。重量平均分子量(Mw)は44000
だった。Tgは36℃だった。
<コア粒子分散液C1の調製>
攪拌装置、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液B1 100部(固形分)を仕込み、更にシアン顔料分散液(大日精
化社製 EP700)4.4部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、0.5%硫酸アルミニウム水溶液0.31部(固形分)を15分かけて添加した。更に200分かけて内温42℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定したところ、6.7μmであった。その後、20%DBS水溶液4.1部(固形分)を添加してから、30分かけて85℃まで昇温し、120分保持し、その後30℃まで冷却した。
得られた分散液を抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No.5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過した。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌した。この工程をろ液の電気伝導度が10μS/cmになるまで繰り返した後、濾紙上に残ったケーキに電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を分散液濃度14%になるように加え攪拌する事によりコア粒子分散液C1を得た。
<中間層水溶液D1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に脱塩水480部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。
その後、開始剤水溶液1を添加し、更にその5分後、攪拌を続けたまま下記のモノマー類と開始剤水溶液2を60分かけて添加した。その後開始剤水溶液3を60分かけて添加し、添加開始と同時に90℃まで昇温した。開始剤水溶液3を添加後、攪拌下で内温90℃のまま90分保持した。
[モノマー類]
ブレンマーQA(日油製、(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、50%水溶液) 10.0部
[開始剤水溶液1]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩水溶液
3.0部
[開始剤水溶液2]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩水溶液
3.0部
[開始剤水溶液3]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩水溶液
3.0部
重合反応終了後冷却し、中間層水溶液D1を得た。重量平均分子量(Mw)は7600であった。
<シェル粒子分散液E1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に20%DBS水溶液2.0部、脱塩水323部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で80℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま開始剤水溶液を添加し、更にその5分後、下記のモノマー類1・乳化剤溶液の混合乳化液とモノマー類2を210分かけて添加した。その後攪拌下で内温80℃のまま90分保持した。
[モノマー類1]
スチレン 83.5部
アクリル酸ブチル 16.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 71.4部
[モノマー類2]
20%パラスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液 12.5部
[開始剤水溶液]
4.0%過硫酸カリウム水溶液 6.4部
重合反応終了後冷却し、乳白色のシェル粒子分散液E1を得た。ナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は63nmであった。重量平均分子量(Mw)は242,000
であった。Tgは72℃だった。
<トナー母粒子F1の製造>
図2で示した連続カプセル装置100を使って、コア粒子のカプセル化を行った。
コア粒子分散液C1を100メッシュのフィルターより粗粒子をカットしてから、撹拌槽1に入れ、撹拌しながら、定量ポンプP1を使って、50g/分の流速で、配管経由で、混合ポイントK1まで流した。これと同時に、中間層水溶液D1の貯槽タンク2から、定量ポンプP11を使って、中間層水溶液D1を1.5g/分の流速で、配管に流し、混合ポイントK1で、コア粒子分散液C1と混合した。混合液は、スタティックミキサー21を経由し、綺麗に分散した後、約1分間を掛けて、樹脂製の配管31を経由して混合ポイントK2まで流した。0.5N−NaOH水溶液の貯槽3から、定量ポンプP12を使って、0.5N−NaOH水溶液を0.6g/分の流速で、混合ポイントK2で、スラリー液と混合した。混合液は、スタティックミキサー22を経由し、綺麗に分散した後、約5分間を掛けて、45℃恒温槽8で加熱していた樹脂製の配管32を経由して、更に定量ポンプP2を経由で、混合ポイントK3まで流した。シェル粒子分散液E1の貯槽4から、定量ポンプP13を使って、シェル粒子分散液E1を1.5g/分の流速で、混合ポイントK3で、スラリー液と混合した。混合液は、スタティックミキサー23を経由し、綺麗に分散した後、約2分間を掛けて、配管33を経由して混合ポイントK4まで流した。0.2N−HCl水溶液の貯槽5から、定量ポンプP14を使って、0.2N−HCl水溶液を2.0g/分の流速で、混合ポイントK4で、スラリー液と混合した。混合液は、スタティックミキサー24を経由し、綺麗に分散した後、約2分間を掛けて、樹脂製の配管32を経由して定量ポンプP3まで送った。定量ポンプから出た混合液は、45℃恒温水槽6で加熱していた加熱用配管35まで送られ、約8分間掛けて通過して、更に定量ポンプP4を経由で、冷却用配管36まで送られた。冷却用配管36を約2分間掛けて通過した後、分散液を回収した。
マルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.5μmであり、フロ
ー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.95であった。
得られた分散液を抜き出し、5種Cの濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。濾紙上に残ったケーキを攪拌機(プロペラ翼)を備えたステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水を加え50rpmで攪拌する事により均一に分散させ、その後30分間攪拌した。
この工程を濾液の電気伝導度が2μS/cmになるまで繰り返した後、得られたケーキを40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子F1を得た。帯電量を測定したところ−16μCであった。
<現像用トナーG1の製造>
アズワン株式会社製サンプルミルLSMK内に、トナー母粒子F1 100部を投入し、続いて体積平均一次粒径0.03μmのシリカ微粒子0.5部を添加し計2分間撹拌、
混合した。その後、体積平均一次粒径0.01μmのシリカ微粒子1.0部を添加し計2分間撹拌、混合し、篩別する事により現像用トナーG1を得た。
[実施例2]
<トナー母粒子F2の製造>
連続カプセル装置100の代わりに、図2で示した連続カプセル装置200を用いた。カプセル装置200に、図4のような仕切りある混合槽を使用されている。
コア粒子分散液C1を100メッシュのフィルターより粗粒子をカットしてから、撹拌槽1に入れ、撹拌しながら、定量ポンプP1を使って、50g/分の流速で、配管経由で、混合槽41の底部あるスラリー液注入口から混合槽41に注入した。これと同時に、中間層水溶液D1の貯槽タンク2から、定量ポンプP11を使って、中間層水溶液D1を1.5g/分の流速で、配管に流し、混合槽41の横の液注入口から混合槽41に注入して、コア粒子分散液C1と混合した。混合液は、混合槽41内部で約2分間混合して、配管を経由して混合槽42の底部あるスラリー注入口から混合槽42に注入した。これと同時に0.5N−NaOH水溶液の貯槽3から、定量ポンプP12を使って、0.5N−NaOH水溶液を0.6g/分の流速で、混合槽42横にある液注入口から混合槽42に注入して、スラリー液と混合した。混合液は、混合槽42内部で約5分間混合して、配管を経由して、更に定量ポンプP2を経由で、混合槽43の底部にあるスラリー注入口から混合槽43に注入した。シェル粒子分散液E1の貯槽4から、定量ポンプP13を使って、シェル粒子分散液E1を1.5g/分の流速で、混合槽43横にある液注入口から混合槽43に注入して、スラリー液と混合した。混合液は、混合槽43内部で約2分間混合して、配管を経由して混合槽44の底部あるスラリー注入口から混合槽44に注入した。0.2N−HCl水溶液の貯槽5から、定量ポンプP14を使って、0.2N−HCl水溶液を2.0g/分の流速で、混合槽44横にある液注入口から混合槽44に注入して、スラリー液と混合した。混合液は、混合槽44内部で約5分間混合して、配管を経由して、定量ポンプP3まで送った。定量ポンプから出た混合液は、45℃恒温水槽6で加熱していた加熱用配管35まで送られ、約8分間掛けて通過して、更に定量ポンプP4を経由で、冷却用配管36まで送られた。冷却用配管36を約2分間掛けて通過した後、分散液を回収した。
得られた分散液をF1と同じ洗浄乾燥工程を経由し、トナー母粒子F2を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.5μmであり、フロ
ー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.95であった。帯電量を測定したところ−16μCであった。
<現像用トナーG2の製造>
トナー母粒子F1の代わりにF2を用いた以外はG1と同様の方法で現像用トナーG2を得た。
[実施例3]
<重合体一次粒子分散液E2の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器にサニゾールB-50(花王製、濃度50%)0.6部、脱塩水335部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で70℃に昇温した。
その後、攪拌を続けたまま開始剤水溶液1を添加し、更にその5分後、下記のモノマー類1・乳化剤溶液の混合乳化液とモノマー類2を200分かけて添加した。このモノマー類・乳化剤水溶液の混合物を滴下開始した時間を重合開始とし、下記の開始剤水溶液2を同時に200分かけて添加した。更に開始剤水溶液3をさらに60分かけて添加し、添加と同時に90℃まで昇温した。開始剤水溶液3を添加後、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類1]
スチレン 74.5部
アクリル酸ブチル 25.5部
[乳化剤水溶液]
サニゾールB-50(花王製、濃度50%) 0.6部
脱塩水 71.8部
[モノマー類2]
ブレンマーQA(日油製 50%溶液) 10.0部
[開始剤水溶液1]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(Wako製)水溶液 3.2部
[開始剤水溶液2]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(Wako製)水溶液 10.5部
[開始剤水溶液3]
8.0% 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩(Wako製)水溶液 3.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液E2を得た。これをナノトラックを用いて測定した中位径(D50)は 93nmであった。DSCを用いて測定したガラ
ス転移温度(Tg)は56℃だった。
<トナー母粒子F3の製造>
図3で示した連続カプセル装置300を使って、コア粒子のカプセル化を行った。
コア粒子分散液C1を100メッシュのフィルターより粗粒子をカットしてから、撹拌槽1に入れ、撹拌しながら、定量ポンプP1を使って、50g/分の流速で、配管経由で、混合ポイントK1まで流した。これと同時に、シェル粒子分散液E2の貯槽タンク2から、定量ポンプP11を使って、シェル粒子分散液E2を1.5g/分の流速で、配管に流し、混合ポイントK1で、コア粒子分散液C1と混合した。混合液は、スタティックミキサー21を経由し、綺麗に分散した後、約2分間を掛けて、樹脂製の配管31を経由して混合ポイントK2まで流した。0.5N−NaOH水溶液の貯槽3から、定量ポンプP12を使って、0.5N−NaOH水溶液を0.6g/分の流速で、混合ポイントK2で、スラリー液と混合した。混合液は、スタティックミキサー22を経由し、綺麗に分散した後、約2分間を掛けて、樹脂製の配管32を経由して、定量ポンプP3まで送った。定量ポンプから出た混合液は、50℃恒温水槽6で加熱していた加熱用配管35まで送られ、約8分間掛けて通過して、更に定量ポンプP4を経由で、冷却用配管36まで送られた。冷却用配管36を約2分間掛けて通過した後、分散液を回収した。
得られた分散液をF1と同じ洗浄乾燥工程を経由し、トナー母粒子F3を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.5μmであり、フロ
ー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.95であった。帯電量を測定したところ+14μCであった。
<現像用トナーG3の製造>
アズワン株式会社製サンプルミルLSMK内に、トナー母粒子F3 100部を投入し、続いてアミノシランで疎水化処理された体積平均一次粒径0.03μmのシリカ微粒子0.5部を添加し計2分間撹拌、混合した。その後、アミノシランで疎水化処理された体積平均一次粒径0.01μmのシリカ微粒子1.0部を添加し計2分間撹拌、混合し、篩別する事により現像用トナーG3を得た。
[比較例1]
<トナー母粒子F4の製造>
攪拌装置、加熱冷却装置を備えた2L反応器にコア粒子分散液C1 1000gを仕込み、室温で攪拌しながら中間層水溶液D1 30gを添加し、室温で約15分間撹拌した。その後、1N−NaOH水溶液6.5g添加した後、室温で約15分間撹拌した。更に室温で攪拌しながらシェル粒子分散液E1 30gを滴下し、室温で約15分間撹拌した。その後、1N−HCl水溶液8g滴下した後、分散液を内温45℃まで昇温し、90分保持した後、30℃まで冷却した。マルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.5μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.95であ
った。
得られた分散液をF1と同じ洗浄乾燥工程を経由し、トナー母粒子F4を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.5μmであり、フロ
ー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.95であった。帯電量を測定したところ−17μCであった。
<現像用トナーG4の製造>
トナー母粒子F1の代わりにF4を用いた以外はG1と同様の方法で現像用トナーG4を得た。
[比較例2]
<トナー母粒子F5の製造>
攪拌装置、加熱冷却装置を備えた2L反応器にコア粒子分散液C1 1000gを仕込み、室温で攪拌しながらシェル粒子分散液E2 30gを添加し、室温で約60分間撹拌した。その後、1N−NaOH水溶液6.5g添加した後、室温で約60分間撹拌した。分散液を内温50℃まで昇温し、30分保持した後、30℃まで冷却した。
得られた分散液をF1と同じ洗浄乾燥工程を経由し、トナー母粒子F5を得た。洗浄前にマルチサイザーIIIを用いて測定した体積中位粒径(Dv50)は7.5μmであり、フロ
ー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.95であった。帯電量を測定したところ+15μCであった。
<現像用トナーG5の製造>
トナー母粒子F1の代わりにF5を用いた以外はG1と同様の方法で現像用トナーG5を得た。
実施例及び比較例で得られた現像用トナーを用いて、以下の方法で評価した。
<耐ブロッキング性>
現像用トナー5gを内径3cm、高さ6cmの円筒形の容器に入れ、40gの荷重をのせ、温度50℃、湿度40%の環境下に24時間放置した後、トナーを容器から取り出し、上から荷重をかけることで凝集の程度を確認した。
〇(良好):200g未満の荷重で崩れる。
△(実用可):500g未満の荷重で崩れる。
×(使用不可):凝集しており、500g以上の荷重をかけないと崩れない。
<定着試験>
定着機は熱ロール定着方式であり、定着機の加熱ローラは、離型層がPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)でできており、シリコーンオイルの塗布なしで評価した。付着量約0.7mg/cm2)の未定着のトナー像を担持した記録紙(紀州製紙製FCドリーム)を用意し、加熱ローラの表面温度を100℃
から210℃まで5℃刻みで変化させ、定着ニップ部に搬送し、195mm/secの速度で排出されたときの定着状態を観察した。定着時に加熱ローラにトナーのオフセットあるいは用紙巻き付きが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度領域を定着温度範囲△Tとして、以下のように判定した。
〇 ΔT ≧ 50℃
△ 50℃ > ΔT ≧ 40℃
× ΔT < 40℃
表−1に示したように、連続カプセルシステムを利用する実施例1、2、3で得られたトナーは、比較例1、2のようなパッチ製造システムで製造したトナーと同等な性能を得られたが、製造時間は大幅に短縮することができた。
100 連続反応装置
T1 撹拌貯槽
T2 貯槽タンク
P1 定量ポンプ
K1 混合部
P11 定量ポンプ
M21 分散部
31 送液部
K2 混合部
P12 定量ポンプ
T3 貯槽タンク
M22 分散部
32 送液部
P3 定量ポンプ
35 送液部
H11 加熱部
P4 定量ポンプ
36 送液部
C1 冷却部
B1 恒温水槽
B2 恒温水槽
H21 加熱部
P2 定量ポンプ
K3 混合部
P13 定量ポンプ
T4 貯槽タンク
M23 分散部
33 送液部
K4 混合部
P14 定量ポンプ
T5 貯槽タンク
M24 分散部
34 送液部
41 分散送液部
42 分散送液部
43 分散送液部
44 分散送液部

Claims (14)

  1. 独立して分散部及び加熱部を有する連続反応装置においてコア粒子と該コア粒子表面に付着又は固着させる被覆材を含むトナーの製造方法であって、
    該コア粒子の表面の帯電極性と、該被覆材の帯電極性との関係が、逆極性の関係であり、
    該分散部に該コア粒子のスラリー及び該被覆材の溶液又はスラリーを連続的に供給し、該分散部により該コア粒子のスラリーと該被覆材の溶液又はスラリーとを連続的に混合分散する工程と、該混合分散工程後に該加熱部により加熱処理する工程と、を有し、
    該混合分散する工程と該加熱処理する工程とが連続的に行われ、該コア粒子に該被覆材が付着又は固着されたトナー母粒子を連続的に得ることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記分散部がインラインミキサーを有することを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記インラインミキサーがスタティックミキサーであることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記分散部が、複数の撹拌翼が直列的に配置された混合分散機構を有する混合分散槽であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記混合分散槽が撹拌翼と撹拌翼の間に仕切りが設けられた混合分散機構を有する混合分散槽であることを特徴とする請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記分散部又は前記送液部が加熱部と一体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 前記加熱部の送液方式が、正圧または負圧より制御されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  8. 前記被覆材の溶液又はスラリーを添加した後、さらに電解質溶液を添加することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  9. 前記加熱部の加熱温度が、前記コア粒子を構成する樹脂のガラス転移温度未満であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  10. 前記コア粒子のスラリーの濃度が5%以上30%以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  11. 前記コア粒子のスラリーは、湿式造粒法により得られた分散液を洗浄工程によって、電導度を10μs以下に処理した分散液であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  12. 前記被覆材を付着又は固着させる工程が複数回あり、最終回に付着又は固着させる被覆材が樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  13. 前記樹脂微粒子の体積平均粒径が50nm以上150nm以下であることを特徴とする
    請求項12に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  14. 前記樹脂微粒子の含有率がトナー母粒子に対して10wt%以下であることを特徴とする請求項12又は13に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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