JP2015175025A - C粒子が分散したFe−Pt系スパッタリングターゲット - Google Patents

C粒子が分散したFe−Pt系スパッタリングターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】磁気記録媒体におけるグラニュラー型の磁性薄膜の成膜に使用する高スパッタ率と放電安定性を備えたスパッタリングターゲットの提供。
【解決手段】Fe及びPtからなる母材金属にC(炭素)粒子が分散した組織を有する焼結体スパッタリングターゲットであって、前記C粒子について測定した顕微ラマン散乱分光スペクトルにおけるピーク強度比(I/I)が、母材金属との界面から2μm以上離れた測定点では1.0未満であり、母材金属との界面から2μm以内の測定点では1.0以上であるスパッタリングターゲット。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体におけるグラニュラー型の磁性薄膜の成膜に使用されるスパッタリングターゲットに関し、C粒子が分散したFe−Pt系スパッタリングターゲットに関する。
ハードディスクドライブに代表される磁気記録の分野では、磁気記録媒体中の磁性薄膜の材料として、強磁性金属であるCo、Fe、あるいはNiをベースとした材料が用いられてきた。例えば、面内磁気記録方式を採用するハードディスクの磁性薄膜には、Coを主成分とするCo−Cr系やCo−Cr−Pt系の強磁性合金が用いられてきた。また、近年実用化された垂直磁気記録方式を採用するハードディスクの磁性薄膜には、Coを主成分とするCo−Cr−Pt系の強磁性合金と非磁性の無機物粒子からなる複合材料が多く用いられている。そして上記の磁性薄膜は、生産性の高さから、上記材料を成分とするスパッタリングターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置でスパッタして作製されることが多い。
一方、ハードディスクの記録密度は年々急速に増大しており、現状の600Gbit/inの面密度から将来は1 Tbit/inに達すると考えられている。1Tbit/inに記録密度が達すると記録bitのサイズが10nmを下回るようになり、その場合には、熱揺らぎによる超常磁性化が問題となってくると予想され、現在、使用されている磁気記録媒体の材料、例えばCo−Cr基合金にPtを添加して結晶磁気異方性を高めた材料では十分ではないことが予想される。10nm以下のサイズで安定的に強磁性として振る舞う磁性粒子は、より高い結晶磁気異方性を持っている必要があるからである。
上記のような理由から、L1構造を持つFePt相が超高密度記録媒体用材料として注目されている。L1構造を持つFePt相は高い結晶磁気異方性とともに、耐食性、耐酸化性に優れているため、磁気記録媒体としての応用に適した材料と期待されているものである。そして、FePt相を超高密度記録媒体用材料として使用する場合には、規則化したFePt磁性粒子を磁気的に孤立させた状態で出来るだけ高密度に方位をそろえて分散させるという技術の開発が求められている。
このようなことから、L1構造を有するFePt磁性粒子を酸化物や炭素といった非磁性材料で孤立させたグラニュラー構造磁性薄膜が、熱アシスト磁気記録方式を採用した次世代ハードディスクの磁気記録媒体用として提案されている。このグラニュラー構造磁性薄膜は、磁性粒子同士が非磁性物質の介在により磁気的に絶縁される構造となっている。グラニュラー構造の磁性薄膜を有する磁気記録媒体及びこれに関連する公知文献として、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7を挙げることができる。
上記L1構造を持つFe−Pt相を有するグラニュラー構造磁性薄膜としては、非磁性物質としてCを体積比率として10〜50%含有する磁性薄膜が、特にその磁気特性の高さから注目されている。このようなグラニュラー構造磁性薄膜は、Feターゲット、Ptターゲット、Cターゲットを同時にスパッタリングするか、あるいは、Fe−Pt合金ターゲット、Cターゲットを同時にスパッタリングすることで作製されることが知られている。しかしながら、これらのスパッタリングターゲットを同時スパッタするためには、高価な同時スパッタ装置が必要となる。
また、スパッタ装置で合金に非磁性材料の含まれるスパッタリングターゲットをスパッタしようとすると、スパッタ時に非磁性材料の不用意な脱離やスパッタリングターゲットに内包される空孔を起点として異常放電が生じパーティクル(基板上に付着したゴミ)が発生するという問題がある。この問題を解決するには、非磁性材料と母材合金との密着性を高め、スパッタリングターゲットを高密度化させる必要がある。一般に、合金に非磁性材料が含まれるスパッタリングターゲットの素材は、通常粉末焼結法により作製される。
特開2000−306228号公報 特開2000−311329号公報 特開2008−59733号公報 特開2008−169464号公報 特開2004−152471号公報 特許第5290468号 国際公開第2013/190943号
本発明の課題は、高価な同時スパッタ装置を用いることなくグラニュラー構造磁性薄膜の作製を可能にする、C粒子が分散したFe−Pt系スパッタリングターゲットを提供することであり、さらには、スパッタリング時に発生するパーティクル量を低減したスパッタリングターゲットを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために本発明者は鋭意研究を行った結果、母材金属に分散する非磁性材料であるC粒子の結晶性を制御することにより、スパッタ率が高く、かつ、アーキングの発生が抑えられたスパッタリングターゲットを作製できることを見出した。そして、このようにして作製されたスパッタリングターゲットは、パーティクル発生を著しく低減することが可能で、成膜時の歩留まりを改善できることを見出した。
このような知見に基づき、本願は、以下の発明を提供する。
1)FeおよびPtからなる母材金属にC(炭素)粒子が分散した組織を有する焼結体スパッタリングターゲットであって、前記C粒子について測定した顕微ラマン散乱分光スペクトルにおけるピーク強度比(I/I)が、母材金属との界面から2μm以上離れた測定点では1.0未満であり、母材金属との界面から2μm以内の測定点では1.0以上であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
2)母材金属の組成比が、原子比率でPtが5〜70%、残部がFeであることを特徴とする上記1)記載のスパッタリングターゲット。
3)C(炭素)の含有割合が体積比率で10〜50%であることを特徴とする上記1)又は2)記載のスパッタリングターゲット。
4)母材金属であるFeおよびPt以外に、Ag、Au、B、Cr、Cu、Ga、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Pd、Re、Rh、Ru、Si、Sn、Ta、W、V、Znから選択されるいずれか一種以上の元素を添加金属成分として含有し、母材金属の組成比における添加金属成分の原子数比率が0.5〜20%であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
5)C(炭素)に加えて、酸化物、炭化物、窒化物のいずれか一種以上の化合物を非磁性材料として体積比率で10〜30%含有することを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一に記載のスパッタリングターゲット。
本発明のC粒子が分散したFe−Pt系スパッタリングターゲットは、スパッタ率が高く、かつ、アーキングが発生しにくく、スパッタリング時に発生するパーティクルを著しく低減することが可能となり、成膜時の歩留まりを改善できるという優れた効果を有する。
実施例1の焼結体の研磨面を光学顕微鏡で観察したときの組織画像である。 実施例1のラマン散乱分光測定結果とカーブフィッティング結果を示す図である。C粒子の金属との界面から2μm以内の位置で測定したときの一例である。
本発明のスパッタリングターゲットは、FeおよびPtからなる母材金属にC(炭素)粒子が分散した組織を有する。ここで、C(炭素)粒子とは、その形状として球形状のもの以外に、薄片状、針状、棒状、紐状など様々な不定形状のものも含む概念である。また、C(炭素)粒子が分散した組織とは、C(炭素)粒子が分散質、母材金属が分散媒となっている組織のことを意味する。
C(炭素)は、結晶性の高い黒鉛よりも、結晶性の低い(非晶質の)カーボンの方が炭素同士の結合力が弱いので、FeおよびPtからなる母材金属に非晶質のカーボンを分散させた方が、ターゲット表面に残留するC(炭素)粒子を少なくすることができ、スパッタ率を高くすることができる。一方、非晶質のカーボンは、導電率が低いため、スパッタリング中にチャージアップしやすく、放電安定性を損ない、アーキングの発生原因になるおそれがある。
本発明は、このようなC(炭素)の優れた特質を有効に活用するために、C(炭素)粒子の内部において非晶質を維持しつつ(結合力が弱いため高スパッタ率が可能)、
その外周部においては結晶性を高めることで(誘電率が低いため安定的な放電が可能)、高いスパッタ率(スパッタリングのし易さ)とアーキングの抑制の両立を実現することができるものである。そしてこれにより、スパッタリング時の歩留まりを改善することができると共に、パーティクルの発生を安定的に低減することができるという、優れた効果を発揮するものである。これが本発明の基本的な概念である。
上記の基本的な概念から抽出される本発明は、C(炭素)について測定した顕微ラマン散乱分光スペクトルにおけるピーク強度比(I/I)は、母材金属との界面から2μm以上離れた測定点では1.0未満であり、母材金属との界面から2μm以内の測定点では1.0以上であることを特徴とする。なお、Iとは、ラマンスペクトルにおけるGバンドのピーク強度を意味し、Iとは、ラマンスペクトルにおけるDバンドのピーク強度を意味する。
Gバンドは、グラファイトの六員環構造に由来する振動モードであり、1570cm−1付近にピークが現れ、結晶構造が完全に近いほどピーク強度は大きくなる。また、Dバンドは、グラファイトの欠陥構造に由来する振動モードであり、1350cm−1付近にピークが現れ、欠陥が大きいほどピーク強度は大きくなる。すなわち、結晶性が高い炭素材料ほどI/I比が高くなる。Gバンドの強度が、大きいほど結晶構造が完全(結晶性が高い)、小さいほど結晶構造が不完全(結晶性が低い)である。
なお、ラマン散乱分光測定でGバンドとDバンドの振動モードを測定する場合、本願発明では、レーザーの励起波長532nmを使用しているが、励起光源としては、この他にArレーザー、He−Neレーザー、Krレーザー等の気体レーザーを用いることができる。これらのレーザーは、要求される励起波長に合わせて適宜選択する。この場合は、ラマンスペクトルの1520〜1600cm−1にピークを有するGバンドの強度I と、1320〜1450cm−1にピークを有するDバンドの強度Iが現れる。これらの場合においても、本願発明を適用できるものである。
本発明では、黒鉛(結晶)に由来するGバンドのピーク強度と結晶構造の乱れや欠陥に起因するDバンドのピーク強度との比を解析することで、C(炭素)の結晶性を評価している。すなわち、C(炭素)について測定した、ラマンスペクトルのピーク強度比(I/I)が1.0未満の場合には、結晶性が低い(非晶質性)と評価し、ラマンスペクトルのピーク強度比(I/I)が1.0以上の場合には、結晶性が高い(結晶質性)と評価している。
また、C粒子の母材金属との界面から2μm以上離れた測定点は、C(炭素)粒子の内部を意味し、C粒子の母材金属との界面から2μm以内の測定点は、C(炭素)粒子の外周部を意味する。したがって、母材金属との界面から2μm以上離れた測定点におけるピーク強度比(I/I)が1.0未満とは、C(炭素)粒子の内部が非晶質性であり、母材金属との界面から2μm以内の測定点におけるピーク強度比(I/I)が1.0以上とは、C(炭素)粒子の外周部が結晶質性であることと同義である。
現実的には、C粒子の母材金属との界面から2μm離れた境界近傍においては、結晶性と非晶質性とが判然と区別されていないため、母材金属との界面から2μm以上離れた測定点であっても、境界近傍においては、そのピーク強度比(I/I)が1.0以上であったり、逆に、母材金属との界面から2μm以内であっても、境界近傍のピーク強度比(I/I)が1.0未満であったりすることがある。本発明はこのような不安定な境界近傍のピーク強度比を規定するものではない。
本発明のスパッタリングターゲットは、FeおよびPtからなる母材金属にC(炭素)粒子が分散した組織を有する焼結体からなるものである。母材金属の組成は、磁気記録媒体用磁性薄膜としての磁気特性を有するものであれば、特に制限されるものではないが、原子比率でPtが5〜70%、残部がFeとすることで、良好な磁気特性を得ることができる。C(炭素)の含有割合も、磁気記録媒体用磁性薄膜として使用可能であれば、特に制限されるものではないが、好ましくは、体積比率で10〜50%である。
なお、C(炭素)の体積比率は、スパッタリングターゲットの切断面における、面積比率から求めることができる。すなわち、スパッタリングターゲット中のC(炭素)の切断面での面積比率を体積比率と置き換えることができる。該面積比率は、観察場所によるバラつきを少なくするため、無作為に選んだ1mm以上の領域を5箇所以上観察して、その平均として求めることができる。
母材金属とC(炭素)は、研磨した切断面を光学顕微鏡で観察した場合、色の濃淡に相違があるため(白く見える部分が金属、黒く見える部分がC)、容易に判別できる。電子顕微鏡で観察した場合も、二次電子や反射電子の検出量に応じて、画像上に色の濃淡で表現されるため、判別可能である。さらに、EPMAやEDXを用いて元素マッピングをおこなえば、より高精度に母材金属とC(炭素)とを判別できる。
本発明のスパッタリングターゲットにおいて、母材金属はFeおよびPtを基本成分とするが、磁気特性を向上させるために、Ag、Au、B、Cr、Cu、Ga、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Pd、Re、Rh、Ru、Si、Sn、Ta、W、V、Znから選択されるいずれか一種以上の金属元素を含有させることが好ましく、その含有量は母材金属の組成比において0.5%以上、20%以下(原子数比率)とすることが好ましい。前記の数値範囲を超えると、添加の効果が得られないため好ましくない。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいて、非磁性材料としてC(炭素)を基本成分とするが、磁気特性を改善するために、さらに、酸化物、炭化物、窒化物のいずれか一種以上の化合物を含有させることが好ましい。例えば、酸化物としては、Al、B、Cr、MgO、SiO、TiO、Ta、ZrOが、炭化物としては、SiC、NbC、TaC、TiCが、窒化物としては、BN、Si、TiNが挙げられる。
また、上記化合物の含有量は、体積比率で10〜30%とすることが好ましい。前記の数値範囲を超えると、添加の効果が得られないため好ましくない。なお、酸化物、炭化物、窒化物の体積比率は、C(炭素)と同様に、ターゲットの切断面を光学顕微鏡等で観察し、その切断面での面積比率から求めることができる。また、該面積比率は、観察場所によるバラつきを少なくするため、無作為に選んだ1mm以上の領域を5箇所以上観察して、その平均として求めることができる。
本発明のスパッタリングターゲットは、粉末焼結法によって作製する。作製にあたり、まず、各原料粉末(例えば、代表的な例として、Fe粉末、Pt粉末、C粉末)を用意する。Fe粉末やPt粉末は、平均粒径が0.5μm以上10μm以下のものを用いることが望ましい。これらの原料粉末の粒径が小さ過ぎると、酸化が促進されてスパッタリングターゲット中の酸素濃度が上昇するなどの問題があるため、0.5μm以上とすることが望ましい。一方、これらの原料粉末の粒径が大きいと、C粒子を合金中に微細分散させることが難しくなるため、10μm以下のものを用いることが望ましい。
さらに、原料粉末として、合金粉末(Fe−Pt粉など)を用いてもよい。特にPtを含む合金粉末はその組成にもよるが、原料粉末中の酸素量を少なくするために有効である。合金粉末を用いる場合も同様に、平均粒径が0.5μm以上10μm以下のものを用いることが望ましい。
C原料粉末としては、平均粒子径5〜50μmのものを使用する。C粉末の粒子径が小さ過ぎると、C粒子が凝集しパーティクルの発生原因になるので、5μm以上とすることが望ましく、C粉末の粒子径が大きいと、スパッタリング時の異常放電の原因となるため、50μm以下とすることが望ましい。使用するC粉末の種類としては、非晶質の炭素の中でも黒鉛化しにくいハードカーボンが望ましい。その他にもカーボンファイバーを粉砕したものやフラーレンを用いることができる。
そして、上記の粉末を所望の組成になるように秤量し、混合する。
ここで重要なことは、炭素原料をマトリックス中に一様に分散させるために、C原料粉末に含まれている数百μm〜数mmの大きさの塊を解砕あるいはふるいで取り除くことである。方法としては、攪拌混合機、攪拌転動混合機、100〜200メッシュ程度のふるい等を使用することができる。なお、ふるいは、粗大粒の除去だけではなく、解砕や混合の機能も兼ね備えるものである。
また、このようなC原料粉末の解砕やふるい分けは、炭素原料とその他の原料を混合した後に行うこともできる。混合装置としては、縦型ミキサー、V型混合機もしくはこれに準ずる性能を有する混合機を使用することができる。
このようにしてC原料粉末に含まれる大きな塊を排除した後に、炭素原料とその他の原料粉を混合する。混合方法としては、せん断力によって混合する装置を使用することができる。例えば、乳鉢、攪拌混合機(高速)、攪拌転動混合機(高速)等を使用することができる。また、せん断力が発生し、かつ原料が微粉砕しない装置であれば、その他の装置を使用することもできる。
一方で、ボールミルや媒体攪拌ミル等のように衝撃力で原料を微粉砕してしまうような混合装置は、炭素原料の微粉砕を促進し、炭素原料同士の凝集を助長してしまうため好ましくない。但し、ごく短時間の使用その他の微粉砕の影響を抑える条件であれば、このような装置を使用することも可能である。
次に、こうして得られた混合粉末をホットプレスで成型・焼結する。ホットプレス以外にも、プラズマ放電焼結法、熱間静水圧焼結法を使用することもできる。焼結時の保持温度は、スパッタリングターゲットの組成にもよるが、多くの場合、1000〜1500°Cの温度範囲とすることが好ましい。また、プレス圧力は、25MPa〜35MPaの範囲とすることが好ましい。但し、この焼結条件においても、C粒子の凝集を抑えることが必要である。
次に、ホットプレスから取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施す。熱間等方加圧加工は焼結体の密度向上に非常に有効である。熱間等方加圧加工時の保持温度は、焼結体の組成にもよるが、多くの場合、1000〜1500°Cの温度範囲である。また加圧力は100Mpa以上に設定することが好ましい。そして、このようにして得られた焼結体を旋盤で所望の形状に加工することにより、上述の特徴を有する本発明のスパッタリングターゲットを作製することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
原料粉末として平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒子径50μmのC粉末を用意し、組成が30Fe−30Pt−40C(mol%)となるように秤量した。このときC粉末にはフラーレンを使用した。なお、ここで用いたフラーレン粉は、昇華精製して得られた単結晶化フラーレン粉(C60純度が99.9%のもの)を用いた。
次に、秤量したC粉末を攪拌混合機に封入し、800rpm、5分間回転させて解砕した。その後、この解砕したC粉末と、Fe粉末と、Pt粉末とを乳鉢に入れて2時間混合した。次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。このようにして作製した焼結体の組織写真を図1に示す。図1に示されるように、投入原料の粒子径と同程度の大きさのC粒子が残留している様子が分かる。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。また同じ焼結体から採取した端材を湿式研磨して、顕微ラマン分光装置による測定を実施した。ラマン散乱分光計としては、Renishaw inVia Raman Microscope(Renishaw社製)を用いた。励起光は、CompassTM 315M Diode−Pumped Laser(COHERENT社製)を光源とし、励起波長は532nm、励起光源の出力は5mWとし、回折格子は1800L/mmを使用した。そして、ラマンシフトの測定範囲はφ1μmに設定した。測定は研磨面を観察して無作為に選んだ10個のカーボン粒子の各々ついて、金属との界面から2μm以内の位置で無作為に選んだ1点と、金属との界面から2μm以上離れた位置で無作為に選んだ1点で測定した。
また、測定結果のカーブフィッティングにはローレンツ関数を使用した。実施例1のラマンスペクトルの測定結果とローレンツ関数によるフィッティング結果を図2に示す。図2は金属との界面から2μm以内の位置で測定したときの一例である。なお、カーブフィッティングをする都合上、1620cm−1付近のD´バンドも現れるが、D´バンドはグラファイトの欠陥構造に由来する振動モードであり、これは本願発明には、直接関係しないのでD´バンドは強度計算へ取り入れていない。そしてI/I比をローレンツ関数の積分強度から求めた。最後に10個のC粒子について平均をとり、金属との界面から2μm以内の測定点と金属との界面から2μm以上離れた測定点について、それぞれI/I比の平均値を求めた。その結果、金属との界面から2μm以内の測定点のI/I比は2.6となり、金属との界面から2μm以上離れた測定点のI/I比は0.8となり、本発明のI/I比の条件を満たしていた。
次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は87個であった。
(実施例2)
原料粉末として平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒径2μmのAg粉末、平均粒子径20μmのC粉末を用意し、組成が26Fe−26Pt−8Ag−40C(mol%)となるように秤量した。このときC粉末にはハードカーボンを使用した。なお、ここで用いたハードカーボン粉は、スクロース(ショ糖)をAr雰囲気中で保持温度1200℃、保持時間8時間で熱処理したものを、粉砕・分級して得たものである。
次に、秤量したC粉末を攪拌混合機に封入し、800rpm、5分間回転させて解砕した。その後、この解砕したC粉末と、Fe粉末と、Pt粉末と、Ag粉末とを乳鉢に入れて2時間混合した。次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度900°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度900°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、900°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。また同じ焼結体から採取した端材を湿式研磨して、顕微ラマン分光装置による測定を実施した。ラマン散乱分光測定の測定条件および測定方法は、実施例1と同様とした。その結果、金属との界面から2μm以内の測定点のI/I比は1.1となり、金属との界面から2μm以上離れた測定点のI/I比は0.7となり、本願発明のI/I比の条件を満たしていた。
次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は63個であった。
(実施例3)
原料粉末として平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒子径50μmのC粉末、平均粒径20μmのTiC粉末、平均粒径8μmのBN粉末を用意し、組成が32Fe−32Pt−20C−8TiC−8BN(mol%)となるように秤量した。このときC粉末にはハードカーボンを使用した。なお、ここで用いたハードカーボン粉は実施例2と同じものである。
次に、秤量したC粉末を攪拌混合機に封入し、800rpm、5分間回転させて解砕した。その後、この解砕したC粉末と、Fe粉末と、Pt粉末と、TiC粉末と、BN粉末とを乳鉢に入れて2時間混合した。次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。また同じ焼結体から採取した端材を湿式研磨して、顕微ラマン分光装置による測定を実施した。ラマン散乱分光測定の測定条件および測定方法は、実施例1と同様とした。その結果、金属との界面から2μm以内の測定点のI/I比は1.4となり、金属との界面から2μm以上離れた測定点のI/I比は0.8となり、本願発明のI/I比の条件を満たしていた。
次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は98個であった。
(比較例1)
原料粉末として平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒子径20μmのC粉末を用意し、組成が30Fe−30Pt−40C(mol%)となるように秤量した。このときC粉末には黒鉛を使用した。なお、ここで用いた黒鉛粉は、純度99.9%の人造黒鉛を粉砕・分級したものである。
次に、秤量したC粉末を攪拌混合機に封入し、800rpm、5分間回転させて解砕した。その後、この解砕したC粉末と、Fe粉末と、Pt粉末とを乳鉢に入れて2時間混合した。次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。また同じ焼結体から採取した端材を湿式研磨して、顕微ラマン分光装置による測定を実施した。ラマン散乱分光測定の測定条件および測定方法は、実施例1と同様とした。その結果、金属との界面から2μm以内の測定点のI/I比は7.0となり、金属との界面から2μm以上離れた測定点のI/I比は5.2となり、本願発明のI/I比の条件を満たしていなかった。
次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は195個と実施例1に比べてパーティクル数はやや増加した。
(比較例2)
原料粉末として平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒子径20μmのC粉末を用意し、組成が30Fe−30Pt−40C(mol%)となるように秤量した。このときC粉末には平均粒子径20μmの黒鉛を使用した。
次に、秤量した原料粉末を縦型ミキサーに封入して混合した。その後、200メッシュふるいを通してから、5L媒体攪拌ミルを用いて300rpm、20時間混合した。
次に、攪拌ミルから取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次にホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。この焼結体の組織写真は、投入原料が細かく粉砕されたため、C粒子は投入原料のサイズと比較して非常に細かくなっていた。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。また同じ焼結体から採取した端材を湿式研磨して、顕微ラマン分光装置による測定を実施した。ラマン散乱分光測定の測定条件は実施例1と同様としたが、C粒子が非常に細かくなっていたので、金属との界面から2μm以内にC粒子全体が入ってしまい、金属との界面から2μm以上離れた位置での測定は実施できなかった。金属との界面から2μm以内の測定点のI/I比は5.3であった。
次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は6050個と実施例に比べてパーティクル数は大きく増加した。
(実施例4)
原料粉末として平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒子径50μmのC粉末を用意し、組成が10Fe−20Pt−70C(mol%)となるように秤量した。このときC粉末にはフラーレンを使用した。なお、ここで用いたフラーレン粉は、実施例1と用いたものと同じものである。
次に、秤量したC粉末を攪拌混合機に封入し、800rpm、5分間回転させて解砕した。その後、この解砕したC粉末と、Fe粉末と、Pt粉末とを乳鉢に入れて2時間混合した。次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。また同じ焼結体から採取した端材を湿式研磨して、顕微ラマン分光装置による測定を実施した。ラマン散乱分光測定の測定条件および測定方法は、実施例1と同様とした。その結果、金属との界面から2μm以内の測定点のI/I比は2.2となり、金属との界面から2μm以上離れた測定点のI/I比は0.8となり、本発明のI/I比の条件を満たしていた。
次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は213個であった。Cの含有量の多い組成であるため、実施例1〜3に比べると、ややパーティクル数が増加する傾向にあった。
(比較例3)
原料粉末として平均粒径3μmのFe粉末、平均粒径3μmのPt粉末、平均粒子径20μmのC粉末を用意し、組成が10Fe−20Pt−70C(mol%)となるように秤量した。このときC粉末には黒鉛を使用した。なお、ここで用いた黒鉛粉は、比較例1と同じものである。
次に、秤量したC粉末を攪拌混合機に封入し、800rpm、5分間回転させて解砕した。その後、この解砕したC粉末と、Fe粉末と、Pt粉末とを乳鉢に入れて2時間混合した。次に、乳鉢から取り出した混合粉末をカーボン製の型に充填しホットプレスした。ホットプレスの条件は、真空雰囲気、昇温速度300°C/時間、保持温度1100°C、保持時間2時間とし、昇温開始時から保持終了まで30MPaで加圧した。保持終了後はチャンバー内でそのまま自然冷却させた。
次に、ホットプレスの型から取り出した焼結体に熱間等方加圧加工を施した。熱間等方加圧加工の条件は、昇温速度300°C/時間、保持温度1000°C、保持時間2時間とし、昇温開始時からArガスのガス圧を徐々に高めて、1000°Cで保持中は150MPaで加圧した。保持終了後は炉内でそのまま自然冷却させた。
次に、この焼結体を直径180.0mm、厚さ5.0mmの形状へ旋盤で切削加工してターゲットとした。また同じ焼結体から採取した端材を湿式研磨して、顕微ラマン分光装置による測定を実施した。ラマン散乱分光測定の測定条件および測定方法は、実施例1と同様とした。その結果、金属との界面から2μm以内の測定点のI/I比は8.3となり、金属との界面から2μm以上離れた測定点のI/I比は5.4となり、本願発明のI/I比の条件を満たしていなかった。
次に、このターゲットをマグネトロンスパッタ装置(キヤノンアネルバ製C-3010スパッタリングシステム)に取り付け、スパッタリングを行った。スパッタリングの条件は、投入電力1kW、Arガス圧1.7Paとし、2kWhrのプレスパッタリングを実施した後、4インチ径のシリコン基板上に20秒間成膜した。そして基板上へ付着したパーティクルの個数をパーティクルカウンターで測定した。表1に示すように、このときのパーティクル個数は577個となり、同一のターゲット組成である実施例4に比べてパーティクル数は大幅に増加した。
本発明は、C粒子が分散したFe−Pt系スパッタリングターゲットにおいて、高いスパッタ率を備え、かつ、アーキングの発生を抑制することができるので、スパッタ時のパーティクル発生を低減することができると共に、成膜時の歩留まりを改善できるという優れた効果を有する。本発明スパッタリングターゲットは、グラニュラー構造の磁性薄膜の成膜用スパッタリングターゲットとして有用である。

Claims (5)

  1. FeおよびPtからなる母材金属にC(炭素)粒子が分散した組織を有する焼結体スパッタリングターゲットであって、前記C粒子について測定した顕微ラマン散乱分光スペクトルにおけるピーク強度比(I/I)が、母材金属との界面から2μm以上離れた測定点では1.0未満であり、母材金属との界面から2μm以内の測定点では1.0以上であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 母材金属の組成比が、原子比率でPtが5〜70%、残部がFeであることを特徴とする請求項1記載のスパッタリングターゲット。
  3. C(炭素)の含有割合が体積比率で10〜50%であることを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタリングターゲット。
  4. 母材金属であるFeおよびPt以外に、Ag、Au、B、Cr、Cu、Ga、Ge、Ir、Mn、Mo、Nb、Pd、Re、Rh、Ru、Si、Sn、Ta、W、V、Znから選択されるいずれか一種以上の元素を添加金属成分として含有し、母材金属の組成比における添加金属成分の原子数比率が0.5〜20%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. C(炭素)に加えて、酸化物、炭化物、窒化物のいずれか一種以上の化合物を体積比率で10〜30%含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
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