JP2015174268A - 積層構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】密着性に優れ、有機半導体材料として可溶性の低分子化合物を印刷するのに有用な積層構造体を提供する。
【解決手段】有機溶媒を吸収するエラストマーを含むエラストマー層(A)と、フッ素原子を有するエラストマーを含むエラストマー層(B)と、エラストマー層(A)とエラストマー層(B)との間に、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(A)の自己組織化層、または、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(B)の自己組織化層とを有する積層構造体。
【選択図】図1
【解決手段】有機溶媒を吸収するエラストマーを含むエラストマー層(A)と、フッ素原子を有するエラストマーを含むエラストマー層(B)と、エラストマー層(A)とエラストマー層(B)との間に、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(A)の自己組織化層、または、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(B)の自己組織化層とを有する積層構造体。
【選択図】図1
Description
本発明は、積層構造体および該積層構造体を用いた印刷版に関する。
有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタは、従来の無機半導体材料を用いた薄膜トランジスタと比較して低温で製造できること、可溶性の有機半導体材料を用いることで、インクジェットプリント法、スピンコート法等に代表される湿式プロセスを用いることができることから、簡易な製造プロセスが可能であり、研究開発が盛んに行われている。 可溶性の有機半導体材料を用いた湿式プロセスの中でも、印刷版にシリコーン系エラストマーであるポリジメチルシロキサン(以下、「PDMS」ともいう。)を用いることで、サブミクロンオーダーの微細なパターンを印刷することができるため、近年注目されている(非特許文献1および特許文献1)。
PDMSを用いた印刷版は、有機半導体材料として可溶性の低分子化合物を用いた場合、有機溶媒だけでなく低分子化合物も内部に浸透してしまうため、低分子化合物を印刷するのが困難であるという問題があった。この問題を解決するべく、PDMSとフッ素系エラストマーを組み合わせることが提案されている。具体的には、フッ素系エラストマーは、低分子化合物が内部に浸透しないため、PDMSにフッ素系エラストマーを積層させた印刷版が提案されている(特許文献2および特許文献3)。
Langmuir、1995年、第11巻、3024−3026頁
しかしながら、PDMSにフッ素系エラストマーを積層させた印刷版は、PDMSとフッ素系エラストマーとの密着性が悪く、印刷版として使用している際に剥がれやすいという問題があった。
そこで、本発明は、密着性に優れ、有機半導体材料として可溶性の低分子化合物を印刷するのに有用な積層構造体を提供することを目的とする。また、本発明は、該積層構造体を用いた印刷版を提供することを目的とする。
本発明は、下記の積層構造体および該積層構造体を用いた印刷版を提供する。
[1]有機溶媒を吸収するエラストマーを含むエラストマー層(A)と、フッ素原子を有するエラストマーを含むエラストマー層(B)と、エラストマー層(A)とエラストマー層(B)との間に、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(A)の自己組織化層、または、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(B)の自己組織化層とを有する積層構造体。
[2]前記自己組織化層が、前記エラストマー層(A)または前記エラストマー層(B)の表面をシランカップリング処理して形成された層である、[1]に記載の積層構造体。
[3]前記エラストマー層(A)が、ケイ素原子を有するエラストマーを含む層である、[1]または[2]に記載の積層構造体。
[4]前記ケイ素原子を有するエラストマーが、ポリジメチルシロキサンである、[3]に記載の積層構造体。
[5]前記フッ素原子を有するエラストマーが、フッ素原子を有するポリエーテル骨格を含むエラストマーである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の積層構造体。
[6][1]〜[5]のいずれか一項に記載の積層構造体を用いた印刷版。
[2]前記自己組織化層が、前記エラストマー層(A)または前記エラストマー層(B)の表面をシランカップリング処理して形成された層である、[1]に記載の積層構造体。
[3]前記エラストマー層(A)が、ケイ素原子を有するエラストマーを含む層である、[1]または[2]に記載の積層構造体。
[4]前記ケイ素原子を有するエラストマーが、ポリジメチルシロキサンである、[3]に記載の積層構造体。
[5]前記フッ素原子を有するエラストマーが、フッ素原子を有するポリエーテル骨格を含むエラストマーである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の積層構造体。
[6][1]〜[5]のいずれか一項に記載の積層構造体を用いた印刷版。
本発明によれば、密着性に優れ、有機半導体材料として可溶性の低分子化合物を印刷するのに有用な積層構造体を提供することができる。また、本発明によれば、該積層構造体を用いた印刷版を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照することにより、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本発明の積層構造体について説明する。
本発明の積層構造体は、
有機溶媒を吸収するエラストマーを含むエラストマー層(A)と、
フッ素原子を有するエラストマーを含むエラストマー層(B)と、
エラストマー層(A)とエラストマー層(B)との間に、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(A)の自己組織化層、または、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(B)の自己組織化層とを有する積層構造体である。
有機溶媒を吸収するエラストマーを含むエラストマー層(A)と、
フッ素原子を有するエラストマーを含むエラストマー層(B)と、
エラストマー層(A)とエラストマー層(B)との間に、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(A)の自己組織化層、または、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(B)の自己組織化層とを有する積層構造体である。
本発明の積層構造体は、有機半導体材料として可溶性の低分子化合物を印刷する印刷版として有用であるが、有機半導体材料として高分子化合物を印刷する印刷版としても使用することができる。
有機溶媒を吸収するエラストマーは、有機溶媒を吸収する前の重量(「初期重量」ともいう。)と、有機溶媒を吸収し飽和状態になった後の重量(「飽和重量」ともいう。)との比率(飽和重量/初期重量)が、1.3以上のエラストマーであることが好ましく、1.4以上のエラストマーであることがより好ましく、1.5以上のエラストマーであることがさらに好ましい。
有機溶媒を吸収するエラストマーとしては、本発明の積層構造体の耐熱性、耐久性および耐薬品性が優れるため、ケイ素原子を有するエラストマー(以下、シリコーン系エラストマーともいう。)が好ましい。シリコーン系エラストマーは、通常、ケイ素原子および酸素原子を有するエラストマーである。
シリコーン系エラストマーとしては、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、メチルビニルシリコーンエラストマー、メチルフェニルシリコーンエラストマー、フルオロシリコーンエラストマーが挙げられ、ポリジメチルシロキサンが好ましい。
フッ素原子を有するエラストマー(以下、フッ素系エラストマーともいう。)は、有機溶媒を吸収する前の重量(「初期重量」ともいう。)と、有機溶媒を吸収し飽和状態になった後の重量(「飽和重量」ともいう。)との比率(飽和重量/初期重量)が、通常、1.3未満のエラストマーである。
フッ素系エラストマーとしては、例えば、フッ素原子、フッ素原子で置換されたアルキル基、または、フッ素原子で置換されたアルコキシ基を有するエラストマーが挙げられる。
フッ素系エラストマーとしては、本発明の積層構造体の耐熱性、耐久性および耐薬品性が優れるため、フッ素原子を有するポリエーテル骨格を含むエラストマーであることが好ましく、フッ素原子を有するポリエーテル骨格とケイ素原子を有する架橋性末端基とを含むエラストマーであることがより好ましい。
フッ素系エラストマーの具体例としては、テトラフルオロエチレン−プロピレンエラストマー、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンエラストマー、SHIN-ETSU SIFEL(信越化学工業株式会社製、商品名)が挙げられ、SHIN-ETSU SIFELが好ましい。
有機溶媒を吸収するエラストマーを含むエラストマー層(A)の自己組織化層の形成、および、フッ素原子を有するエラストマーを含むエラストマー層(B)の自己組織化層の形成方法としては、例えば、シランカップリング処理、チオール処理、酸および塩基を用いた表面処理が挙げられ、本発明の積層構造体におけるエラストマー層(A)とエラストマー層(B)との密着性がより優れるので、シランカップリング処理が好ましい。
本発明の積層構造体は、エラストマー層(A)の自己組織化層、エラストマー層(B)の自己組織化層のいずれを有していてもよいが、本発明の積層構造体の作製が容易であるため、エラストマー層(A)の自己組織化層を有することが好ましい。
図1は、本発明の積層構造体の一形態を示す図である。
図1(a)は、支持基板(4)の上に、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)と、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層の自己組織化層(2)と、フッ素原子を有するエラストマーを含む層(1)とを有する積層構造体を示す図である。
図1(b)は、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)の上に、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層の自己組織化層(2)と、フッ素原子を有するエラストマーを含む層(1)とを有する積層構造体を示す図である。
図1(c)は、フッ素原子を有するエラストマーを含む層(1)の上に、フッ素原子を有するエラストマーを含む層の自己組織化層(2’)と、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)とを有する積層構造体の構造を示す図である。
支持基板としては、例えば、フィルム基板、ガラス基板等の固体基板が挙げられる。図1(a)〜図1(c)に示されるように、本発明の積層構造体は支持基板を有するものでも有さないものでのよい。
図2は、本発明の積層構造体の他の形態を示す図である。より詳細には、本発明の積層構造体の他の形態の断面を示す図である。
図2は、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)が、該層の自己組織化層(2)で覆われ、さらに、該層が、フッ素原子を有するエラストマーを含む層(1)で覆われた積層構造体を示す図である。
図2は、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)が、該層の自己組織化層(2)で覆われ、さらに、該層が、フッ素原子を有するエラストマーを含む層(1)で覆われた積層構造体を示す図である。
図3は、シランカップリング処理により有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層の自己組織化層を形成する手順を示す図である。
具体的には、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)の表面をUV処理した後(i)、密閉式の容器にシランカップリング剤とともに入れ(ii)、室温条件下または加熱条件下において反応させることにより(iii)、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層の自己組織化層(2)を形成する手順を示す図である。
具体的には、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)の表面をUV処理した後(i)、密閉式の容器にシランカップリング剤とともに入れ(ii)、室温条件下または加熱条件下において反応させることにより(iii)、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層の自己組織化層(2)を形成する手順を示す図である。
シランカップリング剤としては、例えば、アルコキシシラン、クロロシラン、アルキルクロロシランが挙げられ、これらのシランカップリング剤はアミノ基、エポキシ基を有していてもよい。シランカップリング剤は、本発明の積層構造体におけるエラストマー層(A)とエラストマー層(B)との密着性がより優れるので、アミノ基またはエポキシ基を有するシランカップリング剤であることが好ましい。
図4は、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(5)を形成する手順を示す図である。
具体的には、硬化前の液状エラストマー(8)を離型処理した石英ガラス(7)に塗布した後(i)、離型処理した石英ガラス(7)を用いて硬化前の液状エラストマーを押し広げ、加熱または光照射により液状エラストマーを硬化させた後(ii)、硬化させたエラストマーを離型処理した石英ガラスから剥がすことで、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)を形成する手順を示す図である。
硬化前の液状エラストマーは、塗布する前に脱法処理を行うことが好ましい。また、離型処理されていれば、石英ガラスに限らず、通常のガラスであってもよい。また、加熱または光照射により液状エラストマーを硬化させるために、硬化剤を併用してもよい。
具体的には、硬化前の液状エラストマー(8)を離型処理した石英ガラス(7)に塗布した後(i)、離型処理した石英ガラス(7)を用いて硬化前の液状エラストマーを押し広げ、加熱または光照射により液状エラストマーを硬化させた後(ii)、硬化させたエラストマーを離型処理した石英ガラスから剥がすことで、有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層(3)を形成する手順を示す図である。
硬化前の液状エラストマーは、塗布する前に脱法処理を行うことが好ましい。また、離型処理されていれば、石英ガラスに限らず、通常のガラスであってもよい。また、加熱または光照射により液状エラストマーを硬化させるために、硬化剤を併用してもよい。
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(作製例1:シリコーンブランケットの作製)
図4に示す手順に従って、シリコーンブランケットを作製した。
図4に示す手順に従って、シリコーンブランケットを作製した。
有機溶媒を吸収するエラストマーとしてPDMS(ポリジメチルシロキサン)(信越化学工業株式会社製、SIM260)を用い、PDMS(100重量部)に対して、硬化剤(信越化学工業株式会社製、CAT-260)(10重量部)を混合し、攪拌脱泡機(泡とり練太郎株式会社製、シンキー)を用いて、脱法処理を行った。PDMSの構造を下記に示す。ここで、nは重合度を示す。
脱泡処理後、図4に示すように、離型処理した石英ガラス2枚を用いて、液状シリコーンを押し広げた。石英ガラスで挟み込んだ状態のまま150℃、30分の加熱処理をオーブン中で行い、PDMSを硬化させた。その後、硬化させたPDMSを石英ガラスから剥がすことで、シリコーンブランケットを作製した。
ここで、離型処理した石英ガラスとは、エキシマ光照射装置(株式会社オーク製作所製)でVUV172nmを照射した後、FAS(1H, 1H, 2H, 2H-perfluorodecyltriethoxysilane)を用いてシランカップリング処理を行ったものである。
ここで、離型処理した石英ガラスとは、エキシマ光照射装置(株式会社オーク製作所製)でVUV172nmを照射した後、FAS(1H, 1H, 2H, 2H-perfluorodecyltriethoxysilane)を用いてシランカップリング処理を行ったものである。
作製したシリコーンブランケットについて、有機溶媒を吸収する前の重量(「初期重量」ともいう。)と、有機溶媒を吸収し飽和状態になった後の重量(「飽和重量」ともいう。)との比率(飽和重量/初期重量)を測定したところ、1.50であった。この測定には、縦1cm程度、横1cm程度、高さ1mm程度のサンプルを用い、有機溶媒としては、オルトジクロロベンゼンを用いた。
(作製例2:シリコーンブランケットの光照射処理)
作製例1で得られたシリコーンブランケットを、アセトンを用いて洗浄した。その後、シリコーンブランケットの表面に対して、エキシマ光照射装置(株式会社オーク製作所製)でVUV172nmを照射した。その後、シリコーンブランケットの表面自由エネルギーの経時変化を測定した。
作製例1で得られたシリコーンブランケットを、アセトンを用いて洗浄した。その後、シリコーンブランケットの表面に対して、エキシマ光照射装置(株式会社オーク製作所製)でVUV172nmを照射した。その後、シリコーンブランケットの表面自由エネルギーの経時変化を測定した。
(作製例3:シリコーンブランケットの自己組織化処理)
作製例1で得られたシリコーンブランケットを、アセトンを用いて洗浄した。その後、シリコーンブランケットの表面に対して、シランカップリング処理することにより、PDMSの自己組織化層を形成した。具体的には、シリコーンブランケットの表面に対して、エキシマ光照射装置(株式会社オーク製作所製)でVUV172nmを照射した後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アルドリッチ社製)数滴とともに、密閉式バットに入れ、85℃のオーブン中で3時間反応させることで、PDMSの自己組織化層を形成した。
作製例1で得られたシリコーンブランケットを、アセトンを用いて洗浄した。その後、シリコーンブランケットの表面に対して、シランカップリング処理することにより、PDMSの自己組織化層を形成した。具体的には、シリコーンブランケットの表面に対して、エキシマ光照射装置(株式会社オーク製作所製)でVUV172nmを照射した後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アルドリッチ社製)数滴とともに、密閉式バットに入れ、85℃のオーブン中で3時間反応させることで、PDMSの自己組織化層を形成した。
(作製例4:フッ素系エラストマーの作製)
フッ素系エラストマーとしては、SHIN-ETSU SIFEL(信越化学工業株式会社製、X-71-8115A/X-71-8115B)を用いた。具体的には、X-71-8115のA液(50重量部)と、X-71-8115のB液(50重量部)とを混合した後、作製例1と同様の手順で脱泡処理を行った。SHIN-ETSU SIFELの構造を下記に示す。ここで、nは重合度を示す。なお、SHIN-ETSU SIFELは、ケイ素原子を有する架橋性末端基を有する。
フッ素系エラストマーとしては、SHIN-ETSU SIFEL(信越化学工業株式会社製、X-71-8115A/X-71-8115B)を用いた。具体的には、X-71-8115のA液(50重量部)と、X-71-8115のB液(50重量部)とを混合した後、作製例1と同様の手順で脱泡処理を行った。SHIN-ETSU SIFELの構造を下記に示す。ここで、nは重合度を示す。なお、SHIN-ETSU SIFELは、ケイ素原子を有する架橋性末端基を有する。
作製例1と同様の方法でSHIN-ETSU SIFELのブランケットを作製し、有機溶媒を吸収する前の重量(「初期重量」ともいう。)と、有機溶媒を吸収し飽和状態になった後の重量(「飽和重量」ともいう。)との比率(飽和重量/初期重量)を測定したところ、1.25であった。この測定には、縦1cm程度、横1cm程度、高さ1mm程度のサンプルを用い、有機溶媒としては、オルトジクロロベンゼンを用いた。
(比較例1:積層構造体の作製)
作製例2で得られたシリコーンブランケットをガラス基板に貼り付けた後、作製例1と同様に、離型処理した石英ガラスを用いて、作製例4で得られたフッ素系エラストマーを押し広げ、ガラス基板と石英ガラスとで挟み込んだ状態のまま150℃、30分の加熱処理をオーブン中で行い、SIFELを硬化させた。その後、硬化させたSIFELを石英ガラスから剥がすことで、積層構造体を作製した。
作製例2で得られたシリコーンブランケットをガラス基板に貼り付けた後、作製例1と同様に、離型処理した石英ガラスを用いて、作製例4で得られたフッ素系エラストマーを押し広げ、ガラス基板と石英ガラスとで挟み込んだ状態のまま150℃、30分の加熱処理をオーブン中で行い、SIFELを硬化させた。その後、硬化させたSIFELを石英ガラスから剥がすことで、積層構造体を作製した。
(実施例1:積層構造体の作製)
作製例3で得られたシリコーンブランケットをガラス基板に貼り付けた後、作製例1と同様に、離型処理した石英ガラスを用いて、作製例4で得られたフッ素系エラストマーを押し広げ、ガラス基板と石英ガラスとで挟み込んだ状態のまま150℃、30分の加熱処理をオーブン中で行い、SIFELを硬化させた。その後、硬化させたSIFELを石英ガラスから剥がすことで、積層構造体を作製した。図1(a)は実施例1の手順で作製される積層構造体の断面図である。
作製例3で得られたシリコーンブランケットをガラス基板に貼り付けた後、作製例1と同様に、離型処理した石英ガラスを用いて、作製例4で得られたフッ素系エラストマーを押し広げ、ガラス基板と石英ガラスとで挟み込んだ状態のまま150℃、30分の加熱処理をオーブン中で行い、SIFELを硬化させた。その後、硬化させたSIFELを石英ガラスから剥がすことで、積層構造体を作製した。図1(a)は実施例1の手順で作製される積層構造体の断面図である。
(評価例1:引き剥がし試験)
作製例1と同様の手順で、シリコーンブランケットを2つ作製した。その後、一方のシリコーンブランケットに、作製例3および実施例1と同様の手順で、PDMSの自己組織化層を形成した。このシリコーンブランケットをガラス基板に貼り付けたものと、他方のシリコーンブランケットをガラス基板に貼り付けたものとで、作製例4で得られたフッ素系エラストマーを押し広げ、2つのシリコーンブランケットで挟み込んだ状態のまま150℃、30分の加熱処理をオーブン中で行い、SIFELを硬化させた。その後、2つのシリコーンブランケットをガラス基板から剥がすことで、引き剥がし試験のサンプルを作製した。同じ操作を繰り返すことにより、引き剥がし試験のサンプルを5つ作製した。
作製例1と同様の手順で、シリコーンブランケットを2つ作製した。その後、一方のシリコーンブランケットに、作製例3および実施例1と同様の手順で、PDMSの自己組織化層を形成した。このシリコーンブランケットをガラス基板に貼り付けたものと、他方のシリコーンブランケットをガラス基板に貼り付けたものとで、作製例4で得られたフッ素系エラストマーを押し広げ、2つのシリコーンブランケットで挟み込んだ状態のまま150℃、30分の加熱処理をオーブン中で行い、SIFELを硬化させた。その後、2つのシリコーンブランケットをガラス基板から剥がすことで、引き剥がし試験のサンプルを作製した。同じ操作を繰り返すことにより、引き剥がし試験のサンプルを5つ作製した。
図5に示す手順に従って、引き剥がし試験を行った。
作製したサンプルの一方のシリコーンブランケットと他方のシリコーンブランケットに引き剥がし応力を加え、引き剥がし試験を行った。その結果、作製した5つのサンプルの全てにおいて、シリコーンブランケット(図5の上層のシリコーンブランケット)と、SIFEL層、PDMSの自己組織化層およびシリコーンブランケット(図5の下層のシリコーンブランケット)を有する積層構造体とが引き剥がれる結果となった。
評価例1の結果から、本発明の積層構造体は、有機溶媒を吸収するエラストマーを含むエラストマー層(A)(シリコーンブランケット)と、フッ素原子を有するエラストマーを含むエラストマー層(B)(SIFEL)との密着性に優れることがわかった。
1 フッ素原子を有するエラストマーを含む層
2 有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層の自己組織化層
2’ フッ素原子を有するエラストマーを含む層の自己組織化層
3 有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層
4 支持基板
5 シランカップリング剤
6 密閉式容器
7 離型処理された石英ガラス
8 液状の有機溶媒を吸収するエラストマー
2 有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層の自己組織化層
2’ フッ素原子を有するエラストマーを含む層の自己組織化層
3 有機溶媒を吸収するエラストマーを含む層
4 支持基板
5 シランカップリング剤
6 密閉式容器
7 離型処理された石英ガラス
8 液状の有機溶媒を吸収するエラストマー
Claims (6)
- 有機溶媒を吸収するエラストマーを含むエラストマー層(A)と、
フッ素原子を有するエラストマーを含むエラストマー層(B)と、
エラストマー層(A)とエラストマー層(B)との間に、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(A)の自己組織化層、または、エラストマー層(A)およびエラストマー層(B)に隣接して設けられたエラストマー層(B)の自己組織化層とを有する積層構造体。 - 前記自己組織化層が、前記エラストマー層(A)または前記エラストマー層(B)の表面をシランカップリング処理して形成された層である、請求項1に記載の積層構造体。
- 前記エラストマー層(A)が、ケイ素原子を有するエラストマーを含む層である、請求項1または2に記載の積層構造体。
- 前記ケイ素原子を有するエラストマーが、ポリジメチルシロキサンである、請求項3に記載の積層構造体。
- 前記フッ素原子を有するエラストマーが、フッ素原子を有するポリエーテル骨格を含むエラストマーである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層構造体。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層構造体を用いた印刷版。
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JP2019142047A (ja) * | 2018-02-17 | 2019-08-29 | 株式会社ユー・エム・アイ | パーフロオロエラストマーとシリコーンゴムとの接着方法とその接合体 |
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2014
- 2014-03-14 JP JP2014051225A patent/JP2015174268A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019142047A (ja) * | 2018-02-17 | 2019-08-29 | 株式会社ユー・エム・アイ | パーフロオロエラストマーとシリコーンゴムとの接着方法とその接合体 |
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