JP2015171871A - 電動パワーステアリング装置、プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】フィードバック制御の応答性に影響を受けることなく電動モータの構造に起因するトルクリップルを抑制することができる技術を提供する。【解決手段】車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータ110と、電動モータ110の電気角θを検出するレゾルバ120と、電動モータ110に供給する目標電流と電動モータ110に供給される実電流との偏差が零となるようにフィードバック制御を行うd軸減算部41d,q軸減算部41qおよびd軸PI制御部42d,q軸PI制御部42qと、レゾルバ120にて検出された検出電気角θを補正する電気角補正部38と、d軸減算部41d,q軸減算部41qおよびd軸PI制御部42d,q軸PI制御部42qにてフィードバック制御された値と電気角補正部38にて補正された補正後電気角θcとに基づいて電動モータ110に印加する印加電圧を決定する2軸3相変換部51とを備える。【選択図】図4
Description
本発明は、電動パワーステアリング装置およびプログラムに関する。
近年、電動パワーステアリング装置において、電動モータのトルクリップルを抑制する技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置は、以下のように構成されている。すなわち、トルクセンサ信号を用いて制御を行なうトルク系制御部と、モータの駆動に関連した制御を行なうモータ制御部とで構成されており、トルク系制御部にはアシスト量演算部、微分制御器、ヨーレート収れん性制御部、ロバスト安定化補償部、位相補償部及び加算器が設けられている。モータ制御部は、モータ出力の制御目標値である電流指令値とモータ電流値とに基づいて、制御系の出力基準における希望するモータ制御特性との差を演算してフィードバック制御するようになっている。そして、ロバスト安定化補償部と位相補償部で、トルクリップル感を抑制している。
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置は、以下のように構成されている。すなわち、トルクセンサ信号を用いて制御を行なうトルク系制御部と、モータの駆動に関連した制御を行なうモータ制御部とで構成されており、トルク系制御部にはアシスト量演算部、微分制御器、ヨーレート収れん性制御部、ロバスト安定化補償部、位相補償部及び加算器が設けられている。モータ制御部は、モータ出力の制御目標値である電流指令値とモータ電流値とに基づいて、制御系の出力基準における希望するモータ制御特性との差を演算してフィードバック制御するようになっている。そして、ロバスト安定化補償部と位相補償部で、トルクリップル感を抑制している。
フィードバック制御の前段で、電動モータの構造に起因するトルクリップルを抑制するために目標電流(電流指令値)を補正し、補正後の目標電流に対してフィードバック制御を行う構成において、モータ高出力領域の音・振動を抑制するためにフィードバック制御の応答性を低下させる場合がある。かかる場合、電動モータに供給される実電流が、フィードバック制御の前段で補正された補正後の目標電流の位相にリニアに追従できず、トルクリップルに起因する音・振動を低減しきれないおそれがある。
本発明は、フィードバック制御の応答性に影響を受けることなく電動モータの構造に起因するトルクリップルを抑制することができる電動パワーステアリング装置およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明は、フィードバック制御の応答性に影響を受けることなく電動モータの構造に起因するトルクリップルを抑制することができる電動パワーステアリング装置およびプログラムを提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明は、車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータと、前記電動モータの電気角を検出する検出手段と、前記電動モータに供給する目標電流と当該電動モータに供給される実電流との偏差が零となるようにフィードバック制御を行うフィードバック制御手段と、前記検出手段にて検出された検出電気角を補正する補正手段と、前記フィードバック制御手段にてフィードバック制御された値と前記補正手段にて補正された補正後電気角とに基づいて前記電動モータに印加する印加電圧を決定する決定手段と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
ここで、前記補正手段は、前記電動モータの回転速度に基づいて定めた補正量を用いて前記検出電気角を補正してもよい。
また、前記補正手段は、前記目標電流に基づいて定めた補正量を用いて前記検出電気角を補正してもよい。
また、前記補正手段は、前記目標電流に基づいて定めた補正量を用いて前記検出電気角を補正してもよい。
他の観点から捉えると、本発明は、コンピュータに、車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータの電気角を検出する機能と、前記電動モータに供給する目標電流と当該電動モータに供給された実電流との偏差が零となるようにフィードバック制御を行う機能と、前記検出する機能にて検出された検出電気角を補正する機能と、前記フィードバック制御を行う機能にてフィードバック制御された値と前記補正する機能にて補正された補正後電気角とに基づいて前記電動モータに印加する印加電圧を決定する機能と、を実現させるプログラムである。
本発明によれば、フィードバック制御の応答性に影響を受けることなく電動モータの構造に起因するトルクリップルを抑制することができる
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、乗り物の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車に適用した構成を例示している。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、乗り物の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車に適用した構成を例示している。
ステアリング装置100は、自動車の進行方向を変えるために運転者が操作する車輪(ホイール)状のステアリングホイール(ハンドル)101と、ステアリングホイール101に一体的に設けられたステアリングシャフト102とを備えている。また、ステアリング装置100は、ステアリングシャフト102と自在継手103aを介して連結された上部連結シャフト103と、この上部連結シャフト103と自在継手103bを介して連結された下部連結シャフト108とを備えている。下部連結シャフト108は、ステアリングホイール101の回転に連動して回転する。
また、ステアリング装置100は、転動輪としての左右の前輪150のそれぞれに連結されたタイロッド104と、タイロッド104に連結されたラック軸105とを備えている。また、ステアリング装置100は、ラック軸105に形成されたラック歯105aとともにラック・ピニオン機構を構成するピニオン106aを備えている。ピニオン106aは、ピニオンシャフト106の下端部に形成されている。これらラック軸105、ピニオンシャフト106などが、ステアリングホイール101の回転操作力を前輪150の転動力として伝達する伝達機構として機能する。ピニオンシャフト106は、前輪150を転動させるラック軸105に対して、回転することにより前輪150を転動させる駆動力を加える。
また、ステアリング装置100は、ピニオンシャフト106を収納するステアリングギヤボックス107を有している。ピニオンシャフト106は、ステアリングギヤボックス107内にてトーションバー112を介して下部連結シャフト108と連結されている。そして、ステアリングギヤボックス107の内部には、下部連結シャフト108とピニオンシャフト106との相対回転角度に基づいて、言い換えればトーションバー112の捩れ量に基づいて、ステアリングホイール101に加えられた操舵トルクTを検出するトルクセンサ109が設けられている。
また、ステアリング装置100は、ステアリングギヤボックス107に支持された電動モータ110と、電動モータ110の駆動力を減速してピニオンシャフト106に伝達する減速機構111とを有している。減速機構111は、例えば、ピニオンシャフト106に固定されたウォームホイール(不図示)と、電動モータ110の出力軸に固定されたウォームギヤ(不図示)などから構成される。電動モータ110は、ピニオンシャフト106に回転駆動力を加えることにより、ラック軸105に前輪150を転動させる駆動力を加える。本実施の形態に係る電動モータ110は、電動モータ110の電気角θを検出する検出手段の一例としてのレゾルバ120を有する3相ブラシレスモータである。
また、ステアリング装置100は、電動モータ110の作動を制御する制御装置10を備えている。制御装置10には、上述したトルクセンサ109、レゾルバ120からの出力信号が入力される。また、制御装置10には、自動車に搭載される各種の機器を制御するための信号を流す通信を行うネットワーク(CAN)を介して、自動車の移動速度である車速Vcを検出する車速センサ170などからの出力信号が入力される。
以上のように構成されたステアリング装置100は、トルクセンサ109が検出した検出トルクに基づいて電動モータ110を駆動し、電動モータ110の発生トルクをピニオンシャフト106に伝達する。これにより、電動モータ110の発生トルクが、ステアリングホイール101に加える運転者の操舵力をアシストする。
次に、制御装置10について説明する。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory)等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号v、レゾルバ120からの電動モータ110の電気角θに応じた出力信号である角度信号θs、などが入力される。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory)等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号v、レゾルバ120からの電動モータ110の電気角θに応じた出力信号である角度信号θs、などが入力される。
そして、制御装置10は、トルク信号Td、車速信号vなどに基づいて電動モータ110に供給する目標電流を算出(設定)する目標電流算出部20と、目標電流算出部20が算出した目標電流に基づいてフィードバック制御などを行う制御部30と、を備えている。
次に、目標電流算出部20について詳述する。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流を設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて目標電流を決定する目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルクセンサ109にて検出された操舵トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。
なお、目標電流算出部20には、トルク信号Td、車速信号v、電動モータ110のモータ回転速度Nmが出力信号に変換されたモータ回転速度信号Nmsなどが入力される。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流を設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて目標電流を決定する目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルクセンサ109にて検出された操舵トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。
なお、目標電流算出部20には、トルク信号Td、車速信号v、電動モータ110のモータ回転速度Nmが出力信号に変換されたモータ回転速度信号Nmsなどが入力される。
ベース電流算出部21は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Tsと、車速センサ170からの車速信号vとに基づいてベース電流Ibを算出する。ベース電流算出部21は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された操舵トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)とベース電流Ibとの対応を示す制御マップに、操舵トルクTおよび車速Vcを代入することによりベース電流Ibを算出する。
イナーシャ補償電流算出部22は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Ts、車速信号vに基づいてイナーシャ補償電流Isを算出する。イナーシャ補償電流算出部22は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された操舵トルクT(トルク信号Ts)および車速Vc(車速信号v)とイナーシャ補償電流Isとの対応を示す制御マップに、位相補償された操舵トルクTおよび車速Vcを代入することによりイナーシャ補償電流Isを算出する。
ダンパー補償電流算出部23は、位相補償部26にてトルク信号Tdが位相補償されたトルク信号Ts、車速信号v、モータ回転速度信号Nmsなどに基づいてダンパー補償電流Idを算出する。ダンパー補償電流算出部23は、例えば、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、位相補償された操舵トルクT(トルク信号Ts)、車速Vc(車速信号v)およびモータ回転速度Nm(モータ回転速度信号Nms)と、ダンパー補償電流Idとの対応を示す制御マップに、位相補償された操舵トルクT、車速Vcおよびモータ回転速度Nmを代入することによりダンパー補償電流Idを算出する。
目標電流決定部25は、ベース電流算出部21にて算出されたベース電流Ib、イナーシャ補償電流算出部22にて算出されたイナーシャ補償電流Isおよびダンパー補償電流算出部23にて算出されたダンパー補償電流Idに基づいて、d−q座標系のq軸目標電流Iqcを算出するq軸目標電流算出部251を有している。d−q座標系は、電動モータ110のロータ(永久磁石)と同期して回転するd軸およびq軸からなる回転直交座標系であり、d軸は、ロータが形成する磁束の方向に沿った軸であり、q軸は、電動モータ110が発生するトルクの方向に沿った軸である。
また、目標電流決定部25は、q軸目標電流算出部251が算出したq軸目標電流Iqcと、電動モータ110のモータ回転速度Nmとに基づいてd−q座標系のd軸目標電流Idcを算出する界磁電流算出部252を有している。q軸目標電流算出部251は、例えば、ベース電流Ibに、イナーシャ補償電流Isを加算するとともにダンパー補償電流Idを減算して得た補償電流を、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、補償電流とq軸目標電流Iqcとの対応を示すマップに代入することにより、q軸目標電流Iqcを算出する。
次に、制御部30について詳述する。
図4は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、を有している。また、制御部30は、電動モータ110に実際に流れる実電流に応じた値を出力するモータ電流検出部33と、このモータ電流検出部33によって検出された電流をd−q座標系の電流に変換する3相2軸変換部35と、を有している。また、制御部30は、レゾルバ120からの角度信号θsに基づいて電動モータ110の電気角θを算出する電気角算出部36と、電気角算出部36で算出された電気角θに基づいて電動モータ110の回転速度であるモータ回転速度Nmを算出するモータ回転速度算出部37と、を有している。また、制御部30は、電気角算出部36で算出された検出電気角の一例としての電気角θを補正して補正後の電気角θである補正後電気角θcを出力する補正手段の一例としての電気角補正部38を有している。
図4は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、電動モータ110の作動を制御するモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、を有している。また、制御部30は、電動モータ110に実際に流れる実電流に応じた値を出力するモータ電流検出部33と、このモータ電流検出部33によって検出された電流をd−q座標系の電流に変換する3相2軸変換部35と、を有している。また、制御部30は、レゾルバ120からの角度信号θsに基づいて電動モータ110の電気角θを算出する電気角算出部36と、電気角算出部36で算出された電気角θに基づいて電動モータ110の回転速度であるモータ回転速度Nmを算出するモータ回転速度算出部37と、を有している。また、制御部30は、電気角算出部36で算出された検出電気角の一例としての電気角θを補正して補正後の電気角θである補正後電気角θcを出力する補正手段の一例としての電気角補正部38を有している。
モータ駆動制御部31、モータ駆動部32および電気角補正部38は、後で詳述する。
モータ電流検出部33は、3相ブラシレスモータである電動モータ110のU相に実際に流れる電流であるU相実電流を検出するためのU相電流検出部と、電動モータ110のW相に実際に流れる電流であるW相実電流を検出するためのW相電流検出部と、を有している。U相電流検出部およびW相電流検出部は、それぞれ電動モータ110のU相、W相に接続されたいわゆるシャント抵抗の両端に生じる電圧から各相に流れる実電流の値を検出する。
モータ電流検出部33は、3相ブラシレスモータである電動モータ110のU相に実際に流れる電流であるU相実電流を検出するためのU相電流検出部と、電動モータ110のW相に実際に流れる電流であるW相実電流を検出するためのW相電流検出部と、を有している。U相電流検出部およびW相電流検出部は、それぞれ電動モータ110のU相、W相に接続されたいわゆるシャント抵抗の両端に生じる電圧から各相に流れる実電流の値を検出する。
3相2軸変換部35には、モータ電流検出部33にて検出されたU相実電流,W相実電流、および電気角算出部36にて算出された電気角θが入力される。そして、3相2軸変換部35は、予め定められた式に従って、U相実電流,W相実電流をd−q座標系の値であるd軸実電流Idaとq軸実電流Iqaとに変換し、変換したd軸実電流Ida,q軸実電流Iqaを出力する。
電気角算出部36は、電動モータ110に設けられたレゾルバ120からの角度信号θsに基づいて電気角θを算出する。
モータ回転速度算出部37は、電気角算出部36で算出された電気角θに基づいてモータ回転速度Nmを算出し、算出したモータ回転速度Nmが出力信号に変換されたモータ回転速度信号Nmsを出力する。
モータ回転速度算出部37は、電気角算出部36で算出された電気角θに基づいてモータ回転速度Nmを算出し、算出したモータ回転速度Nmが出力信号に変換されたモータ回転速度信号Nmsを出力する。
次に、モータ駆動制御部31およびモータ駆動部32について詳述する。
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20の目標電流決定部25にて算出されたd軸目標電流Idcから、3相2軸変換部35にて算出されたd軸実電流Idaを減算するd軸減算部41dと、目標電流決定部25にて算出されたq軸目標電流Iqcから、3相2軸変換部35にて算出されたq軸実電流Iqaを減算するq軸減算部41qとを有している。
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20の目標電流決定部25にて算出されたd軸目標電流Idcから、3相2軸変換部35にて算出されたd軸実電流Idaを減算するd軸減算部41dと、目標電流決定部25にて算出されたq軸目標電流Iqcから、3相2軸変換部35にて算出されたq軸実電流Iqaを減算するq軸減算部41qとを有している。
また、モータ駆動制御部31は、d軸減算部41dにて算出された偏差(Idc−Ida)に基づいてd軸目標電流Idcとd軸実電流Idaとが一致するようにPI(比例積分)制御を行い、d軸目標電圧Vdcを算出するd軸PI制御部42dと、q軸減算部41qにて算出された偏差(Iqc−Iqa)に基づいてq軸目標電流Iqcとq軸実電流Iqaとが一致するようにPI(比例積分)制御を行い、q軸目標電圧Vqcを算出するq軸PI制御部42qと、を有している。
d軸減算部41d,q軸減算部41qおよびd軸PI制御部42d,q軸PI制御部42qが、電動モータ110に供給する目標電流(d軸目標電流Idc,q軸目標電流Iqc)と電動モータ110に供給される実電流(d軸実電流Ida,q軸実電流Iqa)との偏差が零となるようにフィードバック制御を行うフィードバック制御手段の一例として機能する。
また、モータ駆動制御部31は、d軸PI制御部42dおよびq軸PI制御部42qにて算出されたd軸目標電圧Vdc,q軸目標電圧Vqcを、3相交流座標系のU相目標電圧VucとW相目標電圧Vwcとに変換する2軸3相変換部51と、2軸3相変換部51にて変換されたU相目標電圧VucとW相目標電圧VwcとからV相目標電圧Vvcを算出するV相目標電圧算出部52とを有している。
2軸3相変換部51は、予め定められた式および電気角補正部38から出力された補正後電気角θcに基づいて、d軸目標電圧Vdcおよびq軸目標電圧Vqcを、U相目標電圧VucおよびW相目標電圧Vwcに変換する。つまり、2軸3相変換部51は、d軸PI制御部42dおよびq軸PI制御部42qから出力された、言い換えればフィードバック制御手段にてフィードバック制御された値と、補正後電気角θcとに基づいて電動モータ110に印加する印加電圧を決定する決定手段の一例として機能する。
V相目標電圧算出部52は、零からU相目標電圧VucおよびW相目標電圧Vwcを減算することによりV相目標電圧Vvcを算出する。
V相目標電圧算出部52は、零からU相目標電圧VucおよびW相目標電圧Vwcを減算することによりV相目標電圧Vvcを算出する。
さらに、モータ駆動制御部31は、2軸3相変換部51およびV相目標電圧算出部52にて算出されたU相目標電圧Vuc,V相目標電圧Vvc,W相目標電圧Vwcに基づいて電動モータ110をPWM駆動するためのPWM(パルス幅変調)信号を生成し、生成したPWM信号を出力するPWM信号生成部60を有している。
次に、モータ駆動部32について詳述する。
モータ駆動部32は、所謂インバータであり、例えば、スイッチング素子として6個の独立したトランジスタ(FET)を備え、6個の内の3個のトランジスタは電源の正極側ラインと各相の電気コイルとの間に接続され、他の3個のトランジスタは各相の電気コイルと電源の負極側(アース)ラインと接続されている。そして、6個の中から選択した2個のトランジスタのゲートを駆動してこれらのトランジスタをスイッチング動作させることにより、電動モータ110の駆動を制御する。
モータ駆動部32は、所謂インバータであり、例えば、スイッチング素子として6個の独立したトランジスタ(FET)を備え、6個の内の3個のトランジスタは電源の正極側ラインと各相の電気コイルとの間に接続され、他の3個のトランジスタは各相の電気コイルと電源の負極側(アース)ラインと接続されている。そして、6個の中から選択した2個のトランジスタのゲートを駆動してこれらのトランジスタをスイッチング動作させることにより、電動モータ110の駆動を制御する。
次に、電気角補正部38について詳述する。
電動モータ110は、3相ブラシレスモータであるため、電動モータ110およびレゾルバ120の構造に起因するトルクリップル(以下、「構造起因トルクリップル」と称する場合がある)が発生する。例えば、電動モータ110の極数であるモータ極数が6個、スロット数であるモータスロット数が9個、レゾルバ120の極数であるレゾルバ極数が3個である場合、6と9の最小公倍数18をレゾルバ極数の3で除算した6次のトルクリップルが発生する。また、トルクリップルの振幅は、モータ回転速度Nmや、電動モータ110に流れる電流(実電流)の大きさに比例する。
電動モータ110は、3相ブラシレスモータであるため、電動モータ110およびレゾルバ120の構造に起因するトルクリップル(以下、「構造起因トルクリップル」と称する場合がある)が発生する。例えば、電動モータ110の極数であるモータ極数が6個、スロット数であるモータスロット数が9個、レゾルバ120の極数であるレゾルバ極数が3個である場合、6と9の最小公倍数18をレゾルバ極数の3で除算した6次のトルクリップルが発生する。また、トルクリップルの振幅は、モータ回転速度Nmや、電動モータ110に流れる電流(実電流)の大きさに比例する。
以上のことより、電動モータ110およびレゾルバ120の構造は予め決まっているので、あるモータ回転速度Nmおよびある実電流における構造起因トルクリップル(電気角θおよび振幅)を予め導き出すことは可能である。それゆえ、あるモータ回転速度Nmおよびある実電流における構造起因トルクリップルと逆位相のリップル(逆位相の電気角θおよび振幅)を予め導き出すことは可能である。
かかる事項に鑑み、本実施の形態に係る電気角補正部38は、先ず、電気角算出部36にて算出された電気角θに基づいて、あるモータ回転速度Nmおよびある実電流における構造起因トルクリップルと逆位相の電気角θおよび基準振幅を導き出す。そして、モータ回転速度算出部37が算出したモータ回転速度Nm、および実電流の基となる目標電流算出部20が設定したq軸目標電流Iqcに基づいて基準振幅を補正する。その後、電気角算出部36にて算出された電気角θに、これと逆位相の電気角θおよび補正後の振幅を持つ補正量を加算することで電気角θを補正し、補正後の電気角θである補正後電気角θcを出力する。
図5は、電気角補正部38の概略構成図である。
電気角補正部38は、補正量のベースとなるベース補正量を導出するベース補正量導出部381と、モータ回転速度Nmに基づいてベース補正量導出部381が導出したベース補正量を補正する第1補正係数K1を設定する第1補正係数設定部382と、q軸目標電流Iqcに基づいてベース補正量を補正する第2補正係数K2を設定する第2補正係数設定部383と、を有している。また、電気角補正部38は、ベース補正量導出部381が導出したベース補正量と、第1補正係数K1と、第2補正係数K2とに基づいて補正量を算出する補正量算出部384と、電気角算出部36で算出された電気角θと補正量算出部384が算出した補正量とを加算することにより補正後電気角θcを算出する加算部385と、を有している。
電気角補正部38は、補正量のベースとなるベース補正量を導出するベース補正量導出部381と、モータ回転速度Nmに基づいてベース補正量導出部381が導出したベース補正量を補正する第1補正係数K1を設定する第1補正係数設定部382と、q軸目標電流Iqcに基づいてベース補正量を補正する第2補正係数K2を設定する第2補正係数設定部383と、を有している。また、電気角補正部38は、ベース補正量導出部381が導出したベース補正量と、第1補正係数K1と、第2補正係数K2とに基づいて補正量を算出する補正量算出部384と、電気角算出部36で算出された電気角θと補正量算出部384が算出した補正量とを加算することにより補正後電気角θcを算出する加算部385と、を有している。
ベース補正量導出部381は、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた導出式と、電気角算出部36で算出された電気角θとを用いて、予め定められた所定モータ回転速度および予め定められた所定電流における構造起因トルクリップルと逆位相の電気角θおよび基準振幅から構成されるベース補正量を導出する。
図6は、第1補正係数K1とモータ回転速度Nmとの対応を示す制御マップの概略図である。
第1補正係数設定部382は、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、第1補正係数K1とモータ回転速度Nmとの対応を示す図6に例示した制御マップに、モータ回転速度Nmを代入することにより第1補正係数K1を算出する。
図6に例示した制御マップにおいては、電動モータ110に生じるトルクリップルの振幅はモータ回転速度Nmに比例して加減することに鑑み、モータ回転速度Nmが大きくなるに従って第1補正係数K1が大きくなるように作成されている。そして、モータ回転速度Nmが上述した所定モータ回転速度のときに第1補正係数K1が1となるように設定されている。
第1補正係数設定部382は、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、第1補正係数K1とモータ回転速度Nmとの対応を示す図6に例示した制御マップに、モータ回転速度Nmを代入することにより第1補正係数K1を算出する。
図6に例示した制御マップにおいては、電動モータ110に生じるトルクリップルの振幅はモータ回転速度Nmに比例して加減することに鑑み、モータ回転速度Nmが大きくなるに従って第1補正係数K1が大きくなるように作成されている。そして、モータ回転速度Nmが上述した所定モータ回転速度のときに第1補正係数K1が1となるように設定されている。
図7は、第2補正係数K2とq軸目標電流Iqcとの対応を示す制御マップの概略図である。
第2補正係数設定部383は、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、第2補正係数K2とq軸目標電流Iqcとの対応を示す図7に例示した制御マップに、q軸目標電流Iqcを代入することにより第2補正係数K2を算出する。
図7に例示した制御マップにおいては、電動モータ110に生じるトルクリップルの振幅はq軸目標電流Iqcに比例して加減することに鑑み、q軸目標電流Iqcが大きくなるに従って第2補正係数K2が大きくなるように作成されている。そして、q軸目標電流Iqcが上述した所定電流のときに第2補正係数K2が1となるように設定されている。
第2補正係数設定部383は、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた、第2補正係数K2とq軸目標電流Iqcとの対応を示す図7に例示した制御マップに、q軸目標電流Iqcを代入することにより第2補正係数K2を算出する。
図7に例示した制御マップにおいては、電動モータ110に生じるトルクリップルの振幅はq軸目標電流Iqcに比例して加減することに鑑み、q軸目標電流Iqcが大きくなるに従って第2補正係数K2が大きくなるように作成されている。そして、q軸目標電流Iqcが上述した所定電流のときに第2補正係数K2が1となるように設定されている。
補正量算出部384は、ベース補正量導出部381が導出したベース補正量と、第1補正係数設定部382が設定した第1補正係数K1と、第2補正係数設定部383が設定した第2補正係数K2とを乗算することにより補正量を算出する。
加算部385は、電気角算出部36で算出された電気角θと補正量算出部384が算出した補正量とを加算することにより補正後電気角θcを算出する。
加算部385は、電気角算出部36で算出された電気角θと補正量算出部384が算出した補正量とを加算することにより補正後電気角θcを算出する。
図8は、電気角算出部36にて算出された電気角θであり電気角補正部38にて補正される前の電気角θ(補正前電気角θ)と、補正量と、電気角補正部38にて補正後の補正後電気角θcとを示す図である。
以上のように構成された電気角補正部38は、構造起因トルクリップルを補正して、リップルが抑制された、図8に示した直線形状の補正後電気角θcを出力する。
以上のように構成された電気角補正部38は、構造起因トルクリップルを補正して、リップルが抑制された、図8に示した直線形状の補正後電気角θcを出力する。
そして、2軸3相変換部51は、電気角補正部38から出力された補正後電気角θcを用いて、d軸PI制御部42dおよびq軸PI制御部42qにて算出されたd軸目標電圧Vdcおよびq軸目標電圧Vqcを、U相目標電圧VucおよびW相目標電圧Vwcに変換する。また、V相目標電圧算出部52は、これらU相目標電圧VucおよびW相目標電圧Vwcに基づいてV相目標電圧Vvcを算出する。したがって、電動モータ110には、構造起因トルクリップルの影響が抑制された目標電圧に基づいた電流が供給されることになるのでトルクリップルが生じ難くなる。その結果、電動モータ110の構造に起因して生じる音や振動を抑制することができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る制御装置10においては、フィードバック制御を行う、d軸減算部41d,q軸減算部41qおよびd軸PI制御部42d,q軸PI制御部42qの後段にてU相目標電圧Vuc,W相目標電圧Vwcに変換する2軸3相変換部51が、これらの目標電圧に変換する際に補正後電気角θcを用いる。つまり、補正後電気角θcを用いてq軸目標電流Iqcを補正するなど、フィードバック制御の前段にて補正後電気角θcを用いるのではない。それゆえ、モータ高出力領域の音・振動を抑制するためにフィードバック制御の応答性を低下させたとしても、補正後電気角θcは影響されない。したがって、本実施の形態に係る制御装置10によれば、フィードバック制御の応答性に影響を受けることなく電動モータ110の構造に起因するトルクリップルを抑制することができる。
なお、上述した構成においては、電気角補正部38は、モータ回転速度Nmが所定の回転速度範囲内の場合のみ電気角算出部36にて算出された電気角θを補正してもよい。つまり、電気角補正部38は、モータ回転速度Nmが所定の回転速度範囲外である場合には電気角算出部36にて算出された電気角θをそのまま出力し、モータ回転速度Nmが所定の回転速度範囲内である場合には補正後電気角θcを出力するようにしてもよい。電動モータ110に生じる音や振動の対策をする必要があるモータ回転速度Nmの範囲は決まっているので、この範囲に限って補正することで、全範囲補正する場合よりも電気角補正部38の処理負荷を低減することができるからである。
<プログラムの説明>
また以上詳述した制御装置10が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、制御装置10に設けられた制御用コンピュータ内部の図示しないCPUが、制御装置10の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。
また以上詳述した制御装置10が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、制御装置10に設けられた制御用コンピュータ内部の図示しないCPUが、制御装置10の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。
よって制御装置10が行なう処理は、コンピュータに、車両のステアリングホイール101の操舵に対してアシスト力を付与する電動モータ110の電気角θを検出する機能と、電動モータ110に供給する目標電流と電動モータ110に供給された実電流との偏差が零となるようにフィードバック制御を行う機能と、検出する機能にて検出された検出電気角θを補正する機能と、フィードバック制御を行う機能にてフィードバック制御された値と補正する機能にて補正された補正後電気角θcとに基づいて電動モータ110に印加する印加電圧を決定する機能と、を実現させるプログラムとして捉えることもできる。
なお、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
10…制御装置、20…目標電流算出部、30…制御部、31…モータ駆動制御部、32…モータ駆動部、33…モータ電流検出部、38…電気角補正部、41d…d軸減算部、41q…q軸減算部、42d…d軸PI制御部、42q…q軸PI制御部、51…2軸3相変換部、100…電動パワーステアリング装置、110…電動モータ、120…レゾルバ
Claims (4)
- 車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータと、
前記電動モータの電気角を検出する検出手段と、
前記電動モータに供給する目標電流と当該電動モータに供給される実電流との偏差が零となるようにフィードバック制御を行うフィードバック制御手段と、
前記検出手段にて検出された検出電気角を補正する補正手段と、
前記フィードバック制御手段にてフィードバック制御された値と前記補正手段にて補正された補正後電気角とに基づいて前記電動モータに印加する印加電圧を決定する決定手段と、
を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記補正手段は、前記電動モータの回転速度に基づいて定めた補正量を用いて前記検出電気角を補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記補正手段は、前記目標電流に基づいて定めた補正量を用いて前記検出電気角を補正する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。 - コンピュータに、
車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータの電気角を検出する機能と、
前記電動モータに供給する目標電流と当該電動モータに供給された実電流との偏差が零となるようにフィードバック制御を行う機能と、
前記検出する機能にて検出された検出電気角を補正する機能と、
前記フィードバック制御を行う機能にてフィードバック制御された値と前記補正する機能にて補正された補正後電気角とに基づいて前記電動モータに印加する印加電圧を決定する機能と、
を実現させるプログラム。
Priority Applications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111713004A (zh) * | 2018-02-20 | 2020-09-25 | 日本电产株式会社 | 马达控制系统和助力转向系统 |
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- 2014-03-12 JP JP2014049147A patent/JP2015171871A/ja active Pending
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