JP2009044846A - モータ駆動制御装置及びモータ駆動制御装置を使用した電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ駆動制御装置及びモータ駆動制御装置を使用した電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】比較的簡単な構成で、トルクリップル及び騒音を所定値以下とすることができるモータ駆動制御装置を提供する。
【解決手段】相数が3以上の電動モータ8をベクトル制御部31でベクトル制御するモータ駆動制御装置であって、前記電動モータ8の電気角を検出する電気角検出手段及びモータ角速度を検出する角速度検出手段20とを有し、前記ベクトル制御部31は、前記角速度検出手段20で検出したモータ角速度とd軸電流とに基づいて進角度を演算する進角度演算部29と、該進角度演算部29で演算した進角度で前記電気角検出手段20で検出した電気角を補正する電気角補正部30と、該電気角補正部30で補正した電気角に基づいてベクトル制御を行う制御演算部21,23とを備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は、相数が3以上の電動モータをベクトル制御部でベクトル制御するモータ駆動制御装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置に関する。
従来、モータの駆動制御装置として、ブラシレスモータのモータ角度の検出遅れに起因する出力トルクの低下を防止するため、三相分相処理部で、モータ角度補正部による補正後のモータ角度を与えるようにし、モータ角度補正部はサンプリング部によって取得されるモータ角度に対してモータ角速度に応じた補正値を加算する補正を行うことにより、実際のモータ角度の変化にほぼ追従して変化するモータ角度を生成するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、回転数に応じた電流制御の応答遅れを考慮して進角度を算出し、この進角度を検出した電気角に加算して補正するようにした電動パワーステアリング装置の制御装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、近年、電動パワーステアリング装置の出力に対する要求はますます厳しくなっており、モータの高出力化、高効率化、高回転化の要求に対応するため、モータの誘起電圧に高調波を含ませる構造とし、そのモータを制御するにあたって、ベルトルク制御を基に各相電流指令値を算出し、電流フィードバック制御は各相個別に制御する疑似ベクトル制御を行うようにしたモータ駆動制御装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2004−336913号公報 特開2005−199735号公報 特開2006−158198号公報
しかしながら、一般的に電動モータを駆動するためには、各相に電圧を印加して各相コイルに電流による電機子起磁力を発生させ、回転子に取り付けられている永久磁石との引力・斥力を利用し回転子を回転させ駆動を行うが、電機子電流により発生する起磁力により、永久磁石より発生しているギャップ磁束が歪み、その結果誘起電圧が歪む現象が発生する。これを電機子反作用と言う。電機子反作用には直軸電機子反作用と横軸電機子反作用がある。
直軸電機子反作用はモータの回転子磁束ベクトルに対し電機子起磁力ベクトルが同軸方向に配置される場合に発生し、図15(a)に示すように、前記2つのベクトルが逆方向に配置される場合即ちd軸電流による電機子起磁力の影響は減磁作用(弱め界磁)が発生することになるが、直軸電機子反作用の影響では誘起電圧のベクトル位相はずれないため、誘起電圧に高調波が含有されていてもトルク変動の要因とはならない。
これに対し、横軸電機子反作用(交さ磁化作用)即ちq軸電流による電機子起磁力の影響は、図15(b)に示すように、モータの回転子磁束ベクトルに対し電機子起磁力ベクトルが直軸方向に配置される場合に発生し、特に力率=1の時には強く発生する。電機子電流により発生する電機子起磁力により永久磁石より発生する回転子磁束との合成磁束がq軸方向に歪むため、誘起電圧上で回転方向へ磁石が進角するように見える。誘起電圧及び相電流が正弦波である場合には位相ずれによるトルクリップルは発生しにくいが、誘起電圧及び相電流が矩形波または擬似矩形波(正弦波+高調波成分)である場合には、誘起電圧の位相ずれにより高調波成分にて発生するトルクリップルを抑制することができず、トルクリップルが発生する要因となる。
さらに、d軸電流とq軸電流による合成電機子起磁力の影響も、図15(c)に示すように、電機子電流により発生する電機子起磁力により永久磁石より発生する回転子磁束との合成磁束がq軸方向に歪むため、誘起電圧上で回転方向へ磁石が進角するように見えることになり、図15(b)と同様のトルクリップルが発生する要因となる。
したがって、q軸電流のみを電動モータに流す場合と、q軸電流とd軸電流とを電動モータに流す場合とで、合成磁束の位相が変化することよって、トルクリップルを抑えるための最適電流位相が変化してしまうことになる。ゆえに、q軸電流とd軸電流との双方を指令電流として用いて制御する場合に、q軸電流のみで制御する際のトルクリップル及び騒音所定値以下とする進角度(以下、適切進角度と称す)を用いた進角制御では、実電流が適切電流位相からずれてしまい、トルクリップルを発生し、騒音を発生してしまうという未解決の課題がある。
また、特に誘起電圧に高調波を含むような電動モータを制御する場合、流すべき相電流において、基本波成分と高調波成分とで必要な電流制御応答が異なる(高調波の方がより高い制御応答性を求められる)ため、基本波成分と高調波成分とで夫々、制御応答性を考慮した適切進角度が異なることになる。これを基本波成分の進角のみで補償する場合には、トルクリップル及び騒音を所定値以下にできるバランスの取れた進角度を適切進角度として設定する必要がある。
さらに、q軸電流のみで制御する場合と、q軸電流及びd軸電流で制御する場合とで、前述したようなトルクリップル及び騒音を所定値以下にできるバランスの取れた適切進角度が異なる場合がある。このとき、q軸電流のみのときに使用する適切進角度のテーブルだけでは、q軸電流に合わせてd軸電流を流して制御する際に、適切進角度を保つことはできず、トルクリップルが発生し、騒音を発生してしまうという未解決の課題がある。
そこで、本発明では、比較的簡単な構成で、特に高回転時にq軸電流に合わせてd軸電流を用いて電動モータを制御する場合でも、トルクリップル及び騒音を所定値以下とすることができるモータ駆動制御装置及びモータ駆動制御装置を使用した電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に係るモータ駆動制御装置は、相数が3以上の電動モータをベクトル制御部でベクトル制御するモータ駆動制御装置であって、前記電動モータの電動モータの電気角を検出する電気角検出手段及びモータ角速度を検出する角速度検出手段とを有し、前記ベクトル制御部は、前記角速度検出手段で検出したモータ角速度とd軸電流とに基づいて進角度を演算する進角度演算部と、該進角度演算部で演算した進角度で前記電気角検出手段で検出した電気角を補正する電気角補正部と、該電気角補正部で補正した電気角に基づいてベクトル制御を行う制御演算部とを備えていることを特徴としている。
また、請求項2に係るモータ駆動制御装置は、請求項1に係る発明において、前記ベクトル制御部は、電動モータのd−q軸電流指令値を生成する電流指令値生成部を有し、該電流指令値生成部で生成したd軸電流指令値を前記進角度演算部に供給するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項3に係るモータ駆動制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記進角度演算部は、d軸電流有り時のモータ角速度と進角度との関係を表す第1の記憶テーブルと、d軸電流無し時のモータ角速度と進角度との関係を表す第2の記憶テーブルとを備え、d軸電流の有無に応じて前記第1の記憶テーブル及び第2の記憶テーブルを選択するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係るモータ駆動制御装置は、請求項1又は2に係る発明において、前記進角度演算部は、d軸電流量に応じてモータ角速度と進角度との関係を表す記憶テーブルを変化させることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係るモータ駆動制御装置は、請求項2乃至4の何れか1つに係る発明において、前記記憶テーブルは、検出遅れと電流波形の基本波形に対する電流制御の応答遅れと電機子反作用による誘起電圧の位相ずれとを補償する値をもとに作成されていることを特徴としている。
また、請求項6に係るモータ駆動制御装置は、請求項2乃至4の何れか1つに係る発明において、前記記憶テーブルは、夫々のモータ角速度及びd軸電流において、モータトルクリップル及び騒音を所定値以下に抑制する値を設定して作成されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係るモータ駆動制御装置は、請求項1乃至6の何れか1つに係る発明において、前記電動モータの誘起電圧は、矩形波及び正弦波の何れか一方に高調波成分が勧誘されている疑似矩形波誘起電圧であることを特徴としている。
さらにまた、請求項8に係る電動パワーステアリング装置は、操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータを前記請求項1乃至7の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置で駆動制御するようにしたことを特徴としている。
本発明によれば、ベクトル制御部で使用する電動モータの電気角を進角度で補正する場合に、進角度演算部で、モータ角速度とd軸電流とに基づいて進角度を演算することにより、d軸電流量に応じた最適な進角度を設定することができ、この進角度で電気角を補正することにより、簡易な構成で、トルクリップル及び騒音を所定値以下に抑制することが可能なベクトル制御を行うことができるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す全体構成図であって、図中、1はステアリング機構であり、このステアリング機構1はステアリングホイール2が装着されたステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3のステアリングホイール2とは反対側に連結されたラックピニオン機構4と、このラックピニオン機構4にタイロッド等の連結機構5を介して連結された左右の転舵輪6とを備えている。
そして、ステアリングシャフト3には、減速機7を介して電動モータ8が連結されている。この電動モータ8は、例えば三相交流駆動されるスター(Y)結線されたブラシレスモータで構成され、電動パワーステアリング装置の操舵補助力を発生する操舵補助力発生用モータとして動作する。
そして、電動モータ8は車両に搭載されたバッテリ11から出力されるバッテリ電圧Vbがヒューズ12及びイグニッションスイッチ71を介して供給されるベクトル制御を行う制御装置13によって駆動制御される。
この制御装置13には、ステアリングシャフト3に配設された操舵トルク検出部としての操舵トルクセンサ16で検出されたステアリングホイール2に入力される操舵トルクTが入力されていると共に、電動モータ8に配設されたレゾルバなどのモータ角度検出器17で検出されたモータ回転角θmが入力され、さらに車速検出部としての車速センサ18で検出した車速検出値Vsが入力されると共に、モータ電流検出部19で検出した電動モータ8の各相電流Ima、Imb及びImcが入力されている。
ここで、操舵トルクセンサ16は、ステアリングホイール2に付与されてステアリングシャフト3に伝達された操舵トルクTを検出するもので、例えば、操舵トルクを図示しない入力軸及び出力軸間に介挿したトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を磁気信号で検出し、それを電気信号に変換するように構成されている。
制御装置13は、図2に示すように、モータ角度検出器17の検出信号に基づいて電気角θe及びモータ角速度ωmを演算する角速度換算部20と、操舵トルクセンサ16で検出した操舵トルクT及び車速センサ18で検出した車速Vsが入力されこれらに基づいて電動モータ8に対する電流指令値Irefを生成し、生成した電流指令値及びモータ角速度に基づいて電動モータ8のd−q軸座標系のd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを演算する電流指令値生成部21と、この電流指令値生成部21で生成したd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを後述する補正電気角θe′に基づいて2相/3相変換して各相電流指令値IAref、IBref及びICrefを算出する2相/3相変換部23と、この2相/3相変換部23から出力される相電流指令値IAref、IBref及びICrefとモータ電流検出部19で検出された各相電流Ima、Imb及びImcとに基づいて電動モータ8の駆動制御するモータフィードバック制御部24とを備えている。
角速度換算部20の一例としては、図3に示すように、モータ角度検出器17の出力信号が入力されてモータ回転角θmを検出するモータ回転角検出部20aと、このモータ回転角検出部20aで検出したモータ回転角θmに基づいて電気角θeを算出する電気角演算部20bと、モータ回転角検出部20aで算出したモータ回転角θmを微分してモータ角速度ωmを算出するモータ角速度演算部20cとを備えている。
電流指令値生成部21は、操舵トルクセンサ16から入力される操舵トルクTと車速検出値Vsとに基づいて図4に示す電流指令値Irefを算出する電流指令値算出用記憶テーブルを参照して電流指令値Irefを算出し、算出した電流指令値Iref及びモータ角速度ωmに基づいて電動モータ8のd−q軸座標系のd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを演算する。
ここで、電流指令値算出用記憶テーブルは、図4に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に電流指令値Irefをとると共に、車速Vsをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は電流指令値Irefが“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は電流指令値Irefが操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して電流指令値Irefが急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
そして、角速度換算部20から出力されるモータ角速度ωm及び電流指令値生成部21で生成されたd軸電流指令値Idrefが進角度演算部29に供給され、この進角度演算部29で演算された進角度θ0が角速度換算部20から出力される電気角θeが入力された電気角補正部としての加算器30に供給され、この加算器30の加算出力が2相/3相変換部23に入力される。
ここで、進角度演算部29は、モータ角速度ωmとd軸電流指令値Idrefが入力され、これらに基づいて図5に示すd軸電流指令値Idrefをパラメータとしてモータ角速度ωmと進角度θ0との関係を表す進角度算出用記憶テーブルを参照して最適な進角度θ0を算出する。進角度算出用記憶テーブルは、d軸電流指令値Idrefが零近傍の閾値以下であるときに選択する特性曲線L1で表される第1の進角度算出用記憶テーブルと、d軸電流指令値Idrefが上記閾値を超えているときに選択する特性曲線L2で表される第2の進角度算出用記憶テーブルとを有する。
この進角度算出用記憶テーブルの特性曲線L1及びL2は、検出遅れ、電流制御応答性の遅れ、及び電機子反作用による誘起電圧の位相ずれを考慮した値として設定することが望ましい。電機子反作用による誘起電圧の位相ずれを補償する値は、磁気解析により予め把握できれば、その値を基にした値として設定するようにしてもよい。さらには、予め電動モータ8のモータ角速度ωm及びd軸電流指令値Idrefを変位させたときに、トルクリップル及び騒音を所定値以下とすることが可能な進角度を求める実験により求めた値で設定するようにしてもよい。ここで、進角度算出用記憶テーブルの特性曲線L1及びL2は一例であって、特性曲線の形状や算出される最適な進角度θ0の値の大小は、電動モータの仕様及び採用する制御仕様に応じて変化するものである。
そして、電流指令値生成部21、2相/3相変換部23、進角度演算部29、加算器30でベクトル制御部31が構成され、このうち電流指令値生成部21及び2相/3相変換部23で制御演算部32が構成されている。
また、モータフィードバック制御部24は、2相/3相変換部23から出力される相電流指令値IAref、IBref及びICrefからモータ電流検出部19で検出した実相電流Ima、Imb及びImcを減算して電流偏差ΔIA、ΔIB及びΔICを算出する減算部25と、この減算部25から出力される電流偏差ΔIA、ΔIB及びΔICに基づいて比例積分制御を行って電圧指令値VAref、VBref及びVCrefを算出する電流制御部26と、この電流制御部26から出力される電圧指令値VAref、VBref及びVCrefに基づいてパルス幅変調(PWM)信号を形成するPWM制御部27と、図6に示すように、PWM制御部27から出力されるパルス幅変調信号によって6個の電界効果トランジスタQau〜Qcdのゲートが制御されて、2相/3相変換部23で変換された相電流指令値IAref、IBref及びICrefに応じた相電流Ima、Imb及びImcを電動モータ8に供給するインバータ回路28とを備えている。
ここで、PWM制御部27は、電流制御部26から出力される各相電圧指令値VAref、VBref及びVCrefに基づいて決定されるデューティ比Da、Db及びDcのPWM(パルス幅変調)信号によって後述するインバータ回路28の電界効果トランジスタQau〜QcdをON/OFFすることにより、実際に電動モータ8に流れる電流Ima、Imb及びImcの大きさが制御される。ここで、デューティ比Da、Db及びDcの大きさに伴って上アームを構成する電界効果トランジスタQau、Qbu及びQcuと下アームを構成する電界効果トランジスタQad、Qbd及びQcdは、夫々アームショートを避けるためのデッドタイムを持ってPWM駆動される。
さらに、インバータ回路28は、図6に示すように、2つの電界効果トランジスタQau及びQadが直列に接続された直列回路と、この直列回路と並列に接続された同様に2つの電界効果トランジスタQbu及びQbdの直列回路、電界効果トランジスタQcu及びQcdの直列回路とで構成されている。このインバータ回路28の電界効果トランジスタQau及びQadの接続点、電界効果トランジスタQbu及びQbdの接続点並びに電界効果トランジスタQcu及びQcdの接続点が電動モータ8のスター結線された各励磁コイルLa、Lb並びにLcに接続されている。さらにインバータ回路28の電界効果トランジスタQad、Qbd及びQcdと接地との間にモータ駆動電流Ima、Imb及びImcを検出するモータ電流検出部19が配設されている。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、図1及び図6に示すイグニッションスイッチ71をオン状態とすることにより、制御装置13にバッテリ11からの電源が投入されて、制御装置13での操舵補助制御処理が開始されると共に、図6に示すリレー72が通電状態となってインバータ回路28にバッテリ電圧Vbが供給されて電動モータ8を駆動可能な状態となる。
このとき、電流指令値生成部21では、操舵トルクセンサ16で検出した操舵トルクTを読込み、この操舵トルクTと車速センサ18から入力される車速Vsとに基づいて図4に示す電流指令値算出マップを参照して電流指令値Irefを算出し、算出した電流指令値Iref及びモータ角速度ωmに基づいて電動モータ8の誘起電圧波形を高調波成分を含まない正弦波とするd−q軸座標系のd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを算出する。
一方、角速度換算部20では、モータ回転角検出部20aでモータ回転角θmを検出し、検出したモータ回転角θmに基づいて電気角演算部20bで電気角θeを算出すると共に、モータ角速度演算部20cでモータ回転角θmを微分することによりモータ角速度ωmを算出する。
そして、電流指令値生成部21で生成したd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefが2相/3相変換部23に供給されて3相の相電流指令値IAref、IBref及びICrefを算出する。
このとき、電流指令値生成部21で生成されるd軸電流指令値Idrefが進角度演算部29に供給されるので、この進角度演算部29でd軸電流指令値Idrefの値が零近傍の閾値以下であるときには第1の進角度算出用記憶テーブルが選択され、d軸電流指令値Idrefの値が閾値を超えているときには第2の進角度算出用記憶テーブルが選択されて、モータ角速度ωmとd軸電流指令値Idrefとに応じた最適な進角度θ0が算出される。
そして、算出された進角度θ0が加算器30に供給されて角速度換算部20から出力される電気角θeに進角度θ0を加算して補正電気角θe′を算出するので、d軸電流指令値Idrefに応じた最適な値の補正電気角θe′を算出することができ、この補正電気角θe′を2相/3相変換部23に供給してd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを3相の電流指令値IAref、IBref及びICrefに変換する。
このため、得られる3相の電流指令値IAref、IBref及びICrefは、トルクリップル及び騒音の発生を抑制する電流指令値となり、これがモータフィードバック制御部24に供給される。
このモータフィードバック制御部24では、減算部25で、2相/3相変換部23から出力される相電流指令値IAref、IBref及びICrefからモータ電流検出部19で検出されたモータ駆動電流Ima、Imb及びImcが減算されて電流偏差ΔIA、ΔIB及びΔICが算出され、これら電流偏差ΔIA、ΔIB及びΔICが電流制御部26に供給されてこの電流制御部26で比例、積分処理を行って電圧指令値VAref、VBref及びVCrefを算出する。
そして、電流制御部26で算出された各相電圧指令値VAref、VBref及びVCrefがPWM制御部27に供給されることにより、このPWM制御部27で各相電圧指令値VAref、VBref及びVCrefに応じた6個のパルス幅変調(PWM)信号を形成し、これらパルス幅変調信号をインバータ回路28の各電界効果トランジスタQau〜Qcdに供給することにより、このインバータ回路28から電動モータ8に3相の駆動電流Ima〜Imcが供給されて電動モータ8が回転駆動され、ステアリングホイール2に加えられた操舵トルクT及び車速Vsに応じた操舵補助力を発生する。
この電動モータ8で発生された操舵補助力は、減速機7を介してステアリングシャフト3に伝達されることにより、ステアリングホイール2を軽い操舵力で操舵することができる。
このとき、車両が停車している状態でステアリングホイール2を操舵する所謂据え切り状態では、車速Vsが零であって、図4に示す電流指令値算出用記憶テーブルの特性線の勾配が大きいことにより、小さい操舵トルクTで大きな電流指令値Irefを算出するので、電動モータ8で大きな操舵補助力を発生して軽い操舵を行うことができる。
この車両の停車状態から車両を発進させて走行状態とし、この状態でステアリングホイール2を操舵する通常操舵状態では、車速の増加に応じて操舵補助トルクが小さくする必要がある。ステアリングホイール2に伝達される操舵トルクが操舵トルクセンサ16で検出されて制御装置13の電流指令値生成部21に入力される。図4に示すように、高い車速の記憶テーブルを参照することになるため、電流指令値Irefも小さい値となり、電動モータ8で発生される操舵補助トルクは据切り時の操舵補助トルクに比較して小さくなる。
このように上記第1の実施形態によると、高調波成分を含まない正弦波の誘起電圧波形をする電動モータ8をベクトル制御する場合に、d軸電流指令値Idref及びモータ角速度ωmを進角度演算部29に入力し、この進角度演算部29で、d軸電流指令値Idrefに応じて第1の進角度算出用記憶テーブル及び第2の進角度算出用記憶テーブルを選択するので、d軸電流指令値Idref及びモータ角速度ωmに応じた最適な進角度θ0を演算することができ、この進角度θ0で電気角θeを補正し、補正した電気角θeを2相/3相変換部23に供給して、d軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを3相の電流指令値IAref、IBref及びICrefに変換するので、d軸電流指令値Idrefを参照して進角度θ0を算出するだけの簡易な構成でトルクリップル及び騒音を所定値以下に抑制する電流指令値を算出することができる。この結果、良好な操舵補助制御性能を確保することができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図7及び図8について説明する。
この第2の実施形態では電動モータ8の誘起電圧波形に高調波を含むベクトル制御を行う場合にトルクリップル及び騒音を所定値以下に抑制するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図7に示すように、電流指令値生成部21が電流指令値Irefとこの電流指令値Iref及びモータ角速度ωmに基づいて算出されるd軸直流電流指令値IdDCとを出力するように構成されている。
ここで、d軸直流電流指令値IdDCは、先ず、モータ角速度ωm及び電流指令値Irefをもとに予めd軸電流が“0”である場合に電動モータ8が出力可能な最大のモータ角速度ωmと電流指令値Irefとの関係から設定された図8に示すd軸直流電流指令値有無判断テーブルを参照して、d軸直流電流指令値IdDCが必要であるか否かを判断する。
このd軸直流電流指令値有無判断テーブルは、図8に示すように、モータ角速度ωmが“0”から第1の所定値ωm1までの間では電流指令値Irefが最大値Irefmaxで一定値となり、モータ角速度ωmが第1の所定値ωm1を超えるとモータ角速度ωmの増加に応じて電流指令値Irefが減少し、モータ角速度ωmが第2の所定値ωm2に達すると電流指令値Irefが“0”となるように特性線L0が設定されている。
この図8において、横軸及び縦軸と特性線L0で囲まれるハッチング領域がd軸直流電流指令値IdDCを設定する必要がない領域即ちIdDC=0の領域となり、それ以外の領域がd軸直流電流指令値IdDCを設定する必要がある領域となる。
そして、この図8のd軸直流電流指令値有無判断テーブルに基づく判断結果がd軸直流電流指令値IdDCが必要であるときには、電流指令値Irefを基に、図9に示す電流指令値Irefとd軸直流電流指令値IdDCとの関係を表すd軸直流電流指令値算出用記憶テーブルを参照してd軸直流電流指令値IdDCを算出する。このd軸直流電流指令値算出用記憶テーブルは、図9に示すように、電流指令値Irefが“0”から所定値Iref1までの間ではd軸直流成分IdDCが一定値Id1をとり、電流指令値Irefが所定値Iref1を超えると、電流指令値Irefの増加に応じてd軸直流成分IdDCが一定値Id1より徐々に減少して電流指令値Irefが最大値Iref2に達するとd軸直流成分IdDCが“0”となるように特性線が設定されている。
また、電流指令値生成部21から出力される電流指令値Iref及びd軸直流電流指令値IdDCがd−q軸電流指令値生成部22に供給される。このd−q軸電流指令値生成部22は、図10に示すように、電流指令値Irefにモータトルク定数をKtとしたとき(2/3)Ktを乗算する演算器41と、後述する補正電気角θe′に基づいてωm/eq(θe′)を算出する演算器42と、同様に補正電気角θe′に基づいてed(θe′)/eq(θe′)を算出する演算器43と、演算器41の出力と演算器42の出力とを乗算する乗算器44と、演算器43の出力にd軸直流電流指令値IdDCをd軸電流指令値Idrefとして乗算する乗算器45と、乗算器44及び45の乗算出力を加算してq軸電流指令値Iqrefを算出する加算器46とを備えており、入力されるd軸直流電流指令値IdDCがd軸電流指令値Idrefとしてそのまま出力される。
d−q軸電流指令値生成部22で、演算器41〜43、乗算器44,45及び加算器46でq軸電流指令値Iqrefを算出できる理由は、電動モータ8のエネルギー一定式によるトルク一定式に基づいてq軸電流指令値Iqrefは、下記(1)で算出することができる。
Figure 2009044846
この(1)式で、右辺第1項のωm/eq(θe′)は、eq(θe′)の大きさがモータ角速度ωmの大きさに比例するため、正規化されてθe′の関数となり、右辺第2項のed(θe′)/eq(θe′)についても補正電気角θe′の関数であるので、これらωm/eq(θe′)及びed(θe′)/eq(θe′)を予めオフラインで演算して、関数算出テーブルとして演算器42及び43に実装することにより、補正電気角θe′に基づいてωm/eq(θe′)及びed(θe′)/eq(θe′)を算出することができる。
したがって、前記(1)式の右辺第1項を乗算器44で演算し、右辺第2項を乗算器45で演算し、乗算器44の出力から乗算器45の出力を減算器46で減算することにより、(1)式に従ってq軸電流指令値Iqrefを算出することができる。
一方、電流指令値生成部21から出力されるd軸直流電流指令値IdDCとモータ角速度ωmとが進角度演算部29に入力され、この進角度演算部29で前述した第1の実施形態におけるd軸電流指令値Idrefに代えてd軸直流電流指令値IdDCパラメータとする特性曲線L1及びL2を有する進角度算出用記憶テーブルを参照して進角度θ0を算出し、算出した進角度θ0を加算器30に供給して、角速度換算部20から出力される電気角θeを補正し、この加算器30から出力される補正電気角θe′がd−q軸電流指令値生成部22及び2相/3相変換部23に供給される。
この第2の実施形態によると、d−q軸電流指令値生成部22で、電流指令値生成部21から出力されるd軸直流電流指令値IdDCに基づいてd軸電流指令値Idrefを算出すると共に、電流指令値Iref、補正電気角θe′及びd軸電流指令値Idrefに基づいてq軸電流指令値Iqrefを算出する。このとき、補正電気角θe′に基づいて関数算出テーブルを参照してωm/eq(θe′)及びed(θe′)/eq(θe′)を算出するので、演算処理が容易となる。
そして、算出したd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを2相/3相変換部23に供給して3相の電流指令値IAref、IBref及びICrefを算出する。
この第2の実施形態でも、電流指令値生成部21から入力されるd軸直流電流指令値IdDCは、図8に示すように、電流指令値Irefが所定値Iref1以下であるときには比較的大きな所定値Id1に固定されるので、この状態では、進角度演算部29で第2の進角度算出用記憶テーブルが選択され、電流指令値Irefが所定値Iref1より増加して所定値Iref2の近傍となると、d軸直流電流指令値IdDCが零近傍の閾値以下となって進角度演算部29で第1の進角度算出用記憶テーブルが選択されることになり、電流指令値生成部21から入力されるd軸直流電流指令値IdDCに基づいて最適な進角度θ0を算出することができる。
そして、進角度演算部29で演算された進角度θ0が加算器30に入力されて、この進角度θ0で電気角θeを補正した補正電気角θe′を算出し、この補正電気角θe′をd−q軸電流指令値生成部22及び2相/3相変換部23に供給するので、前述した第1の実施形態と同様にトルクリップル及び騒音の発生を所定値以下に抑制することができる。
次に、本発明の第3の実施形態を図11〜図20について説明する。
この第3の実施形態では、電動モータの誘起電圧波形が高調波を含み且つ交流d軸制御を行う場合にトルクリップル及び騒音を所定値以下に抑制するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態においては、図11に示すように、前述した第2の実施形態における図7の構成において、電流指令値生成部21が、電流指令値Iref、d軸直流電流指令値IdDC及びd軸振幅指令値IdAMPを生成するように変更されていると共に、d−q軸電流指令値生成部22がd軸振幅指令値IdAMP及びエネルギ一定式によるトルク一定式に基づいてq軸電流指令値演算を行うように変更されている。
そして、電流指令値生成部21から出力されるd軸直流電流指令値IdDCとモータ角速度ωmとに基づいて進角度演算部29で前述した図5に示す記憶テーブルを参照して進角度θ0を算出し、算出した進角度θ0を加算器30に供給してこの加算器30で角速度換算部20から出力される電気角θeに進角度θ0を加算して補正電気角θe′を算出し、算出した補正電気角θe′をd−q軸電流指令値生成部22及び2相/3相変換部23に供給する。
ここで、電流指令値生成部21は、電流指令値Irefとこの電流指令値Iref及びモータ角速度ωmに基づいて算出されるd軸直流電流指令値IdDC及びd軸振幅指令値IdAMPとを出力するように構成されている。ここで、d軸直流電流指令値IdDCは、前述した第2の実施形態と同様に図8に示すd軸直流電流指令値算出用記憶テーブルを参照して算出する。
また、d軸振幅指令値IdAMPは、入力される電流指令値Irefをもとに図12に示すd軸振幅指令値算出用記憶テーブルを参照してd軸電流の振幅を決定するd軸振幅指令値IdAMPを算出する。ここで、d軸振幅指令値算出用記憶テーブルは、図12に示すように、特性線が設定されている。このd軸振幅指令値算出用記憶テーブルは、後述する(14)式における各変数を基本とし、各回転数においてモータ出力が最大となるようにシミュレーションしたときの電流指令値Irefとd軸振幅指令値IdAMPとの関係を特性線図としたものである。
また、d−q軸電流指令値生成部22が、図13に示すように構成されている。このd−q軸電流指令値生成部22は、電流指令値生成部21から出力される電流指令値Irefとd軸直流電流指令値IdDCとd軸振幅指令値IdAMPとが入力されて、補正電気角θe′及び後述するパラメータ設定部61から出力される歪みパラメータK1、K5、η1、η5に基づいてd軸及びq軸誘起電圧ed0E及びeq0Eを算出するd−q軸誘起電圧演算部51と、操舵補助電流指令値Iref、誘起電圧ed0E,eq0E及び後述するd軸電流指令値Idrefに基づいてq軸電流指令値Iqrefを演算するq軸電流指令値演算部52と、電流指令値Irefと誘起電圧ed0E及びeq0Eとd軸直流電流指令値IdDC及びd軸電流振幅指令値IdAMPとに基づいてd軸電流指令値Idrefを算出するd軸電流指令値演算部53とを備えている。
ここで、d−q軸誘起電圧演算部51では、d軸誘起電圧算出式及びq軸誘起電圧算出式を表す下記(2)及び(3)式の演算を行うことにより、誘起電圧の歪みを考慮したd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eを算出する。
d0E=edE/ωm=K11sin(η1)+K55sin(6θ+η5) …………(2)
q0E=eqE/ωm=K11cos(η1)+K55cos(6θ+η5) …………(3)
∵Ek:角速度1[rad/s]におけるk次高調波の無通電時の誘起電圧波高値(k=1,5)
k:k次高調波波高値歪みゲイン(k=1,5)
ηk:k次高調波歪み位相角(k=1,5)
aE=K11ωmsin(θ+η1)+K55ωmsin(5θ+η5)
bE=K11ωmsin(θ−(2/3)π+η1)+K55ωmsin(5(θ−(2/3)π)+η5)
cE=K11ωmsin(θ+(2/3)π+η1)+K55ωmsin(5(θ+(2/3)π)+η5)
dE=(2/3){eaEcosθ+ebEcos(θ−(2/3)π)+ecEcos(θ+(2/3)π)}
qE=(2/3){eaEsinθ+ebEsin(θ−(2/3)π)+ecEsin(θ+(2/3)π)}
これら(2)式及び(3)式では、誘起電圧の歪みの考慮の可否を区別するために添え字Eを付加している。そして、上記(2)式及び(3)式におけるパラメータK1、K5、η1、η5はd−q軸誘起電圧演算部51に含まれる例えばマイクロコンピュータで構成されるパラメータ設定部61によって設定される。このパラメータ設定部61には電流検出部19にて検出した電動モータ8の各電流検出値Iaref、Ibref及びIcrefを、3相/2相変換処理してd軸電流値Id及びq軸電流値Iqを算出する3相/2相変換部62からのd軸電流値Id及びq軸電流値Iqが入力され、後述するパラメータ設定処理を行ってパラメータK1、K5、η1、η5を設定する。
また、q軸電流指令値演算部52では、トルク一定式をもとにq軸電流指令値Iqrefを算出する。このトルク一定式とはモータのエネルギー方程式より算出された下記(4)式及び(5)式で表される関係式である。
mωm=KtIrefωm=IaaE+IbbE+IccE=(2/3)(IqqE+IddE)……(4)
qref={(2/3)KtIrefωm−edEIdref}/eqE
={(2/3)KtIref−ed0EIdref}/eq0E …………(5)
ここで、Tmはモータトルク、ωmはモータ機械角速度、Ktはモータトルク定数、Ia、Ib、Icは3相の各相電流値、eaE、ebE、ecEは各相誘起電圧、Id、Iqはd軸、q軸電流、edE、eqE、ed0E、eq0Eは下記(6)式及び(7)式で算出される歪みを考慮したd軸、q軸誘起電圧である。
d0E=edE/ωm …………(6)
q0E=eqE/ωm …………(7)
また、d軸電流指令値演算部53では、d−q軸誘起電圧演算部51から出力されるd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eと電流指令値生成部21から出力されるd軸直流電流指令値IdDC及びd軸電流振幅指令値idAMPに基づいて下記(8)式の演算を行ってd軸電流指令値Idrefを算出する。
d=IdDC−idAMP{iqccos(6θ)−iqssin(6θ)}…………(8)
この(8)式のIdDCは任意に決定できるパラメータであり、idAMP、iqc、iqsはモータ印加電圧の有効利用率を向上させるために決定されるパラメータである。
ここで、上記(8)式でd軸電流値Idを算出する理由は以下の通りである。
モータ印加電圧の有効利用率を最大にするためには、図14に示すように、横軸にd軸電圧Vdをとり、縦軸にq軸電圧Vqをとったときに、矢印Y0で表すd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの合成ベクトル|V|のベクトル軌跡が原点(0,0)を中心とする円C0上を移動させることが望ましいが、これを実現するのは計算が複雑で、解を求めるのは困難であるため、円条件に近い状態で電圧合成ベクトル|V|を略一定とするd軸電流値を求める。
このためには、説明を簡単にするために、d軸電流値Id及びq軸電流値Iqが互いに正の場合即ち回転方向が一方向となるようにした場合について説明すると、図14において、電圧合成ベクトル|V|と円C0との交点での接線(ベクトル|V|の法線Ln)上を推移するようにd軸電流値Id及びq軸電流値Iqを設定する。
このように、電圧合成ベクトル|V|が法線Ln上を移動するためには、図14に示すように、d軸電圧Vd(θ)とq軸電圧Vq(θ)とが正値を取る場合、180度位相がずれた逆位相とする必要があり、両者の振幅条件としては、図14における電圧合成ベクトル|V|を構成するd軸電圧Vdの直流成分VdDCとq軸電圧Vqの直流成分VqDCで構成されるハッチング図示の三角形T1と、法線Lnとd軸電圧Vdの交流成分VdACの振幅及びq軸電圧Vqの交流成分VqACの振幅で構成されるハッチング図示の三角形T2とが相似形であることから、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの直流制限と交流成分との比が下記(9)式で表される法線条件を満足する必要がある。
qAC/VdAC=√(Vqc 2+Vqs 2)/√(Vdc 2+Vds 2)=VdDC/VqDC………(9)
そして、トルク一定の条件からq軸電流値iq(θ)は前記(1)式で一意に決定されることから、円条件に近い状態に電圧構成ベクトル|V|を略一定とする条件を満足するようにd軸電流値id(θ)を設定する必要がある。
ところで、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqは、下記(10)式でd軸電流値id及びq軸電流値iqとモータ諸元である電気角速度ωe、モータ抵抗R、モータインダクタンスLに基づいて算出することができるが、前記(1)式を(10)式に代入してd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを求めても前記(11)式に微分項が含まれていると共に前記(1)式の分母にeqがあるため、q軸電流値iqには無限の高調波成分が含まれてしまい単純な形式では計算することができない。
Figure 2009044846
このため、d軸電圧Vd及びq軸電圧Vqを求めるために、q軸電流値iq(θ)の振動成分の中で、6次の高調波成分が支配的であることを利用すると、d軸電流値id(θ)及びq軸電流値id(θ)は下記(11)及び(12)式で近似することができる。
Figure 2009044846
ここで、上記(12)式は、前記(1)式をさらにテイラー展開し(直流+電気角θeの6倍の振動項)の形に近似している。
そして、d軸電流値id(θ)に対して、前述した逆位相の条件を満足するために、前記(12)式で定義されるd軸電流モデルの逆位相とする。すなわち、d軸電流値id(θ)は、前記(12)式を用いて、前述した(8)式の形で定義すれば、q軸電流値iq(θ)の逆位相成分を持つd軸電流値id(θ)として表現できる。
そして、前述した(10)式のd軸電流値id、q軸電流値iq、d軸誘起電圧ed0及びq軸誘起電圧eq0の全てが「直流+電気角(θ)の6倍の振動項」として近似できるので、これらを前記(10)式に代入することにより、d軸電圧Vd(θ)及びq軸電圧Vq(θ)は下記(13)式で近似することができる。
Figure 2009044846
ところで、前記(8)式における未決定の変数は、d軸電流値Id(θ)の振幅指令値idAMPのみである。前記(11)式のd軸電圧Vd及びq軸電圧Vqの振幅の関係式が法線を表す前記(9)式を満足するようにd軸電流値Id(θ)の振幅指令値idAMPを算出すると、例えば時計方向(CW)回転では、下記(14)式のようになり、これによって電圧構成ベクトルの絶対値が略一定値となり、電源電圧の√3/2倍の値を含む近傍値に一致するようにd軸電流値id(θ)の直流成分、振幅、位相を決定することができる。
Figure 2009044846
また、d−q軸誘起電圧演算部51では、d−q軸誘起電圧算出式に基づいて誘起電圧を算出する。ここで、誘起電圧の歪みを考慮しない場合には、d軸誘起電圧ed0及びq軸誘起電圧eq0を算出するd−q軸誘起電圧算出式は、下記(15)式及び(16)式で表される。
d0=ed/ωm=E5sin(6θ) …………(15)
q0=eq/ωm=E1−E5cos(6θ) ………(16)
∵Ek:角速度1[rad/s]におけるk次高調波の無通電時の誘起電圧波高値 (k=1,5)
a=E1ωmsinθ+E5ωmsin5θ
b=E1ωmsin(θ−(2/3)π)+E5ωmsin5(θ−(2/3)π)
c=E1ωmsin(θ+(2/3)π)+E5ωmsin5(θ+(2/3)π)
d=(2/3){eacosθ+ebcos(θ−(2/3)π)+eccos(θ+(2/3)π)}
q=(2/3){easinθ+ebsin(θ−(2/3)π)+ecsin(θ+(2/3)π)}
この(15)式及び(16)式は、誘起電圧に高調波が含まれた場合の式であり、その高調波次数kは、実際に7次以降が制御応答性の上限などの影響により制御が困難となる場合が多い。そのため、誘起電圧の高次成分は5次までとすることが多いため、5次までの記述としている。また、3次高調波は、トルクに変換されないため、上記(15)式及び(16)式では考慮しておらず、上記条件において十分な性能が得られることは、別途確認済みである。なお、誘起電圧が正弦波である場合はE5を零とすればよく、7次以上の高調波が含まれる場合でも同様の展開が可能である。
ところで、誘起電圧に歪みが発生すると前述した「発明が解決しようとする課題」の項で説明した横軸電機子反作用(交さ磁化作用)によるトルクリップルを生じることになる(これを要因Aとする)。また、ステータ磁化特性の非線形性によるトルクリップルがある。ステータの磁化特性が線形であれば通電による電機子起磁力は理想的な起磁力波形を発生できるが、実際にステータに使用される電磁鋼板の磁化特性は線形特性を持っていないため、高電流領域では理想的な電機子起磁力が発生できず、合成波形のピーク部が歪み、結果トルクリップルの発生及び高電流域でのトルクのへたりにつながる(これを要因Bとする)。
上記2つの要因A及びBは、発生メカニズムは異なるがモータ相電流に関連する誘起電圧の歪みとして捉えることが可能である。
このように、誘起電圧は電機子起磁力により歪みが発生してしまうため、上述した(15)式及び(16)式の誘起電圧ed0及びeq0を基に後述するようにq軸電流指令値演算部45で、トルク一定式より算出されたq軸電流指令値Iqrefを使用しても効果的にトルクリップルを抑制できない場合がある。
そこで、本実施形態では、相電流による誘起電圧の歪みを考慮し、各次数の波高値と位相が変化すると仮定し、前述した(2)式及び(3)式のようにd−q軸誘起電圧算出式を定義する。
上記(2)式及び(3)式で高調波波高値歪みゲインK1、K5及び高調波歪み位相角η1、η5は相電流値により決定する歪みパラメータであり、このパラメータをパラメータ設定部61で相電流毎に決定することで歪みを考慮したd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eを生成することが可能となる。
以下に本実施形態でのパラメータ設定部61で行う歪みパラメータの推定原理と推定方法とを説明する。
電動モータ82の通電状態での誘起電圧を直接測定することは非常に困難であるため、無通電状態の誘起電圧より上記歪みパラメータの推定を行う。
最初に(15)式及び(16)式の歪みを考慮しない誘起電圧にて制御系を構成し、実モータにて平均トルク及びトルクリップルの測定を行う。すなわち、(5)式のed0E、eq0Eを(15)式及び(16)式のed0、eq0に置き換え構成する。
トルクリップルは電気角θの6次成分6θが支配的であることが知見されていることにより、ある相電流時におけるモータトルクは下記(17)式のような近似式で表すことができる。
m=T0+T6ccos(6θ)+T6ssin(6θ) …………(17)
この(17)式において、右辺第一項T0は平均トルクで、右辺第二項のT6c及び第三項のT6sは、トルクリップル6次成分をcosとsinに分解した時の各振幅値である。上記3つのパラメータはトルクリップル測定の結果を高速フーリエ変換(FFT)することで求めることができる。
上記測定結果は誘起電圧の歪みを考慮しない誘起電圧での制御で測定したトルクリップル波形であり、前記(2)式、(3)式及び前記(17)式により下記(18)式が成立する。
m=(2/3)(eq0Eq+ed0Ed)=T0+T6ccos(6θ)+T6ssin(6θ)……(18)
ここで、q軸電流値Iqはトルク一定式によって算出されたq軸電流値Iqrefであるが、トルクを一定とするためのq軸電流算出式である前記(5)式の分母にq軸誘起電圧eq0が含まれIqの次数成分が無限となるため、このままでは歪みパラメータの解を求めることができない。
そこで、実際に使用されるq軸電流Iqは直流成分と電気角6次成分の振幅成分が支配的であることが実測により知見されているので、テーラー展開を利用し6次成分までの近似式として下記(19)式で算出する。
q=IqDC+iqccos(6θ)−iqssin(6θ) …………(19)
∵ IqDC=2Ktref/3E1
qc=(E5/E1)IqDC
qs=(E5/E1)IdDC
また、d軸電流Idは、前記(9)式で定義されている。
一方、上記(18)式、(19)式及び前記(8)式より平均トルクT0、cos振幅T6C、sin振幅T6Sは下式のように算出される。
0=(2/3)E1(IqDC1C+IdDC1S) …………(20)
6C=(2/3)E5(IqDC(K1C−K5C−idAMP1S)+IdDC5S)……(21)
6S=(2/3)E5(−IdDC(K1C−K5C−idAMP1S)+IqDC5S)…(22)
∵ K1S=K1sin(η1)
1C=K1cos(η1)
5S=K5sin(η5)
5C=K5cos(η5)
上式では、求める4つの歪みパラメータ(K1、K5、η1、η5)を新たな4つのパラメータ(K1S、K1C、K5S、K5C)に変換しており、この新たな4つのパラメータが推定できれば、求める歪みパラメータ全てを算出可能である。上記新たな4つのパラメータはq軸電流値Iq及びd軸電流値Idを各々変化させてトルクリップル測定を繰り返し行い、求められたデータよりq軸電流値及びd軸電流値と歪みパラメータとの関係として決定する。
そして、決定した歪みパラメータをパラメータ設定部61に設定し、d−q軸誘起電圧演算部51の算出式を、歪みを考慮した誘起電圧算出式(2)及び(3)式に変更し、実機にてトルクリップル測定を行い、測定結果を見ながらより効果的な値を最終的に決定する。この際、前述したd軸電流指令値Idrefを算出するために必要な値であるiqc、iqsの算出にも誘起電圧の情報が用いられているため、歪みを考慮した誘起電圧で下記(22)式及び(23)式のように再構築し、d軸電流振幅指令値idAMPの記憶テーブルについても再構築する。
qc=(K55/K1C 21)IqDC=(K1S551C 21)IdDC ……(22)
qs=(K55/K1C1)IdDC ……(23)
そして、決定した歪みパラメータK1、K5、η1及びη5をパラメータ設定部61に設定する。
次に、上記第3の実施形態の動作を説明する。
先ず、前述した決定手法にて決定した歪みパラメータをパラメータ設定部61に設定する。
この状態で、ステアリングホイール2を操舵すると、そのときの操舵トルクTが操舵トルクセンサ16で検出されると共に、車速Vが車速センサ18で検出される。そして、検出された操舵トルクT及び車速Vが電流指令値生成部21に入力されることにより、この電流指令値生成部21で、図4の電流指令値算出マップを参照して電流指令値Irefを算出すると共に、算出した電流指令値Irefに基づきマップを参照してd軸直流電流指令値IdDC及びd軸電流振幅指令値IdAMPを算出する。
そして、算出された電流指令値Irefがd軸電流指令値演算部53及びq軸電流指令値演算部52に供給される。
一方、モータ角度検出器17で検出されたモータ回転角θmが角速度換算部20に供給されて電気角θe及びモータ角速度ωmが算出される。
このとき、電流指令値生成部21で算出されたd軸直流電流指令値IdDC及び角速度換算部20で算出されたモータ角速度ωmが進角度演算部29に供給されて、図5に示す進角度算出用記憶テーブルを参照して進角度θ0が算出され、この進角度θ0が加算器30に供給されて電気角θeに加算されて補正電気角θe′が算出され、この補正電気角θe′がd−q軸電流指令値生成部22及び2相/3相変換部23に供給される。
このため、電流指令値生成部21で算出された電流指令値Iref、d軸直流電流指令値IdDC、d軸電流振幅指令値IdAMP及び補正電気角θe′がベクトル制御演算を行うd−q電流指令値生成部22に供給される。
一方、電流検出部19で検出されたIma、Imb及びImcが3相/2相変換部62にてd軸電流値Id及びq軸電流値Iqに変換されてd−q軸誘起電圧演算部51に含まれるパラメータ設定部61に入力され、入力されたd軸電流値Id及びq軸電流値Iqに従い歪みパラメータK1、K5、η1、η5を出力し、d−q軸誘起電圧演算部51は出力された歪みパラメータK1、K5、η1、η5及び電気角θに基づき歪みを考慮した誘起電圧であるd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eを算出し、これらをd軸電流指令値演算部53及びq軸電流指令値演算部52に供給する。
このため、d軸電流指令値演算部53では、操舵補助電流指令値Iref、d軸直流電流指令値IdDC及びd軸電流振幅指令値idAMPとd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eとに基づいて前述した(8)式の演算を行ってd軸電流指令値Idrefを算出する。
一方、q軸電流指令値演算部52では、d軸電流指令値Idref、操舵補助電流指令値Iref及び誘起電圧ed0E,eq0Eに基づいて前記(5)式の演算を行ってトルク変動を生じないq軸電流指令値Iqrefを算出する。
そして、d軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefが2相/3相変換部23に供給されることにより、3相電流指令値IAref、IBref及びICrefに変換されて、これら3相電流指令値IAref、IBref及びICrefが減算部25に供給されて、電流検出部19で検出されたIma、Imb及びImcを減算することにより、電流偏差ΔIA、ΔIB及びΔICが算出される。これら電流偏差ΔIA、ΔIB及びΔICが 電流制御部26でPI制御されて電圧指令値VAref、VBref及びVCrefに変換され、これら電圧指令値VAref、VBref及びVCrefに基づいてPWM制御部27で、パルス幅変調信号が形成され、これがインバータ回路28に供給されて3相電流が電動モータ8に供給されることにより、電動モータ8が駆動されて操舵補助電流指令値Irefに応じた操舵補助力を発生する。そして、電動モータ8で発生された操舵補助力が減速機7を介してステアリングシャフト3に伝達されて、ステアリングホイール2を軽い操舵力で操舵することができる。
このとき、前述したように、d−q軸電流指令値生成部22のd−q軸誘起電圧演算部51で、d軸電流値及びq軸電流値を利用してd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eを算出するので、電機子起磁力による誘起電圧の歪みを考慮したd軸誘起電圧ed0E及びq軸誘起電圧eq0Eを算出することができ、誘起電圧の歪みに対してもトルクリップルを効果的に抑制することができる。
また、パラメータ設定部61に供給するd軸電流値及びq軸電流値を、2相電流検出値から残りの1相電流検出値を推定し、3相/2相変換して算出するようにしているので、相電流検出部の数を減少させて製造コストを低減することができる。また、パラメータ設定部61に供給するd軸電流値及びq軸電流値については、電流検出値から求める代わりに、d軸電流値として図9で算出されるd軸直流電流指令値IdDCを、q軸電流値として操舵補助電流指令値Irefを夫々用いるようにしてもよい。
また、上記第3の実施形態のように、d軸電流指令値Idref(θe)を算出する際に使用するd軸振幅指令値IdAMPを振幅指令値算出用記憶テーブルを参照して算出することにより、前述した(13)式の複雑な演算を行うことなく、容易にd軸振幅指令値IdAMPを算出することができる。
そして、この第3の実施形態においても、前述した第2の実施形態と同様に、電流指令値生成部21から出力されるd軸直流電流指令値IdDCが進角度演算部29に供給され、この進角度演算部29でd直流電流指令値IdDC及びモータ角速度ωmに基づいて最適な進角度θ0が算出され、算出された進角度θ0で補正された補正電気角θe′がd−q軸電流指令値生成部22及び2相/3相変換部23に供給されるので、d−q軸電流指令値生成部22のd軸電流指令値演算部53及びq軸電流指令値演算部52でトルクリップル及び騒音を所定値以下に抑制するd軸電流指令値Idref(θe′)及びq軸電流指令値Iqref(θe′)を算出することができる。
なお、上記第1〜第3の実施形態においては、進角度算出用記憶テーブルがd軸電流の有無に応じた特性曲線L1及びL2で構成される第1の進角度算出用記憶テーブル及び第2の進角度算出用記憶テーブルで構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、d軸電流量に応じた3以上の進角度算出用記憶テーブルを設け、d軸電流値に応じた進角度算出用記憶テーブルを選択するようにしてもよい。この場合には、d軸電流量に応じたより最適な進角度θ0を算出することかできる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、モータ電流検出部19で電動モータ8のA〜C相のモータ電流Ima〜Imcを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、A〜C相におけるモータ電流のうちの2相分を検出し、残りの1相分を検出した2相分から推定するようにしてもよい。
さらに、上記第1〜第3の実施形態においては、モータ角速度ωmをモータ角度検出器17の回転角検出信号に基づいて算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動モータ8の端子電圧からモータ逆起電圧を推定し、推定したモータ逆起電圧に基づいてモータ角速度ωmを推定するようにしてもよい。
さらにまた、上記第1〜第3の実施形態においては、d−q軸電流指令値生成部22のq軸電流指令値算出部45で前述した(1)式におけるωm/eq(θe′)及びed(θe′)/eq(θe′)の関数テーブルを参照して算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、誘起電圧モデル算出部で高調波を含む台形状の矩形波(疑似矩形波)となる誘起電圧波形と補正電気角θe′に基づいて誘起電圧ea(θe′)、eb(θe′)及びec(θe′)を発生させ、これを3相/2相変換部で、補正電気角θe′に基づいて発生した誘起電圧ea〜ecをd軸誘起電圧ed(θe′)及びq軸誘起電圧eq(θe′)に変換し、これら誘起電圧ed(θe′),eq(θe′)、電流指令値Iref、モータ角速度ωm、d軸電流指令値Idrefに基づいて前記(1)式の演算を行ってq軸電流指令値Iqrefを算出するようにしてもよい。
さらに、上記第1〜第3の実施形態においては、本発明を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、電動ブレーキ装置、電動テレスコ装置、電動チルト装置や、車載機器以外の任意の機器に使用する電動モータの駆動制御に本発明を適用することができる。
本発明の第1の実施形態を示す概略構成図である。 第1の実施形態における制御装置の具体的構成を示すブロック図である。 図2のモータ角速度検出部の具体的構成を示すブロックである。 操舵補助電流指令値生成部で使用する操舵トルクと電流指令値との関係を表す電流指令値算出用記憶テーブルを示す説明図である。 進角度算出用記憶テーブルを示す特性線図である。 インバータ回路を示す回路図である。 本発明の第2の実施形態を示す制御装置の具体的構成を示すブロック図である。 電流指令値有無判断テーブルを示す特性線図である。 d軸直流電流指令値算出用記憶テーブルを示す特性線図である。 第2の実施形態におけるd−q軸電流指令値生成部の具体的構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施形態を示す制御装置の具体的構成を示すブロック図である。 d軸振幅指令値算出用記憶テーブルを示す特性線図である。 第3の実施形態におけるd−q軸電流指令値生成部の具体的構成を示すブロック図である。 第3の実施形態の基本原理の説明に供する波形図である。 電機子反作用の説明に供する説明図である。
符号の説明
1…ステアリング機構、2…ステアリングホイール、3…ステアリングシャフト、7…減速機、8…電動モータ、13…制御装置、16…操舵トルクセンサ、17…モータ角度検出器、18…車速センサ、19…モータ電流検出部、20…角速度演算部、21…電流指令値生成部、22…d−q軸電流指令値生成部、23…2相/3相変換部、24…モータフィードバック制御部、25…減算部、26…電流制御部、27…PWM制御部、28…インバータ回路、29…進角度演算部、30…加算器、41〜43…演算部、44,45…乗算器、46…加算器、51…d−q誘起電圧演算部、52…q軸電流指令値演算部、53…d軸電流指令値演算部、61…パラメータ設定部、62…3相/2相変換部

Claims (8)

  1. 相数が3以上の電動モータをベクトル制御部でベクトル制御するモータ駆動制御装置であって、
    前記電動モータの電気角を検出する電気角検出手段及びモータ角速度を検出する角速度検出手段とを有し、前記ベクトル制御部は、前記角速度検出手段で検出したモータ角速度とd軸電流とに基づいて進角度を演算する進角度演算部と、該進角度演算部で演算した進角度で前記電気角検出手段で検出した電気角を補正する電気角補正部と、該電気角補正部で補正した電気角に基づいてベクトル制御を行う制御演算部とを備えていることを特徴とするモータ駆動制御装置。
  2. 前記ベクトル制御部は、電動モータのd−q軸電流指令値を生成する電流指令値生成部を有し、該電流指令値生成部で生成したd軸電流指令値を前記進角度演算部に供給するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  3. 前記進角度演算部は、d軸電流有り時のモータ角速度と進角度との関係を表す第1の記憶テーブルと、d軸電流無し時のモータ角速度と進角度との関係を表す第2の記憶テーブルとを備え、d軸電流の有無に応じて前記第1の記憶テーブル及び第2の記憶テーブルを選択するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ駆動制御装置。
  4. 前記進角度演算部は、d軸電流量に応じてモータ角速度と進角度との関係を表す記憶テーブルを変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載のモータ駆動制御装置。
  5. 前記記憶テーブルは、検出遅れと電流波形の基本波形に対する電流制御の応答遅れと電機子反作用による誘起電圧の位相ずれとを補償する値をもとに作成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
  6. 前記記憶テーブルは、夫々のモータ角速度及びd軸電流において、モータトルクリップル及び騒音を所定値以下に抑制する値を設定して作成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
  7. 前記電動モータの誘起電圧は、矩形波、及び正弦波に高調波成分が含有されている疑似矩形波誘起電圧であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置。
  8. 操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータを前記請求項1乃至7の何れか1項に記載のモータ駆動制御装置で駆動制御するようにしたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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