JP2008220089A - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気飽和が生じると、回転機を流れる電流に基づき回転機の回転角度についての情報を取得することが困難なこと。
【解決手段】高周波電圧設定部40では、インバータ34の出力信号にd軸方向に振動する電圧信号vhdcとq軸方向に振動する電圧信号vhqcを重畳する。高周波電流検出部42では、この際に電動機10を実際に伝播する高周波信号としての電流信号ihα、ihβを抽出する。位置検出部44では、重畳する高周波信号vhdcと実際に伝播する高周波信号との2つの信号の位相差がゼロとなるように仮回転角度θ1を算出する。位置補正部46では、d軸方向に振動する電圧信号vhdcとq軸方向に振動する電圧信号vhqcとを重畳した際のそれぞれについての実際の伝播する高周波信号の振幅の乗算値と、想定される乗算値との差を縮めるように仮回転角度θ1を補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インバータのスイッチング素子を操作することで構造上突極性を有する回転機を駆動するに際し、前記回転機の電気的な状態量に基づき前記回転機の回転角度についての情報を取得する回転機の制御装置に関する。
この種の制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、突極性を有する3相電動機に対するインバータの出力信号の推定d軸方向に高周波信号を重畳し、このとき実際に伝播する周波数信号に基づき回転角度を算出するものも提案されている。すなわち、3相電動機のインダクタンスはd軸方向が最小であるため、q軸方向と比較してd軸方向には電流が流れやすい。このため、重畳される高周波信号の位相角にかかわらず、実際に伝播する電流信号はd軸方向に大きな値を有する信号となる。したがって、推定d軸方向に高周波信号を重畳した際に実際に伝播する周波数信号が推定d軸からずれているなら、推定d軸が実際のd軸と異なることがわかる。上記制御装置では、この点に着目し、実際に伝播する周波数信号と推定d軸との差を縮めるように推定d軸を補正することで、回転角度についての情報を取得することができる。
特開2004−254423号公報
ところで、電動機の出力するトルクが増大すると、3相電動機内において部分的な磁気飽和が生じることがある。これにより、インダクタンスが最小となるのがd軸方向から3相電動機の駆動のための電流のベクトル方向側へと変化する。更にはd軸方向とq軸方向とでインダクタンスの差がなくなることもある。こうした現象が生じると、上記制御装置では回転角度を適切に算出することができなくなる。特に近年、3相電動機の小型化、高トルク化の要求の高まりによって磁気飽和が生じやすくなってきているため、上記制御装置によっては回転角度を適切に算出することが益々困難なものとなってきている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回転機の電気的な状態量に基づき、回転機の回転角度についての情報をより適切に取得することのできる回転機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、前記取得される回転角度についての情報に基づき、前記回転機の電気角の回転周期とは異なる周期を有して且つd軸方向及びq軸方向にそれぞれ振動する2つの周波数信号を前記インバータの出力信号に重畳する重畳手段と、前記d軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振動方向に基づき前記回転機の仮の回転角度を算出する仮角度算出手段と、前記周波数信号の少なくともq軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号についての想定される振幅と実際の振幅との差を縮めるように前記仮の回転角度を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
上記発明では、回転機がその構造上、突極性を有するために、位相角によってインダクタンスが異なり、ひいては電流の流れやすさが異なる。このため、実際に伝播する周波数信号は、重畳した周波数信号の位相角にかかわらず電流の流れやすい方向に偏向したものとなる。上記仮角度算出手段は、この偏向態様に基づき、回転角度を算出する。
ただし、上記電流の流れやすさが回転機の構造上の性質に起因するとはいえ、回転機の磁気飽和が生じるときには、電流の流れやすい方向が変化する。このため、電流の流れやすい方向に基づき回転角度を高精度に算出することが困難となるおそれがある。
一方、インバータの出力信号に重畳された周波数信号によって回転機を実際に伝播する周波数信号の振幅は、回転角度に基づく回転機の駆動態様に応じて変化し得る。このため、実際に伝播する周波数信号の振幅が想定される振幅と相違するときには、駆動に際して回転角度として用いられた情報が実際の回転角度と相違すると考えられる。上記発明では、この点に着目し、少なくともq軸方向に周波数信号を重畳したときに実際に伝播する周波数信号の振幅と想定される振幅との差を縮めるように回転角度を補正する。このため、回転角度についての情報をより適切に取得することができる。
なお、回転機とは、電動機や発電機のことである。また、回転機を実際に伝播する周波数信号とは、インバータの出力信号に周波数信号を重畳すべく直接操作される電気的な状態量以外の状態量の検出値によって算出される周波数信号のこととする。すなわち、周波数信号を重畳すべくインバータの出力電圧(多相電動機の相電圧)を指令電圧に操作する場合、電圧以外の状態量(例えば電流)の検出値に基づき算出される周波数信号とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記重畳手段は、前記仮角度算出手段の算出する仮の回転角度に基づき前記周波数信号の重畳を行うことを特徴とする。
磁気飽和が生じているときには、電流の流れやすい方向が変化する。このため、補正手段によって補正された回転角度に基づき磁気飽和が生じていないとの前提でインダクタンスが最小となるd軸方向に(構造上インダクタンスが最小となる方向に)周波数信号を重畳したのでは、実際に伝播する周波数信号と重畳した周波数信号との位相角が相違することとなる。このため、仮角度算出手段は、補正手段によって補正される回転角度が正しいにもかかわらず、これを補正するように回転角度を算出することとなり、正確に回転角度を算出することができない。
ここで、上記発明では、仮角度算出手段によって算出される回転角度に基づき周波数信号の重畳を行う。これにより、仮角度算出手段が磁気飽和にかかわらずインダクタンスが最小となる方向をd軸方向とするように仮の回転角度を算出するなら、重畳される周波数信号と実際に伝播する周波数信号との位相角を一致させることができる。そして、補正手段では、磁気飽和の有無にかかわらず、仮角度算出手段によって算出される回転角度の誤差を補正するため、回転角度を高精度に算出することができる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記補正手段は、前記d軸方向及び前記q軸方向への重畳によって実際に伝播する各周波数信号についての想定される振幅の乗算値である目標値と実際の乗算値との差を縮めるように前記補正を行うことを特徴とする。
d軸方向やq軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅よりも、これら振幅の乗算値の方が、回転角度に基づく回転機の駆動の態様の変化に応じた変化が顕著である。このため、回転角度に誤差がある場合、上記いずれかの振幅が想定される振幅からずれるずれ度合いよりも、実際の乗算値がその目標値からずれるずれ度合いの方が大きくなる。このため、上記発明によれば、実際の乗算値と目標値とのずれを用いることで、角度誤差を高精度に検出することができる。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記補正手段は、前記実際の乗算値と前記目標値との差がゼロとなるように前記補正を行うことを特徴とする。
駆動に用いる回転角度が正しい値となっているなら、上記実際の乗算値と目標値とは一致すると考えられる。この点、上記発明では、実際の乗算値を目標値と一致させることで、回転角度を高精度に算出することができる。
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記補正手段は、前記実際の乗算値を前記目標値で除算した値が略「1」となるように前記補正を行うことを特徴とする。
回転機の都度の運転状態に応じて目標値が変化するため、実際の乗算値と目標値とのずれ量は、回転角度誤差のみならず、回転機の都度の運転状態に依存する。このため、実際の乗算値と目標値との差に基づきこれをゼロとするように制御する場合には、回転角度を真の値に制御する際のゲインが回転機の都度の運転状態に依存して変動するおそれがある。これに対し、実際の乗算値を目標値にて除算した除算値は、回転機の都度の運転状態にかかわらず回転角度の誤差がないときに「1」となる。このため、回転角度の誤差を、除算値と「1」との離間度合いとして定量化することができ、しかも、この離間度合いは、回転機の都度の運転状態による依存性が好適に抑制されたものとなる。このため、上記発明では、回転角度を真の値に制御する際のゲインの変動を極力抑制又は回避することができる。
請求項6記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記補正手段は、前記d軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅による前記q軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅の実際の除算値が前記想定される振幅の除算値である目標値となるように前記補正を行うことを特徴とする。
回転角度に誤差がないなら、d軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅と、q軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅との双方ともに、想定される値と一致すると考えられる。このため、回転角度に誤差がないなら、d軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅によるq軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅の除算値についても想定される振幅の比によって定まる目標値と一致すると考えられる。上記発明では、この点に着目し、仮の回転角度を補正することができる。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記重畳手段は、前記d軸方向の周波数信号の振幅と前記q軸方向の周波数信号の振幅とを互いに等しく設定するものであり、前記目標値を「0」より大きく「1」未満の値に設定する。
回転機にあってはその突極性が消失することがある。そしてこの場合には、回転機のインダクタンスの大きさが全ての方向において均一化される。このため、d軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅とq軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅とが等しくなり、仮角度算出手段による仮の回転角度の算出ができなくなる。
ここで、上記発明では、「1」未満の目標値に基づき算出される回転角度を用いることで、d軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅とq軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅とが等しくならないように回転機が制御されるようになる。このため、突極性が消失する運転状態となることを回避することができる。
請求項8記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記補正手段は、前記q軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号として想定される振幅である目標値と実際の振幅との差がゼロとなるように前記補正を行うことを特徴とする。
回転角度に誤差がないなら、q軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅が想定される値と一致すると考えられる。上記発明では、この点に着目し、q軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅と目標値との差をゼロとするように仮の回転角度を補正することで、回転角度を高精度に算出することができる。
請求項9記載の発明は、請求項3〜8のいずれかに記載の発明において、前記目標値は、前記回転機のトルク及びその相当量に基づき設定されてなることを特徴とする。
実際に伝播する周波数信号の振幅は、回転機のトルクに応じて変化する。この点、上記発明では、このトルク及びトルク相当量に基づき、想定される振幅によって定まる目標値を適切に設定することができる。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明において、前記目標値は、前記回転機のトルク及びその相当量のいずれかに加えて、前記回転機の駆動のための電流の位相角及び前記回転機の回転速度の少なくとも一方に基づき設定されてなることを特徴とする。
実際に伝播する周波数信号の振幅は、大きくは回転機のトルクに応じて変化するものの、トルクによっては一義的に定まらず、駆動のための電流の位相角や回転速度に依存する。この点、上記発明では、これらを加味することで、目標値をより高精度に定めることができる。
なお、振幅は、駆動のために実際に流れる電流に依存するものではあるが、駆動のための指令電流も駆動のために実際に流れる電流と相関を有するため、駆動のための電流には、駆動のための指令電流も含まれるものとする。
なお、請求項1〜10のいずれかに記載の発明は、請求項11記載の発明によるように、前記仮角度算出手段は、前記実際に伝播する周波数信号と前記重畳手段による周波数信号との2つのベクトル信号に基づき、角度誤差と相関を有するパラメータである角度誤差相関量を算出する手段と、該角度誤差相関量に基づき前記回転機の回転速度を算出する手段と、該算出される回転速度の積分値に基づき前記仮の回転角度を算出する手段とを備えることを特徴としてもよい。
請求項12記載の発明は、前記取得される回転角度についての情報に基づき、前記回転機の電気角の回転周期とは異なる周期を有して且つ任意の位相角方向に振動する周波数信号を前記インバータの出力信号に重畳する重畳手段と、前記重畳によって前記回転機を実際に伝播する周波数信号と前記重畳した周波数信号との2つのベクトル信号の外積値が前記磁気飽和の度合いに応じて設定される所定値となるように前記回転角度を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
重畳によって実際に伝播する周波数信号と重畳した周波数信号との2つのベクトル信号の外積値は、これらベクトル信号の角度差と相関を有するパラメータである。ここで、実際に伝播する周波数信号であるベクトル信号は、重畳した周波数信号であるベクトル信号に対して、回転機のインダクタンスが最小となる方向に偏向したものとなる。そして、回転機のインダクタンスが最小となる方向は、回転機の磁気飽和度合いに応じて変化する。このため、回転角度が正しく算出されているときであっても、上記外積値は、磁気飽和度合いに応じて変化する。
ここで、上記発明では、磁気飽和度合いに応じて外積値が取るであろう所定値を設定し、外積値が所定値となるように回転角度を算出する。このため、外積値が所定値となるときには、回転角度は正しく算出されていると考えられる。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記算出手段は、前記所定値を、前記回転機のトルク若しくは前記回転機を流れる電流又はそれらの指令値に応じて可変設定することを特徴とする。
回転角度が正しく算出されているときの上記外積値は、回転機のトルクに応じて変化する。一方、回転機を流れる電流によって回転機のトルクが定まる。この点、上記発明では、回転機のトルクやトルクと相関を有するパラメータを用いることで、回転角度が正しく算出されているときに想定される外積値として上記所定値を適切に設定することができる。
なお、請求項12又は13記載の発明は、請求項14記載の発明によるように、前記算出手段は、前記外積値及び前記所定値に基づき前記回転機の回転速度を算出する手段と、該算出される回転速度の積分値に基づき回転角度を算出する手段とを備えることを特徴とするようにしてもよい。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる回転機の制御装置をハイブリッド車に搭載される3相電動機の制御装置に適用した第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかる制御システムの全体構成を示す。
図示される電動機10は、埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)である。すなわち、図2に示すように、電動機10のロータ10aは、鉄のボディに永久磁石が埋め込まれて構成されている。
先の図1に示すαβ変換部20は、電動機10を実際に流れる電流のうちのU相の実電流iu及びV相の実電流ivに基づき、電動機10を流れる電流を、静止座標系の電流、すなわちα軸及びβ軸の電流ベクトル成分に変換する部分である。ここでは、例えば、U相をα軸と同位相角とし、これと直交するようにβ軸を定める。
dq変換部22は、α軸上の実電流iα及びβ軸上の実電流iβを、回転座標系の電流、すなわちd軸上の実電流id及びq軸上の実電流iqに変換する部分である。この変換に際しては、電動機10の出力軸の回転角度θを用いる。より正確には、回転角度θは、電気角であり、α軸を基準としたd軸正方向の回転角度である。この際、ローパスフィルタにより、上記αβ変換部20の出力から後述する高周波成分を除去する処理をも行なう。このため、dq変換部22は、電動機10を実際に流れる電流のうち、駆動に使用されるd軸成分及びq軸成分の電流を抽出することとなる。
指令電流設定部24は、電動機10に対する要求トルクTdに基づき、d軸上での指令電流idc及びq軸上での指令電流iqcを設定する部分である。
指令電圧設定部26は、指令電流idc及び指令電流iqc並びに実電流id及び実電流iqに基づき、d軸上での指令電圧vdc及びq軸上での指令電圧vqcを算出する部分である。この変換は、基本的には、d軸上での実電流idの指令電流idcへのフィードバック制御、及びq軸上での実電流iqの指令電流iqcへのフィードバック制御によって行われる。このフィードバック制御は、例えば比例積分制御とすればよい。また、本実施形態では、周知の非干渉化制御を併用する。すなわち、本実施形態では、フィードバック制御及び非干渉化制御によって、指令電圧vdc、vqcを設定する。なお、非干渉化制御に際しては、回転速度ωを用いる。
αβ変換部27では、d軸上での指令電圧vdc及びq軸上での指令電圧vqcを、α軸上での指令電圧vαcとβ軸上での指令電圧vβcとに変換する。この変換に際しては、回転角度θが用いられる。
3相変換部28は、α軸上の指令電圧vαcに応じた加算器30aの出力と、β軸上の指令電圧vβcに応じた加算器30bの出力とを、u相の指令電圧vuc、v相の指令電圧vvc、及びw相の指令電圧vwcに変換する部分である。
PWM信号生成部32では、指令電圧vuc、vvc,vwcの電圧を電動機10に印加するためのインバータ34の操作信号を生成する部分である。これにより、インバータ34のスイッチング素子SWが操作され、高圧バッテリ36の電圧が電動機10に印加されるようになる。
次に、本実施形態にかかる電動機10の回転角度θの取得にかかる処理について説明する。
本実施形態では、電動機10を駆動する際、電動機10の電気角の回転周期よりも短い周期の高周波信号をインバータ34の出力に重畳する。換言すれば、上記指令電流idc,iqcに応じて実際に電動機10を流れる電流の周期よりも短い周期の高周波信号を重畳する。そして、これにより電動機10を実際に伝播する高周波信号に基づき、電動機10の回転角度θを算出する。これは、電動機10が突極性を有することに鑑みてなされるものである。
すなわち、電動機10は、その構造上、突極性を有するために、d軸方向のインダクタンスが最小であり、q軸方向のインダクタンスが最大となっている。したがって、q軸方向よりもd軸方向の方が電流が流れやすいために、上記高周波信号を重畳する際、電動機10を実際に伝播する高周波信号は、d軸方向に偏向する。具体的には、図3(a)に示すように、推定されるd軸(推定d軸)が実際のd軸(実d軸)に対して進角している場合には、推定d軸方向に高周波信号(図中、1点鎖線)を重畳する際、実際に伝播する高周波信号の方向(図中、実線)は、実d軸側に偏向するために、推定d軸に対して遅角側にずれる。また、図3(b)に示すように、推定d軸と実d軸とが一致する場合には、推定d軸方向に高周波信号(図中、1点鎖線)を重畳する際、実際に伝播する高周波信号の方向(図中、実線)は、推定d軸と一致する。更に、図3(c)に示すように、推定d軸が実d軸に対して遅角している場合には、推定d軸方向に高周波信号(図中、1点鎖線)を重畳する際、実際に伝播する高周波信号の方向(図中、実線)は、実d軸側に偏向するために、推定d軸に対して進角側にずれる。
上記性質を利用すれば、d軸を推定算出することができ、ひいては回転角度θを算出することができる。すなわち、実際に高周波信号が伝播する方向を推定d軸方向としつつ高周波信号の重畳を繰り返すことで、重畳する高周波信号の位相角を実際に伝播する高周波信号の位相角に一致させることができ、ひいては、推定d軸を実d軸と一致させることができる。
具体的には、先の図1に示すように、高周波電圧設定部40では、d軸方向の高周波信号としての電圧信号vhdcを、αβ変換部41に出力する。αβ変換部41では、電圧信号vhdcを、α軸上の電圧信号vhαcとβ軸上の電圧信号vhβcとに変換し、上記加算器30a,30bに出力する。このため、3相変換部28には、指令電圧vαc,vβcに電圧信号vhdcが重畳された信号が入力されることとなる。一方、高周波電流検出部42は、α軸上の実電流iαとβ軸上の実電流iβとの高周波成分のみを抽出する。すなわち、電動機10に実際に伝播する高周波信号としてのα軸上の電流信号ihαとβ軸上の電流信号ihβとを生成し出力する。位置検出部44は、上記αβ変換部41の出力する電圧信号vhαc,vhβcと高周波電流検出部42の出力する電流信号ihα,ihβとの位相角の差を低減するように仮回転角度θ1を算出する。図4に、位置検出部44の構成を示す。
図示されるように、外積値算出部44bは、α軸及びβ軸上での成分に基づき、電圧信号vhdcのベクトル信号(電圧信号vhαc,vhβc)と電流信号ihα,ihβのベクトル信号との外積の値を算出する。この外積値は、電圧信号vhdcと、これを重畳したときに電動機10を実際に伝播する電流信号ihdとの位相角の差と相関を有するパラメータである。このため、この外積をゼロとすることができれば、高周波電圧設定部40の出力する電圧信号vhdcを、インダクタンスが最小の方向に重畳することができると考えられる。本実施形態では、PI制御部44cによって外積値算出部44bの出力に基づく比例項及び積分項の和を算出し、これを仮回転角度θ1として出力する。そして、αβ変換部41では、仮回転角度θ1に基づき、αβ変換を行う。これにより、電圧信号vhdcは、インダクタンスが最小となると想定される方向に重畳される。そして、電圧信号vhdcの重畳方向が実際にインダクタンスが最小となる方向となるなら、上記外積値がゼロとなると考えられる。
ところで、電動機10の出力トルクが増大すると、電動機10における電流の流通態様によっては部分的に磁気飽和が生じることがある。以下、図5に基づきこれについて説明する。図5(b)及び図5(c)は、図5(a)に示すように振幅を一定としつつあらゆる方向に高周波信号を重畳したときに実際に伝播する高周波信号を示している。すなわち、図5(b)は、電動機10の駆動用の電流ベクトル(指令電流idc,iqc)がq軸上の電流ベクトルとなったとき、インダクタンスが最小となる方向がd軸方向から上記駆動用電流ベクトル方向側にずれる現象が生じる例を示している。この場合、高周波信号の重畳によって電動機10を実際に伝播するベクトル信号が駆動用の電流ベクトル側に偏向する。また、図5(c)は、電動機10の駆動用の電流ベクトル(指令電流idc,iqc)がq軸上の電流ベクトルとなったとき、インダクタンスがどの方向でも同一となる現象が生じる例を示している。ここで、図5(c)に示す現象よりも図5(b)に示す現象の方が、出力トルクが大きい領域で生じる傾向にある。
図5(b)に示す現象が生じると、仮回転角度θ1をd軸方向とすることはできない。また、図5(c)に示す現象が生じると、インダクタンスの差を利用した回転角度の検出手法自体が無力化する。ここで、本実施形態において、図5(b)に示した現象に対処する手法について説明する。
図6に、駆動用の実際の電流ベクトルの位相角と、d軸方向及びq軸方向に高周波信号を重畳したときの電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅及びこれらの乗算値との関係を示す。詳しくは、1点鎖線にて、d軸方向に高周波信号を重畳したときの電動機10を実際に伝播する高周波信号ihdの振幅を示し、2点鎖線にて、q軸方向に高周波信号を重畳したときの電動機10を実際に伝播する高周波信号ihqの振幅を示し、実線にて、これら2つの振幅の乗算値を示す。なお、高周波信号の振幅を、本実施形態では、αβ軸上での高周波信号ベクトルの長さとによって表現するが、これに限らず、例えばdq軸上での高周波信号ベクトルの長さとしたり、UVW相上での高周波信号の振幅としてもよい。
図示されるように、駆動用の電流ベクトルの位相角によって各高周波信号の振幅は変化する。このため、実際の振幅値が図6に示す値からずれるときには、駆動用の電流の位相角として実際の位相角からずれた値を認識していると考えられる。換言すれば、実際の回転角度に対してずれた回転角度を電動機10の回転角度(正確には電気角)と認識していると考えられる。このため、実際の振幅値と図6に示す値との差を縮めるように、上記位置検出部44の出力する仮回転角度θ1を補正するなら、補正後の回転角度θは、真の電気角度に高精度に追従したものとなると考えられる。
特に、図6に示されるように、上記乗算値は、各振幅と比較して、駆動用の電流ベクトルの位相角の変化に対する変化量が大きくなっている。このため、高周波信号の振幅と図6に示す値との差を検出するよりも、実際の乗算値と図6に示す乗算値との差を検出する方が、回転角度の誤差を高精度に検出することができると考えられる。
そこで、本実施形態では、d軸方向及びq軸方向に高周波信号を重畳するとともに、これらの重畳によって実際に伝播する高周波信号の振幅の実際の乗算値と図6に示す乗算値(目標乗算値)との差をゼロとするように、上記仮回転角度θ1を補正する。すなわち、先の図1に示す高周波電圧設定部40では、上記d軸方向の電圧信号vhdcを出力するのみならず、これと異なるタイミングにて、q軸方向の電圧信号vhqcをも出力する。また、先の図1に示すように、上記実際の乗算値と目標乗算値との差をゼロとするように仮回転角度θ1を補正する位置補正部46を備える。図7に、位置補正部46の構成を示す。
トルク推定部46aは、実電流id,iqに基づき、電動機10の出力トルクの推定値Teを算出する部分である。位相角算出部46bは、電動機10の駆動用の電流ベクトル(実電流id,iqの作る電流ベクトル)の位相角φを算出する部分である。目標乗算値設定部46cは、先の図6に示した関係情報に基づき、電動機10の駆動用のベクトルの位相角φとトルクの推定値Teと回転速度ωとに基づき、目標乗算値を算出する部分である。すなわち、目標乗算値は、位相角φのみならず、出力トルクや回転速度ωに依存するために、これら3つのパラメータに基づき目標乗算値を設定する。
乗算値算出部46dは、上記高周波電圧設定部40によってd軸方向の電圧信号vhdcが出力される際に高周波電流検出部42によって抽出される高周波信号ihdの振幅ihnと、高周波電圧設定部40によってq軸方向の電圧信号vhqcが出力される際に高周波電流検出部42によって抽出される高周波信号ihqの振幅ihnとの乗算値を算出する。ずれ量算出部46eは、乗算値算出部46dの出力する実際の乗算値と上記目標乗算値との差を算出する部分である。補正量算出部46fは、実際の乗算値を目標乗算値に追従させるべく、仮回転角度θ1の補正量Δθを算出する部分である。ここでは例えば、上記ずれ量算出部46eの出力信号の比例項及び積分項の和によって補正量Δθを算出すればよい。
図8に、本実施形態にかかる回転角度θの算出にかかる処理の手順を示す。この処理は、マイクロコンピュータ等により、例えば所定周期で繰り替えし実行される。
この一連の処理では、ステップS10において、d軸方向に電圧信号vhdcを重畳する。続くステップS12においては、上記ステップS10において電圧信号vhdcを重畳することで電動機10を実際に伝播する高周波信号ihd(電流信号ihα、ihβ)を検出する。続くステップS14においては、重畳した高周波信号(電圧信号vhdc)及び検出される高周波信号(電流信号ihα、ihβ)に基づき、仮回転角度θ1を算出する。更に、ステップS16においては、q軸方向に電圧信号vhqcを重畳する。続くステップS18においては、上記ステップS16において電圧信号vhqcを重畳することで電動機10を実際に伝播する高周波信号ihq(電流信号ihα、ihβ)を検出する。
続くステップS20においては、電動機10の駆動用の電流ベクトル(実電流id、iq)の位相角φ及び出力トルクTeの推定値に基づき、目標乗算値を算出する。そして、ステップS22においては、ステップS12において抽出された高周波信号の振幅とステップS18において抽出された高周波信号の振幅との乗算値を算出する。すなわち、ステップS12及びステップS18において抽出されるベクトル信号(電流信号ihα、ihβ)の長さの最大値として振幅を算出し、次に、これら振幅の乗算値を算出する。そして、ステップS24においては、ステップS22において算出される実際の乗算値とステップS20において算出される目標乗算値とに基づき、上記補正量Δθを算出する。そして、ステップS26においては、回転角度θを、仮回転角度θ1と補正量Δθとの和として算出する。
上記処理により、電動機10に磁気飽和が生じた場合であっても、回転角度θを高精度に算出することができる。すなわち、図9に示すように、磁気飽和が生じることでインダクタンスが最小となる位相角がd軸からずれたものとなるため、仮回転角度θ1がゼロとなる方向がd軸方向ではなくなる。しかし、上記補正量Δθによって仮回転角度θ1を補正することで、回転角度θがゼロとなる方向をd軸方向と一致させることができる。
この際、本実施形態では、仮回転角度θ1に基づき高周波信号(電圧信号vhdc,vhqc)を設定した。これにより、回転角度θを真の値として収束させることが可能となる。これに対し、最終的な回転角度θに基づき高周波信号(電圧信号vhdc)を設定する場合には、電動機10に磁気飽和が生じているときであっても、高周波信号の重畳方向は真のd軸方向となり、インダクタンスが最小な方向ではなくなる。このため、重畳する高周波信号(電圧信号vhdc)と実際に伝播する高周波信号とには位相差が生じる。このため、位置検出部44では、仮回転角度θ1を変更することとなり、ひいては回転角度θが正しい値にもかかわらず変更されることとなる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)d軸方向及びq軸方向への重畳によって実際に伝播する各高周波信号についての想定される振幅の乗算値である目標乗算値と実際の乗算値との差を縮めるように仮回転角度θ1を補正した。これにより、電動機10に磁気飽和が生じるときであっても、回転角度θを高精度に算出することができる。特に、乗算値を用いることで、電動機10の駆動のための電流ベクトルの位相角の変化に対する目標乗算値の変化量を大きくすることができ、ひいては角度誤差に対する実際の乗算値と目標乗算値との差の変化を大きくすることができる。このため、仮回転角度θ1の補正を高精度に行うことができる。
(2)仮回転角度θ1に基づき、高周波信号(電圧信号vhdc)の重畳を行った。これにより、重畳される電圧信号vhdcと実際に伝播する高周波信号との位相角を一致させることができる。このため、位置補正部46によって仮回転角度θ1が補正されることで算出される回転角度θが正しい値であるにもかかわらず、位置検出部44によってこれが補正されることを回避することができる。
(3)実際の乗算値と目標乗算値との差がゼロとなるように仮回転角度θ1の補正を行った。これにより、回転角度θ1を高精度に算出することができる。
(4)目標乗算値を、電動機10のトルクの推定値Teに基づき設定した。これにより、電動機10のトルクに依存した変化を目標乗算値に反映させることができる。
(5)トルクの推定値Teに加えて、更に、電動機10の駆動のための電流の位相角及び回転速度ωに基づき目標乗算値を設定した。これにより、目標値をより高精度に定めることができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図10に、本実施形態にかかる位置補正部46の構成を示す。なお、図10において、先の図7に示した処理と対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、目標乗算値による実際の乗算値の除算値を「1」とするように仮回転角度θ1を補正する。すなわち、除算部46gにおいて、目標乗算値設定部46cの設定する目標乗算値による乗算値算出部46dの算出する乗算値の除算値を算出する。そして、偏差算出部46hでは、除算値から「1」を減算した値を算出する。そして、補正量算出部46fでは、この減算値に基づき、補正量Δθを算出する。なお、補正量算出部46fは、例えば減算値の比例積分演算により補正量Δθを算出すればよい。
上記処理によれば、電動機10の運転状態による補正量Δθの算出ゲインの変動を抑制することができる。すなわち、電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅は、電動機10の駆動のための電流の位相角や出力トルクに依存するため、目標乗算値もこれら位相角や出力トルクに応じて変化する。このため、仮回転角度θ1に含まれる誤差量が同一であっても、目標乗算値と実際の乗算値との差は一義的に定まらず、位相角や出力トルクに依存して変動する。このことは、補正量Δθの算出ゲインが、位相角や出力トルクによって変動することを意味する。
これに対し、本実施形態では、実際の乗算値を目標乗算値にて除算することでこれを「1」に規格化することができる。このため、仮回転角度θ1に含まれる誤差量が同一であるときにおける、上記除算値と「1」との差を略一定とすることができる。このため、補正量Δθの算出ゲインの変動を抑制することができる。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)、(2)、(4)、(5)に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(6)実際の乗算値を目標乗算値で除算した値が略「1」となるように仮回転角度θ1を補正した。これにより、回転角度θを真の値に制御する際のゲインの変動を極力抑制又は回避することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図11に、本実施形態にかかる位置補正部46の構成を示す。なお、図11において、先の図7に示した処理と対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
本実施形態では、q軸方向に高周波信号(電圧信号vhqc)を重畳した際に電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅と先の図6に示した想定される振幅値との差を縮めるように仮回転角度θ1を補正する。すなわち、q軸目標振幅値設定部46iでは、トルクの推定値Teと位相角φとに基づき、q軸方向に高周波信号(電圧信号vhqc)を重畳した際に電動機10を伝播する実際の高周波信号の振幅値(目標振幅値:先の図6の2点鎖線)を算出する。そして、ずれ量算出部46eでは、上記高周波電圧設定部40によってq軸方向の高周波信号(電圧信号vhqc)が出力されるたびに、高周波電流検出部42によって抽出される高周波信号の振幅と目標振幅値との差を算出する。そして、補正量算出部46fでは、ずれ量算出部46eの出力を例えば比例積分演算するなどして、補正量Δθを算出する。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(2)、(4)、(5)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(7)q軸方向に高周波信号(電圧信号vhqc)を重畳することで電動機10に実際に伝播する高周波信号についての目標振幅値と実際の振幅値との差がゼロとなるように仮回転角度θ1を補正した。これにより、回転角度θを高精度に算出することができる。特に、先の図6に例示したデータによれば、q軸方向に高周波信号(電圧信号vhqc)を重畳する際に電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅は、d軸方向に高周波信号(電圧信号vhdc)を重畳する際に電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅と比較して、駆動のための電流ベクトルの位相角の変化に対する変化量が大きい。このため、d軸方向に高周波信号(電圧信号vhdc)を重畳する際に電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅を用いる場合と比較して、回転角度θの誤差をより高精度に検出することができる。
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、d軸方向に高周波信号(電圧信号vhdc)を重畳した際に電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅によってq軸方向に高周波信号(電圧信号vhqc)を重畳した際に電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅を除算した値についての目標値(目標除算値)と実際の除算値との差をゼロとするように仮回転角度θ1を補正する。図12には、実線にて先の図6の乗算値に代えて、上記除算値(目標除算値)と位相角との関係を示す。図示されるように、駆動用の電流ベクトルの位相角の変化に対する除算値の変化量は、上記乗算値の場合より小さい。しかし、除算値を用いる場合には、目標乗算値を「1」未満の値に設定することで、先の図5(c)に示した現象を回避できるというメリットがある。
すなわち、先の図5(c)に示した現象、すなわち電動機10のインダクタンスがいずれの方向においても同一となる現象が生じる場合、d軸方向に重畳する高周波信号(電圧信号vhdc)の振幅とq軸方向に重畳する高周波信号(電圧信号vhqc)の振幅とが互いに等しいなら、上記除算値は、「1」となる。このため、目標除算値を「1」未満とするなら、電動機10のインダクタンスがいずれの方向においても同一となる状態、すなわち突極性の消失する状態を回避するように電動機10が駆動されることとなる。このため、突極性の消失によって仮回転角度θ1の算出ができなくなる事態を回避することができる。
図13に、本実施形態にかかる位置補正部46の構成を示す。なお、図13において、先の図7に示した処理と対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。
目標除算値設定部46jでは、トルクの推定値Te及び位相角φに基づき、d軸方向に高周波信号(電圧信号vhdc)を重畳した際に電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅によってq軸方向に高周波信号(電圧信号vhqc)を重畳した際に電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅を除算した目標値(目標除算値)を算出する。一方、除算値算出部46kでは、上記高周波電圧設定部40によってd軸方向の電圧信号vhdcが出力される際に高周波電流検出部42によって抽出される高周波信号の振幅によって、高周波電圧設定部40によってq軸方向の電圧信号vhqcが出力される際に高周波電流検出部42によって抽出される高周波信号の振幅の除算値を算出する。そして、ずれ量算出部46eは、除算値算出部46kの出力する実際の除算値と上記目標除算値との差を算出する。補正量算出部46fは、実際の除算値を目標除算値に追従させるべく、仮回転角度θ1の補正量Δθを算出する。ここでは例えば、上記ずれ量算出部46eの出力信号の比例項及び積分項によって補正量Δθを算出すればよい。
なお、上記高周波電圧設定部40の出力する電圧信号vhdcの振幅と電圧信号vhqcの振幅とは、互いに等しく設定する。そして、目標除算値設定部46jでは、目標除算値を、「0」より大きく「1」未満の値として設定する。これにより、電動機10は、突極性の消失を回避するように制御されるようになる。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)、(2)、(4)、(5)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(8)d軸方向への高周波信号(電圧信号vhdc)の重畳によって電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅によるq軸方向への高周波信号(電圧信号vhqc)の重畳によって電動機10を実際に伝播する高周波信号の振幅の実際の除算値が目標除算値となるように仮回転角度θ1を補正した。これにより、回転角度θを高精度に算出することができる。
(9)上記高周波電圧設定部40の出力する電圧信号vhdcの振幅と電圧信号vhqcの振幅とを互いに等しく設定して且つ、上記目標除算値を「0」より大きく「1」未満の値に設定した。これにより、突極性が消失する運転状態となることを回避することができる。
(第5の実施形態)
以下、第5の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図14に、本実施形態にかかる制御システムの全体構成を示す。
本実施形態では、高周波電圧設定部40の出力する高周波信号(電圧信号vhdc,vhqc)と、高周波電流検出部42の出力する高周波信号との外積値に基づき、回転速度ωを算出し、これに基づき仮回転角度θ1を算出する。このため、本実施形態では、位置/速度検出部45を備えている。図15に、位置/速度検出部45の構成を示す。
外積値算出部45aは、高周波電圧設定部40の出力する高周波信号(電圧信号vhdc,vhqc)と、高周波電流検出部42の出力する高周波信号との外積値を、αβ軸上の成分によって算出する。速度算出部45bは、上記外積値に基づき、回転速度ωを算出する。そして、仮角度算出部45cでは、回転速度ωに基づき、仮回転角度θ1を算出する。
ここで、速度算出部45bにおいて、外積値の比例積分演算により回転速度ωを算出し、仮角度算出部45cにおいて回転速度ωの積分演算により仮回転角度θ1を算出するなら、電動機10の回転速度ωが上昇する加速時等にあっても、回転速度ωが不安定化することを回避することができる。
なお、速度算出部45bについては、外積値の比例積分演算に限らず、例えば比例積分微分演算を行って回転速度ωを算出してもよい。
(第6の実施形態)
以下、第6の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図16に、本実施形態にかかる制御システムの全体構成を示す。なお、図16において、先の図1に示した処理と対応する処理には、便宜上同一の符号を付している。
図示されるように、本実施形態では、インバータ34の出力信号に高周波信号を重畳させるべく、高周波電流設定部60を備えている。高周波電流設定部60では、d軸方向と推定される方向及びq軸方向と推定される方向に、高周波信号としての電流信号ihdc1,ihqc1を重畳すべく、αβ変換部41aに電流信号ihdc1,ihqc1を出力する。αβ変換部41aでは、仮回転角度θ1に基づき、電流信号ihdc1,ihqc1を、αβ軸上の電流信号ihαc,ihβcに変換する。そして、これら電流信号ihαc,ihβcは、dq変換部41bに出力される。dq変換部41bでは、回転角度θに基づき、電流信号ihαc,ihβcを、dq軸上の電流信号ihdc2,ihqc2に変換する。そして、これら電流信号ihdc2,ihqc2が、加算器25a,25bを通じて指令電流idc,iqcに重畳される。
指令電圧設定部26は、上述したように、指令電流idc(詳しくは、電流信号ihdc2の重畳された指令電流idc)及びd軸上の実電流idの差に基づきd軸上の指令電圧vdcを設定し、指令電流iqc(詳しくは、電流信号ihqc2の重畳された指令電流iqc)及びq軸上の実電流iqの差に基づきq軸上の指令電圧vqcを設定する。これにより、指令電圧vdc,vqcは、仮回転角度θ1によってd軸方向及びq軸方向と推定される方向に電流信号ihdc1,ihqc1を重畳するものとなる。
一方、dq変換部22aは、実電流iu,ivから高周波成分を除去することなく、これらを実電流id,iqに変換する。このため、上記指令電圧vdc,vqcには、電流信号ihdc2,ihqc2を重畳したときに(より正確には、電流信号ihdc2,ihqc2を重畳すべく指令電圧を設定したときに)実際に電動機10を流れる高周波信号が混入している。
指令電圧vdc、vqcは、αβ変換部27において、回転角度θに基づき、α軸上の指令電圧vαcとβ軸上の指令電圧vβcとに変換される。そして、高周波電圧検出部66では、これら指令電圧vαc,vβcから、電動機10を実際に伝播する高周波信号に応じたα軸上の電圧信号vhαとβ軸上の電圧信号vhβとを抽出する。
一方、位置検出部68では、電圧信号vhαc、vhβcのベクトル信号と、上記電流信号ihαc,ihβcのベクトル信号との外積をゼロとするように仮回転角度θ1を算出する。これにより、仮回転角度θ1は、電動機10のインダクタンスが最小となる位置をゼロとする値とされる。なお、この仮回転角度θ1の算出手法は、先の図1に示した位置検出部44による算出手法に準ずる。
位置補正部70は、実電流id,iqに基づき電動機10の駆動用の電流ベクトル(実電流iq,iq)の位相角φ及びトルクの推定値Teを算出し、これらと回転速度ωとに基づき先の図6に示した関係に準じた情報から、電流信号ihdc1を重畳した際の電圧信号の振幅値vhnと電流信号ihqc1を重畳した際の電圧信号の振幅値vhnとの乗算値の目標値(目標乗算値)を算出する。そして、電流信号ihdc1を重畳した際に高周波電圧検出部66によって検出される実際の振幅vhn及び電流信号ihqc1を重畳した際の実際の振幅値vhnの乗算値と、上記目標乗算値との差をゼロとするための補正量Δθを設定する。なお、こうした手法による補正量Δθの算出は、先の図1の位置補正部46と同様にして行えばよい。
以上説明した本実施形態によっても、先の第1の実施形態の上記各効果に準じた効果を得ることができる。
(第7の実施形態)
以下、第7の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図17に、本実施形態にかかる制御システムの全体構成を示す。なお、図17において、先の図1に示した処理と対応する処理には、便宜上同一の符号を付している。図示されるように、本実施形態では、高周波電圧設定部40において、d軸方向の高周波信号(電圧信号vhdc)を出力する。この電圧信号vhdcは、αβ変換部41において、回転角度θに基づきα軸及びβ軸の成分に変換されるため、電圧信号vhdcは、回転角度θによってd軸と推定される方向に重畳されることとなる。また、本実施形態では、位置/速度検出部80にて、回転速度ω及び回転角度θを算出する。図18に、位置/速度検出部80の構成を示す。
外積値算出部80aでは、高周波電圧設定部40によって重畳されるベクトル信号(vhαc,vhβc)と、電動機10を実際に伝播する高周波のベクトル信号(上記高周波電流検出部42の出力する高周波信号:ihα,ihβ)との外積値を算出する。一方、飽和補償値設定部80bでは、要求トルクTdに基づき、電動機10の磁気飽和度合いを把握し、回転角度θが真の回転角度であるときの外積値の符号を反転した値である補償値を、磁気飽和度合いに応じて算出する。この補償値は、要求トルクTdが大きいほどその絶対値が大きい値となる。この補償値は、要求トルクTdと補償値との関係を定めるマップを用いてマップ演算をすることで算出すればよい。また、これに代えて、補償値を要求トルクTdの1次関数で近似する等、補償値を要求トルクTdにて表現する適宜の関係式を予め用意しておき、これに基づき補償値を算出してもよい。
加算部80cでは、外積値算出部80aの算出する外積値と上記補償値との和を算出する。位置算出部80dは、外積値と補償値との差をゼロとするように回転角度θを算出する。ここでは、例えば加算部80cの出力値に基づく比例積分演算により回転角度θを算出すればよい。速度算出部80eは、回転角度θに基づき回転速度ωを算出する。ここでは、例えば回転角度θの時間微分値として回転速度ωを算出すればよい。
このように、本実施形態では、電動機10に磁気飽和が生じる状況下、d軸方向に高周波信号(電圧信号vhdc)を重畳する際の外積値の符号を反転させた値(補償値)を予め実験等によって求めておくことで、回転角度θを簡易に算出することができる。このため、制御システムの演算負荷を低減することができる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(10)電動機10の磁気飽和が生じる状況下、上記外積値が磁気飽和の度合いに応じて設定される所定値(補償値)となるように回転角度θを算出した。これにより、回転角度θを高精度に算出することができる。
(11)上記補償値を、電動機10の要求トルクTdに応じて可変設定した。これにより、上記補償値を、回転角度θが正しく算出されているときに想定される外積値に高精度に一致させることができる。
(第8の実施形態)
以下、第8の実施形態について、先の第7の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図19に、本実施形態にかかる位置/速度検出部80の構成を示す。なお、図19において、先の図18に示した処理と対応する処理については、便宜上同一の符号を付している。本実施形態では、速度算出部80eでは、加算部80cの出力に基づき、回転速度ωを算出する。そして、位置算出部80dでは、回転速度ωに基づき、回転角度θを算出する。
ここで、先の第5の実施形態と同様、速度算出部80eにおいて、加算部80cの出力の比例積分演算により回転速度ωを算出し、位置算出部80dにおいて回転速度ωの積分演算により回転角度θを算出するなら、電動機10の回転速度ωが上昇する加速時等にあっても、回転速度ωが不安定化することを回避することができる。なお、速度算出部80eについては、外積値の比例積分演算に限らず、例えば比例積分微分演算を行って回転速度ωを算出してもよい。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・目標振幅値、目標乗算値、目標除算値の算出を、トルクのみに基づき行ってもよい。また、これに加えて駆動のための電流ベクトルの位相角及び回転速度ωのいずれか一方を加味してもよい。
・上記第7及び第8の実施形態において、高周波信号を重畳する方向は、d軸に限らない。例えばq軸であってもよい。この場合であっても、電動機10を実際に伝播する高周波信号の振動方向は、重畳した高周波信号の振動方向とは異なり得、しかもこれらの角度差は、磁気飽和度合いに依存する。このため、磁気飽和度合いに応じて補償値を設定することで、上記第7及び第8の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
・上記第2〜第5の実施形態、第7及び第8の実施形態において、先の第6の実施形態のように、高周波信号として電流信号を重畳してもよい。
・電動機10を実際に伝播する高周波信号としては、上記に限らず、要は、電動機10の電気的な状態量のうち、インバータ34の出力信号に高周波信号を重畳すべく直接の操作対象となる電気的な状態量以外の状態量の検出値から算出される信号とすればよい。すなわち、例えばインバータ34の出力電圧(電動機10の相電圧)を指令電圧に操作することで高周波信号を重畳する場合、電圧以外の電気的な状態量(例えば電流)の検出値によって算出される高周波信号を電動機10を実際に伝播する高周波信号とすればよい。
・インバータ34の出力信号に重畳する高周波信号が電動機10で実際に伝播する際に電流が偏向する性質を利用した回転角度(仮回転角度θ1)の算出手法としては、上記各実施形態で例示したものに限らない。例えば、重畳する高周波信号としてのベクトル信号Aと、実際に伝播する高周波信号としてのベクトル信号Bとの内積に基づき、(1−A・B/|A||B|)をゼロとするように仮回転角度θ1を算出してもよい。これによっても、逆三角関数の演算を行なうことなく、重畳する高周波信号としてのベクトル信号Aと実際に伝播する高周波信号としてのベクトル信号Bとの位相差をゼロとするような仮回転角度θ1を算出することができる。もっとも、これらベクトル信号の外積や内積の値を算出するものに限らず、逆三角関数に基づきこれらベクトル信号間の位相差を算出することで、これをゼロとするように仮回転角度θ1を算出してもよい。
・構造上、突極性を有する電動機としては、上記電動機10に限らない。例えば図20(a)に示すような埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)でもよく、また例えば図20(b)に示すような同期リラクタンスモータ(SynRM)でもよい。
・回転機としては、電動機に限らず、発電機であってもよい。この場合であってもq軸と平行に近づくほど、先の図5に例示した現象が生じやすくなることに鑑みれば、本発明の適用は有効である。
・上記各実施形態では、ハイブリッド車に本発明にかかる制御装置を適用したが、これに限らず、例えば電気自動車に適用してもよい。更には内燃機関を動力源とする車両におけるパワーステアリング等の動力伝達手段としての電動機に本発明の制御装置を適用してもよい。
第1の実施形態にかかる電動機の制御システムの全体構成を示す図。 同実施形態にかかる電動機のロータを示す図。 回転角度の検出に関する問題点を示す図。 上記実施形態にかかる電動機内の電流の偏向を利用した回転角度の算出処理を示すブロック図。 電動機内の電流の偏向を利用した回転角度の算出手法の孕む問題点を示す図。 駆動用の電流ベクトルの位相角φと高周波信号の振幅や乗算値との関係を示す図。 上記実施形態にかかる位置補正部の処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる回転角度の算出処理の手順を示す流れ図。 同実施形態にかかる回転角度の算出態様を示す図。 第2の実施形態にかかる位置補正部の処理を示すブロック図。 第3の実施形態にかかる位置補正部の処理を示すブロック図。 駆動用の電流ベクトルの位相角φと高周波信号の振幅や除算値との関係を示す図。 第4の実施形態にかかる位置補正部の処理を示すブロック図。 第5の実施形態にかかる電動機の制御システムの全体構成を示す図。 同実施形態にかかる位置/速度検出部の処理を示すブロック図。 第6の実施形態にかかる電動機の制御システムの全体構成を示す図。 第7の実施形態にかかる電動機の制御システムの全体構成を示す図。 同実施形態にかかる位置/速度検出部の処理を示すブロック図。 第8の実施形態にかかる位置/速度検出部の処理を示すブロック図。 上記各実施形態の変形例における電動機のロータを示す図。
符号の説明
10…電動機、40…高周波電圧設定部(重畳手段の一実施形態)、44…位置検出部(仮角度算出手段の一実施形態)、46…位置補正部(補正手段の一実施形態)。

Claims (14)

  1. インバータのスイッチング素子を操作することで構造上突極性を有する回転機を駆動するに際し、前記回転機の電気的な状態量に基づき前記回転機の回転角度についての情報を取得する回転機の制御装置において、
    前記取得される回転角度についての情報に基づき、前記回転機の電気角の回転周期とは異なる周期を有して且つd軸方向及びq軸方向にそれぞれ振動する2つの周波数信号を前記インバータの出力信号に重畳する重畳手段と、
    前記d軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振動方向に基づき前記回転機の仮の回転角度を算出する仮角度算出手段と、
    前記周波数信号の少なくともq軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号についての想定される振幅と実際の振幅との差を縮めるように前記仮の回転角度を補正する補正手段とを備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 前記重畳手段は、前記仮角度算出手段の算出する仮の回転角度に基づき前記周波数信号の重畳を行うことを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記d軸方向及び前記q軸方向への重畳によって実際に伝播する各周波数信号についての想定される振幅の乗算値である目標値と実際の乗算値との差を縮めるように前記補正を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の回転機の制御装置。
  4. 前記補正手段は、前記実際の乗算値と前記目標値との差がゼロとなるように前記補正を行うことを特徴とする請求項3記載の回転機の制御装置。
  5. 前記補正手段は、前記実際の乗算値を前記目標値で除算した値が略「1」となるように前記補正を行うことを特徴とする請求項3記載の回転機の制御装置。
  6. 前記補正手段は、前記d軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅による前記q軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号の振幅の実際の除算値が前記想定される振幅の除算値である目標値となるように前記補正を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の回転機の制御装置。
  7. 前記重畳手段は、前記d軸方向の周波数信号の振幅と前記q軸方向の周波数信号の振幅とを互いに等しく設定するものであり、
    前記目標値を「0」より大きく「1」未満の値に設定する請求項6記載の回転機の制御装置。
  8. 前記補正手段は、前記q軸方向への重畳によって実際に伝播する周波数信号として想定される振幅である目標値と実際の振幅との差がゼロとなるように前記補正を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の回転機の制御装置。
  9. 前記目標値は、前記回転機のトルク及びその相当量のいずれかに基づき設定されてなることを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  10. 前記目標値は、前記回転機のトルク及びその相当量のいずれかに加えて、前記回転機の駆動のための電流の位相角及び前記回転機の回転速度の少なくとも一方に基づき設定されてなることを特徴とする請求項9記載の回転機の制御装置。
  11. 前記仮角度算出手段は、前記実際に伝播する周波数信号と前記重畳手段による周波数信号との2つのベクトル信号に基づき、角度誤差と相関を有するパラメータである角度誤差相関量を算出する手段と、該角度誤差相関量に基づき前記回転機の回転速度を算出する手段と、該算出される回転速度の積分値に基づき前記仮の回転角度を算出する手段とを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の回転機の制御装置。
  12. インバータのスイッチング素子を操作することで構造上突極性を有する回転機を駆動するに際し、前記回転機の電気的な状態量に基づき前記回転機の回転角度についての情報を取得する回転機の制御装置において、
    前記取得される回転角度についての情報に基づき、前記回転機の電気角の回転周期とは異なる周期を有して且つ任意の位相角方向に振動する周波数信号を前記インバータの出力信号に重畳する重畳手段と、
    前記重畳によって前記回転機を実際に伝播する周波数信号と前記重畳した周波数信号との2つのベクトル信号の外積値が前記磁気飽和の度合いに応じて設定される所定値となるように前記回転角度を算出する算出手段とを備えることを特徴とする回転機の制御装置。
  13. 前記算出手段は、前記所定値を、前記回転機のトルク若しくは前記回転機を流れる電流又はそれらの指令値に応じて可変設定することを特徴とする請求項12記載の回転機の制御装置。
  14. 前記算出手段は、前記外積値及び前記所定値に基づき前記回転機の回転速度を算出する手段と、該算出される回転速度の積分値に基づき回転角度を算出する手段とを備えることを特徴とする請求項12又は13記載の回転機の制御装置。
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