JP4684691B2 - ブラシレスdcモータの制御装置 - Google Patents
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この制御装置では、磁極検出用電圧によって界磁方向に磁界を発生させた場合に、発生した磁界の方向と界磁方向が同一方向である飽和状態と、発生した磁界の方向と界磁方向が反対方向である非飽和状態とにおいて、各相に流れる相電流の状態が変化することに基づき、ロータの磁極の向きを判別するようになっている。
このため、例えばロータが完全な停止状態ではない場合等において、ロータ角度の検出時と磁極判別の処理の実行時とにおいて、あるいは、磁極判別の処理の実行中において、ロータの位置が変化した場合には、磁極検出用電圧を適切に印加することができないという問題が生じる。しかも、実際のロータ角度とは異なるロータ角度に応じて磁極検出用電圧が印加されると、磁極検出用電圧によって回転力が作用することになり、例えばブラシレスDCモータが搭載された適宜の機構での外乱等によってロータが逆回転をしている状態で、実際のロータ角度とは異なるロータ角度に応じて磁極検出用電圧が印加されると、ロータの逆回転が一層助長されてしまう虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ロータの位置の検出およびロータの磁極の向きの判別を適切に実行することが可能なブラシレスDCモータの制御装置を提供することを目的とする。
さらに、請求項2に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置によれば、磁極判別処理によってロータが逆回転する状態となった場合であっても、駆動指令によってロータの逆転が促進させられてしまうことを防止することができる。
さらに、請求項3に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置によれば、初期位置検出時から磁極判別処理の実行時へ移行した際に、初期位置検出時において修正および更新されたロータの位置の界磁方向に応じた適切な磁極検出用電圧をステータ巻線に印加することができる。
さらに、請求項4または請求項5に記載の本発明のブラシレスDCモータの制御装置によれば、ロータの逆転等が発生することを防止しつつ、ブラシレスDCモータを適切に始動させることができる。
(ロータ位置検出の原理)
先ず、以下に、ロータ位置検出の原理について説明する。なお、以下の説明では、数式等において文字(例えば、θ)の上にハット記号(^)を付与したものは、文字の右横にハット記号(^)を付与したもの(θ^)と同等である。
但し、Vd_oldは前回の制御サイクルにおけるd軸電圧、Vq_oldは前回の制御サイクルにおけるq軸電圧とした。
次に、ブラシレスDCモータ1を制御するブラシレスDCモータの制御装置10について説明する。
この実施形態によるブラシレスDCモータの制御装置10(以下、単に、モータ制御装置10と呼ぶ)は、例えばハイブリッド車両に内燃機関と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ1(以下、単に、モータ1と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ1は、内燃機関と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有するロータ2と、このロータ2を回転させる回転磁界を発生する3相(U相,V相,W相)の各電機子3,4,5とを備えて構成されている。
次に、モータ制御装置10におけるロータ角度(θ)の検出処理の詳細について説明する。なお、モータ1のロータ角度の推定値(θ^)の初期値は「0」とする。
まず、検査用電圧重畳部21は、図3(a)に示したように、モータ制御装置10の制御サイクル(Δt)のn周期分を1周期とする検査用電圧Hdq^(Hd^,Hq^)を、以下の(37)式により生成する。
さらに、ロータ2の回転に伴うインダクタンス変動は、ロータ角度θの1/2周期なので、上述の処理により算出されるロータ角度θの演算値は、電気角0〜180[度]、または電気角180〜360[度]の両領域で同値となる。従って、モータ1の始動時に初期のロータ角度θを電気角0〜360[度]の範囲で検出するには、ロータ2の磁極の向きを判別する磁極判別処理を実行し、ロータ角度θの演算値が、電気角0〜180[度]、または電気角180〜360[度]のどちらの領域での値かを判定する必要がある。
(1)「電流により生じた磁界の向き=磁石により生じる磁界の向き」の場合、磁界が飽和状態となるため、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlが大きくなる。
(2)「電流により生じた磁界の向き≠磁石により生じる磁界の向き」の場合、磁界が非飽和状態となるため、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlが小さくなる。
(1)「正方向電流により生じた磁界の向き=磁石により生じる磁界の向き」の場合、磁界が飽和状態となるため、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlが大きくなる。
(2)「負方向電流により生じた磁界の向き≠磁石により生じる磁界の向き」の場合、磁界が非飽和状態となるため、U相,V相,W相の各相の自己インダクタンス直流分lの変動分Δlが小さくなる。
そして、角度検出部25により、前述の(34)式に基づいて算出される正方向電流に基づくΔl値により算出される余弦参照値(Vc^)=Vc1、および、負方向電流に基づくΔl値により算出される余弦参照値(Vc^)=Vc2に基づき、磁極判別計算結果「A=Vc1−Vc2」が算出され、この磁極判別計算結果Aの正負により、ロータ2の磁極の向きが、電気角0〜180[度]または電気角180〜360[度]の何れの領域での値に対応するかが検知される。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS03に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS02に進む。
ステップS02においては、トルク指令値にゼロを設定して、ステップS03に進む。
そして、ステップS03においては、カウンタCにゼロを設定して、初期化する。
次に、ステップS05においては、ロータ角度(θ)の今回値(今回のロータ角度)と、前回値(前回のロータ角度)つまり前回の処理において検知されたロータ角度(θ)とが相異するか否かを、例えば今回値と前回値との差分が所定値以上であるか否か等に応じて判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS07に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進む。
そして、ステップS06においては、ロータ角度(θ)の今回値を、界磁軸方向を設定するためのロータ角度(θ)として設定し、ステップS07に進む。
そして、ステップS08においては、カウンタCが第1所定値C1以上であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS04に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、図6に示す界磁軸電圧印加処理のステップS09に進む。
次に、ステップS10においては、検出されたロータ角度(θ)に応じてロータ2の界磁軸方向を検知する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS14に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS12に進む。
そして、ステップS12においては、今回値を、界磁軸方向を設定するためのロータ角度(θ)として設定する。
そして、ステップS13においては、界磁軸の前回値つまり前回の処理において検知あるいは設定された界磁軸に、ロータ角度(θ)の今回値から前回値を減算して得た角度差(今回のロータ角度−前回のロータ角度)を加算して得た値を、新たに界磁軸として設定し、ステップS14に進む。
そして、ステップS15においては、カウンタCが第2所定値C2以上であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS09に戻る。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、図7に示す駆動トルク印加処理のステップS16に進む。
そして、ステップS17においては、ロータ角度(θ)の今回値と、前回値つまり初期位置候補取得処理において検知あるいは設定されたロータ角度(θ)とが相異するか否かを、例えば今回値と前回値との差分が所定値以上であるか否か等に応じて判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS21に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS18に進む。
そして、ステップS18においては、今回値を、界磁軸方向を設定するためのロータ角度(θ)として設定する。
この判定結果が「NO」の場合には、モータ1が正転状態あるいは停止状態であると判断して、後述するステップS21に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、モータ1が逆転状態であると判断して、ステップS20に進む。
そして、ステップS20においては、モータ1を正転状態へと変更するための回生指令を所定時間に亘って出力し、上述したステップS16に戻る。
そして、ステップS21においては、この時点で設定されているロータ角度(θ)および磁極の向きに応じてモータ1を駆動するための駆動指令を出力し、モータ1を始動させると共に、内燃機関を始動させ、一連の処理を終了する。
さらに、界磁軸電圧印加処理の実行時において、例えばロータ2が完全な停止状態ではない状態であっても、常時、ロータ角度(θ)を精度良く検出することができ、このロータ角度(θ)の変化に応じて界磁軸方向を修正することにより、ロータ2の界磁軸方向に応じた界磁軸電圧を適切に設定することができる。
2 ロータ
3,4,5 電機子(ステータ巻線)
25 角度検出部(磁極判別手段)
28 角度比較修正部(修正手段)
30 回生指令出力部(指令手段)
ステップS21 始動手段
Claims (5)
- 永久磁石式のロータを備えたブラシレスDCモータのステータ巻線に高調波電圧を印加し、該高周波電圧により発生したモータ電流から前記ロータの位置を検出する位置検出手段を備えるブラシレスDCモータの制御装置であって、
前記ロータの界磁方向に応じた磁極検出用電圧を前記ステータ巻線に印加して前記ロータの磁極の向きを判別する磁極判別手段と、
前記磁極判別手段による磁極判別処理の実行時に、常時、前記位置検出手段により検出される前記ロータの位置の変化に応じて、前記界磁方向を修正する修正手段と
を備え、
前記修正手段は、前記位置検出手段により検出された前記ロータの位置の今回値と前回値の差が所定値以上のとき、前記差により前記界磁方向の前回値を補正して界磁方向の今回値とする処理を所定回数実行することを特徴とするブラシレスDCモータの制御装置。 - 前記磁極判別処理の実行以後に前記ロータが逆回転する状態を検知した場合に、前記ブラシレスDCモータに対して回生指令を出力し、次に、駆動指令を出力する指令手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御装置。
- 前記修正手段は、前記ブラシレスDCモータの始動時に前記ロータの初期位置を検出する初期位置検出時に、常時、前記位置検出手段により検出される前記ロータの位置の変化に応じて、前記ロータの界磁方向を修正することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブラシレスDCモータの制御装置。
- 前記ロータは前記ブラシレスDCモータおよび内燃機関を駆動源として搭載するハイブリッド車両の駆動軸に連結され、
前記ハイブリッド車両のアイドル停止状態が解除されたときに前記磁極判別手段により実行される前記磁極判別処理の終了以後に、前記ブラシレスDCモータおよび前記内燃機関を始動させる始動手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかひとつに記載のブラシレスDCモータの制御装置。 - 前記ロータは前記ブラシレスDCモータおよび内燃機関を駆動源として搭載するハイブリッド車両の駆動軸に連結され、
前記ハイブリッド車両のイグニッションスイッチがオン状態に設定されたときに前記磁極判別手段により実行される前記磁極判別処理の終了以後に、前記ブラシレスDCモータおよび前記内燃機関を始動させる始動手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかひとつに記載のブラシレスDCモータの制御装置。
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