JP6388535B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、以下のように構成されている。すなわち、電動パワーステアリング装置は、ベルト・プーリ機構からなる減速機構と、ステアリングホイールの操舵角度を検出する操舵角センサと、電動モータの回転軸の回転速度を検出する回転速度センサとを備えている。操舵角度および回転速度はECUに入力される。操舵角度はECUで微分されて、操舵速度が演算される。ECUは、回転速度および操舵速度からベルト・プーリのスリップ率を求め、このスリップ率と所定の閾値とを比較する。そして、スリップ率が閾値を越えている場合には、減速機構に伝達異常(ベルトのすべり等)が生じていると判定し、異常報知部によって運転者に異常を報知させるための信号を出力する。
本発明は、衝撃荷重が生じた場合でも致命的な伝達不良でない限り電動モータを継続して駆動することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
また、前記モータ制御手段は、前記伝達手段により伝達されなかった回転角度が予め定められた規定範囲外である場合に、前記電動モータの駆動を停止するよう印加電圧を零に決定してもよい。
また、前記伝達手段は、前記電動モータから前記ラック軸に至る回転力伝達系に設けられたトルクリミッタを有しても良い。
また、他の観点から捉えると、本発明は、車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータと、前記電動モータのアシスト力をラック軸に伝達する伝達手段と、前記電動モータの回転角度を検出する検出手段と、前記伝達手段に伝達異常が生じた場合に、前記伝達手段により伝達されなかった回転角度に基づいて、前記検出手段で検出された検出回転角度を補正する補正手段と、前記電動モータに供給する目標電流を算出する目標電流算出手段と、前記目標電流算出手段が算出した前記目標電流と、前記補正手段で補正された補正後回転角度とに基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
ここで、前記モータ制御手段は、前記目標電流算出手段が算出した前記目標電流と前記電動モータに供給される実電流との偏差が零となるようにフィードバック制御を行うとともに、フィードバック制御された値と、前記補正後回転角度とに基づいて前記電動モータの制御量を決定しても良い。
また、前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段をさらに備え、前記補正手段は、前記操舵角検出手段が検出した操舵角に基づいて前記電動モータの回転速度を推定するモータ回転速度推定部と、前記モータ回転速度推定部が推定した回転速度と前記検出回転角度に対応する回転速度との偏差であるモータ回転速度偏差を算出するモータ回転速度偏差算出部と、前記モータ回転速度偏差に基づいて前記伝達手段により伝達されなかった回転角度を算出するモータ回転角度偏差算出部と、を有しても良い。
また、前記補正手段は、前記モータ回転角度偏差算出部が算出した前記伝達手段により伝達されなかった回転角度に基づいて前記電動モータから前記ラック軸に至る回転力伝達系に故障が発生しているか否かを判別する故障判断部をさらに有しても良い。
図1は、実施の形態に係る電動パワーステアリング装置100の概略構成を示す図である。
電動パワーステアリング装置100(以下、単に「ステアリング装置100」と称する場合もある。)は、乗り物の進行方向を任意に変えるためのかじ取り装置であり、本実施の形態においては車両の一例としての自動車に適用した構成を例示している。
本実施の形態に係る電動モータ110は、電動モータ110の回転角度を検出するレゾルバ120を有する3相ブラシレスモータである。電動モータ110は、ピニオンシャフト106に回転駆動力を加えることにより、ラック軸105に前輪150を転動させる駆動力を与える。
図2は、制御装置10の概略構成図である。
制御装置10は、CPU、ROM、RAM、EEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory)等からなる算術論理演算回路である。
制御装置10には、上述したトルクセンサ109にて検出された操舵トルクTが出力信号に変換されたトルク信号Tdと、車速センサ170にて検出された車速Vcが出力信号に変換された車速信号vが入力される。また、制御装置10には、レゾルバ120からの電動モータ110の回転角度に応じた出力信号であるモータ回転角度信号Mθs、操舵角センサ180からの操舵角Sθに応じた出力信号である操舵角信号Sθsなどが入力される。
図3は、目標電流算出部20の概略構成図である。
目標電流算出部20は、目標電流を設定する上で基準となるベース電流Ibを算出するベース電流算出部21と、電動モータ110の慣性モーメントを打ち消すためのイナーシャ補償電流Isを算出するイナーシャ補償電流算出部22と、モータの回転を制限するダンパー補償電流Idを算出するダンパー補償電流算出部23とを備えている。また、目標電流算出部20は、ベース電流算出部21、イナーシャ補償電流算出部22、ダンパー補償電流算出部23にて算出された値に基づいて目標電流を決定する目標電流決定部25を備えている。また、目標電流算出部20は、トルクセンサ109にて検出された操舵トルクTの位相を補償する位相補償部26を備えている。
なお、目標電流算出部20には、操舵トルクT、車速Vc、後述する検出モータ回転速度Mωdに関する情報(信号)などが入力される。
図4は、制御部30の概略構成図である。
制御部30は、電動モータ110の作動を制御するモータ制御手段の一例としてのモータ駆動制御部31と、電動モータ110を駆動させるモータ駆動部32と、を有している。また、制御部30は、電動モータ110に実際に流れる実電流に応じた値を出力するモータ電流検出部33と、このモータ電流検出部33によって検出された電流をd−q座標系の電流に変換する3相2軸変換部35と、を有している。また、制御部30は、レゾルバ120からのモータ回転角度信号Mθsに基づいて実際の電動モータ110の回転角度を算出するモータ回転角度算出部36と、モータ回転角度算出部36で算出された回転角度である検出モータ回転角度Mθdに基づいて電動モータ110の回転速度を算出するモータ回転速度算出部37と、を有している。また、制御部30は、モータ回転角度算出部36で算出された検出モータ回転角度Mθdを補正して補正後の回転角度である補正後モータ回転角度Mθcを出力する補正手段の一例としてのモータ回転角度補正部38を有している。
モータ電流検出部33は、3相ブラシレスモータである電動モータ110のU相に実際に流れる電流であるU相実電流を検出するためのU相電流検出部と、電動モータ110のW相に実際に流れる電流であるW相実電流を検出するためのW相電流検出部と、を有している。U相電流検出部およびW相電流検出部は、それぞれ電動モータ110のU相、W相に接続されたいわゆるシャント抵抗の両端に生じる電圧から各相に流れる実電流の値を検出する。
モータ回転速度算出部37は、モータ回転角度算出部36で算出された検出モータ回転角度Mθdに基づいて検出モータ回転速度Mωdを算出する。
モータ駆動制御部31は、目標電流算出部20の目標電流決定部25にて算出されたd軸目標電流Idcから、3相2軸変換部35にて算出されたd軸実電流Idaを減算するd軸減算部41dと、目標電流決定部25にて算出されたq軸目標電流Iqcから、3相2軸変換部35にて算出されたq軸実電流Iqaを減算するq軸減算部41qとを有している。
V相目標電圧算出部52は、零からU相目標電圧VucおよびW相目標電圧Vwcを減算することによりV相目標電圧Vvcを算出する。
モータ駆動部32は、所謂インバータであり、例えば、スイッチング素子として6個の独立したトランジスタ(FET)を備え、6個の内の3個のトランジスタは電源の正極側ラインと各相の電気コイルとの間に接続され、他の3個のトランジスタは各相の電気コイルと電源の負極側(アース)ラインと接続されている。そして、モータ駆動部32は、6個の中から選択した2個のトランジスタのゲートを駆動してこれらのトランジスタをスイッチング動作させることにより、電動モータ110の駆動を制御する。
なお、回転力伝達系に生ずる滑りとしては、回転力伝達系に設けられたトルクリミッタ111cの滑り、ベルト駆動伝達の滑り等が考えられる。
本実施の形態に係るモータ回転角度補正部38は、電動モータ110からラック軸105に至る回転力伝達系に発生した滑り分のずれを補正するように以下のように構成されている。
モータ回転角度補正部38は、操舵角センサ180が検出した操舵角Sθから相関するモータの回転速度を推定するモータ回転速度推定部381を有している。また、モータ回転角度補正部38は、モータ回転速度推定部381が推定した推定モータ回転速度Mωaとモータ回転速度算出部37が算出した検出モータ回転速度Mωdとの偏差であるモータ回転速度偏差ΔMωを算出するモータ回転速度偏差算出部382を有している。
モータ回転速度推定部381は、先ず、操舵角センサ180が検出した操舵角Sθに基づいて操舵角Sθの変化速度である操舵角速度Sωを算出する。そして、モータ回転速度推定部381は、予め経験則に基づいて作成しROMに記憶しておいた図6に示すような操舵角速度Sωと推定モータ回転速度Mωaとの相関関係に基づく制御マップに、算出した操舵角速度Sωを代入することにより推定モータ回転速度Mωaを算出する。
モータ回転角度偏差算出部383は、モータ回転速度偏差算出部382が算出したモータ回転速度偏差ΔMωを積分することによりモータ回転角度偏差ΔMθを算出する(ΔMθ=∫ΔMω)。モータ回転角度偏差ΔMθは、電動モータ110の回転角度の内、例えばトルクリミッタ111cの滑り量に相当する角度で、回転力伝達系のラック軸105に伝達されなかった回転角度である。
通知部385は、故障が発生していると故障判断部384が判断した場合に、故障が発生している旨を2軸3相変換部51に通知する。
モータ回転角度補正部38は、電源投入時や電源断時等の特殊な場合を除く通常の動作時において、図7に示す各処理を一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行する。
モータ回転角度補正部38は、先ず、推定モータ回転速度Mωaを算出する(ステップ101)。これは、モータ回転速度推定部381が、操舵角センサ180が検出した操舵角Sθを読み込むとともに、上述したように、検出した操舵角Sθに基づいて操舵角速度Sωを算出し、算出した操舵角速度Sωに基づいて推定モータ回転速度Mωaを算出する処理である。
2軸3相変換部51においては、モータ回転角度補正部38から補正後モータ回転角度Mθcを取得した場合には、補正後モータ回転角度Mθcを用いて、d軸PI制御部42dおよびq軸PI制御部42qにて算出されたd軸目標電圧Vdcおよびq軸目標電圧Vqcを、U相目標電圧VucおよびW相目標電圧Vwcに変換する。また、V相目標電圧算出部52は、これらU相目標電圧VucおよびW相目標電圧Vwcに基づいてV相目標電圧Vvcを算出する。
他方、2軸3相変換部51は、モータ回転角度補正部38から伝動不能な故障が発生している旨の情報を取得した場合には、U相目標電圧Vuc及びW相目標電圧Vwcを零に設定する。そして、V相目標電圧算出部52は、V相目標電圧Vvcを零に設定する。
Claims (8)
- 車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータと、
前記電動モータのアシスト力をラック軸に伝達する伝達手段と、
前記電動モータの回転角度を検出する検出手段と、
前記伝達手段に伝達異常が生じた場合に前記検出手段で検出された検出回転角度を補正する補正手段と、
前記補正手段で補正された補正後回転角度に基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、
を備え、
前記補正手段は、前記伝達手段により伝達されなかった回転角度に基づいて、前記検出回転角度を補正する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記操舵角検出手段が検出した操舵角に基づいて算出した操舵角速度に対応する前記電動モータの回転速度と、前記検出回転角度に対応する回転速度との差に基づいて算出した回転速度偏差を積分することにより前記伝達手段により伝達されなかった回転角度を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記モータ制御手段は、前記伝達手段により伝達されなかった回転角度が予め定められた規定範囲外である場合に、前記電動モータの駆動を停止するよう印加電圧を零に決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記伝達手段は、前記電動モータから前記ラック軸に至る回転力伝達系に設けられたトルクリミッタを有する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動パワーステアリング装置。 - 車両のステアリングホイールの操舵に対してアシスト力を付与する電動モータと、
前記電動モータのアシスト力をラック軸に伝達する伝達手段と、
前記電動モータの回転角度を検出する検出手段と、
前記伝達手段に伝達異常が生じた場合に、前記伝達手段により伝達されなかった回転角度に基づいて、前記検出手段で検出された検出回転角度を補正する補正手段と、
前記電動モータに供給する目標電流を算出する目標電流算出手段と、
前記目標電流算出手段が算出した前記目標電流と、前記補正手段で補正された補正後回転角度とに基づいて前記電動モータを制御するモータ制御手段と、
を備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記モータ制御手段は、前記目標電流算出手段が算出した前記目標電流と前記電動モータに供給される実電流との偏差が零となるようにフィードバック制御を行うとともに、フィードバック制御された値と、前記補正後回転角度とに基づいて前記電動モータの制御量を決定する
ことを特徴とする請求項5に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記操舵角検出手段が検出した操舵角に基づいて前記電動モータの回転速度を推定するモータ回転速度推定部と、前記モータ回転速度推定部が推定した回転速度と前記検出回転角度に対応する回転速度との偏差であるモータ回転速度偏差を算出するモータ回転速度偏差算出部と、前記モータ回転速度偏差に基づいて前記伝達手段により伝達されなかった回転角度を算出するモータ回転角度偏差算出部と、を有する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の電動パワーステアリング装置。 - 前記補正手段は、前記モータ回転角度偏差算出部が算出した前記伝達手段により伝達されなかった回転角度に基づいて前記電動モータから前記ラック軸に至る回転力伝達系に故障が発生しているか否かを判別する故障判断部をさらに有する
ことを特徴とする請求項7に記載の電動パワーステアリング装置。
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