JP2015166119A - エンドミル - Google Patents

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秋山 喬
Takashi Akiyama
喬 秋山
中筋 智明
Tomoaki Nakasuji
智明 中筋
朴木 継雄
Tsugio Honoki
継雄 朴木
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Abstract

【課題】耐摩耗性に優れ、剛性が弱いワーク、例えばスクロール渦巻体の歯先/歯底などの加工においても、良好な表面粗さを維持できる上に、歯底−渦巻歯側面間の隅部Rを小さいまま維持することができるエンドミルを得る。
【解決手段】軸体の先端部に複数の底刃を設けたエンドミルにおいて、前記底刃を芯上がりとして前記軸体の回転中心位置に対する進行方向へのシフト量(C)を刃部外径の7〜15%にすると共に、前記底刃のすかし角(θ5)を0.5〜2°に形成することで、切り屑を巻き込まなくなり、表面粗さの悪化や工具の刃先の摩耗やチッピングを防ぐことを特徴としている。また、底刃のすくい角(θ1)を30°以上に形成したことで。剛性が低い渦巻歯の、加工負荷による振動を抑制し、スクロール渦巻体の歯先の表面粗さを良好にしたことを特徴としている。
【選択図】図1

Description

この発明は例えばスクロール圧縮機に用いるスクロール渦巻体の歯先や歯底などを加工形成する場合に好適に用いられる超硬エンドミルに関するものである。
従来のエンドミルとして、外周刃と底刃からなる切れ刃の数を10〜16枚とし、刃底の先端にさらえ刃を形成することで、高硬度焼結体のエンドミルと同等レベルの加工能率と高品質な加工面粗度、及び同等レベル以上の工具寿命を実現したものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2013−146804号公報(第4〜5頁、図1〜4)
上記のようなエンドミルにあっては、切れ刃の数が10〜16と多いにも関わらず、底刃の外周部で発生した切り屑を、工具中心部のすかしを通じて工具の進行方向の反対側に排出している。そのため、排出途中の切り屑を底刃が巻き込み、表面粗さの悪化や底刃が摩耗、もしくはチッピングを起こす、という問題点があった。また、底刃すくい角が小さいため切削抵抗の変動が大きく、剛性が弱い例えばスクロール渦巻体の歯先などを加工する際、切削抵抗の変動に起因してスクロールの渦巻歯が振動し、表面粗さが悪化する、という問題点がある他、歯底−渦巻歯側面間の隅部R(隅部におけるまるみ)を小さくしようとすれば刃先先端部が摩耗、もしくはチッピングを起こしやすく、逆に刃先先端部の摩耗やチッピングを防ごうとすれば歯底−渦巻歯側面間の隅部Rが大きくなるという問題点もあった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、耐摩耗性に優れ、剛性が弱いワーク、例えばスクロール渦巻体の歯先/歯底などの加工を重ねた場合においても、加工表面の良好な表面粗さを維持できる上に、歯底−渦巻歯側面間の隅部Rを小さい状態に維持できる超硬エンドミル(本書では単に「エンドミル」という)を得ることを目的としている。
この発明の第1の発明に係るエンドミルは、軸体の先端部に複数の底刃を設けたエンドミルにおいて、前記底刃を芯上がりとして前記軸体の回転中心位置に対する進行方向へのシフト量(C)を刃部外径の7〜15%にすると共に、前記底刃のすかし角(θ5)を0.5〜2°に形成したことを特徴とするものである。
また、この発明の第2の発明に係るエンドミルは、軸体の先端部に複数の底刃を設けたエンドミルにおいて、前記底刃のすくい角(θ1)を30°以上に形成したことを特徴とするものである。
この発明の第1の発明によれば、底刃を芯上がりとして、そのシフト量(C)を刃部外径の7〜15%にすると共に、底刃のすかし角(θ5)を0.5〜2°に小さくしたことで、切り屑を巻き込まなくなり、表面粗さの悪化や底刃の摩耗やチッピングを防ぐことができる。
また、この発明の第2の発明によれば、底刃のすくい角(θ1)を30°以上に大きく形成したことで、ワークが例えば剛性が低い渦巻歯の場合などに、加工負荷による振動が抑制され、加工面の表面粗さの悪化を防ぐことができる。
本発明の実施の形態1によるエンドミルを概略的に示す図であり、(a)は底刃側から軸方向に見た正面図、(b)は側面図。 底刃を芯下がりに配置したエンドミルの例を示す参考図。 本発明の実施の形態1によるエンドミルの底刃形状を説明する図であり、(a)はすかし角θ5とすくい面の幅Eを示す要部断面図、(b)は刃物角θ4を示す図。 底刃のすくい面がエンドミルの外周に達していないシャープコーナを有するエンドミルの例を示す参考図であり、(a)は底刃形状を示す要部断面図、(b)は刃物角θ4を示す図。 ギャッシュランド付きのエンドミルで加工したワークの加工隅部を示す断面図。 シャープコーナのエンドミルで加工したワークの加工隅部を示す断面図。 エンドミルでの底面加工後の底面の表面粗さRzとすかし角θ5との関連を示す図。 スクロール渦巻体の要部形状を示す断面図。 エンドミル刃先先端部の損耗の有無による加工差を概念的に比較して示す要部断面図であり、(a)は損耗がない場合、(b)は下側のスクロール渦巻体が損耗のあるエンドミルで加工された場合。 ワークの加工中に回転移動するエンドミルの1枚の刃が新たな加工開始ポイントに位置した時の様子を下から見た説明図であり、(a)は底刃が芯上がりの場合、(b)は底刃が芯下がりの場合、をそれぞれ示している。 エンドミルの軸方向の切り込み量が同じ場合に於ける、すかし角(θ5)が底刃のすくい面に与える影響を説明するための図であり、(a)はθ5が小さい場合、(b)はθ5が(a)よりも大きい場合。 スクロール渦巻体の渦巻歯に対して、エンドミルによる加工が始まるときにある1枚の刃がワークに近接した様子を横から見た図であり、(a)は本発明の実施の形態1の場合、(b)は従来の場合。 本発明の実施の形態1に係るエンドミルでスクロール渦巻体の加工を行ったときに得られた、加工数に対するワークの表面粗さの推移を示す図。 本発明の実施の形態1に係るエンドミルでスクロール渦巻体の隅部の加工を行ったときに得られた、加工数に対するワークの渦巻歯の根元の隅部Rの大きさの推移を示す図。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1によるエンドミルの先端部を概略的に示す図であり、(a)は底刃側から軸方向に見た正面図、(b)は側面図である。図2は底刃を芯下がりに配置したエンドミルの例を示す参考図、図3は本発明の実施の形態1によるエンドミルの底刃形状を説明する図であり、(a)はすかし角θ5とすくい面の幅Eを示す要部断面図、(b)は刃物角θ4を示す図である。なお、便宜上各図において、エンドミルの刃の外周部分は回転しているときの軌跡に相当する部分を示している。
まず、エンドミルの特徴について、図1を用いて説明する。エンドミル(超硬エンドミル)1は軸体の一端に複数の底刃4を有する刃部が形成されて成っており、底刃4は逃げ面2とすくい面3で形成されるエッジが刃先を形成している。加工中、エンドミル1は矢印Aの方向に回転しながら、矢印Bの方向に進む。ここで、エンドミル1の底刃4が、図1(a)のように、矢印Bで示す進行方向に対して、工具中心(回転中心軸)より前方にシフトしている場合を「芯上がり」と呼び、そのシフト量をCで表す。
一方、図2の参考図には、エンドミルの底刃4が進行方向Bに対して工具中心より後方にシフトしている場合を示している。この様な状態を「芯下がり」と呼ぶ。多くの一般的なエンドミルでは、エンドミルの底刃4と工具中心が一致している(C=0)。
また図1(b)において、エンドミル1の底刃4のすくい角をθ1、ねじれ角をθ2、底刃の逃げ角をθ3と表す。なお、一般的なエンドミルでは、底刃のすくい角θ1は1〜3°程度、底刃の逃げ角θ3は3〜7°程度に設定されている。
本実施の形態1によるエンドミル1の底刃4付近を拡大すると、図3(a)に示すように、底刃4のすくい面3がエンドミル1の外周にまで達している。この様な状態を「ギャッシュランド付き」と呼ぶ。ここで、エンドミル1の外周に於ける底刃4のすくい面3の幅(正面戻しの幅)をEとする。また、底刃4のすくい面3と底刃4の逃げ面2で成す角度を刃物角と呼び、θ4で表す。ここで、θ4=90°−θ1−θ3の関係が成り立つ。また、すかし5を形成するすかし角をθ5と表す。このすかし5は、切り屑をエンドミル1の進行方法に対して後方に排出するための空間である。
一方、図4は底刃のすくい面がエンドミルの外周に達していないシャープコーナを有するエンドミルの例を示す参考図であり、(a)は底刃形状を示す要部断面図、(b)は刃物角θ4を示す図である。なお、図4に示すように底刃のすくい面3がエンドミル1の外周に達していない状態のものを「シャープコーナ」と呼ぶ。
ギャッシュランド付きのエンドミルでは、図3(b)に示すように、刃物角θ4が大きく、刃先強度が上がるため耐チッピング性に富む一方、刃先コーナの後退により加工隅部にテーパ部が残るので、隅部の精密仕上げ加工には向かない。
図5はギャッシュランド付きのエンドミルで加工したワークの加工隅部を示す断面図、図6はシャープコーナのエンドミルで加工したワークの加工隅部を示す断面図である。
一般的なエンドミルにおいてギャッシュランドを設ける場合、多くはそのときのすくい面の幅Eを、E=0.1〜0.4mm程度としている。この場合の加工隅部は、側面側での削り残し量Fが、すくい面の幅Eと等しい、F=0.1〜0.4mm、底刃側での削り残し量Gが、G=0.015〜0.05mmである。一方、シャープコーナのエンドミルでは、刃先がシャープなので隅部の加工精度が良く、図6に示す様に、ギャッシュランド付きエンドミルで発生するテーパ部の削り残しは発生しないので、精密仕上げ加工に適する一方、刃物角θ4が小さく、刃先強度が小さいため耐チッピング性に劣るという問題がある。
図7はエンドミルでの底面加工後の底面の表面粗さRzとすかし角θ5との関連を示す図である。図7に示すように、底面の表面粗さRzはエンドミル1の底刃4の転写になるため、1刃当たりの送り量fとすかし角θ5を用いて下記の公式(1)にて表される。
Rz=f×tan(θ5) ・・・・式(1)
上記式(1)より、θ5を大きくすればするほど表面粗さRzが悪くなる事が分かる。
一般的なエンドミルにおいて、すかし角θ5は3〜5°程度である。
なお、本実施の形態1では、刃部外径(工具径)Dを9mm、底刃を0.8mmの芯上がり、底刃のすくい角θ1を30°、ねじれ角θ2を35°、底刃の逃げ角θ3を10°、すくい面の幅Eを0.5mm、すかし角θ5を1°、に設定している。
ここで、スクロール圧縮機の構成部品であるスクロール渦巻体について説明する。スクロール圧縮機の圧縮室は、容器に固定された固定スクロール渦巻体と、固定スクロール渦巻体に対し偏心旋回運動を行なう揺動スクロール渦巻体とから構成される。
図8はスクロール渦巻体の要部形状を示す断面図である。スクロール渦巻体6は、台板7とインボリュート形状の渦巻歯8から成っている。ここで渦巻歯8の先端を歯先9、隣り合う渦巻歯8の間の台板部分を歯底10、と呼ぶ。スクロール圧縮機の運転においては、後述する図9に示すように、それぞれの歯先9が相手の歯底10と摺動し、渦巻歯8の側面が相手側の渦巻歯8の側面と摺動する。この時の摩擦による損失を減らすため、歯先9と歯底10には高い表面粗さが求められる。
次に、エンドミルの刃先先端部に摩耗やチッピングなどの損耗がある場合のワークに与える影響について、ワークがスクロール圧縮機に組み合わせて用いられる固定スクロール渦巻体と揺動スクロール渦巻体の場合を例に図9を用いて説明する。なお、図9はエンドミル刃先先端部の損耗の有無による加工差を概念的に比較して示す要部断面図であり、(a)は損耗がない場合、(b)は下側のスクロール渦巻体が損耗のあるエンドミルで加工された場合を示している。先ず、エンドミルの刃先先端部に損耗がない場合、図9(a)に示すように、上側のスクロール渦巻体6Aと下側のスクロール渦巻体6Bは、上側の渦巻歯8Aと下側の渦巻歯8B同士、上側の歯先9Aと下側の歯底10B、及び下側の歯先9Bと上側の歯底10Aがそれぞれ互いに密に接触するように加工されるので、冷媒を圧縮するときの冷媒の漏れが抑制され効率的に稼働できる。
一方、図9(b)は、下側のスクロール渦巻体6Bを、刃先先端部が摩耗、ないしチッピングを起こして損耗しているエンドミルで加工され、正常に加工された上側のスクロール渦巻体6Aと組み合わせた様子を示している。この場合、下側のスクロール渦巻体6Bでは、エンドミルの刃先先端部の損耗の影響で渦巻歯8Bの根元が膨らんでいる。この膨らみに上側の歯先9Aが乗り上げると、互いの渦巻歯8A、8Bの間や、歯先9と歯底10の間に隙間ができてしまい、圧縮中の冷媒が漏れることで、圧縮効率が阻害されることになる。そのため、エンドミルはシャープな隅部を維持する必要がある。
次に、スクロール渦巻体6の歯底10を加工する場合について検討する。図10は、ワークの加工中に回転移動するエンドミルの1枚の刃が新たな加工開始ポイントに位置した時の様子を下から見た説明図であり、(a)は底刃が芯上がりの場合、(b)は底刃が芯下がりの場合、をそれぞれ示している。底刃が芯上がりの場合、図10(a)から分かるように、1枚の刃の中での加工点Pが底刃4の中心側から先端側に移動する。その結果、切り屑はエンドミル1の中心から外周側に向かって流れる。一方、底刃が芯下がりの場合、図10(b)から分かるように、1枚の刃の中での加工点Pが底刃4の先端側から中心側に移動する。その結果、切り屑はエンドミル1の外周側から中心に向かって流れる。
底刃4が芯下がりの場合、切り屑がエンドミル1の中心に集まるため、すかし角θ5を大きく設け、エンドミル1の進行方向に対して後方に切り屑を排出している。しかし、この切り屑を排出する際、底刃4が切り屑を噛み込む事がある。切り屑は塑性変形や加工熱の影響でワークより硬くなっている。そのため、切り屑を噛み込むとワーク表面を傷付けてしまい、表面粗さが悪化する。また底刃4は、切り屑を噛み込む事で工具表面が傷つき、摩耗やチッピングの原因になる。さらに、切り屑を排出するためにすかし角θ5を大きく設けると、前記式1によって明らかなように表面粗さが悪化する。
ここで、底刃のシフト量Cについて説明する。シフト量Cが小さい場合、工具の回転による振れや、加工負荷の変動により振動が発生した場合、切り屑が工具の中心側から先端側に流れず、切り屑を噛み込む事がある。これを防ぐため、シフト量Cは刃部外径Dの7%以上に設定する必要がある。一方、シフト量Cが大きい場合、工具の特に中心部において製作が困難になる。このため、シフト量Cを15%以下に設定する必要がある。
本実施の形態1では、底刃4を芯上がりにすることで切り屑をエンドミル1の中心から外周側に向かって排出している。そのため、切り屑を底刃4が噛み込む危険が無い。よって、切り屑を噛み込む事による表面粗さの悪化や、エンドミル1の摩耗、チッピングが発生しない。また切り屑が外周側から排出されるため、すかし角θ5を小さく設ける事が可能となり、前記式1より、表面粗さを改善できる。
図11はエンドミルの軸方向の切り込み量が同じ場合に於ける、すかし角θ5が底刃のすくい面に与える影響を説明するための図であり、(a)はすかし角θ5が小さい場合、(b)はすかし角θ5が(a)よりも大きい場合である。図11から明らかなように、すかし角θ5が小さい方が加工に使用する刃底のすくい面3の面積が広い。このため、摩耗やチッピングに対しては、すかし角θ5が小さい方が強い事が分かる。
ここで、すかし角θ5について説明する。すかし角θ5が小さ過ぎると底刃全面がワークに接するため加工負荷が増大し、工具が振動する。そのため、すかし角θ5を0.5°以上に設定する必要がある。一方、すかし角θ5が大き過ぎると、表面粗さが悪化し、さらに摩耗やチッピングに対して弱くなる。そのため、すかし角θ5を2°以下に設定する必要がある。
次に、スクロール渦巻体6の歯先9を加工する場合について説明する。図12はスクロール渦巻体の渦巻歯に対して、エンドミルによる加工が始まるときにある1枚の刃がワークに近接した様子を横から見た図であり、(a)は本発明の実施の形態1の場合、(b)は従来の一般的なエンドミルの場合である。
渦巻歯8は台板7に比べ剛性が低いため、歯先9の加工時の加工負荷の変動により振動し易い。そのため、歯底10より歯先9の方が表面粗さが悪い。従来のエンドミルでは図12(b)に示すように、底刃のすくい角θ1が1〜3°と小さいため、加工開始時の加工負荷が渦巻歯8に対して横方向に加わり、渦巻歯8が振動する。それに比べ図12(a)に示す本実施の形態では、底刃のすくい角θ1を30°と大きく設けているため、加工開始時の加工負荷が斜め上に加わり、渦巻歯8の振動を抑制できる。その結果、良好な歯先9の表面粗さを得ることができる。
ここで、歯底のすくい角θ1が30°未満であれば、歯先9の加工時に渦巻歯8が振動し、表面粗さが悪化する。
また、底刃の逃げ角θ3が小さい場合、底刃の逃げ面と歯先9とが接触する事で加工負荷が増大し、渦巻歯8が振動する事で表面粗さが悪化する。これを防ぐため、底刃の逃げ角θ3を10°以上に設定する必要がある。
さらに、刃物角θ4が小さい場合、エンドミル刃先強度が弱く、チッピングを起こしやすくなる。そのため、刃物角θ4を30°以上に設定する必要がある。
次に、渦巻歯8の根元の隅部について検討する。前述の通り渦巻歯8の根元は、シャープな隅部の維持が必要である。一般的なエンドミルでシャープな隅部を得るためには、シャープコーナが選択されるが、刃先強度が弱いためチッピングを起こしやすく、シャープな隅部の維持が困難である。これに対し、本実施の形態1では、歯先9の加工時における渦巻歯8の振動対策として、底刃のすくい角θ1を一般的なエンドミルより大きく取っている。底刃のすくい角θ1が30°の場合、すくい面の幅Eを0.5mmに設定しても、ワークの隅部の削り残し量を、側面側の削り残し量F=0.5mm、歯底側の削り残し量G=0.0005mmと、一般的なエンドミルより極端に小さく抑えることができる。そのため、本実施の形態では従来の一般的なギャッシュランド付きのエンドミルでは困難であった、シャープな隅部の維持が可能である。
ここで、正面戻しの幅Eについて説明する。正面戻しの幅Eが小さ過ぎる場合、刃先強度が弱くなりチッピングを起こしやすくなる。そのため、正面戻しの幅Eを0.1mm以上に設定する必要がある。正面戻しの幅Eが大き過ぎる場合、ワークの隅部の削り残し量が大きくなってしまう。そのため、正面戻しの幅Eを1.0mm以下に設定する必要がある。
図13は本発明の実施の形態1によるエンドミルでスクロール渦巻体の加工を行ったときに得られた、加工数に対するワークの表面粗さ(Rz)の推移を示す図である。なお、図13において、短鎖線はスペック値(Rz=6.3μm)、実線はワークの歯先、長鎖線はワークの歯底を示す。また、図14は本発明の実施の形態1によるエンドミルでスクロール渦巻体の隅部の加工を行ったときに得られた、加工数に対するワークの渦巻歯の根元の隅部Rの大きさの推移を示す図である。なお、図14において、短鎖線はスペック値(140μm)、実線は隅部Rを示す。また、工具の送り速度は、従来の技術によるCBN工具、及び実施の形態1のエンドミル共に、4,000mm/minである。
従来のCBN工具での平均寿命は130個であった(図示せず)のに対し、本実施の形態によるエンドミル1では、図13、図14に示すように、従来の2倍の260個加工した時点でも、加工されたワークの表面粗さ、及び隅部Rの何れもスペックを完全に満たしており、工具の寿命には達していない。このことより、本発明の実施の形態1によるエンドミルは、従来のCBN工具を大きく上回る工具寿命を得られることが確認された。
前述のように、実施の形態1のエンドミル1は、刃部外径Dを9mm、底刃のシフト量C=0.8mmの芯上がり、底刃のすくい角θ1を30°、ねじれ角θ2を35°、底刃の逃げ角θ3を10°、すくい面の幅Eを0.5mm、すかし角θ5を1°、に設定したが、それに限定されるものではなく、芯上がりのシフト量Cを刃部外径Dの7〜15%、底刃のすくい角θ1を30°以上、底刃の逃げ角θ3を10°以上、(ただし、刃物角θ4を30°以上)、すくい面の幅Eを0.1〜1.0mm、すかし角θ5を0.5〜2°の範囲にあるものも、上記エンドミル1と同等の効果を有する。また、図1では6枚刃を示しているが、刃数が7枚以上でも同等の効果が得られる。
上記のように、実施の形態1によれば、底刃4を芯上がりとして回転中心位置に対する進行方向へのシフト量(C)を刃部外径の7〜15%にすると共に、前記底刃のすかし角(θ5)を0.5〜2°と小さく形成したことにより、切り屑はエンドミル1の中心から外周側に向かって排出されるため、切り屑を底刃4が巻き込む事がなくなり、表面粗さの悪化や底刃の摩耗、チッピングを防ぐことができる。また、切り屑が外周側から排出されるため、すかし角θ5を1°と小さく設ける事が可能となり、刃底のすくい面3の面積も広くできるので、表面粗さを改善できる。

また、底刃のすくい角(θ1)を30°以上に大きく形成したことにより、剛性が低いスクロール渦巻体の歯先の加工において、加工負荷による渦巻歯の振動を抑制しスクロール渦巻体の歯先の良好な表面粗さを得ることができる。
また、底刃の逃げ角(θ3)を10°以上、刃物角(θ4)を30°以上、とした(ただし、刃物角(θ4)=90°−〔すくい角(θ1)〕−〔逃げ角(θ3)〕)ことにより、スクロール渦巻体の歯先の加工において、渦巻歯の振動を抑制し良好な表面粗さを得ることができる。
また、底刃の外周に於ける底刃すくい面の幅(正面戻しの幅)Eを0.1〜1.0mmに形成したことにより、ワーク隅部のテーパ状の削り残しが無い上に、工具の刃先先端部の摩耗やチッピングを抑制することができる。
また、底刃すくい角θ1を大きく形成した上ですくい面の幅Eを大きく形成した事で、ワーク隅部のテーパ状の削り残しをスペック内に収めることが容易となる上に、工具の刃先先端部の摩耗やチッピングを抑制する、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。このように、スクロール渦巻体6の歯先9、ならびに歯底10において、良好な表面粗さを得ることができる上、隅部Rの削り残しと摩耗やチッピングの両対策を施しているので、安価なエンドミル1にも関わらず、従来のCBN工具より長い工具寿命を得ることができる。
1 エンドミル、2 逃げ面、3 すくい面、4 底刃、5 すかし、6(6A、6B) スクロール渦巻体、7 台板、8(8A、8B) 渦巻歯、9(9A、9B) 歯先、10(10A、10B) 歯底、θ1 すくい角、θ2 ねじれ角、θ3 逃げ角、θ4 刃物角、θ5 すかし角、C シフト量、E すくい面の幅(正面戻しの幅)、F 削り残し量(側面側)、G 削り残し量(底刃側)、D 刃部外径、P 加工点、Rz 表面粗さ、f 1刃当たりの送り量。

Claims (5)

  1. 軸体の先端部に複数の底刃を設けたエンドミルにおいて、
    前記底刃を芯上がりとして前記軸体の回転中心位置に対する進行方向へのシフト量(C)を刃部外径の7〜15%にすると共に、前記底刃のすかし角(θ5)を0.5〜2°に形成したことを特徴とするエンドミル。
  2. 軸体の先端部に複数の底刃を設けたエンドミルにおいて、
    前記底刃のすくい角(θ1)を30°以上に形成したことを特徴とするエンドミル。
  3. 軸体の先端部に複数の底刃を設けたエンドミルにおいて、
    前記底刃を芯上がりとして前記軸体の回転中心位置に対する進行方向へのシフト量(C)を刃部外径の7〜15%にして、前記底刃のすかし角(θ5)を0.5〜2°に形成すると共に、前記底刃のすくい角(θ1)を30°以上に形成したことを特徴とするエンドミル。
  4. 前記底刃の逃げ角(θ3)を10°以上、刃物角(θ4)を30°以上、としたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のエンドミル。
    ただし、刃物角(θ4)=90°−〔すくい角(θ1)〕−〔逃げ角(θ3)〕
  5. 前記底刃の外周に於ける底刃のすくい面の幅(E)を0.1〜1.0mmに形成したことを特徴とする請求項4に記載のエンドミル。
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