JP2006255793A - 耐熱合金切削用エンドミル - Google Patents
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Abstract
【課題】インコネル等の耐熱合金の難削材に対して、皮膜の耐酸化性を向上させることによって優れた切削性能を有し、工具の長寿命化を果し得るエンドミルを提供する。
【解決手段】WC基超硬合金を用いて、複数の底刃、コーナ刃を介して外周部に設けられた複数の外周刃とを有する被覆エンドミルにおいて、該超硬合金の結合相は5〜15重量%のCoと、硬質相であるWC相は、粒度0.1〜1.0μmの微粒子が80面積%以上であり、該外周刃のすくい角は0°〜20°、該被覆は、Alと周期律表の4a、5a、6a族及びSiの1種以上と、窒素、酸素とを含み、且つ、電気伝導度が略0であることを特徴とする耐熱合金切削用エンドミルである。
【選択図】なし
【解決手段】WC基超硬合金を用いて、複数の底刃、コーナ刃を介して外周部に設けられた複数の外周刃とを有する被覆エンドミルにおいて、該超硬合金の結合相は5〜15重量%のCoと、硬質相であるWC相は、粒度0.1〜1.0μmの微粒子が80面積%以上であり、該外周刃のすくい角は0°〜20°、該被覆は、Alと周期律表の4a、5a、6a族及びSiの1種以上と、窒素、酸素とを含み、且つ、電気伝導度が略0であることを特徴とする耐熱合金切削用エンドミルである。
【選択図】なし
Description
本願発明は、ハステロイ、インコネル、ナイモニック等のNi基耐熱合金の切削加工に適した超硬合金製のエンドミルに関する。
航空機のエンジン等の構造材料として、高出力化並びに省燃費化を目的として、インコネル等のNi基耐熱合金の採用が増加している。しかし、これらのNi基耐熱合金は、高温強度が高いうえに加工硬化しやすく、熱伝導率が低く、切削工具との親和性も高いため、切削加工を行いにくい性質を有する難削材の1種である。特許文献1は、これらのNi基耐熱合金用のエンドミルとして不等ねじれを用いた例が記載され、特許文献2は、特許文献1同様、スクエアエンドミルで、複数の底刃および外周刃のすくい角をそれぞれ相違させた例が記載されている。特許文献3は、AlCrN系の硬質皮膜が記載され、800〜900℃においても酸化されない耐高温酸化特性に優れたAl−Cr−N系複合硬質皮膜が記載されています。
しかし、これらの材料の切削加工は、WC−Co系の超微粒子超硬合金製のエンドミルを用いても、約30m/min以下という、一般鋼の場合の1/5以下の切削速度で加工を行っており、更に、工具寿命は一般鋼の場合の1/2以下というのが現状である。
しかし、これらの材料の切削加工は、WC−Co系の超微粒子超硬合金製のエンドミルを用いても、約30m/min以下という、一般鋼の場合の1/5以下の切削速度で加工を行っており、更に、工具寿命は一般鋼の場合の1/2以下というのが現状である。
本願発明は、かかる従来の事情に鑑み、皮膜の耐酸化性を向上させることによって、インコネル等の耐熱合金の難削材に対して優れた切削性能を有し、しかも工具の長寿命化を果し得るエンドミルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願発明は、WC基超硬合金を用いて、複数の底刃、コーナ刃を介して外周部に設けられた複数の外周刃とを有する被覆エンドミルにおいて、該超硬合金の結合相は5〜15重量%のCoと、硬質相であるWC相は、粒度0.1〜1.0μmの微粒子が80面積%以上であり、該外周刃のすくい角は0°〜20°、該被覆は、Alと周期律表の4a、5a、6a族及びSiの1種以上と、窒素、酸素とを含み、且つ、電気伝導度が略0であることを特徴とする耐熱合金切削用エンドミルである。本構成を採用することにより、被覆された切れ刃そのものの耐酸化性が著しく向上するので、耐熱合金切削持の切れ刃との化学的反応(溶着)を減少させ、長寿命化を図ることができる。
本願発明は、耐熱合金切削時の耐酸化性が向上し、インコネル等の耐熱合金に対して優れた寿命を発揮するエンドミルが得られた。
本発明者らは、インコネル等のNi基合金等の切削加工における工具の摩耗機構を研究した結果、Ni基耐熱合金は、切削時に生じる熱が高く、その熱の影響により、切れ刃で、化学的反応(溶着)により生じた皮膜、基体の硬質粒子の剥離から工具刃先が鈍化して切削抵抗が増大するため、工具がその切削抵抗に耐えられなくなったときチッピングが発生し、これにより更に切削抵抗が増大すると同時に、切削温度の上昇から急激な逃げ面摩耗が発達し、短時間で寿命に至るという事実が判明した。この切削温度の上昇は、一般鋼に比べて200〜300℃高く、一般的な硬質皮膜の耐酸化性を超えている。
先ず、上記切削時の発熱は、切れ刃近傍では、1100〜1200℃前後まで上昇し、切削時間の経過と共に更に上昇する。そのため、耐熱合金用には、硬さの高い皮膜が用いられているが、特にTiCN系の硬質皮膜はHV30GPa程度の高硬度を特徴としているため、広く用いられているが、Tiを主としているため耐酸化性は低く、大気中では、800℃前後で酸化が始ってしまう。
本願発明のAlと周期律表の4a、5a、6a族及びSiの1種以上と、N、Oとを必須成分とする皮膜を用いることにより、耐酸化性を向上できるとともに、AlO等の酸化物が皮膜中に分散することにより、切れ刃で、化学的反応(溶着)が減少し、特に、Tiを含む皮膜にみられる皮膜中の酸化物の生成が減少し、ポーラスとならないため、皮膜の摩耗、剥離が減少し、正常な摩耗状態がより長く、維持される。本願発明の皮膜は、物理的蒸着法により設けた時、被覆層に圧縮残留応力を有するため亀裂が入り難く、被覆後も超硬合金の優れた強度と靭性を保持することができる。
更に、本願発明のO含有量は、電気伝導度が略0となる程度を下限とし、より好ましくは、1〜20原子%である。酸素含有量が1%未満では、電気伝導度が略0とならず、切削時の酸化反応の影響を受け、20%を超えると、AlNO皮膜自体の成膜に影響が、緻密な皮膜を製造することが難しくなるため、1〜20原子%の範囲とした。尚、被覆層全体の膜厚は、0.2μm未満では被覆による効果が得られず、10μmを越えると強度が低下しやすくなるため、0.2〜10μmの範囲とすることが好ましい。
先ず、上記切削時の発熱は、切れ刃近傍では、1100〜1200℃前後まで上昇し、切削時間の経過と共に更に上昇する。そのため、耐熱合金用には、硬さの高い皮膜が用いられているが、特にTiCN系の硬質皮膜はHV30GPa程度の高硬度を特徴としているため、広く用いられているが、Tiを主としているため耐酸化性は低く、大気中では、800℃前後で酸化が始ってしまう。
本願発明のAlと周期律表の4a、5a、6a族及びSiの1種以上と、N、Oとを必須成分とする皮膜を用いることにより、耐酸化性を向上できるとともに、AlO等の酸化物が皮膜中に分散することにより、切れ刃で、化学的反応(溶着)が減少し、特に、Tiを含む皮膜にみられる皮膜中の酸化物の生成が減少し、ポーラスとならないため、皮膜の摩耗、剥離が減少し、正常な摩耗状態がより長く、維持される。本願発明の皮膜は、物理的蒸着法により設けた時、被覆層に圧縮残留応力を有するため亀裂が入り難く、被覆後も超硬合金の優れた強度と靭性を保持することができる。
更に、本願発明のO含有量は、電気伝導度が略0となる程度を下限とし、より好ましくは、1〜20原子%である。酸素含有量が1%未満では、電気伝導度が略0とならず、切削時の酸化反応の影響を受け、20%を超えると、AlNO皮膜自体の成膜に影響が、緻密な皮膜を製造することが難しくなるため、1〜20原子%の範囲とした。尚、被覆層全体の膜厚は、0.2μm未満では被覆による効果が得られず、10μmを越えると強度が低下しやすくなるため、0.2〜10μmの範囲とすることが好ましい。
本願発明に用いるWC−Co系超硬合金は、その耐摩耗性を改善・向上させるために、WC相の粒度を小さくするか、結合相であるCoの量を少なくして硬度、すなわち結合相の平均自由工程を短くするように設ける。WC相の粒度は、0.1〜1.0μmで、全WC相の80%以上とする。結合相であるCo含有量は5重量%未満ではやはり靭性の低下が著しく、15重量%を越えると被削材との溶着が生じ易くなり、工具寿命が低下するので、Co量を5〜15重量%の範囲とした。本願発明の超硬合金は、原料粉末であるWC粉末の粒径を、上記Coと以下のV又はCrの炭化物、窒化物又は炭窒化物等の粉末と共に焼結することにより製造する。焼結方法としては、通常の真空焼結を用いることができるが、熱間静水圧プレス(HIP)焼結を用いたり、シンターHIP焼結を行えば、得られる超硬合金の抗折力を3GPa以上にすることができ、超硬合金の強度を高め、エンドミルとして用いたときの切削性能を更に高めることができる。
超硬合金の結合相中にV又はCrの炭化物、窒化物又は炭窒化物を含有させると、微粒WCの溶解及び析出による異常な粒成長を防ぐ効果がある。しかし、これら硬質粒子の含有量が合金全体の0.1重量%未満では粒成長防止の効果がみられず、3.0重量%を越えると超硬合金の強度に悪影響を及ぼすので、これらの硬質粒子の含有量は合金全体の0.1〜3.0重量%の範囲とすることが好ましい。
次に、Ti、Ta、(TaNb)、Nb等の炭化物、窒化物、炭窒化物も、超硬合金の結合相中に含まれることによって、強度、高温硬度、熱伝導率及び耐クレーター性の向上に効果がある。しかし、本発明の超硬合金においては、これら炭化物を多量に添加するとかえって超硬合金の強度低下を招くので、これらの炭化物及びそれらの固溶体の含有量は合計で5重量%以下とした。
次に、Ti、Ta、(TaNb)、Nb等の炭化物、窒化物、炭窒化物も、超硬合金の結合相中に含まれることによって、強度、高温硬度、熱伝導率及び耐クレーター性の向上に効果がある。しかし、本発明の超硬合金においては、これら炭化物を多量に添加するとかえって超硬合金の強度低下を招くので、これらの炭化物及びそれらの固溶体の含有量は合計で5重量%以下とした。
本願発明のエンドミルの外周刃のすくい角は、インコネル等の耐熱合金に対して切削加工を行なうと、切り屑が粘くて切削抵抗が大きいため、できる限りシャープな切れ刃とし、切削抵抗を軽減するため0°〜20°の範囲内とした。すくい角が0°未満、すなわち、負のすくい角となると切削抵抗が大きくなりすぎ、20°を超えるとチッピング等が生じやすくなるため、0〜20°とした。より好ましくは、2段すくい角とし、0°〜10°の1段目と、10°〜20°の2段目との2段すくい角とし、切屑の接触をより短くし、切削抵抗の軽減を図ることが好ましい。1段目のすくい面の長さは、切れ味を重視し、切削抵抗を軽減するため、その長さは0.2〜0.5mm程度で良い。2段目のすくい面は、切屑が接触しないように1段目より大きく設け、更に、その後に続く刃溝の底は大きな円弧状に設けて、切屑の流れを良くし、刃溝外へ排出する。以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
(実施例1)
市販の平均粒径0.3μm〜0.8μmの微粒WC粉末、Co粉末、Cr3C2粉末、VC粉末、TaC粉末を準備し、これらの原料粉末をボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、プレス成形し、圧粉体を真空中にて1450℃で焼結し、その後HIP処理し、本発明例の超硬合金を製作した。表1に、WC粉末の粒度、Co量、Cr3C2量、VC量、TaC量等の割合、並びに超硬合金中のWC相の面積率は、合金の鏡面研磨組織の光学顕微鏡観察及び走査型電子顕微鏡観察により測定した。
市販の平均粒径0.3μm〜0.8μmの微粒WC粉末、Co粉末、Cr3C2粉末、VC粉末、TaC粉末を準備し、これらの原料粉末をボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、プレス成形し、圧粉体を真空中にて1450℃で焼結し、その後HIP処理し、本発明例の超硬合金を製作した。表1に、WC粉末の粒度、Co量、Cr3C2量、VC量、TaC量等の割合、並びに超硬合金中のWC相の面積率は、合金の鏡面研磨組織の光学顕微鏡観察及び走査型電子顕微鏡観察により測定した。
得られた本発明例、比較例の各超硬合金試料を用いて、エンドミル径10mm、刃長30mm、外周刃のねじれ角45°、全長100mm、すくい角5°、刃数4枚刃のスクエァエンドミルを各試料毎に製作した。
次いで、各エンドミルを脱脂洗浄を十分に実施し、AIP装置の容器内の冶具に配置した。基体の温度は550℃となるよう加熱及び排気を行った。Arを容器内に導入し、容器内に設けられたカソード電極とアノード電極の間で放電によってArのイオン化を行った。Arと反応ガスとして窒素を容器内に導入し、全体の圧力を0.1Pa、バイアス電圧を−50Vに設定した。容器内にAl60原子%、Cr40原子%の複数配置したターゲットに250W、12.7W/cm2の電力を供給し、ガス系から窒素、酸素ガスを供給し、ターゲット上でプラズマ放電を行い、(Al0.60Cr0.40)(N0.95O0.05)皮膜を形成した。尚、皮膜自体の電気伝導度の測定は非常に難しく、実測が困難であるため、伝導性の有り無し、で判断した。上記(Al0.60Cr0.40)(N0.95O0.05)皮膜は、略0であった。
次いで、各エンドミルを脱脂洗浄を十分に実施し、AIP装置の容器内の冶具に配置した。基体の温度は550℃となるよう加熱及び排気を行った。Arを容器内に導入し、容器内に設けられたカソード電極とアノード電極の間で放電によってArのイオン化を行った。Arと反応ガスとして窒素を容器内に導入し、全体の圧力を0.1Pa、バイアス電圧を−50Vに設定した。容器内にAl60原子%、Cr40原子%の複数配置したターゲットに250W、12.7W/cm2の電力を供給し、ガス系から窒素、酸素ガスを供給し、ターゲット上でプラズマ放電を行い、(Al0.60Cr0.40)(N0.95O0.05)皮膜を形成した。尚、皮膜自体の電気伝導度の測定は非常に難しく、実測が困難であるため、伝導性の有り無し、で判断した。上記(Al0.60Cr0.40)(N0.95O0.05)皮膜は、略0であった。
各エンドミルを、インコネル713Cを切削速度30m/min、送り量0.10mm/rev(1刃当り0.025mm/刃)、切り込み0.5mm、ドライ切削で行い、逃げ面平均摩耗量が0.1mmに達するまでの時間を切削可能時間(分)とした。
その結果、酸化の影響が出るドライ切削では、強度が不足した比較例1、14がコーナー部に欠損を生じたが、皮膜の効果により、それ以外の各試料とも10分以上切削できた。初期摩耗の状態は、皮膜の効果でほぼ同様であった。60分迄継続すると、比較例13のCoを多く含有する試料の外周刃に突発的な欠損を生じた。摩耗状態は、切れ刃、特に基体が露出したため、すくい面に溶着物が観察された。本発明例2〜12の各試料は、60分迄継続できたが、摩耗は0.1mm前後であり、各試料とも溶着物が観察されたが、欠損は生じなかった。
その結果、酸化の影響が出るドライ切削では、強度が不足した比較例1、14がコーナー部に欠損を生じたが、皮膜の効果により、それ以外の各試料とも10分以上切削できた。初期摩耗の状態は、皮膜の効果でほぼ同様であった。60分迄継続すると、比較例13のCoを多く含有する試料の外周刃に突発的な欠損を生じた。摩耗状態は、切れ刃、特に基体が露出したため、すくい面に溶着物が観察された。本発明例2〜12の各試料は、60分迄継続できたが、摩耗は0.1mm前後であり、各試料とも溶着物が観察されたが、欠損は生じなかった。
(実施例2)
実施例1で用いた本発明例2〜12の各試料を、切削速度60m/minと倍にし、他は実施例1と同じ条件で切削試験を行った。
その結果、切削速度を上げると、皮膜の効果により、それ以外の各試料とも10分以上切削できた。初期摩耗の状態は、皮膜の効果でほぼ同様であった。更に、継続すると、15分で、本発明例12の外周刃に突発的な摩耗が生じ、欠損に至った。他の試料は、30分切削後、摩耗量が0.1mmを超え、摩耗状態を観察すると溶着物が観察されたが、正常な摩耗であった。
実施例1で用いた本発明例2〜12の各試料を、切削速度60m/minと倍にし、他は実施例1と同じ条件で切削試験を行った。
その結果、切削速度を上げると、皮膜の効果により、それ以外の各試料とも10分以上切削できた。初期摩耗の状態は、皮膜の効果でほぼ同様であった。更に、継続すると、15分で、本発明例12の外周刃に突発的な摩耗が生じ、欠損に至った。他の試料は、30分切削後、摩耗量が0.1mmを超え、摩耗状態を観察すると溶着物が観察されたが、正常な摩耗であった。
(実施例3)
本発明例10のエンドミルに、AIP装置のターゲットの一部をTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Siに換え、ガス系から窒素、酸素ガスの比率を調整することにより、比較例15(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.998O0.002)皮膜、本発明例16(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.99O0.01)皮膜、本発明例17(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.95O0.05)皮膜、本発明例18(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.90O0.10)、本発明例19(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.85O0.15)皮膜、本発明例20(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.80O0.2)皮膜、比較例21(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.75O0.25)皮膜、を製作した。電気伝導度は、比較例15では導電したが、本発明例16〜比較例21は略0であった。
上記各試料を、実施例2の切削速度60m/minでインコネルを切削した結果、比較例21は、皮膜の密着性が悪く、使用初期に皮膜が剥離したため、試験を中止した。酸素量の増加により、切削時間10分では、各試料とも正常な摩耗を示し、摩耗状態の観察では、酸素量の増加により、溶着物の減少が認められた。更に、継続し、30分迄延しても各試料とも、正常な状態で推移した。
本発明例10のエンドミルに、AIP装置のターゲットの一部をTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Siに換え、ガス系から窒素、酸素ガスの比率を調整することにより、比較例15(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.998O0.002)皮膜、本発明例16(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.99O0.01)皮膜、本発明例17(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.95O0.05)皮膜、本発明例18(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.90O0.10)、本発明例19(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.85O0.15)皮膜、本発明例20(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.80O0.2)皮膜、比較例21(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.75O0.25)皮膜、を製作した。電気伝導度は、比較例15では導電したが、本発明例16〜比較例21は略0であった。
上記各試料を、実施例2の切削速度60m/minでインコネルを切削した結果、比較例21は、皮膜の密着性が悪く、使用初期に皮膜が剥離したため、試験を中止した。酸素量の増加により、切削時間10分では、各試料とも正常な摩耗を示し、摩耗状態の観察では、酸素量の増加により、溶着物の減少が認められた。更に、継続し、30分迄延しても各試料とも、正常な状態で推移した。
(実施例4)
本発明例10のエンドミルのすくい角を2段として、本発明例22として、1段目のすくい角を2°、2段目のすくい角を10°、本発明例23として、1段目のすくい角を5°、2段目のすくい角を10°、本発明例24として、1段目のすくい角を8°、2段目のすくい角を10°、本発明例25として、1段目のすくい角を5°、2段目のすくい角を15°、本発明例26として、1段目のすくい角を5°、2段目のすくい角を20°とし、本発明例16の皮膜(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.99O0.01)を被覆した。
上記各試料を、実施例2の切削速度60m/minでインコネルを切削した結果、本発明例22〜26は、切削時間10分では、各試料とも正常な摩耗を示し、摩耗状態の観察では、すくい角を2段とすることにより、溶着物が更に減少した。更に、継続し、30分迄延しても各試料とも、正常な状態で推移した。
本発明例10のエンドミルのすくい角を2段として、本発明例22として、1段目のすくい角を2°、2段目のすくい角を10°、本発明例23として、1段目のすくい角を5°、2段目のすくい角を10°、本発明例24として、1段目のすくい角を8°、2段目のすくい角を10°、本発明例25として、1段目のすくい角を5°、2段目のすくい角を15°、本発明例26として、1段目のすくい角を5°、2段目のすくい角を20°とし、本発明例16の皮膜(Al0.60Cr0.35Si0.05)(N0.99O0.01)を被覆した。
上記各試料を、実施例2の切削速度60m/minでインコネルを切削した結果、本発明例22〜26は、切削時間10分では、各試料とも正常な摩耗を示し、摩耗状態の観察では、すくい角を2段とすることにより、溶着物が更に減少した。更に、継続し、30分迄延しても各試料とも、正常な状態で推移した。
Claims (5)
- WC基超硬合金を用いて、複数の底刃、コーナ刃を介して外周部に設けられた複数の外周刃とを有する被覆エンドミルにおいて、該超硬合金の結合相は5〜15重量%のCoと、硬質相であるWC相は、粒度0.1〜1.0μmの微粒子が80面積%以上であり、該外周刃のすくい角は0°〜20°、該被覆は、Alと周期律表の4a、5a、6a族及びSiの1種以上と、窒素、酸素とを含み、且つ、電気伝導度が略0であることを特徴とする耐熱合金切削用エンドミル。
- 請求項1記載の耐熱合金切削用エンドミルにおいて、該超硬合金の結合相中にV又はCrの炭化物、窒化物又は炭窒化物が、合金全体の0.1〜3.0重量%含むことを特徴とする耐熱合金切削用エンドミル。
- 請求項2記載の耐熱合金切削用エンドミルにおいて、該硬質相のWC相の一部をTi、Ta、(TaNb)、Nb等の炭化物、窒化物、炭窒化物及びそれらの固溶体が、合金全体の5重量%以下含むことを特徴とする耐熱合金切削用エンドミル。
- 請求項1記載の耐熱合金切削用エンドミルにおいて、該すくい角は、0°〜10°の1段目と、10°〜20°の2段目との2段すくい角としたことを特徴とする耐熱合金切削用エンドミル。
- 請求項1記載の耐熱合金切削用エンドミルにおいて、該皮膜の酸素含有量は、1〜20原子%であることを特徴とする耐熱合金切削用エンドミル。
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