JP2015160295A - 放電加工機および放電加工機を用いて加工品を製造する方法 - Google Patents

放電加工機および放電加工機を用いて加工品を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極保持具を超音波モータで駆動して転がり軸受けでガイドする放電加工機において、転がり軸受けの摺動抵抗が増大して加工に要する時間が長くなってしまう可能性を低減する。
【解決手段】超音波モータを駆動させることで電極の駆動方向における位置を制御する制御回路は、電極保持具の駆動方向への移動に対する抵抗が異常であることに基づいて、電極保持具を、複数個の転動体のうち最も大きい転動体が滑らずに転動して1回転したときの移動距離以上、移動させる。
【選択図】図10

Description

本発明は、放電加工機および放電加工機を用いて加工品を製造する方法。
従来、放電加工機において、電極を保持する電極保持具を移動させるために、電極保持具に接触するフィンガチップを有し、フィンガチップを超音波領域の周波数で環状に運動させて電極保持具を駆動する超音波モータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−104735号公報
このような超音波モータを用いた場合、電極保持具の移動は、非常に短い距離単位(例えば、1μm以下)で制御することが可能となる。しかし、発明者の実験によれば、電極保持具の駆動方向の移動をガイドする部材として、移動ブロックとレールの間に複数個の転動体を介在させる転がり軸受けを用いた場合、問題が発生する場合がある。
具体的には、非常に短い距離単位で電極保持具を長時間移動させていると、転がり軸受けの摺動抵抗が増大し、電極保持具の移動速度が遅くなってしまい、その結果、加工に要する時間が長くなってしまう可能性が高くなる。
このような現象の原因は、転輪体とその周囲の通路との間で発塵が起きてしまうことである。非常に短い距離単位での電極保持具の移動が多数回繰り返されると、転がり軸受け中の複数個の転輪体が回転しないまま微振動して移動することになり、その結果、転輪体とその周囲の通路との間の擦れ合うことで発塵が起きてしまう。
本発明は上記点に鑑み、電極保持具を超音波モータで駆動して転がり軸受けでガイドする放電加工機において、転がり軸受けの摺動抵抗が増大して加工に要する時間が長くなってしまう可能性を低減することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、電極(23)と被加工物(24)との間に電圧を印加することで放電を発生させ、その放電によって被加工物(23)を溶融させて加工する放電加工機であって、前記電極を保持する電極保持具(22)と、前記電極保持具に接触するフィンガチップ(21a)を有し、前記フィンガチップを超音波領域の周波数で環状に運動させることで前記電極保持具を駆動方向に移動させる超音波モータ(21)と、前記電極保持具に固定される移動ブロック(28b、28c)と、前記移動ブロックを支持すると共に前記移動ブロックの移動をガイドするレール(28a)と、前記移動ブロックと前記レールの間に介在する複数個の転動体(28d)とを有し、前記電極保持具の前記駆動方向の移動をガイドする転がり軸受け(28)と、前記超音波モータを駆動させることで、前記電極の駆動方向における位置を制御する制御回路(7)と、を備え、前記制御回路は、前記電極保持具の前記駆動方向への移動に対する抵抗が異常であることに基づいて、前記電極保持具を、前記複数個の転動体のうち最も大きい転動体が滑らずに転動して1回転したときの移動距離以上、移動させることを特徴とする放電加工機である。
レールと移動ブロックの間の摺動抵抗が通常よりも増大すると、電極保持具の駆動方向への移動に対する抵抗が通常ではなくなる。したがって、電極保持具の駆動方向への移動に対する抵抗が異常であることに基づいて、摺動抵抗の増大を解消するような作動を行うことで、適切に摺動抵抗の増大を抑えることができる。また、複数個の転動体のうち最も大きい転動体が滑らずに転動して1回転したときの移動距離以上、電極保持具を移動させることで、発塵があったとしても、それによって発生した塵を分散させることができるので、摺動抵抗の増大を抑えことができる。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
本発明の実施形態に係る放電加工機1の構成図である。 機構部の断面図である。 フィンガチップ21aの楕円運動と保持具本体22aの上昇移動の関係を示す図である。 フィンガチップ21aの楕円運動と保持具本体22aの下降移動の関係を示す図である。 リニアガイド28の構成図である。 リニアガイド28の無限循環路の伸びる方向に沿った無限循環路の断面図である。 位置制御処理のフローチャートであり 1つの憤孔を放電加工する際の電極駆動信号、電極位置、放電状態等の経時変化を示すタイミングチャートである。 放電状態53の時間推移の一例を示すグラフである。 複数の憤孔を加工する場合の電極保持具22の位置変化を例示するグラフである。 第1実施形態においけるガイド異常判定処理のフローチャートである。 無限循環路内で、ボール28dが偏っている状態を示す図である。 第2実施形態においけるガイド異常判定処理のフローチャートである。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態に係る放電加工機1(図1参照)は、電極と被加工物との間に電圧を加えることで放電を発生させ、その放電によって被加工物を溶融させて加工する装置である。
この放電加工機1は、図1に示すように、機構部2、放電電源3、放電状態検出回路4、位置検出回路5、モータアンプ6、および制御回路7を備えている。機構部2は、放電加工機1のうち、機械的作動を行う部分であり、超音波モータ21、電極保持具22、電極23等を備え、被加工物24が設置されるようになっている。
超音波モータ21は、電極保持具22を駆動方向(具体的には上下、かつ、電極23の送り方向)に移動させるモータであり、電極保持具22は、電極23を保持する部材である。電極23は、例えば中空(または中実)の銅、タングステン等の細線状の丸棒等から構成された細径(例えば、0.2mm以下の径)の針金形状の電極であり、電極保持具22が超音波モータ21によって駆動方向に移動するとき、同じように駆動方向に移動する。
放電電源3は、電極23および被加工物24の間に繰り返しパルス的に所定の電圧を印加する装置である。繰り返し周期は、例えば、数万分の1秒〜数千万分の1秒程度である。電極23が被加工物24から適切な距離だけ離れている場合に、電極23と被加工物24との間に電圧が印加されると、これらの間に放電が発生し、被加工物24の一部が溶融して加工が進む。
放電状態検出回路4は、放電電源3の放電状態(すなわち、電極23と被加工物24との間の放電状態)を常時検出し、その検出結果の放電状態を放電状態信号として制御回路7に出力する。検出される放電状態としては、電極23と被加工物24との間に印加される放電電圧、電極23と被加工物24の間に流れる放電電流等がある。
位置検出回路5は、電極保持具22の駆動方向における位置を検出して制御回路7出力する周知の回路である。
モータアンプ6は、制御回路7から受けた電極駆動信号に従って超音波モータ21を駆動する回路である。より具体的には、制御回路7から絶対値が所定値(具体的にはゼロ)を超える電圧レベルの電極駆動信号を受けている間に限り超音波モータ21を作動させ、受けた電極駆動信号の電圧レベルの絶対値が高いほど高速に超音波モータ21を作動させ、電極保持具22を高速に移動させる。以下では、絶対値が所定値(具体的にはゼロ)を超える電圧レベルの電極駆動信号を受けていることを、単に電極駆動信号を受けていると記す。
制御回路7は、CPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えた周知のマイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムを実行することで、放電状態検出回路4から受けた放電状態信号に基づいて、モータアンプ6に電極駆動信号を出力する。基本的には、電極23と被加工物24との間隔が放電に適切な間隔となるよう、モータアンプ6に対して電極駆動信号を出力することで、電極23の駆動方向における位置を制御する。
図2に、機構部2の詳細な構成を示す。機構部2は、上述の超音波モータ21、電極保持具22、電極23に加え、XYステージ25、背面プレート26、固定プレート27、リニアガイド28、側面プレート29、電極ガイドホルダ30、および電極ガイド31を備えている。
XYステージ25は、被加工物24を載置する台であり、X移動軸25xおよびY移動軸25y方向に移動させることで、電極23に対する被加工物24の水平面内の位置を変化させることができる。また、XYステージ25は、図示しない給電線を介して放電電源3のグラウンド側端子と導通する。
背面プレート26は、XYステージ25に固定された立ち壁であり、固定プレート27は、この背面プレート26に対して平行にネジ止め固定された板である。この固定プレート27の背面プレート26側とは反対側の面には、超音波モータ21、電極保持具22が固定される。
ここで、超音波モータ21について説明する。超音波モータ21は、電極23を駆動するためのモータであって、超音波領域の周波数でフィンガチップ21aを環状に運動させる(具体的には楕円運動させる)モータである。超音波モータ21の作動の速度は、フィンガチップ21aの楕円運動の単位時間当たりの回転数に相当する。フィンガチップ21aの楕円運動は、図2の紙面内における楕円運動となる。このような超音波モータ21としては、特許文献3に記載のマイクロモータを用いてもよい。このマイクロモータは、Nanomotion社からHR1モータという名称で広く販売されている。
より詳しくは、超音波モータ21は、長方形圧電セラミック素子上に、市松格子状に4箇所の電極を形成すると共に、その長方形の一辺の中央部にフィンガチップ21aを備えたモータである。超音波モータ21の4箇所の電極の内の2個所の対角線上の電極に50KHz程度の高周波電圧を加えることで、当該セラミック素子を伸縮および屈曲させてフィンガチップ21aに50kHz程度の回転数の楕円運動を生起させる。
電極保持具22は、保持具本体22a、第1保持部材22b、第1ベアリング22c、回転伝達部材22d、回転導電部材22e、導電ブラシ22f、第2ベアリング22g、および第2保持部材22hを備えている。
保持具本体22aは、電極保持具22の他の部材22b〜22hを保持すると共に、超音波モータ21の先端部のフィンガチップ21aと常時接触している。なお、保持具本体22aのうちフィンガチップ21aと接触する部分にはセラミックプレートが埋め込まれている。超音波モータ21が作動してフィンガチップ21aが楕円運動すると、当該圧電セラミック素子に付設されたバネにより、フィンガチップ21aの楕円運動が保持具本体22aに伝達され、保持具本体22aが駆動方向に直線的に移動する。また、保持具本体22aと電極保持具22の他の部材22b〜22hは、一体的に駆動方向に移動する。
ここで、フィンガチップ21aの楕円運動と保持具本体22aの移動の関係について、図3を用いて説明する。図3(a)に示すように、保持具本体22aを上方(すなわち、駆動方向に沿って被加工物24から離れる向き。第2の向きの一例に相当する。)に移動させる場合は、フィンガチップ21aを紙面の反時計回りに楕円運動させる。また、図3(b)に示すように、保持具本体22aを下方(すなわち、駆動方向に沿って被加工物24に近づく向き。第1の向きの一例に相当する。)に移動させる場合は、フィンガチップ21aを紙面の時計回りに楕円運動させる。
反時計回りの楕円運動時、フィンガチップ21aと保持具本体22aとは常に接触した状態にあるが、フィンガチップ21aが下降している段階よりも、フィンガチップ21aが上昇している段階の方が、フィンガチップ21aが保持具本体22aをより強く押圧する。したがって、保持具本体22aに及ぼすフィンガチップ21aの摩擦力は、フィンガチップ21aの上昇時の方が大きく、したがって、全体として見れば、保持具本体22aは上昇する。
また、時計回りの楕円運動時も、フィンガチップ21aと保持具本体22aとは常に接触した状態にあるが、今度はフィンガチップ21aが上昇している段階よりも、フィンガチップ21aが下降している段階の方が、フィンガチップ21aが保持具本体22aをより強く押圧する。したがって、保持具本体22aに及ぼすフィンガチップ21aの摩擦力は、フィンガチップ21aの下降時の方が大きく、したがって、全体として見れば、保持具本体22aは下降する。
また、フィンガチップ21aが楕円運動を停止した場合、フィンガチップ21aと保持具本体22aとが接触しているので、フィンガチップ21aと保持具本体22aとの摩擦力によって、保持具本体22aも停止する。
第1保持部材22b、回転伝達部材22d、回転導電部材22e、第2保持部材22hは、中心部に電極23が挿通され、中心部に相通される電極23を把持するようになっている。
回転伝達部材22dは、図示しない回転機構によって回転する部材である。回転機構としては、歯車機構等の接触方式の回転伝達機構を採用してもよいし、エアスピンドル機構(例えば、特許文献1参照)等の非接触方式の回転伝達方式を採用してもよい。例えば、歯車機構を採用する場合、回転伝達部材22dは、軸(電極23が挿通される部分)を中心に回転する歯車であり、回転伝達部材22dは、図示しない他の歯車と噛み合うことで、当該他の歯車から回転力を伝達されて回転する。
この回転伝達部材22dは、第1保持部材22b、回転導電部材22e、第2保持部材22hと一体的に回転するように構成されている。
また、第1保持部材22bは、第1ベアリング22cを介して、保持具本体22aに対して回転可能に、保持具本体22aに支持されている。また、第2保持部材22hは、第2ベアリング22fを介して、保持具本体22aに対して回転可能に、保持具本体22aに支持されている。
このようになっていることで、回転伝達部材22dが保持具本体22aに対して回転すると、第1保持部材22b、回転導電部材22e、第2保持部材22hが回転伝達部材22dと共に回転し、それと共に電極23も保持具本体22aに対して回転する。
また、回転導電部材22eは、導電ブラシ22fを介して放電電源3の非グラウンド側端子と導通する。このようになっていることで、放電電源3は、導電ブラシ22fを介して電極23に電圧を印加することができる。
電極チャックホルダ30は、電極保持具22の下部において背面プレート26に固定されている。また、電極チャック31は、この電極チャックホルダ30に対して回転可能に支持されると共に、第2保持部材22hから下方に延びる電極23が挿通される挿通孔を有している。この挿通孔を電極23が通ることで、電極23が位置決めされる。
側面プレート29は、XYステージ25に固定された立ち壁であり、リニアガイド28が固定されている。
なお、保持具本体22aは、リニアガイド28のリニア移動ブロック28b、28cに固定されている。リニア移動ブロック28b、28cは、リニアレール28aに対して離れないように係合されると共に、リニアレール28a上を駆動方向に沿って自在に移動可能な部材である。
リニアガイド28は、図2に示すように、側面プレート29に固定されるリニアレール28aと、リニアレール28aに対して移動可能に係合されたリニア移動ブロック28b、28cとを有している。
図3に、リニアガイド28の一部分の斜視図を示す。この斜視図では、リニア移動ブロック28b、28cのうちリニア移動ブロック28bのみを表しているが、リニア移動ブロック28cについてもリニア移動ブロック28bと同等の構成となっている。
リニア移動ブロック28b、28cは、軌道部材であるリニアレール28aに対し、多数の球形のボール28d(転動体の一例に相当する)を介して駆動方向にスライド可能に取り付けられている。リニアレール28aはその長手方向(駆動方向に該当する)と直交する断面が略矩形状に形成された長尺の部材であり、リニアレール28aのリニア移動ブロック28b、28c側の角部には、ボール28dが転がる際の軌道になる4つのボール転走溝28eがリニアレール28aの全長に渡って形成されている。これらのボール転走溝28eは、長手方向に直線的に伸びている。
リニア移動ブロック28b、28cの各々にも、ボール転走溝28eとそれぞれ対向する4つのボール転走溝28jが形成されている。リニアレール28aのボール転走溝28eとリニア移動ブロック28b、28cのボール転走溝28jとの間に複数のボール28dが挟まれている。さらにリニア移動ブロック28b、28cには、各ボール転走溝28jと平行に伸びる4条の戻し路28mが形成されている。さらにリニア移動ブロック28b、28cには、各戻し路28mとボール転送溝28jを結ぶ方向転換路が設けられている。
図6に、1条のボール転走溝28e、28j、1条の戻し路28m、およびそれらを繋ぐ2つの方向転路28pの組合せによって構成される無限循環路の断面図を示す。リニアガイド28には、無限循環路が4つ形成されることになる。
各無限循環路には、多数のボール28dが互いに接触、分離可能に一列に装填されていると共に、潤滑油が装填されている。基本的には、リニア移動ブロック28b、28cがリニアレール28aに対して移動する際、各ボール28dは荷重を受けつつ無限循環路中を回転して移動および循環するようになっている。なお、図3では、リニア移動ブロック28bの一部の記載を省略して無限循環路およびボール28dの配置を表している。
本実施形態では、リニアガイド28が有するボール28dの直径は、すべて同じ1mmである。ただし、ボール28dの直径には、個体差があってもよい。
以下、上記のような構成の放電加工機1の作動および放電加工機1を用いた加工方法について説明する。
まず、被加工物24を、XYステージ25上に設置する。本実施形態における被加工物24は、エンジンのシリンダ内に燃料(ガソリン燃料、ディーゼル燃料等)を噴射する燃料噴射ノズルのノズルボディの元となる部材であり、ノズルボディの外形を有した部材であるが、他の加工品の元となる部材であってもよい。
放電加工機1を用いた放電加工では、電極23と被加工物24との間に放電を発生させて被加工物24に1個憤孔を空ける工程を、憤孔を1個開ける毎にXYステージ25のX軸方向位置およびY軸方向位置を適宜変化させながら、繰り返す。これによって、燃料を噴射するための複数の憤孔が被加工物24の複数位置に空けられる。これらの憤孔を空けることで被加工物24はノズルボディとして完成するので、被加工物24の放電加工方法では、ノズルボディ(加工品の一例に相当する)の製造方法でもある。
作業者は、被加工物24をXYステージ25上に設置した後、放電電源3を作動させる。すると放電電源3は、所定の周期(例えば、数千万分の1秒の周期)で電極23と被加工物24との間にパルス電圧を印加し始める。
また作業者は、放電状態検出回路4、位置検出回路5、モータアンプ6、制御回路7を作動させる。すると、放電状態検出回路4は、電極23と被加工物24との間の放電状態(放電電流、放電電圧等)を示す放電状態信号を制御回路7に出力し始める。また位置検出回路5は、電極保持具22の駆動方向の位置を示す位置信号を制御回路7に出力し始める。
また、制御回路7は起動して、受けた放電状態信号に基づいて、電極23と被加工物24との間隔が放電に適切な間隔となるよう、モータアンプ6に対して電極駆動信号を出力するための位置制御処理を開始する。そしてモータアンプ6は、制御回路7から受けた電極駆動信号に応じて超音波モータ21を駆動する。
ここで、制御回路7の位置制御処理の詳細について、図7〜図11を用いて説明する。図7は、制御回路7が実行する位置制御処理のフローチャートであり、図8は、放電加工時の電極駆動信号、電極位置、放電状態、放電状態検出タイミングの経時変化を示すタイミングチャートである。
制御回路7は、位置制御処理においてまずステップ110で、新たに1つの憤孔の加工を開始するか否かを、例えば、作業者が放電加工機1に対して所定の開始操作を行ったことに基づいて判定する。この判定は、加工を開始すると判定するまで繰り返される。
制御回路7は、新たに1つの憤孔の加工を開始すると判定した場合、続いて一孔加工準備処理(ステップ111〜114)を実行する。具体的には、まずステップ111に進み、電極23と被加工物24のショートに関するフラグSをオフに初期化する。このフラグSは、制御回路7のメモリ(例えばRAM)中に保持されるデータである。
続いてステップ112では、電極保持具22を所定の原位置(ホームポジション)から所定の加工開始位置まで駆動方向下向き(第1の向きの一例に相当する)に下降させる下降制御を開始する。具体的には、電極保持具22を下降させるための電極駆動信号をモータアンプ6に出力し始める。なお、加工開始位置とは、電極23と被加工物24との間で放電を開始できる位置(具体的には、電極23の下端が被加工物24の上面に放電可能に近接するような位置)としてあらかじめ設定された位置である。
この電極駆動信号を受けたモータアンプ6は、そのレベルの絶対値に比例する速さで超音波モータ21のフィンガチップ21aを楕円運動させる。楕円運動の方向は、電極駆動信号のレベルが正の場合は電極保持具22を上昇させる方向(すなわち、図3における反時計回り)であり、電極駆動信号のレベルが負の場合は電極保持具22を下降させる方向(すなわち、図4における時計回り)である。ステップ112で出力し始める電極駆動信号のレベルは負の値であるので、電極保持具22および電極23は、駆動方向に沿って、被加工物24に近づくように下降し始める。
続いて制御回路7は、ステップ113で、所定下降期間だけ、位置検出回路5からの位置信号に基づいて、電極保持具22および電極23の下降速度Vd(第1の移動速度の一例に相当する)を測定する。なお、この所定下降期間においても制御回路7は、上記の電極駆動信号をモータアンプ6に出力し続けて電極保持具22および電極23を下降させ続ける。また、下降速度Vdは、この所定下降期間中の電極保持具22の移動速度の平均値でも、最大値でも、最小値でも、最頻値でもよいが、正の値として算出する。つまり、下降速度Vdは、所定下降期間中の電極保持具22の下降速度の統計代表値である。
この所定下降期間は、電極保持具22が原位置から移動し始めて加工開始位置に到達し得ない期間としてあらかじめ長さが設定された期間である。例えば、電極保持具22が原位置から移動し始めて加工開始位置に到達するのにかかる時間の1/2の長さの期間であってもよい。
続いて制御回路7は、ステップ114で、位置検出回路5から出力される位置信号に基づいて、電極保持具22が加工開始位置に到達するまで待ち、到達したことを検知すると、上述の電極駆動信号(電極保持具22を下降させるための電極駆動信号)の出力を終了することで、下降制御を終了する。これにより、電極保持具22および電極23は、下降を一旦停止する。
なお、ステップ112で下降制御を開始してからステップ114で下降制御を終了するまでの期間において、電極駆動信号のレベルは一定としてもよい。このようにすることで、フィンガチップ21aの楕円運動の周波数は一定に制御され、その結果、電極保持具22および電極23の下降速度も一定に制御される。したがってこの期間中、電極保持具22および電極23の加速も減速も殆ど無いので、下降速度Vdがリニアガイド28の摺動抵抗の影響をより明確に反映するようになる。ただし、ステップ112で下降制御を開始してからステップ114で下降制御を終了するまでの期間において、電極駆動信号のレベルが変化するようになっていてもよい。
続いて制御回路7は、ステップ115で電極駆動信号51(図8参照)を一定期間T1だけモータアンプ5に出力し続ける。出力する電極駆動信号のレベルYは、位置制御処理の開始後最初のステップ115では、ROMに記録されたデフォルト値Y0(Y0は負の値)となる。本事例では、位置制御処理の開始後最初のステップ115なので、レベルがデフォルト値Y0の電極駆動信号が、一定期間T1だけモータアンプ6に出力される。
このようなレベルY0の電極駆動信号を一定期間T1だけ受けたモータアンプ6は、そのレベルの絶対値に比例する速さで超音波モータ21のフィンガチップ21aを楕円運動させる。楕円運動の方向は、上述の通り、電極駆動信号のレベルの正負に応じて変化する。この場合のレベルY0は負の値であるので、電極保持具22および電極23の駆動方向における位置52は、被加工物24に近づくように、レベルY0に概ね比例する距離だけ、下降する。
なお、電極駆動信号51の出力中も、放電電源3は電極23と被加工物24との間に繰り返しパルス電圧を印加し続けている。電極駆動信号51の出力タイミングの間隔T0は、パルス電圧の印加タイミングの間隔に比べ、遙かに長い。例えば、間隔T0は、0.5msであり、電極駆動信号51の出力タイミングの間隔T0の間に、パルス電圧が1万回程度印加され、その度に、被加工物24から電極23までの距離等に応じた放電状態53で放電が発生する(距離等によっては放電しない場合もある)。
一定期間T1の電極駆動信号51の出力が終了すると、続いてステップ120で、時間の経過に従って変化するタイマ値tの値をゼロにリセットする。続いてステップ125では、タイマ値tがT2に到達するまで(すなわち、電極駆動信号51の連続出力終了後に期間T2が経過するタイミング54a〜54iまで)待ち、到達すると続いてステップ130に進む。なお、このタイマ値tがT2に到達するまで待っている間も、電極駆動信号51の出力中と同じく、放電電源3は電極23と被加工物24との間に繰り返しパルス電圧を印加し続けている。
また、このタイマ値tがT2に到達するまで待っている間は、電極駆動信号51がモータアンプ6に出力されないので、モータアンプ6は超音波モータ21を駆動しない。しかし、電極保持具22および電極23においては、慣性のため、それまでの移動速度が急にゼロになるわけではなく、フィンガチップ21aとの摩擦によって減速しつつそれまでの移動方向に進む。その際、期間T2が経過する前に移動速度がゼロになれば、期間T2が経過した時点でも移動速度はゼロのままとなる。
ステップ130では、現時点、すなわち電極23の移動速度がある程度減速した時点における、電極23と被加工物24の間の放電状態53を、放電状態検出回路4から受けた放電状態信号に基づいて検出する。現時点における電極23と被加工物24の間の放電状態53としては、その時点において放電状態検出回路4から受けている放電電圧Vgおよび放電電流の両方またはいずれか一方に基づく量であってもよい。あるいは、その時点から過去所定時間だけ遡る期間における、放電電圧の平均値Vgおよび放電電流の平均値のうち両方またはいずれか一方に基づく量であってもよい。所定時間としては、直前の電極駆動信号51の出力が終了したタイミング(すなわち、電極23が減速し初めるタイミング)まで遡らない時間であればよいが、例えば、T2/2またはそれより短い時間であれば、電極23の移動速度が十分低下していると考えられるので、より好ましい。
続いてステップ140では、直前のステップ130およびそれより前に実行したステップ130で取得した放電状態53に基づいて、電極23と被加工物24が短絡しており、かつ、連続して短絡している期間が基準時間Tsを超えているか否かを判定する。
ここで、基準時間Tsとしては、例えば、50msとする。基準時間Tsが50msで放電状態信号の検出間隔T0が0.5msであれば、短絡している放電状態信号を連続で取得した回数が100回を超えたときに、連続して短絡している期間が基準時間Tsを超えたことになる。
なお、放電状態53は、図9に示すように、各時点において放電状態検出回路4から受けている放電電圧Vgに基づく電圧値であり、この電圧値が高いほど電極23と被加工物24の間の距離が長いことを示すようになっていてもよい。この場合、この電圧値が最大値(8.0V)となったときには、電極23と被加工物24とは開放状態、すなわち、放電が発生しない状態にあり、この電圧値が最小値(0.0V)となったときには、電極23と被加工物24とは短絡状態にある。
電極23と被加工物24が短絡しており、かつ、連続して短絡している期間が基準時間Tsを超えていると判定した場合は、ステップ145に進み、それ以外の場合は、ステップ145をバイパスしてステップ150に進む。ステップ145では、フラグSをオンにし、その後ステップ150に進む。
ステップ150では、電極駆動信号51のレベルYを、ステップ130で検出した放電状態に基づいて、決定する。例えば、上述のY=K(Vg−Vc)という等式を用いて決定する。このようにして決定された電極駆動信号51のレベルYは、次に連続出力される電極駆動信号51のレベルである。なお、制御係数Kは、負の値であり、ステップ130で検出した放電状態の、理想的な放電状態に対するずれと、そのずれに応じた電極駆動信号51のレベルYとの比例関係を規定する係数であり、あらかじめ固定値として定められている。また、Vcは、理想的な放電状態に相当する放電状態信号の電圧レベルとしてあらかじめ定められた正の値である。
このような方法で、次にモータアンプ6に出力する電極駆動信号のレベルYを決定するので、例えば、現時点において電極23と被加工物24の間の距離が理想的な放電を実現する距離より長ければ、放電状態のレベルVgが基準レベルVcよりも高くなる。すると、電極駆動信号のレベルYの値が負値として算出され、その結果、次のステップ115で、電極保持具22および電極23が下降するよう制御される。
また例えば、現時点において電極23と被加工物24の間の距離が理想的な放電を実現する距離より短ければ、放電状態のレベルVgが基準レベルVcよりも低くなる。すると、電極駆動信号のレベルYの値が正値として算出され、その結果、次のステップ115で、電極保持具22および電極23が上昇するよう制御される。
特に、現時点において電極23と被加工物24が短絡していれば、放電状態のレベルVgがゼロになるので、すると、電極駆動信号のレベルYの値が最大値として算出され、その結果、次のステップ115で、電極保持具22および電極23が最も大きく上昇するよう制御される。
なお、ステップ150で決定されたレベルYによって次回のステップ115で電極保持具22が移動する距離は、最大でも数μm程度であり、ボール28dの径に比べて遙かに小さい。
続いてステップ160では、今回の加工対象の憤孔の加工が終了したか否かを判定する。例えば、放電状態検出回路4からの放電状態信号に基づいて、電極23が被加工物24を貫通したと判定したときに、今回の加工対象の憤孔の加工が終了したと判定するようになっていてもよい。あるいは、位置検出回路5からの位置信号に基づいて、電極保持具22が所定の加工完了位置に到達したと判定したときに、今回の加工対象の憤孔の加工が終了したと判定してもよい。
電極保持具22が所定の加工完了位置に到達していないと判定した場合は、続いてステップ165を実行し、到達したと判定した場合は、電極23を原位置に戻すためにステップ170に進む。
ステップ165では、タイマ値tがT0−T1に到達するまで待つ。時間T1は、1回の電極駆動信号51の出力持続期間なので、前回の電極駆動信号51の出力が終了してから時間T0−T1が経過したということは、前回の電極駆動信号51の出力開始タイミングから、電極駆動信号51の出力周期T0が経過したことを意味する。タイマ値tがT0−T1に到達すると、再度ステップ115に戻り、直前のステップ150で決定したレベルYの電極駆動信号51を、一定期間T1だけモータアンプ6に出力し続ける。
以後、このようなステップ115〜165のループを繰り返すことで、制御回路7は、図8に示すように、以下の作動(A)、(B)、(C)をこの順に繰り返す。
(A)一定周期T0で電極駆動信号51を出力して電極23を駆動する(ステップ115)。そして、電極駆動信号51の出力終了後、所定の時間T2が経過したときに(ステップ125)放電状態を検出する(ステップ130)。
(B)検出した放電状態に基づいて、短絡が基準時間Tsを超えて連続しているときに限り(ステップ140)フラグSをオンに変更する(ステップ145)。
(C)検出した放電状態に応じた電極駆動信号51のレベルYを決定し(ステップ150)、次の電極駆動信号51を(ステップ165)、その決定したレベルYの電極駆動信号として出力する。
なお、ステップ130の放電状態の検出タイミングの周期もT0である。
なお、上述の通り放電状態の検出対象のタイミングは、超音波モータ21が作動せず、電極23の駆動が行われておらず、電極23の慣性による移動速度が弱まったタイミングである。しかし、別の例として、放電状態の検出対象のタイミングは、超音波モータ21が作動して電極23の駆動が行われているタイミングであってもよい。
また制御回路7は、上述の通りステップ160で、電極保持具22が所定の加工完了位置に到達したと判定すると、すなわち、1つの憤孔の加工が終了すると、ステップ170に進む。ステップ170〜195では、一孔加工後処理を行う。具体的には、まずステップ170では、電極保持具22を現在の位置(例えば加工完了位置)から上記原位置まで駆動方向の上向き(第2の向きの一例に相当する)に上昇させる上昇制御を開始する。具体的には、電極保持具22を上昇させるための電極駆動信号をモータアンプ6に出力し始める。
この電極駆動信号を受けたモータアンプ6は、そのレベルの絶対値に比例する速さで超音波モータ21のフィンガチップ21aを楕円運動させる。楕円運動の方向は、当該電極駆動信号のレベルが正なので、電極保持具22を上昇させる方向(すなわち、図3における反時計回り)である。したがって、電極保持具22および電極23は、駆動方向に沿って、被加工物24に近づくように上昇し始める。
続いて制御回路7は、ステップ175で、所定上昇期間だけ、位置検出回路5からの位置信号に基づいて、電極保持具22および電極23の上昇速度Vu(第2の移動速度の一例に相当する)を測定する。なお、この所定上昇期間においても制御回路7は、上記の電極駆動信号をモータアンプ6に出力し続けて電極保持具22および電極23を上昇させ続ける。また、上昇速度Vuは、この所定下降期間中の電極保持具22の移動速度の平均値でも、最大値でも、最小値でも、最頻値でもよいが、正の値として算出する。つまり、上昇速度Vuは、所定上昇期間中の電極保持具22の上昇速度の統計代表値である。
この所定上昇期間は、電極保持具22が原位置から移動し始めて加工開始位置に到達し得ない期間としてあらかじめ長さが設定された期間である。例えば、電極保持具22が原位置から移動し始めて加工開始位置に到達するのにかかる時間の1/2の長さの期間であってもよい。
続いて制御回路7は、ステップ180で、位置検出回路5から出力される位置信号に基づいて、電極保持具22が原位置に到達するまで待ち、到達したことを検知すると、上述の電極駆動信号(電極保持具22を上昇させるための電極駆動信号)の出力を終了することで、上昇制御を終了する。これにより、電極保持具22および電極23は、上昇を一旦停止する。
なお、ステップ170で上昇制御を開始してからステップ180で上昇制御を終了するまでの期間において、電極駆動信号のレベルは一定としてもよい。このようにすることで、フィンガチップ21aの楕円運動の周波数は一定に制御され、その結果、電極保持具22および電極23の上昇速度も一定に制御される。したがってこの期間中、電極保持具22および電極23の加速も減速も殆ど無いので、上昇速度Vuがリニアガイド28の摺動抵抗の影響をより明確に反映するようになる。ただし、ステップ170で下降制御を開始してからステップ180で下降制御を終了するまでの期間において、電極駆動信号のレベルが変化するようになっていてもよい。
続いてステップ185で、ガイド異常判定処理を行う。ガイド異常判定処理では、リニアガイド28において摺動抵抗が通常時に比べて過度に大きくなるというガイド異常が発生したか否かを判定する。
ステップ190では、ステップ185のガイド異常判定処理の結果に従って、ガイド異常が発生したか否かを判定し、発生したと判定した場合は、ステップ195で上下限ストローク制御を実行し、その後、次の憤孔を加工するためにステップ110に戻る。発生していないと判定した場合は、ステップ195をバイパスして次の憤孔を加工するためにステップ110に戻る。ステップ195における上下限ストローク制御の詳細については後述する。
以上のように、制御回路7は、1つの被加工物24の複数の憤孔を加工する際、または、複数の被加工物24の複数の憤孔を加工する際、図7に示す位置制御処理を行う。そして、位置制御処理において、各孔の加工時に(ステップ110)、一孔加工準備処理(ステップ111〜114)を行い、その後に実加工処理(ステップ115〜165)を行い、その後、一孔加工後処理(ステップ170〜195)を行う。
そして、一孔加工準備処理では、電極保持具22を原位置から加工開始位置まで下降させると共に、上述の所定下降期間中の電極保持具22の移動速度Vdを検出する。
また、実加工処理では、被加工物24と電極23の間に放電を発生させ、その放電によって被加工物を溶融させながら、被加工物24に憤孔を掘り進めていく。そしてその実加工処理において、基準時間Tsを超えて電極23と電極保持具22がショートしたならば(ステップ140)、フラグSをオンにする(ステップ145)。
なお、上述の通り、実加工処理で短絡が一度でも発生したなら、その時点のステップ150で制御回路7は、電極23を被加工物24から離す向きに電極保持具22を移動させる制御を行うので、正常ならば、ステップ130の繰り返しにおいて短絡状態が多数回連続で検出されることは無い。短絡状態が多数回連続で検出されるということは、リニアガイド28における摺動抵抗が増大してリニアレール28aに対してリニア移動ブロック28b、28cが移動し難くなっている可能性が高い。
また、一孔加工後処理では、電極保持具22を加工完了位置から原位置まで上昇させると共に、上述の所定上昇期間中の電極保持具22の移動速度Vuを検出し、その後、ガイド異常判定処理の結果に従って、異常があれば上下限ストロークを実行する。
なお、上記の一孔加工準備処理、実加工処理、一孔加工後処理のいずれにおいても、電極保持具22が駆動方向に移動する場合は、常にリニア移動ブロック28b、28cは、電極保持具22と一体的に、リニアレール28aに沿って移動する。このリニア移動ブロック28b、28cのリニアレール28aに沿った移動により、リニアガイド28は、電極保持具22の駆動方向への移動をガイドする。
ここで、作業者が放電加工機1を用いて1つの被加工物24の複数の憤孔を加工する事例、または、複数の被加工物24の複数の憤孔を加工する事例について、図10を参照して説明する。
図10に示すように、1孔目の加工においては、まず作業者が、時点t10において、図1に示すように被加工物24をXYステージ25上に設置した後、放電電源3、放電状態検出回路4、位置検出回路5、モータアンプ6、制御回路7を作動させる。
そして作業者は、時点t11において、放電加工機1に対して所定の開始操作を行うと、制御回路7は、ステップ110からステップ111に進んで一孔加工準備処理を行う。すると、図10の実線60に示すように、電極保持具22の位置が、実加工時に比べて高速かつ一定速度で、原位置から加工開始位置まで下降する。
そして時点t12において電極保持具22が加工開始位置に到達すると、制御回路7は一孔加工準備処理を終了して実加工処理を開始する。なお、時点t11から時点t12までにかかる時間は、例えば0.5秒である。
時点t12以降は、電極23によって被加工物24の憤孔がゆっくりと掘り進められ、時点t13において、電極23が被加工物24を貫通し、更にその後の時点t14で、制御回路7がステップ160で今回の憤孔の加工が終了したと判定し、実加工処理を終了する。時点t12から時点t14までにかかる時間は、例えば10〜30秒である。
なお、1孔目の憤孔では、基準時間Tsを超える短絡は発生しなかったとする。したがって、時点t12から時点t14までの期間において、制御回路7は常にステップ140からステップ145をバイパスしてステップ150に進む。したがって、時点t14においてフラグSはオフのままである。
時点t14以降、制御回路7は、ステップ170に進んで一孔加工後処理を行う。すると、上述の通り、図10の実線60に示すように、電極保持具22の位置が、実加工時に比べて高速かつ一定速度で、加工完了位置から原位置まで上昇する。
そして時点t15において電極保持具22が原位置に到達すると、制御回路7は、ステップ185で、ガイド異常判定を行う。ガイド異常判定では、図11に示すように、まずステップ205で、直前のステップ113で測定した下降速度Vd(正の値)が、所定の下降基準速度Vd0(第1の基準速度の一例に相当する)より小さいか否かを判定する。そして、下降速度Vdが下降基準速度Vd0(正の値)よりも小さい場合は、ステップ225に進み、ガイド異常が発生したと判定し、ガイド異常判定を終了する。また、下降速度Vdが下降基準速度Vd0以上の場合は、ステップ210に進む。
通常ならば、リニア移動ブロック28b、28cが移動すると、ボール28dはリニアガイド28の内部で自転することで空間内を転がり、その結果、リニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cとの間の摺動抵抗が低減される。これは、ボール28dの転がりによる抵抗軽減の効果と、ボール28dの転動(転がり移動)に伴って無限循環路中で潤滑油が移動することで、無限循環路内に潤滑油が万遍なく行き渡ることの効果の両方によってもたらされる。
しかし、上述の通り、実加工処理中の各ステップ115で電極保持具22が移動する距離(すなわち、リニア移動ブロック28b、28cの移動距離)は、最大でも数μmであるのに対し、リニアガイド28中のボール28dの直径は、1mm程度と大きい。したがって、ボール28dは、転がらずに高周波微振動をしながら移動してしまう。また、個々のボール28dの移動量のばらつきが大きくなってしまう。
この状態が継続すると、図12に示すように、無限循環路内のボール28dの分布に偏りが生じてしまい、ボール28dが密集している部分では、ボール28d同士の相互接触が多くなってしまう。その結果、ボール28d間の摩擦力により、リニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cとの間の摺動抵抗が増大してしまう。また、ボール28dの移動量が小さいので、無限循環路内に潤滑油が万遍なく行き渡り難くなり、その結果、ボール28d同士が噛み合う状態となってしまう。また、潤滑油が万遍なく行き渡っていない状態でボール28dが回転せずに高周波微振動しながら移動してしまうと、ボール28dと無限循環路とが擦れ合うことで、発塵が起きてしまう。この発塵によって発生した塵は、ボール28dと噛み合うことで、リニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cとの間の摺動抵抗を増大させる。このような状態は、摺動抵抗が通常時に比べて過度に大きくなるというガイド異常の状態である。
このようにリニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cとの間の摺動抵抗が増大すると、電極保持具22の駆動力が同じならば、電極保持具22の移動速度が低下する。本実施形態では、これを利用して、所定下降期間における電極保持具22の下降速度Vdが所定の下降基準速度Vd0より小さい場合に(ステップ205)、ガイド異常が発生したと判定する(ステップ225)。下降基準速度Vd0は、例えば通常ならば孔加工準備処理時において電極保持具22が下降すると想定される速度の1/2としてあらかじめ定められてもよい。
続いてステップ205で、直前のステップ175で測定した上昇速度Vu(正の値)が、所定の上昇基準速度Vu0(第2の基準速度の一例に相当する)より小さいか否かを判定する。そして、上昇速度Vuが上昇基準速度Vu0(正の値)よりも小さい場合は、ステップ225に進み、ガイド異常が発生したと判定し、ガイド異常判定を終了する。また、上昇速度Vuが上昇基準速度Vu0以上の場合は、ステップ215に進む。
つまり、上述の通り摺動抵抗が増大すると電極保持具22の移動速度が低下することを利用して、所定上昇期間における電極保持具22の上昇速度Vuが所定の上昇基準速度Vu0より小さい場合にも(ステップ210)、ガイド異常が発生したと判定する(ステップ225)。上昇基準速度Vu0は、例えば通常ならば孔加工準備処理時において電極保持具22が上昇すると想定される速度の1/2としてあらかじめ定められてもよい。なお、電極保持具22およびリニア移動ブロック28b、28cにかかる重力を考慮すると、制御回路7が出力する電極駆動信号のレベルの絶対値が所定下降期間と所定上昇期間とで同じ場合、下昇基準速度Vd0は上昇基準速度Vu0よりも大きく設定される。
このように、制御回路7は、電極保持具22の駆動方向の移動速度Vd、Vuと基準速度Vd0、Vu0とを比較することで、電極保持具22の移動に対する抵抗が異常であるか否かを判定する。
そして、基準速度Vd0と比較する移動速度Vdは、1つの憤孔の加工を開始するために電極保持具22を原位置から被加工物24の方向に移動させる際の電極保持具22の移動速度である。また、基準速度Vu0と比較する移動速度Vuは、同じ1つの憤孔の加工を終了した後に電極保持具22を原位置に戻す際の電極保持具22の移動速度である。
1つの憤孔の加工の開始前と開始後の移動の工程は、加工の工程において通常存在する工程なので、このような工程における移動速度を比較に用いることで、移動速度を検出するための特別な期間を設ける必要がない。したがって、加工のスピードアップに繋がる。また、1つの憤孔の加工の開始前と開始後の移動の工程は、1つの孔の加工工程のうちでも、電極保持具を一方向に長く移動させることができる期間であるので、この期間においては移動速度を高い精度で検出可能である。
また、制御回路7は、下降速度Vdが下降基準速度Vd0よりも小さいという条件と、上昇速度Vuが上昇基準速度Vu0よりも小さいという条件と、のうち、少なくとも1つが満たされていれば、他方が満たされていなくても、ガイド異常が発生したと判定する。
このようにするのは、複数のボール28dの偏りによって摺動抵抗が増大した場合、電極保持具22が下向きと上向きのうち両方に移動し難くなるとは限らず、一方の向きにのみ移動し難くなる場合があるからである。上記のように、下降速度Vdと上昇速度Vuのうち1方でも異常を検知したときにガイド異常が発生したと判定することで、電極保持具22が一方の向きにのみ移動し難くなる場合にも対応可能となる。
ステップ215では、フラグSがオンであるか否かを判定し、オンであると判定すればステップ225に進み、ガイド異常が発生したと判定し、ガイド異常判定を終了する。また、オフであると判定すれば、ステップ220に進み、ガイド異常が発生していないと判定し、ガイド異常判定を終了する。
このように制御回路7は、フラグSがオンの場合、すなわち、直前の実加工処理において電極23と被加工物24が短絡している期間が基準時間Tsを超えた場合、電極保持具22の移動に対する抵抗が異常であると判定する。
リニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cとの摺動抵抗が異常であると、電極23と被加工物24との短絡時に電極23を被加工物24から離そうと制御しても離れない場合がある。したがって、上記のように、電極23と被加工物25が短絡している期間に基づいて、電極保持具23の移動に対する抵抗が異常であるか否か、すなわち、ガイド異常が発生しているか否かを判定することができる。
例えば、図10の事例において、1孔目の加工のための孔加工準備処理時(t11−t12)実加工処理時(t12−t14)、一孔加工後処理t14−t15においては、ガイド異常が発生していなかったとする。この場合、電極保持具22の移動は通常通りの速度で行われ、短絡があってもすぐに解消する。したがって制御回路7は、図11のステップ205で下降速度Vdが下降基準速度Vd0以上であると判定してステップ210に進む。そしてステップ210で上昇速度Vuが上昇基準速度Vu0以上であると判定してステップ215に進み、ステップ215でフラグSがオフであると判定してステップ220に進み、異常なしであると判定する。したがって、ステップ190では、ガイド異常なしと判定して、ステップ195をバイパスしてステップ110に戻る。
1つ目の憤孔の加工が完了した後、時点t15から時点t16までの期間において、作業者は、被加工物24をXYステージ25から一旦取り外すか、あるいは、制御回路7が自動的にXYステージ25を移動させる。これにより、電極23の移動を遮らない位置に被加工物24が移動される。その後、作業者または制御回路7が、被加工物24に2つ目の憤孔を開ける位置が、電極23の直下に位置するよう、被加工物24を移動させる。そしてその後、作業者は、時点t16において、放電加工機1に対して所定の開始操作を行うと、制御回路7は、ステップ110からステップ111に進む。その後の時点t16から時点t17までの期間における制御回路7の制御および放電加工機1の作動は、時点t11から時点t15までの制御および作動と同じである。このような作業を作業者が繰り返すことで、被加工物24に複数個の憤孔が形成されていく。
そして、作業者は、被加工物24に最後の憤孔を開ける位置が、電極23の直下に位置するよう、被加工物24を移動させ、時点t18において、放電加工機1に対して所定の開始操作を行うと、制御回路7は、ステップ110からステップ111に進む。
その後の時点t18から時点t22までの期間における制御回路7の制御および放電加工機1の作動は、時点t11から時点t15までの制御および作動と基本的に同じである。ただし、時点t18の時点で、既にガイド異常が発生していたとする。
そして、以下の(p)、(q)、(r)のうちいずれか1つのみ、または任意の2つのみ、あるいは全部が発生したとする。
(p)時点t18−時点t19の一孔加工準備処理時において測定される電極保持具22の下降速度Vdが、基準下降速度Vd0より小さくなった。
(q)時点t19−時点t21の実加工準備処理時において、図9の期間T3のように、基準時間Tsを超えて短絡があった。
(r)時点t21−時点t22の一孔加工後処理時において測定される電極保持具22の上昇速度Vuが、基準上昇速度Vu0より小さくなった。
すると、制御回路7は、時点t22に行うガイド異常判定処理で、上記(p)が発生していれば、(q)が発生していてもいなくても、(r)が発生していてもいなくても、ステップ205からステップ225に進み、ガイド異常が発生したと判定する。また、上記(p)が発生しておらず(r)が発生していれば、(q)が発生していてもいなくても、ステップ210からステップ225に進み、ガイド異常が発生したと判定する。また、上記(p)も(r)も発生しておらず、(q)が発生していれば、ステップ215からステップ225に進み、ガイド異常が発生したと判定する。したがって制御回路7は、図7のステップ190でガイド異常が発生したと判定し、ステップ195に進む。
ステップ195では、上下限ストローク制御を実行する。具体的には、まず、所定の待機時間だけ待機する。その待機時間の間に、作業者は、まず、被加工物24をXYステージ25から一旦取り外すか、あるいは、XYステージ25を移動させて、電極23の移動を遮らない位置に被加工物24を移動させる。そして待機時間が経過した時点t23において、図10に示すような方法で、電極保持具22を移動させる。
具体的には、まず時点t23から時点t24まで、正の最大の電極駆動信号をモータアンプ6に出力し続ける。これにより、モータアンプ6は、超音波モータ21を用いて、性能上可能な最大の上昇速度で、電極保持具22を上昇させ続ける。
そして制御回路7は、時点t24で、電極保持具22が性能上可能な上限位置に到達したことを位置検出回路5からの位置信号に基づいて検出すると、次は、時点t24から時点t25まで、負の最低の電極駆動信号をモータアンプ6に出力し続ける。これにより、モータアンプ6は、超音波モータ21を用いて、性能上可能な最大の下降速度で、電極保持具22を下降させ続ける。
そして制御回路7は、時点t25で、電極保持具22が性能上可能な下限位置に到達したことを位置検出回路5からの位置信号に基づいて検出すると、次は、時点t25から時点t26まで、正の最大の電極駆動信号をモータアンプ6に出力し続ける。これにより、モータアンプ6は、超音波モータ21を用いて、性能上可能な最大の上昇速度で、電極保持具22を上昇させ続ける。
そして制御回路7は、時点t26、電極保持具22が原位置に到達したことを位置検出回路5からの位置信号に基づいて検出すると、電極駆動信号のレベルをゼロにする。これにより、モータアンプ6は、超音波モータ21の作動を停止させ、電極保持具22の移動を止める。以上が、ステップ195における上下限ストローク制御である。制御回路7は、ステップ195の後は、ステップ110に戻る。
なお、本事例では、最後の憤孔の加工後に上下限ストローク制御を行ったが、上記(p)、(q)、(r)が発生するのは、最後の憤孔以外の憤孔(例えば、1個目の憤孔、2個目の憤孔)の場合もある。その場合は、当該最後の憤孔以外の憤孔についての一孔加工後処理において、上記と同様に、ステップ190でガイド異常ありと判定し、ステップ190で上下限ストロークを実行する。
なお、原位置から上限までの距離、および原位置から下限までの距離は、リニアガイド28に含まれているすべてのボール28dのうち最も直径が大きい最大ボールが滑らずに転動して1回転したときの移動距離(つまり、最大ボールの大円の長さ)以上とする。
このようにすることで、時点t23から時点t24までの間にボール28dが一回転以上し、時点t24から時点t25までの間にボール28dが二回転以上、時点t25から時点t26までの間にボール28dが一回転以上する。したがって、ボール28dの配置の偏りが解消する。また、ボール28dが一度に長い距離移動するので、潤滑油が万遍なく行き渡り易くなる。また、発塵があったとしてもそれによって発生した塵を分散させることができる。その結果、リニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cとの間の摺動抵抗の増大が解消される。
なお、時点t23から時点t26までの時間は、1つの憤孔の実加工処理にかかる時間よりも遙かに短い時間(例えば3秒)である。
このように、制御回路7は、電極保持具22を、最大ボールが滑らずに転動して1回転したときの移動距離分、高速に移動させることで、リニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cとの間の摺動抵抗の増大を解消する。このようにすることで、電極保持具22の移動がスムースになり、ひいては、憤孔の加工に要する時間を低減することができる。
また、1回の上下限ストローク制御においては、電極保持具22は、上方に連続して最大ボールの大円の長さ以上移動すると共に、下方にも連続して最大ボールの大円の長さ以上移動する。
ボール28dの偏り方によっては、電極保持具22を一方向にのみ最大ボールの大円の長さ以上移動させただけでは偏りが解消しない場合がある。そのような場合でも、電極保持具22を両方向に最大ボールの大円の長さ以上移動させれば、偏りが解消する可能性が高くなる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、制御回路7が図7のステップ180で実行するガイド異常判定処理の内容を、図11の処理から図13の処理に変更したものである。
図13の処理は、図11の処理のステップ205、210をステップ208に置き換えたものである。ステップ208では、直前のステップ113で測定した下降速度Vd(正の値)と、直前のステップ175で測定した上昇速度Vu(正の値)との差の絶対値が所定の基準速度差VTより大きいか否かを判定する。そして、当該絶対値が基準速度差VTより大きい場合は、ステップ225に進んでガイド異常が発生したと判定する。また、当該絶対値が基準速度差VT以下である場合は、ステップ220に進んでガイド異常が発生していないと判定する。
このように、下降速度Vdと上昇速度Vuとの比較に基づいてガイド異常の発生の有無を判定することで、ガイド異常により電極保持具22が一方の向きにのみ移動し難くなる場合にも対応可能となる。また、電極保持具22が両方の向きに移動し難くなる場合でも、ボール28dの偏りによって摺動抵抗が増大した場合は、下方への移動に対する抵抗と上方への移動に対する抵抗とは、同じにならず大きく異なる可能性が高いので、電極保持具22が両方の向きに移動し難くなる場合にも対応可能である。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。例えば、以下のような変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
上記各実施形態では、リニアガイド28の無限循環路に入っているボールは、ボール28d間の間隔を一定に維持すると共にボール28d相互を連鎖させるボールリテーナで連結されていない。しかし、リニアガイド28の無限循環路に入っているボールは、ボールリテーナで連結されているボール28dであってもよい。この場合でも、本発明とボールリテーナ無しのボール28dと同様の発塵の問題が発生し、上記の上下限ストローク制御により、問題が解消される。
(変形例2)
上記各実施形態では、リニアガイド28は、リニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cの間に球形のボール28dが介在されているが、球形のボール28dに変えて円柱形のころを介在させてもよい。つまり、リニアレール28aとリニア移動ブロック28b、28cの間に介在させるのは、複数個の転動体であればよい。また、直線的な移動をガイドするリニアガイド28を、曲線的な移動をガイドするガイドに置き換えてもよい。つまり、ガイド28は、転がり軸受けであればよい。
1 放電加工機
22 電極保持具
23 電極
21 超音波モータ
21a フィンガチップ
28 リニアガイド
28a リニアレール
28b、28c リニア移動ブロック
28d ボール

Claims (8)

  1. 電極(23)と被加工物(24)との間に電圧を印加することで放電を発生させ、その放電によって被加工物(23)を溶融させて加工する放電加工機であって、
    前記電極を保持する電極保持具(22)と、
    前記電極保持具に接触するフィンガチップ(21a)を有し、前記フィンガチップを超音波領域の周波数で環状に運動させることで前記電極保持具を駆動方向に移動させる超音波モータ(21)と、
    前記電極保持具に固定される移動ブロック(28b、28c)と、前記移動ブロックを支持すると共に前記移動ブロックの移動をガイドするレール(28a)と、前記移動ブロックと前記レールの間に介在する複数個の転動体(28d)とを有し、前記電極保持具の前記駆動方向の移動をガイドする転がり軸受け(28)と、
    前記超音波モータを駆動させることで、前記電極の駆動方向における位置を制御する制御回路(7)と、を備え、
    前記制御回路は、前記電極保持具の前記駆動方向への移動に対する抵抗が異常であることに基づいて、前記電極保持具を、前記複数個の転動体のうち最も大きい転動体が滑らずに転動して1回転したときの移動距離以上、移動させることを特徴とする放電加工機。
  2. 前記制御回路は、前記電極保持具の前記駆動方向の移動速度(Vd、Vu)と基準速度(Vd0、Vu0)とを比較することで、前記電極保持具の移動に対する抵抗が異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の放電加工機。
  3. 前記基準速度と比較する前記移動速度は、1つの孔の加工を開始するために前記電極保持具を原位置から前記被加工物の方向に移動させる際の前記電極保持具の移動速度であるか、または、1つの孔の加工を終了した後に前記電極保持具を前記原位置に戻す際の前記電極保持具の移動速度であることを特徴とする請求項2に記載の放電加工機。
  4. 前記制御回路は、前記電極保持具の前記駆動方向に沿った第1の向きへの第1の移動速度(Vd)が第1の基準速度(Vd0)よりも小さいという条件と、前記電極保持具の前記駆動方向に沿った前記第1の向きとは反対の第2の向きへの第2の移動速度(Vu)が第2の基準速度(Vu0)よりも小さいという条件のうち、少なくとも1つが満たされていることに基づいて、前記電極保持具の移動に対する抵抗が異常であると判定することを特徴とする請求項1に記載の放電加工機。
  5. 前記制御回路は、前記電極保持具の前記駆動方向に沿った第1の向きへの第1の移動速度(Vd)と、前記電極保持具の前記駆動方向に沿った前記第1の向きとは反対の第2の向きへの第2の移動速度(Vu)との比較に基づいて、前記電極保持具の移動に対する抵抗が異常であるか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の放電加工機。
  6. 前記電極と前記被加工物との間の放電状態を検出して放電状態信号として出力する放電状態検出回路を備え、
    前記制御回路は、前記放電状態検出回路から出力された前記放電状態信号に基づいて前記電極保持具を前記駆動方向に移動させることにより、前記電極と前記被加工物が短絡している場合は、前記電極を前記被加工物から離す向きに前記電極保持具を移動させる制御を行い、
    更に前記制御回路は、前記電極と前記被加工物が短絡している期間が基準時間(Ts)を超えていることに基づいて、前記電極保持具の移動に対する抵抗が異常であると判定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の放電加工機。
  7. 前記制御回路は、前記電極保持具の前記駆動方向への移動に対する抵抗が異常であることに基づいて、前記電極保持具を、前記駆動方向の両方の向きに、前記複数個の転動体のうち最も大きい転動体が滑らずに転動して1回転したときの移動距離分、移動させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の放電加工機。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の放電加工機に対して加工品を構成する被加工物(24)を設置する工程と、
    前記放電加工機を用いて前記被加工物を加工する工程と、を備えた、前記被加工物から前記加工品を製造する方法。
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