JP2015155484A - 射出成形用ポリエステル樹脂組成物及び射出成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】色調、透明性、経時安定性が良好で、特に射出成形品に好適なポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出成形品を提供する。
【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として2〜20モル%含有し、カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下であるポリエステル樹脂中に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜1.0質量%含有し、極限粘度(IV)が0.5以上であることを特徴とする射出成形用ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、色調、透明性、経時安定性が良好で、射出成形品を得るのに好適な共重合ポリエステル及びそれを用いてなる射出成形品に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシート、フィルム、容器等として幅広く用いられており、特に炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用等の中空容器(ボトル)用途の伸びが著しい。
ポリエステルの製造における代表的な重合触媒として、ゲルマニウム化合物とアンチモン化合物があり、色調や透明性の要求の高い中空容器などの用途にはゲルマニウム化合物が用いられている。
一方、アンチモン化合物は、汎用のポリエステル重合触媒であるが、これを使用した場合、ゲルマニウム化合物よりも色調や透明性に劣るため、色調改良剤としてコバルト化合物が併用されている。
近年、ゲルマニウム化合物を触媒としたポリエステルにおいても、さらなる色調・透明性改良の要求が高まっており、これに応えるため、コバルト化合物をゲルマニウム化合物と併用したところ、アンチモン化合物との併用系ではみられなかった経時安定性への影響が見られ、長期保存後のポリエステルの色調が悪化したり、重合度が低下するという問題が生じた。
一方、特許文献1には、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、コバルト化合物の3種の触媒の併用も提案されているが、この方法では、アンチモン化合物による色調や透明性を補うため、コバルト化合物の添加量を多くする必要があり、また、これら3種の化合物の比率によっては、ポリエステルの経時安定性が悪くなるという問題がある。
特開平10−67924号公報
本発明は、上記の問題を解決し、色調、透明性、経時安定性が良好で、特に射出成形品に好適なポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出成形品を提供しようとするものである。
本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、次の通りである。
(1)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として2〜20モル%含有し、カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下であるポリエステル樹脂中に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜1.0質量%含有し、極限粘度(IV)が0.5以上であることを特徴とする射出成形用ポリエステル樹脂組成物。
(2)ゲルマニウム化合物とコバルト化合物の少なくとも一種を含有し、ゲルマニウム化合物の含有量は、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5.0×10−5モル〜3.0×10−4モルであり、コバルト化合物の含有量は、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し1.0×10−5モル〜1.0×10−4モルである、(1)記載の射出成形用ポリエステル樹脂組成物。
(3)(1)又は(2)記載の射出成形用ポリエステル樹脂組成物を用いてなる射出成形品。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、イソフタル酸を特定量共重合したポリエステル樹脂を主成分とするものであるため、結晶性よく透明性に優れた射出成形品を得ることができるものである。そして、特定のカルボキシル末端基濃度を満足するものであるため、熱安定性に優れており、射出成形時の熱処理による樹脂の熱分解を抑えることが可能で、色調の悪化(黄変など)が生じることがなく、色調に優れた射出成形品を得ることができる。さらには、長期保存後のポリエステル樹脂組成物や射出成形品の色調の悪化も防ぐことができる。
そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、このような熱安定性や経時安定性に優れたポリエステル樹脂中にヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することにより、ポリエステル樹脂の熱安定性と経時安定性を飛躍的に向上させることができる。
したがって、本発明のポリエステル樹脂組成物からなる射出成形体は、成形性よく得ることができ、透明性に優れており、さらには色調が良好で、かつ、経時安定性(長期間経過後の色調)にも優れており、各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物の主成分となるポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として2〜20モル%含有するものである。イソフタル酸の共重合量は中でも3〜18モル%であることが好ましく、さらには4〜15モル%であることが好ましい。イソフタル酸を共重合することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度を射出成形に適したものに調整することができ、射出成形時の結晶化による白化を防ぐことができる。
イソフタル酸の共重合量が2モル%未満であると、樹脂組成物の結晶化速度が速いものとなるため、射出成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなる。
一方、イソフタル酸の共重合量が20モル%を超えると、樹脂組成物が非晶性のものとなるため、樹脂組成物を得る際のチップ化工程において高温での乾燥が困難となりやすい、あるいは、高温乾燥時においてブロッキングが起こりやすくなる。
酸成分中のテレフタル酸の割合は50〜98モル%であることが好ましく、中でも60〜97モル%であることが好ましい。テレフタル酸の割合が50モル%未満であると、樹脂組成物の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすい。一方、テレフタル酸の割合が98モル%を超えると、イソフタル酸の共重合量が少なくなるため、結晶化速度を調整することが困難となり、射出成形時の結晶化による白化を防ぐ効果に乏しいものとなる。
テレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
一方、ポリエステル樹脂中のグリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールであることが好ましく、中でも85モル%以上がエチレングリコールであることが好ましい。エチレングリコール以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を用いることができる。
グリコール成分のエチレングリコールの割合が80モル%未満であると、樹脂組成物の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすいため、好ましくない。
そして、本発明のポリエステル樹脂は、カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下であることが必要であり、中でも34当量/t以下であることが好ましく、さらには33当量/t以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基濃度を35当量/t以下とすることによって、射出成形時の熱処理により樹脂の熱分解が生じることがなく、色調の安定した射出成形品を得ることが可能となる。さらには、長期保存後のポリエステル樹脂組成物や射出成形品の色調の悪化も防ぐことができる。つまり、熱安定性と経時安定性ともに優れた樹脂組成物とすることが可能となる。
カルボキシル末端基濃度が35当量/tを超える場合は、たとえ、後述するような酸化防止剤を特定量含有していたとしても、上記したような熱安定性と経時安定性に乏しい樹脂組成物となる。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜1.0質量%含有するものである。中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、0.2〜0.8質量%であることが好ましい。
上記したようなカルボキシル末端基濃度が35当量/t以下であるポリエステル樹脂中にヒンダードフェノール系酸化防止剤を適量含有することによって、樹脂組成物の経時安定性のみならず、熱安定性もより向上させることが可能となる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が0.1質量%未満では、上記したような樹脂組成物の熱安定性と経時安定性をより向上させることができない。一方、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が1.0質量%を超えると、ポリエステル樹脂組成物の色調や透明性が悪化する。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1’−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が用いられるが、効果とコストの点で、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが好ましい。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、重合触媒としてゲルマニウム化合物とコバルト化合物の少なくとも一種を含有することが好ましい。中でもゲルマニウム化合物とコバルト化合物を併用することが好ましい。
ゲルマニウム化合物の含有量は、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し、5.0×10−5モル〜3.0×10−4モルであることが好ましく、中でも6.0×10−5モル〜2.0×10−4モルとすることが好ましい。ゲルマニウム化合物の含有量が5.0×10−5よりも少ないと、目標の重合度のポリエステル樹脂を得ることが困難となりやすい。一方、3.0×10−4モルを超えると、ポリエステル樹脂の経時安定性が悪くなり、長期保存後のポリエステル樹脂組成物の極限粘度の低下や色調の悪化が起こりやすくなるため、好ましくない。
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
コバルト化合物は、ポリエステル樹脂の色調を良好にする効果を奏するものである。コバルト化合物の含有量は、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し1.0×10−5〜1.0×10−4モルであることが好ましく、中でも0.2×10−4モル〜0.8×10−4モルとすることが好ましい。コバルト化合物の含有量が、1.0×10−5モルよりも少ないと、ポリエステル樹脂の色調を良好にする効果に乏しくなる。一方、1×10−4モルを超えると、ポリエステル樹脂の透明性が悪くなり、さらに、ポリエステル樹脂の経時安定性も悪くなる。コバルト化合物としては、酢酸コバルト、蟻酸コバルト、酸化コバルト、塩化コバルト等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、酢酸コバルトが好ましい。
なお、ゲルマニウム化合物とコバルト化合物を併用すると、両化合物の反応による副生物により、ポリエステル樹脂の経時安定性が悪くなり、長期保存後のポリエステル樹脂組成物の極限粘度の低下や色調の悪化が生じやすい。前記したように、本発明のポリエステル樹脂はカルボキシル末端基量が少なく、かつヒンダードフェノール系酸化防止剤を特定量含有するものであり、経時安定性に顕著に優れるため、両化合物を併用する場合であっても、経時安定性の悪化は生じない。
本発明のポリエステル樹脂組成物の極限粘度は、0.5以上であることが必要である。極限粘度が0.5未満の場合は、射出成形が困難になり、均一な厚さの成形品を得ることが困難となる。また、たとえ成形できたとしても、得られる成形品は耐衝撃性が低下したものとなる。
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、さらなる色調良化やポリエステル樹脂の熱安定化の目的で、リン化合物を含有していてもよい。コストや得られるポリエステル樹脂の色調の点から、リン化合物としては、リン酸が好ましい。
次に、本発明の射出成形用ポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明する。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応またはエステル交換反応を行った後、ポリエステルオリゴマーを重合反応器に移し、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液、またはイソフタル酸とエチレングリコールの分散液、重合触媒としてゲルマニウム化合物とコバルト化合物、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重縮合反応を行う。溶融重縮合反応の温度が290℃を超える場合は、重縮合反応中に、分解反応が進み、得られるポリエステルのカルボキシル末端基量が多くなるため、好ましくない。
カルボキシル末端基量を低減させるには、重合反応缶に、ポリエステルオリゴマーを移送し、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液、またはイソフタル酸とエチレングリコールの分散液を添加後、常圧下、200〜280℃の温度で、30分〜2時間、解重合反応を行い、ポリエステルオリゴマーのカルボキシル末端基と、エチレングリコールとの反応を進めた上で、触媒を添加し、重縮合反応を行う方法が望ましい。
また、この後、固相重合を行うことにより、極限粘度をさらに高くしたり、カルボキシル末端基量を少なくすることができる。固相重合は、あらかじめ、ポリエステルを乾燥、結晶化させた後、通常、減圧下あるいは窒素などの不活性ガス流通下にて、ポリエステルの融点よりも20〜30℃低い温度で3時間〜50時間、反応器内にてポリエステルを反応させることにより行われる。
本発明の射出成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物を用い、射出成形して得られたものである。本発明のポリエステル樹脂組成物は、透明性と色調、経時安定性が良好であるため、本発明の射出成形品もこのような特性を有しており、各種の用途に好適に使用することができる。
本発明の射出成形品を製造する場合には、既存の射出成形機を用い、成形機のシリンダー各部及びノズルの温度を240〜290℃の範囲とし、金型温度10〜30℃、冷却時間10〜30秒とするのが好ましい。
次に、実施例をあげて本発明を具体的に説明する。なお、共重合ポリエステルの特性値は次のようにして測定した。
(a)極限粘度〔η〕
得られたポリエステル樹脂組成物の極限粘度[η]を、フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。また、得られた樹脂組成物を130℃空気雰囲気下で120時間の熱処理を行った後の極限粘度[η]を上記と同様にして測定した。
なお、熱処理による経時変化が少ないものとしては、極限粘度の比[η]/[η]が0.90以上であることが好ましい。
(b)イソフタル酸の共重合量、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量
得られたポリエステル樹脂組成物を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にてH−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
(c)カルボキシル末端基濃度
得られたポリエステル樹脂0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。
(d)ゲルマニウム化合物、コバルト化合物、アンチモン化合物の含有量
リガク社製蛍光X線分析装置3270を用いて測定した。
(e)プレートの色調
得られたプレート1とプレート2の厚さ方向の色調を測定した。プレート1のb値を(b)、プレート2のb値を(b)とする。色調の判定は、ハンターのLab表色計で行った。L値は明度(値が大きい程明るい)、a値は赤−緑系の色相(+は赤味、−は緑味)、b値は黄−青系(+は黄味、−は青味)を表し、L値が大きいほど、a値が0に近いほど、また極端に小さくならない限りb値が小さいほど良好である。ここでは、プレート1のb値(b)が2.0以下を色調良好で合格とした。
なお、熱処理による経時変化が少ないものとしては、(b−b)が3.0以下であることが好ましい。
(f)プレートヘーズ
得られたプレート1の濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで評価した(空気:ヘーズ0%)。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば合格とした。
実施例1
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のPETオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
得られたオリゴマー55.5kgを重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液7.8kg、触媒として二酸化ゲルマニウム7.8g、コバルト化合物として酢酸コバルト3.7g、ヒンダードフェノール系抗酸化剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(ADEKA社製:アデカスタブAO-60)120gを、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物を、射出成形機(日本製鋼所製 J100SBII型)を用い、押出温度260℃、金型温度20℃、冷却時間30秒の条件で射出成形を行い、厚さ5mm×長さ10cm×幅6cmのプレート(プレート1とする)を得た。
さらに、得られたポリエステル樹脂組成物を、130℃空気雰囲気下での120時間の熱処理を行った後、上記と同様の条件で射出成形を行い、厚さ5mm×長さ10cm×幅6cmのプレート(プレート2とする)を得た。
実施例2〜7、比較例1〜12
イソフタル酸の共重合量、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量、触媒の含有量、極限粘度を表1のようにした以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を製造した。
得られたポリエステル樹脂組成物を用いて、実施例1と同様にして射出成形を行い、プレート1、プレート2を得た。
なお、比較例9は、重縮合反応時間を7時間とした。また、比較例10では、アンチモン化合物として、三酸化アンチモンを17.5g投入した。比較例11では、アンチモン化合物として三酸化アンチモンを8.7g、ゲルマニウム化合物として二酸化ゲルマニウムを3.9g投入した。比較例12では、重縮合反応の温度を295℃とした。
実施例1〜7及び比較例1〜12で得られたポリエステル樹脂組成物の評価結果を併せて表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜7で得られたポリエステル樹脂組成物は、本発明で規定する組成及び極限粘度を満足するものであったため、色調、透明性、経時安定性が良好な射出成形品を得ることができるものであった。
一方、比較例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が少なかったため、成形時に白化が起こり、成形品の透明性が悪かった。
比較例2で得られたポリエステル樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が多かったため、乾燥や成形時に融着が起こり、成形ができなかった。
比較例3では、樹脂組成物中のヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が少なかったため、経時安定性が悪く、熱処理後の極限粘度の低下が生じ、得られた成形品は色調に劣るものであった。
比較例4では、樹脂組成物中のヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が多かったため、得られた成形品は色調と透明性ともに劣るものであった。
比較例5では、樹脂組成物中のゲルマニウム化合物の含有量が少なかったため、溶融重合時間が長くなり、得られた成形品は色調と透明性ともに劣るものであった。
比較例6では、樹脂組成物中のゲルマニウム化合物の含有量が多かったため、ポリエステル樹脂組成物の経時安定性が悪く、熱処理後の極限粘度の低下が生じ、得られた成形品は色調に劣るものであった。
比較例7では、樹脂組成物中のコバルト化合物の含有量が少なかったため、得られた成形品は色調に劣るものであった。
比較例8では、樹脂組成物中のコバルト化合物の含有量が多かったため、ポリエステル樹脂組成物の経時安定性が悪く、熱処理後の極限粘度の低下が生じ、得られた成形品は熱処理後の色調に劣るものであり、また透明性にも劣るものであった。
比較例9では、得られたポリエステル樹脂組成物の極限粘度が低かったため、成形ができなかった。
比較例10、11で得られたポリエステル樹脂組成物は、アンチモン化合物を使用したため、得られた成形品は、色調と透明性に劣るものであった。
比較例12では、得られたポリエステル樹脂のカルボキシル末端基濃度が高かったため、経時安定性が悪く、熱処理後の極限粘度の低下が生じ、得られた成形品は熱処理後の色調に劣るものであった。

Claims (3)

  1. エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、イソフタル酸を共重合成分として2〜20モル%含有し、カルボキシル末端基濃度が35当量/t以下であるポリエステル樹脂中に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜1.0質量%含有し、極限粘度(IV)が0.5以上であることを特徴とする射出成形用ポリエステル樹脂組成物。
  2. ゲルマニウム化合物とコバルト化合物の少なくとも一種を含有し、ゲルマニウム化合物の含有量は、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5.0×10−5モル〜3.0×10−4モルであり、コバルト化合物の含有量は、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し1.0×10−5モル〜1.0×10−4モルである、請求項1記載の射出成形用ポリエステル樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の射出成形用ポリエステル樹脂組成物を用いてなる射出成形品。
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