JP6600131B2 - ポリエステル樹脂組成物及びそれからなるブロー成形品 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレート単位を主体とし、副成分としてイソフタル酸を1〜8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートと、エチレンテレフタレート単位を主体とし、副成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を2〜15モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを含有するポリエステル樹脂中に、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05〜1.0質量%含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物中のイソフタル酸の共重合量が0.5〜8モル%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の共重合量が0.5〜6モル%であり、極限粘度(IV)が0.7〜1.5であることを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
(2)重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であり、かつカルボキシル末端基濃度が20当量/t以下である、請求項1記載のブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
(3)(1)又は(2)に記載のブロー成形用ポリエステル樹脂組成物からなるブロー成形品。
そして、本発明のブロー成形品は、色調、透明性、耐衝撃性に優れているため、種々の用途に用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレート単位を主体とするものであり、副成分としてイソフタル酸とビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(以下、BAEOと称することがある)の両成分を含有するものである。
つまり、本発明におけるポリエステル樹脂は、イソフタル酸とBAEOとを共重合したポリエチレンテレフタレート、もしくは、イソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートと、BAEOを共重合したポリエチレンテレフタレートとを混合したもののいずれであってもよい。
イソフタル酸の含有量が上記の範囲外のものであると、結晶化速度の調整ができず、また、耐衝撃性の向上効果をより優れたものにすることができない。
BAEOの含有量が上記の範囲外のものであると、結晶化速度の調整ができず、また、得られるブロー成形品の耐衝撃性を向上させることができない。
ヒンダードフェノール系抗酸化剤は、ポリエステル樹脂の重合反応工程中に添加することが好ましい。重合反応工程中に添加することで、該化合物の一部がポリエステル樹脂中に共重合される。これにより、ポリエステル樹脂中に分子鎖の絡み合いが生じ、架橋に似た状態が生じるものと想定され、ポリエステル樹脂の溶融粘度を高くすることができ、後述する重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)を特定範囲のものにすることが可能となる。
重量平均分子量と数平均分子量の比が上記範囲内であると、ブロー成形に適した粘性を有するものとなる。ただし、成形前には重量平均分子量と数平均分子量の比が上記範囲内であったとしても、ブロー成形時の熱処理により樹脂の熱分解が生じた場合、成形時にドローダウンが生じ、成形が困難となったり、成形品が得られたとしても厚みムラの生じたものとなる。そこで、このような成形時の熱処理による樹脂の熱分解が生じないようにするために、カルボキシル末端基濃度を20当量/t以下とすることが好ましい。
重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9未満の場合、樹脂中の分子鎖の絡み合いや、架橋密度が不足するため、ブロー成形に適した粘性を有するものとすることが困難となる。このため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなりやすい。
イソフタル酸を共重合したポリエステル樹脂と、BAEOを共重合したポリエステル樹脂をそれぞれ得たのち、これらのポリエステル樹脂をブレンドする方法について説明する。
イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂は、酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、所定の温度でエステル化反応を行った後、重合反応器に移し、重合触媒や添加剤を添加し、所定の温度で溶融重合反応を行い、プレポリマーを得る。得られたプレポリマーを用いて、固相重合反応を行い、目標の極限粘度のイソフタル酸を共重合したポリエステル樹脂を得る。
これら2種類の共重合ポリエステル樹脂をブレンドする方法は、単軸あるいは二軸の押出機で温度250〜300℃の範囲で練り込む方法で行う。
(a)極限粘度
前記と同様の方法で測定した。
(b)共重合成分の共重合量、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量
得られた樹脂組成物を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
得られた成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
(d)リサイクル性
得られた成形品を粉砕機で粉砕した粉砕品50質量部、各例にて得られたポリエステル樹脂50質量部をブレンドし、除湿乾燥機に投入し乾燥した後、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形を行い、成形品を得た。得られた成形品(サンプル数100本)につき、(c)と同様にして成形性を評価した。
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて、サンプル片の色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。なお、b値が2.0以下を色調良好であると判定した。
(f)ヘーズ
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数20の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(g)耐衝撃性
得られた成形品(サンプル数100本)に、水道水500mlを充填し、室温下にて、Pタイル上に、100cmの高さから、成形品の底面を下向き、側面を下向きにして成形品を1回ずつ落下させた。このとき割れなかった成形品の本数で耐衝撃性を評価した。割れなかった成形品の本数が95本以上を合格と判定した。
〔イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂組成物〕
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
TPAとEGの反応生成物46.2質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液6.5質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤〔ADEKA社製「アデカスタブAO-60」:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)〕0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。
このプレポリマーの極限粘度は、0.72であった。このプレポリマーを150℃で5時間予備乾燥した後、窒素気流中で210℃、15時間固相重合し、表1に示す組成、極限粘度のイソフタル酸共重合ポリエステル樹脂組成物を得た。
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
TPAとEGの反応生成物50.3質量部を重合反応器に仕込み、続いて、BAEO3.2質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤〔ADEKA社製「アデカスタブAO-60」:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)〕0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。
このプレポリマーの極限粘度は、0.72であった。このプレポリマーを150℃で5時間予備乾燥した後、窒素気流中で210℃、15時間固相重合し、表1に示す組成、極限粘度のBAEO共重合ポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、このポリエステル樹脂組成物を用い、乾燥させた後、ダイレクトブロー成形機(タハラ社製)を用いて、押出温度260℃、パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで成形し、500ccの中空容器を得た。
イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂組成物におけるイソフタル酸の共重合量、BAEO共重合ポリエステル樹脂組成物におけるBAEOの共重合量、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンの含有量を表1の値となるように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品を得た。
Claims (3)
- エチレンテレフタレート単位を主体とし、副成分としてイソフタル酸を1〜8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートと、エチレンテレフタレート単位を主体とし、副成分としてビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を2〜15モル%共重合したポリエチレンテレフタレートを含有するポリエステル樹脂中に、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05〜1.0質量%含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物中のイソフタル酸の共重合量が0.5〜8モル%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の共重合量が0.5〜6モル%であり、極限粘度(IV)が0.7〜1.5であることを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
- 重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であり、かつカルボキシル末端基濃度が20当量/t以下である、請求項1記載のブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載のブロー成形用ポリエステル樹脂組成物からなるブロー成形品。
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