JP7017204B2 - ブロー成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
また、ダイレクトブロー成形において、容量の大きい容器を成形する場合は、ドローダウンを抑える必要があり、高重合度のポリエステル樹脂が必要であるが、一方、容量の小さい容器を成形する場合は、高重合度のポリエステル樹脂を用いると、成形品の厚みが厚すぎるという問題があり、ポリエステル樹脂の極限粘度を成形品の容量に合わせる必要がある。
すなわち、本発明は、次の(1)を要旨とするものである。
(1)極限粘度(IV)が0.9~1.4であるポリエステル樹脂組成物(A)100質量部に対して、極限粘度(IV)が0.4~0.8であるポリエステル樹脂組成物(B)を5~30質量部添加してダイレクトブロー成形機を用いて容量100cc以下のブロー成形品を得る、ブロー成形品の製造方法であって、ポリエステル樹脂組成物(A)、ポリエステル樹脂組成物(B)ともに、エチレンテレフタレート単位を主体とし、共重合成分として1,4-シクロヘキサンジメタノールを2~20モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05~1.0質量%含有する樹脂組成物であることを特徴とする、ブロー成形品の製造方法。
そして、本発明の製造方法により得られるブロー成形品は、色調、透明性に優れているため、種々の用途に用いることができる。
本発明の製造方法においては、極限粘度(IV)が0.9~1.4であるポリエステル樹脂組成物(A)100質量部に対して、極限粘度(IV)が0.4~0.8であるポリエステル樹脂組成物(B)を5~30質量部添加してブロー成形品を得る。
ポリエステル樹脂中に含まれるテレフタル酸以外の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
1,4-シクロヘキサンジメタノールの含有量(共重合量)は、全グリコール成分の2~20モル%であり、中でも3~15モル%であることが好ましく、さらには3~12モル%であることが好ましい。1,4-シクロヘキサンジメタノールを適量共重合することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度をブロー成形に適したものに調整することができ、ブロー成形時の結晶化を防ぐことができる。
ヒンダードフェノール系抗酸化剤は、ポリエステル樹脂の重合反応工程中に添加することが好ましい。重合反応工程中に添加することで、該化合物の一部がポリエステル樹脂中に共重合される。これにより、ポリエステル樹脂中に分子鎖の絡み合いが生じ、架橋に似た状態が生じるものと想定され、ポリエステル樹脂の溶融粘度を高くすることができる。
また、ブロー成形時に押出しダイ出口での樹脂の膨張が大きくなる傾向があるため好ましくない。
また、本発明の製造方法においては、ポリエステル樹脂組成物(A)に対して、極限粘度(IV)が0.4~0.8であるポリエステル樹脂組成物(B)を5~30質量部添加することが必要である。ポリエステル樹脂組成物(A)のみを用いた場合、例えば、容量100mlといった小型容器を成形する際、極限粘度が高すぎるため、ドローダウンがしにくく、厚みムラが大きくなるなど、容量に適した厚さの容器の作成が困難となる。
極限粘度が0.4未満だとドローダウンが大きくなり、成形が困難になり、0.8を超えると、ポリエステル樹脂組成物(A)との粘度差が小さくなり、本発明の効果を奏することが困難となる。つまり、ドローダウンが起こりにくく、容器の大きさに適した厚さが均一な容器が成形できない。
極限粘度の差が0.8を超えると、ドローダウンが大きくなり、成形が困難になる。
ゲルマニウム化合物はポリエステル樹脂を得る際に重合触媒として使用されるものであり、ゲルマニウム化合物の含有量が5×10-5モル未満であると、目標の重合度のポリエステル樹脂が得られない、あるいは、重合反応において重合時間が長くなり、その結果、得られるポリエステル樹脂の色調が悪くなる。一方、3.0×10-4モルを超えても、重合触媒としての効果は飽和し、コスト的に不利となる。
(a)極限粘度
前記と同様の方法で測定した。
(b)共重合成分の共重合量、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量
得られた樹脂組成物を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にて1H-NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
得られたポリエステル樹脂組成物を用い、得られた成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が95本以上であるものを○、90~94本が△、90本未満であるものを×とした。
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、日本電色工業社製の色差計ND-Σ80型を用いて、サンプル片の色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。なお、b値が2.0以下を色調良好であると判定した。
(e)ヘーズ
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数20の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(A1)
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、続いて、1,4―シクロヘキサンジメタノール3.2質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、リン酸0.009質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO-60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。
このプレポリマーの極限粘度は、0.66であった。このプレポリマーを結晶化装置に連続的に供給し150℃で結晶化をさせた後、乾燥機に供給し160℃で8時間乾燥後、予備加熱機に送り190℃まで加熱した後、固相重合機へ供給し、窒素ガス下にて190℃で50時間固相重合し、表1に示す組成、極限粘度のポリエステル樹脂組成物A1を得た。
ポリエステル樹脂組成物における1,4―シクロヘキサンジメタノールの共重合量、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量を表1に示すように変更し、また、極限粘度が表1の値となるように固相重合時間を変更した以外は、A1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物A2~A7を得た。
(B1)
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
TPAとEGの反応生成物55.5質量部を重合反応器に仕込み、続いて、1,4―シクロヘキサンジメタノール3.2質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、リン酸0.009質量部、酢酸コバルト0.004質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO-60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物B1を得た。
ポリエステル樹脂組成物における1,4―シクロヘキサンジメタノールの共重合量、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量を表1に示すように変更し、また、極限粘度が表1の値となるように溶融重合時間を変更した以外は、B1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物B2~B6を得た。
ポリエステル樹脂組成物A1とB1をそれぞれチップ化して乾燥させた後、ドライブレンドを行い、ダイレクトブロー成形機(タハラ社製)を用いて2種類の成形を行った。
(成形1)
押出温度260℃で樹脂を押出して、円筒形パリソンを形成し、パリソンが軟化状態にあるうちに金型で挟み、底部形成を行い、これをブローしてボトルを成形した。このとき、パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで底部形成を行い、ブロー成形して500ccの中空容器(ダイレクトブロー成形品)を得た。
(成形2)
成形1と同様にしてブロー成形を行い、パリソン径3cmで長さが5cmとなったところで底部形成を行い、50ccの中空容器を得た。
ポリエステル樹脂組成物(A)とポリエステル樹脂組成物(B)の種類と添加量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして成形1と成形2を行い、2種類の中空容器を得た。
ポリエステル樹脂組成物A1のみを用いた以外は、実施例1と同様にして成形1と成形2を行い、2種類の中空容器を得た。
ポリエステル樹脂組成物B1のみを用いた以外は、実施例1と同様にして成形1と成形2を行った。しかしながら、成形1では中空容器を得ることができず、成形2により中空容器を得た。
比較例2では、ポリエステル樹脂組成物(B)のみを用いたため、ドローダウンが大きく、成形1を行うことができなかった。また、成形2の成形性も悪く、得られた容器は厚み斑の生じたものであった。
比較例3では、ポリエステル樹脂組成物(A)に対するポリエステル樹脂組成物(B)の添加量が少ないため、成形2における成形性が悪くなり、得られた容器は厚み斑のあるものとなり、透明性にも劣るものであった。
比較例4では、ポリエステル樹脂組成物(A)に対するポリエステル樹脂組成物(B)の添加量が多いため、ドローダウンが大きくなり、成形1、2ともに困難となった。このため、得られた容器はいずれも、厚み斑のあるものとなり、透明性にも劣るものであった。
比較例5では、ポリエステル樹脂組成物(A)の極限粘度が1.4を超えていたため、押出温度を280℃に変更して成形1、2を行った。このため、ブロー成形時に押出しダイ出口での樹脂の膨張が大きくなり、成形性が悪かった。また、得られた容器は、厚み斑が生じたものとなり、色調、透明性ともに悪かった。
Claims (1)
- 極限粘度(IV)が0.9~1.4であるポリエステル樹脂組成物(A)100質量部に対して、極限粘度(IV)が0.4~0.8であるポリエステル樹脂組成物(B)を5~30質量部添加してダイレクトブロー成形機を用いて容量100cc以下のブロー成形品を得る、ブロー成形品の製造方法であって、ポリエステル樹脂組成物(A)、ポリエステル樹脂組成物(B)ともに、エチレンテレフタレート単位を主体とし、共重合成分として1,4-シクロヘキサンジメタノールを2~20モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05~1.0質量%含有する樹脂組成物であることを特徴とする、ブロー成形品の製造方法。
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