JP2015155079A - 容器に入った廃水の量を低減する方法およびそれに用いる袋 - Google Patents
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Abstract
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すなわち、本発明は、容器に入った廃水の量を低減する方法であって、通水性基材で形成され、水膨潤性吸水性樹脂が封入された袋を該廃水に浸して膨潤させた後、該膨潤した袋を容器から取り出し、乾燥して袋の中の水分を蒸発させる、容器に入った廃水の量を低減する方法である。
さらに本発明は、上記水膨潤性吸水性樹脂がポリカルボン酸アルカリ金属塩型吸水性樹脂であることを特徴とする。
さらに本発明は、上記廃水が放射性物質を含むことを特徴とする。
また本発明は、上記の容器に入った廃水の量を低減する方法に用いる、通水性基材で形成され、水膨潤性吸水性樹脂が封入された袋であって、布帛もしくはフィルムに不織布を重ねてニードルパンチおよび/または縫製により固定され一体化されてなる包材により作成されてなる袋である。
また、同じ袋を用いて本発明の方法を実施すれば袋の中の汚染物質は増えていくので、汚染物質を袋の中で濃縮することができる。
このような表面架橋型の吸水性樹脂は、常圧下だけでなく加圧下においても吸水膨潤特性に優れ、かつゲル強度も大きくなるので本発明に好適である。
吸水性は以下の方法で測定できる。
[吸水性の測定法]:250メッシュのナイロン製網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に、30〜100メッシュ(150〜500μ)の粒径に調整した吸水性樹脂0.2gを入れ、純水500ml中に1時間浸漬して吸収させた後、15分間吊して水切りしてから増加質量を測定して純水に対する吸水性とする。
フェルトの目付量は、特に制限はないが30g〜500g/m2が好ましく、特に80〜300g/m2が好ましい。30g/m2以上であると吸水性樹脂またはそのゲルが不織布と絡み合い通過しにくいので好ましい。500g/m2以下であると不織布が硬くなりすぎず吸水性樹脂の膨潤に合わせて膨らむことができる。
不織布は目付量が大きいと不織布のウェブと吸水性樹脂のゲルが絡んで袋を積み重ねた場合の加圧下においても吸水性樹脂のゲルを通しにくいが、不織布は引張強度が小さいので、引張ったり衝撃を加えたりするとウェブがずれて隙間ができゲルが出る場合がある。一方、布帛は引張強度が比較的大きいが、これも衝撃や張力がかかると繊維間が広がり中のゲルがはみ出すことがある。吸水性樹脂を入れた不織布の袋を布帛で作成した袋に入れたものは、二層の袋であるが衝撃や張力がかかるとそれぞれの袋が個別に破れたりして、ウェブや繊維の隙間からゲルがはみ出すことがある。しかし、この二つを重ねてニードルパンチおよび/または縫製をかけると、不織布のウェブが布帛の繊維と交絡したり、ウェブまたは縫製糸が布帛を貫通したりする。そうすると不織布と布帛が固定され一体化されるので繊維がずれず、それに応じて不織布のウェブもずれにくくなり隙間が広がらない。すなわち、この包材の引張強度が実質的に大きくなる。したがって、衝撃下や加圧下でも破れず袋の中のゲルがはみ出すことがない。
布帛としては、通気性基材に挙げられた素材と同じものが使用できる。これらの混合品(混紡品など)などすべての繊維素材が適用できる。それらのフィラメント糸条、及び短繊維紡績糸条、並びに各々からなるテープ糸条によって編織された織布、編布、又はその複合布が使用できる。
縫製は通常の家庭用または工業用ミシンによるミシン掛けが好ましく、特に高速工業用ミシンによる縫製が好ましい。縫製糸は、綿、絹や合成繊維(ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリプロピレンなど)が使用できる。縫製糸の太さなどは用途によって変えて用いられるが、糸本数はニードルパンチの場合の糸の本数と同じでよい。
また、不織布を何層にも重ねてニードルパンチおよび/または縫製で固定してもよい。不織布層は好ましくは1〜3層であり、経済面から1層がより好ましい。
このような好ましい袋の形態については、特許第5427995号報に記載されているものが使用できる。
吸水性樹脂を袋に入れるときは、粉末状及び/又は粒状の吸水性樹脂を直接入れてもよいが、水崩壊性や水溶性を有する小袋(以下、ゲル化用袋といい、吸水性樹脂の入った袋をゲル化材という場合がある)を好ましくは1〜10個入れてもよい。吸水によって中に入った水がゲル化用袋の包材を崩壊したり溶解したりしてゲル化用袋の中の吸水性樹脂を膨潤させて、ゲル化用袋を破り外の袋をゲルで充満させることができる。この場合ゲル化用袋を両面テープなどで外袋の中に均等に固定すれば外袋を動かしても吸水性樹脂の偏りが生じない。
ゲル化用袋の中の吸水性樹脂の量は用途によって異なるが、たとえば、大量の廃水に適用する場合は、好ましくは30〜70g/袋である。
廃水中の汚染物質は水が吸収される際に水と共に袋の中に入る。ここで吸水性樹脂の粒子は粒子毎に水を吸収して膨潤するが、膨潤した粒子の間には間隙がある、この間隙を満たした水は袋を廃水から取り出せば間隙水は袋の外に出てしまう。この場合に、水と共に汚染物質も外に出る。容器中の廃水をすべて吸収できない場合には、廃水に浸漬した袋を取り出し、間隙水の水を切った後取り出すのが周囲が廃水で汚れないので好ましいが、廃水を全量吸収するためには、すべての廃水が吸水性樹脂の粒子内にあるようにするために、廃水の量は袋に封入された吸水性樹脂の吸水倍率の範囲内であるのが好ましい。すなわち、廃水の量に対して、袋の中にある全体の吸水性樹脂の吸水倍率の合計が廃水の量を上回るように複数の袋を投入して廃水の全量を吸収するのが好ましい。
上記廃水を吸収する温度は、室温で行うことができる。時間は、対象とする廃水の量、汚染物質の濃度や吸水性樹脂の量などの条件によって異なるので、場合に応じて適宜決めればよい。これらの操作は、1回でもよいし、複数回繰り返してもよい。
廃水により膨潤した袋を容器から取り出した後、袋は外で乾燥し水を蒸発させると膨潤した袋の厚さが次第に薄くなり、最後には元の吸水性樹脂が封入された袋に近い状態になる。この場合、袋の表面積が大きいほど蒸発能力は大きくなるので、水の蒸発能力も考慮して袋の大きさ、形状などを決めるのが好ましい。
容器から取り出した袋は積み重ねておいて水を蒸発させるのが、置き場所の面積は広がらないので好ましい。
(a)は、矩形状に作製した袋1であり、吸水していないので袋1の厚さは薄い。(b)は袋1に廃水を吸収させて膨潤させた状態を示す。(c)は膨潤した袋2の断面図であり、吸水性樹脂3が膨潤していることを示す。
以下、実施例により更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
「ハビックス JS45HD−W」(登録商標、ハビックス社製、乾式パルプ不織布)に厚さ30μmのポバール(PVA)フィルム(クラレ社製、CP−1220T10、鹸化度87〜89%)をラミネートしたシート(a)を10×15cmの大きさの長方形に切り、これをPVAフィルム側に重ねて3方の端(辺)をヒートシールして袋を製造した。この中に「サンフレッシュST−500D」(アクリル酸系吸水性樹脂、三洋化成工業社製、吸水倍率400倍)50gを入れ、次いで開口部をヒートシール(密封)してゲル化材を作製した。
まず、ナイロン/アクリル(7/3)混毛を目付量:120g/m2、針数200本/m2となるようにしてニードルパンチでフェルトを板状に作成した。次にポリプロピレン平織物基布(テープ条繊維:縦14本/インチ、横11本/インチ、目付量:93g/m2)に上記のフェルトを重ねて針数45本/m2となるようにしてニードルパンチで固定して、吸水性樹脂が封入される袋の包材を作製した。
上記製造例2で作製した包材を用いて、40cm×60cmの大きさの矩形状の土嚢袋を作製した。最初一端を除いて三方の周囲をミシン掛けしてしっかりと閉じ、開いた一端から上記製造例1で作製したゲル化材を2個入れて、同じミシン掛けによって閉じて本発明の袋を作成した。
200KLの容器に硫酸銅を銅イオンとして10ppmを含有する水溶液170kgを入れ、その中に上記の袋を10枚入れた。10分後には容器の中の水溶液はほとんど吸収されて夫々の袋は膨潤した。この膨潤した容器から袋を取り出した後、容器の底にある少量の吸収されなかった水溶液を吸収するためにさらに1枚の土嚢袋を入れ、完全に水溶液を吸収させた。容器の中には銅イオンによる青色はなかった。銅イオンは土嚢袋に吸収されている。また、吸収された廃水の量は、用いる吸水性樹脂の吸水倍率から計算した10枚の合計した吸水可能量400kgの42.5%であった。これらの膨潤した袋の表面はさらさらとしていた。これらの袋を一列4段に重ねて雨が当たらない箇所に放置して自然乾燥した。袋を積み重ねても少々振動を与えてもずり落ちず安定であった。積み重ねた袋の合計高さは最初約60cmであったが、1ケ月後の合計高さは約10cmであり、元の袋だけになっていた。
水の蒸発速度を測定するために以下の模擬実験を行った。タンクを想定した場合のビーカーに入っている水が蒸発する蒸発速度と、同じ水の量を1枚の袋に吸収させた場合の蒸発速度とを比較した。
上記の製造例2で作製した包材を用いて13cm×18cmの大きさの袋を作成し、この中に吸水性樹脂「サンフレッシュST−500D」の粉末5.5gを入れて袋を作成して930gの水を吸収させた。水の量は袋の中にある吸水性樹脂の吸水可能量の42.3%であった。比較に同量(930g)の水を1Lのビーカーに入れた。これらを24℃の室内に入れ水の蒸発速度を比較した。
図2は、ビーカー中の液の表面と袋からの水分蒸発の蒸発状況を示すグラフである。横軸に日数(日)、縦軸に残留水量(%)を示した。
すなわち、本発明の方法は、容器に入った廃水の量を効率的に低減することができる。
2 膨潤した袋
3 吸水性樹脂
Claims (5)
- 容器に入った廃水の量を低減する方法であって、通水性基材で形成され、水膨潤性吸水性樹脂が封入された袋を該廃水に浸して膨潤させた後、該膨潤した袋を容器から取り出し、乾燥して袋の中の水分を蒸発させる、容器に入った廃水の量を低減する方法。
- 前記水膨潤性吸水性樹脂が封入された袋を複数個廃水に浸して廃水の全量を吸収させることを特徴とする請求項1記載の容器に入った廃水の量を低減する方法。
- 前記水膨潤性吸水性樹脂がポリカルボン酸アルカリ金属塩型吸水性樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の容器に入った廃水の量を低減する方法。
- 前記廃水が放射性物質を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器に入った廃水の量を低減する方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器に入った廃水の量を低減する方法に用いる、通水性基材で形成され、水膨潤性吸水性樹脂が封入された袋であって、布帛もしくはフィルムに不織布を重ねてニードルパンチおよび/または縫製により固定され一体化されてなる包材により作成されてなる袋。
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