JP2015153664A - 炭素材、非水系二次電池用負極、非水系二次電池、及び、炭素材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
液への溶解性が低い高分子材料(C−2)をC−1と異なる場所に添着する方法が開示されている。
また、特許文献2に開示されているイオン伝導性高分子や水溶性高分子で炭素材料に被覆すると、炭素材料に対する接着性が不十分で、且つ電解液に対して膨潤性を有することから、このような炭素材料を負極用活物質として用いると初期充放電効率、充放電サイクル特性、及び安定性が未だ不十分であった。
放出可能な炭素材(A)(以下、「炭素材(A)」ともいう。)と、有機化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用炭素材において、2nm以上4nm以下のメソ孔由来の表面積(SAa)と、4nm以上35nm以下のメソ孔径由来の表面積(SAb)の比(SAa/SAb)が特定の低い値の範囲になるように、特定の有機化合物(B)を添着させることにより、初期サイクル時の充放電効率が高く、優れた入出力特性、高温保存特性を有し、初期サイクル時、及び高温保存時におけるガス発生が少ない非水系二次電池負極材を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、炭素材(A)表面に存在する細孔のうち、2nm以上4nm以下のメソ孔は、充放電におけるLiイオンの挿入・脱離反応への寄与が大きく、同時に電解液の分解反応への寄与も大きいと考えられる。この2nm以上4nm以下のメソ孔の表面を選択的に有機化合物(B)で保護する(「SAa/SAb」を特定の低い値の範囲とする)ことにより、効果的に電解液の分解反応を抑制し、初期充放電効率の向上やガス発生の低減という効果を顕著に発現することが出来たと考えられる。
すなわち本発明の要旨は以下のとおりである。
<1>炭素材(A)と、有機化合物(B)を含有する炭素材(C)であって、下記式(1)で表されるメソ孔表面積比(SAa/SAb)が0.63以下であることを特徴とする、非水系二次電池用炭素材(C)。
<2>窒素吸着法により求めた35nm以下のメソ孔容積が0.007ml/g以上であることを特徴とする、<1>に記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
<3>前記炭素材(A)が球形化天然黒鉛であることを特徴とする、<1>または<2>に記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
<4>前記炭素材(A)の窒素吸着法により求めた35nm以下のメソ孔容積が0.007ml/g以上であることを特徴とする、<1>から<3>のいずれか1つに記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
<5> 前記有機化合物(B)が塩基性基、及びリチウムイオン配位性を有する基を有することを特徴とする、<1>から<4>のいずれか1つに記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
<6>前記有機化合物(B)がπ共役構造を有することを特徴とする、<5>に記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
<7>リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と、有機化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用炭素材の製造方法であって、
工程(1):炭素材(A)と、有機化合物(B)を溶媒中で混合する工程
工程(2):工程(1)で得られた混合物を撹拌乾燥する工程
を有することを特徴とする、非水系二次電池用炭素材(C)の製造方法。
<8>前記有機化合物(B)が塩基性基、及びリチウムイオン配位性を有する基を有することを特徴とする、<7>に記載の非水系二次電池用炭素材(C)の製造方法。
<9>前記工程(2)において、固定された容器内に撹拌翼を有する撹拌装置を用い、撹拌翼の周速が0.01m/s以上、40m/s以下で撹拌することにより撹拌混合しながら乾燥することを特徴とする、<7>または<8>に記載の非水系二次電池用炭素材(C)の製造方法。
<10>集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、該活物質層が、<1>から<6>のいずれか一つに記載の非水系二次電池用炭素材(C)を含有することを特徴とする、非水系二次電池用負極。
<11> リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が、<10>に記載の非水系二次電池用負極であることを特徴とする、非水系二次電池。
本発明の炭素材(A)はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材であれば特に限定されないが、例えば、黒鉛、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物が挙げられる。中でも、黒鉛が商業的に容易に入手可能であり、理論上372mAh/gの高い充放電容量を有し、さらには他の負極用活物質を用いた場合と比較して、高電流密度での充放電特性の改善効果が大きいため好ましい。黒鉛としては、不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて、公知である種々の精製処理を施して用いることができる。黒鉛の種類としては、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられ、天然黒鉛がより好ましい。
人造黒鉛としては、例えば、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機物を焼成し、黒鉛化したものが挙げられる。
天然黒鉛としては、例えば、高純度化した鱗片状黒鉛や球形化処理を施した黒鉛が挙げられる。中でも、粒子の充填性や充放電負荷特性の観点から、球形化処理を施した天然黒鉛が更に好ましい。
具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された炭素材料に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。また、黒鉛を循環させることによって機械的作用を繰り返し与える機構を有するものであるのが好ましい。
ンシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロン(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)等が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。
非晶質炭素としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、炭素前駆体を不融化処理し、焼成した粒子が挙げられる。
焼成の際、有機物に燐酸、ホウ酸、塩酸などの酸類、水酸化ナトリウム等のアルカリ類などを混合することもできる。
炭素材(A)を構成する炭素材料は、他の炭素材料の一種又は二種以上と組み合わせて使用することもできる。
・メソ孔容積、メソ孔表面積
本発明の炭素材において、メソ孔容積、及びメソ孔表面積は、窒素吸着法により測定した吸着等温線を用いて、BJH法解析により各細孔径におけるメソ孔容積、及びメソ孔表面積を求めた値である。BJH法面積解析によるメソ孔表面積はメソ孔を円筒形と仮定し、その側面積を積算することにより算出した。
35nm以下の範囲のメソ孔容積は、好ましくは0.001mL/g以上、より好ましくは0.007mL/g以上、さらに好ましくは0.008mL/g以上、特に好ましくは0.009mL/g以上であり、最も好ましくは0.01mL/g以上であり、また、好ましくは0.1mL/g以下であり、より好ましくは0.05mL/g以下、さらに好ましくは0.02mL/g以下である。
2nm〜4nmの範囲のメソ孔表面積(SAa)は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上、更に好ましくは1m2/g以上、特に好ましくは2m2/g以上であり、最も好ましくは2.2m2/g以上であり、また、好ましくは10m2/g以下であり、より好ましくは5m2/g以下、更に好ましくは4m2/g以下、特に好ましくは3m2/g以下である。
2nm〜4nmの範囲のメソ孔表面積(SAa)は、Liイオンが挿入・脱離可能な活性端面の量に相関しており、また電解液の分解反応活性がより高いと考えられる。一方で、4nm〜35nmの範囲のメソ孔表面積(SAb)はLiイオンの挿入・脱離への寄与が小さいベーサル面の量と相関していると考えられる。
X線光電子分光法測定(XPS)としてX線光電子分光器(例えば、アルバック・ファ
イ社製ESCA)を用い、測定対象(ここでは黒鉛材料)を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)を炭素材料の表面官能基量O/C値と定義する。
XPSより求められるO/C値は、好ましくは0.8以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは1.5以上、特に好ましくは2以上、好ましくは8以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3.5以下、特に好ましくは3以下である。
本発明の炭素材の体積基準平均粒径(「平均粒径d50」とも記載する)は好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上である。また平均粒径d50は、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは35μm以下、特に好ましくは31μm以下である。平均粒径d50が小さすぎると、前記炭素材を用いて得られる非水系二次電池の不可逆容量の増加、初期電池容量の損失を招く傾向があり、一方平均粒径d50が大きすぎるとスラリー塗布における筋引きなどの工程不都合の発生、高電流密度充放電特性の低下、低温入出力特性の低下を招く場合がある。
本発明の炭素材の円形度は、0.88以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.91以上である。また、円形度は好ましくは1以下、より好ましくは0.98以下、更に好ましくは0.97以下である。円形度が上記範囲内であると、非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を抑制できる傾向にある。なお、円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
円形度の値としては、例えば、フロー式粒子像分析装置(例えば、シスメックスインダストリアル社製FPIA)を用い、試料(炭素材)約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、分散液に28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が1.5〜40μmの範囲の粒子について測定した値を用いる。
本発明の炭素材のタップ密度は好ましくは0.7g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、更に好ましくは0.85g/cm3以上、特に好ましくは0.9g/cm3以上、最も好ましくは0.95g/cm3以上、好ましくは1.3g/cm3以下であり、より好ましくは1.2g/cm3以下であり、更に好ましくは1.1g/cm3以下である。
前記タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義する。
本発明の炭素材の、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は、好ましくは0.335nm以上、0.340nm未満である。ここで、d値はより好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002値が上記範囲内にあると、黒鉛の結晶性が高いため、初期不可逆容量が増加を抑制する傾向にある。ここで、0.335nmは黒鉛の理論値である。
また、学振法によるX線回折で求めた前記炭素材の結晶子サイズ(Lc)は、好ましくは1.5nm以上、より好ましくは3.0nm以上の範囲である。上記範囲内であると、結晶性が低過ぎない粒子となり、非水系二次電池とした場合に可逆容量が減少し難くなる。なお、Lcの下限は黒鉛の理論値である。
本発明の炭素材に含まれる灰分は、炭素材の全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、灰分の下限は1ppm以上であることが好ましい。
灰分が上記範囲内であると非水系二次電池とした場合に、充放電時の炭素材と電解液との反応による電池性能の劣化を無視できる程度に抑えることができる。また、炭素材の製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要としないため、コストの上昇も抑えられる。
本発明の炭素材のBET法により測定した比表面積(SA)は、好ましくは3m2/g以上、より好ましくは4m2/g以上、更に好ましくは4.5m2/g以上、特に好ましくは5.1m2/g以上である。また、好ましくは11m2/g以下、より好ましくは9m2/g以下、更に好ましくは8m2/g以下である。
また、炭素材を使用して負極を形成した場合の、その電解液との反応性の増加を抑制でき、ガス発生を抑えることができるため、好ましい非水系二次電池を提供することができる。
った後、液体窒素温度まで冷却し、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET6点法によって測定した値として定義する。
本発明の炭素材において、10nm〜1000nmの範囲の細孔容積は、水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)を用いて測定した値であり、好ましくは0.05mL/g以上、より好ましくは0.07mL/g以上、更に好ましくは0.1mL/g以上であり、また、好ましくは0.3mL/g以下であり、より好ましくは0.28mL/g以下、更に好ましくは0.25mL/g以下である。
全細孔容積が上記範囲内であると、極板化時のバインダ量を過剰にする必要がなく、極板化時に増粘剤やバインダの分散効果も得られ易くなる。
平均細孔径が上記範囲内であると、極板化時のバインダ量を過剰にする必要がなく、電池の高電流密度充放電特性の低下を回避できる傾向にある。
引き続き、4psia(約28kPa)に減圧して前記セルに水銀を導入し、圧力を4psia(約28kPa)から40000psia(約280MPa)までステップ状に昇圧させた後、25psia(約170kPa)まで降圧させる。
なお、水銀の表面張力(γ)は485dyne/cm、接触角(ψ)は140°として算出する。平均細孔径は、累計細孔体積が50%となるときの細孔径として定義する。
本発明の炭素材の真密度は、好ましくは1.9g/cm3以上、より好ましくは2g/
cm3以上、更に好ましくは2.1g/cm3以上、特に好ましくは2.2g/cm3以上
であり、上限は2.26g/cm3である。上限は黒鉛の理論値である。真密度が上記範
囲内であると、炭素の結晶性が低すぎず、非水系二次電池とした場合の、その初期不可逆
容量の増大を抑制できる傾向にある。
本発明の炭素材の粉末状態でのアスペクト比は、理論上1以上であり、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。またアスペクト比は好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。
アスペクト比が上記範囲内であると、極板化時に炭素材を含むスラリー(負極形成材料)のスジ引きが起こり難く、均一な塗布面が得られ、非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を回避する傾向にある。
本発明の炭素材の最大粒径dmaxは、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは120μm以下、特に好ましくは100μm以下、最も好ましくは80μm以下である。dmaxが上記範囲内にあると、筋引きなどの工程不都合の発生を抑制できる傾向にある。
また、最大粒径は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子が測定された最も大きい粒径の値として定義される。
本発明の炭素材のラマンR値は、その値は好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上である。また、ラマンR値は好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下である。
なお、前記ラマンR値は、ラマン分光法で求めたラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比(IB/IA)として算出されたものと定義する。
なお、本明細書において「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm-1の範囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm-1の範囲を指す。
前記ラマンスペクトルは、ラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。測定条件は以下の通りである。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
本発明の炭素材のDBP(フタル酸ジブチル)吸油量は、好ましくは65ml/100g以下、より好ましくは62ml/1 BR>O0g以下、更に好ましくは60ml/100g以下、特に好ましくは57ml/100g以下である。また、DBP吸油量は好ましくは30ml/100g以上、より好ましくは40ml/100g以上である。
また、DBP吸油量は、JIS K6217に準拠し、測定材料(炭素材)を40g投入し、滴下速度4ml/min、回転数125rpm、設定トルク500N・mとしたときの測定値として定義される。測定には、例えばブラベンダー社製 アブソープトメーター E型を用いることができる。
本発明の炭素材の体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積10%に相当する粒径(d10)は好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは17μm以下、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、特に好ましくは11μm以上、最も好ましくは13μm以上である。
d10は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子の頻度%が小さい粒径から積算で10%となった値として定義される。
本発明の炭素材の体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積90%に相当する粒径(d90)は好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下、より更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは45μm以下、最も好ましくは42μm以下、好ましくは20μm以上、より好ましくは26μm以上、更に好ましくは30μm以上、特に好ましくは34μm以上である。
d90は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子の頻度%が小さい粒径から積算で90%となった値として定義される。
本発明の有機化合物(B)としては、2nm以上4nm以下のメソ孔に高選択的に修飾させるために、少なくとも塩基性基またはリチウムイオン配位性基を有する基を有しているものが好ましい。それにより、電解液と溶媒和したリチウムイオンの脱溶媒和を促進して電解液の還元分解が抑制されることによって初期充放電効率の向上効果をより高め、2nm以上4nm以下のメソ孔の表面に形成された保護被膜中のリチウムイオン拡散を促進して良好な低温入出力特性を得ることができると考えている。
本発明の有機化合物(B)は、さらにπ共役構造を有することがより好ましい。また、
本発明の有機化合物(B)の好ましい構造としては、グラフト型構造、星型構造、及び三次元網目構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造(S)を有していることが好ましい。
ができる。
また、該分子がグラフト型構造、星型構造、及び三次元網目構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造(S)を持つ。
この単一の化合物は、塩基性基を有する化合物(以下、有機化合物(B1)と呼称する場合がある。)とリチウムイオン配位性基を有する化合物(以下、有機化合物(B2)と呼称する場合がある。)との反応生成物(以下、反応生成物(B1−B2)と呼称する場合がある。)であってもよく、好ましくは、有機化合物(B1)、有機化合物(B2)及びπ共役構造を有する化合物(以下、有機化合物(B3)と呼称する場合がある。)との反応生成物(以下、反応生成物(B1−B2−B3)と呼称する場合がある)である。
有機化合物(B)がポリマー(b’)である場合の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは500以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、特に好ましくは2500以上である。一方前記重量平均分子量は、好ましくは100万以下、より好ましくは50万以下、更に好ましくは30万以下、特に好ましくは20万以下である。
また、混合物を主たる有機化合物(B)として用いた場合でも本発明の活物質を製造する上で、混合物中の有機化合物どうしが反応する場合がある。その場合、有機化合物(B)中に占める有機化合物の混合物とその反応生成物の含有割合は、有機化合物(B)の全量(活物質(A)に対する含有量)に対して、混合物が好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。
例えば有機化合物(B1)と有機化合物(B2)の反応生成物(B1−B2)を用いる場合、反応生成物(B1−B2)は、活物質(A)に、有機化合物(B1)と有機化合物(B2)を付着させた後、加熱操作を施して、有機化合物(B1)と有機化合物(B2)を反応させてもよい。また、有機化合物(B1)と有機化合物(B2)とを反応させて、反応生成物(B1−B2)を得てから、これを活物質(A)に付着させてもよい。
反応生成物(B1−B2)を得るための反応温度は、30〜200℃とすることができる。この温度範囲で使用する有機化合物(B2)としては、末端にエポキシ基又はグリシジル基を有するものが好ましい。このエポキシ基又はグリシジル基は、下記に示す式(1)におけるR1及びR2に該当する。
前記有機化合物(B)として二種類以上の化合物が混在しているポリマー(b)である場合、塩基性基を有する有機化合物(B1)がポリマー(b1)に相当し、リチウムイオン配位性を有する基を有する有機化合物(B2)がポリマー(b2)にそれぞれ相当する。ポリマー(b1)及びポリマー(b2)については後述する。
本発明の有機化合物(B)における塩基性基は、活物質(A)の表面の官能基と作用し、活物質(A)の表面の活性を抑制する。また、有機化合物(B)が塩基性基を有することにより、活物質(A)の表面と有機化合物(B)との吸着性を向上することができるため、活物質(A)上に有機化合物(B)が安定に存在することを可能にし、また溶出を抑制することが出来るため、保存特性やサイクル特性に優れた効果を示す。
これらの中でも一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基が好ましく、活物質表面官能基との接着性、または反応性が高い点で、一級アミノ基、二級アミノ基が特に好ましい。
以下、塩基性基を有する有機化合物(B1)について説明をする。
例えば、有機化合物(B1)としては、エチレン性不飽和基含有アミンから誘導される単位を持つものが挙げられる。具体的には下記式(2)または(3)で表される単位を有するものが挙げられる。
式(2)及び(3)における炭素数1〜6のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
式(2)において、R3〜R5はそれぞれ独立して、好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくは水素原子であり、R6は、好ましくは原子が存在しない単結合又はメチレン基であり、R7及びR8はそれぞれ独立して、好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
式(3)において、R9〜R12はそれぞれ独立して、好ましくは水素原子又はメチル
基であり、より好ましくは水素原子であり、R13及びR14は、好ましくはメチレン基であり、R15は、好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
有機化合物(B1)は、式(2)の単位又は式(3)の単位のいずれかを含んでいればよく、式(2)及び式(3)の単位の両方を含んでいてもよい。
有機化合物(B1)は塩基性基を有していれば、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよいが、ガスの発生を効果的に抑制する観点からは、高分子化合物であるポリマー(b1)が好ましい。
有機化合物(B1)が低分子化合物の場合、ビニルアミン、アリルアミン又はそれらの誘導体からなる化合物が好ましい。
有機化合物(B1)がポリマー(b1)である場合の一態様としては、重量平均分子量を指標とすることができる。
ポリマー(b1)は、エチレン性不飽和基を含有したアミンのホモポリマー及びコポリマーの少なくともいずれか一方であることが好ましい。具体的には、ビニルアミン、アリルアミン又はそれらの誘導体のホモポリマー及びコポリマーの少なくともいずれか一方であることが好ましい。
。他成分を含むコポリマーとしては例えば、ジアリルアミン−マレイン酸コポリマーが挙げられる。
ポリマー(b1)は、初期充放電効率の点から、好ましくは、ビニルアミン、アリルアミン、N−アルキル置換アリルアミン(N−メチルアリルアミン等)、N,N−ジアルキル置換アリルアミン(N,N−ジメチルアリルアミン等)又はジアリルアミンのホモリマー又はコポリマーであり、より好ましくは、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリ−N−メチルアリルアミン、ポリ−N,N−ジメチルアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリ−N−メチルジアリルアミンであり、最も好ましくはポリビニルアミン又はポリアリルアミンである。
本発明における好ましいリチウムイオン配位性を有する基(以下、単に「リチウムイオン配位性基」と称することもある。)は、非共役電子対を持っている基と定義されるものであり、以下の記載に特に限定されるものではないが、オキシアルキレン基、スルホニル基、スルホ基、含ホウ素官能基、カルボニル基、カーボネート基、含リン官能基、アミド基、及びエステル基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
これらリチウムイオン配位性基は、電解液と溶媒和したリチウムイオンに対して、溶媒からの脱溶媒和を促進する効果が期待できる。これによって、電解液の還元分解が抑制され、初期充放電効率を改善することができる。また、リチウムイオン配位性基は被膜が形成された活物質(A)の被膜内におけるリチウムイオンの拡散を促進することから、負極抵抗を低減し、良好な低温入出力を得ることが可能である。
有機化合物(B2)はリチウムイオン配位性基を有していれば、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよいが、ガスの発生を効果的に抑制する観点からは、高分子化合物であるポリマー(b2)が好ましい。
有機化合物(B2)は、リチウムイオン配位性基を有した有機化合物であれば単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、グリシジル基は下記式(4)で表される官能基であり、エポキシ基は下記式(5)で表される官能基である。
上記式(1)におけるアリール基としては、例えば、非置換又はアルキル基置換のフェニル基が挙げられ、材料の入手し易さの点から、好ましくは、非置換又は炭素数1〜4のアルキル基で置換されたフェニル基であり、特に好ましくは非置換のフェニル基である。
上記式(1)におけるR1及びR2は、初期充放電効率の点から、水素原子、アルキル基、エポキシ基、グリシジル基が好ましく、より好ましくは、アルキル基、エポキシ基、グリシジル基であり、さらに好ましくはグリシジル基である。
上記式(1)におけるAOは、炭素数2〜5のオキシアルキレン基であり、負極抵抗の増加抑制の点から、好ましくはオキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。
ポリマー(b2)としては、具体的には、ポリオキシエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブトキシポリエチレングリコールグリシジルエーテル等が挙げられる。
また、本発明の活物質において有機化合物(B1)+(B2)は、活物質(A)に対して好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.4%以下の割合で含有されている。上記範囲内であると、活物質(A)を効果的に被覆することができ、初期効率向上や発生ガス抑制といった効果を増大させる。また、活物質(A)と被覆層との界面抵抗の増加を抑制し、低温入出力特性の低下を回避することができる。
本発明の有機化合物(B)は、ガスの発生を効果的に抑制し、負極抵抗の上昇を抑制することが可能である点から、更にπ共役構造を有する有機化合物(B3)を含むことが好ましい。このπ共役構造は、活物質(A)が有するπ平面構造部分と作用することによって、活物質(A)の表面を選択的に被覆するため、ガスの発生を効果的に抑制し、負極抵抗の上昇を抑制することが可能であると考えられる。
なお、本明細書において、前記π共役構造を有する化合物とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ構造を持つ不飽和環状化合物であって、ヒュッケル則を満たし、π電子が環上で非局在化し、環が平面構造をとっているものである。
以下、π共役構造を有する有機化合物(B3)について説明する。
有機化合物(B3)はπ共役構造を有するものであれば、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよいが、ガスの発生を効果的に抑制する観点からは、高分子化合物(以下、ポリマー(b3)と呼称する場合がある。)であることが好ましい。
物質(A)と被覆層との界面抵抗が上がり、低温入出力特性が低下する場合がある。
有機化合物(B3)が低分子化合物である場合、有機化合物(B3)としては、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸リチウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、アントラセンスルホン酸、アントラセンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
ポリマー(b3)を構成する構造単位が由来するモノマーとしては、イオン性基と芳香環とを有するモノマーが挙げられる。また前記ポリマー(b3)は、イオン性基を有し芳香環を有さないモノマーと、芳香環を有しイオン性基を有さないモノマーとの共重合体であってもよい。
前記イオン性基を有し、芳香環を有さないモノマーの例としては、ビニルスルホン酸、ビニルスルホン酸リチウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸リチウム、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸リチウム等が挙げられる。
このようなモノマーに由来する構造単位を含むポリマーの具体的な例としては、スチレン−ビニルスルホン酸共重合体、スチレン−ビニルスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−ビニルスルホン酸リチウム共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸リチウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸リチウム共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、ポリビニル安息香酸、ポリビニル安息香酸リチウム、ポリビニル安息香酸ナトリウム、スチレン−ビニル安息香酸共重合体、スチレン‐ビニル安息香酸リチウム共重合体、スチレン−ビニル安息香酸ナトリウム共重合体等が挙げられる。
り好ましくは1000以上、更に好ましくは2000以上、特に好ましくは2500以上である。一方前記重量平均分子量は、好ましくは100万以下、より好ましくは50万以下、更に好ましくは30万以下、特に好ましくは20万以下である。
本発明の有機化合物(B)は、グラフト型構造、星型構造、及び三次元網目構造からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造(S)を有する。この構造(S)は、有機化合物(B1)と有機化合物(B2)を含む化合物が、架橋構造を取ることによって形成されることが好ましい。架橋の方式として、化学架橋、物理架橋、及びイオンコンプレックス架橋のうちいずれかが挙げられ BR>驍ェ、安定性が高い点から化学架橋がより好ましい。
また、本明細書において、星型構造とは、分子中の1個の分岐点となる原子から複数の線状分子鎖が出ている分子をいう。
また、本明細書において、三次元網目構造とは、1分子中で高度に分岐し、多数の閉じた経路(ループ)を持つ分子をいう。これらの構造(S)の中で、三次元網目構造が好ましい。
上記、構造(S)は小角X線散乱、粘弾性測定や良溶媒による不溶分を測定することによって確認することができる。
本発明の炭素材(C)は、以上説明した炭素材(A)、有機化合物(B)を含有し、メソ孔表面積比(SAa/SAb)が0.63以下であれば特に制限はない。
化合物(B)は少なくとも塩基性基を有する有機化合物(B1)及びリチウムイオン配位性を有する基を含む有機化合物(B2)の混合物及び/又は反応生成物であることが好ましく、さらにπ共役構造を有する有機化合物(B3)やその他の成分が混合及び/又は反応していてもよい。
また、本明細書において「炭素材(A)、有機化合物(B)を含有する」とは、炭素材(A)と有機化合物(B)が混合された状態、炭素材(A)の表面に有機化合物(B)が付着した状態、炭素材(A)の細孔内に有機化合物(B)が付着している状態等を表し、炭素材(A)と有機化合物(B)との状態の関係性によらない。
・メソ孔容積、メソ孔表面積
本発明の炭素材において、メソ孔容積、及びメソ孔表面積は、窒素吸着法により測定した吸着等温線を用いて、BJH法解析により各細孔径におけるメソ孔容積、及びメソ孔表面積を求めた値である。BJH法面積解析によるメソ孔表面積はメソ孔を円筒形と仮定し、その側面積を積算することにより算出した。
35nm以下の範囲のメソ孔容積は、好ましくは0.001mL/g以上、より好ましくは0.005mL/g以上、更に好ましくは0.007mL/g以上、また、好ましく
は0.1mL/g以下であり、より好ましくは0.05mL/g以下、更に好ましくは0.02mL/g以下、特に好ましくは0.01mL/g以下である。
2nm〜4nmの範囲のメソ孔表面積(SAa)は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上、更に好ましくは0.7m2/g以上であり、また、好ましくは8m2/g以下であり、より好ましくは4m2/g以下、更に好ましくは2m2/g以下、特に好ましくは1.5m2/g以下である。
2nm〜4nmの範囲のメソ孔表面積(SAa)は、Liイオンが挿入・脱離可能な活性端面の量に相関しており、また電解液の分解反応活性がより高いと考えられる。一方で、4nm〜35nmの範囲のメソ孔表面積(SAb)はLiイオンの挿入・脱離への寄与が小さいベーサル面の量と相関していると考えられる。
そして、上記好ましい範囲にある場合、炭素材のLiイオンの挿入・脱離サイトをそれほど減少させることがないため、炭素材へのLiイオンのスムーズな挿入・脱離を行うことができるため、低温入出力特性の低下をより抑制できる傾向がある。また、電解液の過度な分解を抑制できるため、初期効率の低下やガス発生量の増大をより抑制できる。
本発明の炭素材の体積基準平均粒径(「平均粒径d50」とも記載する)は好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上である。また平均粒径d50は、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは35μm以下、特に好ましくは31μm以下である。平均粒径d50が上記範囲内の場合、前記炭素材を用いて得られる非水系二次電池の不可逆容量の増加、初期電池容量の損失を抑制する傾向にあり、またスラリー塗布における筋引きなどの工程不都合の発生、高電流密度充放電特性の低下、低温入出力特性の低下を抑制することもできる。
本発明の炭素材の円形度は、0.88以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.91以上である。また、円形度は好ましくは1以下、より好ましくは0.98以下、更に好ましくは0.97以下である。円形度が上記範囲内であると、非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を抑制できる傾向がある。なお、円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
円形度の値としては、例えば、フロー式粒子像分析装置(例えば、シスメックスインダストリアル社製FPIA)を用い、試料(炭素材)約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、分散液に28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が1.5〜40μmの範囲の粒子について測定した値を用いる。
本発明の炭素材のタップ密度は好ましくは0.7g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、更に好ましくは0.85g/cm3以上、特に好ましくは0.9g/cm3以上、最も好ましくは0.95g/cm3以上、好ましくは1.3g/cm3以下であり、より好ましくは1.2g/cm3以下であり、更に好ましくは1.1g/cm3以下である。
前記タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義する。
本発明の炭素材の、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は、好ましくは0.335nm以上、0.340nm未満であり、より好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002値が上記範囲内にあると、黒鉛の結晶性が高いため、初期不可逆容量が増加を抑制する傾向にある。ここで、0.335nmは黒鉛の理論値である。
また、学振法によるX線回折で求めた前記炭素材の結晶子サイズ(Lc)は、好ましくは1.5nm以上、より好ましくは3.0nm以上の範囲である。この範囲内であると、結晶性が低過ぎない粒子となり、非水系二次電池とした場合に可逆容量が減少することを抑制できる。なお、Lcの下限は黒鉛の理論値である。
本発明の炭素材に含まれる灰分は、炭素材の全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、灰分の下限は1ppm以上であることが好ましい。
灰分が上記範囲内であると非水系二次電池とした場合に、充放電時の炭素材と電解液との反応による電池性能の劣化を無視できる程度に抑えることができる。また、炭素材の製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要としないため、コストの上昇も抑えられる。
本発明の炭素材のBET法により測定した比表面積(SA)は、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、更に好ましくは3m2/g以上、特に好ましくは4m2/g以上である。また、好ましくは11m2/g以下、より好ましくは9m2/g以下、更に好ましくは8m2/g以下、特に好ましくは7m2/g以下、最も好ましくは6.5m2/g以下である。
また、炭素材を使用して負極を形成した場合の、その電解液との反応性の増加を抑制でき、ガス発生を抑えることができるため、好ましい非水系二次電池を提供することができる。
本発明の炭素材において、10nm〜1000nmの範囲の細孔容積は、水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)を用いて測定した値であり、好ましくは0.01mL/g以上、より好ましくは0.03mL/g以上、更に好ましくは0.05mL/g以上であり、また、好ましくは0.3mL/g以下であり、より好ましくは0.25mL/g以下、更に好
ましくは0.2mL/g以下である。
全細孔容積が上記範囲内であると、極板化時のバインダ量を過剰にする必要がなく、極板化時に増粘剤やバインダの分散効果も得られ易くなる。
平均細孔径が上記範囲内であると、極板化時のバインダ量を過剰にする必要がなく、電池の高電流密度充放電特性の低下を回避できる傾向にある。
引き続き、4psia(約28kPa)に減圧して前記セルに水銀を導入し、圧力を4psia(約28kPa)から40000psia(約280MPa)までステップ状に昇圧させた後、25psia(約170kPa)まで降圧させる。
なお、水銀の表面張力(γ)は485dyne/cm、接触角(ψ)は140°として算出する。平均細孔径は、累計細孔体積が50%となるときの細孔径として定義する。
本発明の炭素材の真密度は、好ましくは1.9g/cm3以上、より好ましくは2g/
cm3以上、更に好ましくは2.1g/cm3以上、特に好ましくは2.2g/cm3以上
であり、上限は2.26g/cm3である。上限は黒鉛の理論値である。この範囲内であ
ると炭素の結晶性が低過ぎず、非水系二次電池とした場合の、その初期不可逆容量が増大を抑制できる。
本発明の炭素材の粉末状態でのアスペクト比は、理論上1以上であり、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。またアスペクト比は好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下、特に好ましくは3以下である。
アスペクト比が上記範囲内であると、極板化時に炭素材を含むスラリー(負極形成材料)のスジ引きが起こり難く、均一な塗布面が得られ、非水系二次電池の高電流密度充放電
特性の低下を回避する傾向にある。
本発明の炭素材の最大粒径dmaxは、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは120μm以下、特に好ましくは100μm以下、最も好ましくは80μm以下である。dmaxが上記範囲内にあると、筋引きなどの工程不都合の発生を抑制できる傾向にある。
また、最大粒径は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子が測定された最も大きい粒径の値として定義される。
本発明の炭素材のラマンR値は、その値は好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上である。また、ラマンR値は好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下である。
なお、前記ラマンR値は、ラマン分光法で求めたラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比(IB/IA)として算出されたものと定義する。
なお、本明細書において「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm-1の範囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm-1の範囲を指す。
前記ラマンスペクトルは、ラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。測定条件は以下の通りである。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
本発明の炭素材のDBP(フタル酸ジブチル)吸油量は、好ましくは65ml/100g以下、より好ましくは62ml/100g以下、更に好ましくは60ml/100g以下、特に好ましくは57ml/100g以下である。また、DBP吸油量は好ましくは30ml/100g以上、より好ましくは40ml/100g以上である。
また、DBP吸油量は、JIS K6217に準拠し、測定材料(炭素材)を40g投入し、滴下速度4ml/min、回転数125rpm、設定トルク500N・mとしたときの測定値として定義される。測定には、例えばブラベンダー社製 アブソープトメーター E型を用いることができる。
本発明の炭素材の体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積10%に相当する粒径(d10)は好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは17μm以下、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、特に好ましくは11μm以上、最も好ましくは13μm以上である。
d10は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子の頻度%が小さい粒径から積算で10%となった値として定義される。
本発明の炭素材の体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積90%に相当する粒径(d90)は好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下、より更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは45μm以下、最も好ましくは42μm以下、好ましくは20μm以上、より好ましくは26μm以上、更に好ましくは30μm以上、特に好ましくは34μm以上である。
d90は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子の頻度%が小さい粒径から積算で90%となった値として定義される。
本発明の非水系二次電池負極用活物質における、有機化合物(B)の溶出性は、塩を含まない非水系溶媒に、室温(25℃)で炭素材料を5時間浸漬した際に、溶液への有機化合物(B)の溶出量を測定することにより評価することができる。
溶出量は好ましくは、非水系二次電池負極用活物質に含有される有機化合物(B)全量の20質量%以下とすることができ、より好ましくは15質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
上記溶出性の評価で使用される非水系溶媒は、非水系電解液の溶媒として公知の非水系溶媒の中から適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類等が挙げられる。
有機化合物(B)の溶出量の定量方法としては、非水系二次電池負極用活物質を非水系溶媒成分に浸漬した後、上澄みを回収して乾燥して溶媒を飛ばし、NMRやGPCにおける100%溶出した場合のピーク強度に対する、溶出成分のピーク強度の割合で算出する方法が挙げられる。
本発明に係る非水系二次電池負極用活物質は、例えば以下の方法により製造することができる。
前記有機化合物(B1)及び前記有機化合物(B2)を、1)混合工程で有機溶媒、水又はこれらの混合溶媒に加え、その溶液(D)を、炭素材(A)と混合した後、2)乾燥工程で加熱又は/及び減圧によって乾燥させることによって、炭素材(A)が有機化合物(B)を含有した非水系二次電池負極用活物質を得ることができる。
なお、使用する溶媒は、有機化合物(B1)および有機化合物(B2)が溶解もしくは分散すれば、特に限定されないが、好ましくは水やエチルメチルケトン、トルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、メタノール等が挙げられる。中でも水、エチルメチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、メタノールがコストや乾燥のし易さからより好ましい。
炭素材(A)と有機化合物(B)を混合する方法としては、特に制約はないが、初期ガス量の抑制や保存ガス量の抑制の観点で炭素材(A)の表面に有機化合物(B)を均一にコートできることが望ましい。
混合方法としては、固定された容器内で撹拌翼を用いて撹拌をする方法や、容器自体が回転して粉体を転動させて混合する方法や、気流によって流動化させて混合する方法が挙げられる。中でも、混合均一性の観点から固定された容器内で撹拌翼を用いて撹拌をする方法が好ましい
その際の固定された容器は、逆円錐型、縦置き円筒型、横置き円筒型、U型トラフが挙げられるが、機内付着と均一混合性の観点では好ましくは横置き円筒型である。
そして、例えば、横置き円筒型の容器で水平軸方式の鋤型の撹拌翼を有するミキサーを用いることが好ましい。
処理時間は好ましくは0.5min以上、より好ましくは1min以上、更に好ましくは5min以上、好ましくは5hr以下、より好ましくは1hr以下、更に好ましくは2
0min以下である。処理時間が上記範囲内にあると、処理能力を維持しつつより均一に混合することができる。
有機化合物(B1)の溶液と、有機化合物(B2)の溶液を別途用意した場合、これらの溶液と炭素材(A)とを同時に混合してもよく、これらの溶液を混合した後に炭素材(A)を混合してもよく、あるいは有機化合物(B1)の溶液又は有機化合物(B2)の溶液のいずれかと炭素材(A)を混合した後に他方の溶液を加えてもよい。
また、炭素材(A)を分散させたスラリーの作製時に、有機化合物(B1)の溶液及び有機化合物(B2)の溶液を添加することが好ましい。これは、負極板に非水系二次電池負極用活物質を塗布した後に、有機化合物(B1)及び有機化合物(B2)の溶媒を乾燥することでも、初期充放電効率改善、ガス発生抑制効果が得られ、製造プロセスを簡略化できるためである。
中でも初期充放電効率の点から、有機化合物(B1)の溶液と有機化合物(B2)の溶液を別途用意し、これらの溶液と炭素材(A)を同時に混合して活物質(A)を分散させたスラリーを作製することが好ましい。また、炭素材(A)表面を均一にコートできる点から、有機化合物(B1)の溶液、有機化合物(B2)の溶液、及び炭素材(A)を同時に混合した後、その混合液を濾過または乾燥させ、その後有機化合物(B3)を混合することがより好ましい。
前記溶液中の有機化合物(B1)又は有機化合物(B2)の濃度はそれぞれ、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下である。
化合物(B1)の溶液と有機化合物(B2)の溶液とを炭素材(A)と同時に混合する場合、またはこれらの溶液を混合した後に炭素材(A)と混合する場合は、有機化合物(B1)と有機化合物(B2)の合計である有機化合物(B)についての濃度である。また有機化合物(B1)の溶液又は有機化合物(B2)の溶液のいずれかと炭素材(A)を混合した後に他方の溶液を加える場合は、有機化合物(B1)の溶液、有機化合物(B2)の溶液のそれぞれの濃度である。
また、有機化合物(B1)及び有機化合物(B2)の添加量は適宜調整可能であり、上述した、本発明の非水系二次電池負極用活物質中における好ましい含有量となるように配合量を調節することが好ましい。
有機化合物(B1)及び/または有機化合物(B2)の溶液について加熱により乾燥を行なう場合、有機化合物(B1)及び有機化合物(B2)の分解温度以下の温度であることが好ましく、また溶媒の沸点以上の温度とすることがより好ましい。好ましくは50℃以上、300℃以下である。この範囲であれば、乾燥効率が十分であり、かつ溶媒残存による電池性能の低下が避けられ、かつ有機化合物(B1)及び有機化合物(B2)の分解防止や、炭素材(A)と有機化合物(B1)及び有機化合物(B2)との相互作用が弱くなることによる効果の低減防止を容易に図ることができる。
有機化合物(B1)及び/または有機化合物(B2)の溶液について減圧により乾燥を行なう場合、圧力は、ゲージ圧表記(大気圧との差)で通常0MPa以下、−0.2MPa以上である。この範囲であれば、比較的効率よく乾燥を行うことができる。圧力は、好ましくは−0.03MPa以下であり、また、好ましくは−0.15MPa以上である。
伝熱方式は熱風を直接あてて乾燥させる対流伝熱式、熱媒体から伝導加熱板を通して熱伝える伝導伝熱式が挙げられるが、歩留りの観点から伝導伝熱式が好ましい。
撹拌翼の形状は水平軸方式であれば、リボン型、スクリュー型、単軸パドル型、複軸パドル型、イカリ型、鋤 BR>^、中空くさび型であり、垂直軸方式であれば、リボン型、スクリュー型、円錐スクリュー型、下部高速回転羽、が挙げられるが、好ましくは水平軸方式の単軸パドル型、鋤型である。
伝導伝熱方式の場合、熱媒の種類は熱媒体油、蒸気、電気ヒーターが挙げられるが、コスト面から蒸気が好ましい。また、熱媒は撹拌槽ジャケット、もしくは撹拌翼、もしくは撹拌軸に流すことで、伝熱面を介して被乾燥物へ熱を伝えるが、伝熱効率の観点から、撹拌槽ジャケットと撹拌翼と撹拌軸のすべてに熱媒を流すことが好ましい。
有機化合物(B3)等のその他の成分を添加する場合には、有機化合物(B1)や有機化合物(B2)の溶液とは別に、その他の成分の溶液を用意してもよいし、有機化合物(B1)や有機化合物(B2)の溶液と同一の溶媒に加えて溶液を用意してもよい。
本発明の非水系二次電池負極用活物質は、炭素材(A)及び有機化合物(B)を含有しており、メソ孔表面積比(SAa/SAb)が0.63以下であれば特に限定されないが、有機化合物(B)の含有量は、炭素材(A)に対して、0.01質量%以上とすることができ、また、10質量%以下とすることができる。なお、有機化合物(B)が高分子化合物であるポリマー(b)の場合、ポリマー(b)の炭素材(A)に対する含有量は、好ましい範囲も含め、有機化合物(B)の値と同じ値である。
前記任意の有機化合物の含有量は特に限定されないが、活物質(A)に対して、0.01質量%以上、10質量%以下が好ましい。
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の炭素材とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
バインダとしては、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用すること
ができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、好ましくは150質量%以下、より好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
このスラリーを、集電体である厚さ18μmの銅箔上に、負極材料が14.5±0.3mg/cm2付着するように、ドクターブレードを用いて幅5cmに塗布し、室温で風乾を行った。更に110℃で30分乾燥後、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.70±0.03g/cm3になるよう調整し電極シートを得た。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層の厚みが上記範囲内であると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に優れ、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能を得ることができる。
本発明の非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、
アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが用いられるが、何ら限定されない。
電解質としては、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、この非水系電解液を有機高分子化合物等によりゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものなどが用いられる。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にリチウムの塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
本発明の非水系二次電池の形態は特に制限されない。例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
実施例又は比較例の黒鉛質粒子を用い、活物質層密度1.60±0.03g/cm3の
活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材50.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を50.00±0.02g(固形分換算で0.500g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン1.00±0.05g(固形分換算で0.5g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
mに塗布し、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.60±0.03g/cm3になるよう調整し電極シートを得た。
上記方法で作製した電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、リチウム金属
箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:7)に、LiPF6を1mol/
Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、2016コイン型電池をそれぞれ作製した。
上記方法で作製した電極シートを4cm×3cmに切り出し負極とし、NMCからなる正極を同面積で切り出し、負極と正極の間にはセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、組み合わせた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:3:4)に、LiPF6を1.2mol/Lになるように溶解させた電解液を250μl注液してラミネート型電池を作製した。
上述の方法で作製した非水系二次電池(2016コイン型電池)を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の容量を測定した。
0.05Cの電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、さらに5mVの一定電圧で電流密度が0.005Cになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.1Cの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行った。引き続き同電流密度で2回目の充放電を行い、この計2サイクルの充電容量と放電容量の差の和を不可逆容量として算出した。また、2サイクル目の放電容量を本材料の放電容量とし、本材料の放電容量/(本材料の放電容量+不可逆容量)を初期効率とした。
上述の方法で作製したラミネート型電池を、12時間放置した後、電流密度0.2CmA/cm3で、両電極間の電位差が4.1Vになるまで充電を行い、その後3Vになるまで0.2CmA/cm3で放電を行った。これを2回繰り返し、更に同電流値で、両電極間の電位差が4.2Vになるまで充電を実施した。ここまでに発生する膨れ量a(mL)は、浸漬容積法(アルキメデスの原理に基づく溶媒置換法)により計測した。その後、85℃の恒温槽内に24時間放置して、更に膨れる量b(mL)を求めた。このときの、a(mL)を「初期ガス量」、b(mL)を「保存ガス量」とした。
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、初期充放電を行った。
界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標)が挙げられる)の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、これを測定サンプルとして市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例
えばHORIBA製LA−920)に導入し、測定サンプルに28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、前記測定装置において体積基準のメジアン径として測定した。
表面積計(島津製作所製比表面積測定装置「ジェミニ2360」)を用い、炭素材試料に対して窒素流通下100℃、3時間の予備減圧乾燥を行なった後、液体窒素温度まで冷却し、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET6点法によって測定した。
粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義した。
100℃、3時間減圧加熱処理を行ったのち、カンタークローム社製・オートソーブ3Bにて、液体窒素温度下で吸着等温線(吸着ガス:窒素)を測定した。得られた吸着等温線を用いて、BJH法解析により各細孔径におけるメソ孔容積、及びメソ孔面積を求めた。
非水系二次電池負極用炭素材(C)として、d50、SA、Tap、SAa/SAb、35nm以下のメソ孔容積がそれぞれ17.4μm、6.5m2/g、1.04g/cm3、0.91、0.01ml/gである球形化天然黒鉛をそのまま用いた。これについて、実施例1同様の測定を行った。結果を表1、表2に示す。
炭素材(A)として、d50、SA、Tap、SAa/SAb、35nm以下のメソ孔容積がそれぞれ17.4μm、6.5m2/g、1.04g/cm3、0.91、0.01ml/gである球形化天然黒鉛1kgと、有機化合物(B)として5%ポリアリルアミド水溶液200gをミキサーで混合した。得られたサンプルを120℃、7時間、大気雰囲気下で静置乾燥して、篩処理を行い、粉末状の非水系二次電池負極用炭素材(C)を得た。これについて、実施例1同様の測定を行った。結果を表1、表2に示す。
5%ポリアクリル酸水溶液200gを2%カルボキシルメチルセルロースナトリウム塩水溶液400gに変えた以外は、実施例1と同様に行い非水系二次電池負極用炭素材(C)を得た。これについて、実施例1同様の測定を行った。結果を表1、表2に示す。
非水系二次電池負極用炭素材(C)として、d50、SA、Tap、SAa/SAb、35nm以下のメソ孔容積がそれぞれ10.9μm、8.6m2/g、0.94g/cm3、0.81、0.014ml/gである球形化天然黒鉛をそのまま用いた。これについ
て、実施例1同様の測定を行った。結果を表3、表4に示す。
に進行することにより初期効率の低下、初期・保存ガス量の増加が見られた。また、規定外の有機化合物を添着した比較例2、3についても、SAa/SAbが規定範囲外であるために、初期効率の低下、初期・保存ガス量の増加が見られた。
Claims (11)
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と、有機化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用炭素材であって、下記式1で表されるメソ孔表面積比(SAa/SAb)が0.63以下であることを特徴とする、非水系二次電池用炭素材(C)。
(式1) SAa/SAb=窒素吸着法により求めた2nm以上4nm以下のメソ孔表面積/窒素吸着法により求めた4nm以上35nm以下のメソ孔表面積 - 窒素吸着法により求めた35nm以下のメソ孔容積が0.007ml/g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
- 前記炭素材(A)が球形化天然黒鉛であることを特徴とする、請求項1または2に記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
- 前記炭素材(A)の窒素吸着法により求めた35nm以下のメソ孔容積が0.007ml/g以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
- 前記有機化合物(B)が塩基性基、及びリチウムイオン配位性を有する基を有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
- 前記有機化合物(B)がπ共役構造を有することを特徴とする、請求項5に記載の非水系二次電池用炭素材(C)。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材(A)と、有機化合物(B)を含有する非水系二次電池負極用炭素材の製造方法であって、
工程(1):炭素材(A)と、有機化合物(B)を溶媒中で混合する工程
工程(2):工程(1)で得られた混合物を撹拌乾燥する工程
を有することを特徴とする、非水系二次電池用炭素材(C)の製造方法。 - 前記有機化合物(B)が塩基性基、及びリチウムイオン配位性を有する基を有することを特徴とする、請求項7に記載の非水系二次電池用炭素材(C)の製造方法。
- 前記工程(2)において、固定された容器内に撹拌翼を有する撹拌装置を用い、撹拌翼の周速が0.01m/s以上、40m/s以下で撹拌することにより撹拌混合しながら乾燥することを特徴とする、請求項7または8に記載の非水系二次電池用炭素材(C)の製造方法。
- 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備えると共に、該活物質層が、請求項1から6のいずれか一項に記載の非水系二次電池用炭素材(C)を含有することを特徴とする、非水系二次電池用負極。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が、請求項10に記載の非水系二次電池用負極であることを特徴とする、非水系二次電池。
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