JP2015150842A - 二軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリアミドフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】引裂き性特に直線カット性に優れ、耐ピンホール性特に耐屈曲ピンホール性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムの提供。【解決手段】脂肪族ポリアミドとポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の混合物からなる二軸延伸ポリアミドフィルムであって、前記二軸延伸ポリアミドフィルムをラミネートし得られたフィルム積層体を用い包装袋を得た後、前記二軸延伸ポリアミドフィルムの製膜時の縦方向(MD方向)に切れ込みを入れ、MD方向に200mm引裂いた時のフィルム積層体の表面と裏面の引裂き部のズレ幅が2.0mm以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアミドフィルム。脂肪族ポリアミドとMXD6の混合比が脂肪族ポリアミド/MXD6=80/20〜99/1(質量比)である二軸延伸ポリアミドフィルム。未延伸フィルムを、縦延伸倍率2.5倍以上、かつ縦?横延伸倍率7倍以上で同時二軸延伸する二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は引裂き性、耐ピンホール性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムに関する。
ナイロン6などのポリアミドフィルムは引張強度、耐衝撃性に優れることから、食品、医薬品、工業用品などの包装用途で幅広く利用されている。
しかしながら、一般にポリアミドフィルムを含む樹脂フィルムは引裂性が悪いため、各種フィルムを用いた包装袋の開封性を向上させるための方法が提案されている。例えば、ノッチをつける方法があるが、引裂いた際に直線的に引裂けない場合や、引裂き抵抗が大きくなる場合があり、内容物をこぼすなどトラブルになる可能性がある。また開封部に開封用テープを挿入する方法があるが、開封用テープ挿入のための設備や生産性、コストアップ等の問題があった。
これに対してフィルム自体に直線カット性を付与した製品としてポリエチレンやポリプロピレンシートを一方向に延伸した一軸延伸シーラントフィルムがあるが、直線カット性が十分とは言えず、引裂き後にシーラントフィルムが繊維状に残る場合があり消費者に異物と誤認される可能性がある。
またポリアミド6にMXD6などを混合し引裂き性を付与したポリアミドフィルムが知られているが、直線カット性が不十分であった(例えば、特許文献1)。
特開平7−113015号公報
これに対し、本発明者らは以下のようなことを見出した。
特許文献1記載のような直線カット性に優れたポリアミドフィルムは、ポリアミド6に分散したMXD6が互いに非相溶であるため、均一に混じり合うことなくポリアミド6からなる海に分散したMXD6があたかも島状に分布し、それら島状に分布するMXD6が延伸により製膜の縦方向(MD方向)に長い棒状に配向し、得られたポリアミドフィルムをMD方向に引裂いた際、相互作用の弱いポリアミド6とMXD6の界面において連続的に剥離が進行することで引裂き性が発現するものと考えられている。したがって、直線カット性を向上させるには、MXD6をより強く配向させることが必要となる。また、通常これらポリアミドフィルムは、ラミネート加工された後包装袋として使用される。前記包装袋はフィルムが半折された状態、すなわち三方袋として使用されるため、ポリアミドフィルムの配向が弱かったり、MD方向に対し角度的にズレを生じた場合、半折されたポリアミドフィルムは、互いの直線カット性を阻害する方向に作用することがあり、結果として包装袋としての引裂き性を損ねることがある。
一方で、前記MXD6は、ポリアミド6に比べ剛直な構造であり、直線カット性を付与する目的でポリアミド6に対しMXD6を混合することは、得られるポリアミドフィルムの柔軟性を損ねる傾向があり、前記ポリアミドフィルムの耐ピンホール性、特に耐屈曲ピンホール性が低下することがあった。
本発明は、引裂き性、耐ピンホール性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)脂肪族ポリアミドとポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の混合物からなる二軸延伸ポリアミドフィルムであって、前記二軸延伸ポリアミドフィルムをラミネートし得られたフィルム積層体を用い包装袋を得た後、前記二軸延伸ポリアミドフィルムの製膜時の縦方向(MD方向)に切れ込みを入れ、MD方向に200mm引裂いた時のフィルム積層体の表面と裏面の引裂き部のズレ幅が2.0mm以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアミドフィルム。
(2)脂肪族ポリアミドとポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の混合比率が、脂肪族ポリアミド/ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)=80/20〜99/1(質量比)であることを特徴とする(1)の二軸延伸ポリアミドフィルム。
(3)未延伸フィルムを、縦延伸倍率2.5倍以上、かつ縦×横延伸倍率7倍以上で同時二軸延伸することを特徴とする(1)または(2)の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
(4)縦方向(MD方向)の延伸倍率と横方向(TD方向)の延伸倍率が、MD方向/TD方向≧0.91である(3)の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
(5)テンターがリニアモーター方式で駆動されていることを特徴とする(3)または(4)の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
(6)(1)または(2)の二軸延伸ポリアミドフィルムを用いた包装袋。
本発明によれば、引裂き性、耐ピンホール性に優れた二軸延伸ポリアミドフィルムが得られる。
本発明における包装袋の実施の形態を示す模式図である。(a)は三方袋であり、(b)は四包袋、(c)は自立袋である。本発明においては(a)の形態にて、引裂き性の評価を行った。 本発明の引裂き性の評価を行った三方袋における形状を示す図である。
本発明において使用される脂肪族ポリアミドとしては、たとえば、ε−カプロラクタムを主原料としたナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。
具体的には、ラクタム類としては、先に示したε−カプロラクタムの他に、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタムなどを挙げることができる。ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸などを挙げることができる。二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸などを挙げることができる。ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン等を挙げることができる。
そして、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体、たとえばナイロン6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6/6.6、6/12等を用いることができる。加えて、本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムを製造する場合には、上記したポリアミド樹脂を単独で、あるいは、2種以上を混合または複層にして、用いることができる。中でも、耐熱性と機械特性のバランスに優れるナイロン6が好ましい。
本発明に用いる脂肪族ポリアミドの相対粘度は2.9〜3.1であり、2.95〜3.05であることが好ましい。脂肪族ポリアミドの相対粘度が2.9未満であると、引張強度や衝撃強度が低下し易いうえ、溶融粘度が低くなりすぎてシート状に製膜するのが困難になる。脂肪族ポリアミドの相対粘度が3.1を超えると、溶融粘度が高くなって、チューブラー式同時二軸延伸には適切となるが、テンター式の同時二軸延伸の際は、溶融樹脂をろ過する際の圧力損失が大きく、余分な押出エネルギーが必要となり、生産コストが高くなる。なお、ここにいう相対粘度とは、脂肪族ポリアミドを96%硫酸に濃度1.0g/dlとなるよう溶解させた試料溶液(液温20℃)を、所定の粘度計(例えば、ウベローデ型粘度計)を用いて測定した場合に得られる値をいう。
本発明に用いるポリメタキシレンアジパミド(MXD6)は、メタキリレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応により得られる。また、パラキシリレンアジパミド成分を5質量%以下で含有したものでもよい。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは、前記脂肪族ポリアミドとポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の混合物からなるものである。本発明においては、脂肪族ポリアミドとポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の混合比率は、脂肪族ポリアミド/ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)が80/20〜99/1(質量比)であることが好ましく、83/17〜98/2(質量比)であることがより好ましく、85/15〜95/5(質量比)であることがさらに好ましく、88/12〜93/7(質量比)であることが最も好ましい。ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の含有量が1質量%未満では直線カット性が発現せず、20質量%を超えると得られる二軸延伸ポリアミドフィルムの強靭性や耐ピンホール性が低下することがある。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムには、本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムの特性を損ねない範囲で、通常公知の添加剤、例えば滑材や耐ピンホール改良剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、帯電防止剤、無機微粒子などを添加することができる。
前記滑剤は、得られる二軸延伸ポリアミドフィルムに滑り性を付与するため用いるものであり、例えば、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイロ、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、カオリナイト、ハイドロタルサイト、層状ケイ酸塩等の無機系滑剤や、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等有機系滑剤が挙げられる。これら滑剤は、1種あるいは2種以上混合して用いてもよい。中でも引裂き性や耐ピンホール性を損ねることなく、滑り性向上の効果が高い点でシリカが好ましい。
前記滑剤を添加する方法としては、原料とするポリアミド樹脂中に粒子を含有させて添加する方法、押出機に直接添加する方法等を挙げることができ、このうちいずれかの一方の方法を採用しても良く、2つの方法を併用してもよい。
前記耐ピンホール改良剤は、得られる二軸延伸ポリアミドフィルムの耐ピンホール性、特に屈曲疲労に対する耐久性を高めるものであり、ポリオレフィン類、ポリアミドエラストマー類、ポリエステルエラストマー類、等の各種樹脂を用いることができる。二軸延伸ポリアミドフィルムに対する前記耐ピンホール改良剤の含有量は任意であるが、これら耐ピンホール改良剤は、ベースとなるポリアミド樹脂に対し柔軟性を付与するものであるので、過剰に含有する場合は、二軸延伸ポリアミドフィルムの引裂き性を大きく損ねるものであり、使用に際しては十分に注意を要する。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは、前記二軸延伸ポリアミドフィルムをラミネートし得られたフィルム積層体を用い包装袋を得た後、前記二軸延伸ポリアミドフィルムの製膜時の縦方向(MD方向)に切れ込みを入れ、MD方向に200mm引裂いた時のフィルム積層体の表面と裏面の引裂き部のズレ幅が、前記二軸延伸ポリアミドフィルム原反の全幅に渡って2.0mm以下であることが好ましく、1.8mm以下であることがより好ましく、1.6mm以下であることがさらに好ましく、1.4mm以下であることが最も好ましい。
なお、フィルムの全幅に渡ってとは、特に断りのない限り、原反フィルムの全幅であることを意味する。さらに原反フィルムの全幅とは、フィルム延伸時に把持されるフィルム両端部において、所定の延伸がされていない部分(いわゆる耳と呼ばれる部分)は除外するものとする。すなわち、フィルム厚みが所定範囲となり、製品として出荷が可能な部分の最大幅を、本願においては全幅と定義する。
前記包装袋について説明をする。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムを用い包装袋を得る場合、まず、ヒートシール性を付与するため、ポリエチレン、ポリプロピレンからなる無延伸シーラントフィルムを積層してフィルム積層体を得る。積層の方法は、ドライラミネート、押出ラミネート等公知の方法を用いることができる。なお、前記二軸延伸ポリアミドフィルムには予め印刷してもよい。また印刷適性や意匠性を高めるために、ポリエステルなどの他のプラスチックフィルムや紙などを積層して用いることができる。さらにガスバリア性を付与するためにエチレンー酢酸ビニル共重合体や金属箔を積層したり、包装袋を構成するいずれかの層に金属薄膜やガスバリア性コートを設けることができる。この場合、本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは少なくても1層に用いられ、積層フィルムの直線カット性を損ねない限り、本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムを2層以上用いてもよい。
前記フィルム積層体は、半折され端部がヒートシールされ包装袋とすることができる。包装袋には内容物が充填され開口部を密封シールすることで密封包装袋として流通される。流通後、密封包装袋は開封され内容物が取り出される。ここで重要なのは、密封包装袋の開封口のフィルム引裂き方向と、本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムのMD方向を一致させることである。このようにすることで、内容物の取り出し性が向上した包装袋とすることができる。なお、本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムを用いた場合、包装袋として、MD方向に200mm引裂いた時のフィルム積層体の表面と裏面の引裂き部のズレ幅が極めて小さいため、直線カット性が十分に向上する。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法について説明をする。なお、上記したように本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムはリニアモータ式テンターを有する延伸装置を用いて製造されることが好ましいが、特にリニアモータ式テンターに限定されるものではない。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは次のようにして製造することができる。押出機にてポリアミド樹脂を溶融した後、溶融シートとしてTダイより押し出し、表面温度0〜25℃に温調した冷却ドラム上に密着させて急冷し、連続した未延伸シートを得る。
未延伸フィルムは二軸延伸するに先立って、20〜80℃に温調された温水槽に送り、10分間以下の調湿処理を施す。この処理は、延伸工程におけるフィルムの切断を防止するためのものであり、この調湿によって樹脂を適度に可塑化し、結晶化を抑制することができる。
未延伸フィルムを、水分率が3.0〜7.0質量%、好ましくは4.0〜6.0質量%となるように吸水処理した後、縦及び横方向に同時二軸延伸することが好ましい。吸水率が3.0質量%未満の場合には、延伸応力が増大して切断などのトラブルが起こり操業性が低下し、また、吸水率が7.0質量%より大きいと、得られる二軸延伸ポリアミドフィルムの強度が低下したり、巾方向のフィルムの厚みムラが増大する。また、吸水率が大きすぎると吸水処理中の未延伸フィルムに折れシワが生じ、フィルムの蛇行などのトラブルが生じやすくなる。
吸水処理を施した未延伸フィルムは、温度200〜230℃、より好ましくは215〜225℃で予熱された後、温度200〜230℃、より好ましくは215〜225℃の温度で同時二軸延伸を行う。延伸倍率は通常、縦方向(MD方向)および横方向(TD方向)にそれぞれ2.5倍以上、かつ縦×横延伸倍率が7倍以上であることが好ましい。加えて、MD方向の延伸倍率とTD方向の延伸倍率が、MD方向/TD方向≧0.91であることが好ましく、MD方向/TD方向≧0.93であることがより好ましく、MD方向/TD方向≧0.95であることがさらに好ましい。延伸倍率を上記のように設定することで、得られる二軸延伸ポリアミドフィルム中の、MXD6の配向性を高めることで、引裂き性を向上することができる。さらに、用いるポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の含有量が少なくても、従来の二軸延伸ポリアミドフィルムに比べ引裂き性が向上する。加えて耐ピンホール性、特に耐屈曲ピンホール性を向上することができる。
次に、二軸延伸ポリアミドフィルムは、温度200〜215℃で熱処理されることが好ましい。熱処理温度が200℃より低いと、後述するリラックス処理を行っても100℃の沸騰水で5分間処理した時の熱収縮率を2.0%未満にすることが困難になる。熱処理温度が215℃より高いと、得られる二軸延伸ポリアミドフィルムの耐衝撃性や透明性が低下するので好ましくない。
また引き続いて、熱処理を行った直後のゾーンで、TD方向のリラックス率(T)を1%≦T≦10%、好ましくは1%≦T≦5%とし、190〜215℃で1〜10秒間のリラックス処理を施すのが好ましい。リラックス率が10%を超えると生産性および二軸延伸ポリアミドフィルムの機械特性が低下するため好ましくない。また、リラックス率が1%未満では熱収縮率を十分に低減することが難しく、MD方向とTD方向の熱収縮率のバランスが悪くなるため好ましくない。
TDリラックス工程と前後し、MD方向のリラックス率(M)を1%≦M≦10%、好ましくは1%≦M≦5%とし、190〜215℃で1〜10秒間のリラックス処理を施し、二軸延伸ポリアミドフィルムとする。リラックス率が10%を超えると生産性、二軸延伸ポリアミドフィルムの機械特性が低下するので好ましくない。また、リラックス率が1%未満では熱収縮率を十分に低減することが難しく、MD方向とTD方向の熱収縮率のバランスが悪くなるため好ましくない。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムの厚みは、特に限定されないが、6〜25μmであることが好ましく、12〜25μmであることがより好ましい。厚みが6μm未満では
二軸延伸ポリアミドフィルムの耐ピンホール性が損ねられる。厚みが25μmを超えると、引裂き性が十分に発現しないことがある。
また本発明の要件を満たしていれば、単層でも2層以上の多層であってもよい。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムには、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲でコロナ放電処理など、放電処理を施して良い。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムは直線カット性に優れているため、各種包装用途で用いる包装袋として好適に使用ができる。また、耐ピンホール性が向上しているため、食品、医薬品、工業製品等の基材フィルムとして用いることができ、内容物保護性を高めながらも開封性も向上させることができる。
本発明は実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
製造例1
<フィルム積層体の作製>
後述する実施例または比較例で得られた二軸延伸ポリアミドフィルムにつき、各々の二軸延伸ポリアミドフィルムのコロナ処理面に、芳香族エステル系接着剤(DICグラフィックス社製ディックドライLX500/KR90S)を塗布し、塗布したフィルムを80℃の熱風乾燥機で10秒間乾燥させて、接着剤塗布量が3g/mとなるようにした。その接着剤塗布面とシーラントフィルム(三井化学東セロ社製RXC−22、厚み50μmの無延伸ポリプロピレンフィルム)のコロナ処理面を貼りあわせて、40℃の雰囲気で72時間エージングし、二軸延伸ポリアミドフィルム/シーラントフィルムの二層からなるフィルム積層体を得た。
製造例2
<包装袋の作製>
製造例1で得られたフィルム積層体を用い、図2のような形状になるように二軸延伸ポリアミドフィルムのMD方向が包装袋の長手になるよう半折をし、三方をヒートシールし、三方袋(縦300×横200mm、シール幅10mm)を得て、図1(a)のように側部シール部に5mmの切り込みノッチ3を設けた。なお、ヒートシールはシール温度180℃、シール圧力0.29MPa、シール時間1秒行った。
<直線カット性評価>
製造例2で得た三方袋において、側部シール部に設けた切り込みノッチより、右手前、左手前方向にそれぞれ100mm引裂き、切り込みノッチ部から長手方向に引いた直線からずれた幅を測定した。この操作を5回繰り返し、平均値を算出した。長手方向に直線を引き200mm裂いたときの直線からのズレ量の絶対値が2.0mm以下を〇、2.0mmを超えたものを×と評価した。
<耐屈曲ピンホール性>
20℃×65%RHの条件下で調湿した200mm×300mmの二軸延伸ポリアミドフィルム原反(以下、試験フィルムという)をゲルボフレックステスター(テスター産業社製)に装着し、89mm直進中に440°回転し、さらに64mm直進し、その後、逆の工程で元の位置に戻るまでの動きを1回と数えて、10000回の屈曲試験を実施した。屈曲試験後の試験フィルムについて、着色液(三菱ガス化学社製 エージレスチェッカー)を試験フィルムの片面に塗布し、着色液が反対面に浸透した個数をピンホール数とした。
実施例1
ポリアミド6(ユニチカ社製 A1030BRF)およびMXD6(三菱エンジニアリングプラスチック社製)を乾燥し、ポリアミド6/MXD6=80/20(質量比)となるよう混合後押出機に投入し、温度260℃に加熱したシリンダー内で溶融後Tダイよりシート状に溶融押出しし、20℃に温調した金属ドラムに巻き付け冷却し厚み150μmの未延伸シートを得た。この未延伸シートを60℃に温調された温水槽に送り、1分間浸漬し、未延伸シートの水分率を4.0%とした。次いで、この未延伸シートの端部をリニアモーター式テンターのクリップに把持し、180℃の条件下で、MD方向に3.0倍、TD方向に3.3倍の延伸倍率で同時二軸延伸した後、TD方向の弛緩率を5%として201℃で4秒間の熱処理を施し、室温まで徐冷し、幅2300mm、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。得られた二軸延伸ポリアミドフィルムについて、各種評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例2〜23、比較例1、2
表1、2に記載のような延伸倍率、ポリアミド6とMXD6の混合比率とする以外は、実施例1と同様にして二軸延伸ポリアミドフィルムを得て、各種評価を行った。なお、実施例1、20、21は同一条件によって得られた二軸延伸ポリアミドフィルムであるが、各種評価における原反の取り位置が異なるものである。すなわち、実施例21はTD方向の中央部、実施例20は中央から500mm、実施例1は中央から1000mmの位置で採取した二軸延伸ポリアミドフィルムである。同様に、実施例11、22、23は同一条件で得られた二軸延伸ポリアミドフィルムであり、取り位置が異なるものである。その結果を表1、2に示す。
比較例3、実施例24、25
延伸方法をパンタグラフ式同時二軸延伸にする以外は実施例1と同様にして二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。これらは原反の取り位置が異なるものである。その結果を表2に示す。
実施例1〜25では、本願所定の引裂き性能を有する二軸延伸ポリアミドフィルムを得た。このような二軸延伸ポリアミドフィルムは、また耐ピンホール性能も優れていた。
比較例1では、MXD6を混合して用いなかったため、引裂き性が劣った。
比較例2では、引裂き性、耐ピンホール性が劣った。
比較例3では、引裂き性が劣った。
1.包装袋
2.接着部
3.ノッチ部
4.縁辺部(フィルム胴)
5.シール部(フィルム端部

Claims (6)

  1. 脂肪族ポリアミドとポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の混合物からなる二軸延伸ポリアミドフィルムであって、前記二軸延伸ポリアミドフィルムをラミネートし得られたフィルム積層体を用い包装袋を得た後、前記二軸延伸ポリアミドフィルムの製膜時の縦方向(MD方向)に切れ込みを入れ、MD方向に200mm引裂いた時のフィルム積層体の表面と裏面の引裂き部のズレ幅が2.0mm以下であることを特徴とする二軸延伸ポリアミドフィルム。
  2. 脂肪族ポリアミドとポリメタキシレンアジパミド(MXD6)の混合比率が、脂肪族ポリアミド/ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)=80/20〜99/1(質量比)であることを特徴とする請求項1記載の二軸延伸ポリアミドフィルム。
  3. 未延伸フィルムを、縦延伸倍率2.5倍以上、かつ縦×横延伸倍率7倍以上で同時二軸延伸することを特徴とする請求項1または2記載の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
  4. 縦方向(MD方向)の延伸倍率と横方向(TD方向)の延伸倍率が、MD方向/TD方向≧0.91である請求項3記載の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
  5. テンターがリニアモーター方式で駆動されていることを特徴とする請求項3または4記載の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法。
  6. 請求項1または2記載の二軸延伸ポリアミドフィルムを用いた包装袋。






















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