JP2013043975A - 耐候性に優れた白色ポリアミドフィルム - Google Patents

耐候性に優れた白色ポリアミドフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】耐候性及び隠蔽性に優れ、食品包装材料として好適に使用されるポリアミドフィルム及びそのポリアミドフィルムを用いた包装袋を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂の単層から構成され、酸化チタンが5〜40質量%、ヒンダードアミン系光安定剤が0.01〜2質量%含有されている白色ポリアミドフィルム。あるいは、酸化チタンを含有するポリアミド樹脂層(A)と酸化チタンを含有しないポリアミド樹脂層(B)の複層構造を有する白色ポリアミドフィルムであって、白色ポリアミドフィルム全体に含有される酸化チタンが5〜40質量%、酸化チタンを含有するポリアミド樹脂層(A)に含有されるヒンダードアミン系光安定剤が0.01〜2質量%である白色ポリアミドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐候性及び隠蔽性に優れ、食品包装材料として好適に使用されるポリアミドフィルム及びそのポリアミドフィルムを用いた包装袋に関するものである。
熱可塑性フィルムに酸化チタンを用いて隠蔽性を付与する方法は知られている。しかしながら、こうしたフィルムは、紫外線に晒される場所で使用した場合、酸化劣化が顕著であり、デラミや破袋などが発生してしまうという問題が発生した。
ポリアミド樹脂の酸化劣化を防止する目的で、熱可塑性樹脂に酸化チタン及びベンゾトリアゾール系有機紫外線吸収化合物を添加する処方が、特許文献1,2に記載されているが、本発明者らの検証によれば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いても、十分な耐候性を得ることはできなかった。
特表2002−529563号公報 特開2000−344903号公報
本発明の目的は、上記問題点を解決し、酸化チタンを含むポリアミド樹脂においても十分な耐候性を発揮し、包装材料として好適に使用される隠蔽性に優れたポリアミドフィルム及びそのポリアミドフィルムを用いた包装袋を提供することである。
本発明者らはこの問題を解決するために鋭意検討した結果、ヒンダードアミン系光安定剤をポリアミド中に酸化チタンとともに配合することにより目的が達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の(1)〜(4)を要旨とするものである。
(1)ポリアミド樹脂の単層から構成され、酸化チタンが5〜40質量%、ヒンダードアミン系光安定剤が0.01〜2質量%含有されている白色ポリアミドフィルム。
(2)酸化チタンを含有するポリアミド樹脂層(A)と酸化チタンを含有しないポリアミド樹脂層(B)の複層構造を有する白色ポリアミドフィルムであって、白色ポリアミドフィルム全体に含有される酸化チタンが5〜40質量%、酸化チタンを含有するポリアミド樹脂層(A)に含有されるヒンダードアミン系光安定剤が0.01〜2質量%である白色ポリアミドフィルム。
(3)少なくとも1層に(1)または(2)に記載の白色ポリアミドフィルムを使用した積層フィルム。
(4)白色ポリアミドフィルムとシーラントを貼り合わせた積層フィルムであって、ISO 4892−2に準じた60℃、相対湿度65%RHの条件で300時間経過後の、白色ポリアミドフィルムとシーラント層との間のラミネート強力が5N/cm以上である(3)記載の積層フィルム。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルムを製袋してなる包装袋。
本発明によれば、隠蔽性と引張特性とともに耐候性に優れた白色ポリアミドフィルムを得ることができ、シーラント等を積層した場合の積層フィルムにおいて、耐候性試験後においても十分なラミネート強力を得ることができるため、包装用途において好適に利用することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の白色ポリアミドフィルム(以下、「白色フィルム」ということがある。)は、一定量の酸化チタン及びヒンダードアミン系光安定剤を含有するポリアミド樹脂からなるフィルムである。
本発明において、ポリアミド樹脂の例としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、およびそれらの混合物、共重合体、複合体等が挙げられる。特に、コストパフォーマンスに優れるナイロン6が、生産性や性能の面で好ましい。
ポリアミド樹脂は、溶融時のモノマー生成を抑制する等の目的で、末端封鎖されていてもよい。末端封鎖剤としては、有機グリシジルエステル、無水ジカルボン酸、安息香酸などのモノカルボン酸、ジアミンなどが用いられる。
ポリアミド樹脂の相対粘度は、特に限定されるものではないが、溶媒として96%硫酸を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度が1.5〜5.0であることが好ましい。さらに好ましくは、2.5〜4.5、いっそう好ましくは3.0〜4.0の範囲である。この相対粘度が1.5未満のものは、フィルムの力学的特性が著しく低下しやすくなる。また、5.0を超えるものは、フィルムの製膜性に支障をきたしやすくなる。
ポリアミド樹脂には、必要に応じて、フィルムの性能に悪影響を与えない範囲で、顔料、防腐剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、無機微粒子等の各種の添加剤を、1種あるいは2種以上添加することができる。
ポリアミド樹脂には、フィルムのスリップ性を向上させるなどの目的で、滑剤が配合されていてもよい。滑剤としては、無機系滑剤、有機系滑剤いずれも用いることができる。滑剤の具体例としては、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、層状ケイ酸塩、エチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。中でも、シリカが好ましい。滑剤の含有量はポリアミド樹脂中に0.01〜0.3質量%の範囲が適当である。
本発明の白色フィルムには、酸化チタンが含まれている。酸化チタンの含有量は、5〜40質量%の範囲であることが必要で、好ましくは15〜30質量%の範囲である。酸化チタン含有量が5質量%未満であると、白色フィルムの隠蔽度が0.3未満となってしまい、十分な遮光性を得ることができない。一方、40質量%を超えると、機械物性の低下に加えて、延伸する際に破断頻度が高くなり、生産性が低下しやすくなる。さらには、フィルム表面の酸化チタン吐出量が多いためポリアミド樹脂と酸化チタンの凝集力が低く、他のフィルムと張り合わせた場合のラミネート強力が著しく低下する。
含有される酸化チタン粒子の粒子種としてはとくに限定されず、アナターゼ型、ルチル型、ブルカライト型等の何れにも限定されないが、隠蔽性向上の点からルチル型酸化チタンが好ましい。
酸化チタンは光活性作用を有することが知られている。すなわち、紫外線を照射すると酸化チタン粒子の表面にフリーラジカルが発生する。このフリーラジカルがポリマーマトリックス中に取り込まれると、ポリマー鎖の分解が起こり、フィルムの黄変の要因となる。従って、用いる酸化チタン粒子は表面処理を施したものが好ましい。表面処理としては、無機処理と有機処理がある。
無機処理としては、アルミナ処理、シリカ処理、チタニア処理、ジルコニア処理、酸化錫処理、酸化アンチモン処理、酸化亜鉛処理等があり、中でもアルミナ処理が好ましい。有機処理としては、ペンタエリトリット、トリメチロールプロパン等のポリオール、トリエタノールアミン、トリメチロールアミン等のアミン系、シリコーン樹脂、アルキルクロロシラン等のシリコーン系のもので処理できる。
用いる酸化チタンの粒径は特に限定されないが、平均粒径が0.1〜0.5μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.4μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満であるとポリアミド樹脂中での分散性が悪く、粗大凝集物がフィルム中に散在して、フィルム中にピンホールを生成し製品価値を低下させることがある。一方、平均粒径が0.5μmを超えるとポリアミド樹脂層を製膜する時にフィルムが破断する頻度が高くなり生産性が低下する傾向がある。
酸化チタンをポリアミド樹脂に配合する方法は特に限定されるものではなく、製造工程の任意の時点で配合することができる。例えば、ポリアミド樹脂の重合時に酸化チタンを添加する方法、ポリアミド樹脂中に酸化チタンを高濃度に練り込んで配合したマスターバッチを製造しこれをポリアミド樹脂に添加して希釈する方法(マスターバッチ法)、ポリアミド樹脂と酸化チタンとを押出機にて溶融混合する方法などが挙げられる。本発明においてはマスターバッチ法を用いて、フィルム化前に所望の酸化チタン濃度に調整する方法が好ましく採用される。
本発明の白色フィルムの隠蔽度は0.3以上であることが好ましく、より好ましくは0.35以上である。隠蔽度が0.3未満では、遮光性及び隠蔽性が不十分となるため、油脂等を含む内容物は酸化劣化しやすくなり、また、内容物が透けて見えてしまうことがある。白色フィルムの隠蔽度を0.3以上にするためには、酸化チタン含有量を本発明で規定する範囲で調整するとともに、白色フィルムの厚みを調整する。なお、本発明において、隠蔽度とは、光学濃度計により測定される光学濃度(O.D.)であって、大きいほど隠蔽性が高い。
使用する白色フィルムの引張強度は、180MPa以上であることが好ましく、より好ましくは、190〜220MPaである。引張強度が180MPa未満であると、機械強度が十分ではなく、突刺し強力が悪化する傾向がある。また、引張伸度は、引張強度と同様の観点から、80%以上が好ましく、より好ましくは90〜120%である。
白色フィルムの厚みは、必要な隠蔽度や、目的とする機械強度、白色度に応じて適宜選択できる。白色フィルムを包装用途に使用する場合には、機械強度やハンドリングのしやすさの理由から、10μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは15μm〜30μmの範囲である。10μm未満であると十分な機械強度が得られず、突刺し強力が悪化する傾向がある。積層体とした時の総厚みも、同様の理由から10μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは15μm〜30μmの範囲である。
本発明の白色フィルムは、製膜が容易である単層フィルムとしても好ましいが、酸化チタンを5〜60質量%、ポリアミド樹脂を40〜90質量%を含む層(A)の少なくとも片面に、酸化チタンを含有しないポリアミド樹脂からなる層(B)を積層して複層フィルムとすることで、単層フィルムに比べて高い隠蔽性が得られ、さらに機械物性を向上させることができる。以下、前記の層(A)を「白色層(A)」、前記の層(B)を「ポリアミド層(B)」と呼ぶ。
複層フィルムにしたときの白色層(A)とポリアミド層(B)の厚み構成は、(A)層の合計厚み(厚み1)と、(B)層の合計厚み(厚み2)の比率が、(厚み2)/(厚み1)=1/4〜3/1のような範囲であると、隠蔽性等の物性を調整しやすいことに加え、十分な機械物性を持たせることが可能となる。
複層フィルムとしたときの層構成は、白色層(A)の外層にポリアミド層(B)を配した(B)/(A)などの2種2層や、(A)/(B)/(A)などの2種3層、(B)/(A)/(B)/(A)/(B)などの2種5層などが考えられるが、その中でも、厚み制御が多層フィルムと比べると簡単であり、機械物性等のバランスから、外層にポリアミド層を配した(B)/(A)/(B)の2種3層が望ましい。
また、外層にポリアミド層(B)を積層することにより、フィルム表面に酸化チタンやヒンダードアミン系光安定剤が滲みだすのを防ぎ、表面平滑性を持たせることが可能となる。それにより、ポリアミド樹脂が本来持っている印刷適性・半調特性、ラミネート強力を失うことなく提供できる。
複層フィルムとした場合、白色層(A)の酸化チタン含有量は、5〜60質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜50質量%の範囲である。酸化チタン含有量が5質量%未満であると、十分な隠蔽度が得られないことがある。一方、60質量%を超えると、多層構造のフィルムを延伸する際に破断頻度が高くなり、生産性が低下しやすくなることがある。
複層フィルムとした場合であっても、複層フィルム全体としての酸化チタンの含有割合は5〜40質量%とすることが必要である。酸化チタン含有量が5質量%未満であると、十分な隠蔽度が得られないことがあり。一方、40質量%を超えると、機械物性の低下に加えて、延伸する際に破断頻度が高くなり、生産性が低下しやすくなることがある。
本発明の白色フィルムには、ヒンダードアミン系光安定剤が含まれている。白色フィルムが単層で構成される場合、ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、白色フィルム全体に対して0.01〜2質量%の範囲であることが必要で、好ましくは0.1〜1質量%の範囲である。白色フィルムが、白色層(A)とポリアミド層(B)の複層構造を有する場合には、ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、白色層(A)において0.01〜2質量%の範囲であることが必要で、好ましくは0.1〜1質量%の範囲である。単層、複層いずれの場合においても、ヒンダードアミン系光安定剤の配合量が0.01質量%より少ないと耐候性が不十分となり、酸化劣化が生じるため好ましくない。2質量%より多いとブリードアウト等の不具合を生じ好ましくない。本発明のように、複層構造の白色フィルム場合において、ヒンダードアミン系光安定剤を白色層(A)に添加すると、酸化チタンへの紫外線照射によって生じるラジカル(アルキルラジカル、パーオキシラジカル等)が引き起こす光酸化反応をより効果的に抑止することができる。
本発明において使用されるヒンダードアミン系光安定剤とは、紫外線の照射によって生じるラジカル(アルキルラジカル、パーオキシラジカル等)をトラップすることにより、光酸化反応を抑止する光安定剤であって、例えばヒンダードピペリジン骨格を有する化合物などが例示される。具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などが挙げられる。
本発明の白色フィルムは、以下のような方法により製造される。
例えば、ポリアミド樹脂、酸化チタンを押出機で加熱溶融してTダイよりフィルム状に押出し、エアーナイフキャスト法、静電印加キャスト法など公知のキャスティング法により回転する冷却ドラム上で冷却固化して未延伸フィルムを製膜し、この未延伸フィルムに延伸処理を施すことで得られる。本発明においては、十分な強度や突刺し強力を保持するために、白色フィルムは延伸フィルムであることが好ましい。また、未延伸フィルムが配向していると、後工程で延伸性が低下することがあるため、未延伸フィルムは、実質的に無定形、無配向の状態であることが好ましい。積層体にする時も、同様の処理を行うことにより得ることができる。
フィルムの延伸倍率は、一軸延伸の場合は1.5倍以上が好ましく、縦横二軸延伸の場合も、縦横に各々1.5倍以上が好ましく、面積倍率で通常3倍以上、好ましくは面積倍率にして6〜20倍、より好ましくは、6.5〜13倍の範囲である。この範囲にすることで、優れた機械物性のフィルムを得ることが可能となる。
延伸処理工程を経たフィルムは、延伸処理が行われたテンター内において150〜220℃の温度で熱固定され、必要に応じて0〜10%、好ましくは2〜6%の範囲で、縦方向および/または横方向の弛緩処理が施される。
熱収縮率を低減するためには、熱固定時間の温度および時間を最適化するだけでなく、熱弛緩処理を熱固定処理の最高温度より低い温度で行うことが望ましい。
白色フィルムの延伸方法は特に限定されないが、同時二軸延伸方法が好ましい。同時二軸延伸方法は、一般に、機械的特性、光学特性、熱寸法安定性、耐ピンホール性などの実用特性を兼備させることができる。このほか、縦延伸の後に横延伸を行う逐次二軸延伸方法では、縦延伸時にフィルムの配向結晶化が進行して横延伸時のポリアミド樹脂の延伸性が低下することにより、酸化チタン濃度が高い場合にフィルムの破断頻度が高くなる傾向がある。このため、本発明においては、同時二軸延伸方法を採ることが好ましい。
また、一般に、二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは二軸配向ポリエステル系樹脂フィルムと比較して寸法安定性が悪く、包装袋として用いる際にカール現象が発生して、自動充填装置が袋を正確に掴んで袋口を開口させることができず、食品等の内容物が漏洩してしまう問題があった。このような現象は、縦方向に延伸した後、横方向に延伸して製造する、逐次二軸延伸法では顕著に現れ、フィルムの端部ほどそのような現象が大きくなるため、フィルム端部と中心部に近い所とを半切して合わせるので、収縮率差が起こり、表側の寸法と裏側の寸法が異なるために発生する。このカール現象を抑制するために、幅方向に均一な物性を有する、いわゆるボーイングの抑制されたフィルムを製造できる同時二軸延伸方法を採ることが望ましい。
こうして得られた白色フィルムには、必要に応じて、コロナ放電処理等の表面処理を施してもよい。
本発明の白色フィルムは、シーラントなどの他の樹脂フィルムと積層することにより種々の積層フィルムとすることができる。
本発明の白色フィルムにおいて、シーラントとして用いる樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸/メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂等を用いることができる。これらは、単独で用いても、他の樹脂や成分と共重合や溶融混合して用いても、また酸変性などが施されていてもよい。また、前記の樹脂成分を多層に用いてもよい。特に好ましいのは、ヒートシール強度や材質そのものの強度が高い、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂である。
シーラント層の形成方法は、前記シーラント樹脂からなるフィルムまたはシートに接着剤を介して白色フィルムをラミネートする方法、白色フィルム上にシーラント樹脂を溶融押出する押出ラミネート方法、白色フィルムとシーラント層とを同時に押出し積層する共押出し方法、シーラント層を形成するための樹脂を白色フィルムにコーターでコーティングする方法などが挙げられる。シーラント樹脂からなるフィルムまたはシートとする場合には、未延伸状態であっても低倍率の延伸状態でもよいが、実用的により好ましいのは未延伸状態である。シーラント樹脂のフィルムまたはシートの形成方法は、押出機で加熱、溶融してTダイより押出し、冷却ロールなどで冷却固化するテンター法や、円形ダイより押出して水冷あるいは空冷により冷却固化させるチューブラー法などを用いることができる。
シーラント層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは20〜100μm、より好ましくは40〜70μmである。
白色フィルムには、シーラント層との密着性を改良するために、片面または両面に易接着皮膜処理を施してもよい。この処理のためには、通常、ウレタン樹脂、ウレタン・ウレア樹脂のような成分のコート剤を用いて厚み0.1〜7.0μm程度の皮膜を形成する。
本発明の白色フィルムとシーラントとからなる積層フィルムは、ラミネート強力が5N/cm以上であることが好ましい。5N/cm未満の場合には、白色フィルムを包装材として用いた場合、包装材を店頭に陳列されている時などに受けた衝撃時に破袋もしくはデラミが発生してしまい使用できない。
また、本発明の積層フィルムは、ISO 4892−2に準じて行った耐候試験実施後のラミネート強力が5N/cm以上であることが好ましい。ラミネート強力が5N/cm未満の場合には、白色フィルムを包装材として用いた場合、包装材を店頭に陳列されている時などに受けた衝撃時に破袋もしくはデラミが発生しやすくなる。
ラミネート強力が5N/cm以上であれば、通常、剥離する層間は白色フィルムとシーラントの層間や、複層の場合の最外層のポリアミド層(B)とシーラント層との層間となる。
これに対して、ラミネート強力が5N/cm未満の場合であって、酸化チタンを配合している層にて凝集破壊が認められる場合は、その層内にて酸化劣化が発生していると考えられる。
また、ラミネート強力が5N/cmに満たない場合であって、白色フィルムとシーラント層の層間や、複層の場合の白色層(A)とポリアミド層(B)との層間で剥離した場合には、ヒンダードアミン系光安定剤がブリードアウトして層間の密着が不十分となっていると考えられる。
本発明の白色フィルムを用いた包装材料は、例えば、飲食品、果物、ジュ−ス、飲料水、酒、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、肉製品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、その他等の各種の飲食料品、液体洗剤、化粧品、化成品といった内容物を充填包装することができる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.測定方法
(1)各層厚み
走査型電子顕微鏡(SEM)によりフィルム断面観察を行い、各層の厚みを測定した。
(2)隠蔽度
マクベス社製光学濃度計TR932により、3mmΦの透過ノズルを使用して測定される光学濃度(O.D.)を隠蔽度とした。
(3)ラミネート試験
<ラミネートフィルムの作製>
白色フィルムにコロナ放電処理を実施し、そのコロナ処理面にウレタン系接着剤(東洋モートン社製TM329/CAT−8B二液型)を塗布し、塗布したフィルムを、80℃の熱風乾燥機で10秒間乾燥させて、接着塗布量が3g/mとなるようにした。その接着剤塗布面とシーラントフィルム(CPP;東セロ社製、無延伸ポリプロピレンフィルム、GLC、厚み30μm)のコロナ処理面をニップロールにて貼り合わせ(ニップ条件80℃)て、巻き取った。貼り合わせたフィルムを40℃の雰囲気下で72時間エージングを実施して(CPP//白色フィルム)の二層ラミネートフィルムを作製した。
<ラミネート強力の測定>
得られたラミネートフィルムを、MD100mm×TD15mmの短冊に裁断し、白色フィルムとCPPシーラントとの間を、ピンセットを用いてMDに30mm剥離し、ラミネート強力試験片を23℃、65%RHの環境下に24時間以上放置した。50N測定用のロードセルとサンプルチャックとを取り付けた引張試験機(島津製作所社製AS−1S)を用い、剥離したそれぞれの端部を固定した後、試験片が「T型」に保たれるようにしながら、引張速度300mm/minにてMDに50mm剥離し、その際の強力の平均値を読み取った。測定は5点のサンプルについて行い、それらの平均値をラミネート強力とした。
また、剥離界面の特定と状態観察を行い、次のいずれの状態であるかを光学顕微鏡にて判定した。
A:単層の場合の白色フィルムとシーラントフィルムの界面剥離
B:単層の場合の白色フィルムでの凝集破壊
C:複層の場合の白色フィルムとシーラントフィルムの界面剥離
D:複層の場合の白色層(A)とポリアミド層(B)の界面剥離
E:複層の場合の白色層(A)での凝集破壊
(4)耐候性試験後のラミネート試験
前記(3)で得た二層ラミネートフィルムを、下記の耐候性試験を行った後、前記(3)のラミネート強力の測定を行った。
<耐候性試験条件>
ISO4892−2に準じ、ATLAS社製Ci4000を用いて、下記の条件で紫外線照射を行った。
光源:キセノンランプ
放射照度:340nm、0.55W/m
温度:60 ℃
相対湿度:65%
照射時間:300 時間
(5)引張強度・引張伸度
島津製作所製DSS−500型オ−トグラフを使用し、ASTM D882に準じて測定し、縦、横方向の平均値を採用した。
2.原料
下記の実施例・比較例において使用した原料は、以下のとおりである。
(1)ナイロン6樹脂
ユニチカ社製A1030BRF、相対粘度3.0
(2)チタンマスターバッチ
ナイロン6樹脂40質量部に、酸化チタン(ルチル型、平均粒径0.4μm)を60質量部ドライブレンドした後、これをシリンダー温度設定250℃の30mm径2軸押出機で溶融混練し、ストランド状に押出し、冷却、固化後、切断して、ペレット形状のチタンマスターバッチを得た。
(3)ヒンダードアミン系光安定剤
・CHIMASSORB 2020 FDL(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製ヒンダードアミン系)
・Nylostab SEE−D(クラリアント社製ヒンダードアミン系)
・Tinuvin770(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製N−H型ヒンダードアミン系)
(4)紫外線吸収剤
・SEESORB703(シプロ化成社製ベンゾトリアゾール系)
・SanduvorVSU(クラリアント社製蓚酸アニリド系)
実施例1〜7、比較例1〜6
各原料を表1に記載した配合量になるようにブレンドし、シリンダー温度260℃に設定した単軸押出機に供給し、Tダイより押出し、設定温度20℃の冷却ロールに接触させて厚さ180μmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを50℃に調整した温水槽に2分間浸漬し、同時二軸延伸機にて延伸温度180℃で縦3倍、横3.3倍延伸し、200℃で5秒間の熱処理を行い、さらに横方向に5%の弛緩処理を行い、冷却して、厚さ18μmの2軸延伸白色フィルムを得た。
実施例8〜14、比較例7〜11
ナイロン6樹脂を押出機Bに投入し260℃で溶融押出した。一方、各原料を表2に記載した配合量になるようにブレンドし、押出機Aに投入し260℃で溶融押出した。押出機A、押出機Bでそれぞれ溶融した2種の樹脂をダイス中で重ね合わせて、白色層(A)、ポリアミド層(B)とし、B/A/Bの三層構成のシートをTダイから押し出し、表面温度20℃の冷却ロールに密着させて、表2に記載した層厚み構成にして厚み180μmの未延伸シ−トを得た。得られた未延伸シートを50℃に調整した温水槽に2分間浸漬し、同時2軸延伸機にて延伸温度180℃で縦3倍、横3.3倍延伸し、200℃で5秒間の熱処理を行い、さらに横方向に5%の弛緩処理を行い、冷却して、厚さ18μmの2軸延伸白色フィルムを得た。
実施例1〜7、比較例1〜6の樹脂組成と得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例8〜14、比較例7〜11の樹脂組成と得られたフィルムの特性を表2に示す。
実施例1〜14においては、いずれも、隠蔽性と引張特性に優れ、同時に耐候性試験後においても十分なラミネート強力を有するフィルムを得ることができた。
これに対して、各比較例では以下のような問題があった。
比較例1は、ヒンダードアミン系光安定剤が配合されていないため、耐候試験によって白色フィルムの酸化劣化が発生し、耐候試験後のラミネートサンプルにて白色フィルムの凝集破壊が起こっていた。この結果より、耐候性が不十分であり、包装体として用いた場合、紫外線に晒される場所で使用するとデラミや破袋といった問題が発生する。
比較例2は、ポリアミド樹脂への酸化チタンの配合量が少ないため白色フィルムの隠蔽度が不足している。そのため、隠蔽度が0.3未満となり、十分な遮光性や隠蔽性が得られなかった。
比較例3は、ポリアミド樹脂への酸化チタンの配合量が多すぎたため、十分な引張り強度、引張り伸度が得られなかった。このレベルでは白色フィルムを包装用として用いた場合、商品等を運送した際に包装袋が破袋する可能性がある。
比較例4は、ポリアミド樹脂へベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合したが、耐候試験後のラミネート強力が不足している。この結果より、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤では耐候性改良が不十分であり、白色フィルムの酸化劣化が発生し、耐候試験後のラミネートサンプルにて白色フィルムの凝集破壊が起こっていた。よって、包装体として用いた場合、紫外線に晒される場所で使用するとデラミや破袋といった問題が発生する。
比較例5は、ポリアミド樹脂へ蓚酸アニリド系紫外線吸収剤を配合したが、耐候試験後のラミネート強力が不足している。この結果より、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤では耐候性改良が不十分であり、白色フィルムの酸化劣化が発生し、耐候試験後のラミネートサンプルにて白色フィルムの凝集破壊が起こっていた。よって、包装体として用いた場合、紫外線に晒される場所で使用するとデラミや破袋といった問題が発生する。
比較例6は、ポリアミド樹脂へのヒンダードアミン系光安定剤の配合量が多すぎたためブリードアウトが発生し、白色フィルムとシーラントフィルムのラミネート強力で十分な値を得ることができなかった。そのため、包装体として用いた場合、デラミや破袋といった問題が発生する。
比較例7は、ポリアミド樹脂へのヒンダードアミン系光安定剤の配合量が多すぎたためブリードアウトが発生し、耐候試験前のラミネート強力で十分な値を得ることができず、白色層(A)とポリアミド層(B)にて界面剥離が起こっていた。そのため、包装体として用いた場合、デラミや破袋といった問題が発生する。
比較例8は、ヒンダードアミン系光安定剤が配合されていないため、耐候試験によって白色層(A)の酸化劣化が発生し、耐候試験後のラミネートサンプルにて白色層(A)の凝集破壊が起こっていた。この結果より、耐候性が不十分であり、包装体として用いた場合、紫外線に晒される場所で使用するとデラミや破袋といった問題が発生する。
比較例9は、ポリアミド樹脂へベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を配合したが、耐候試験後のラミネート強力が不足している。この結果より、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤では耐候性改良が不十分であり、白色層(A)の酸化劣化が発生し、耐候試験後のラミネートサンプルにて白色層(A)の凝集破壊が起こっていた。よって、包装体として用いた場合、紫外線に晒される場所で使用するとデラミや破袋といった問題が発生する。
比較例10は、ポリアミド樹脂へ蓚酸アニリド系紫外線吸収剤を配合したが、耐候試験後のラミネート強力が不足している。この結果より、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤では耐候性改良が不十分であり、白色層(A)の酸化劣化が発生し、耐候試験後のラミネートサンプルにて白色層(A)の凝集破壊が起こっていた。よって、包装体として用いた場合、紫外線に晒される場所で使用するとデラミや破袋といった問題が発生する。
比較例11は、ポリアミド樹脂への酸化チタンの配合量が多すぎたため、十分な引張強度、引張伸度が得られなかった。このレベルでは白色フィルムを包装用として用いた場合、商品等を運送した際に包装袋が破袋する可能性がある。

Claims (5)

  1. ポリアミド樹脂の単層から構成され、酸化チタンが5〜40質量%、ヒンダードアミン系光安定剤が0.01〜2質量%含有されている白色ポリアミドフィルム。
  2. 酸化チタンを含有するポリアミド樹脂層(A)と酸化チタンを含有しないポリアミド樹脂層(B)の複層構造を有する白色ポリアミドフィルムであって、白色ポリアミドフィルム全体に含有される酸化チタンが5〜40質量%、酸化チタンを含有するポリアミド樹脂層(A)に含有されるヒンダードアミン系光安定剤が0.01〜2質量%である白色ポリアミドフィルム。
  3. 少なくとも1層に請求項1または2に記載の白色ポリアミドフィルムを使用した積層フィルム。
  4. 白色ポリアミドフィルムとシーラントを貼り合わせた積層フィルムであって、ISO 4892−2に準じた60℃、相対湿度65%RHの条件で300時間経過後の、白色ポリアミドフィルムとシーラント層との間のラミネート強力が5N/cm以上である請求項3記載の積層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムを製袋してなる包装袋。
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