JP2015150476A - 酸化チタンとCuOとを含有する光触媒組成物 - Google Patents

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康弘 細木
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Yasushi Kuroda
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Abstract

【課題】可視光を空気中で照射した場合の抗ウイルス性能及び抗菌性能に優れ、且つ、光照射により変色しにくい光触媒組成物、その製造方法、並びに該光触媒組成物を含有する抗ウイルス剤及び抗菌剤を提供する。【解決手段】本発明の光触媒組成物は、酸化チタンとCuOとを物理混合して得られ、該CuO中の銅元素質量が、該酸化チタンの100質量部に対して0.01〜40質量部である。本発明の抗ウイルス剤及び抗菌剤は本発明の光触媒組成物を含む。本発明の光触媒組成物の製造方法は、前記酸化チタンとCuOとを物理混合する工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化チタンとCuOとを含有する光触媒組成物、該光触媒組成物を含有する抗ウイルス剤及び抗菌剤、並びに該光触媒組成物の製造方法に関する。
酸化チタン(TiO2)を用いた光触媒は、安価で化学的安定性に優れ、高い光触媒活性(有機化合物分解性、抗菌性等)を有し、人体に無害であること等により、光触媒として広く用いられている。
この酸化チタンに金属銅又は銅化合物を担持又は混合したものは、優れた光触媒又は抗ウイルス剤となることが知られている。
例えば、特許文献1には、ウイルス伝染を減少させる及び/又は防止するための、一般式Mnyの化合物のナノ粒子の使用が記載されており、また、このナノ粒子として、TiO2、CuOの組合せが列挙されている。
上記のような酸化チタンと金属銅又は銅化合物との組合せにおいて、酸化チタンの結晶型に着目し、酸化チタンとしてアナターゼ型酸化チタンを用いることにより抗ウイルス性能を向上させることも行われている。
特許文献2には、CuO/TiO2(質量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタンからなるファージ・ウイルスの不活性化剤が記載されている。また、特許文献2には、銅を含むアナターゼ型酸化チタンが、紫外線照射下でファージ・ウイルスを不活化することを見出して発明を完成したと記載されている。
また、特定の結晶型(ルチル型)かつ特定の結晶性の酸化チタンを用いることにより、銅化合物として単独では抗ウイルス活性のない2価銅化合物を用いた場合も、暗所、可視光下において極めて高い抗ウイルス性能が発現することが見出されている。
特許文献3には、2価銅化合物と最も強い回折ピークの半値全幅が0.65度以下のルチル型酸化チタンの組み合わせにおいて、暗所、可視光下ともに優れた抗ウイルス性が発現することが記載されている。
特表2009−526828号公報 特開2006−232729号公報 特許第5343176号公報
特許文献1〜3の光触媒、抗ウイルス剤は、それぞれの条件下において高い抗ウイルス効果を示す。しかしながら、CuOをはじめとした2価銅化合物を酸化チタンに担持し、酸化チタンのバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を大気中で照射した場合、2価銅化合物が激しく変色してしまうことがわかった。当該変色は、光触媒作用により担持した2価銅化合物が還元され金属銅又は1価銅化合物が生成することによる黒色化、若しくは2価銅化合物と水酸基の結合が増加することによる白色化が原因であることがわかった。
本発明は、このような状況下になされたものであり、可視光を空気中で照射した場合の抗ウイルス性能及び抗菌性能に優れ、且つ、光照射により変色しにくい光触媒組成物、その製造方法、並びに該光触媒組成物を含有する抗ウイルス剤及び抗菌剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、2価銅化合物であるCuOを酸化チタンに担持ではなく、物理混合させた場合に、優れた抗ウイルス性能、及び抗菌性能を有しつつ、光照射による変色を抑制しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は次の[1]〜[9]を提供するものである。
[1]酸化チタンとCuOとを物理混合して得られ、該CuO中の銅元素質量が、該酸化チタンの100質量部に対して0.01〜40質量部である光触媒組成物。
[2]CuOの窒素吸着によるBET多点法による比表面積が1〜200m2/gである、上記[1]に記載の光触媒組成物。
[3]酸化チタン全量中におけるルチル型酸化チタンの含有量が15モル%以上である、上記[2]に記載の光触媒組成物。
[4]照度7000ルクスの蛍光灯下で48時間保管後の色彩値の変化から算出したΔE*abの値が3.0以下である、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の光触媒組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光触媒組成物を含有する抗ウイルス剤。
[6]上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の光触媒組成物を含有する抗菌剤。
[7]酸化チタンとCuOとを物理混合する工程を含む、光触媒組成物の製造方法。
[8]CuO中の銅元素質量が、酸化チタンの100質量部に対して0.01〜40質量部である、上記[7]に記載の光触媒組成物の製造方法。
[9]酸化チタン全量中におけるルチル型酸化チタンの含有量が15モル%以上である、請求項[7]又は[8]に記載の光触媒組成物の製造方法。
本発明によれば、可視光を空気中で照射した場合の抗ウイルス性能及び抗菌性能に優れ、且つ、光照射により変色しにくい光触媒組成物、その製造方法、並びに該光触媒組成物を含有する抗ウイルス剤及び抗菌剤を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
[光触媒組成物]
本発明の光触媒組成物は、酸化チタンとCuOとを物理混合して得られ、該CuO中の銅元素質量が、該酸化チタンの100質量部に対して0.01〜40質量部である光触媒組成物である。本発明で用いられる酸化チタンとCuOとを物理混合することにより、可視光下において優れた抗ウイルス性能及び抗菌性能を発現し、かつ、光照射により変色しにくい光触媒組成物を得ることができる。
<酸化チタン(TiO2)>
本発明で用いる酸化チタン(TiO2)には特に制限はなく、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン及びブルッカイト型酸化チタンのいずれでもよいが、光触媒活性の観点から、ルチル型酸化チタンが好ましい。また、CuOと物理混合するため、粒子状であることが好ましい。
本発明で用いることができる酸化チタンは、ルチル型酸化チタンの含有量(以下、「ルチル化率」ということがある)が15モル%以上である酸化チタンであることが好ましい。ルチル型酸化チタンの含有量が15モル%以上であると、得られる光触媒組成物の、抗ウイルス性能や抗菌性能が向上し、特に可視光下での抗ウイルス性能や抗菌性能が向上する。
酸化チタン全量中におけるルチル型酸化チタンの含有量は、上記観点から、好ましくは18モル%以上であり、より好ましくは50モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、より更に好ましくは90モル%以上である。ここで、このルチル型酸化チタンの含有量は、以下に示すとおり、X線回折(XRD)によって測定した値である。
該酸化チタン原料中におけるルチル型酸化チタンの含有量は、粉末X線回折法により測定することができる。
すなわち、乾燥させた酸化チタン原料について、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu−Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20〜100deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度1.1deg/minの条件でX線回折測定を行う。
ルチル型結晶に対応する最大ピークのピーク高さ(Hr)、ブルッカイト型結晶に対応する最大ピークのピーク高さ(Hb)、及びアナターゼ型結晶に対応する最大ピークのピーク高さ(Ha)を求め、以下の計算式により、酸化チタン中におけるルチル型酸化チタンの含有量(ルチル含有量)を求める。
ルチル含有量(モル%)={Hr/(Ha+Hb+Hr)}×100
酸化チタンは、四塩化チタンを原料として、気相法(四塩化チタンと酸素との気相反応により酸化チタンを得る方法)によって得られたものが好ましい。気相法で得られた酸化チタンは、粒径が均一であると同時に、製造時に高温プロセスを経由しているため、結晶性が高いものとなり、その結果、得られる組成物の光触媒活性が良好なものとなる。
酸化チタンとしては、市販されている酸化チタンをそのまま使用するほうが、触媒調製の工程を考えると有利である。市販されている酸化チタンには、液相法で製造されたものと気相法で製造されたものがあるが、液相法で製造されたものは、比表面積が大きくルチルの結晶性が低いため、焼成等を行って最適な比表面積及び結晶性を有する酸化チタンにしなければならない。このような焼成する工程を経ると、その分、余計な手間がかかり、コスト高の原因となる。また、焼成時に着色してしまうというトラブルも発生しかねない。このような観点からも、適度な結晶性と比表面積を有する、気相法で得られた酸化チタンの市販品(例えば、昭和電工セラミックス(株)製のルチル型酸化チタン)を、そのまま使用することが好ましい。
本発明で用いる酸化チタンの比表面積は、好ましくは1.0〜200m2/gであり、より好ましくは3.0〜100m2/gであり、更に好ましくは4.0〜70.0m2/gであり、より更に好ましくは8.0〜50.0m2/gである。比表面積が大きいためウイルス、菌及び有機化合物との接触頻度が増加し、得られる光触媒組成物の、可視光照射下における抗ウイルス性や、有機化合物分解性及び抗菌性が優れる。該光触媒の比表面積が200m2/g以下であると、光触媒組成物の取扱いがより容易になる。ここでBET比表面積とは、JIS Z8830に準拠して、窒素吸着によるBET多点法で窒素ガス(吸着質ガス)の相対圧が0.05〜0.30の範囲内で、ガス吸着量を3点測定して求めた比表面積である。
本発明で用いる酸化チタンのBET多点法によるBET換算平均一次粒径(nm)は、好ましくは7.5nm〜1.5μmである。7.5nm以上であると取扱いが容易であり、1.5μm以下であると光触媒活性に優れる。この観点から、BET換算平均一次粒径は、より好ましくは15.0〜500nmであり、更に好ましくは21.0〜375nmである。
ここでBET換算平均一次粒径(nm)とは、上述したBET多点法により、該酸化チタンの比表面積S(m2/g)を測定し、下式
BET換算平均一次粒径(nm) = 6000/(S×ρ)
より算出した値である。ここでρは測定物質の密度(g/cm3)を示す。たとえば、酸化チタンは4.0g/cm3を用いて計算することが出来る。
<CuO>
本発明で用いるCuOは、酸化チタンと物理混合を行うため、粒子状(粉体)であることが好ましい。CuOには、固相法で製造されたもの、及び液相法で製造されたものがあり、本発明の光触媒組成物には、そのいずれも用いることができる。例えば、炭酸銅、硫酸銅、硝酸銅などの銅化合物を100℃以上に加熱して分解後、粉砕、分級する熱分解法、塩化第二銅、硫酸銅あるいは硝酸銅などの銅化合物の溶液を80〜100℃に加熱しつつアルカリ水溶液によってpHを12以上にして酸化銅を生成させ、水洗、乾燥後、粉砕する直接湿式法、塩化第二銅、硫酸銅あるいは硝酸銅などの銅化合物の溶液を常温〜微加温でアルカリ溶液によって中和して、水酸化銅あるいは炭酸銅をまず製造し、100℃ 以上に加熱して分解させ、粉砕、分級する間接湿式法等が製造方法として挙げられる。
CuOの比表面積は、好ましくは1.0〜200m2/gであり、より好ましくは3.0〜100m2/gであり、更に好ましくは3.0〜20.0m2/gである。該比表面積が1.0m2/g以上であると、光触媒組成物の可視光下における抗ウイルス性能及び抗菌性能がより優れるようになる。また分散性により優れるようになる。CuOの比表面積が200m2/g以下であると、組成物の取扱いがより容易になる。ここで比表面積とは、窒素吸着によるBET多点法にて測定した比表面積である。
本発明の光触媒組成物に含有されるCuO中の銅元素質量は、本発明で用いる酸化チタンの100質量部に対して、0.01〜40質量部であり、好ましくは0.1〜35質量部であり、より好ましくは0.1〜30質量部であり、更に好ましくは0.3〜20質量部であり、より更に好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは0.5〜10質量部である。CuO中の銅元素質量が、本発明で用いる酸化チタンの100質量部に対して0.01質量部未満であると、可視光下における抗ウイルス性能及び抗菌性能が十分でない。また、CuO中の銅元素質量が、本発明で用いる酸化チタンの100質量部に対して40質量部超えであると、該酸化チタンの表面がCuOにより被覆されてしまうことにより、光触媒組成物の光触媒活性を高くできない。また、CuO中の銅元素質量が、本発明で用いる酸化チタンの100質量部に対して40質量部超えであると、多量の光触媒組成物で、ウイルスの不活化及び抗菌を行うため経済的でない。
ここで、本発明で用いる酸化チタンの100質量部に対するCuO中の銅元素質量は、該酸化チタンとCuOとの仕込み量から算出することができる。また、本発明で用いる光触媒の100質量部に対するCuO中の銅元質量は、後述するICP(誘導結合プラズマ)発光分光分析により光触媒組成物の各成分の含有量を測定することで特定することもできる。
本発明の光触媒組成物は、前述のとおり、必須成分として、本発明で用いる酸化チタンとCuOとを含有するが、本発明の目的を阻害しない範囲内において、他の任意成分を含有してもよい。ただし、抗ウイルス性能及び抗菌性の向上の観点から、光触媒組成物中における本発明で用いる酸化チタンとCuOとの合計含有量は、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは99質量%以上であり、よりさらに好ましくは100質量%である。
[光触媒組成物の製造方法]
本発明の光触媒組成物は、本発明で用いる酸化チタンとCuOとを物理混合する製造方法により、好適に製造することができる。ここで、物理混合とは、酸化チタンとCuOとの間に化学的な結合もなく、物理的にも結合しておらず、機械的な力で酸化チタンとCuOとが分離できる状態を指す。本発明で用いる酸化チタンとCuOとが物理混合されていない場合、例えば、CuOが担持されている場合には、上述のとおり、光照射による変色が発生する。本発明の光触媒組成物の製造方法は、たとえば、以下の実施形態の光触媒組成物の製造方法が挙げられる。
本発明の光触媒組成物の製造方法は、本発明で用いる酸化チタンとCuOとを物理混合する工程を含む。この工程における物理混合は、乾式混合でもよいし、湿式混合でもよく、周知の混合方法により行うことができる。また、本発明で用いる酸化チタンとCuOとは、上記光触媒組成物で説明した本発明で用いる酸化チタンとCuOと同じものである。
本発明で用いる酸化チタンとCuOとを湿式混合により物理混合する場合、湿式混合で使用する溶媒は、本発明で用いる酸化チタンとCuOとを溶解しないものであればとくに限定されない。湿式混合で使用する溶媒には、たとえば、水、アルコール類、ケトン類およびそれらの混合液が挙げられる。アルコール類には、たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール及びこれらの混合液が挙げられる。ケトン類には、たとえば、アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン及びこれらの混合液が挙げられる。
本発明の製造方法により製造された光触媒組成物は、本発明で用いる酸化チタンとCuOとを単に混合したものである。しかし、この製造方法により製造された光触媒組成物も可視光下において優れた抗ウイルス性能及び抗菌性を発現し、さらに光照射による変色が極めて少ない。
本発明で用いる酸化チタンとCuOとを物理混合して作製した光触媒組成物をさらに乾燥又は熱処理してもよい。乾燥又は熱処理の方法は、たとえば、CuOが酸化チタン上に担持されない程度の温度で処理することにより、得られた光触媒組成物の光照射による変色を抑制できる。乾燥温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは80℃以下であり、更に好ましくは60℃以下である。
[抗ウイルス剤及び抗菌剤]
本発明の抗ウイルス剤及び抗菌剤は本発明の光触媒組成物を含む。これにより、本発明の抗ウイルス剤及び抗菌剤は、可視光下において優れた抗ウイルス性能及び抗菌性を有し、且つ、光照射による変色を抑制することができる。
[光触媒組成物、抗ウイルス剤及び抗菌剤の使用形態]
本発明の光触媒組成物、抗ウイルス剤及び抗菌剤(以下、総称して「本発明の光触媒組成物等」ということがある)の使用形態はとくに限定されない。たとえば、本発明の光触媒性組成物等を、微粉末及び顆粒などの固体状の形態で使用してもよい。この場合、たとえば、本発明の光触媒組成物等を所定の容器に充填して使用する。または、所定の基材の表面及び/又は内部に本発明の光触媒組成物等を含ませる使用形態で、本発明の光触媒組成物等を使用してもよい。一般的には、後者の使用形態が好ましい。なお、上記の基材には、たとえば、繊維、金属、セラミック及びガラスなどの一般的な部材からなる単一基材、ならびに上述の部材の2種以上の部材からなる複合基材が挙げられる。しかし、基材はこれらに限定されない。
適宜の手段により剥離可能な、フロアーポリッシュなどのコーティング剤に本発明の光触媒組成物等を含有させてもよい。また、本発明の光触媒組成物等を所定の膜に固定化して、本発明の光触媒組成物等を連続膜の表面に露出させてもよい。あるいは、スパッタリングによりガラスに形成した薄膜状の光触媒の表面に、スパッタリングにより本発明の光触媒組成物等の薄膜をさらに形成することにより作製した膜状体の形態で、本発明の光触媒組成物等を使用してもよい。また、本発明の光触媒組成物等を分散させた溶媒を用いて作製した塗料の形態で、本発明の光触媒組成物等を使用してもよい。
本発明の光触媒組成物等を基材表面に固定化した材料には、たとえば、バインダーなどの一般的な固定化手段を用いて本発明の光触媒組成物等を基材表面に固定化した材料などが挙げられる。有機系バインダー及び無機系バインダーのいずれも、本発明の光触媒組成物等を固定化するバインダーとして用いることができる。光触媒物質によるバインダーの分解を避けるためには、無機系バインダーを用いることが好ましい。バインダーの種類はとくに限定されない。無機系バインダーには、たとえば、光触媒物質を基材表面に固定化するために通常用いられるシリカ系などの無機系バインダーが挙げられる。有機系バインダーには、たとえば、重合及び溶媒揮発により薄膜を形成可能な高分子バインダーなどが挙げられる。
本発明の光触媒組成物等を基材内部に含む材料には、たとえば、本発明の光触媒組成物等を樹脂中に分散させて分散物を作製し、その分散物を硬化させることにより得られる材料が挙げられる。本発明の光触媒組成物等を分散させる樹脂には天然樹脂及び合成樹脂のいずれも使用することができる。合成樹脂には、たとえば、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂などが挙げられるが、これらの樹脂に限定されない。
本発明の光触媒組成物等を使用する場所はとくに限定されない。たとえば、本発明の光触媒組成物の光触媒活性が発現する任意の光線の存在下で、本発明の光触媒組成物等を使用することができる。また、本発明の光触媒組成物等は、水の存在下(たとえば、水中及び海水中など)、乾燥状態(たとえば、冬季などにおける低湿度の状態など)、高湿度の状態、又は有機物の共存下においても、高いウイルス不活化性能及び抗菌性能を有し、持続的にウイルスの不活化及び抗菌することができる。たとえば、壁、床及び天井などに本発明の光触媒組成物等を配置することができる。また、本発明の抗ウイルス性組成物の光触媒活性が発現する任意の光線の存在下であれば、病院及び工場などの建築物、工作機械、測定装置類、電化製品の内部及び部品(たとえば、冷蔵庫、洗濯機及び食器洗浄機などの内部、並びに空気洗浄機のフィルターなど)などの任意の対象物に、本発明の光触媒組成物等を適用できる。
特に、本発明の光触媒組成物等は、光照射下において変色を抑制することができる点から、屋内外を問わず、長時間光照射下に曝される場所で用いられ、又は設置される任意の対象物に、好適に適用できる。
従来から、インフルエンザ対策のーつとして、セラミックフィルター又は不織布フィルターに酸化チタンをコーティングするとともに、そのフィルターに紫外線を照射するための光源を組み込んだ空気洗浄機が提案されている。しかし、本発明の光触媒組成物等を空気洗浄機のフィルターに用いた場合、紫外線光源が必要なくなり、これにより、空気清浄機のコストを低減し、空気清浄機の安全性を高めることができる。
[ウイルス不活化方法及び抗菌方法]
上述したように、本発明の光触媒組成物は抗ウイルス性能及び抗菌性を発現するので、本発明の光触媒組成物等を用いてウイルスの不活化及び抗菌ができる。また、本発明の抗ウイルス剤及び抗菌剤は本発明の光触媒組成物を含有するので、本発明の抗ウイルス剤又は抗菌剤を用いてウイルスの不活化及び抗菌ができる。
[光触媒組成物、抗ウイルス剤および抗菌剤の特性]
本発明の光触媒組成物、抗ウイルス剤および抗菌剤は、800ルクスの照度の可視光照射60分間で、好ましくは99.0%以上、より好ましくは99.9%以上の抗ウイルス性能及び抗菌性能を有する。ここで、抗ウイルス性能及び抗菌性能は、LOG(N/N0)の式により算出できる。式中、N0は可視光照射前のファージ濃度又は菌濃度であり、Nは可視光照射後のファージ濃度又は菌濃度である。抗ウイルス性能及び抗菌性能は、後述の実施例において詳細に説明する。
また、本発明の光触媒組成物、抗ウイルス剤および抗菌剤は、照度7000ルクスの蛍光灯下で48時間保管後の色彩値の変化から算出した色差ΔE*abの値が3.0以下であることが好ましい。ここで、色差ΔE*abの値が小さいほど光照射による光触媒組成物の変色が小さいことを意味する。ΔE*abの値は、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは1.6以下、より更に好ましくは0.8以下、特に好ましくは0.5以下である。
当該ΔE*abの値は、後述の実施例において詳細に説明する方法で算出される。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
蒸留水1000mLに、10.00gのCuCl2・2H2O(関東化学(株)製)を添加して、10分攪拌した。この溶液のpHが10になるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム(関東化学(株)製)水溶液を添加し、室温(20℃)で30分間攪拌混合を行って、Cu2(OH)3Clスラリーを得た。このスラリーをろ過し、得られた粉体を純水で洗浄し、50℃で乾燥し、ミキサーで解砕した。解砕した粉末を、空気中、120℃、3時間熱処理することによりCuO粉末を得た。
20.00g(100質量部)のルチル型酸化チタン(昭和電工セラミックス(株)製、BET比表面積;12m2/g、BET換算平均一次粒径;116nm、ルチル化率;91モル%、なお、各値は上述の方法により、測定した。)と、2.504g(100質量部のルチル型酸化チタンに対して銅で10質量部)の前記CuO粉末とを、200mlの蓋付きポリエステル容器に投入した後、水を56.00g、φ3mmのジルコニアボールを100.00g投入し、ボールミルにて70r/minで30分間、一軸回転させ、物理混合させた。得られたスラリーをろ過し、50℃で乾燥し、ミキサーで解砕し、CuO及び酸化チタンが物理混合された試料を得た。
<実施例2>
Cu2(OH)3Clの120℃の熱処理温度を、300℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法でCuO及び酸化チタンが物理混合された試料を得た。
<実施例3>
Cu2(OH)3Clの120℃の熱処理温度を、400℃に変えたこと以外は、実施例1と同様の方法でCuO及び酸化チタンが物理混合された試料を得た。
<実施例4>
ルチル型酸化チタンと混合するCuO粉末の量を、0.751g(100質量部のルチル型酸化チタンに対して銅で3質量部)に変えたこと以外は、実施例2と同様の方法でCuO及び酸化チタンが物理混合された試料を得た。
<実施例5>
ルチル型酸化チタンと混合するCuO粉末の量を、5.008g(100質量部のルチル型酸化チタンに対して銅で20質量部)に変えたこと以外は、実施例2と同様の方法でCuO及び酸化チタンが物理混合された試料を得た。
<実施例6>
ルチル型酸化チタンと混合するCuO粉末の量を、7.512g(100質量部のルチル型酸化チタンに対して銅で30質量部)に変えたこと以外は、実施例2と同様の方法でCuO及び酸化チタンが物理混合された試料を得た。
<比較例1>
Cu2(OH)3Clスラリーをろ過して得られた粉体を、純水で洗浄し、50℃で乾燥し、ミキサーで解砕して得た粉末を熱処理しないこと以外は、実施例1と同様の方法でCu2(OH)3Cl及び酸化チタンが物理混合された試料を得た。
<比較例2>
蒸留水250mLに15.00g(100質量部)の実施例1で用いたルチル型酸化チタンを懸濁させて懸濁液を作製し、4.026g(100質量部のルチル型酸化チタンに対して銅で10質量部)のCuCl2・2H2O(関東化学株式会社製)をその懸濁液に添加して、10分攪拌し、混合物を得た。この混合物のpHが10になるように、1mol/Lの水酸化ナトリウム(関東化学(株)製)水溶液を添加し、室温(20℃)で30分間攪拌混合を行ってスラリーを得た。このスラリーをろ過し、得られた粉体を純水で洗浄し、50℃で乾燥し、ミキサーで解砕し、Cu2(OH)3Clが酸化チタンに担持された試料を得た。
<比較例3>
比較例2で得た試料を、空気中、300℃、3時間にて熱処理して、CuOが酸化チタンに担持された試料を得た。
<比較例4>
比較例2で得た試料を、空気中、400℃、3時間にて熱処理して、CuOが酸化チタンに担持された試料を得た。
<比較例5>
ルチル型酸化チタンと混合するCuO粉末の量を、12.52g(100質量部のルチル型酸化チタンに対して銅で50質量部)に変えたこと以外は、実施例2と同様の方法でCuOと酸化チタンとが物理混合された試料を得た。
<測定>
以上のように作製した実施例1〜6及び比較例1〜5について、以下の測定を行った。
(ICP発光分光分析)
ICP発光分光分析により実施例1〜6及び比較例1〜5の光触媒組成物中の銅元素量などを定量した。具体的には、実施例1〜6及び比較例1〜5で得られた試料をフッ酸溶液中で加熱して全溶解して溶解液を作製した。そして、ICP発光分析装置((株)島津製作所製、型番ICPS−7500)を使用して溶解液を分析し、光触媒組成物中の銅元素量などを定量した。
実施例、比較例いずれも仕込み量通りの銅元素量が確認された。
(2価銅化合物の同定)
実施例1〜6及び比較例1〜5の試料について、混合又は担持されている2価銅化合物を粉末X線回折法により同定した。
実施例及び比較例の試料について、測定装置としてPANalytical社製「X’pertPRO」を用い、銅ターゲットを用い、Cu−Kα1線を用いて、管電圧45kV、管電流40mA、測定範囲2θ=20〜100deg、サンプリング幅0.0167deg、走査速度3.3deg/minの条件でX線回折測定を行い、2価銅化合物の同定を行った。
2価銅化合物の同定及びICP発光分光分析により、実施例1〜6及び比較例1〜5では仕込みのCuO又はCuCl2・2H2Oの全量が、CuO又はCu2(OH)3Clとして酸化チタンと混合又は担持されていることがわかった。結果を以下の表1に示す。
(2価銅化合物のBET多点法による比表面積)
実施例1〜6、並びに比較例1及び5で使用したCuO又はCu2(OH)3Clについて、測定装置として(株)マウンテック製の全自動BET比表面積測定装置「Macsorb, HM model−1208」を用いて測定した。
JIS Z8830に準拠し、窒素吸着によるBET多点法で窒素ガス(吸着質ガス)の相対圧が0.05〜0.30の範囲内で、ガス吸着量を3点測定して求めた。その結果を以下の表1に示す。
(光照射による変色評価;色彩値変化及び色差の算出)
実施例1〜6及び比較例1〜5の試料の色彩値(L*、a*、b*)は、以下に示すような手順で塗膜を作製し、測定した。
試料粉末12.00gと、水28.00gと、カオーセラ2000(花王(株)製、水系高分子分散剤)0.24gと、φ3mmのジルコニアボール50.00gとを、100mlの蓋付きポリエステル容器に投入し、ボールミルで70r/minで30分間、一軸回転させた。得られたスラリー1.00gと、ボンコート40−418E(DIC(株)製)4.00gとを、ガラス棒にて混合し、ガラス板(50mm×50mm×1mm)に0.50g塗布し、均一に塗り広げた。このガラス板を、暗所で1晩乾燥させ、色彩値測定用サンプルを得た。
得られたサンプルを2枚準備し、一方は暗所に48時間保管した。もう一方は、光源として15W白色蛍光灯(パナソニック(株)製、フルホワイト蛍光灯、FL15N)を用い、照度が7000ルクス(照度計:(株)トプコン製、IM−5にて測定)になる位置に置いて48時間保管した。
なお、蛍光灯に含まれる光には、紫外線、可視光線、赤外光線と、広範囲の波長を有する光線が含まれており、特に可視光領域の波長を含む光線が多い。また、365、405、436、546、579nm付近に輝線スペクトルを有している。
得られたサンプルの色彩値(明度;L*、色相、彩度を表す色座標(色度);a*、b*)を、分光測色計「CM−3700d」(コニカミノルタ(株)製)を用いて、標準光源;D65、測定径φ25.4mm、di:8°条件で測定した。暗所に保管していたサンプルの色彩値をLD *、aD *、bD *とし、前記白色蛍光灯下に保管していたサンプルの色彩値をLW *、aW *、bW *として、光照射前後における色彩値の変化ΔL*、Δa*、Δb*を、それぞれ、ΔL*=LW *−LD *、Δa*=aW *−aD *、Δb*=bW *−bD *として算出した。
また、上記のとおり算出したΔL*、Δa*、Δb*から、色差ΔE*abを、ΔE*ab=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*21/2として算出した。
ここで、ΔL*、Δa*、Δb*の絶対値、並びにΔE*abの値が小さいほど光照射による光触媒組成物の変色が小さいことを意味する。
(可視光照射下における抗ウイルス性能の評価:LOG(N/N0)の測定)
実施例1〜6及び比較例1〜5の組成物の抗ウイルス性能は、バクテリオファージを用いたモデル実験により以下の方法で確認した。なお、バクテリオファージに対する不活化能を抗ウイルス性能のモデルとして利用する方法は、例えば、Appl.Microbiol Biotechnol.,79,pp.127−133(2008)に記載されており、この方法により信頼性のある結果が得られることが知られている。また本測定はJIS R 1706を基礎としている。
深型シャーレ内にろ紙を敷き、少量の滅菌水を加えた。ろ紙の上に厚さ5mm程度のガラス製の台を置き、その上に実施例及び比較例の試料2.5mgを塗布したガラス板(50mm×50mm×1mm)を置いた。この上に1/500NBを用いてバクテリオファージ感染価が約1.0×107pfu/mlとなるように調製したQβファージ(NBRC20012)懸濁液を100μL滴下し、試料表面とファージとを接触させるためにPET(ポリエチレンテレフタレート)製のフィルムを被せた。この深型シャーレにガラス板で蓋をしたものを、測定用セットとした。同様の測定用セットを複数個用意した。
光源として15W白色蛍光灯(パナソニック(株)製、フルホワイト蛍光灯、FL15N)に紫外線カットフィルター(日東樹脂工業(株)製、N−113)を取り付けたものを使用した。照度が800ルクス(照度計:(株)トプコン製、IM−5にて測定)になる位置に複数個の測定用セットを静置した。光照射開始から60分経過後にガラス板上の試料のファージ濃度測定を行った。また、測定時の部屋の照度は200ルクス以下となるようにした。
ファージ濃度の測定は以下の方法で行った。ガラス板上の試料を9.9mlのファージ回収液(SCDLP培地)に浸透させ、振とう機にて10分間振とうさせた。このファージ回収液をペプトン入り生理食塩水を用いて、適宣、希釈した。別に培養しておいた5.0×108〜2.0×109個/mlの大腸菌(NBRC106373)培養液とカルシウム添加LB軟寒天培地とを混合した液に、先ほど希釈した液を1ml加え混合した後、この液をカルシウム添加LB寒天培地にまき、37℃で15時間培養した後に、ファージのプラーク数を目視で計測した。得られたプラーク数にファージ回収液の希釈倍率を乗じることによってファージ濃度Nを求めた。
初期ファージ濃度N0と、所定時間後のファージ濃度Nとから、ファージ相対濃度(LOG(N/N0))を求めた。なお、LOG(N/N0)の値が小さいほど(マイナスの値が大きいほど)、試料の抗ウイルス性能が優れている。結果を以下の表1に示す。
(可視光照射下における抗菌性能の評価:LOG(N/N0)の測定)
実施例1〜6及び比較例1〜5の組成物の抗菌性能は、黄色ブドウ球菌を用いたモデル実験により以下の方法で確認した。また本測定はJIS R 1702を基礎としている。
深型シャーレ内にろ紙を敷き、少量の滅菌水を加えた。ろ紙の上に厚さ5mm程度のガラス製の台を置き、その上に実施例および比較例の試料2.5mgを塗布したガラス板(50mm×50mm×1mm)を置いた。この上に1/500NBを用いて黄色ブドウ球菌が約1.3×107pfu/mlとなるように調製した黄色ブドウ球菌(NBRC12732)懸濁液を100μL滴下し、試料表面と黄色ブドウ球菌とを接触させるためにPET(ポリエチレンテレフタレート)製のフィルムを被せた。この深型シャーレにガラス板で蓋をしたものを、測定用セットとした。同様の測定用セットを複数個用意した。
光源として15W白色蛍光灯(パナソニック(株)製、フルホワイト蛍光灯、FL15N)に紫外線カットフィルター(日東樹脂工業(株)製、N−113)を取り付けたものを使用した。照度が800ルクス(照度計:(株)トプコン製、IM−5にて測定)になる位置に複数個の測定用セットを静置した。光照射開始から60分経過後にガラス板上の試料の黄色ブドウ球菌濃度測定を行った。また、測定時の部屋の照度は200ルクス以下となるようにした。
菌濃度の測定は以下の方法で行った。ガラス板上の試料を9.9mlの黄色ブドウ球菌回収液(SCDLP培地)に浸透させ、振とう機にて10分間振とうさせた。この黄色ブドウ球菌回収液を生理食塩水で適宣希釈した。各希釈系列の試験管から新しいピペットで1ml採りシャーレに撒き、そのシャーレに45℃に保温したニュートリエント寒天培地15mlを入れ軽く撹拌し,蓋をして15分間室温で放置した。培地が凝固したら,シャーレを倒置し、37℃に設定した培養器で40時間培養した。得られたコロニー数に菌回収液の希釈倍率を乗じることによって菌濃度Nを求めた。結果を表1に記載する。
初期黄色ブドウ球菌濃度N0と、所定時間後の黄色ブドウ球菌濃度Nとから、黄色ブドウ球菌相対濃度(LOG(N/N0))を求めた。なお、LOG(N/N0)の値が小さいほど(マイナスの値が大きいほど)、試料の抗菌性能が優れている。結果を以下の表1に示す。
Figure 2015150476
<結果>
実施例1〜6と、比較例1〜5との対比から、本発明の光触媒組成物は、光照射によっても極めて変色しにくく、優れた抗ウイルス性及び抗菌性能を有していることが分かった。
特に、実施例2と比較例3、実施例3と比較例4との対比から明らかなとおり、酸化チタンとCuOとを混合した光触媒組成物の方が、酸化チタンにCuOを担持した光触媒組成物よりも、光照射によっても極めて変色しにくいことが分かった。また、比較例1は酸化チタンに2価銅化合物であるCu2(OH)3Clを混合したにも拘わらず、光照射後の色彩値変化が大きいことから、2価銅化合物としてCuOが好ましいことが分かった。また、比較例5の結果から、酸化チタン100質量部に対する銅元素の割合が多くなりすぎると抗ウイルス性能が低下し、やや変色が起こる場合があり、CuOの適切な混合量が存在することが分かった。さらには、抗ウイルス性能、及び抗菌性能も、酸化チタンとCuOとを混合した光触媒組成物の方が、酸化チタンにCuOを担持した光触媒組成物よりも優れていることが分かった。

Claims (9)

  1. 酸化チタンとCuOとを物理混合して得られ、該CuO中の銅元素質量が、該酸化チタンの100質量部に対して0.01〜40質量部である光触媒組成物。
  2. 前記CuOの窒素吸着によるBET多点法による比表面積が1.0〜200m2/gである、請求項1に記載の光触媒組成物。
  3. 前記酸化チタン全量中におけるルチル型酸化チタンの含有量が15モル%以上である、請求項2に記載の光触媒組成物。
  4. 照度7000ルクスの蛍光灯下で48時間保管後の色彩値の変化から算出したΔE*abの値が3.0以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒組成物を含有する抗ウイルス剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒組成物を含有する抗菌剤。
  7. 酸化チタンとCuOとを物理混合する工程を含む、光触媒組成物の製造方法。
  8. 前記CuO中の銅元素質量が、前記酸化チタンの100質量部に対して0.01〜40質量部である、請求項7に記載の光触媒組成物の製造方法。
  9. 前記酸化チタン全量中におけるルチル型酸化チタンの含有量が15モル%以上である、請求項7又は8に記載の光触媒組成物の製造方法。
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