JP2015144571A - S−プロペニルシステインの製造方法 - Google Patents

S−プロペニルシステインの製造方法 Download PDF

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勝彦 高柳
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Abstract

【課題】
本発明は、短時間で簡便にS−プロペニルシステインを製造する方法、さらにはアリウム属の植物特有の臭気を低減させることができる方法を提供する。
【解決手段】
アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種と、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を有する酵素を共存する工程を備えることを特徴とするS−プロペニルシステインの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、S−プロペニルシステインの製造方法に関する。
従来、ニンニク、タマネギなどのアリウム属の植物には、種々の含硫アミノ酸が含まれることが知られているが、近年、含硫アミノ酸の一種であるS−プロペニルシステインの有する様々な生理学的作用が注目されている。S−プロペニルシステインの生理学的作用を利用したものとしては、例えば、腫瘍発生予防剤(例えば、特許文献1を参照)、肝疾患治療剤(例えば、特許文献2を参照)、臓器繊維化抑制剤(例えば、特許文献3を参照)、精子機能低下抑制剤(例えば、特許文献4を参照)などが知られている。
しかしながら、例えば、ニンニクなどに含まれる含硫システイン化合物の含有量は、ごく僅かであり、また、その含有量を高める方法についてはほとんど報告がない。具体的には、ニンニクに含まれるS−プロペニルシステインの含有量を高める方法としては、例えば、生ニンニクをエタノール水溶液に2年間程度浸漬して熟成させることによりS−プロペニルシステインに代表される含硫アミノ酸を蓄積させる方法や、低温貯蔵した生ニンニクを45℃から65℃に温蔵して含硫アミノ酸を蓄積させる方法(例えば、特許文献5を参照)が挙げられる程度である。
S−プロペニルシステインの含有量を高める前者の方法は、大きな設備を用い、非常に長期間をかけて行う必要がある。また、後者の方法では、2週間程度で製造することが可能ではあるが、黒ニンニクのように完全熟成状態にはならないため、S−プロペニルシステインの含有量が高められたニンニク中には、ニンニク特有の臭いが残る。従って、これを飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品、健康食品などへ配合する場合には、使用が制限される問題がある。
特許第2828471号公報 特公平5−60447号公報 特開2007−77116号公報 特開2012−17295号公報 特開2005−278635号公報
本発明は、短時間で簡便にS−プロペニルシステインを製造する方法、さらにはアリウム属の植物特有の臭気を低減させることができる方法を提供する。
本発明者は、このような課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、意外なことに、アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種と、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を有する酵素を共存させる工程を備えるという極めて簡便な方法により、短時間でS−プロペニルシステインを製造できることを見出した。さらに、好ましくは該アリウム属の植物に内在するアリイナーゼを失活処理したものを原料として用いることにより、アリウム属の植物に特有の臭気が効果的に低減された生成物としてS−プロペニルシステインが得られることも見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)を要旨とするものである。
(1)アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種と、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を有する酵素を共存させる工程を備えることを特徴とするS−プロペニルシステインの製造方法。
(2)前記アリウム属の植物が、ニンニク、タマネギ、ラッキョウ、ギョウジャニンニク及びアサツキからなる群から選択された少なくとも1種である、(1)記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
(3)前記アリウム属の植物が、ガンマグルタミル−S−プロペニルシステインを含有することを特徴とする(1)または(2)記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
(4)前記アリウム属の植物が、内在するアリイナーゼを失活処理したものであることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
(5)前記失活処理が、加熱処理であることを特徴とする(4)記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
(6)前記加熱処理が、熱水加熱処理、蒸気加熱処理、及びマイクロ波加熱処理の少なくとも1種であることを特徴とする(5)記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
本発明によれば、アリウム属の植物等に酵素を添加して共存することにより、S−プロペニルシステインを高含有することができる。さらには内在するアリイナーゼを失活処理したアリウム属の植物を用いることにより、アリウム属特有の臭気が低減された処理物を短時間で製造することができる。
本発明のS−プロペニルシステインの製造方法は、アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種と、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼまたはグルタミナーゼ活性を有する酵素を共存させる工程を備えることを特徴とする。
本発明のS−プロペニルシステインは、S−1−プロペニルシステイン、及びS−2−プロペニルシステイン(S−アリルシステイン)などを挙げることができる。なお、S−1−プロペニルシステインの天然物(化1)及びS−2−プロペニルシステイン(S−アリルシステイン)の天然物(化2)は、一般に下記の一般式で示される構造を有する。

本発明において、生成物であるS−プロペニルシステインは、上記構造を有するS−1−プロペニルシステイン、及びS−2−プロペニルシステイン(S−アリルシステイン)の他、これの光学異性体であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。
原料となるアリウム属の植物としては、700種類以上が知られており、S−プロペニルシステインを生成し得るものであればいずれを用いてもよい。アリウム属の植物としては、ガンマグルタミル−S−プロペニルシステインを含むものが好ましい。アリウム属の植物の具体例としては、ニンニク、タマネギ、ギョウジャニンニク、ヒメニラ、ニラ、カンケイニラ、イトラッキョウ、キイイトラッキョウ、ミヤマラッキョウ、ノビル、ヤマラッキョウ、アサツキ、エゾネギ、ヒメエゾネギ、シブツアサツキ、シロウマアサツキ、イズアサツキ、ツリーオニオン、ネギ、ワケギ、リーキ、ラッキョウ、シマラッキョウ、シャロット、エシャロット、青ネギ、チャイブ、ヤグラネギ、白ネギなどが挙げられる。これらの中でも、ガンマグルタミル−S−プロペニルシステインを高濃度に含む観点から、ニンニク(Allium sativum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、アサツキ(Allium schoenoprasum L.)、ラッキョウ(Allium chinense G.Don)、ギョウジャニンニク(Allium victorialis subsp. platyphyllum)などが好ましく、ニンニク(Allium sativum L.)がより好ましい。アリウム属の植物は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のガンマグルタミル−S−プロペニルシステインは、ガンマグルタミル−S−1−プロペニルシステインおよびガンマグルタミル−S−2−プロペニルシステイン(ガンマグルタミル−S−アリルシステイン)などを挙げることができる。なお、ガンマグルタミル−S−1−プロペニルシステインの天然物(化3)およびガンマグルタミル−S−2−プロペニルシステイン(ガンマグルタミル−S−アリルシステイン)の天然物(化4)は、一般に下記の一般式で示される構造を有する。

本発明においては、アリウム属の植物をそのまま用いてもよいし、当該植物の切断物、破砕物、磨砕物、粉末などを用いてもよい。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物、粉末は、例えば、当該植物をクラッシャー、ミキサー、フードプロセッサー、パルパーフィッシャーなどを用いて切断、破砕、磨砕、粉末化することによって得られる。
また、アリウム属の植物の搾汁は、例えばフィルタープレス、ジューサーミキサーなどを用いて調製することができる。搾汁は、上記磨砕物を、濾布などを用いて濾過することによっても調製することができる。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物、及び搾汁は、希釈物または濃縮物であってもよい。希釈物としては、例えば、当該植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などを水で1〜50倍程度に希釈したものが挙げられる。また、濃縮物としては、例えば、当該植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などを凍結濃縮、減圧濃縮などの手段によって1〜100倍に濃縮したものなどが挙げられる。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁は、冷凍したものであってもよい。
さらに、アリウム属の植物の抽出物は、前述のアリウム属の植物や当該切断物等を、例えば水などの溶媒により抽出することにより得ることができる。
本発明の製造方法においては、内在するアリイナーゼを失活処理したアリウム属の植物を用いることが好ましい。アリウム属の植物には、アリインと称されるシステインのスルホキシド誘導体(アリイン)が含まれ、アリウム属の植物に内在するアリイナーゼにより臭気成分であるアリシンへ変換され得る。本発明の製造方法においては、内在するアリイナーゼを失活処理したアリウム属の植物を原料として用いることにより、アリウム属植物に含まれるアリインのアリシンへの変換を抑える内在酵素(アリイナーゼ)を失活させ、アリウム属植物の特有のにおいを効果的に防ぐことができる。
前記内在するアリイナーゼを失活処理する方法は、アリウム属の植物に内在するアリイナーゼの酵素活性を失活させることができれば、特に限定されないが、例えば、当該アリウム属の植物等の内部温度を60℃以上に高める処理、酸処理、アルカリ処理が挙げられる。失活処理におけるアリウム属の植物等の内部温度を60℃以上に高める加熱処理方法の具体例としては、熱水加熱処理、蒸気加熱処理、マイクロ波加熱処理などが挙げられ、マイクロ波加熱処理が好ましい。
本発明の製造方法においては、アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種と、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を有する酵素を共存させる工程を備える。
本発明のガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性とは、グルタチオンなどのガンマグルタミルペプチドのガンマ−グルタミル基を他のペプチドやアミノ酸に転移する反応と、そのガンマグルタミル結合を加水分解する反応を触媒する酵素活性である。この活性を持つ酵素は生体内においても膜結合型酵素として広く全身に存在し、膜を介したアミノ酸の移動に関与している。
本発明のグルタミナーゼ活性とは、遊離のL−グルタミンを基質としてL−グルタミン酸を生成する加水分解反応を触媒する酵素活性である。この活性を持つ酵素は、味噌、醤油などの発酵調味料や漬物に添加することでグルタミン酸を増強し、「うまみ」を増強した食品を作ることができるものである。
前記酵素の種類としては、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を有するものであれば特に限定されないが、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を主たる活性とする酵素であるものが好ましい。ここで、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を主たる活性とする酵素とは、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ力またはグルタミナーゼ力が10単位/g以上のものをいい、30単位/g以上が好ましく、50単位/g以上がより好ましく、80単位/g以上がいっそう好ましい。具体的には、市販の加工用酵素の例として、天野エンザイム製「グルタミナーゼSD−C100S」、「ビオラクタFN5」、「ビオラクタN5」、「パンクレアチンF」、「プロテアーゼA」、「プロテアーゼP」、「プロテアーゼM」「リパーゼG」、「リパーゼR」、「リパーゼA」、「プロレザーFG−F」、「プロチンSD−PC10F」、「プロチンSD−AY10」、「プロチンSD−NY10」、「ペプチダーゼR」、「ペクチナーゼA」、「ニューラーゼF3G」、「プロチンAC10F」、キッコーマン製「ペクトリアーゼ」、協和化成製「セルラーゼTP2協和」、合同酒精製「GODO AGI−EC」、三菱化学フーズ製「コクラーゼ」、シイベルヘグナー製「Rapidase」、新日本化学工業製「スミチームAGS−L」、「スミチームAC−L」、「スミチームCTS」、「スミチームCM−G」、「スミチームKDC」、「スミチームC6000」、「スミチームAP」、「スミチームFP」、「スミチームLPL」、「スミチームLP50」、「スミチームBGT」、「スミチームRP」、「スミチームGML」、「スミチームTG」、エイチ・ビイ・アイ製「オリエンターゼ22BF」、「セルロシンAC40」、「セルロシンHC100」、「セルロシンTP25」、「セルロシンHC」、「オリエンターゼ20A」、「オリエンターゼ5BL」、(株)日本生物.科学研究所製「納豆菌培養エキスNSK−SD」、ノボザイム製「ガマナーゼ」、ペプチド研究所製「WSCD−HCL」、ヤクルト薬品工業製「ペクチナーゼHL」、「セルラーゼY−NC」、「セルラーゼオノヅカRS」、「セルラーゼオノヅカR−10」、「マセロチームR−10」などを用いることができる。
さらには、前記酵素の中でも、驚くべきことにBacillus属が分泌する酵素に前記ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性がより高いことを見出した。具体的には、前記酵素の中でも、天野エンザイム製「グルタミナーゼSD−C100S」、「ビオラクタFN5」、「ビオラクタN5」、「プロレザーFG−F」、「プロチンSD−PC10F」、「プロチンSD−AY10」、「プロチンSD−NY10」、「プロテアーゼS」、「プロチンAC10F」、新日本化学工業製「スミチームGML」、エイチ・ビイ・アイ製「オリエンターゼ22BF」、「オリエンターゼ5BL」、(株)日本生物科学研究所製「納豆菌培養エキスNSK−SD」がBacillus属由来の酵素であり、前記ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性がより高いため好ましい。
前記酵素は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、反応工程に外部から添加する等により用いることができる。
本発明においては、アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種と、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を有する酵素を共存させることによりS−プロペニルシステインが効率よく得られる。アリウム属の植物にもともと含まれているガンマグルタミル−S−プロペニルシステインが外部から添加した酵素の働きにより、グルタミン酸が遊離してS−プロペニルシステインが生成するものと考えられる。アリウム属の植物には、内部に同じ活性をもつ酵素が存在するものもあるが、内部酵素では生成量が少なく、またその他の酵素の働きにより、生成したS−プロペニルシステインが違う物質に変換してしまう場合があるため、外部から酵素を添加することが好ましい。
本発明においては、アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種と、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を有する酵素を共存させることによりS−プロペニルシステインが効率よく得られるが、該原料と該酵素とが反応できるように溶媒中で共存させることが好ましい。溶媒としては、上記反応を阻害しなければ、特に制限されないが、好ましくは水などを使用することができる。具体的には、例えば、上記原料を溶媒中で均一に混合した後、これらの反応を攪拌させながら反応させてもよいし、静置させて反応させてもよい。攪拌方法としては、特に制限されず、例えば、攪拌羽、ミキサー、スターラーなどを用いて攪拌する方法が挙げられる。
上記反応の反応温度は0℃〜100℃が好ましく、20℃〜90℃が好ましく、40℃〜80℃がより好ましい。反応時のpHとしては酵素の至適条件下で行うのが望ましいのは言うまでもなく、pH2〜12が好ましく、pH4〜8がより好ましい。反応時間は使用する原料と酵素の量に依存するが、通常1〜48時間に設定するのが作業上好ましい。添加する酵素の量としては、酵素反応を迅速に進行させるために十分な量を共存させることが好ましいことは言うまでもないが、効率的な酵素反応の観点から、該原料に対して0.001〜50質量%が好ましく、0.005〜10質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましい。
本発明においては、アリウム属の植物等と特定の酵素を共存することにより、得られる酵素処理物100gあたりのS−プロペニルシステイン量を、例えば、0.01g以上、好ましくは0.1g以上、より好ましくは0.2g以上、いっそう好ましくは0.4g以上、特に好ましくは0.8g以上とすることができる。
該酵素処理により得られた酵素処理物又は前記酵素処理物を凍結乾燥、スプレードライなどの方法により乾燥させて固形物(粉末、顆粒など)の酵素処理物とすることにより、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品、飼料、健康食品などとして使用することができる。
また、酵素処理により得られた酵素処理物に対し、濾過、遠心分離、濃縮、抽出等の通常の単離操作によってS−プロペニルシステインを分離する単離工程を行うことができる。さらに、S−プロペニルシステインの純度を高めるために、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製操作によって、S−プロペニルシステインを精製する精製工程を行うことができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例中の測定方法は次の通りである。
(HPLC分析条件)
カラム:CapcellPakSCXUGcolumn(φ4.6×250mm、資生堂製)
カラム温度:45℃
移動相:10mM KHPO水溶液(pH2.5)
流速:1mL/min
測定波長:210nm
なお、LKT Laboratories社製のS−2−プロペニルシステイン(S−アリルシステイン(商品名:L−Deoxyalliin)を標準物質として定量した。
実施例1
ニンニク(品種名:福地ホワイト)1kgの芯を除去した後、約2〜3cmの鱗片に分け、マイクロ波加熱装置にて加熱処理(周波数:2.45GHz、出力:2000W、照射時間:2分間)を施し、内在するアリイナーゼを失活させた。その後、純水1Lを添加して石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕し、ニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、1gのグルタミナーゼ(天野エンザイム製、商品名:グルタミナーゼSD−C100S(グルタミナーゼ力 109単位/g))を添加して撹拌した後、60℃に保温して3時間反応させた。反応終了後、80℃に温度を上げて、添加した酵素を失活させた後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステイン化合物の含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.55g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.50g/100gであった。なお、その粉末はアリウム属の植物に特有の臭気がみられないものであった。
比較例1
グルタミナーゼ(天野エンザイム製、商品名:グルタミナーゼSD−C100S)を添加しない以外は、実施例1と同様の操作にて粉末を得た。その粉末中のS−アリルシステイン含有量は0.005g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.003g/100gであった。
実施例2
マイクロ波加熱装置による加熱処理を施さない以外は、実施例1と同様の操作にて粉末を得た。その粉末中のS−アリルシステイン含有量は0.55g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.50g/100gであった。なお、その粉末はアリウム属の植物に特有の臭気がするものであった。
実施例3
ニンニク(品種名:福地ホワイト)1kgの芯を除去した後、約2〜3cmの鱗片に分け、マイクロ波加熱装置にて加熱処理(周波数:2.45GHz、出力:2000W、照射時間:2分間)を施し、内在するアリイナーゼを失活させた。その後、純水1Lを添加して石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕し、ニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、5gのラクターゼ(天野エンザイム製、商品名:ビオラクタFN5(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性 650単位/L)を添加して撹拌した後、60℃に保温して20時間反応させた。反応終了後、80℃に温度を上げて、添加した酵素を失活させた後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステイン化合物の含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.50g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.45g/100gであった。なお、その粉末はアリウム属の植物に特有の臭気がみられないものであった。
実施例4
ニンニク(品種名:福地ホワイト)1kgの芯を除去した後、約2〜3cmの鱗片に分け、純水1000mLの沸騰水中で5分間加熱し、内在するアリイナーゼを失活させた。その後、NPaクラッシャー(タイプ:NR−08、NPaシステム株式会社)にてそのまま摩砕し、ニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、20gのプロテアーゼ(エイチビィアイ製、商品名:オリエンターゼ22BF、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性 100単位/L)を添加して撹拌した後、60℃に保温して20時間反応させた。反応終了後、80℃に温度を上げて、添加した酵素を失活させた後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステイン化合物の含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.25g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.20g/100gであった。なお、その粉末はアリウム属の植物に特有の臭気がみられないものであった。
実施例5
ギョウジャニンニク1kgを、マイクロ波加熱装置にて加熱処理(周波数:2.45GHz、出力:2000W、照射時間:2分間)を施し、内在するアリイナーゼを失活させた。その後、包丁で5cm程度に切断した後、純水1Lを添加して石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕しギョウジャニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、1gのグルタミナーゼ(天野エンザイム製、商品名:グルタミナーゼSD−C100S、(グルタミナーゼ活性 109単位/g))を添加して撹拌しながら、60℃に保温して3時間反応させた。反応終了後、80℃に温度を上げて、添加した酵素を失活させた後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステイン化合物の含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.12g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.10g/100gであった。なお、その粉末はアリウム属の植物に特有の臭気がみられないものであった。
実施例6
アサツキ1kgを、マイクロ波加熱装置にて加熱処理(周波数:2.45GHz、出力:500W、照射時間:2分間)を施し、内在するアリイナーゼを失活させた。その後、純水2Lを添加して石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕しアサツキペーストを得た。そのペーストに対して、1gのグルタミナーゼ(天野エンザイム製、商品名:グルタミナーゼSD−C100S、(グルタミナーゼ活性 109単位/g))を添加して撹拌しながら、60℃に保温して3時間反応させた。反応終了後、80℃に温度を上げて、添加した酵素を失活させた後、スプレードライヤーにて噴霧乾燥・粉末化した。その粉末中のS−プロペニルシステイン化合物の含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.07g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.04g/100gであった。なお、その粉末はアリウム属の植物に特有の臭気がみられないものであった。
実施例7
ニンニク(品種名:福地ホワイト)1kgの芯を除去して、鱗片に分け、蒸気で加熱処理(温度:110℃、時間:10分)を施し、内在するアリイナーゼを失活させた。その後、純水1Lを添加して石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕してニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、1gのグルタミナーゼ(天野エンザイム製、商品名:グルタミナーゼSD−C100S、(グルタミナーゼ活性 109単位/g))を添加して撹拌しながら、60℃に保温して3時間反応させた。反応終了後、80℃に温度を上げて、添加した酵素を失活させた後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステイン化合物の含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.55g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.50g/100gであった。
ガンマグルタミル−S−アリルシステインを含有するアリウム属の植物に、グルタミナーゼ活性またはガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性を有する酵素を作用させた実施例1〜7においては、処理物中のS−プロペニルシステイン含有量が高かった。特に、内在する酵素であるアリイナーゼを失活させた実施例1、3〜7においては、S−プロペニルシステイン含有量が非常に高く、さらにアリウム属の植物特有のにおいが抑えられたものであった。一方、酵素を添加しなかった比較例1においては前記S−プロペニルシステインの含有量が実施例1〜7に比較し、1/10以下と非常に少ないものであった。

Claims (6)

  1. アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種と、ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ活性またはグルタミナーゼ活性を有する酵素を共存させる工程を備えることを特徴とするS−プロペニルシステインの製造方法。
  2. 前記アリウム属の植物が、ニンニク、タマネギ、ラッキョウ、ギョウジャニンニク及びアサツキからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
  3. 前記アリウム属の植物が、ガンマグルタミル−S−プロペニルシステインを含有することを特徴とする請求項1または2記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
  4. 前記アリウム属の植物が、内在するアリイナーゼを失活処理したものであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
  5. 前記失活処理が、加熱処理であることを特徴とする請求項4記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
  6. 前記加熱処理が、熱水加熱処理、蒸気加熱処理、及びマイクロ波加熱処理の少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載のS−プロペニルシステインの製造方法。
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