JP5612786B1 - S−アリルシステインの製造方法 - Google Patents

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【課題】短時間で簡便にS−アリルシステインを製造する方法を提供する。【解決手段】アリインと、システインとを溶媒中で共存させる工程を備える、S−アリルシステインの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、S−アリルシステインの製造方法に関する。
従来、ニンニク、タマネギなどのアリウム属の植物には、種々の含硫アミノ酸が含まれることが知られているが、近年、含硫アミノ酸の一種であるS−アリルシステインの有する様々な生理学的作用が注目されている。S−アリルシステインの生理学的作用を利用したものとしては、例えば、腫瘍発生予防剤(例えば、特許文献1を参照)、肝疾患治療剤(例えば、特許文献2を参照)、臓器繊維化抑制剤(例えば、特許文献3を参照)、精子機能低下抑制剤(例えば、特許文献4を参照)などが知られている。
しかしながら、例えば、ニンニクなどに含まれるS−アリルシステインの含有量は、ごく僅かであり、また、その含有量を高める方法についてはほとんど報告がない。具体的には、ニンニクに含まれるS−アリルシステインの含有量を高める方法としては、例えば、生ニンニクをエタノール水溶液に2年間程度浸漬して熟成させることによりS−アリルシステインに代表される含硫アミノ酸を蓄積させる方法や、低温貯蔵した生ニンニクを45℃から65℃に温蔵して含硫アミノ酸を蓄積させる方法(例えば、特許文献5を参照)が挙げられる程度である。
S−アリルシステインの含有量を高める前者の方法は、大きな設備を用い、非常に長期間をかけて行う必要がある。また、後者の方法では、2週間程度で製造することが可能ではあるが、黒ニンニクのように完全熟成状態にはならないため、S−アリルシステインの含有量が高められたニンニク中には、ニンニク特有の臭いが残る。従って、これを飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品、健康食品などへ配合する場合には、使用が制限される問題がある。
特許第2828471号公報 特公平5−60447号公報 特開2007−77116号公報 特開2012−17295号公報 特開2005−278635号公報
本発明は、短時間で簡便にS−アリルシステインを製造する方法を提供することを主な目的とする。
本発明者は、このような課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、意外なことに、アリインとシステインとを溶媒中で共存させるという極めて簡便な方法により、短時間でS−アリルシステインを製造できることを見出した。さらに、本発明者は、アリインを含むアリウム属の植物をアリインの供給源として、アリインとシステインとを溶媒中で共存させることによっても、S−アリルシステインを非常に短時間で簡便に製造できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. アリインと、システインとを溶媒中で共存させる工程を備える、S−アリルシステインの製造方法。
項2. 前記工程において、前記アリイン100モルに対して、前記システインを10モル以上共存させる、項1に記載のS−アリルシステインの製造方法。
項3. 前記アリインとして、内在するアリイナーゼを失活処理した、前記アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種を用いる、項1または2に記載のS−アリルシステインの製造方法。
項4. 前記失活処理が、熱水加熱処理、蒸気加熱処理、及びマイクロ波加熱処理の少なくとも1種である、項3に記載のS−アリルシステインの製造方法。
項5. 前記アリウム属の植物が、ニンニク、タマネギ、ラッキョウ、ギョウジャニンニク、及びアサツキからなる群から選択された少なくとも1種である、項3または4いずれかに記載のS−アリルシステインの製造方法。
項6. 前記溶媒中において、シスチンを還元してシステインを供給する、項1〜5のいずれかに記載のS−アリルシステインの製造方法。
本発明によれば、短時間で簡便にS−アリルシステインを製造する方法を提供することができる。
本発明のS−アリルシステインの製造方法は、アリインと、システインとを溶媒中で共存させる工程(以下、「反応工程」という表記することがある)を備えることを特徴とする。本発明においては、アリインとシステインとを溶媒中で共存させることにより、アリインとシステインとが反応し、S−アリルシステインが生成する。なお、S−アリルシステインの天然物は、一般に、下記一般式で示される構造を有する。
本発明において、生成物であるS−アリルシステインは、上記構造を有するS−アリルシステインの他、これの光学異性体であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。
本発明の製造方法において、原料となるアリインとは、含硫アミノ酸の一種であり、例えば、ニンニク、タマネギなどのアリウム属の植物に広く含まれている。アリインの天然物は、一般に、下記一般式で示される構造を有する。
本発明の製造方法において、原料となるアリインは、上記構造を有するアリインの他、これの光学異性体であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。また、本発明においては、化学合成されたアリインを原料として用いてもよいし、アリインを含む素材からのアリインの抽出物、精製物などを原料として用いてもよい。さらに、本発明においては、アリインを含む素材をアリインとして用い、当該素材とシステインとを共存させることによって、当該素材中に含まれるアリインと、システインとを共存させて反応工程を行ってもよい。
アリインを含む素材としては、特に制限されないが、アリインの含有量が多いことから、好ましくはアリウム属の植物、アリウム属の植物の搾汁、及びアリウム属の植物の抽出物などが挙げられる。なお、アリウム属の植物、アリウム属の植物の搾汁、及びアリウム属の植物の抽出物は、後述の通り、内在するアリイナーゼを失活処理してから用いることが必要である。すなわち、本発明の製造方法において、アリインを含む素材を用いる場合、アリインとして、内在するアリイナーゼを失活処理した、アリウム属の植物、アリウム属の植物の搾汁、アリウム属の植物の抽出物などを用いることが好ましい。アリウム属の植物としては、700種類以上が知られており、アリインを含むものであればいずれを素材として用いてもよい。アリウム属の植物の具体例としては、ニンニク、タマネギ、ギョウジャニンニク、ヒメニラ、ニラ、カンケイニラ、イトラッキョウ、キイイトラッキョウ、ミヤマラッキョウ、ノビル、ヤマラッキョウ、アサツキ、エゾネギ、ヒメエゾネギ、シブツアサツキ、シロウマアサツキ、イズアサツキ、ツリーオニオン、ネギ、ワケギ、 リーキ、ラッキョウ、シマラッキョウ、シャロット、エシャロット、青ネギ、チャイブ、ヤグラネギ、白ネギなどが挙げられる。これらの中でも、アリインなどの含硫アミノ酸を高濃度に含む観点から、ニンニク(Allium sativum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、アサツキ(Allium schoenoprasum L.)、ラッキョウ(Allium chinense G.Don)、ギョウジャニンニク(Allium victorialis subsp. platyphyllum)などが好ましく、ニンニク(Allium sativum L.)がより好ましい。
内在するアリイナーゼを失活処理したアリウム属の植物は、そのまま用いてもよいし、アリインとシステインとを反応させやすくすることなどを目的として、当該植物の切断物、破砕物、磨砕物、粉末などを用いてもよい。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物、粉末は、例えば、当該植物をクラッシャー、ミキサー、フードプロセッサー、パルパーフィッシャーなどを用いて切断、破砕、磨砕、粉末化することによって得られる。また、アリウム属の植物の搾汁は、例えばフィルタープレス、ジューサーミキサーなどを用いて調製することができる。搾汁は、上記磨砕物を、濾布などを用いて濾過することによっても調製することができる。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物、及び搾汁は、希釈物または濃縮物であってもよい。希釈物としては、例えば、当該植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などを水で1〜50倍程度に希釈したものが挙げられる。また、濃縮物としては、例えば、当該植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁などを凍結濃縮、減圧濃縮などの手段によって1〜100倍に濃縮したものなどが挙げられる。アリウム属の植物の切断物、破砕物、磨砕物、搾汁は、冷凍したものであってもよい。アリウム属の植物の抽出物は、前述のアリウム属の植物や当該切断物等を、例えば水などの溶媒により抽出することにより得ることができる。本発明において、アリインを含む素材は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記のとおり、本発明の製造方法において、アリインを含む素材は、内在するアリイナーゼを失活処理してから用いる必要がある。アリウム属の植物などの素材中には、アリインと共に、アリインをアリシン(臭気成分)に変換する酵素(アリイナーゼ)が含まれているものがある。アリインを含む素材をアリインとして用いる場合において、アリインがアリシンに変換されると、原料となるアリインの量が減少するため、目的とするS−アリルシステインの生成量が少なくなってしまう。このため、本発明においては、内在するアリイナーゼに失活処理を施した素材をアリインの供給源として用いることにより、素材中に含まれる酵素を失活させ、アリインの減少を抑制することが可能となる。また、アリシンの生成を抑制することにより、S−アリルシステインを含む反応混合物等におけるアリシン由来の臭いの発生を抑制することが可能となる。
アリインを含む素材に内在するアリイナーゼを失活処理する方法は、上記の酵素を失活させることができれば特に限定されないが、例えば、当該素材の内部温度を60℃以上に高める方法が挙げられる。失活処理方法の具体例としては、熱水加熱処理、蒸気加熱処理、マイクロ波加熱処理などが挙げられる。また、酸処理やアルカリ処理により内在するアリイナーゼを失活処理する方法も挙げられる。
本発明の製造方法において、原料となるシステインは、含硫アミノ酸の一種であり、2−アミノ−3−スルファニルプロピオン酸である。システインの天然物としては、下記の構造を有するL体が広く存在する。
本発明の製造方法において、原料となるシステインは、上記構造を有するシステイン(L体)の他、これの光学異性体(D体)であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。また、本発明においては、化学合成されたシステインを原料として用いてもよいし、システインを含む素材からのシステインの抽出物、精製物などを原料として用いてもよい。さらに、本発明においては、システインを含む素材をシステインとして用い、当該素材とアリインとを共存させることによって、当該素材中に含まれるシステインと、アリインとを溶媒中で共存させて反応工程を行ってもよい。
システインは、精製物が容易に入手可能であるため、システインとアリインとを効率よく反応させて、高効率でS−アリルシステインを製造する観点からは、本発明においては、システインの精製物を用いることが好ましい。システインの精製物としては、一般的に、試薬、医薬品成分、食品成分などとして市販されているものが挙げられる。なお、システインを含む素材としては、システインを含むものであれば特に制限されないが、例えば、オート麦、小麦胚芽、芽キャベツ、ブロッコリーなどが挙げられる。
また、システインは、シスチンを還元することにより簡便に生成することができるため、本発明の製造方法においては、溶媒中においてシスチンを還元して、原料となるシステインを供給してもよい。シスチンはアミノ酸の一種であり、3,3’−ジチオビス(2−アミノプロピオン酸)である。シスチンは、2分子のシステインが、チオール基(−SH)の酸化によって生成するジスルフィド結合(−S−S−)を介してつながった構造を有する。シスチンは、天然には下記の構造を有するL体が広く存在する。
本発明の製造方法において、シスチンは、上記構造を有するシスチン(L体)の他、これの光学異性体(D体)であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。
シスチンをシステインに還元する方法としては、公知の方法を用いることができる。シスチンをシステインに還元する方法の具体例としては、シスチンにメルカプトエタノールやジチオスレイトールなどの還元剤を添加する方法、シスチンを電気化学的に還元して製造する方法(例えば特開平5−195273号公報など)、シスチンにヒドロキナーゼ活性を有する酵素を作用させる方法(例えば、特開平3−180188号公報、特開平2−092294号公報など)、微生物を用いる方法(特表2013−505712など)、アルカリ還元水を用いて酸化還元電位を−100mV以下にしてシスチンを還元する方法などが挙げられる。これらの中でも、安全かつ簡便な方法としては、好ましくはアルカリ還元水を用いる方法が挙げられる。
本発明の製造方法において、アリインとシステインとの割合は、S−アリルシステインが生成すれば特に制限されないが、短時間で簡便にS−アリルシステインを生成する観点からは、アリイン100モルに対して、システインを好ましくは10モル以上、より好ましくは50〜1000モル程度、さらに好ましくは100〜1000モル程度とする。また、本発明において、上記のアリインを含む素材、システインを含む素材、シスチンなどを用いる場合には、これらの使用量は、アリイン及びシステインの割合が好ましくはこのような範囲となるようにして、適宜設定すればよい。
本発明の製造方法においては、アリインと、システインとを溶媒中で共存させる反応工程を備えることにより、アリインとシステインとが反応して、S−アリルシステインが生成する。本発明においては、アリインと、システインとが反応できるように溶媒中で共存させることができればよい。例えば、アリインとシステインとを溶媒中で均一に混合した後、これらの反応を攪拌させながら反応させてもよいし、静置させて反応させてもよい。攪拌方法としては、特に制限されず、例えば、攪拌羽、ミキサー、スターラーなどを用いて攪拌する方法が挙げられる。
溶媒としては、アリインとシステインとの反応を阻害しなければ、特に制限されないが、好ましくは水、エタノールなどを使用することができる。
アリインとシステインとを反応に供する際の溶媒中におけるアリインの濃度としては、アリインとシステインとの反応が進行すれば特に制限されないが、好ましくは0.01〜25,000mg/L程度、より好ましくは0.1〜2,500mg/L程度が挙げられる。同様の観点から、反応に供する際の溶媒中におけるシステインの濃度としては、好ましくは0.0007〜17,000mg/L程度、より好ましくは0.007〜1,700mg/L程度が挙げられる。また、本発明において、上記のアリインを含む素材、システインを含む素材、シスチンなどを用いる場合には、これらの使用量は、アリイン及びシステインの濃度が好ましくはこのような範囲となるようにして、適宜設定すればよい。
本発明において、反応工程の温度としては、アリインとシステインとが反応すれば特に制限されないが、より短時間で簡便にS−アリルシステインを製造する観点からは、好ましくは0℃〜150℃程度、より好ましくは30℃〜100℃程度、さらに好ましくは50℃〜90℃程度が挙げられる。また、反応工程における反応液のpHとしては、好ましくはpH2〜12程度、より好ましくはpH4〜12が挙げられる。反応工程における反応時間は、使用する原料の種類、量などによっても異なるが、通常1〜48時間程度の範囲に設定することが好ましい。
反応工程の後、反応混合物から、濾過、遠心分離、濃縮、抽出等の通常の単離操作によってS−アリルシステインを分離する単離工程を行うことができる。さらに、S−アリルシステインの純度を高めるために、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製操作によって、S−アリルシステインを精製する精製工程を行うことができる。また、反応混合物を、フリーズドライ、スプレードライなどの方法によって乾燥させて固形物(粉末、顆粒など)とすることもできる。本発明の製造方法によって得られるS−アリルシステインの精製物や、S−アリルシステインを含む反応混合物は、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品、飼料、健康食品などとして好適に使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例中の測定方法は次の通りである。
(HPLC分析条件)
カラム:CapcellPakSCXUGcolumn(φ4.6×250mm、資生堂製)
カラム温度:45℃
移動相:10mM KH2PO4水溶液(pH2.5)
流速:1mL/min
測定波長:210nm
(実施例1)
アリイン(フナコシ株式会社製)3.5mgとL−システイン(和光純薬工業株式会社)24.2mgを水10mLに溶解してプラスチック容器に入れ、密封して80℃に保温して24時間反応させた。反応終了後、この溶液を、LC/TOF−MS(ブルカー・ダルトニクス製microTOF2−kp)を用いて、測定したところ、[M+H]+として162.0583の質量が検出され、S−アリルシステインが生成していることが確認された。また、水溶液中のS−アリルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、0.28mg/mlであった。さらに、この水溶液から、分取HPLCを用いて、S−アリルシステインを精製したところ、白い粉末が2.1mg得られ、その純度をHPLCで分析したところ、98%であった。
(実施例2)
ニンニク(品種名:福地ホワイト)100gの芯を除去した後、約2〜3cmの鱗片に分け、純水100mLの沸騰水中で5分間加熱し、内在するアリイナーゼを失活させた。その後、NPaクラッシャー(タイプ:NR−08、NPaシステム株式会社)にてそのまま摩砕し、ニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、L−システイン(和光純薬工業株式会社)10gを混合して70℃に保温して48時間反応させた。反応終了後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−アリルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、1.37g/100gであった。
(実施例3)
ニンニク(品種名:福地ホワイト)1kgの芯を除去した後、約2〜3cmの鱗片に分け、マイクロ波加熱装置にて加熱処理(周波数:2.45GHz、出力:2000W、照射時間:2分間)を施し、内在するアリイナーゼを失活させた。その後、純水1Lを添加して石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕し、ニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、L−シスチン(プロテインケミカル製、商品名:L−シスチン パウダー 食添用)1kgとアルカリ還元水(環境プラント工業製、商品名:岩層封純水 水素水)5Lを混合して40℃で18時間保温した溶液を添加し、撹拌した後、70℃に保温して48時間反応させた。反応終了後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−アリルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、0.64g/100gであった。
(比較例1)
沸騰水によるアリイナーゼの失活処理を行わなかったこと以外は、実施例2と同様の操作にて粉末を得た。粉末中のS−アリルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は、0.005g/100gであった。
(比較例2)
マイクロ波加熱装置によるアリイナーゼの失活処理を行わなかったこと以外は、実施例3と同様の操作にて粉末を得た。粉末中のS−アリルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.005g/100gであった。
(比較例3)
L−システイン(和光純薬工業株式会社)を添加しなかったこと以外は、実施例2と同様の操作にて粉末を得た。粉末中のS−アリルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.02g/100gであった。
(比較例4)
L−シスチン(プロテインケミカル製、商品名:L−シスチン パウダー 食添用)とアルカリ還元水を添加しなかったこと以外は、実施例3と同様の操作にて粉末を得た。その粉末中のS−アリルシステイン含有量は0.02g/100gであった。
(実施例4)
ギョウジャニンニク1kgを、マイクロ波加熱装置にて加熱処理(周波数:2.45GHz、出力:2000W、照射時間:2分間)を施し、内在性のアリイナーゼを失活させた。その後、包丁で5cm程度に切断した後、純水1Lを添加して石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕しギョウジャニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、1kgのL−シスチン(プロテインケミカル製、商品名:L−シスチン パウダー 食添用)と5Lのアルカリ還元水(環境プラント工業製、商品名:岩層封純水 水素水)を混合して添加し、撹拌した後、55℃に保温して48時間反応させた。反応終了後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−アリルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、0.25g/100gであった。
アリインにL−システインを作用させた実施例1、ニンニクにL−システインを作用させた実施例2、及びアリイナーゼを失活させたニンニクにL−シスチンとアルカリ還元水混合溶液を作用させた実施例3〜4においては、処理物中のS−アリルシステイン量が高かった。一方、アリイナーゼを失活させていないニンニクを用いた比較例1〜2、L−システインを添加しなかった比較例3、及びL−シスチンとアルカリ還元水混合溶液を添加しなかった比較例4においては、それぞれ、前記S−アリルシステインの含有量が実施例2〜4に比較し1/10以下と非常に低かった。

Claims (6)

  1. アリインと、システインとを溶媒中で共存させる工程を備え、
    前記工程において、前記アリイン100モルに対して、前記システインを10モル以上共存させる、S−アリルシステインの製造方法。
  2. 前記工程において、前記アリイン100モルに対して、前記システインを50〜1000モル共存させる、請求項1に記載のS−アリルシステインの製造方法。
  3. 前記アリインとして、内在するアリイナーゼを失活処理した、アリウム属の植物、前記植物の搾汁、及び前記植物の抽出物からなる群から選択された少なくとも1種を用いる、請求項1または2に記載のS−アリルシステインの製造方法。
  4. 前記失活処理が、熱水加熱処理、蒸気加熱処理、及びマイクロ波加熱処理の少なくとも1種である、請求項3に記載のS−アリルシステインの製造方法。
  5. 前記アリウム属の植物が、ニンニク、タマネギ、ラッキョウ、ギョウジャニンニク、及びアサツキからなる群から選択された少なくとも1種である、請求項3または4いずれかに記載のS−アリルシステインの製造方法。
  6. 前記溶媒中において、シスチンを還元してシステインを供給する、請求項1〜5のいずれかに記載のS−アリルシステインの製造方法。
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