JP6733899B2 - セレン化合物含有食品用組成物の製造方法及びセレン化合物含有食品用組成物 - Google Patents

セレン化合物含有食品用組成物の製造方法及びセレン化合物含有食品用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、セレン化合物含有食品用組成物の製造方法及びセレン化合物含有食品用組成物に関する。
セレンは、ヒトにとって必須の微量元素であり、生体内では、酵素や蛋白質の一部を構成し、例えば、抗酸化反応において重要な役割を担っている。セレンは藻類、魚介類、肉類、卵黄に豊富に含まれており、日本人が多く摂取するさまざまな魚種の魚肉にも豊富に含まれている。
セレンを含む化合物(以下、セレン化合物という)又はセレン化合物を含む組成物については、従来、多く開示されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許文献1には、魚類等の生物由来の試料を有機溶媒又は水で抽出することによりセレノネイン等のセレン化合物が得られることが開示されている。
特許文献2には、セレン含有食品素材として、魚肉の脱脂物にプロテアーゼを添加して酵素反応させた後に濃縮した液体食品素材が開示されている。
特開2011−121914号公報 特開2001−231498号公報
しかし、魚肉を原料とするセレン化合物含有食品用組成物は、従来の製造方法では、セレン化合物の含有量が低く、工業的な生産効率が十分とはいえなかった。
本発明は、従来の製造方法に比べてセレン化合物の含有量が高い、サバ類を原材料とするセレン化合物含有食品用組成物の製造方法及びセレン化合物の含有量が高いセレン化合物含有食品用組成物を提供することを課題とする。
本発明は、
〔1〕セレン化合物含有食品用組成物の製造方法であって、
前記製造方法が、
魚肉が有する蛋白質分解酵素を失活させて前記セレン化合物を含む魚肉由来組成物を得る工程1と、
前記魚肉由来組成物に、細菌由来の蛋白質分解酵素(酵素1)及び微生物由来の蛋白質分解酵素(酵素2)を順次加えて前記魚肉由来組成物を酵素反応に供した後に、前記酵素1及び2を失活させて、前記セレン化合物を含むセレン化合物含有食品用組成物を得る工程2とを含み、
前記魚肉がサバ類であるセレン化合物含有食品用組成物の製造方法(以下、本発明の製造方法という)、
〔2〕前項〔1〕記載のセレン化合物含有食品用組成物の製造方法で得られるセレン化合物含有食品用組成物(以下、本発明のセレン化合物含有食品用組成物という)、及び、
〔3〕 アミノ酸及びセレン化合物を含むセレン化合物含有食品用組成物であって、
前記アミノ酸の組成がサバ類由来のアミノ酸組成であり、
前記セレン化合物含有食品用組成物中、
前記セレン化合物の含有量が3μgSe/g以上であり、
総セレン含有量が5μg/g以上である、セレン化合物含有食品用組成物(以下、本発明の組成物という)に関する。
本発明によれば、従来の製造方法に比べてセレン化合物の含有量が高い、サバ類を原材料とするセレン化合物含有食品用組成物の製造方法及びセレン化合物の含有量が高いセレン化合物含有食品用組成物を提供することができる。
実施例1で得たセレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)の試料のクロマトグラム(A)及びセレン化合物標準物質1のクロマトグラム(B)である。 実施例1で得た本発明の組成物のアミノ酸含有量の分析フローである。 実施例1で得た本発明の組成物のアミノ酸含有量の分析フローである。
〔本発明の製造方法〕
本発明の製造方法は、セレン化合物含有食品用組成物の製造方法であって、
前記製造方法が、
セレン化合物を含む魚肉が有する蛋白質分解酵素を失活させて前記セレン化合物を含むサバ類由来組成物を得る工程1と、
前記サバ類由来組成物に、細菌由来の蛋白質分解酵素(酵素1)及び微生物由来の蛋白質分解酵素(酵素2)を順次加えて前記サバ類由来組成物を酵素反応に供した後に、前記酵素1及び2を失活させて、前記セレン化合物を含むセレン化合物含有食品用組成物を得る工程2とを含む、セレン化合物含有食品用組成物の製造方法である。
(工程1)
本発明の製造方法における工程1は、セレン化合物を含むサバ類が有する蛋白質分解酵素を失活させてセレン化合物を含む魚肉由来組成物を得る工程である。
(1)セレン化合物
サバ類中のセレン化合物は、セレンが、タンパク質の構成アミノ酸であるセレノシステイン残基等に存在する形態、遊離のセレン含有アミノ酸である形態が知られている。セレン含有蛋白質又はセレン含有アミノ酸としては、セレノシステイン、セレノメチオニン、
下記式(1):
(式(1)中、Rは水素又はエルゴチオニル基、グルタチオニル基若しくはシステイニル基を表す)で表される化合物、下記式(2):
で表される化合物、下記式(3):
で表される化合物、及び、下記式(4):
で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
なお、式(3)で表される化合物はセレノレインとも呼ばれ、セレノネイン(式3)とその互変異性体(式4)、セレノネイン酸化型二量体(式2)、修飾物(式1)の関係にある。
(2)セレン化合物を含む魚肉
セレン化合物を含む魚肉は、未加工の生の魚若しくはそれを切断したり捌いたりして得た魚肉片、又は、生の魚若しくはそれを切断したり捌いたりして得た魚肉片を粉砕して得た魚肉砕片であってよく、頭部、骨、内臓が含まれてよい。
セレン化合物を含む魚肉としては、セレン化合物が豊富であるという観点から、サバ類であり、例えば、スズキ目サバ科(サバ属(Scomber spp.))魚類が好ましく、マサバ、ゴマサバ、タイセイヨウサバからなる群から選ばれる少なくとも1種のサバ類が好ましい。
以下、「魚肉」とは「サバ類の魚肉」を意味する。
セレン化合物を含む部位としては、セレン化合物が豊富であるという観点から、魚肉の可食部及び内臓を含むことが好ましいが、内臓を含むことがより好ましい。
(3)魚肉が有する蛋白質分解酵素の失活
セレン化合物を含む魚肉から、余計な蛋白質の分解反応や腐敗を抑えて工程2において効率よくセレン化合物を抽出する観点から、魚肉が有する蛋白質分解酵素(プロテアーゼともいう)を失活させてセレン化合物を含む魚肉由来組成物を得ることが必要である。
なお、魚肉が有する蛋白質分解酵素以外の酵素を、例えば、消化酵素、生体酵素等)も失活してもよく、また、工程1において、蛋白質分解酵素を失活させる際に細菌を死滅させて魚肉を腐敗し難くさせておいてもよい。
魚肉が有する蛋白質分解酵素を効率よく失活させ、工程2における蛋白質分解酵素による反応性を高める観点から、魚肉は魚肉砕片(固形分と水分の混合物)であることが好ましく、魚若しくは魚肉片又は魚若しくは魚肉片を水とともに、例えば、ミキサーにかけて粉砕されていることがより好ましい。
魚若しくは魚肉片に水を加える場合、水としては、水道水、井戸水、蒸留水、イオン交換水等が使用できるが、
安全性、安定供給の観点からは、水道水が好ましく、
ラジカル消去活性を有するセレン化合物の安定化の観点からは、活性炭やイオン交換、逆浸透膜処理または煮沸するなどして塩素が含まないようにすることが好ましく、そのような処理をしなくても使用できる井戸水が好ましい。
魚若しくは魚肉片を水とともに粉砕する際の水の量は、魚肉100g当たり、10〜1000gが好ましく、20〜500gがより好ましく、50〜200gが更に好ましく、70〜150gが更に好ましく、90〜110gが更に好ましい。
魚肉が有する蛋白質分解酵素を失活させる方法としては、加熱、加圧、pH変化等が知られているが、魚肉が有する蛋白質分解酵素を(必要に応じて他の酵素も)効率よく失活させる観点から加熱することが好ましい。
魚肉が有する蛋白質分解酵素を加熱して失活させる場合、例えば、粉砕された魚肉又は粉砕された魚肉と水の混合スラリーを、
好ましくは70〜120℃、より好ましくは80〜100℃、更に好ましくは85〜95℃の温度で、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは30〜60分加熱する。
魚肉砕片又は魚肉砕片と水の混合スラリーを、上述したような加熱処理をすると、得られたセレン化合物を含む魚肉由来組成物は、魚肉砕片が十分に膨潤し、工程2における酵素1及び2による蛋白質の分解効率が向上する。
(4)セレン化合物を含む魚肉由来組成物
魚肉が有する蛋白質分解酵素(好ましくは、少なくともプロテアーゼ)を失活させてセレン化合物を含む魚肉由来組成物(以下、魚肉由来組成物)を得ることができる。
魚肉由来組成物は、魚肉を構成する固形分と水分の混合物又はスラリーであってもよいが、工程2における蛋白質の分解効率を向上させるとともに、水溶性のセレン化合物の収量を高める観点から、これらの混合物又はスラリーを固液分離して得られた液相部分であることが好ましい。
従って、工程1は、魚肉由来組成物を固液分離して液相部分を採取する工程を有することが好ましい。
(工程2)
本発明の製造方法における工程2は、魚肉由来組成物に、細菌由来の蛋白質分解酵素(酵素1)及び微生物由来の蛋白質分解酵素(酵素2)を順次加えて前記魚肉由来組成物を酵素反応に供した後に、前記酵素1及び2を失活させて、前記セレン化合物を含むセレン化合物含有食品用組成物得る工程である。
(1)酵素1及び2
工程2における酵素1は枯草菌(バチルス・サブティリス)などの細菌由来の蛋白質分解酵素であり、
工程2における酵素2は麹菌(アスペルギルス・オリゼー)などの微生物由来の蛋白質分解酵素である。
酵素1及び2は、市販の工業用グレード使用することができ、粗酵素の状態であってもよい。
(2)酵素反応の条件
工程2では、魚肉由来組成物に酵素1及び酵素2を順次加えるが、
酵素1を加えて酵素1による酵素反応(酵素反応1)を行い、次に、酵素2を加えて酵素2による酵素反応(酵素反応2)を行ってもよいし、逆に、酵素反応2を行い、次に、酵素反応1を行ってもよいが、
魚肉由来組成物からセレン化合物を効率よく抽出する観点から、酵素反応1を行い、次に、酵素反応2を行うことが好ましい。
魚肉由来組成物からセレン化合物を効率よく抽出する観点から、酵素反応1は、
好ましくは、温度が30〜70℃、pHが5〜9、反応時間が2〜8時間、
より好ましくは、温度が40〜65℃、pHが5〜8、反応時間が2〜6時間、
更に好ましくは、温度が55〜65℃、pHが5〜7、反応時間が2〜4時間である。
魚肉由来組成物からセレン化合物を効率よく抽出する観点から、
酵素1は、魚肉由来組成物が、
好ましくは、温度が30〜70℃、pHが5〜9、
より好ましくは、温度が40〜65℃、pHが5〜8、
更に好ましくは、温度が55〜65℃、pHが5〜7の状態になったときに加える。
魚肉由来組成物からセレン化合物を効率よく抽出する観点から、
魚肉由来組成物中の固形分100質量部に対して、加える酵素1は、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.02〜5質量部、更に好ましくは0.05〜1質量部である。
魚肉由来組成物からセレン化合物を効率よく抽出する観点から、酵素反応2は、
好ましくは、温度が30〜70℃、pHが5〜9、反応時間が2〜8時間、
より好ましくは、温度が40〜65℃、pHが5〜8、反応時間が2〜6時間、
更に好ましくは、温度が55〜65℃、pHが5〜7、反応時間が2〜4時間である。
魚肉由来組成物からセレン化合物を効率よく抽出する観点から、
酵素は、魚肉由来組成物が、
好ましくは、温度が30〜70℃、pHが5〜9、
より好ましくは、温度が40〜65℃、pHが5〜8、
更に好ましくは、温度が55〜65℃、pHが5〜7の状態になったときに加える。
魚肉由来組成物からセレン化合物を効率よく抽出する観点から、
魚肉由来組成物中の固形分100質量部に対して、加える酵素2は、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.02〜5質量部、更に好ましくは0.05〜1質量部である。
魚肉由来組成物を上述の酵素反応に供することにより、魚肉由来組成物の蛋白質が酵素分解され、セレン化合物が効率よく抽出されたセレン化合物含有食品用組成物を得ることができる。
上述の酵素反応に、酵素1及び2を使用することで、例えば、苦味を有するアミノ酸の遊離量が少なく、最終的に苦味が少ないセレン化合物含有食品用組成物を得ることができる。
(3)酵素1及び2の失活
工程2では、上述した酵素反応の後に、酵素1及び2を失活させて、本発明の組成物でもあるセレン化合物含有食品用組成物を得ることができる。
酵素1及び2を失活させる方法としては、加熱、加圧、pH変化等が知られているが、酵素1及び2を効率よく失活させる観点から加熱することが好ましい。
酵素1及び2を加熱して失活させる場合、好ましくは70℃超100℃以下、より好ましくは80〜100℃、更に好ましくは85〜95℃の温度で、好ましくは10分〜3時間、より好ましくは30〜60分加熱する。
(4)本発明のセレン化合物含有食品用組成物
工程2において、酵素1及び2を加熱して失活させることによって、本発明のセレン化合物含有食品用組成物を得ることができる。本発明の組成物も本発明の製造方法によって得ることができる本発明のセレン化合物含有食品用組成物である。
本発明のセレン化合物含有食品用組成物は、セレン化合物含有食品用組成物を構成する固形分と水分の混合物又はスラリーであってもよいが、食品等に添加する観点から、これらの混合物又はスラリーを固液分離して得られた液相部分であることが好ましく、この液相部分をさらに濃縮して得た組成物でることがより好ましい。
本発明のセレン化合物含有食品用組成物は、用途に応じて、上述の液相部分(好ましくは当該液相物の濃縮物)を、例えば乾燥(好ましくスプレードライ)させることにより液体が除去された粉末として得ることができる。
従って、工程2は、本発明のセレン化合物含有食品用組成物を固液分離して液相部分を採取する工程を有することが好ましく、さらに、当該液相部分を濃縮する工程を有することがより好ましい。
濃縮して得られる濃縮物の固形分濃度は、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%である。
また、工程2は、本発明のセレン化合物含有食品用組成物の用途に応じて、液相部分(好ましくは当該液相物の濃縮物)を乾燥する工程を有することが好ましい。
工程1及び2において固液分離する方法としては、ふるい通過、加圧濾過、遠心分離等が挙げられるが、製造設備の観点から、ふるい通過及び加圧濾過が好ましい。
ふるい通過で使用するふるいの目開きは、粗大な魚肉砕片を液相から除去する観点から、3.23〜10.8mmが好ましく、1.14〜4.85mmがより好ましく、0.98〜1.84mmが更に好ましい。
工程2において本発明のセレン化合物含有食品用組成物を濃縮する方法としては、減圧濃縮、プレート式濃縮、グローバル濃縮、等が挙げられるが、製造設備がコンパクトで操作が容易であるという観点から減圧濃縮が好ましい。
本発明の製造方法によれば、酵素反応が酵素反応1及び2の2段階で行われるため、従来の方法に比べて、セレン化合物の含有量の高い本発明のセレン化合物含有食品用組成物をえることができる。さらに、食品用途においては、苦みを抑制した本発明のセレン化合物含有食品用組成物を得ることもできる。
〔本発明の組成物〕
本発明の組成物は、
アミノ酸及びセレン化合物を含むセレン化合物含有食品用組成物であって、
アミノ酸の組成がサバ類由来のアミノ酸組成であり、
セレン化合物含有食品用組成物中、
セレン化合物の含有量が3μgSe/g以上で、
総セレン含有量が5μg/g以上である、セレン化合物含有食品用組成物である。
本発明の組成物は、アミノ酸の組成がサバ類由来のアミノ酸組成である。
アミノ酸の組成がサバ類由来のアミノ酸組成であるとは、本発明の組成物に含まれる下記18種類のアミノ酸のうちの少なくとも6種類、より好ましくは9種類、更に好ましくは12種類、更に好ましくは15種類、更に好ましくは17種類が、実施例1に記載した測定条件の下で、グルタミン酸100質量部に対して、以下の質量部を有することでる:
アルギニン(R)6〜60質量部、好ましくは10〜50質量部、より好ましくは20〜45、更に好ましくは30〜40質量部、
リジン(K)15〜100質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは30〜70質量部、更に好ましくは40〜60質量部;
ヒスチジン(H)5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部、より好ましくは15〜35質量部、更に好ましくは20〜30質量部;
フェニルアラニン(F)2〜50質量部、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは10〜30質量部、更に好ましくは15〜25質量部;
チロシン(Y)2〜50質量部、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは10〜30質量部、更に好ましくは15〜25質量部;
ロイシン(L)10〜100質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは30〜60質量部、更に好ましくは40〜50質量部;
イソロイシン(I)5〜50質量部、好ましくは10〜40質量部、より好ましくは15〜35質量部、更に好ましくは15〜25質量部;
メチオニン(M)1〜50質量部、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは10〜35質量部、更に好ましくは10〜20質量部;
バリン(V)5〜50質量部、好ましくは10〜45質量部、より好ましくは15〜40質量部、更に好ましくは20〜35質量部;
アラニン(A)20〜80質量部、好ましくは30〜70質量部、より好ましくは35〜60質量部、更に好ましくは40〜50質量部;
グリシン(G)20〜100質量部、好ましくは30〜80質量部、より好ましくは40〜65質量部、更に好ましくは45〜55質量部;
プロリン(P)10〜60質量部、好ましくは15〜50質量部、より好ましくは20〜45質量部、更に好ましくは25〜35質量部;
セリン(S)10〜60質量部、好ましくは15〜50質量部、より好ましくは20〜45質量部、更に好ましくは25〜35質量部;
トレオニン(T)10〜60質量部、好ましくは15〜50質量部、より好ましくは20〜45質量部、更に好ましくは25〜35質量部;
アスパラギン酸(D)30〜150質量部、好ましくは40〜100質量部、より好ましくは50〜80質量部、更に好ましくは60〜70質量部;
トリプトファン(W)0.5〜10質量部、好ましくは1.5〜8質量部、より好ましくは2.5〜6質量部、更に好ましくは3.5〜4.5質量部;
システイン(C)1〜10質量部、好ましくは1.5〜8質量部、より好ましくは2.5〜6質量部、更に好ましくは2.5〜4.5質量部。
セレン化合物含有食品用組成物中及び本発明の組成物中、セレン化合物の含有量は、セレン化合物の効率的な摂取、利用又は苦味低減の観点から、3μgSe/g以上であり、好ましくは4μgSe/g以上であり、より好ましくは4〜10μgSe/gであり、更に好ましくは4〜7μgSe/gである。
セレン化合物の含有量は、実施例に記載した条件で、セレン当量(μgSe/g)として算出する。
セレン化合物含有食品用組成物中及び本発明の組成物中、セレン化合物の効率的な摂取又は利用の観点から、総セレン含有量は、5μg/g以上であり、好ましくは6μg/g以上であり、より好ましくは7〜100μg/gであり、更に好ましくは7.5〜50μg/g、であり更に好ましくは7.5〜20μg/gである。
本発明の組成物は、例えば、本発明の製造方法において、サバ類由来の魚肉を使用して製造することができる。
本発明の組成物は液状又は粉末であることが好ましい。
液状の場合は、濃縮物であることがより好ましく、固形分濃度が、好ましくは40〜80質量%、より好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは55〜75質量%である。
(本発明のセレン化合物含有食品用組成物及び本発明の組成物の用途)
本発明の製造方法で得られる本発明のセレン化合物含有食品用組成物及び本発明の組成物(以下、まとめて本発明の組成物等ともいう)は、栄養補助剤、機能性食品、食品添加物等の食品用途に、主成分としてそのまま又は原料として使用することができる。
本発明の組成物等は、セレン欠乏を予防するためのサプリメント等の栄養補助剤の用途に使用できる。例えば、1錠当たりに、セレン欠乏を予防するために必要となる、好ましくは0.11〜200μg程度、より好ましくは1〜100μg程度、更に好ましくは5〜50μg程度となるように、本発明のセレン含有化合物を添加した栄養補助剤等が挙げられる。
本発明の組成物等は、セレン欠乏に起因することが推定されている疾病において、セレンが関与するレドックス経路の生体抗酸化作用を高めて、その予防や症状の軽減に役立つと考えられる(可能な場合はその旨を明記した)機能性食品の用途に使用できる。
本発明の組成物等は、セレンが関与するレドックス経路の生体抗酸化作用を高めて、セレン欠乏を予防するために食品に添加することを目的とする食品添加物の用途に使用できる。
なお、栄養補助剤、機能性食品、食品添加物等の食品用途においては、セレンが関与するレドックス経路の生体抗酸化作用を高める効果によってアンチエイジングを目的とすることも可能と考えられる。
本発明の組成物等は、セレンが関与するレドックス経路の生体抗酸化作用を高めるための抗酸化剤として、セレン欠乏に起因することが推定されている肺がん、前立腺がん、大腸がん等のがん、心臓疾患、糖尿病等の生活習慣病のリスクの軽減を目的とする食品の用途に使用できる。
本発明の組成物等は、セレン含有化合物が抗酸化力を有すると考えられることから、食品用抗酸化剤の用途に使用できる。
(原材料)
(1)魚肉原料:未加工のサバ類(国産・唐津漁港水揚げ)(頭部、骨、内臓を含む)
(2)酵素1:バチルス・サブチリス(Bacillus subtillis)由来プロテアーゼ(エイチビィアイ社製、品名オリエンターゼ22BF)
(3)酵素2:アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)由来プロテアーゼ(新日本化学工業社製、品名スミチームLP)
(4)比較酵素:バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)由来プロテアーゼ(DEERLAND ENZYMES社製、品名PAL440)
(機器)
(1)粉砕機:TESCOM社製、モデルNo.TM−814
(2)固液分離用ふるい装置:東京スクリーン社製、品名:Test sieves 試験用ふるい JIS Z 8801目開き1.0mm
(3)固液分離用減圧濾過装置:東京理化器械社製、モデルNo.アスピレーターA−3S
(4)スプレードライ装置:大川原化工機社製、モデルNo.FGA-8
(5)恒温槽:ヤマト科学社製、WATER BATH、モデルNo.BM-82
(実施例1)
(1)工程1
魚肉原料2,000gと水1,000gとを、室温(20℃)で、粉砕機で10,000rpm5分間粉砕混合した混合物とし、その混合物を90±3℃で30分間加熱して、60±3℃で4時間、180rpmで連続撹拌して魚肉由来組成物を得た。
(2)工程2
得られた魚肉由来組成物3,000gに、
酵素1を4g加えて、60±3℃で2時間の加熱を行った後、
酵素2を2g加えて、60±3℃で2時間の加熱を行い、その後、
90±3℃で30分の加熱を行い、酵素1及び2を失活させ、さらに、
固液分離用ふるい装置を通過させて残渣相と濾過相1に分離した。
なお、pHは調整していないがpH=5.0〜7.0の範囲である。
残渣相を固液分離用減圧濾過装置によって吸引濾過し、得られた濾過相2を、濾過相1と合わせた後、静置して沈殿相を含まない液相を採取してセレン化合物含有食品用組成物1(本発明の組成物1)とした。
セレン化合物含有食品用組成物1(本発明の組成物1)をさらに恒温槽で90℃10分間加熱して殺菌した後に濃縮し、固形分濃度約65質量%のセレン化合物含有食品用組成物2(本発明の組成物2)である濃縮液組成物を得た。
その濃縮液組成物をスプレードライ装置によって粉末化して、セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)である粉末組成物約126gを得た。
(比較例1)
実施例1の工程1と同様にして魚肉由来組成物を得た。
得られた魚肉由来組成物を、固液分離用ふるい装置を通過させて残渣相と濾過相1に分離した。残渣相を固液分離用減圧濾過装置によって吸引濾過し、得られた濾過相2を、濾過相1と合わせた後、静置して沈殿相を含まない液相を採取した。
実施例1と同様にして、当該液相が粉末化された約42gの比較組成物1を得た。
(比較例2)
実施例1の工程1と同様にして魚肉由来組成物を得た。
得られた魚肉由来組成物3,000gに、酵素1を4g加えて、60±3℃で2時間の加熱を行った後、
90±3℃で30分の加熱を行い、酵素1を失活させ、さらに、
固液分離用ふるい装置を通過させて残渣相と濾過相1に分離した。残渣相は固液分離用減圧濾過装置によって吸引濾過し、得られた濾過相2を、濾過相1と合わせた後、静置して沈殿相を含まない液相を採取した。
なお、pHは調整していないがpH=5.0〜7.0の範囲である。
実施例1と同様にして、当該液相をさらに固形分濃度約65質量%まで濃縮し、これを粉末化して約100gの比較組成物2を得た。
(比較例3)
実施例1の工程1と同様にして魚肉由来組成物を得た。
得られた魚肉由来組成物3,000gに、酵素2を4g加えて、60±3℃で2時間の加熱を行った後、
90±3℃で30分の加熱を行い、酵素2を失活させ、さらに、
固液分離用ふるいを通過させて残渣相と濾過相1に分離した。残渣相は固液分離用減圧濾過装置によって吸引濾過し、得られた濾過相2を、濾過相1と合わせた後、静置して沈殿相を含まない液相を採取した。
なお、pHは調整していないがpH=5.0〜7.0の範囲である。
実施例1と同様にして、当該液相をさらに固形分濃度約65質量%まで濃縮し、これを粉末化して約100gの比較組成物3を得た。
(比較例4)
実施例1の工程1と同様にして魚肉由来組成物を得た。
得られた魚肉由来組成物3,000gに、比較酵素を4g加えて、60±3℃で2時間の加熱を行った後、
90±3℃で30分の加熱を行い、比較酵素を失活させ、さらに、
固液分離用ふるいを通過させて残渣相と濾過相1に分離した。残渣相は固液分離用減圧濾過装置によって吸引濾過し、得られた濾過相2を、濾過相1と合わせた後、静置して沈殿相を含まない液相を採取した。
なお、pHは調整していないがpH=5.0〜7.0の範囲である。
実施例1と同様にして、当該液相をさらに固形分濃度約65質量%まで濃縮し、これを粉末化して約100gの比較組成物4を得た。
(評価試験)
セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)及び比較組成物1〜4について、以下の評価試験を行った。
(1)濾過試験
実施例1及び比較例1〜4における固液分離用ふるい装置に供するスラリー2kgずつを、固液分離用減圧濾過装置に吸引濾過瓶(2リットル)とブフナーロート(コスモスビード社製)を装着し、定量ろ紙(アドバンテック製定量ろ紙No.5、125mm)を用いて減圧濾過して減圧濾過に要した時間を測定した。
(2)セレン化合物含有量
本発明の組成物中のセレン化合物の含有量は、以下の条件で得た測定値に基づきセレン当量(μgSe/g)として算出した。
(2−1)試料
実施例1で得られたセレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)、
比較例1で得られた比較組成物1をそれぞれ30mg秤量し、5又は10倍量の超純水(Milli-Q Element、ミリポア社)を加えて希釈して混和し、12000rpmで10分間遠心した上清5μL又は10μLを後述するHPLC−ICP−MS分析の試料とした。
試料は、セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)について2点作成し、比較組成物1について2点作成した。
(2−2)セレン化合物標準物質の調製
下記のセレン化合物標準物質1〜5をそれぞれ水溶液としたものを使用した。
セレン化合物標準物質1は以下の方法に従って精製して得たものを使用した:
(1)冷凍メカジキフィレーを5℃で一晩解凍して血合筋を切り取って集めたものを用いた。
(2)血合筋100gに0.1gシステイン塩酸塩(和光純薬工業株式会社)を加え、10倍容量のアセトニトリル(和光純薬工業社)中でポリトロンホモジナイザー(PT MR 6000,KINEMATICA)6800rpmで15秒間、氷水で冷却しながら粉砕した。
(3)粉砕物を6000×gで10分間遠心分離し、上澄を減圧下ロータリーエバポレーターで濃縮した濃縮液1を得た。
(4)濃縮液1にアセトニトリル:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)(1:1、v/v)混合溶液を加えて濃縮液を2層に分離した。
(5)分離した2層のうち、アセトニトリル層を分離し、減圧下ロータリーエバポレーターで濃縮した濃縮液2を得た。
(6)濃縮液2に冷却水5mlを加え、0.1%酢酸で平衡化したAtlantis(登録商標)dC18300オングストロームカラム(19×150mm、日本ウオーターズ社)に供し、
0−50%直線アセトニトリルグラジエント下、溶出量40mlから50mlまでの画分1を回収した。
(7)画分1を減圧下ロータリーエバポレーターで濃縮して濃縮液3を得た。
(8)濃縮液3を0.1%酢酸30%アセトニトリルで平衡化したUltrahydrogel(登録商標)120カラム(7.8×300mm日本ウオーターズ社)に供し、排出量7.5mlから9.0mlまでのセレン化合物を含む画分を集めて画分2を得た。
(9)画分2を0.1%酢酸で平衡化したUltrahydrogel(登録商標)120カラム(7.8×300mm日本ウオーターズ社)に通し、セレン化合物を含む画分を集めて減圧下ロータリーエバポレーターで濃縮してセレン化合物標準物質1を得た。
なお、上記(1)〜(9)で得られたセレン化合物標準物質1には、式(1)〜(4)で示される化合物が含まれており、式(2)で示される化合物が主成分であることが知られている(東京大学博士(農学)論文pp17−19(山下由美子、2012年))。
セレン化合物標準物質2〜5は以下のものを使用した:
セレン化合物標準物質2:グルタチオンペルオキシダーゼ(SIGMA社製)の水溶液(100pg/μL);
セレン化合物標準物質3:亜セレン酸ナトリウム(和光純薬社製)の水溶液(100pg/μL);
セレン化合物標準物質4:L−セレノシスチン(SIGMA社社製)の水溶液(100pg/μL);
セレン化合物標準物質5:L−セレノメチオニン(東京化成工業株式会社)の水溶液(100pg/μL)。
セレン化合物標準物質1〜5の総セレン含有量は後述する方法で測定した。
溶離時間10.3分付近にピーク(図1(C))が確認された式(1)〜(4)で示される化合物について,注入したセレン重量あたりのピーク面積を算出した。
セレン化合物標準物質1中の総セレン含有量は0.476μg/mLであった。
(2−3)セレン化合物の同定と定量
各試料とセレン化合物標準物質1〜5について、HPLC−ICP-MS(Elan DRCII、Perkin−Elmer)法で測定してクロマトグラムを得た。
得られたクロマトグラムにおけるピークの保持時間をセレン化合物標準物質のそれと比較し、セレン化合物の種類を定性的に決定した。また、ピーク面積をソフトウエア(TotalChrom、Perkin−Elmer)を用いて読み取り、ピーク面積から下記式(5):
X=(S/S)×(1000/V)×α/1000 (5)
(ここで、
X:各試料中のセレン化合物含有量(μgSe/g)
:各試料のセレン化合物標準物質1〜5にそれぞれ特有な溶離時間(セレン化合物標準物質1:10.3分、セレン化合物標準物質2:5.4分、セレン化合物標準物質3:7.4分、セレン化合物標準物質4:7.8分、セレン化合物標準物質5:9.8分)のピーク面積。
:セレン化合物標準物質1〜5それぞれのセレン重量あたりのピーク面積(/ngSe)
V:HPLC−ICP-MSにおいて注入した試料の量(μL)
α:試料を作成した際の超純水による希釈倍率(今回はα=5又は10である)。
なお、各試料においてセレン化合物標準物質2〜5に相当するピークはほとんど検出されなかったので、セレン化合物標準物質1だけを基準にして定量した。
(2−4)HPLC−ICP−MS測定条件
(2−4−1)装置構成
分離用カラム :Ultrahydrogel 120 (Waters)
HPLCポンプ :Pu712(GLサイエンス株式会社)
サンプルインジェクター :9725i(Rheodyne)
ICPMS :ELAN DRC II(Perkin-Elmer)
(2−4−2)HPLC測定条件
移動層:0.1%IGEPAL−CA63、0.1M酢酸アンモニウム(pH5.3)
流速 :1.0mL/min
サンプル注入量:0.01mL
(2−4−3)ICP−MS測定条件
測定元素 :Se
質量数 :82
RF出力(W) :1200
ネブライザーガス(Ar,L/min) :1.0
補助ガス(Ar,L/min) :1.3
プラズマガス(Ar,L/min) :17
メイクアップガス(Ar,L/min) :0
反応ガス(Ar,L/min) :0
パルスステージ電圧(eV) :1050
RPq :2.5
滞在時間(sec/amu) :0.4
(2−5)測定結果
図1に、実施例1で得られたセレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)の試料のクロマトグラム(A)及びセレン化合物標準物質1の試料のクロマトグラム(B)を示す。
クロマトグラム(A)には、保持時間10.3分のピークが観察され、
グルタチオンペルオキシダーゼ、亜セレン酸ナトリウム、L−セレノシスチン、L−セレノメチオニンに相当する保持時間のピークは検出されなかった。
従って、実施例1で得られたセレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)含まれるセレン化合物の多くは式(1)〜(4)のいずれかで表される化合物であることがわかる。
セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)の2点の試料について、クロマトグラム(A)から算出された結果は3.8μgSe/gと5.5μgSe/gであり、セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)のセレン化合物含有量はその平均値である4.7μgSe/gとした。
比較組成物1の2点の試料について、クロマトグラム(B)から算出された結果は1.3μgSe/gと2.5μgSe/gであり、比較組成物1のセレン化合物含有量はその平均値である1.9μgSe/gとした。
(3)総セレン含有量
実施例1で得られたセレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)、比較例1で得られた比較組成物1を、文献(J.H.Watkinson,Fluorometric determination of selenium in biological material with 2,3-diaminonaphthalene.Anal.Chem.,38(1),92-97(1966))記載の方法で湿式分解し、セレン化合物をすべて無機態とした後、2,3−ジアミノナフタレン(DAN)と反応させ、Se(IV)との錯体形成反応により生じる4,5−ベンゾピアセレノール(Se−DAN)の蛍光を測定することによって定量した
得られた測定値に基づき試料粉末重量あたりのセレン重量(μg/g)として算出した。
具体的には、以下の条件で測定した。
(3−1)実施例1で得られたセレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)、
比較例1で得られた比較組成物1をそれぞれ10mg秤量し、試験管中で、混酸(硝酸:過塩素酸=2:1)1.5mLとともに210℃で二時間湿式灰化した溶液に飽和シュウ酸アンモニウム水溶液0.25mLを加え100℃の水浴中で5分間加熱したものを試料とした。
試料は、セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)について2点作成し、比較組成物1について2点作成した。
(3−2)各試料を水冷した後、6M塩酸0.25mLを加え100℃の水浴中で30分間加熱し、水冷後0.1Mエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を0.25mL加え、6M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH1.0〜1.5に調整した。
(3−3)これに0.1M塩酸に溶解させた1mg/mLのDANを1mL添加し、50℃20分加温した。水冷後、シクロヘキサン1mLと振とうしてシクロヘキサン層の蛍光を励起光379nm蛍光波長521nmで測定した。
(3−4)操作ブランクおよび1mg/Lセレン標準液を5、10、50、100μL用いて蛍光法で検量線を作成し、試料中の総セレン含有量を算出した。
セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)の2点の試料について算出された結果は5.04μg/gと11.0μg/gであり、セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)の総セレン含有量はその平均値である8.02μg/gとした。
比較組成物1の2点の試料について算出された結果は4.52μg/gと4.76μg/gであり、比較組成物1の総セレン含有量はその平均値である4.64μg/gとした。
(4)アミノ酸組成
本発明の組成物のアミノ酸組成は、財団法人食品分析開発センターSUNATECに依頼して図1及び2に示すフローに従って分析した。
実施例1で得た本発明の組成物のアミノ酸含有量と、比較組成物1のアミノ酸含有量とを表2に記載した。
(5)苦味(官能試験)
セレン化合物含有食品用組成物3(本発明の組成物3)及び比較組成物1〜4のそれぞれ2gに45〜50℃温湯98gを加えた混合液を100gずつ調整した。
8名の官能試験員(男性4名(年齢25〜47歳)、女性4名(年齢22〜30歳4名))が、混合液を飲み、苦味を5段階評価した。
5段階評価は、苦味について甚大を5、大を4、中を3、微を2、苦味なしを1とした。
混合液をそれぞれ1杯ずつ飲み、それぞれ5段階評価してその平均値を算出した。
結果を表1及び2並びに図1に示す。
サバ類を使用した酵素反応を2段階含む実施例1は、セレンが豊富に含まれ、
(1)サバ類を使用した酵素反応を含まない比較例1に比べて、セレン化合物含有量が大きい。
(2)サバ類を使用した酵素反応を1段階含む比較例2〜4に比べて、セレン化合物含有食品用組成物の濾過・濃縮を迅速に行うことができ、苦味が少ないことがわかった。
本発明の組成物は、式(1)〜(4)の化合物が遊離又は蛋白質中のアミノ酸残基として含まれること、サバ類由来の遊離のアミノ酸又は蛋白質の蛋白質分解によって生成したアミノ酸が含まれること、これらが主成分であることにより苦味が少なく、水に容易に溶解する白色の粉末を得ることができたことが考えられる。
また、本発明の組成物は、室温で保管可能であり、式(1)〜(4)の化合物が他のセレン化合物に比べて,強力な抗酸化能,ラジカル消去活性および生体抗酸化作用を有することが知られていることから,セレンの機能性を高めた食品を提供することが期待できる。
実施例1の本発明の組成物のアミノ酸組成がサバ類由来のアミノ酸組成であることも確認できた。

Claims (7)

  1. セレン化合物含有食品用組成物の製造方法であって、
    前記製造方法が、
    魚肉原料を粉砕混合して得た魚肉と水の混合物が有する蛋白質分解酵素を
    前記混合物を85〜120℃、10分〜3時間加熱することで失活させて前記セレン化合物を含む魚肉由来組成物を得る工程1と、
    前記魚肉由来組成物に、細菌由来の蛋白質分解酵素(酵素1)及び微生物由来の蛋白質分解酵素(酵素2)を順次加えて前記魚肉由来組成物を酵素反応に供した後に、前記酵素1及び2を失活させて、前記セレン化合物を含むセレン化合物含有食品用組成物を得る工程2とを含み、
    前記酵素1がバチルス・サブティリス由来蛋白質分解酵素であり、
    前記酵素2がアスペルギルス・オリゼー由来蛋白質分解酵素であり、
    前記酵素1を加える際の温度が40〜65℃、pHが5〜8であり、
    前記酵素2を加える際の温度が55〜65℃、pHが5〜7であり、
    前記魚肉がサバ類であり、
    前記行程2において、前記魚肉由来組成物に前記酵素1を加えた後に、前記酵素1を失活させずに、前記酵素2を加えるセレン化合物含有食品用組成物の製造方法(但し、前記製造方法から、前記工程2で得られたセレン化合物含有食品用組成物をさらに逆浸透膜処理を施して濃縮する工程を含む態様を除く)
  2. 前記工程1において、前記魚肉由来組成物が、前記魚肉が有する蛋白質分解酵素を失活させて後に固液分離して得られる液相である請求項1記載のセレン化合物含有食品用組成物の製造方法。
  3. 前記工程2において、前記セレン化合物含有食品用組成物が、前記酵素1及び2を失活させて後に固液分離して得られる液相である請求項1又は2記載のセレン化合物含有食品用組成物の製造方法。
  4. 前記工程2において、前記セレン化合物含有食品用組成物が、前記液相を濃縮して得られる濃縮物である請求項3記載のセレン化合物含有食品用組成物の製造方法。
  5. さらに、前記セレン化合物含有食品用組成物が、液体が除去された粉末である請求項1〜4のいずれか1項記載のセレン化合物含有食品用組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載のセレン化合物含有食品用組成物の製造方法で得られるセレン化合物含有食品用組成物。
  7. アミノ酸及びセレン化合物を含む請求項6記載のセレン化合物含有食品用組成物であって、
    前記アミノ酸の組成がサバ類由来のアミノ酸組成であり、
    前記アミノ酸組成が、グルタミン酸100質量部に対して、アルギニン(R)30〜40質量部、リジン(K)40〜60質量部、ヒスチジン(H)20〜30質量部、フェニルアラニン(F)15〜25質量部、チロシン(Y)15〜25質量部、ロイシン(L)40〜50質量部、イソロイシン(I)15〜25質量部、メチオニン(M)10〜20質量部、バリン(V)20〜35質量部、アラニン(A)40〜50質量部、グリシン(G)45〜55質量部、プロリン(P)25〜35質量部、セリン(S)25〜35質量部、トレオニン(T)25〜35質量部、アスパラギン酸(D)60〜70質量部、トリプトファン(W)3.5〜4.5質量部、及び、システイン(C)2.5〜4.5質量部であり、
    前記セレン化合物含有食品用組成物中、
    前記セレン化合物の含有量が3μgSe/g以上であり、
    総セレン含有量が5μg/g以上である、セレン化合物含有食品用組成物。
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