JP2015144572A - 加工にんにく - Google Patents

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【課題】S−プロペニルシステインを含有し、にんにく特有の臭気成分が少ない加工にんにくを提供する。
【解決手段】にんにくに内在する酵素を、60℃以上の加熱、酸・アルカリ処理、有機溶剤処理して失活した後、酵素もしくは添加剤の共存下で加熱処理した加工にんにく。例えばにんにくの鱗片を加熱処理、摩砕、5規定の水酸化ナトリウム水溶液をpH8なるように添加後、凍結乾燥・粉砕した粉末。粉末100gあたりに含まれるS−プロペニルシステインの含有量が0.01g以上であって、ジメチルスルフィド、アリルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、2−プロペニルチオアセトニトリル、アリルメルカプタン、アリルメチルジスルフィドの総含有量が1ppb以下であることを特徴とする加工にんにく。
【選択図】なし

Description

本発明は、機能性成分として着目されているS−アリルシステイン、S−1−プロペニルシステインなどのS−プロペニルシステイン化合物を含有し、にんにく特有の臭気が低減された加工にんにくに関する。
従来、ニンニク、タマネギなどのアリウム属の植物には、種々の含硫アミノ酸が含まれることが知られているが、近年、含硫アミノ酸の一種であるS−プロペニルシステインの有する様々な生理学的作用が注目されている。S−プロペニルシステインの生理学的作用を利用したものとしては、例えば、腫瘍発生予防剤(例えば、特許文献1を参照)、肝疾患治療剤(例えば、特許文献2を参照)、臓器繊維化抑制剤(例えば、特許文献3を参照)、精子機能低下抑制剤(例えば、特許文献4を参照)などが知られている。
しかしながら、例えば、ニンニクなどに含まれる含硫システイン化合物の含有量は、ごく僅かであり、また、その含有量を高める方法についてはほとんど報告がない。具体的には、ニンニクに含まれるS−プロペニルシステインの含有量を高める方法としては、例えば、生ニンニクをエタノール水溶液に2年間程度浸漬して熟成させることによりS−プロペニルシステインに代表される含硫アミノ酸を蓄積させる方法や、低温貯蔵した生ニンニクを45℃から65℃に温蔵して含硫アミノ酸を蓄積させる方法(例えば、特許文献5を参照)が挙げられる程度である。
S−プロペニルシステインの含有量を高める前者の方法は、大きな設備を用い、非常に長期間をかけて行う必要がある。また、後者の方法では、2週間程度で製造することが可能ではあるが、黒ニンニクのように完全熟成状態にはならないため、S−プロペニルシステインの含有量が高められたニンニク中には、ニンニク特有の臭いが残る。従って、これを飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品、健康食品などへ配合する場合には、使用が制限される問題がある。
特許第2828471号号公報 特公平5−60447号公報 特開2007−77116号公報 特開2012−17295号公報 特開2005−278635号公報
本発明は、S−プロペニルシステインを含有し、にんにく特有のにおいが抑えられた加工にんにくを提供するものである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、にんにくに内在する酵素を失活処理した後、にんにくを加熱処理等すると、にんにく特有の臭気成分が抑えられ、かつS−プロペニルシステインを含む加工にんにくを短時間で製造できることを見いだし、発明に至ったものである。
すなわち本発明は、以下の(1)を要旨とするものである。
(1)加工にんにく100gあたりに含まれるS−プロペニルシステインの含有量が0.01g以上であって、ジメチルスルフィド、アリルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、2−プロペニルチオアセトニトリル、アリルメルカプタン、アリルメチルジスルフィドの総含有量が1ppb以下であることを特徴とする加工にんにく。
本発明によれば、S−プロペニルシステインを含有し、にんにく特有のにおいが抑えられた加工にんにくを提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における原料にんにくは、にんにく(Allium sativum L.)であれば特に限定されないが、福地ホワイト、富良野、上海早生、壱州早生、沖縄早生、遠州極早生、北海道在来、島にんにくなど、すべての品種を使用することが可能である。本発明で使用する原料にんにくは単独で、あるいは2種以上の品種を組み合わせて用いることができる。また、原料にんにくの形態としてはそのまま用いても良いし、その後の反応効率を高めるため、すりつぶし、切断、粉砕などを施したものでも良い。また、原料にんにくの皮や芯、台座などは取り除いても良いし、そのままの形態でも良い。
本発明のS−プロペニルシステインは、S−1−プロペニルシステイン、及びS−2−プロペニルシステイン(S−アリルシステイン)などを挙げることができる。なお、S−1−プロペニルシステインの天然物(化1)及びS−2−プロペニルシステイン(S−アリルシステイン)の天然物(化2)は、一般に下記の一般式で示される構造を有する。

本発明におけるS−プロペニルシステインは、上記構造を有するS−1−プロペニルシステイン、及びS−2−プロペニルシステイン(S−アリルシステイン)の他、これの光学異性体であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。
本発明の加工にんにく100gあたりに含まれるS−プロペニルシステインの含有量は、0.01g以上が必要であり、0.1g以上が好ましく、0.2g以上がより好ましく、0.4g以上がいっそう好ましく、0.8g以上がよりいっそう好ましく、1.0g以上が特に好ましい。本発明の加工にんにく100gあたりに含まれるS−プロペニルシステインの含有量を0.01g以上とすることで、本発明の加工にんにくは、飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品、健康食品などの食品用添加剤として、いっそう好適に用いることができる。
本発明におけるジメチルスルフィド、アリルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、2−プロペニルチオアセトニトリル、アリルメルカプタン、アリルメチルジスルフィドは、にんにく特有の臭気成分である。本発明においては、当該6種の臭気成分の総含有量が加工にんにく中に1ppb以下であり、好ましくは0.6ppb以下であり、より好ましくは0.3ppb以下であり、いっそう好ましくは0.1ppb以下である。当該総含有量を1ppb以下とすることにより、にんにく特有のにおいが非常に少ないものとなり、飲食品、飼料、医薬品、医薬部外品、健康食品などへ配合する場合に使用が制限されないものとすることができる。
次に、本発明の加工にんにくの製造方法について、一例を挙げて説明する。なお、本発明の加工にんにくにおいては、当該製造方法に限定されるものではない。
本発明の加工にんにくは、例えば、内在する酵素を失活処理したにんにくを加熱処理することにより得ることができる。
にんにくには、アリインと称されるシステインのスルホキシド誘導体が含まれ、にんにくに内在するアリイナーゼにより臭気成分であるアリシンへ変換され得る。またアリシン以外にも、にんにく中には各種硫黄化合物が含まれ内部に存在する酵素などの働きによりにんにく特有の臭い成分である硫黄化合物に変換されることが知られている。本発明においては、内在する酵素を失活処理したにんにくを原料として用いることにより、にんにくを加工した際に発生するジメチルスルフィド、アリルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、2−プロペニルチオアセトニトリル、アリルメルカプタン、アリルメチルジスルフィドなどの硫黄化合物を発生させないため、にんにく特有の臭気成分の発生を防ぐことができる。
にんにくに内在する酵素の失活処理方法は、前記酵素を失活させる方法であれば特に限定されないが、例えば、植物内部の温度を60℃以上に高める方法や、酸・アルカリ処理、有機溶剤処理などが挙げられる。この中でも、その簡便さから加熱により失活させる方法が好ましい。具体的には、熱水加熱処理、蒸気加熱処理、マイクロ波加熱処理が好ましい。
本発明においては、前述の失活処理したにんにくを、酵素もしくは後述する添加剤の共存下加熱することにより、S−プロペニルシステインを含有する加工にんにくを得ることができる。
前記酵素としては、S−プロペニルシステインを生成させる活性を有するものであれば特に限定されないが、プロテアーゼ活性、ラクターゼ活性、ペプチダーゼ活性、マセレーション活性、グルタミナーゼ活性、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ活性を有する酵素が好ましく、グルタミナーゼ活性またはγ−グルタミルトランスペプチダーゼ活性を主たる活性とする酵素が、S−プロペニルシステインを生成させる活性が特に高いため好ましい。
前記酵素の具体例としては、天野エンザイム製「ビオラクタFN5」、「ビオラクタN5」、「プロレザーFG−F」、「プロチンSD−PC10F」、「プロチンSD−AY10」、「プロチンSD−NY10」、「プロテアーゼM」、「ペプチダーゼR」、「ペクチナーゼA」、「ニューラーゼF3G」、「パンクレアチンF」、「プロテアーゼA」、「リパーゼR」、「リパーゼA」、「プロテアーゼP」、「プロテアーゼN」、「プロテアーゼS」、「プロチンAC10F」、「グルタミナーゼ」、キッコーマン製「ペクトリアーゼ」、協和化成製「セルラーゼTP2協和」、合同酒精製「GODO AGI−EC」、三菱化学フーズ製「コクラーゼ」、シイベルヘグナー製「Rapidase」、新日本化学工業製「スミチームAGS−L」、「スミチームAC−L」、「スミチームCTS」、「スミチームCM−G」、「スミチームKDC」、「スミチームC6000」、「スミチームAP」、「スミチームFP」、「スミチームLPL」、「スミチームLP50」、「スミチームBGT」、「スミチームRP」、「スミチームGML」、「スミチームTG」、エイチ・ビイ・アイ製「オリエンターゼ22BF」、「セルロシンAC40」、「セルロシンHC100」、「セルロシンTP25」、「セルロシンHC」、「オリエンターゼ20A」、「オリエンターゼ5BL」、(株)日本生物.科学研究所製「納豆菌培養エキスNSK−SD」、ノボザイム製「ガマナーゼ」、ペプチド研究所製「WSCD−HCL」、ヤクルト薬品工業製「ペクチナーゼHL」、「セルラーゼY−NC」、「セルラーゼオノヅカRS」、「セルラーゼオノヅカR−10」、「マセロチームR−10」などを用いることができる。
前記酵素は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明において添加する添加剤としては、にんにく中に存在するアリインを還元する活性を有するものであれば特に限定されないが、アリインシステイン、シスチン、グルタチオンなどがあげられる。
システインは、システイン(L体)の他、これの光学異性体(D体)であっても良いし、各光学異性体の混合物であってもよい。また、化学合成されたシステイン、システインを含む素材、システインを含む素材から抽出したシステインの抽出物若しくは精製物を用いてもよいし、後述するシスチンを還元したものでもよい。
上記システインのうち、入手容易性の観点から、試薬、医薬品成分、食品成分などとして市販されているシステインの精製物を用いることが好ましい。なお、システインを含む素材としては、システインを含むものであれば特に制限されないが、例えば、オート麦、小麦胚芽、芽キャベツ、ブロッコリーなどが挙げられる。
また、シスチンは、2分子のシステインがチオール基(−SH)の酸化によって生成するジスルフィド結合(−S−S−)を介してつながった構造を有することから、該シスチンを還元することにより得られたシステインを用いてもよい。また、シスチンは、シスチン(L体)の他、これの光学異性体(D体)であってもよいし、各光学異性体の混合物であってもよい。
グルタチオンは、グルタミン酸、システイン、グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプチドでる。グルタチオンを多量に含有する食品としては、牛レバー、豚バラ肉、牛乳、カキ、イワシ、マダラ、シャケ、赤貝、トマト、ホウレンソウ、ブロッコリー、エンドウマメ、芽キャベツ、生キャベツ、キウイフルーツ、アボカド、米胚芽、小麦粉、パン酵母、酵母などがあり、グルタチオン自体だけでなく、グルタチオンを含む上記食品すべてを用いることができる。中でも、グルタチオンを高濃度に含むという観点から、酵母が好ましい。グルタチオンの形態としては、グルタチオンを含む素材をそのまま用いても良いし、さらにグルタチオンの濃度を高めるために、水抽出、熱水抽出、精製などの工程を経たものでもよい。
グルタチオンには、還元型と酸化型(還元型グルタチオン2分子がジスルフィド結合したもの)があり、いずれも用いることができるが、反応性の観点から、還元型が好ましい。
前記酵素及び前記添加剤は、単独でも、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
前記酵素もしくは前記添加剤を添加したのち、攪拌などにより原料を均一に混合して反応を進行させることにより、S−プロペニルシステインを含有する加工にんにくを得ることができる。このときの反応温度は20℃〜90℃が好ましく、25℃〜80℃が好ましく、30℃〜70℃がより好ましい。反応時のpHとしては反応の至適条件下で行うのが望ましいのは言うまでもなく、pH2〜12が好ましく、pH2.5〜10がより好ましい。反応時間は使用する原料と酵素又は添加剤の量に依存するが、通常1〜48時間に設定するのが作業上好ましい。反応の際、この反応物を攪拌しながら反応を行ってもよいし、静置反応でもよい。
また、前述のような酵素もしくは添加剤の共存下でなくとも、特定の温度範囲で加熱することにより、S−プロペニルシステインを含有する加工にんにくを得ることもできる。例えば、内在する酵素を失活処理したにんにくを20〜75℃で加熱することにより得ることができ、当該加熱温度は、25〜65℃が好ましく、25〜55℃がより好ましく、30〜45℃がいっそう好ましい。なお、75℃を超えて加熱してもS−アリルシステインは実質的に生成しない。
本発明の加工にんにくは、凍結乾燥、真空乾燥、加熱乾燥などにより粉末とすることにより、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品、飼料、健康食品などとして使用することができる。
本発明の加工にんにくは、ろ過、遠心分離などによる固液分離、カラムクロマトグラフィーなどによる精製により、S−プロペニルシステインの含有量を高めた加工にんにくとしても良い。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の測定方法は次の通りである。
1.HPLC分析条件(S−プロペニルシステイン)
装置:LC20A(島津製作所製)
カラム:CapcellPakSCXUGcolumn(φ4.6×250mm、資生堂製)
カラム温度:45℃
移動相:10mM KHPO水溶液(pH2.5)
流速:1mL/min
測定波長:210nm
なお、LKT Laboratories社製のS−2−プロペニルシステイン(S−アリルシステイン(商品名:L−Deoxyalliin)を標準物質として定量した。
2.GC−MS分析条件(硫黄化合物)
装置:7890A(Agilent社製)、5975C(Agilent社製)
カラム: UA5(MS/HT)−30M−0.25F(30m×0.25mmID)、df=0.25μm
キャリアガス:ヘリウム、初期流量1.0mL/min
注入口温度:200℃
昇温条件:40℃(3分)−(20℃/分)−250℃(5分)
ヘッドスペース加熱条件:60℃(15分)
実施例1
にんにく(品種名:福地ホワイト)1kgの芯を除去した後、約2〜3cmの鱗片に分け、マイクロ波加熱装置にて加熱処理(周波数:2.45GHz、出力:2000W、照射時間:2分間)を施し、内在する酵素を失活させた。その後、純水1Lを添加して石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕し、ニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、5規定の水酸化ナトリウム水溶液をpH8なるように添加して撹拌した後、35℃に保温して48時間反応させた。反応終了後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は1.35g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.003g/100gであった。また、にんにく特有の臭気成分である各種硫黄化合物の含有量の合計は表1の通り、検出限界(0.1ppb)以下であった。
比較例1
加熱温度を35℃ではなく、10℃にした以外は、実施例1と同様の操作にて粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.005g/100gであり、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.003g/100gであった。また、にんにく特有の臭気成分である各種硫黄化合物の含有量の合計は表1の通り、検出限界(0.1ppb)以下であった。
実施例2
加熱温度を35℃で16時間、その後80℃で10時間反応させた以外は、実施例1と同様の操作にて粉末を得た。その粉末中のS−アリルシステイン含有量は1.40g/100gであり、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.003g/100gであった。また、にんにく特有の臭気成分である各種硫黄化合物の含有量の合計は表1の通り、検出限界(0.1ppb)以下であった。
比較例2
にんにく(品種名:福地ホワイト)1kgを生のまま、55℃の恒温器の中に入れて、温蔵処理を実施した。その後、取り出したにんにくの皮を除去して凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.32g/100gであり、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.003g/100gであった。また、にんにく特有の臭気成分である各種硫黄化合物の含有量の合計は表1の通り、5.3ppbであった。
実施例3
にんにく(品種名:福地ホワイト)1kgの芯を除去して、鱗片に分け、熱水1L中で加熱処理(温度:80℃、時間:8分)し、内在する酵素を失活させた。その後、そのまま石臼式粉砕機(増幸産業製、商品名:スーパーマスコロイダー)にて摩砕してニンニクペーストを得た。そのペーストに対して、1gのグルタミナーゼ((天野エンザイム製、商品名:グルタミナーゼSD−C100S)を添加して撹拌した後、60℃に保温して3時間反応させた。反応終了後、80℃に温度を上げて、添加した酵素を失活させた後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−プロペニルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は0.55g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.50g/100gであった。また、にんにく特有の臭気成分である各種硫黄化合物の含有量は表1に示す通り、検出限界(0.1ppb)以下であった。
実施例4
にんにく(品種名:福地ホワイト)100gの芯を除去した後、約2〜3cmの鱗片に分け、純水100mLの沸騰水中で5分間加熱し、内在する酵素を失活させた。その後、NPaクラッシャー(タイプ:NR−08、NPaシステム株式会社)にてそのまま摩砕し、にんにくペーストを得た。そのペーストに対して、L−システイン(和光純薬工業株式会社)10gを混合して70℃に保温して48時間反応させた。反応終了後、そのまま凍結乾燥・粉砕して粉末を得た。粉末中のS−アリルシステインの含有量は1.37g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.003g/100gであった。また、にんにく特有の臭気成分である各種硫黄化合物の含有量は表1に示す通り、検出限界(0.1ppb)以下であった。
実施例5
実施例2で得られた反応後粉末100gに水を500ml添加し、1時間撹拌した後に吸引ろ過を行った。得られた抽出液にエタノールを等倍容量添加してよく撹拌し、沈殿を吸引ろ過により除去した。得られたろ液を、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、にんにくエキス濃縮物40.7gを得た。濃縮物中のS−プロペニルシステインの含有量をHPLCで分析したところ、S−アリルシステイン含有量は3.05g/100g、S−1−プロペニルシステイン含有量は0.006g/100gであった。また、にんにく特有の臭気成分である各種硫黄化合物の含有量は表1に示す通り、検出限界(0.1ppb)以下であった。
表1に示すように、にんにくを加熱処理した実施例1、2及び5、酵素を作用させた実施例3、システインを添加した実施例4においては、処理物中のS−プロペニルシステイン量が高く、臭気成分である硫黄化合物の含有量が1ppb以下であったため、にんにく特有のにおいが非常に少なかった。一方、比較例1においては加熱処理を施さないにんにくを用いたため、S−プロペニルシステインの生成がほとんどなく、比較例2においては従来の製造方法を使用したため、S−プロペニルシステインの生成は観察されるものの、硫黄化合物の含有量が1ppbを大きく超えるものであった。

Claims (1)

  1. 加工にんにく100gあたりに含まれるS−プロペニルシステインの含有量が0.01g以上であって、ジメチルスルフィド、アリルメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、2−プロペニルチオアセトニトリル、アリルメルカプタン、アリルメチルジスルフィドの総含有量が1ppb以下であることを特徴とする加工にんにく。
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