JP2015143322A - 制振性材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクリルゴムに対して配合される扁平粒子からなる制振フィラーの配合量を従来品以上に増大させることが可能で、耐熱性を従来品以上に向上させることが可能な制振性材料を提供すること。
【解決手段】本発明の制振性材料は、アクリルゴム100重量部に対し、外比で、重量平均粒子径1−200μm、平均アスペクト比10−100の扁平粒子からなる制振フィラー200−600重量部と、脂肪酸アミド2−25重量部とが配合された組成物を主成分として含む。前記アクリルゴムは、カルボキシ基含有アクリルゴムであると好ましい。前記扁平粒子は、マイカ粒子であると好ましい。前記脂肪酸アミドは、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、エルカ酸アミド、及びモンタン酸アミドの中から選ばれるいずれか一種、又は二種以上の混合物であると好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、制振性材料に関する。
粘弾性特性を有するポリマー材料中に、扁平粒子が所定密度で含まれる制振性材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の技術において、ポリマー材料の一例としては、アクリルゴムが挙げられている。また、扁平粒子(特許文献1でいう鱗片状フィラー。)の一例としては、マイカ粒子(特許文献1でいうマイカフレーク。)が挙げられている。
国際公開第2002/053647号
しかしながら、アクリルゴムに対して扁平粒子(例えば、マイカ粒子。)を配合する際、その配合量がある程度以上にまで増大すると、混練及び成形加工が困難になる場合がある。そのため、そのような状況となった場合には、より高い制振性を得たいとしても、扁平粒子の配合量を更に増大させることはできなかった。
また、扁平粒子の配合量を混練及び成形加工ができる範囲内で調製しても、十分に満足な耐熱性を確保できない場合がある。例を挙げれば、例えば、自動車のエンジンルームでの使用を想定する場合、150℃程度の環境で使用しても所期の制振性を維持できることが求められる場合がある。しかし、扁平粒子の配合量によっては、150℃で24時間程度の耐熱試験を行った際に制振性材料が硬化あるいは脆化するなどして機械的強度が低下し、例えば外力を受けたときに割れが生じやすくなるなど、所期の制振性を維持することができなくなることがあった。
以上のような事情から、アクリルゴムに対して配合される扁平粒子からなる制振フィラーの配合量を従来品以上に増大させることが可能で、耐熱性を従来品以上に向上させることが可能な制振性材料を提供することが望ましい。
以下に説明する制振性材料は、アクリルゴム100重量部に対し、外比で、重量平均粒子径1−200μm、平均アスペクト比10−100の扁平粒子からなる制振フィラー200−600重量部と、脂肪酸アミド2−25重量部と、架橋剤0.01−15重量部と、架橋助剤0.1−20重量部とが配合された組成物を主成分として含む。
この制振性材料において、原料となるアクリルゴムとしては、架橋性基としてエポキシ基を含有するアクリルゴム(以下、単に「エポキシ基含有アクリルゴム」とも称する。)、架橋性基としてカルボキシ基を含有するアクリルゴム(以下、単に「カルボキシ基含有アクリルゴム」とも称する。)などを利用することができ、その中でもカルボキシ基含有アクリルゴムであると好ましい。
エポキシ基含有アクリルゴムの場合は、アルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、及びアルコキシアルキルメタクリレートの中から選ばれる少なくとも一種の単量体と、架橋性基としてエポキシ基を有する単量体との重合体を用いるとよい。
カルボキシ基含有アクリルゴムの場合は、アルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、及びアルコキシアルキルメタクリレートの中から選ばれる少なくとも一種の単量体と、架橋性基としてカルボキシ基を有する単量体との重合体を用いるとよい。
アルキルアクリレートとしては、アルキル基の炭素数1−8(好ましくは炭素数1−4、より好ましくは炭素数1−2、特に好ましくは炭素数2)のアルキルアクリレートを用いることができる。いくつか例を挙げれば、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレートなどを用いることができる。
アルコキシアルキルアクリレートとしては、アルコキシ基の炭素数1−4、アルキレン基の炭素数1−4のアルコキシアルキルアクリレートを用いることができる。いくつか例を挙げれば、例えば、メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、ブトキシエチルアクリレートなどを用いることができる。これらの中でも、メトキシメチルアクリレート及びメトキシエチルアクリレートが好ましい。
アルキルメタクリレートとしては、アルキル基の炭素数1−8(好ましくは炭素数1−4、より好ましくは炭素数1−2、特に好ましくは炭素数2)のアルキルメタクリレートを用いることができ、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレートなどを用いることができる。
アルコキシアルキルメタクリレートとしては、アルコキシ基の炭素数1−4、アルキレン基の炭素数1−4のアルコキシアルキルメタクリレートを用いることができる。いくつか例を挙げれば、例えば、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレートなどを用いることができる。これらの中でも、メトキシメチルメタクリレート及びメトキシエチルメタクリレートが好ましい。
これらアルキルアクリレート、アルコキシアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、及びアルコキシアルキルメタクリレートは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
架橋性基としてエポキシ基を有する単量体としては、例えば、不飽和グリシジルエステル(例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステル、p−スチレンカルボン酸グリシジルエステル等)、不飽和グリシジルエーテル(例えば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル等)などを用いることができる。これらの中でも、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが好ましい。これらエポキシ系の架橋点となる単量体は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
架橋性基としてカルボキシ基を有する単量体としては、例えば、マレイン酸又はフマル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル等のモノアルキルエステル、イタコン酸又はシトラコン酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル等のモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有不飽和化合物などが挙げられる。好ましくはマレイン酸モノn−ブチルエステル、フマル酸モノエチルエステル、フマル酸モノn−ブチルエステルが用いられる。これら以外にも、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸も用いられる。これらエポキシ系の架橋点となる単量体は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。
これら架橋性基を有する単量体は、アクリルゴム中において約0.5−10重量部、好ましくは約1−7重量部を占めるような共重合割合で用いられる。
また、架橋剤としては、架橋性基に応じて、架橋性基間を架橋可能な物質が用いられる。架橋性基がエポキシ基である場合、架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、及び2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタンの中から選ばれる少なくとも一種を用いるとよい。これらの中でも、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンであると好ましい。
架橋性基がカルボキシ基である場合、架橋剤としては、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンなどを用いることができる。これらの中でも、脂肪族ジアミンが好ましく、例えばヘキサメチレンジアミンカーバメートを用いると好ましい。芳香族ジアミンとしては、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、メチレンジアニリン等が用いられる。
これらの架橋剤は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。架橋剤の配合量は、アクリルゴム100重量部に対し、0.01−15重量部とされる。より詳しくは、架橋性基がエポキシ基である場合、架橋剤の配合量は0.01−15重量部とされると好適であり、架橋性基がカルボキシ基である場合、架橋剤の配合量は0.1−5重量部とされると好適である。架橋剤の配合量が上述の各下限値を下回ると、十分な架橋がなされず、最終的に得られる制振性材料の物理的強度の低下を招くなどの問題が生じることがある。また、架橋剤の配合量が上述の各上限値を上回ると、過剰な架橋がなされ、最終的に得られる制振性材料の硬さが硬くなりすぎる等の問題を生じることがある。
架橋助剤としては、架橋性基及び架橋剤に応じて、架橋時の架橋効率を向上可能な成分が配合される。例えば、架橋性基がエポキシ基である場合、架橋助剤としては、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、キノンジオキシム、トリアリルシアヌレート、エチレンジメタアクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどが用いられる。架橋性基がカルボキシ基である場合、架橋助剤としては、グアニジン又はその置換体、例えばアミノグアニジン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、n−ドデシルグアニジン、メチロールグアニジン、ジメチロールグアニジン、1−フェニルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、1−ベンジル−2,3−ジメチルグアニジン、シアノグアニジンなどが用いられ、この他1,6−グアニジノヘキサン、グアニル尿素、ビグアニド、1−o−トリルビグアニド等も用いられる。
また、この制振性材料において、制振フィラーとしては、重量平均粒子径1−200μm、平均アスペクト比(平均粒子径/平均粒子厚)10−100の扁平粒子が用いられる。重量平均粒子径や平均アスペクト比が上記数値範囲の下限値を下回ると、十分な制振性が発現しなくなる傾向がある。また、重量平均粒子径や平均アスペクト比が上記数値範囲の上限値を上回ると、加工性が悪くなったり、十分な機械的強度が得られなくなったりするなど、制振性材料の物性を損ねる傾向がある。
制振フィラーの配合量は、アクリルゴム100重量部に対する外比で200−600重量部、好ましくは250−400重量部とされる。制振フィラーの配合量は200重量部を下回ると十分な制振性を確保することが難しくなる傾向があるが、200重量部以上であれば十分な制振性を確保することができ、更に250重量部以上であれば極めて優れた制振性が発現する。また、制振フィラーの配合量は600重量部を超えると柔軟性、離型性、又は耐熱性などが低下する傾向があるが、600重量部以下であれば柔軟性、離型性、及び耐熱性が改善され、用途次第では十分に実用可能となり、更に400重量部以下であれば柔軟性、離型性、及び耐熱性においても優れた特性を発揮する。
制振フィラーを構成する物質としては、鉄、銅、アルミニウム、あるいはそれらいずれかを含む合金などの金属類、マイカ、タルク、ガラスなどの無機材料類、又は黒鉛などを挙げることができ、これらいずれかの物質からなる扁平な形状の粒子が用いられる。これらの中でも、優れた制振性及び耐熱性を発現させる観点からは、マイカ粒子を用いることが好ましい。
また、この制振性材料においては、アクリルゴム100重量部に対する外比で、2−25重量部の脂肪酸アミドを配合することが重要である。脂肪酸アミドは、アクリルゴム中における制振フィラーの分散性を改善するために配合される成分である。一般に、この種のフィラーを樹脂材料中に分散させる際には、分散性を高めるために各種分散剤(例えばパラフィンワックスなど)が配合されることがある。しかし、上述のような制振フィラーをアクリルゴム中に多量に配合しようとする場合、一般的な樹脂用分散剤では、制振フィラーをアクリルゴム中に適切に分散させることは難しく、所期の特性を有する制振性材料を得ることができない。このような背景のもと、本件発明者らは様々な物質を対象に試行錯誤を重ね、脂肪酸アミドを配合した場合にのみ、上述のような制振フィラーをアクリルゴム中に配合する場合であっても、特異的に制振フィラーの配合量を高めることができることを見いだした。すなわち、この制振性材料においては、上述のようなアクリルゴム、制振フィラー、脂肪酸アミドの三成分全てが共存することで、制振フィラーの配合量を格段に高めて、優れた制振性及び耐熱性を発現させている。
脂肪酸アミドの例としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、エルカ酸アミド、及びモンタン酸アミドなどを挙げることができる。これらの脂肪酸アミドは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよいが、これらの中でも、オレイン酸アミドが好ましい。
脂肪酸アミドの配合量は、アクリルゴム100重量部に対する外比で、2−25重量部、好ましくは3−10重量部とされる。ただし、脂肪酸アミドの配合量は、制振フィラーの配合量に応じて増減され、制振フィラーの配合量が多くなるほど脂肪酸アミドの配合量も多くなるように調製される。脂肪酸アミドの配合量が2重量部を下回ると、十分な量の制振フィラーを適切に分散させることが難しくなる傾向がある。また、アクリルゴム100重量部に対する外比で600重量部の脂肪酸アミドを配合する場合、脂肪酸アミドの配合量を25重量部程度とすれば制振フィラーを適切に分散させることができる。よって、それ以上の脂肪酸アミドを配合する必要はない。制振フィラーの配合量を250−400重量部程度に調製する場合は、脂肪酸アミドの配合量を3−10重量部程度に調製すると好適である。
なお、以上説明した制振性材料は、上記のような主成分を含有することが必須であるが、目標とする各種物性(制振性、耐熱性、硬さ、圧縮特性など。)が損なわれない範囲であれば、上記主成分以外の成分が含まれていてもかまわない。主成分以外の成分としては、例えば、老化防止剤、強度を向上させるためのカーボンブラック、離型性向上のための加工助剤、減衰性を向上させるための粘着付与樹脂(石油樹脂(例えば、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系(水素添加系、ジシクロペンタジエン(DCPD)系)石油樹脂、及びスチレン系(スチレン系、置換スチレン系)石油樹脂)、ロジン樹脂、テルペン樹脂、石炭樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂など)、防錆剤、可塑剤などを挙げることができ、その他、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、耐油性向上剤、発泡剤、酸化防止剤、腐食防止剤などが添加されていてもよい。
以上説明した制振性材料を構成する各成分のうち、アクリルゴムは、上述した数種の単量体を常法に従って共重合させることにより製造できる。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、バルク重合法、溶液重合法(工業的に好ましくは乳化重合法)などにより、ラジカル重合開始剤の存在下、−100−200℃(好ましくは0−60℃)程度の温度条件で、上記の単量体混合物を共重合させ、所定の重合転化率に達したところで反応停止剤を添加して重合反応を停止させ、得られたラテックスから未反応単量体を水蒸気蒸留などにより除去し、この系に老化防止剤を添加した後、金属塩水溶液(例えば硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム)と接触させて凝固させ、得られた凝固物を乾燥処理することにより、アクリルゴムを得ることができる。こうして得られるアクリルゴムと、他の成分(制振フィラー、脂肪酸アミド、及び主成分以外の成分)は、一般的なゴム混練装置(例えば、ロール式混練機、密閉式混練機)に投入されて均一に混練される。
以上のように構成される制振性材料によれば、アクリルゴムに対して扁平粒子からなる制振フィラーを配合した構成であるにもかかわらず、従来品以上に制振フィラーの配合量を増大させることができ、その制振性を極めて高くすることができる。また、この制振性材料は、十分に高い耐熱性を有する制振性材料となり、150℃程度の環境で使用しても所期の制振性を維持することができる。したがって、例えば、自動車のエンジンルームのような高温環境でも十分に使用することができ、その場合でも、制振性材料の硬化や脆化を招きにくく、例えば外力を受けたような場合でも割れなどが生じにくくなり、所期の制振性を維持することができる。
また、以上説明した制振性材料は、さらに、比重4.0以上の遮音フィラーが、前記アクリルゴム100重量部に対し、外比で、400−800重量部、好ましくは600−800重量部配合されていてもよい。
遮音フィラーは、比重4.0以上であれば所期の遮音性を確保可能であるが、より比重が大きい遮音フィラーを用いる方が遮音性を高めることができる。そのような高比重フィラーの例としては、例えば、ステンレス鋼粉末、高速度鋼粉末、タングステン粉末などを挙げることができる。これらの中でも、ステンレス鋼粉末は、容易に入手可能なので、制振性材料を工業的に生産する上で好適な遮音フィラーである。遮音フィラーの粒子径は、適切に配合することができれば特に限定されないが、一例としては、例えば、制振フィラーと同程度(重量平均粒子径1−200μm)にし得る。
このように構成された制振性材料によれば、上述した通りの優れた制振性及び耐熱性に加えて、優れた遮音性をも備えた材料となる。したがって、上記制振性材料により、固体の振動を減衰させると同時に、振動する固体が発生源となっている騒音を低減することもでき、振動及び騒音の双方に対する対策を行うことができる。
図1は制振性評価試験の試験装置を示す説明図である。 図2は伝達関数の一例を示すグラフである。 図3は固有振動モードのモデルを示す説明図である。 図4は倍率−周波数の振動伝達特性の例を示すグラフである。 図5は半値幅法によるf1,f2の算出方法を説明するための説明図である。 図6は損失係数―温度特性を示すグラフである。 図7は騒音測定評価のための試験装置を示す説明図である。 図8は遮音性評価のための試験装置を示す説明図である。
次に、上述の制振性材料について、例を挙げて説明する。
(1)第一実施形態
〔1.1〕制振性材料の製造例
下記表1に示すような配合比で、表1中の各成分を配合して、試料1−試料12を作製した。表1中、アクリルゴムは、脂肪族ジアミン架橋タイプカルボキシ基含有アクリルゴム(製品名:ノックスタイトPA−522HF、ユニマテック株式会社製)、架橋剤は、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(製品名:ケミノックスAC6、ユニマテック株式会社製)、架橋助剤は、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(製品名:ノクセラーDT、大内新興化学工業株式会社製)、制振フィラーは、マイカパウダー(製品名:YM−21S(平均粒子径23μm、アスペクト比分布6−454、平均アスペクト比70)、株式会社ヤマグチマイカ製)、脂肪酸アミドは、オレイン酸アミド(製品名:アーモスリップCPパウダー、ライオン・アクゾ株式会社製)である。
本実施形態における製造手順としては、まず、二本ロール混練機を使用して、アクリルゴムを素練りした。そこへ脂肪酸アミドを添加して混練した。続いて制振フィラーを添加して混練した。更に架橋剤及び架橋助剤を添加して混練した。その後、得られた混練組成物を加熱プレス機へ導入し、165℃で10分間加熱して架橋させ、厚さ1mmのシート状に成形して、試料1−12を得た。なお、上記架橋後に、更に物性を向上させるために2次架橋(例えば175℃×4時間など。)を実施してもよい。このような2次架橋を実施すれば、機械的な特性や耐熱性を更に向上させることも可能である。
〔1.2〕性能評価
上記試料1−12に対し、以下のような手法で、柔軟性評価、減衰性評価、耐熱性評価、及び離型性評価を行った。
(A)柔軟性評価
厚さ1mmの試料を直径6mmの金属棒の曲面を用いて90°折り曲げ、割れない場合は○、割れる場合は×、白化する場合は△とした。
(B)減衰性評価
厚さ1mmの試料を、SUS304製 片持ち梁(長さ160×厚さ0.4×幅12.6mm)の上面に、アクリル系粘着剤を使用した両面テープで貼り付けたのち、自由端側の端部を初期の位置から30mm下げた状態で手を離し振動させたときに目視で1秒以内に振動が収まれば○、5秒以内に振動が収まれば△、それ以上の時間を要したときは×とした。
(C)耐熱性評価
長さ30×幅10×厚さ1mmの試料を150℃の環境下に24時間放置したあとに、直径6mmの金属棒の曲面を用いて90°折り曲げ、割れない場合は○、割れる場合は×、白化する場合は△とした。
(D)離型性評価
材料練り込み加工時において、二本ロールから剥がれる場合は○、剥がれにくい場合は△、剥がれない場合は×とした。
各試料の評価結果を、下記表1中に併記する。
以上の評価結果から、試料5−試料9については、上述の評価項目(柔軟性評価、減衰性評価、耐熱性評価、及び離型性評価)全てが○となり、評価対象となった各特性に優れた制振性材料であることがわかる。試料4については、やや減衰性が低くなるものの、用途次第では十分に実用に耐えるものであった。試料10,11については、柔軟性がやや低下し、離型性もやや低下する。ただし、この点も用途によっては問題視する必要がない。試料10,11ともに、減衰性については優れているので、制振材としては十分に実用可能なものであった。
特に、アクリルゴム100重量部に対し、200−600重量部といった大量の制振フィラーを配合することは必ずしも容易なことではなく、最終的に得られる制振性材料の柔軟性や離型性を低下させる原因となる。しかし、上記試料4−11は、いずれも200−600重量部といった大量の制振フィラーが配合されている。これは、脂肪酸アミドを配合したことによる効果である。
〔1.3〕脂肪酸アミド、及び他の樹脂用分散剤についての検証
次に、脂肪酸アミドを配合することによる効果を検証するため、脂肪酸アミド及び他の樹脂用分散剤を用いて、下記表2に示すような配合比で、表2中の各成分を配合して、試料13−試料19を作製した。表2中、分散剤Aは、市販の樹脂用分散剤(製品名:チラバゾールH−818、太陽化学株式会社製)、分散剤Bは、市販の樹脂用分散剤(製品名:チラバゾールD−818M、太陽化学株式会社製)、分散剤Cは、市販の樹脂用分散剤(製品名:チラバゾールH−40、太陽化学株式会社製)、分散剤Dは、市販の樹脂用分散剤(製品名:チラバゾールP−4、太陽化学株式会社製)、分散剤Eは、市販の樹脂用分散剤(製品名:SOLPLUS DP310、日本ルーブリゾール製)、脂肪酸アミドは、オレイン酸アミド(製品名:アーモスリップCPパウダー、ライオン・アクゾ株式会社製)である。
これらの試料13−試料19について加工性を評価した。加工性は、アクリルゴムに他の成分を添加して二本ロールによる材料の練り込み加工を実施した際に、材料が離型しやすく加工ができた場合は○、材料の分散性が悪く二本ロールに材料が付着する等、適切な加工ができない場合は×とした。各試料の評価結果を、下記表2中に併記する。
以上の評価結果のうち、試料13と試料19とを対比すれば明らかなように、脂肪酸アミドを配合するか否かによって加工性に大きな違いが現れることがわかる。また、試料14−試料18を見れば明らかなように、様々な市販の樹脂用分散剤を添加しても、100重量部のアクリルゴムに対して250重量部もの制振フィラーを配合することは容易ではない。したがって、このことから、脂肪酸アミドを配合した場合にのみ、特異的にアクリルゴムに対して多量の制振フィラーを配合可能となることがわかる。
〔1.4〕制振性評価
次に、制振性を評価するため、下記表3に示すような配合比で、表3中の各成分を配合して、試料20−試料22を作製した。表3中、アクリルゴムAは、脂肪族ジアミン架橋タイプカルボキシ基含有アクリルゴム(製品名:ノックスタイトPA−522HF、ユニマテック株式会社製)、アクリルゴムBは、エポキシ基含有アクリルゴム(製品名:ノックスタイトPA−312、ユニマテック株式会社製)、架橋剤Aは、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(製品名:ケミノックスAC6、ユニマテック株式会社製)、架橋剤Bは、α,α’−ジ(t−ブチルペロキシ)ジイソプロピルベンゼン(製品名:ペロキシモンF−40、日油株式会社製)、架橋助剤Aは、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(製品名:ノクセラーDT、大内新興化学工業株式会社製)、架橋助剤Bは、m−フェニレンジマレイミド(製品名:バルノック PM、大内新興化学工業株式会社製)、制振フィラーは、マイカパウダー(製品名:YM−21S(平均粒子径23μm、アスペクト比分布6−454、平均アスペクト比70)、株式会社ヤマグチマイカ製)、脂肪酸アミドは、オレイン酸アミド(製品名:アーモスリップCPパウダー、ライオン・アクゾ株式会社製)である。
これらの試料20−試料22について、図1に示すような試験装置を用いて試験を行い、制振性を評価した。図1に示す試験装置は、恒温槽1内に配置して用いられる装置である。図1における左右方向に伸びる基材2に制振用組成物3を貼り付けて試験片4が構成されている。その試験片4の左端側を、加振器5の試験片固定部6にて固定してある。試験片4の右端は開放されている。
加振器5は、解析装置から出力される電気信号に基づいて試験片4を加振する。その際の振動加速度は解析装置に出力される。また、試験片4には加速度検出器7が取り付けられている。加振器5にて加振された試験片4の振動加速度は加速度検出器7に検出されて解析装置に出力される。
加振器5が試験片4を加振する加速度をa0とし、加速度検出器7にて検出される試験片4の加速度をaとすると、伝達率τは、τ=a/a0で表すことができる。伝達関数の一例を図2に示す。また、各n次の固有振動モードのモデル図を図3に示す。振動伝達率τを下記の数式1を用いて倍率(対数)に変換し、縦軸に倍率、横軸に周波数をとった周波数応答関数が、その試験片4の振動加速度に対する周波数特性となる(図4参照。)。
[数式1]
倍率[dB]=20log10τ
次に、損失係数ηを求める。損失係数の算出方法は半値幅法で、図4の周波数応答関数のグラフの各固有振動モードの共振倍率から3dB小さい点の周波数(f1,f2:図5参照。)を利用して下記数式2を用いて算出する。損失係数ηは、制振用組成物の制振性能の評価指標の一つであり、損失係数が大きいほど制振性が優れている。
[数式2]
損失係数η=(f2−f1)/f0
なお、1次の固有振動モードで得られた損失係数については、試験片固定部6による影響を受けているため、そのデータは採用しない。本制振性評価試験の試験条件としては、温度条件を−30,0,20,40,85,125℃の各温度に設定し、周波数条件を5−1000Hzまで変化させて試験を行い、2次モードにおける損失係数―温度特性で評価した。試験結果を表4に示す。また、損失係数―温度特性のグラフを図6に示す。
表4及び図6に示すように、試料21,22は、双方とも−30℃から125℃までのいずれの温度領域においても高い損失係数を示した。このことから、試料21,22は、温度変化の影響による弾性率、減衰率等の変化が少ないことが分かる。また、試料21,22の損失係数は、双方とも−30℃から125℃までのいずれの温度領域においても、試料20よりも高い値を示している。このことから、損失係数を高めるには、制振フィラーの配合率を高めることが重要であることがわかる。
ただし、試料20の場合は、脂肪酸アミドの配合量が1.5重量部となっており、他の試料21,22よりも脂肪酸アミドの配合量が少ないため、制振フィラーの配合率を更に高めた上で、制振フィラーを適切に練り込むことは容易ではない。この点、試料21,22の場合は、試料20よりも脂肪酸アミドの配合量を増大させてあるため、300重量部、400重量部といった高い配合率で制振フィラーを配合することができ、制振性及び耐熱性の双方に優れた制振性材料となる。
(2)第二実施形態
〔2.1〕制振性材料の製造例
下記表5に示すような配合比で、表5中の各成分を配合して、試料23−試料27を作製した。表5中、アクリルゴムは、脂肪族ジアミン架橋タイプカルボキシ基含有アクリルゴム(製品名:ノックスタイトPA−522HF、ユニマテック株式会社製)、架橋剤は、ヘキサメチレンジアミンカーバメート(製品名:ケミノックスAC6、ユニマテック株式会社製)、架橋助剤は、1,3−ジ−o−トリルグアニジン(製品名:ノクセラーDT、大内新興化学工業株式会社製)、制振フィラーは、マイカパウダー(製品名:YM−21S(平均粒子径23μm、アスペクト比分布6−454、平均アスペクト比70)、株式会社ヤマグチマイカ製)、遮音フィラーは、ステンレス鋼粉末(MIM粉末、HK−30、平均粒度D50:10.0±1.0μm、エプソンアトミックス株式会社製)、脂肪酸アミドは、オレイン酸アミド(製品名:アーモスリップCPパウダー、ライオン・アクゾ株式会社製)である。また、本実施形態では、表5に示した通り、カーボンブラック(製品名:旭#35、旭カーボン株式会社製)、及び老化防止剤(製品名:ノクラックCD、大内新興化学工業株式会社製)を配合した。
本実施形態における製造手順としては、まず、二本ロール混練機を使用して、アクリルゴムを素練りした。そこへ脂肪酸アミドを添加して混練した。以降は、制振フィラー、遮音フィラー、カーボンブラック、老化防止剤を、この順序で添加して混練を続けた。更に架橋剤及び架橋助剤を添加して混練した。その後、得られた混練組成物を加熱プレス機へ導入し、165℃で10分間加熱して架橋させた。その後、50tプレス機にて1分冷却し、厚さ1mmのシート状に成形して、試料23−27を得た。
〔2.2〕性能評価
上記試料23−27に対し、上述の第一実施形態と同様の手法で、柔軟性評価、制振性評価、耐熱性評価、及び離型性評価を行った。また、第二実施形態では、さらに、以下のような手法で、騒音測定評価、及び遮音性評価を行った。
(E)騒音測定評価
騒音源として、図7に示すような試験装置10を利用して、騒音測定評価を実施した。試験装置10は、樹脂製のユニット本体11(寸法:200×100×50mm、総重量:1kg)と、ユニット本体11に対して取り付けられたメカニカルリレー12(寸法:40×50×30mm)などを備える。ユニット本体11は、複数のボルト13によって板金14(寸法:400×200×1mm)に対して固定されている。ユニット本体11の一側面には、コネクタ15を介して信号線16が接続されている。
信号線16には、直流定電圧定電流電源(品番:PMC18−3、菊水電子工業株式会社製)を接続して、メカニカルリレー12に対して12Vの電圧を印加可能に構成した。これにより、メカニカルリレー12に対して12Vの電圧が印加される状態と、電圧が印加されない状態とを交互に切り替えて、メカニカルリレー12からリレー音を発生させた。メカニカルリレー12からリレー音を発生させた際には、メカニカルリレー12そのものから直接騒音が発生する他、メカニカルリレー12からの振動がユニット本体11や板金14にまで伝わることで、ユニット本体11や板金14からも騒音が発生する。特に、板金14は、他箇所に比べて相対的に大きな騒音が発生する傾向がある。
そこで、この騒音を抑制するための対策として、上記試料23−27から、寸法50×100×1mmの部分を切り出すことによって構成された制振シート17を、ユニット本体11の底面にアクリル系粘着剤を使用した両面テープで貼り付けた。ユニット本体11の底面と板金14の上面との間には高さ約2mmの間隙があり、この間隙内に制振シート17が配置されている。
騒音測定に当たっては、厚さ30mmの緩衝材18を支持台19の上に載置して、緩衝材18の上に、試験装置10が取り付けられた板金14を載置した。メカニカルリレー12の上方50mmの位置には、騒音計20(製品名:普通騒音計NA−26、リオン株式会社製)を配置して音圧レベル(dB)を測定した。
騒音測定評価は、ブランク(制振シート17がない場合)に対し、3dB以上の低減効果があった場合は○、2dB以上の低減効果があった場合は△、2dB未満の低減効果しかなかった場合は×とした。
(F)遮音性評価
図8に示すような試験装置30を用意した。試験装置30は、軸方向に並べて配置された二つのアクリル管31,32(内径:44mm)と、一方のアクリル管31の端部に取り付けられたブザー33とを備える。他方のアクリル管32の開口端には、上述の騒音計20(製品名:普通騒音計NA−26、リオン株式会社製)が配置されている。二つのアクリル管31,32の間には、上記試料23−27から切り出された制振シート17が挟み込まれる。このように構成された試験装置30において、ブザー33を鳴動させて125.7dBの音を出し、騒音計20で音圧レベル(dB)を測定した。
遮音性評価は、ブランク(制振シート17がない場合)に対し、30dB以上の低減効果があった場合は○、30dB未満の低減効果しかなかった場合は×とした。
各試料の評価結果を、下記表5中に併記する。
以上の評価結果から、試料24−試料26については、上述の評価項目(柔軟性評価、減衰性評価、耐熱性評価、離型性評価、騒音測定評価、及び遮音性評価)全てが○となり、評価対象となった各特性に優れた制振性材料であることがわかる。試料23については、騒音測定評価、及び遮音性評価の結果が低評価となった。ただし、減衰性や耐熱性といった他の評価項目には問題がないので、高い遮音性が求められる用途以外であれば、試料23でも、制振材としては十分に実用可能なものであった。試料27については、柔軟性がやや低下し、離型性も低下する。ただし、この点も用途によっては問題視する必要がない。
〔2.3〕遮音フィラーの変更例
遮音フィラーとして、上記〔2.1〕項で説明したステンレス鋼粉末に代えて、高速度鋼粉末を配合した試料、及びタングステン粉末を配合した試料をそれぞれ作成した。各成分の配合比は、上記試料25と同じ配合比とした。これらの試料について、上記〔2.2〕項で説明した通りの性能評価を行った。その結果、上述の評価項目(柔軟性評価、減衰性評価、耐熱性評価、離型性評価、騒音測定評価、及び遮音性評価)全てが○となった。
〔2.4〕高温時離型性評価
上述の「(D)離型性評価」では、材料練り込み加工時の温度条件が約30℃であったが、その温度条件を更に高温(約70℃)に設定すると、材料が二本ロールから剥がれにくくなる傾向があった。このような傾向は、温度条件を最適に設定すれば解消ないし緩和されるので、上記試料23−27のような配合でも実用上の問題はない。ただし、約70℃程度の高温条件下でも離型性を確保したいとの要望もある。
そこで、このような要望にも応えるべく、離型剤としてステアリン酸を添加し、その添加量について検討した。具体的には、上記〔2.2〕項で良好な性能を発揮した試料25をベースにして、このベース(試料25)に対するステアリン酸の配合量を変更して試料28−試料31を作製した。評価方法は「(D)離型性評価」と同等とし、材料練り込み加工時の温度条件だけを約70℃に変更した。結果を表6に示す。
上記結果からは、試料28−試料30が高温時(約70℃)離型性に優れていることがわかる。よって、高温時(約70℃)離型性を改善したい場合は、アクリルゴム100重量部に対し、外比で、1−5重量部の離型剤(例えばステアリン酸。)が配合されていると好ましいといえる。なお、上記試料25についても、上述の「(D)離型性評価」では問題がなかったので、温度条件を適切に設定することができる場合は、上記試料25でも何ら実用上の問題はない。
(3)その他の実施形態
以上、制振性材料について、いくつかの例を挙げて説明したが、本発明は、上述の例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
例えば、上述の各例においては、脂肪酸アミドの一例として、オレイン酸アミドを例示したが、同様な特性を示す脂肪酸アミドを利用してもよい。他の脂肪酸アミドの例としては、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、エルカ酸アミド、モンタン酸アミドなどを利用しても、制振フィラーの配合量を増大させることができる。したがって、これらの脂肪酸アミドのいずれか一種、又は二種以上の混合物を配合しても、所期の制振性及び耐熱性を備えた制振性材料を得ることができる。
また、上述の各例においては、制振フィラーの一例として、マイカを例示したが、同様な特性を示す扁平粒子を利用してもよい。扁平粒子は、外部から機械的なエネルギーが加わった際に、扁平粒子とアクリルゴムの界面での摩擦、扁平粒子同士の摩擦などが発生することで、高い制振性を発揮する。したがって、マイカ以外の扁平粒子であっても、相応の制振性が発揮される。そのような扁平粒子の例としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、あるいはそれらいずれかを含む合金などの金属類、タルクやガラスなどの無機材料類、又は黒鉛などを利用してもよい。
また、上述の各例においては、特定の分子鎖を有するアクリルゴムを例示したが、同様な特性を示す他のアクリルゴムを利用してもよい。
1…恒温槽、2…基材、3…制振用組成物、4…試験片、5…加振器、6…試験片固定部、7…加速度検出器、10…試験装置、11…ユニット本体、12…メカニカルリレー、13…ボルト、14…板金、15…コネクタ、16…信号線、17…制振シート、18…緩衝材、19…支持台、20…騒音計、30…試験装置、31,32…アクリル管、33…ブザー。

Claims (8)

  1. アクリルゴム100重量部に対し、外比で、重量平均粒子径1−200μm、平均アスペクト比10−100の扁平粒子からなる制振フィラー200−600重量部と、脂肪酸アミド2−25重量部と、架橋剤0.01−15重量部と、架橋助剤0.1−20重量部とが配合された組成物を主成分として含む制振性材料。
  2. 前記アクリルゴムは、カルボキシ基含有アクリルゴムである
    請求項1に記載の制振性材料。
  3. 前記扁平粒子は、マイカ粒子である
    請求項1又は請求項2に記載の制振性材料。
  4. 前記脂肪酸アミドは、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、エルカ酸アミド、及びモンタン酸アミドの中から選ばれるいずれか一種、又は二種以上の混合物である
    請求項1−請求項3のいずれか一項に記載の制振性材料。
  5. 前記制振フィラーは、前記アクリルゴム100重量部に対し、外比で250−400重量部配合されている
    請求項1−請求項4のいずれか一項に記載の制振性材料。
  6. 前記脂肪酸アミドは、前記アクリルゴム100重量部に対し、外比で3−10重量部配合されている
    請求項1−請求項5のいずれか一項に記載の制振性材料。
  7. さらに、比重4.0以上の遮音フィラーが、前記アクリルゴム100重量部に対し、外比で、400−800重量部配合されている
    請求項1−請求項6のいずれか一項に記載の制振性材料。
  8. 前記遮音フィラーは、ステンレス鋼粉末である
    請求項7に記載の制振性材料。
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