JP2015142536A - 農作物収穫機 - Google Patents

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高木  真吾
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英明 黒瀬
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Abstract

【課題】左右の走行装置の間隔調節を容易且つ破損しないように行うことができると共に、作物から分離された茎葉部が機体上に留まらない農作物収穫機を提供する。【解決手段】茎葉部を挟持して圃場から作物を引き抜く引抜搬送装置19を設け、圃場を走行するための左右の走行装置84L,84Rを設け、左右の走行装置84L,84Rの左右間隔を調節する間隔調節機構95を設けた農作物収穫機において、間隔調節機構95を作動させる調節アクチュエータ89を伸縮自在に設け、調節アクチュエータ89の伸縮を強制的に停止させる牽制機構92rを設け、調節アクチュエータ89を伸縮させると、左右の走行装置84L,84Rに駆動力を伝動する伝動部材78Rと、左右の走行装置84L,84Rを支持する走行支持部材90が連動して伸縮する構成とする。【選択図】図2

Description

本発明は、作物が植生する畝幅に合わせて走行装置の間隔を調節し、畝に沿って走行しながら作物を引抜収穫する農作物収穫機に関するものである。
従来の農作物収穫機には、機体を走行させながら、畝幅等の作業条件に合わせて左右どちらか一方の走行輪を左右方向に摺動させ、左右の走行輪の間隔、所謂トレッドの調節機構を備えたものがある。このトレッド調節機構は、回転軸をハンドル等で回転させて走行輪を装着する走行伝動ケースを左右方向に移動させて、トレッドを拡げたり狭めたりするものである。
また、この農作物収穫機は、引き抜いた作物から除去した茎葉部を、引抜装置から排出された後、機体左右一方の走行輪が通過する畝溝に案内するものである。(特許文献1)
特開2002−125427号公報
しかしながら、特許文献1に記載された農作物収穫機のトレッド調節機構は、間隔を拡げるときや狭めるときには、機体を前進、または後進させる必要があるので、トレッド調節の度に作物の収穫作業を中断しなければならず、作業能率が低下する問題がある。
畝幅を合わせずに機体を走行させると、畝の端が崩れる等の要因により畝幅が広くなっている箇所では、左右の走行輪の上下位置に差が生じ、引抜装置が左右方向に傾斜した姿勢となり、作物を圃場から引き抜き損なう問題がある。引き抜かれなかった作物は、作業者が手作業で収穫する必要があり、作業者の労力が増大する問題がある。
一方、畝幅が狭くなる箇所では、左右の走行輪が移動する余地が大きくなるので、操作ミスにより機体の進行方向が直進方向からずれて、引抜装置が作物を掴み損ない、作物を圃場から引き抜き損なう問題がある
さらに、引抜装置から排出される茎葉部を、機体左右一方の走行輪が通過する畝溝に案内する構成としているが、茎葉部の状態や大きさなどによっては、案内途中出機体上に茎葉部が落下することがあり、茎葉部を機体から取り除く作業に要する時間と労力が増大する問題がある。
また、畝溝まで案内された茎葉部は、畝溝を走行する走行輪に接触すると絡み付くことがあり、この茎葉部を取り除く作業に要する時間と労力が増大する問題がある。
本発明は、上記の問題を解消しようとするものである。
請求項1に記載の発明は、茎葉部を挟持して圃場から作物を引き抜く引抜搬送装置(19)を設け、圃場を走行するための左右の走行装置(84L,84R)を設け、該左右の走行装置(84L,84R)の左右間隔を調節する間隔調節機構(95)を設けた農作物収穫機において、該間隔調節機構(95)を作動させる調節アクチュエータ(89)を伸縮自在に設け、該調節アクチュエータ(89)の伸縮を強制的に停止させる牽制機構(92r)を設けたことを特徴とする農作物収穫機とした。
請求項2に記載の発明は、前記左右の走行装置(84L,84R)に駆動力を伝動する伸縮自在な伝動部材(78R)を前記調節アクチュエータ(89)の前方または後方に設け、前記左右の走行装置(84L,84R)を支持する伸縮自在な走行支持部材(90)を前記調節アクチュエータ(89)の前方または後方に設け、前記調節アクチュエータ(89)を伸縮させると該伝動部材(78R)と走行支持部材(90)が連動して伸縮することを特徴とする請求項1に記載の農作物収穫機とした。
請求項3に記載の発明は、前記伝動部材(78R)と走行支持部材(90)を連結部材(91)で連結し、該連結部材(91)の下側を前記調節アクチュエータ(89)が通過する構成としたことを特徴とする請求項2に記載の農作物収穫機とした。
請求項4に記載の発明は、前記左右の走行装置(84L,84R)を各々上下動自在に設け、前記調節アクチュエータ(89)の左右一側を左右の走行装置(84L,84R)のどちらか一方と連結すると共に、調節アクチュエータ(89)の左右他側に軸部材(89a)を設けて回動自在に構成し、前記左右の走行装置(84L,84R)の上下動に合わせて前記調節アクチュエータ(89)が回動することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の農作物収穫機とした。
請求項5に記載の発明は、前記左右の走行装置(84L,84R)よりも後方に機体を操作するための操作部材(8)を設け、前記調節アクチュエータ(89)を伸縮させる作動切替装置(92)を設け、該作動切替装置(92)を切替操作する切替操作部材(94)を設け、該切替操作部材(94)を操作部材(8)側に向けて屈曲する形状としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の農作物収穫機とした。
請求項6に記載の発明は、前記操作部材(8)よりも機体前側にエンジン(2)を設け、該エンジン(2)の左右一側に外気を吸入する吸気部材(2p)を設け、該エンジン(2)の左右他側に排気を放出する排気部材を設け、前記切替操作部材(94)は、該吸気部材(2p)側に配置することを特徴とする請求項5に記載の農作物収穫機とした。
請求項7に記載の発明は、前記引抜搬送装置(19)の後下部に収穫した作物から分離された茎葉部を受ける排葉受け部材(200)を設け、該排葉受け部材(200)から機体側方に排葉を圃場面に案内する排出案内部材(201)を設け、前記左右の走行装置(84L,84R)に駆動力を支持する左右の走行伝動機構(80L,80R)を上下回動自在に設け、該排出案内部材(201)が、排出案内部材(201)を設けた側の該走行伝動機構(80L,80R)の上方及び機体外側を覆うことを特徴とする請求項1から6に記載の農作物収穫機とした。
請求項8に記載の発明は、前記引抜搬送装置(19)に、該引抜搬送装置(19)と共に茎葉部を挟持して機体側方に案内する側方案内部材(20)を設け、前記排出案内部材(201)は、該側方案内部材(20)の前後幅及び左右幅よりも幅広く構成したことを特徴とする請求項7に記載の農作物収穫機とした。
請求項9に記載の発明は、前記排出案内部材(201)と排出案内部材(201)を設けた側の該走行伝動機構(80L,80R)を、排出部材(201)を下方に付勢する付勢部材(203)で連結したことを特徴とする請求項7または8に記載の農作物収穫機とした。
請求項1に記載の発明によれば、間隔調節機構(95)を作動させ、調節アクチュエータ(89)を伸縮させて左右の走行装置(84L,84R)の左右間隔を変更することにより、走行中であれば進行方向に関係なく左右間隔を変更することができるので、左右間隔の調節の度に収穫作業を中断して機体を前進または後進させる必要が無く、作業能率が向上する。
また、畝の左右幅に合った左右の走行装置(84L,84R)の左右間隔を簡単に設定することにより、畝幅が広いときに走行装置(84L,84R)のどちらか一方が畝上を通過することを防止できるので、傾斜した姿勢で作物の引抜収穫を行う必要がなくなり、作物が圃場に抜き残されることが防止される。
さらに、畝幅が狭く、左右の走行装置(84L,84R)が直進方向以外に向かい、作物に対して引抜搬送装置(19)の引抜搬送始端部がずれることを防止できるので、作物が圃場に抜き残されることが防止され、手作業で作物を引抜収穫する作業が不要となる。
そして、調節アクチュエータ(89)の伸縮を強制的に停止させる牽制機構(92r)を設けたことにより、走行停止時に誤って間隔調節機構(95)を作動させても、牽制機構(92r)によって調節アクチュエータ(89)の伸縮が停止するので、間隔調節機構(95)が負荷で破損することが防止される。
また、調節アクチュエータ(89)が最大限、または最小限まで伸縮した際、負荷がかかると牽制機構(92r)が調節アクチュエータ(89)の伸縮を停止させることにより、調節アクチュエータ(89)の伸縮停止操作が不要となり、間隔調節機構(95)の破損が防止されると共に、操作性が向上する。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、調節アクチュエータ(89)を、調節アクチュエータ(89)と共に伸縮する伝動部材(78R)と走行支持部材(90)の前後間に設けたことにより、機体の接地に伴う負荷を分散することができるので、調節アクチュエータ(89)が歪んだり捩れたりすることがなく、間隔調節機構(95)の破損が防止される。
また、左右の走行装置(84L,84R)を調節アクチュエータ(89)と伝動部材(78R)と走行支持部材(90)で押し引きすることにより、左右の走行装置(84L,84R)が直進方向に対して機体内側、または機体外側に傾斜した姿勢となることが防止されるので、走行性や収穫作業能率の低下が防止される。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、伝動部材(78R)と走行支持部材(90)を連結部材(91)で連結したことにより、伝動部材(78R)と走行支持部材(90)の伸縮量を連動させることができるので、左右の走行装置(84L,84R)が直進方向に対して機体内側、または機体外側に傾斜した姿勢となることが防止され、走行性や収穫作業能率の低下が防止される。
また、連結部材(91)の下側を調節アクチュエータ(89)が通過する構成としたことにより、連結部材(91)が調節アクチュエータ(89)の伸縮動作の抵抗となることが無く、左右の走行装置(84L,84R)の間隔調節作業の能率が向上する。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、調節アクチュエータ(89)を左右他側の軸部材(89a)を支点として回動自在に設けたことにより、左右の走行装置(84L,84R)の上下動に合わせて調節アクチュエータ(89)が回動するので、左右の走行装置(84L,84R)の上下位置が変化しても調節アクチュエータ(89)の伸縮が規制されることがなく、畝幅に合わせた間隔を確保することができ、作業能率が向上する。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、作動切替装置(92)を切替操作する切替操作部材(94)を、操作部材(8)側に向けて屈曲する形状としたことにより、機体後部で機体の操縦を行う作業者は、移動することなく切替操作部材(94)を操作することができるので、畝幅の変化に合わせた左右の走行装置(84L,84R)の間隔調節操作が能率よく行える。
請求項6に記載の発明によれば、請求項5に記載の発明の効果に加えて、切替操作部材(94)を、エンジン(2)の吸気部材(2p)側に設けたことにより、排気部材からの排気により高温化しやすい場所に作業者が近付くことを防止できるので、作業者が高温に晒されることがなく、作業者の労力が軽減される。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、引抜搬送装置(19)の後下部に排葉受け部材(200)を設けたことにより、茎葉部が機体の各部に絡み付くことを防止できるので、茎葉部を取り除く作業に要する時間と労力が軽減される。
また、排葉受け部材(200)から茎葉部を排出案内する排出案内部材(201)で、排出案内部材(201)を設けた側の走行伝動機構(80L,80R)の上方及び機体外側を覆うことにより、走行伝動機構(80L,80R)に茎葉部が乗ることを防止できるので、茎葉部が地面に案内され、機体に絡みつくことが防止される。
請求項8に記載の発明によれば、請求項7に記載の発明の効果に加えて、引抜搬送装置(19)と共に茎葉部を挟持して機体側方に案内する側方案内部材(20)を設けたことにより、引抜搬送装置(19)を利用して茎葉部を機体側方まで搬送することができるので、排葉受け部材(200)上に茎葉部が留まることが防止され、作業者が茎葉部を排葉案内部材(201)に移動させる作業が不要となる。
また、排出案内部材(201)を、側方案内部材(20)の前後幅及び左右幅よりも幅広く構成したことにより、側方案内部材(20)のどの位置から茎葉部が落下しても、この茎葉部を排出案内部材(201)で受けて機体側方に案内することができるので、茎葉部が機体の各部に絡み付くことが防止され、茎葉部を取り除く作業に要する時間と労力が軽減される。
請求項9に記載の発明によれば、請求項7または8に記載の発明の効果に加えて、排出案内部材(201)と排出案内部材(201)を設けた側の走行伝動機構(80L,80R)を、排出部材(201)を下方に付勢する付勢部材(203)で連結したことにより、排出案内部材(201)が常に張り状態とすることができるので、茎葉部が排出案内部材(201)上に留まることが防止され、作業者が茎葉部を取り除く作業が不要となる。
玉葱収穫機の右側面図 玉葱収穫機の平面図 トレッド調節機構を示す要部平面図 玉葱収穫機の要部正面図 伝動軸と摺動ガイドの連結部を示す要部側面断面図 揺動ソイラの要部側面図 揺動ソイラの要部平面図 揺動ソイラの要部正面図 玉葱収穫機の左側面図 玉葱収穫機の平面図
本発明の実施の形態について説明する。
図1から図10に示すのは、実施例の一つとして示す作物収穫機の一種である歩行型の玉葱収穫機である。本件発明では、機体の前進方向を基準として右側を左右一側、左側を左右他側と称するものとする。
図1から図3、及び図9、図10で示すとおり、機体フレーム1の後部にエンジン2とミッションケース3を内装する駆動ケース4を設け、該駆動ケース4の上部に燃料タンク5を設けるとともに、前部に分岐伝動ケース6を設ける。該エンジン2は、内装されるリコイルスタータ(図示省略)を手動で始動操作するための、始動グリップ2sを備えており、作業者が始動グリップ2sを引っ張ることでエンジン2を作動させる構成とする。
そして、該分岐伝動ケース6の前部に側面視「へ」の字形状の左右のハンドル支持フレーム7,7の基部を垂直姿勢で設け、該左右のハンドル支持フレーム7,7の屈曲部より上側を後上がり傾斜姿勢で配置し、該左右のハンドル支持フレーム7,7の後端部を平面視で「コ」の字形状のハンドル8で連結する。該ハンドル8は燃料タンク5よりも機体後方に突出させて配置し、該ハンドル8の左右両側にはサイドクラッチ機構(図示省略)を入切させるクラッチハンドル9,9を各々設ける。
さらに、図2及び図10で示すとおり、前記燃料タンク5の左右一側、即ち機体右側に、機体の前後進及び走行速度を操作する走行操作レバー10を設けるとともに、左右他側、即ち機体左側に、収穫作業に用いる、後述する引抜搬送装置19、横引起し装置 及び縦引起し装置 への駆動力の入切を切り替える作業操作レバー11を設ける。また、前記ハンドル8の左右一側にエンジン2を停止させるエンジン停止スイッチ96を設けると共に、左右他側にエンジン2の回転数を増減させるスロットルレバー97を設ける。
そして、図1及び図2で示すとおり、前記分岐伝動ケース6から前側上方に向かって左右の引抜駆動シャフト12,12を後下がり傾斜姿勢で設け、該左右の引抜駆動シャフト12,12の上端部に左右の引抜駆動プーリ13,13を各々装着する。また、前記左右の引抜駆動プーリ13,13の下部に前後方向の長辺を有する左右の引抜フレーム14,14を後上がり傾斜姿勢で各々設け、該左右の引抜フレーム14,14の前端部に左右の引抜従動プーリ15,15を各々回転自在に設ける。
さらに、該左右の引抜従動プーリ15,15と左右の引抜駆動プーリ13,13の前後間に亘って複数の左右のテンションローラ16,16…を回転自在に設け、左右の引抜従動プーリ15,15と左右の引抜駆動プーリ13,13と左右のテンションローラ16,16…に玉葱の茎葉部を挟持して圃場から引き抜く左右の引抜搬送ベルト17,17を夫々巻回する。そして、前記左右の引抜フレーム14,14の上方に左右の引抜カバー18,18を左右の引抜フレーム14,14と平行姿勢、即ち傾斜角度を略同じとする後上がり傾斜姿勢で設けることにより、引抜搬送装置19が構成される。
また、前記左右の引抜駆動シャフト12,12を被覆する左右のシャフトカバー12a,12aに、前記引抜搬送装置19の搬送終端部から排出される玉葱の茎葉部を機体の右側あるいは左側に排出案内する排葉ガイドプレート20を各々配置する。該左右の排葉ガイドプレート20,20は前記左右の引抜駆動プーリ13,13の下部で、且つ引抜搬送装置19が茎葉部を搬送しない機体外側位置、即ち非作業位置に配置する。また、左右の排葉ガイドプレート20,20は、バネ鋼材等の、弾性を有する素材で構成するものとする。
上記構成としたことにより、後述する切断回転刃49及び切断固定刃で切断した玉葱の茎葉部が引抜搬送装置19の終端部まで移動すると、茎葉部は左側または右側の引抜搬送ベルト17と排葉ガイドプレート20に挟まれた状態で、機体の左外側または右外側に排出されるので、引抜搬送装置19や機体フレーム1上に茎葉部が残ることが防止され、切断された茎葉部の除去作業が不要とになり、メンテナンス性が向上する。
なお、排葉ガイドプレート20は機体外側に突出させ、引抜搬送装置19と後述する左右の駆動輪84L,84Rの間の空間部に向かって排出される茎葉部を案内する構成とすると、排出された茎葉部が機体上に残ることが防止され、茎葉部の除去作業が不要となる。
また、図6から図8に示すとおり、前記機体フレーム1の後側の左右一側に上下方向に長い支持プレート99を設け、該支持プレート99の上部に前記分岐伝動ケース6から左右一側に延出させた出力軸6aの左右一側端部を貫通させる。そして、該支持プレート99の左右一側、即ち機体外側に揺動ソイラ29を平面視で前後方向に回動させる回動ロッド100の基部を設けると共に、該支持プレート99の左右他側、即ち機体内側に揺動ソイラ29を機体前後方向に揺動させる揺動ロッド101の基部を設ける。
なお、該揺動ロッド101は、機体左右他側にも設け、左右他側の揺動ソイラ29も同様に揺動させる構成とする。
該回動ロッド100は、前記出力軸6aを挿し込む回動偏心カム100aと、該回動偏心カム100aに取り付ける前後方向の回動軸部100bで構成すると共に、該回動軸部100bの前端部にピローボール100cを設ける。また、該揺動ロッド101は、前記出力軸6aを挿し込む揺動偏心カム101aと、機体前側の取付ボス101cの間に揺動軸部101bを設けて構成する。
そして、前記回動ロッド100の前端部に設けるピローボール100cを、上下方向のソイラ回動アーム102の上部に設ける回動プレート103に設ける。該回動プレート103は、ソイラ回動アーム102の上端部に着脱自在に、且つ装着時は回動プレート103が回動するとソイラ回動アーム102が連動して回動する構成とする。また、該回動プレート103の左右一側(機体外側)には回動連結ピン103aを設け、該回動連結ピン103aをピローボール100cに差し込んで連結する。
これにより、回動ロッド100は、出力軸6aによって回転されると、揺動偏心カム100aの偏心回転によって前後方向に往復移動し、この前後の往復移動によってピローボール100cと連結される回動プレート103が平面視で前後方向に往復回動し、回動プレート103の下部に設けられたソイラ回動アーム102を連動して前後方向に往復回動させる構成となる。
さらに、ソイラ回動アーム102の下部には、二又形状のソイラ支持アーム105を上下方向に設け、該ソイラ支持アーム105の二又部分に揺動ソイラ29の上部側を差し込み、ソイラ支持アーム105と揺動ソイラ29に各々形成した連結孔(図示省略)を合わせ、この連結孔にボルト・ナット等の固定部材29aを差し込んで揺動ソイラ29を固定する。該揺動ソイラ29は、下部側を引抜搬送域側に屈曲させて正面視でL字形状(逆L字形状)に形成し、畝の側方から土中に進入させる構成としている。
なお、前記連結孔は、ソイラ支持アーム105または揺動ソイラ29のどちらか一方、または両方に上下方向に複数形成し、組み合わせる連結孔を変更することによって、揺動ソイラ29の作業高さを変更可能に構成すると、収穫する作物の上下長さや土中の埋没深さ、あるいはマルチフィルムの有無等の条件に合った適切な高さに設定することができ、収穫対象の作物を傷付けることなく土が解せるため、作物の品質が維持されると共に、作業能率が向上する。
なお、少なくともピローボール100cと回動連結ピン103aの連結部に、保護カバー(図示省略)を設け、連結部に茎葉部や砂を噛み込むことによる回動動作の停止や、噛み込んだ砂等によりピローボール100cと回動連結ピン103aが摩り減ることを防止する。
そして、前記ソイラ回動アーム102の外周部で且つ、前記回動プレート103とソイラ支持アーム105の上下間に、中空のソイラ揺動ケース107を設ける。該ソイラ揺動ケース107の機体内側の上端部側には、前記揺動ロッド101の取付ボス101cを挿し込む揺動連結ピン106を設ける。
なお、前記ソイラ揺動ケース107が揺動ロッド101により前後方向に移動させられているときでも、前記ソイラ回動アーム102は回動ロッド100による回動プレート103の回動に連動して機体前後方向に往復回動できる構成とする。
これにより、揺動ロッド101は、出力軸6aによって回転されると、揺動偏心カム101aの偏心回転によって前後方向に往復移動し、ソイラ回動アーム102を前後方向に往復揺動させる構成となる。
上記の構成により、出力軸6aが回転すると、回動ロッド100が前後方向に往復移動され、この往復移動に伴いソイラ回動アーム102が平面視で前後方向に往復回動することにより、ソイラ支持アーム105に設けられた揺動ソイラ29を平面視で前後方向に回動させることができるので、揺動ソイラ29の基部側から端部側に亘って土を確実に掘り解すことができ、複数条の玉葱を引き抜く際に土が抵抗になることが防止され、作業能率が向上する。
特に、揺動ソイラ29の取付基部から機体内側方向に離れた位置に植生している玉葱、即ち畝の左右方向の中央寄りに植生している玉葱の周囲の土が解れやすくなるので、引抜作業能率が向上すると共に、玉葱の抜き残しが防止され、作業者が手作業で玉葱を収穫する時間と労力が軽減される。
加えて、揺動ソイラ29が左右一側のソイラ回動アーム102を支点として回動することにより、揺動ソイラ29の左右他側ほど回動量が多くなるので、土を解す前後幅が広くなり、土の掘り解しがいっそう確実に行われ、玉葱の引抜収穫作業の能率が向上する。
また、出力軸6aが回転すると、揺動ロッド101が前後方向に往復移動されることにより、揺動ソイラ29を前後方向に揺動させることができるので、土の抵抗に負けることなく畝土が解され、玉葱が引き抜き損なわれることが防止され、作業者が玉葱を掘り取る作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
さらに、揺動ロッド101による揺動ソイラ29の前後方向の揺動と、回動ロッド100による揺動ソイラ29の前後方向の回動が複合して行われることにより、複数条の玉葱の周辺の土を確実に解すことができるので、複数条の玉葱を引き抜き損なうことなく収穫することができ、作業能率が向上すると共に、作業者が抜き残された玉葱を手作業で収穫する必要が無く、時間と労力が軽減される。
なお、該揺動ソイラ29は、機体の前進に伴い畝の中に進入し、畝土を土中から解すものであり、土中に植生する玉葱に接触することを防止すべく、玉葱の下方を通過させるものである。揺動ソイラ29が玉葱の下方を通過することにより、玉葱の下部から土中に伸びている細いひげ根に揺動ソイラ29を接触させ、このひげ根を土を解す際に切断することができるので、収穫後の玉葱からひげ根を除去する作業の労力が軽減される。
しかしながら、従来の構成では、土質や玉葱の生育状態等により、土が解れにくいときには、揺動ソイラ29の取付基部から離れている畝の中央寄りに植生する玉葱の周囲では、揺動ソイラ29が殆ど前後に往復揺動していないので、土が解れにくく玉葱の引き抜き損ないが発生すると共に、ひげ根が切断されず、収穫後に多く残ったひげ根を除去しなければならず、除去作業に要する時間と労力が増加する問題がある。
玉葱のひげ根は、鱗茎下部の中央に細い根が無数に生えているものであるが、商品価値を有する可食部に近い位置に生えているので、可食部を傷付けずに切除するには精密な切断が必要となる。よって、ひげ根が多く残っているほど、除去作業に要する時間と労力が増大する傾向にある。
本願構成では、揺動ソイラ29を回動ロッド100によって平面視で前後方向に回動させる構成とし、ソイラ回動アーム102を支点として揺動ソイラ29の端部側が基部側よりも大幅に前後回動する構成としているので、揺動ソイラ29で畝の中央部寄りの土を掘り崩しながら玉葱のひげ根の除去が行えるため、収穫した玉葱からひげ根を除去する労力と時間の軽減が図られる。
また、本構成では、ソイラ回動アーム102の外周部にソイラ揺動ケース107を設け、揺動ロッド101がソイラ揺動ケース107を前後方向に往復移動させても、ソイラ回動アーム102は回動プレート103の回動に連動して回動する構成としたことにより、揺動ソイラ29の前後方向の往復揺動と前後方向の往復回動が互いの動作を妨げ、畝土の解しやひげ根の除去の能率が低下することを防止できる。
なお、前記揺動ソイラ29の作業高さは、ソイラ支持アーム105と揺動ソイラ29に各々形成した連結孔を合わせ、この連結孔にボルト・ナット等の固定部材29aを差し込んで揺動ソイラ29を固定することで調節できるが、畝の高さや玉葱の植生位置に合わせる際、大幅に上下位置を変える必要があると、上記の調節方法では対応し切れないことがある。
この問題を解消すべく、本件においては、図6及び図7で示す通り、前記機体フレーム1の後側の左右一側で且つ左右一側の駆動輪84Rよりも左右他側に、下方に向けて調節支持プレート108を設け、該調節支持プレート108に上下調節シリンダ109の後側の端部を回動自在に取り付ける。該上下動調節シリンダ109の伸縮を操作する上下調節レバー(図示省略)は、前記走行操作レバー10の近傍に設ける。そして、該上下調節シリンダ109の前側の端部を中継回動アーム110の下部に回動自在に設け、該中継回動アーム110の上部に上下調節アーム111の後側の端部を設けると共に、該上下調節アーム111の前側の端部を前記ソイラ揺動ケース107に連結する。
このとき、該上下調節アーム111の前側の端部は、揺動ソイラ29の上下調節量を大きく取るべく、ソイラ揺動ケース107の上下中央位置よりも下側で、且つソイラ支持アーム105よりも上方に設けるものとする。また、上下調節アーム111の前側の端部は、二又の分岐支持体111aで構成し、該分岐支持体111aの空間部にソイラ揺動ケース107を配置し、左右から調節回動軸112,112をソイラ揺動ケース107に接触させて回動可能に構成する。
これにより、前記上下調節シリンダ109を伸縮させると、中継回動アーム110が前後方向に回動すると共に、上下調節アーム111が連動して前後方向に移動してソイラ揺動ケース107を上下動させる構成となる。
なお、前記上下調節シリンダ109は、電動式でも油圧式でもよいが、ハンドルを回すと伸縮する伸縮ロッド(図示省略)に置き換えると、操作に必要な労力は増加するものの、通電用のケーブルや送油用のパイプが不要になり、コストダウンを図ることができる。
上記により、畝の高さや玉葱が埋没している土中の深さに合わせて揺動ソイラ29の作用位置を適切に変更することができるので、揺動ソイラ29が土中の玉葱に接触して傷付けてしまうことが防止され、玉葱の商品価値が向上する。
また、揺動ソイラ29が玉葱から上下方向に離れ過ぎ、玉葱の周囲の土が解れず、玉葱が引き抜かれずに圃場に残ることを防止できるので、作業者が玉葱を手作業で収穫する必要が無く、作業者の労力が軽減される。
さらに、玉葱のひげ根が切断されないまま引抜収穫されることを防止できるので、収穫後の玉葱からひげ根を除去する作業に要する時間と労力の軽減が測られる。
上記の構成により、4条植えの作業条件においては、2条分の玉葱の周辺の土を解して引抜収穫しやすくすると共に、ひげ根を除去して収穫後の調製作業に要する労力を軽減することが可能となる。
次に、圃場から引き抜いた玉葱の茎葉部を決められた高さで切断し、圃場面に移動させる構成について説明する。
図1または図2で示すとおり、前記引抜搬送装置19の前端部に設けた左右の引抜従動プーリ16,16の左右の回転軸16a,16aの上端部を、前記左右の引抜カバー19,19を貫通させて上方に突出させ、該左右の回転軸16a,16aの上端部に左右の入力スプロケット31,31を機体前側部分に内装した左右の伝動ケース34,34を後上がり傾斜姿勢で左右の引抜カバー19,19の上部に設ける。また、該左右の伝動ケース34,34の後側に左右の出力スプロケット32,32を回転自在に各々内装するとともに、該左右の入力スプロケット31,31と左右の出力プーリ32,32に左右の伝動チェーン33,33を各々巻回する。
そして、前記左右の出力スプロケット32,32の上部側に左右の第1ユニバーサルジョイント35,35の下端部を装着し、該左右の第1ユニバーサルジョイント35,35の上端部に左右の横引起し駆動プーリ36,36を各々装着するとともに、該左右の横引起し駆動プーリ36,36を装着する左右の横引起しフレーム37,37を後上り傾斜姿勢で配置する。該左右の横引起しフレーム37,37の後上がり傾斜角度は、前記左右の引抜フレーム14,14の後上がり傾斜角度よりも大きく設定する。
さらに、該左右の横引起しフレーム37,37の下端部に左右の横引起し従動プーリ38,38を各々回転自在に設け、該左右の横引起し駆動プーリ36,36と左右の横引起し従動プーリ38,38の上下間に複数の横引起しテンションプーリ(図示省略)を設ける。また、左右の横引起し駆動プーリ36,36と左右の横引起し従動プーリ38,38と複数の横引起しテンションプーリにゴムやスポンジ等の弾性体で構成する複数の横引起しラグ39a…を等間隔に設けた左右の横引起しベルト39,39を巻回し、該左右の横引起しベルト39,39の上方に前記左右の横引起しフレーム37,37と平行姿勢で左右の横引起しカバー40,40を各々設けることにより、横引起し装置41が構成される。
なお、前記左右の横引起しベルト39,39に設けた横引起しラグ39,39a…は、先端部同士が引抜搬送装置19の引抜搬送域に近接するとともに互いに接触しない位置に配置する。
上記構成により、横引起しラグ39a,39a…同士が接触することが防止されるので、接触の衝撃で引き起こし中の茎葉部が落下することが防止され、引抜搬送装置19で確実に玉葱を圃場から引き抜くことができ、作業能率が向上する。
また、前記左右の出力伝動ケース34,34の下部側に、左右の第2ユニバーサルジョイント(図示省略)を内装する中継伝動ケース42,42の上端部を設け、該左右の中継伝動ケース42,42の下端部に左右の肩揃え駆動プーリ43,43をそれぞれ設ける。そして、該左右の肩揃えプーリ43,43の上部及び下部に、左右の上部肩揃えフレーム44,44と左右の下部肩揃えフレーム45,45の前端部を設け、該左右の上部肩揃えフレーム44,44と左右の下部肩揃えフレーム45,45の後端部に左右の肩揃え従動プーリ46L,46Rを各々回転自在に装着し、該左右の肩揃え駆動プーリ43,43と左右の肩揃え従動プーリ46L,46Rに左右の肩揃えベルト50,50を無端状に巻回する。
さらに、前記左右の上部肩揃えフレーム44,44のうち、機体左右一側の上部肩揃えフレーム44に、機体後部側を中心に上下回動する切断フレーム47を設け、該切断フレーム47の機体前部側に、前記左右の肩揃えベルト50,50と左右の引抜搬送ベルト17,17で挟持搬送中の茎葉切断刃49を着脱可能に設けると共に、該茎葉切断刃49を回転駆動させる切断モータ48を設けることにより、引抜搬送装置19で搬送中の玉葱の上昇を下部肩揃えフレーム45,45で制限し、茎葉部の切断位置を所定位置に揃えてから切断する、肩揃え装置51が構成される。
なお、前記切断モータ48は、バッテリから電気を受けて作動する電動式、後述する油圧バルブ92から作動油を受けて作動する油圧式、あるいはその他の作動方式から、適宜構成しやすいものを持ちいるものとする。
上記構成により、切断位置が所定位置に揃えられてから茎葉部が茎葉切断刃49に切断されるので、茎葉部が大きく切り残されて作業者が後から手作業で茎葉部を切断する作業が不要となるので、作業者の労力が軽減されるとともに、作業能率が向上する。
また、玉葱が持ち上げられ過ぎ、茎葉切断刃49が玉葱の球形部分、所謂可食部を切断することを防止できるので、玉葱が傷付くことがなく、玉葱の商品価値が維持される。
そして、茎葉切断刃49を着脱自在に設けたことにより、収穫後に行う玉葱の乾燥作業を、玉葱を吊り下げて行う場合は、茎葉部を切断せずに掘り起こすことができるので、作業条件の適応性の高い作物収穫機となる。
さらに、切断フレーム47を上下回動自在に設けたことにより、切断フレーム47を上下方向に回動させて茎葉切断刃49の切断高さを変更自在に構成することができるので、玉葱を圃場で天日乾燥させる際には不茎葉部を僅かに(約3〜5cm)残す切断高さとし、玉葱を乾燥機等に吊るして乾燥させる際には、玉葱を吊るすための茎葉部を大幅に(約10〜20cm)残す切断高さとすることができるので、作業条件の適応性の高い作物収穫機となる。
なお、機体左右他側の上部肩揃えフレーム44に固定切断刃を着脱自在に設け、この尾定切断刃を茎葉切断刃49の刃縁部の上側または下側とオーバーラップさせて茎葉部を挟み切る構成とすると、茎葉部を逃がすことなく切断することができるので、玉葱に茎葉部が切断されずに残り、作業者が手作業で残葉を切断する作業が不要となる。ただし、玉葱の茎葉部切除する際、球形部分の近傍から切除すると商品価値を有する可食部が傷付き、品質や商品価値の低下を招くので、茎葉部の下端部側は僅かに切り残されるものとする。
また、図2に示すとおり、右側(機体左右一側)の肩揃え従動プーリ46Rを、左側(機体左右他側)の肩揃え従動プーリ46Lよりも機体前側位置に配置すると共に、左右の上部肩揃えフレーム44,44に、左側の肩揃え従動プーリ46L側に茎葉部を案内するガイドバー52を各々設ける。さらに、左側の肩揃え従動プーリ46Lには、突起を備える円盤部材、所謂スターホイルを装着し、この突起で茎葉部を機体左外側に案内する構成とする。
上記構成により、切断された茎葉部を肩揃え装置51の搬送終端部で挟持状態から開放したあと、左側の肩揃えベルト50と左右のガイドバー52,52によって茎葉部を機体左側に案内することができるので、茎葉部の排出方向が一定になり、茎葉部を圃場から回収する際の作業が容易になる。
また、機体左側に茎葉部が集中して排出されることにより、機体右側の未収穫の玉葱に茎葉部が落下することを防止できるので、収穫作業を行う玉葱の上に乗った茎葉部が玉葱の収穫作業を妨害することが防止され、作業能率が向上する。
前記肩揃え装置51の左右中心の後側には、図1及び図4で示すとおり、前記分岐伝動ケース6から駆動力を受けて回転する案内駆動プーリ53を設けた案内駆動ケース56を後下がり傾斜姿勢で且つ後部側を上下回動自在に設け、該案内駆動ケース56の後側下部に案内従動プーリ54を夫々回転自在に設け、該案内駆動プーリ53と案内従動プーリ54に案内ベルト55を巻回して、案内装置57を形成している。
該案内装置57を構成する案内ベルト55には、外周縁部に等間隔毎に突起を設け、切り残された茎葉部を受けて玉葱を畝上に案内し、玉葱の茎葉部と根部(ひげ根)が、圃場面に接触しない姿勢で畝上に排出案内するものとする。
なお、前記案内駆動プーリ53は、図 に示す通り、分岐伝動ケース6からベベルギア機構6bを介して駆動力を受けて回転する駆動回転軸53aに支持され、前記案内従動プーリ54は、右側の上部肩揃えフレーム44から支持する左右一対の支持ロッド54L,54Rに設ける従動回転軸54aに支持される。
このとき、図4で示すとおり、左側の支持ロッド54Lを案内ベルト55の巻回域内に進入せず、案内装置57に沿って下方に向かう屈曲形状とすると共に、右側の支持ロッド54Rを案内ベルト55の巻回域内に機体左側から進入し、機体右側から案内装置57に沿って下方に向かう屈曲形状とする。
上記により、該案内装置57を、機体下側に向かうほど機体左側に向かう傾斜姿勢とすることができるので、玉葱の根部が地面に接触しない姿勢で圃場面に案内され、乾燥中に根部が再度活着することが防止され、玉葱の回収作業能率が向上すると共に、過度の玉葱の生育が防止され、収穫物の品質が向上する。
畝上に排出案内された玉葱の茎葉部と根部が、圃場面に接触しない姿勢となることにより、土に触れた根部が伸びて土中に入り込み、回収時に軽い力で圃場から離れなくことが防止される。また、根部が伸びると、その分玉葱の養分が消費されるので、玉葱の品質が低下するが、この品質低下も防止される。
そして、切断後に残っている茎葉部が圃場面に接触していないことにより、手作業で玉葱を回収するときに作業者が玉葱を掴み易くなり、回収作業の能率が向上する。
上記構成により、マルチフィルム等を畝上に敷設して玉葱を栽培しており、移植作業の際に形成する穴部の周縁部と茎葉部が絡み合い、玉葱の引抜収穫の際にマルチフィルムを一緒に持ち上げることがあっても、案内装置57がマルチフィルム越しに玉葱に接触して後側下方に案内することができるので、玉葱が落下する際にマルチフィルムが極端に重なり合うことが防止され、マルチフィルムの除去作業が容易になるとともに、畝上に掘り起こした玉葱の回収作業が容易になる。
また、案内装置57の後部側を上下方向に回動可能に構成したことにより、マルチフィルムを敷設しない露地栽培の玉葱を収穫するときなど案内装置57が不要なときには案内作用部を機体フレーム1側に退避させることができるので、様々な作業条件に適応可能な作物収穫機となる。
上述のとおり、案内装置57は下部側がマルチフィルムに接触する可能性があるので、マルチフィルムの破損防止を考慮すると、案内ベルト55はゴムに比べて摩擦力の低い、スポンジ等で構成することが望ましい。
上記の案内装置57で排出される玉葱は、収穫前に植生していた畝上に落下し、収穫作業後、または天日乾燥後に回収される。しかしながら、正常な玉葱は球状であることにより、排出された際に畝上を転がり、左右の駆動輪84L,84Rやゲージ輪73、及び玉葱の回収作業を行うトラクタ等の作業機の走行装置が通過する畝溝に落下することがある。また、一つの畝に3条または4条の玉葱が植え付けられている畝において、1,2条目の玉葱を収穫する際に、排出される玉葱が、未収穫側、即ち3,4条目の玉葱の植生する側に移動することがある。
畝溝に玉葱が落ちていると、作業者は玉葱の収穫作業や回収作業を行う前に、畝溝内の玉葱を畝上に拾い上げる作業が必要になるので、作業能率が低下すると共に、作業者の労力が増大する問題がある。
そして、畝溝に玉葱が落ちていることに作業者が気付かず、左右の駆動輪84L,84Rやゲージ輪73、またはトラクタ等の作業機の走行装置が玉葱を踏み潰し、商品価値を失わせてしまうので、収穫量が減少する問題がある。
また、未収穫側の畝上に玉葱が転がり落ちると、縦引起し装置64や横引起し装置41、引抜搬送装置19による茎葉部の引起しや挟持引抜搬送を畝上に転がる玉葱が妨げるので、玉葱の抜き残しが発生して作業者が手作業で玉葱を引き抜く必要が生じ、作業者の労力が増大する問題がある。
さらに、縦引起し装置64や横引起し装置41、引抜搬送装置19が転がっている玉葱に接触し、玉葱を傷付け、商品価値を低下させてしまう問題がある。
上記の問題を解決すべく、図1及び図4で示すとおり、前記機体フレーム1の下部側で、且つ左右の肩揃えベルト50,50の左右両側部に、支持ステー130を各々設ける。そして、該左右の支持ステー130,130に、前記肩揃え装置51の搬送経路中央部に向かって下方傾斜する屈曲部を形成した調節支持板131を各々設ける。該左右の調節支持板131,131には左右方向の長孔(図示省略)を形成し、この長孔にはノブボルト133等の装着部材を、保持力を緩めたときには摺動自在に設ける。
さらに、作業時にゲージ輪73や駆動輪84Rが通過する、畝溝に近い左側の調節支持板131に、玉葱が畝溝に転がることを防止する第1ガイドプレート134を、前記ノブボルト133を介して左右方向に摺動自在に設ける。該第1ガイドプレート134は、調節支持板131に沿って左側に摺動させると畝の上面に接触し、右側に摺動させると下部側が土中に潜り込む上下長さとする。
一方、畝の左右方向中央部に近い右側の調節支持板131に、引き抜き収穫した玉葱が、次工程の引き抜き収穫作業位置に移動することを防止する第2ガイドプレート135を、前記ノブボルト133を介して左右方向に摺動自在に設ける。該第2ガイドプレート134は、調節支持板131に沿って右側に摺動させると畝の上面よりも上方に離間し、左側に摺動させると下部側が畝の上面に接触する上下長さとする。
そして、左右の第1ガイドプレート134,第2ガイドプレート135の前側下部に、側面視において、機体前側から後側に向かう前下がり傾斜の第1切欠部134c及び第2切欠部135cを形成する。該第2切欠部135cを形成する第2ガイドプレート135の前側端部は、第1切欠部134cを形成する第1ガイドプレート134の前側端部よりも機体後側に形成する。玉葱一つ分に相当する、100〜150mm程度機体後側位置に形成すると、第2ガイドプレート135が玉葱を引抜搬送装置19の引抜搬送域に移動することを妨げることが無く、確実に玉葱の引き抜き収穫が行え、作業能率が向上する。
上記の構成により、第1ガイドプレート134と第2ガイドプレート135は、正面(背面)視において、機体上側ほど左右間隔が広くなるので、左右間隔が最も狭い箇所を2個の玉葱が左右方向に並んで通過する際、間隔部に詰まって機体後方に移動されなくなり、作業を中断して詰まりを解消する必要が無く、作業能率が向上する。
前記第1ガイドプレート134と第2ガイドプレート135の下端部の左右間隔は、標準的なサイズの玉葱2個分に相当する、200〜300mm程度とするとよい。
また、第1ガイドプレート134と第2ガイドプレート135は、各々ゴム等の、強い力がかかると弾性変形し得る材質で構成すると、破損が生じにくく長持ちする。
上記の構成により、肩揃え装置51で切断位置を揃えられ、切断回転刃49で茎葉部を切断され、案内装置56によって畝上に排出案内される玉葱は、第1ガイドプレート134と第2ガイドプレート135によって、引抜収穫される前に植生していた、収穫作業の終わった状態の畝上に載置されることになる。これにより、玉葱が畝溝や収穫作業が行われていない側に転がることが防止される。
従って、畝溝に落ちた玉葱を拾い集める作業が必要なくなり、次の玉葱の収穫作業や、畝上の玉葱の回収作業を必要なときに行うことができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の費やす労力が軽減される。
そして、畝溝内に玉葱が無いことにより、左右の駆動輪84L,84Rやゲージ輪73、またはトラクタ等の作業機の走行装置が玉葱を踏み潰すことがなく、玉葱の収穫量が減ることが防止される。
また、玉葱が収穫作業を行っていない側に転がることを防止できるので、縦引起し装置64や横引起し装置41、引抜搬送装置19による玉葱の引抜収穫作業が妨げられることがなく、作業能率が向上する。
さらに、縦引起し装置64、横引起し装置41及び引抜搬送装置19が、転がっている玉葱を打撃、または圧迫して傷付けることを防止できるので、玉葱の商品価値が維持される。
そして、第1ガイドプレート134の上下長さを、下端部が畝上に接触する長さとしたことにより、サイズの小さい玉葱が畝溝に移動する隙間が無くなるので、玉葱が畝溝に落ちることが確実に防止される。
また、第1ガイドプレート134の前後長さを、第1ガイドプレート134の後端部が分岐伝動ケース6の下方に位置する長さとしたことにより、機体を前進走行させていても、案内装置57から排出されて後方に向かって転がる玉葱を第1ガイドプレート134で受けて、畝溝に落下することを防止できるので、玉葱を拾う作業が不要となり、作業者の労力の軽減や作業能率の向上、収穫量の減少の防止が図られる。
さらに、第1ガイドプレート134の後端部に左右他側に向かう屈曲案内部133aを形成すると共に、第2ガイドプレート134の後端部を案内装置56の搬送方向上手側までとしたことにより、サイズの大きい玉葱が並んだ際、第2ガイドプレート134の後端部から玉葱が側方に移動することができるので、第1ガイドプレート134と第2ガイドプレート135との間に玉葱が詰まることが防止される。
これにより、玉葱が引き摺られ、圃場面との摩擦抵抗で傷付くことを防止できるので、玉葱の商品価値が維持される。
また、畝上に排出された玉葱が密集しにくくなるので、天日乾燥させる際には風通しや日当たりが良くなるので、乾燥に要する期間が短縮される。
そして、図1及び図2で示すとおり、前記分岐伝動ケース6の左右一側に第2分岐伝動ケース6aを設け、該第2分岐伝動ケース6aの前部から機体前方に向かって引起し出力軸58を設け、該引起し出力軸58の前端部に駆動力を左右他側から左右一側に向かう方向に変更するベベルケース59aを装着する。該ベベルケース59aの内部には、一対のベベルギア(図示省略)が内装されており、この一対のベベルギアを介して出力ケース内の引起し出力軸58の駆動力を縦引起し伝動軸59に伝達する。そして、該縦引起し伝動軸59の左右一側端部と左右他側端部と左右方向の略中央部に縦引起し駆動プーリ60,60,60を各々装着し、該縦引起し駆動プーリ60,60,60の左右両側を覆う縦引起しカバー61,61,61を後上がり傾斜姿勢で且つ上下回動自在に装着する。また、該縦引起しカバー61,61,61の下端部に縦引起し従動プーリ62,62,62を各々設け、該縦引起し駆動プーリ60,60,60と縦引起し従動プーリ62,62,62に圃場に倒伏している玉葱の茎葉部を引き起こす縦引起しラグ63a…を複数設けた縦引起しベルト63,63,63を巻回して、縦引起し装置64を構成する。
なお、前記縦引起し装置64の後上がり傾斜角度は、前記横引起し装置41の後上がり傾斜角度と略同じ傾斜角度とする。これにより、縦引起し装置64が引き起こした茎葉部が縦引起しラグ63a…から離れるタイミングで横引き起こし装置41の横引起しラグ39a…に引き継がれるので、茎葉部を確実に引き起こして引抜搬送装置19の搬送始端部に案内でき、玉葱の収穫作業能率の向上が図られる。
また、畝溝に近い左側(機体左右他側)の端部においては、縦引起し従動プーリ62を、他の位置の縦引起し従動プーリ62よりも機体前側に配置し、縦引起しラグ63a…の引起し作用位置が機体前側に位置する構成とする。これにより、畝と畝溝の境目に垂れ下がっている茎葉部を早めに引き起こすことができるので、茎葉部を掴み損ない、玉葱を引抜収穫し損なうことが防止される。
そして、右側と左右中央の縦引起しカバー61,61の前側下部に、縦引起しラグ63a…の茎葉部の持ち上げを補助する第1補助引起しバー65を各々設ける。該第1補助引起しバー65,65は、縦引起しラグ63a…を避ける屈曲部を形成したZ字形状とする。また、中央の第1補助引起しバー65には、該中央の補助引起しバー65の基部とは反対側に延出された延長引起しバー65aが設けられ、2つの玉葱の茎葉部がどのように圃場面に垂れ下がっていても、引き起こしが可能な構成とする。
一方、左側の立て引起しカバー61には、前記第1補助引起しバー65,65よりも前後方向に長い、第2補助引起しバー66を直線状に設け、畝と畝溝の境目に垂れ下がる茎葉部が、補助引起しラグ63a…で持ち上げやすい状態とされる構成とする。
また、前記縦引起し伝動軸59の左側(機体左右他側)端部には、畝の上面から畝溝に向かう、畝の法面に沿って垂れ下がっている茎葉部を引き起こす、畝溝引起し装置69を設ける。該畝溝引起し装置69を構成する畝溝引起しベルト68には、等間隔に「へ」の字形状に屈曲した畝溝引起しラグ68a…を設け、畝の法面に折り重なるように垂れ下がっている茎葉部を、確実に引き上げる構成とする。
なお、図1及び図2に示すとおり、前記畝溝引起しラグ68a…が最も機体前側に突出する位相にあるとき、縦引起しラグ63a…の前端部より機体前側に突出すると共に、前記第1補助引起しバー65及び第2補助引起しバー66の前端部よりは機体後側に位置するものとする。
これにより、法面に垂れ下がる茎葉部を先行して掻き上げて、機体左側の縦引起し装置63に茎葉部を引き継がせることができ、茎葉部を掴み損ない、玉葱が圃場に残されることが防止される。
さらに、前記縦引起し伝動軸59の左側端部にゲージ輪昇降ケース70を設け、該ゲージ輪昇降ケース70の下部に上部アーム71を設け、該上部アーム71にゲージ輪73を回転自在に装着する下部アーム72を上下動自在に設ける。また、前記駆動ケース4側に固定プレート75を設け、該固定プレート75と前記ゲージ輪昇降ケース70の後部の間に、ゲージ輪昇降ケース70内のベベルギア機構(図示省略)を回転させるゲージ輪昇降ロッド76を設け、該ゲージ輪昇降ロッド76を回転させることにより、前記下部アーム72を上下動させるゲージ輪調節ハンドル77を設ける。
上記構成としたことにより、畝溝に垂れ下がっている収穫畝上の玉葱の茎葉部をゲージ輪73が踏み付ける前に引き起こすことにより、縦引起し装置64や横引起し装置41が確実に玉葱の茎葉部を引き起こすことができるので、引き起こされた茎葉部を引抜搬送装置19で挟持して土中から引き抜くことができ、作業者が手作業で残された玉葱を引き抜く作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
また、収穫畝上の玉葱の茎葉部と隣接畝上の玉葱の茎葉部が畝溝に垂れ下がって絡み合っていても、茎葉部同士を持ち上げて絡み合いを解くことができるので、隣接条の玉葱を半端に引き上げることが防止され、引抜搬送装置19で確実に玉葱を引き抜くことが可能になる。
そして、ゲージ輪調節ハンドル77を操作してゲージ輪73を設けた下部アーム72を上昇または下降させることにより、横引起し装置41や引抜搬送装置19の作用位置を玉葱の生育状態や畝の高さに合わせて変更することができるので、茎葉部の引き起こしや引抜搬送が確実に行われ、作業能率が向上する。
次に、本機の走行伝動系の構成を示す。
図2及び図4に示すとおり、前記駆動ケース4の左側(機体左右他側)に左側出力軸78Lを設け、該左側出力軸78Lに走行駆動スプロケット79を装着し、該走行駆動スプロケット79を左側の走行伝動ケース80Lの上端側に内装する。そして、該左側の走行伝動ケース80Lを後上がり傾斜姿勢とし、機体前側に位置する左側の走行伝動ケース80Lの下端側に走行従動スプロケット81を回転自在に内装し、該走行駆動スプロケット79と走行従動スプロケット81に走行伝動チェーン82を巻回する。
なお、走行伝動チェーン82の巻回域内にテンションスプロケットを設けたり、負荷がかかると走行伝動チェーン82から退避したりして、駆動を停止させて破損を防止するクラッチ機構を設けてもよい。
また、前記走行従動スプロケット81に車軸83を装着し、該車軸83に左側の駆動輪84Lを設ける。
そして、図1から図4に示すとおり、前記分岐伝動ケース6の右側(機体左右一側)端部に、右側出力軸78Rを左右方向に摺動自在に設け、該右側出力軸78Rに走行駆動スプロケット79を装着し、該走行駆動スプロケット79を右側の走行伝動ケース80Rの上部に内装する。このとき、前記右側出力軸78Rを装着するための走行伝動ケース80Rの取付孔部は、右側出力軸78Rの径よりも僅かに大径とし、右側出力軸78Rが僅かに上下及び前後方向に移動できる構成とする。
また、該右側走行伝動ケース80Rを後上がり傾斜姿勢で配置し、機体前側に位置する右側走行伝動ケース80Rの下端側に走行従動スプロケット81を回転自在に内装し、該走行駆動スプロケット79と走行従動スプロケット81に走行伝動チェーン82を巻回する。また、前記走行従動スプロケット81に車軸83を装着し、該車軸83に右側の駆動輪84Rを設ける。
さらに、前記右側出力軸78Rよりも機体前側で、且つ前記分岐伝動ケース6と右側の走行伝動ケース80Rの間に、右側の走行伝動ケース80Rを左右方向に移動させ、左右の駆動輪84L,84Rの左右間隔、所謂トレッドを調節する調節シリンダ89を、機体左右方向に伸縮自在に設ける。そして、該調節シリンダ89よりも機体前側に、前記調節シリンダ89の伸縮によって右側出力軸78Rと共に左右方向に摺動する、摺動ガイド90を機体フレーム1に設ける。また、該摺動ガイド90と右側出力軸78を連結プレート91で連結し、該連結プレート91に形成したU字型の溝部91uに、調節シリンダ89を伸縮自在に臨ませる構成とする。これにより、トレッド調節機構95が構成される。
なお、図2及び図3に示すとおり、該調節シリンダ89の固定側の基部、即ち機体左側端部は、回動ピン89aによって取り付け、該調節シリンダ89の端部側、即ち機体右側が上下方向に回動自在となる構成とする。
該調節シリンダ89を伸縮させる作動油を供給する油圧バルブ92は、前記ミッションケース3の上部で、且つ機体左右方向中央寄りに配置する。該油圧バルブ92には、リリーフバルブ92rを内装し、油圧回路に高負荷がかかると作動油をリリーフバルブ92rからオイルタンク92tに解放し、過負荷による破損の発生を防止する構造とする。このとき、図5に示すとおり、油圧バルブ92から調節シリンダ89への作動油のやり取りを行う送油ホース93も、溝部91uを通過させる構成とする。
なお、上記の調節シリンダ89を電動式とし、この電動式の調節シリンダ89と電源(バッテリ)の間に、負荷による温度上昇によって変形するバイメタルによるスイッチを設け、負荷による過熱状態になると調節シリンダ89の伸縮が停止する構成としてもよい。
さらに、前記調節シリンダ89を伸縮操作するトレッド調節レバー94を、前記油圧バルブ92に左右方向に回動自在に設ける。該トレッド調節レバー94は、機体後方で且つ上方に向かって屈曲する「へ」の字形状であり、機体の後方に立つ作業者の近くに端部のグリップ部が位置する構成とする。
前記トレッド調節レバー94の下方には、図1から図3に示すとおり、前記エンジン2が外気を吸入するエアクリーナ2pが位置すると共に、該エンジン2の排気を放出するマフラ(図示省略)からは大きく離間する配置構成とする。
上記の構成では、調節シリンダ89を伸縮させて左右の駆動輪84L,84Rの左右間隔、所謂トレッドの変更を行う構成としたことにより、走行速度や前後進に関係なくトレッド調節機構95を作動させてトレッド調節を行なうことができるので、畝幅が変化するたびに引抜収穫作業を中断して機体を前後進させる必要がなくなり、作業能率の向上や作業者の労力の軽減が図られる。
また、畝幅に合わせてトレッドを変更することができるので、畝幅の異なる圃場で作業をするときに右側駆動輪84Rが畝上を移動することがなく、安定した姿勢で玉葱の引抜収穫作業を行うことができ、作業能率が向上する。
そして、機体を軽トラック等の荷台に積み込むときや、倉庫等に収容する際には、トレッドを限界まで狭くすることにより、機体の左右幅を短くすることができるので、機体の積み込み作業や収納作業が能率よく行える。
さらに、調節シリンダ89の後方に右側伝動軸78Rを設けると共に、調節シリンダ89の前方に摺動ガイド90を設けたことにより、右側の駆動輪84Rの接地や走行によって生じる負荷を分散させることができるので、調節シリンダ89が歪んだり捩れたりして破損することや、伸縮範囲が小さくなり、トレッド調節幅が制限されることが防止される。
これに加えて、右側の走行伝動ケース80Rを左右方向に移動させる際、複数個所を機体外側に押す、または機体内側に引く構成となるので、右側の走行伝動ケース80Rは姿勢を変更されることなく移動でき、右側の駆動輪84Rの向きが微細にずれて機体の進行方向が乱れることが防止され、走行性や作物の収穫作業能率が低下することが防止される。
また、走行伝動ケース80Rの取付孔部の径を、右側伝動軸78Rの径よりも僅かに大径としたことにより、圃場の凹凸等により右側の駆動輪84Rが上下動した際、右側伝動軸78Rが上下及び前後方向に移動することができるので、負荷によって右側伝動軸78Rが破損することが防止される。
そして、調節シリンダ89の固定側の取付基部を、回動ピン89aを介して設けたことにより、圃場の凹凸等により右側の駆動輪84Rが上下動しても、調節シリンダ89は右側の駆動輪84Rの上下動に追従して上下回動するので、トレッドの調節が必要なときに調節シリンダ89が伸縮可能となり、右側の駆動輪84Rの上下位置を変更する必要がなく、作業能率が向上する。
さらに、右側出力軸78と摺動ガイド90を連結プレート91で連結したことにより、右側出力軸78と摺動ガイド90が連動して摺動するので、右側の走行伝動ケース80Rや駆動輪84Rが傾斜姿勢になることが防止され、任意のトレッドが設定できると共に、走行性能が安定する。
また、油圧バルブ92に、作動油をオイルタンク92tに移動させて減圧するリリーフバルブ92rを設けたことにより、走行停止中にトレッド調節レバー94を誤操作してトレッド調節機構95が作動しても、油圧バルブ92内の圧力が高くなるとリリーフバルブ92rが作動油をオイルタンク92tに還流させ、調節シリンダ89の伸縮を停止させることができるので、トレッド調節機構95が過負荷により破損することが防止される。
走行停止中に右側の駆動輪84Rを機体側方に摺動させると、強い接地抵抗が生じるので、調節シリンダ89や右側出力軸78に過負荷がかかり、誤操作等によりトレッド調節機構95が作動したことに気付かないと破損してしまう問題があるが、本構成では過負荷がかかる前に調節シリンダ89の伸縮が自動停止するので、問題の発生が防止される。
そして、調節シリンダ89を最大限まで伸ばしたとき、あるいは最小限まで縮めたときにトレッド調節レバー94が操作され続け、過負荷が生じる状態になると、リリーフバルブ92rから作動油がオイルタンク92tに還流されるので、自動的に調節シリンダ89の伸縮操作が終了され、トレッド調節機構95の破損が防止される。
また、調節シリンダ89と作動油が移動する送油ホース93を、連結プレート91の溝部91u内に配置したことにより、送油ホース93を調節シリンダ89から抜き取るだけで外すことができるので、メンテナンス作業時に着脱する部材が減り、メンテナンス性が向上する。
そして、トレッド調節レバー94を機体後方で且つ上方に向かって屈曲する形状としたことにより、機体後方で操縦作業をする作業者がトレッド調節レバー94を操作しやすくなるので、作業者の労力が軽減されると共に、操作性が向上する。
さらに、トレッド調節レバー94を、エアクリーナ2pの上方で、該且つマフラからは左右方向に離間した位置に配置することにより、作業者がマフラから排出される高温の排気ガスに晒されることがなく、作業の快適性が向上する。
次に、排出される茎葉部、所謂排葉を畝溝方向に案内する、排葉案内に関する構成について説明する。
図9及び図10で示すとおり、前記引抜搬送装置19の後方下部に、分岐伝動ケース6の上方、エンジン2やミッションケース3の前方及び上方を覆う排葉カバー200を設ける。該排葉カバー200は、前記左右のハンドル支持フレーム7,7の傾斜部に沿わせると共に、排葉カバー200の前端部側が排葉ガイドプレート20の排葉案内作用域よりも機体前側に位置するように配置する。
そして、該排葉カバー200の機体左側端部に、前記排葉ガイドプレート20と左側の引抜搬送ベルト17に案内されてきた茎葉部を機体左側の外側、より具体的に言うと、前記左側の走行伝動ケース80Lと左側の駆動輪84Lの左右間に案内して排出する、排葉シュータ201の基部側を着脱自在に設ける。該排葉シュータ201は、前記左側の走行伝動ケース80Lの上部及び機体外側部を覆うべく、機体左外側に突出した後、機体下方に向かって折り曲げる。
このとき、図9で示すとおり、該排葉シュータ201の下端部は、左側の走行伝動ケース80Lのうち、前記車軸83の上部に位置するものとし、この位置でスプリングやゴムバンド等の弾性連結部材203を介して左側の走行伝動ケース80Lに取り付ける。このとき、該弾性連結部材203は、排葉シュータ201を下方に向かって付勢し、常に排葉シュータ201を張り状態で保持するものとする。
なお、該排葉シュータ201を排葉カバー200に取り付けるときは、排葉シュータ201が排葉カバー200よりも下側に位置する構成とすると、排出案内される茎葉部が排葉カバー200と排葉シュータ201の間に引っ掛かりにくくなるので、能率よく排葉作業を行うことができる。
上記の排葉シュータ201は、ポリ塩化ビニル等の軟質で且つ表面の滑らかな合成樹脂で構成すると、茎葉部の排出案内時に引っ掛かることを防止できると共に、左側の駆動輪84Lと走行伝動ケース80Lの左右間に収まる配置としやすくなる。加えて、走行伝動ケース80Lを上下回動させる際、排葉シュータ201の下端部は走行伝動ケース80Lの上下回動に連動して上下方向に移動するので、排葉シュータ201の着脱作業が不要であると共に、排葉シュータ201の破損が防止される。
また、前記排葉シュータ201の基部側の被覆範囲は、前記排葉ガイドプレート20の排葉搬送作用域よりも機体内側で、且つ左側の走行伝動ケース80Lの前側までとする。これに加えて、排葉シュータ201の前端側を機体外側から機体内側に向かって傾斜させておき、茎葉部の圃場への落下位置を、左側の駆動輪84Lの走行位置よりも機体内側の畝溝内とする。
さらに、図9及び図10で示すとおり、前記左側の駆動輪84Lの機体内側に、左側の駆動輪84Lへの茎葉部の移動を規制する、左側の駆動輪84Lと同径、または小径のホイールカバー202を着脱自在に設ける。該ホイールカバー202は、前記車軸83に装着し、左側の駆動輪84Lと共に回転する配置とすると共に、外周縁部から車軸83に向かうほど左右幅が厚くなるものとする。このとき、平面視及び正背面視では、ホイールカバー202には法面が形成される。
なお、前記排葉カバー200やホイールカバー202は、茎葉部に付着した水や、茎葉部の傷から生じる汁による腐食を防止すべく、ステンレス鋼材や合成樹脂等の防食性の強い素材で構成したり、金属板の表面をゴムや合成樹脂等の防食性の強い素材でコーティングしたりすると、耐久性が向上する。
上記の構成としたことにより、引抜搬送装置19から排出される茎葉部が排葉ガイドプレート20によって機体左側に排出案内されなくても、茎葉部は排葉カバー200上に載置されるので、排出された茎葉部が機体の各所に引っ掛かることが防止され、茎葉部の除去作業に要する時間と労力が軽減される。
また、排葉シュータ201を排葉カバー200の機体左側端部に設け、この排葉シュータ201の下端部を左側の走行伝動ケース80Lと駆動輪84Lの左右間に臨ませたことにより、茎葉部を畝溝に案内することができるので、排出された茎葉部が未収穫の玉葱の茎葉部の挟持を妨げることが防止され、玉葱が圃場に抜き残されることが防止され、手作業で玉葱を引抜収穫する時間と労力が軽減される。
あるいは、引抜収穫後、乾燥のために畝上に放置している玉葱の上に茎葉部が乗ることを防止できるので、玉葱が天日や風によって乾燥する時間が短縮される。
そして、排葉シュータ201が、排葉ガイドプレート20の排葉搬送作用域よりも機体内側を被覆することにより、左側の引抜搬送ベルト17と排葉ガイドプレート20によって案内される茎葉部がいつ落下しても排葉シュータ201で引き継ぐことができるので、機体上に茎葉部が残ることが防止され、除去作業に要する時間と労力が軽減される。
さらに、排葉シュータ201が左側の走行伝動ケース80Lの上方及び機体外側を覆うことにより、左側の走行伝動ケース80L、特に車軸83に茎葉部が絡み付くことを防止できるので、茎葉部の除去作業がいっそう不要となり、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
また、排葉シュータ201の下部と左側の走行伝動ケース80Lを弾性連結部材203で連結し、排葉シュータ201を下方に付勢することにより、排葉シュータ201が風等で捲れたり、弛んだりすることによって茎葉部が進入する空間部が生じることを防止できるので、茎葉部の絡み付きの発生が防止され、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
そして、左側の駆動輪84Lの機体内側にホイールカバー202を設けたことにより、排葉シュータ201から排出される茎葉部が左側の駆動輪84Lに接触して絡み付くことを防止できるので、茎葉部の絡み付きの発生が防止され、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
これに加えて、ホイールカバー202を車軸83に近付くほど厚みが増す構造としたことにより、茎葉部がホイールカバー202に絡み付いても、径の変化により茎葉部が外れやすく、茎葉部の除去作業に要する労力が抑えられる。
さらに、排葉シュータ201の前端側を機体外側から機体内側に向かって傾斜させ、茎葉部を畝溝内で且つ左側の駆動輪84Lに踏み付けられにくい位置に排出することができるので、左側の駆動輪84Lが茎葉部を踏むことによってスリップすることが防止され、走行姿勢や玉葱の引き抜き収穫姿勢が安定する。
なお、図 で示すとおり、前記排葉カバー200の機体右側端部で且つ後側付近に上下方向の回動支軸204を設け、該回動支軸204に茎葉部を案内する茎葉案内バー205を回動自在に設けてもよい。
上記の構成により、茎葉部をより確実に機体左側に案内することができるので、機体右側に排出される茎葉部がいっそう減少し、走行時に茎葉部を踏みつけてスリップすることや、隣接条の未収穫の玉葱上に排出された茎葉部が乗ることが防止される。
2 エンジン
2p エアクリーナ(吸気部材)
8 ハンドル(操作部材)
19 引抜搬送装置
20 排葉ガイドプレート(側方案内部材)
78R 右側伝動軸(伝動部材)
80L 左側の走行伝動ケース(走行伝動機構)
80R 右側の走行伝動ケース(走行伝動機構)
84L 左側の駆動輪(走行装置)
84R 右側の駆動輪(走行装置)
89 調節シリンダ(調節アクチュエータ)
90 摺動ガイド(走行支持部材)
91 連結プレート(連結部材)
92 油圧バルブ(作動切替装置)
94 トレッド調節レバー(切替操作部材)
95 トレッド調節機構(間隔調節機構)
200 排葉カバー(排葉受け部材)
201 排葉シュータ(排葉案内部材)
203 連結弾性部材(付勢部材)

Claims (9)

  1. 茎葉部を挟持して圃場から作物を引き抜く引抜搬送装置(19)を設け、圃場を走行するための左右の走行装置(84L,84R)を設け、該左右の走行装置(84L,84R)の左右間隔を調節する間隔調節機構(95)を設けた農作物収穫機において、
    該間隔調節機構(95)を作動させる調節アクチュエータ(89)を伸縮自在に設け、該調節アクチュエータ(89)の伸縮を強制的に停止させる牽制機構(92r)を設けたことを特徴とする農作物収穫機。
  2. 前記左右の走行装置(84L,84R)に駆動力を伝動する伸縮自在な伝動部材(78R)を前記調節アクチュエータ(89)の前方または後方に設け、
    前記左右の走行装置(84L,84R)を支持する伸縮自在な走行支持部材(90)を前記調節アクチュエータ(89)の前方または後方に設け、
    前記調節アクチュエータ(89)を伸縮させると該伝動部材(78R)と走行支持部材(90)が連動して伸縮することを特徴とする請求項1に記載の農作物収穫機。
  3. 前記伝動部材(78R)と走行支持部材(90)を連結部材(91)で連結し、該連結部材(91)の下側を前記調節アクチュエータ(89)が通過する構成としたことを特徴とする請求項2に記載の農作物収穫機。
  4. 前記左右の走行装置(84L,84R)を各々上下動自在に設け、
    前記調節アクチュエータ(89)の左右一側を左右の走行装置(84L,84R)のどちらか一方と連結すると共に、調節アクチュエータ(89)の左右他側に軸部材(89a)を設けて回動自在に構成し、
    前記左右の走行装置(84L,84R)の上下動に合わせて前記調節アクチュエータ(89)が回動することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の農作物収穫機。
  5. 前記左右の走行装置(84L,84R)よりも後方に機体を操作するための操作部材(8)を設け、
    前記調節アクチュエータ(89)を伸縮させる作動切替装置(92)を設け、該作動切替装置(92)を切替操作する切替操作部材(94)を設け、該切替操作部材(94)を操作部材(8)側に向けて屈曲する形状としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の農作物収穫機。
  6. 前記操作部材(8)よりも機体前側にエンジン(2)を設け、該エンジン(2)の左右一側に外気を吸入する吸気部材(2p)を設け、該エンジン(2)の左右他側に排気を放出する排気部材を設け、
    前記切替操作部材(94)は、該吸気部材(2p)側に配置することを特徴とする請求項5に記載の農作物収穫機。
  7. 前記引抜搬送装置(19)の後下部に収穫した作物から分離された茎葉部を受ける排葉受け部材(200)を設け、該排葉受け部材(200)から機体側方に排葉を圃場面に案内する排出案内部材(201)を設け、
    前記左右の走行装置(84L,84R)に駆動力を支持する左右の走行伝動機構(80L,80R)を上下回動自在に設け、
    該排出案内部材(201)が、排出案内部材(201)を設けた側の該走行伝動機構(80L,80R)の上方及び機体外側を覆うことを特徴とする請求項1から6に記載の農作物収穫機。
  8. 前記引抜搬送装置(19)に、該引抜搬送装置(19)と共に茎葉部を挟持して機体側方に案内する側方案内部材(20)を設け、
    前記排出案内部材(201)は、該側方案内部材(20)の前後幅及び左右幅よりも幅広く構成したことを特徴とする請求項7に記載の農作物収穫機。
  9. 前記排出案内部材(201)と排出案内部材(201)を設けた側の該走行伝動機構(80L,80R)を、排出部材(201)を下方に付勢する付勢部材(203)で連結したことを特徴とする請求項7または8に記載の農作物収穫機。
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