本発明の実施の形態について説明する。
図1から図27に示すのは、実施例の一つとして示す作物収穫機の一種である歩行型の玉葱収穫機である。本件発明では、機体の前進方向を基準として右側を左右一側、左側を左右他側と称するものとする。
図1から図4で示すとおり、機体フレーム1の後部にエンジン2とミッションケース3を内装する駆動ケース4を設け、該駆動ケース4の上部に燃料タンク5を設けるとともに、前部に分岐伝動ケース6を設ける。そして、該分岐伝動ケース6の前部に側面視「へ」の字形状の左右のハンドル支持フレーム7,7の基部を垂直姿勢で設け、該左右のハンドル支持フレーム7,7の屈曲部より上側を後上がり傾斜姿勢で配置し、該左右のハンドル支持フレーム7,7の後端部を平面視で「コ」の字形状のハンドル8で連結する。該ハンドル8は燃料タンク5よりも機体後方に突出させて配置し、該ハンドル8の左右両側にはサイドクラッチ機構(図示省略)を入切させるクラッチハンドル9,9を各々設ける。
さらに、図2及び図3で示すとおり、前記燃料タンク5の左右一側に機体の前後進及び走行速度を操作する走行操作レバー10を設けるとともに、左右他側に収穫作業の入切を切り替える作業操作レバー11を設ける。
そして、前記分岐伝動ケース6から前側上方に向かって左右の引抜駆動シャフト12,12を後下がり傾斜姿勢で設け、該左右の引抜駆動シャフト12,12の上端部に左右の引抜駆動プーリ13,13を各々装着するとともに、該左右一側の引抜駆動プーリ13よりも下側に排葉駆動プーリ14を装着する。また、前記左右の引抜駆動プーリ13,13の下部に前後方向の長辺を有する左右の引抜フレーム15,15を後上がり傾斜姿勢で各々設け、該左右の引抜フレーム15,15の前端部に左右の引抜従動プーリ16,16を各々回転自在に設ける。さらに、該左右の引抜従動プーリ16,16と左右の引抜駆動プーリ13,13の前後間に亘って複数の左右のテンションローラ17,17…を回転自在に設け、左右の引抜従動プーリ16,16と左右の引抜駆動プーリ13,13と左右のテンションローラ17,17…に玉葱の茎葉部を挟持して圃場から引き抜く左右の引抜搬送ベルト18,18を夫々巻回する。そして、前記左右の引抜フレーム15,15の上方に左右の引抜カバー19,19を左右の引抜フレーム15,15と平行姿勢、即ち傾斜角度を略同じとする後上がり傾斜姿勢で設けることにより、引抜搬送装置20が構成される。
また、前記排葉駆動プーリ14の下方に排葉フレーム21の基部側を設け、該排葉フレーム21の端部側を後側の左右一側に向けて突出させ、該排葉フレーム21の端部側に排葉従動プーリ22を回転自在に設ける。そして、該排葉駆動プーリ14と排葉従動プーリ22に排葉を引っ掛ける排葉ラグ23a…を複数設けた排葉搬送ベルト23を巻回するとともに、前記排葉フレーム21の上方に排葉カバー24を平行姿勢、即ち端部側を後側の左右一側に向けて突出させて配置することにより、排葉搬送装置25が構成される。
上記構成としたことにより、後述する切断回転刃49及び切断固定刃で切断した玉葱の茎葉部が引抜搬送装置20の終端部まで移動すると、茎葉部は排葉ラグ23a…に回収されて搬送され、機体左右一側に突出する排葉搬送装置25の搬送終端部から機外、または後述する右側駆動輪84R上に排出されるため、機体上に茎葉部が残ることが防止され、切断された茎葉部の除去作業が容易になり、メンテナンス性が向上する。
また、図1から図3、及び図6から図8に示すとおり、前記機体フレーム1の後側の左右一側に上下方向に長い支持プレート99を設け、該支持プレート99の上部に前記分岐伝動ケース6から左右一側に延出させた出力軸6aの左右一側端部を貫通させる。そして、該支持プレート99の左右一側、即ち機体外側に揺動ソイラ29を平面視で前後方向に回動させる回動ロッド100の基部を設けると共に、該支持プレート99の左右他側、即ち機体内側に揺動ソイラ29を機体前後方向に揺動させる揺動ロッド101の基部を設ける。
なお、該揺動ロッド101は、機体左右他側にも設け、左右他側の揺動ソイラ29も同様に揺動させる構成とする。 上記の左右の揺動ソイラ29,29は、玉葱の周囲の土を解す際、玉葱の下側近傍を往復移動する。これにより、玉葱の下部に生えているひげ状の根部(ひげ根)が、左右の揺動ソイラ29,29に接触してある程度引き千切られる。しかしながら、左右の揺動ソイラ29,29によるひげ根の除去作用は副次的なものであり、ひげ根が玉葱に残る量は安定しない。特に、左右の揺動ソイラ29,29の機体内側端部には間隔部があり、この間隔部の近傍が切り残されやすい。
このため、作業者は収穫した玉葱から手作業、または専用の機械を用いてひげ根を除去する必要があり、作業者に余分な労力を費やさせる問題がある。
上記の問題を解消すべく、図4、図6から図8に示す通り、左右の揺動ソイラ29,29の機体内側で且つ後側端部に、ひげ根に接触して切断する根切りバー29sを各々設ける。該根切りバー29s,29sは左右の揺動ソイラ29,29同士の左右間隔部に向けて突出させ、左右の該根切りバー29s,29s同士が左右間隔部で交差する構成とする。
なお、該根切りバー29s,29sは、ゴム等のある程度の硬度を有しつつ、負荷がかかると容易に変形できる弾性を有する物質で構成すると、過負荷で折れ曲がったり、玉葱に接触した際に玉葱を傷付けたりすることが防止される。
上記構成により、左右の揺動ソイラ29,29の左右間隔部に位置する玉葱のひげ根が左右の根切りバー29s,29sに接触して切断されるので、収穫した玉葱からひげ根を除去する作業が不要となり、作業能率の向上や、作業者の労力の軽減が図られる。
また、左右の根切りバー29s,29sを左右の揺動ソイラ29,29の後端部に設けることにより、左右の根切りバー29s,29sを交差させても高さの差が生じにくく、ひげ根の切断位置が乱れにくい。
なお、左右の根切りバー29s,29sは、金属や弾性の低い樹脂で構成し、外周を塩化ビニルやウレタン等の軟質材のカバーで覆う構成としてもよい。 図6から図8に示す通り、該回動ロッド100は、前記出力軸6aを挿し込む回動偏心カム100aと、該回動偏心カム100aに取り付ける前後方向の回動軸部100bで構成すると共に、該回動軸部100bの前端部にピローボール100cを設ける。また、該揺動ロッド101は、前記出力軸6aを挿し込む揺動偏心カム101aと、機体前側の取付ボス101cの間に揺動軸部101bを設けて構成する。
そして、前記回動ロッド100の前端部に設けるピローボール100cを、上下方向のソイラ回動アーム102の上部に設ける回動プレート103に設ける。該回動プレート103は、ソイラ回動アーム102の上端部に着脱自在に、且つ装着時は回動プレート103が回動するとソイラ回動アーム102が連動して回動する構成とする。また、該回動プレート103の左右一側(機体外側)には回動連結ピン103aを設け、該回動連結ピン103aをピローボール100cに差し込んで連結する。
これにより、回動ロッド100は、出力軸6aによって回転されると、揺動偏心カム100aの偏心回転によって前後方向に往復移動し、この前後の往復移動によってピローボール100cと連結される回動プレート103が平面視で前後方向に往復回動し、回動プレート103の下部に設けられたソイラ回動アーム102を連動して前後方向に往復回動させる構成となる。
さらに、ソイラ回動アーム102の下部には、二又形状のソイラ支持アーム105を上下方向に設け、該ソイラ支持アーム105の二又部分に揺動ソイラ29の上部側を差し込み、ソイラ支持アーム105と揺動ソイラ29に各々形成した連結孔(図示省略)を合わせ、この連結孔にボルト・ナット等の固定部材29aを差し込んで揺動ソイラ29を固定する。該揺動ソイラ29は、下部側を引抜搬送域R側に屈曲させて正面視でL字形状(逆L字形状)に形成し、畝の側方から土中に進入させる構成としている。
なお、前記連結孔は、ソイラ支持アーム105または揺動ソイラ29のどちらか一方、または両方に上下方向に複数形成し、組み合わせる連結孔を変更することによって、揺動ソイラ29の作業高さを変更可能に構成すると、収穫する作物の上下長さや土中の埋没深さ、あるいはマルチフィルムの有無等の条件に合った適切な高さに設定することができ、収穫対象の作物を傷付けることなく土が解せるため、作物の品質が維持されると共に、作業能率が向上する。
なお、少なくともピローボール100cと回動連結ピン103aの連結部に、保護カバー(図示省略)を設け、連結部に茎葉部や砂を噛み込むことによる回動動作の停止や、噛み込んだ砂等によりピローボール100cと回動連結ピン103aが摩り減ることを防止する。
そして、前記ソイラ回動アーム102の外周部で且つ、前記回動プレート103とソイラ支持アーム105の上下間に、中空のソイラ揺動ケース107を設ける。該ソイラ揺動ケース107の機体内側の上端部側には、前記揺動ロッド101の取付ボス101cを挿し込む揺動連結ピン106を設ける。
なお、前記ソイラ揺動ケース107が揺動ロッド101により前後方向に移動させられているときでも、前記ソイラ回動アーム102は回動ロッド100による回動プレート103の回動に連動して機体前後方向に往復回動できる構成とする。
これにより、揺動ロッド101は、出力軸6aによって回転されると、揺動偏心カム101aの偏心回転によって前後方向に往復移動し、ソイラ回動アーム102を前後方向に往復揺動させる構成となる。
上記の構成により、出力軸6aが回転すると、回動ロッド100が前後方向に往復移動され、この往復移動に伴いソイラ回動アーム102が平面視で前後方向に往復回動することにより、ソイラ支持アーム105に設けられた揺動ソイラ29を平面視で前後方向に回動させることができるので、揺動ソイラ29の基部側から端部側に亘って土を確実に掘り解すことができ、複数条の玉葱を引き抜く際に土が抵抗になることが防止され、作業能率が向上する。
特に、揺動ソイラ29の取付基部から機体内側方向に離れた位置に植生している玉葱、即ち畝の左右方向の中央寄りに植生している玉葱の周囲の土が解れやすくなるので、引抜作業能率が向上すると共に、玉葱の抜き残しが防止され、作業者が手作業で玉葱を収穫する時間と労力が軽減される。
加えて、揺動ソイラ29が左右一側のソイラ回動アーム102を支点として回動することにより、揺動ソイラ29の左右他側ほど回動量が多くなるので、土を解す前後幅が広くなり、土の掘り解しがいっそう確実に行われ、玉葱の引抜収穫作業の能率が向上する。
また、出力軸6aが回転すると、揺動ロッド101が前後方向に往復移動されることにより、揺動ソイラ29を前後方向に揺動させることができるので、土の抵抗に負けることなく畝土が解され、玉葱が引き抜き損なわれることが防止され、作業者が玉葱を掘り取る作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
さらに、揺動ロッド101による揺動ソイラ29の前後方向の揺動と、回動ロッド100による揺動ソイラ29の前後方向の回動が複合して行われることにより、複数条の玉葱の周辺の土を確実に解すことができるので、複数条の玉葱を引き抜き損なうことなく収穫することができ、作業能率が向上すると共に、作業者が抜き残された玉葱を手作業で収穫する必要が無く、時間と労力が軽減される。
なお、該揺動ソイラ29は、機体の前進に伴い畝の中に進入し、畝土を土中から解すものであり、土中に植生する玉葱に接触することを防止すべく、玉葱の下方を通過させるものである。揺動ソイラ29が玉葱の下方を通過することにより、玉葱の下部から土中に伸びている細いひげ根に揺動ソイラ29を接触させ、このひげ根を土を解す際に切断することができるので、収穫後の玉葱からひげ根を除去する作業の労力が軽減される。
しかしながら、従来の構成では、土質や玉葱の生育状態等により、土が解れにくいときには、揺動ソイラ29の取付基部から離れている畝の中央寄りに植生する玉葱の周囲では、揺動ソイラ29が殆ど前後に往復揺動していないので、土が解れにくく玉葱の引き抜き損ないが発生すると共に、ひげ根が切断されず、収穫後に多く残ったひげ根を除去しなければならず、除去作業に要する時間と労力が増加する問題がある。
玉葱のひげ根は、鱗茎下部の中央に細い根が無数に生えているものであるが、商品価値を有する可食部に近い位置に生えているので、可食部を傷付けずに切除するには精密な切断が必要となるので、多く残っているほど除去作業に要する時間と労力が増大する傾向にある。
本願構成では、揺動ソイラ29を回動ロッド100によって平面視で前後方向に回動させる構成とし、ソイラ回動アーム102を支点として揺動ソイラ29の端部側が基部側よりも大幅に前後回動する構成としているので、揺動ソイラ29で畝の中央部寄りの土を掘り崩しながら玉葱のひげ根の除去が行えるため、収穫した玉葱からひげ根を除去する労力と時間の軽減が図られる。
また、本構成では、ソイラ回動アーム102の外周部にソイラ揺動ケース107を設け、揺動ロッド101がソイラ揺動ケース107を前後方向に往復移動させても、ソイラ回動アーム102は回動プレート103の回動に連動して回動する構成としたことにより、揺動ソイラ29の前後方向の往復揺動と前後方向の往復回動が互いの動作を妨げ、畝土の解しやひげ根の除去の能率が低下することを防止できる。
なお、前記揺動ソイラ29の作業高さは、ソイラ支持アーム105と揺動ソイラ29に各々形成した連結孔を合わせ、この連結孔にボルト・ナット等の固定部材29aを差し込んで揺動ソイラ29を固定することで調節できるが、畝の高さや玉葱の植生位置に合わせる際、大幅に上下位置を変える必要があると、上記の調節方法では対応し切れないことがある。
この問題を解消すべく、本件においては、図1から図3、及び図6、図7で示す通り、前記機体フレーム1の後側の左右一側で且つ左右一側の駆動輪84Rよりも左右他側に、下方に向けて調節支持プレート108を設け、該調節支持プレート108に上下調節シリンダ109の後側の端部を回動自在に取り付ける。該上下動調節シリンダ109の伸縮を操作する上下調節レバー(図示省略)は、前記走行操作レバー10の近傍に設ける。そして、該上下調節シリンダ109の前側の端部を中継回動アーム110の下部に回動自在に設け、該中継回動アーム110の上部に上下調節アーム111の後側の端部を設けると共に、該上下調節アーム111の前側の端部を前記ソイラ揺動ケース107に連結する。
このとき、該上下調節アーム111の前側の端部は、揺動ソイラ29の上下調節量を大きく取るべく、ソイラ揺動ケース107の上下中央位置よりも下側で、且つソイラ支持アーム105よりも上方に設けるものとする。また、上下調節アーム111の前側の端部は、二又の分岐支持体111aで構成し、該分岐支持体111aの空間部にソイラ揺動ケース107を配置し、左右から調節回動軸112,112をソイラ揺動ケース107に接触させて回動可能に構成する。
これにより、前記上下調節シリンダ109を伸縮させると、中継回動アーム110が前後方向に回動すると共に、上下調節アーム111が連動して前後方向に移動してソイラ揺動ケース107を上下動させる構成となる。
なお、前記上下調節シリンダ109は、電動式でも油圧式でもよいが、ハンドルを回すと伸縮する伸縮ロッド(図示省略)に置き換えると、操作に必要な労力は増加するものの、通電用のケーブルや送油用のパイプが不要になり、コストダウンを図ることができる。
上記により、畝の高さや玉葱が埋没している土中の深さに合わせて揺動ソイラ29の作用位置を適切に変更することができるので、揺動ソイラ29が土中の玉葱に接触して傷付けてしまうことが防止され、玉葱の商品価値が向上する。
また、揺動ソイラ29が玉葱から上下方向に離れ過ぎ、玉葱の周囲の土が解れず、玉葱が引き抜かれずに圃場に残ることを防止できるので、作業者が玉葱を手作業で収穫する必要が無く、作業者の労力が軽減される。
さらに、玉葱のひげ根が切断されないまま引抜収穫されることを防止できるので、収穫後の玉葱からひげ根を除去する作業に要する時間と労力の軽減が測られる。
上記の構成により、4条植えの作業条件においては、2条分の玉葱の周辺の土を解して引抜収穫しやすくすると共に、ひげ根を除去して収穫後の調製作業に要する労力を軽減することが可能となる。
そして、前記引抜搬送装置20の前端部に設けた左右の引抜従動プーリ16,16の左右の回転軸16a,16aの上端部を左右の引抜カバー19,19を貫通させて上方に突出させ、該左右の回転軸16a,16aの上端部に左右の入力プーリ31,31を機体前側部分に内装した左右の伝動ケース34,34を後上がり傾斜姿勢で左右の引抜カバー19,19の上部に設ける。また、該左右の伝動ケース34,34の後側に左右の出力プーリ32,32を回転自在に各々内装するとともに、該左右の入力プーリ31,31と左右の出力プーリ32,32に左右の伝動ベルト33,33を各々巻回する。
そして、前記左右の出力プーリ32,32の上部側に左右の第1ユニバーサルジョイント35,35の下端部を装着し、該左右の第1ユニバーサルジョイント35,35の上端部に左右の横引起し駆動プーリ36,36を各々装着するとともに、該左右の横引起し駆動プーリ36,36を装着する左右の横引起しフレーム37,37を後上り傾斜姿勢で配置する。該左右の横引起しフレーム37,37の後上がり傾斜角度は、前記左右の引抜フレーム15,15の後上がり傾斜角度よりも大きく設定する。そして、該左右の横引起しフレーム37,37の下端部に左右の横引起し従動プーリ38,38を各々回転自在に設け、該左右の横引起し駆動プーリ36,36と左右の横引起し従動プーリ38,38の上下間に複数の横引起しテンションプーリ(図示省略)を設ける。さらに、左右の横引起し駆動プーリ36,36と左右の横引起し従動プーリ38,38と複数の横引起しテンションプーリにゴムやスポンジ等の弾性体で構成する複数の横引起しラグ39a…を等間隔に設けた左右の横引起しベルト39,39を巻回し、該左右の横引起しベルト39,39の上方に前記左右の横引起しフレーム37,37と平行姿勢で左右の横引起しカバー40,40を各々設けることにより、横引起し装置41が構成される。
なお、前記左右の横引起しベルト39,39に設けた横引起しラグ39,39…は、先端部同士が引抜搬送装置20の引抜搬送域Rに近接するとともに互いに接触しない位置に配置する。
上記構成により、横引起しラグ39a,39a同士が接触することが防止されるので、接触の衝撃で引き起こし中の茎葉部が落下することが防止され、引抜搬送装置20で確実に玉葱を圃場から引き抜くことができ、作業能率が向上する。
また、前記左右の出力プーリ32,32の下部側に左右の第2ユニバーサルジョイント42,42の上端部を設け、該第2ジョイント42,42の下端部に左右の肩揃え駆動プーリ43,43をそれぞれ設ける。そして、該左右の肩揃えプーリ43,43の上部及び下部に、左右の上部肩揃えフレーム44,44と左右の下部肩揃えフレーム45,45の前端部を設け、該左右の上部肩揃えフレーム44,44と左右の下部肩揃えフレーム45,45の後端部に左右の肩揃え従動プーリ46,46を各々回転自在に装着し、該左右の肩揃え駆動プーリ43,43と左右の肩揃え従動プーリ46,46に左右の肩揃えベルト50,50を無端状に巻回する。
さらに、前記分岐伝動ケース6のうち、機体左右方向中央部よりも機体左右他側に第1切断伝動ケース47aを回動自在に設け、該第1切断伝動ケース47aの前端部に第2切断伝動ケース47bを回動自在に設けると共に、該第2切断伝動ケース47bの前端部に切断ベベルケース48を、機体左右方向に配置する。そして、該切断ベベルケース48の端部に、玉葱の茎葉部を切断する切断回転刃49を着脱自在に設け、左右一側または左右他側の上部肩揃えフレーム44上に切断固定刃(図示省略)を着脱自在に設けることにより、引抜搬送装置20で搬送中の玉葱の上昇を下部肩揃えフレーム45,45で制限し、茎葉部の切断位置を所定位置に揃えてから切断する、肩揃え装置51が構成される。
なお、前記第1切断伝動ケース47a及び第2切断伝動ケース47bは、上下方向に回動させることにより、切断回転刃49の切断高さを変更自在に構成することができ、玉葱を圃場で天日乾燥させる際には茎葉部を僅かに(約3〜5cm)残す切断高さとし、玉葱を乾燥機等に吊るして乾燥させる際には、玉葱を吊るすための茎葉部を大幅に(約10〜20cm)残す切断高さとする。
上記構成により、切断位置が所定位置に揃えられてから茎葉部が切断回転刃49と切断固定刃に切断されるので、茎葉部が大きく切り残されて作業者が後から手作業で茎葉部を切断する作業が不要となるので、作業者の労力が軽減されるとともに、作業能率が向上する。
また、玉葱が持ち上げられ過ぎ、切断回転刃49と切断固定刃が玉葱の球形部分、所謂可食部を切断することを防止できるので、玉葱が傷付くことがなく、玉葱の商品価値が維持される。
なお、該切断固定刃は引抜搬送域R上で切断回転刃49と重なり合うことにより、玉葱の茎葉部を挟んで切断する構成となり、茎葉部を逃がすことなく切断することができるので、玉葱に茎葉部が切断されずに残り、作業者が手作業で残葉を切断する作業が不要となる。
ただし、玉葱の茎葉部切除する際、球形部分の近傍から切除すると商品価値を有する可食部が傷付き、品質や商品価値の低下を招くので、茎葉部の下端部側は僅かに切り残されるものとする。
また、切断回転刃49と切断固定刃を着脱自在に設けたことにより、玉葱の乾燥作業を吊り下げて行うときは、茎葉部を切断することなく掘り起こすことができるので、作業条件の適応性の高い作物収穫機となる。
前記肩揃え装置51の左右中心の後側には、前記分岐伝動ケース6から駆動力を受けて回転する案内駆動プーリ52を設けた案内駆動ケース55を後下がり傾斜姿勢で且つ後部側を上下回動自在に設け、該案内駆動ケース55の後側下部に案内従動プーリ53を夫々回転自在に設け、該案内駆動プーリ52と案内従動プーリ53に案内ベルト54を巻回して、案内装置56を形成している。
なお、該案内装置56を構成する案内ベルト54には、外周縁部に等間隔毎にラグ(図示省略)を設け、切り残された茎葉部を受けて玉葱を畝上に案内し、玉葱の茎葉部と根部(ひげ根)が、圃場面に接触しない姿勢で畝上に排出案内ものとする。
畝上に排出案内された玉葱の茎葉部と根部が、圃場面に接触しない姿勢となることにより、土に触れた根部が伸びて土中に入り込み、回収時に軽い力で圃場から離れなくことが防止される。また、根部が伸びると、その分玉葱の養分が消費されるので、玉葱の品質が低下するが、この品質低下も防止される。
そして、切断後に残っている茎葉部が圃場面に接触していないことにより、手作業で玉葱を回収するときに作業者が玉葱を掴み易くなり、回収作業の能率が向上する。
上記構成により、マルチフィルム等を畝上に敷設して玉葱を栽培しており、移植作業の際に形成する穴部の周縁部と茎葉部が絡み合い、玉葱の引抜収穫の際にマルチフィルムを一緒に持ち上げることがあっても、案内装置56がマルチフィルム越しに玉葱に接触して後側下方に案内することができるので、玉葱が落下する際にマルチフィルムが極端に重なり合うことが防止され、マルチフィルムの除去作業が容易になるとともに、畝上に掘り起こした玉葱の回収作業が容易になる。
また、案内装置56の後部側を上下方向に回動可能に構成したことにより、マルチフィルムを敷設しない露地栽培の玉葱を収穫するときなど案内装置56が不要なときには案内作用部を機体フレーム1側に退避させることができるので、様々な作業条件に適応可能な作物収穫機となる。
上述のとおり、案内装置56はマルチフィルムに接触し得るので、マルチフィルムの破損を防止すべく、案内ベルト54はゴムよりもスポンジ等の摩擦力の弱い素材で構成することが望ましい。
上記の案内装置56で排出される玉葱は、収穫前に植生していた畝上に落下し、収穫作業後、または天日乾燥後に回収される。しかしながら、正常な玉葱は球状であることにより、排出された際に畝上を転がり、左右の駆動輪84L,84Rやゲージ輪73、及び玉葱の回収作業を行うトラクタ等の作業機の走行装置が通過する畝溝に落下することがある。また、一つの畝に3条または4条の玉葱が植え付けられている畝において、1,2条目の玉葱を収穫する際に、排出される玉葱が、未収穫側、即ち3,4条目の玉葱の植生する側に移動することがある。
畝溝に玉葱が落ちていると、作業者は玉葱の収穫作業や回収作業を行う前に、畝溝内の玉葱を畝上に拾い上げる作業が必要になるので、作業能率が低下すると共に、作業者の労力が増大する問題がある。
そして、畝溝に玉葱が落ちていることに作業者が気付かず、左右の走行輪84L,84Rやゲージ輪73、またはトラクタ等の作業機の走行装置が玉葱を踏み潰し、商品価値を失わせてしまうので、収穫量が減少する問題がある。
また、未収穫側の畝上に玉葱が転がり落ちると、縦引起し装置63や横引起し装置41、引抜搬送装置20による茎葉部の引起しや挟持引抜搬送を畝上に転がる玉葱が妨げるので、玉葱の抜き残しが発生して作業者が手作業で玉葱を引き抜く必要が生じ、作業者の労力が増大する問題がある。
さらに、縦引起し装置63や横引起し装置41、引抜搬送装置20が転がっている玉葱に接触し、玉葱を傷付け、商品価値を低下させてしまう問題がある。
上記の問題を解決すべく、図1、図3及び図5で示す通り、肩揃え装置51の左右一側と、左右一側の引抜フレーム15とに、案内装置56から排出される玉葱の畝溝への落下を防止しつつ畝上に案内する第1ガイドプレート133を設けると共に、前記肩揃え装置51の左右他側に未収穫側の条に玉葱が落下することを防止する第2ガイドプレート134を設ける。
前記第1ガイドプレート133と第2ガイドプレート134は、正面(背面)視において、機体上側ほど左右間隔が広くなる傾斜姿勢で各々配置する。このとき、前記第1ガイドプレート133と第2ガイドプレート134の下端部の左右間隔は、標準的なサイズの玉葱2個分に相当する、200〜300mm程度とすると、第1ガイドプレート133と第2ガイドプレート134の左右間隔が最も狭い箇所を、2個の玉葱が左右方向に並んで通過する際、間隔部に詰まって機体後方に移動されなくなり、作業を中断して詰まりを解消する必要が無く、作業能率が向上する。
また、前記第1ガイドプレート133と第2ガイドプレート134は、各々ゴム等の、強い力がかかると弾性変形し得る材質で構成する。このとき、前記第2ガイドプレート134の下端部は圃場面から離間させ、前記第1ガイドプレート133の下端部は、圃場面、より正確には、畝の端部に接触させる接地部133bを形成する構成とする。
なお、第1ガイドプレート133のうち、圃場面に接触する接地部133bは、他の箇所よりも厚みを薄くしたり、複数の切れ目を入れて撓み易くしたりして、接地圧が高くなると屈曲変形する構成とすると、第1ガイドプレート133が走行抵抗になって走行速度を低下させ、作業能率を低下させることや、第1ガイドプレート133が接触抵抗で破損することが防止される。
そして、前記第2ガイドプレート134は、肩揃え装置51の搬送始端部から搬送終端部よりも後方位置、具体的には案内装置56の案内駆動プーリ52の配置位置に亘る前後長さとする。一方、第1ガイドプレート133は、肩揃え装置51の搬送始端部から分岐伝動ケース6の下方に亘る前後長さとし、該分岐伝動ケース6の下方に、左右他側に向けた屈曲案内部133aを形成する。
上記の構成により、肩揃え装置51で切断位置を揃えられ、切断回転刃49で茎葉部を切断され、案内装置56によって畝上に排出案内される玉葱は、第1ガイドプレート133と第2ガイドプレート134によって、引抜収穫される前に植生していた、収穫作業の終わった状態の畝上に載置されることになる。これにより、玉葱が畝溝や収穫作業が行われていない側に転がることが防止される。
従って、畝溝に落ちた玉葱を拾い集める作業が必要なくなり、次の玉葱の収穫作業や、畝上の玉葱の回収作業を必要なときに行うことができるので、作業能率が向上すると共に、作業者の費やす労力が軽減される。
そして、畝溝内に玉葱が無いことにより、左右の駆動輪84L,84Rやゲージ輪73、またはトラクタ等の作業機の走行装置が玉葱を踏み潰すことがなく、玉葱の収穫量が減ることが防止される。
また、玉葱が収穫作業を行っていない側に転がることを防止できるので、縦引起し装置63や横引起し装置41、引抜搬送装置20による玉葱の引抜収穫作業が妨げられることがなく、作業能率が向上する。
さらに、縦引起し装置63、横引起し装置41及び引抜搬送装置20が、転がっている玉葱を打撃、または圧迫して傷付けることを防止できるので、玉葱の商品価値が維持される。
そして、第1ガイドプレート133の上下長さを、下端部が畝上に接触する長さとしたことにより、サイズの小さい玉葱が畝溝に移動する隙間が無くなるので、玉葱が畝溝に落ちることが確実に防止される。
また、第1ガイドプレート133の前後長さを、第1ガイドプレート133の後端部が分岐伝動ケース6の下方に位置する長さとしたことにより、機体を前進走行させていても、案内装置56から排出されて後方に向かって転がる玉葱を第1ガイドプレート133で受けて、畝溝に落下することを防止できるので、玉葱を拾う作業が不要となり、作業者の労力の軽減や作業能率の向上、収穫量の減少の防止が図られる。
さらに、第1ガイドプレート133の後端部に左右他側に向かう屈曲案内部133aを形成すると共に、第2ガイドプレート134の後端部を案内装置56の搬送方向上手側までとしたことにより、サイズの大きい玉葱が並んだ際、第2ガイドプレート134の後端部から玉葱が側方に移動することができるので、第1ガイドプレート133と第2ガイドプレート134との間に玉葱が詰まることが防止される。
これにより、玉葱が引き摺られ、圃場面との摩擦抵抗で傷付くことを防止できるので、玉葱の商品価値が維持される。 また、畝上に排出された玉葱が密集しにくくなるので、天日乾燥させる際には風通しや日当たりが良くなるので、乾燥に要する期間が短縮される。
そして、図1から図4に示すとおり、前記分岐伝動ケース6の左右他側に第2分岐伝動ケース6aを設け、該第2分岐伝動ケース6aの前部から機体前方に向かって引起し出力軸57を設け、該引起し出力軸57の前端部に駆動力を左右他側から左右一側に向かう方向に変更するベベルケース58aを装着する。該ベベルケース58aの内部には、一対のベベルギア(図示省略)が内装されており、この一対のベベルギアを介して出力ケース内の引起し出力軸57の駆動力を縦引起し伝動軸58に伝達する。そして、該縦引起し伝動軸58の左右一側端部と左右他側端部と左右方向の略中央部に縦引起し駆動プーリ59,59,59を各々装着し、該縦引起し駆動プーリ59,59,59の左右両側を覆う縦引起しカバー60,60,60を後上がり傾斜姿勢で且つ上下回動自在に装着する。また、該縦引起しカバー60,60,60の下端部に縦引起し従動プーリ61,61,61を各々設け、該縦引起し駆動プーリ59,59,59と縦引起し従動プーリ61,61,61に圃場に倒伏している玉葱の茎葉部を引き起こす縦引起しラグ62a…を複数設けた縦引起しベルト62,62,62を巻回して、縦引起し装置63を構成する。
なお、前記縦引起し装置63の後上がり傾斜角度は、前記横引起し装置41の後上がり傾斜角度と略同じ傾斜角度とする。これにより、縦引起し装置63が引き起こした茎葉部が縦引起しラグ62a…から離れるタイミングで横引き起こし装置41の横引起しラグ39a…に引き継がれるので、茎葉部を確実に引き起こして引抜搬送装置20の搬送始端部に案内でき、玉葱の収穫作業能率の向上が図られる。
そして、左右の縦引起しカバー60,60の下部側に、引き起こされた茎葉部が横引起し装置41に引き継がれるまでに垂れ落ちることを防止する垂れ下がり防止カバー60a,60aを各々設け、該左右の垂れ下がり防止カバー60a,60aの端部側を、中央の縦引起しカバー60に向かって傾斜、あるいは屈曲させて配置する。
これにより、縦引起し装置63で引き起こした茎葉部が垂れ下がり、横引起し装置41に引き継がれなくなることを防止できるので、茎葉部が引抜搬送装置20に挟持されずに玉葱が抜き残されることが防止され、抜き残された玉葱を作業者が手作業で引き抜く必要がなくなる。
また、左右の垂れ下がり防止カバー60a,60aの後端部を中央部の縦引起しカバー60に向けて配置することにより、茎葉部が垂れ下がり防止カバー60a,60aに案内されるので、横引起し装置41の掻き込み範囲から離れることが防止され、確実に茎葉部が横引起し装置41に引き継がれる。
さらに、前記縦引起し伝動軸58の左右一側端部にゲージ輪昇降ケース70を設け、該ゲージ輪昇降ケース70の下部に中空の上部アーム71を設け、該上部アーム71の中空部にゲージ輪73を回転自在に装着する下部アーム72を上下動自在に設ける。また、該上部アーム71と下部アーム72に、パンタグラフ機構74の上下端部を各々設けると共に、前記駆動ケース4に固定プレート75を設ける。そして、該固定プレート75と前記ゲージ輪昇降ケース70の後部の間に前後長の調節が可能なターンバックル76を設け、該ターンバックル76を伸張または収縮させて前記下部アーム72を上下動させるゲージ輪調節ハンドル77を設ける。
上記構成としたことにより、畝溝に垂れ下がっている収穫畝上の玉葱の茎葉部をゲージ輪73が踏み付ける前に引き起こすことにより、縦引起し装置63や横引起し装置41が確実に玉葱の茎葉部を引き起こすことができるので、引き起こされた茎葉部を引抜搬送装置20で挟持して土中から引き抜くことができ、作業者が手作業で残された玉葱を引き抜く作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
また、収穫畝上の玉葱の茎葉部と隣接畝上の玉葱の茎葉部が畝溝に垂れ下がって絡み合っていても、茎葉部同士を持ち上げて絡み合いを解くことができるので、隣接条の玉葱を半端に引き上げることが防止され、引抜搬送装置20で確実に玉葱を引き抜くことが可能になる。
そして、ゲージ輪調節ハンドル77を操作してゲージ輪73を設けた下部アーム72を上昇または下降させることにより、横引起し装置41や引抜搬送装置20の作用位置を玉葱の生育状態や畝の高さに合わせて変更することができるので、茎葉部の引き起こしや引抜搬送が確実に行われ、作業能率が向上する。
また、機体の走行姿勢を安定させるべく、図13及び図14で示す通り、ゲージ輪73を駆動回転させる構成としてもよい。
前記縦引起し伝動軸58の機体左右一側端部(右側端部)に延長駆動軸58eを設け、該延長駆動軸58eの端部に延長駆動軸58eからの駆動力を伝動する走行補助伝動ケース137を設け、該走行補助伝動ケース137の下端部に機体内側に向かって突出するゲージ輪車軸138を設ける。そして、該ゲージ輪車軸138に、前記ゲージ輪73を装着する。
なお、前記走行補助伝動ケース137は、中空パイプ137pの上下に各々エルボー137e,137eを設け、該中空パイプ137pの内部に伝動シャフト137sを設ける。そして、該伝動シャフト137sの上端部と前記延長駆動軸58の右側端部とに一対のベベルギアを噛み合わせた入力ベベルギア機構137viを設け、該伝動シャフト137sの下端部と前記ゲージ輪車軸138の右側端部とに一対のベベルギアを噛み合わせた出力ベベルギア機構137voを設けて構成する。入力ベベルギア機構137viは、上側のエルボー137e内で一対のベベルギアを噛み合わせ、出力ベベルギア機構137voは、下側のエルボー137e内で一対のベベルギアを噛み合わせる。
上記構成により、走行補助伝動ケース137を介してゲージ輪73を駆動回転させることができるので、ゲージ輪73が圃場の凹凸や接地抵抗によって左右(ヨーイング)方向に回動することが防止され、圃場面の状態によって機体の進行方向が乱され、引抜搬送装置20が玉葱を圃場から引き抜き損なうことが防止される。これにより、作業者は抜き残された玉葱を回収する作業を行う必要が無く、労力の軽減や作業能率の向上が図られる。
前記縦引起し伝動軸58を中空の多角形状、例えば六角形状で構成すると共に、延長駆動軸58eを同様の多角形状に形成して縦引起し伝動軸58の中空部に摺動自在に構成すると共に、縦引起し伝動軸58と延長駆動軸58eとに孔部を複数形成し、この孔部にボルト等の固定部材を通して摺動を規制する構成としても良い。
上記構成では、固定部材を外して延長駆動軸58eを左右方向に摺動させると、ゲージ輪73の左右位置を容易に変更することができるので、畝の幅を基準とする適切な位置にゲージ輪73を接地させて走行させられ、ゲージ輪73が畝に接触して畝を崩して玉葱を畝溝に落下させることや、畝に接触した際に左右(ヨーイング)方向にゲージ輪73が回動し、進行方向が左右にずれて玉葱の引抜収穫作業の能率が低下することが防止される。
また、後述する左右駆動輪84L,84Rのトレッドを調節した際、ゲージ輪73を走行バランスが取り易い位置に移動させることにより、進行方向の安定性がいっそう図られる。
次に、本機の走行伝動系の構成を示す。
図1から図4に示すとおり、前記駆動ケース4の左右一側に右側出力軸78Rを設け、該右側出力軸78に走行駆動スプロケット79を装着し、該走行駆動スプロケット79を右側走行伝動ケース80Rの上端側に内装する。そして、該右側走行伝動ケース80Rを後上がり傾斜姿勢とし、機体前側に位置する右側走行伝動ケース80Rの下端側に走行従動スプロケット81を回転自在に内装し、該走行駆動スプロケット79と走行従動スプロケット81に走行伝動チェーン82を巻回する。
なお、走行伝動チェーン82の巻回域内にテンションスプロケットを設けたり、負荷がかかると走行伝動チェーン82から退避して駆動を停止させて破損を防止するクラッチ機構を設けてもよい。
また、前記走行従動スプロケット81に車軸83を装着し、該車軸83に右側駆動輪84Rを設ける。さらに、前記右側走行伝動ケース80Rの後側上端部に左右の支持プレート85、85を設け、該左右の支持プレート85、85と前記上部フレーム71の後部との間に調節ロッド86を回転自在に設け、該調節ロッド86を回転させて右側走行伝動ケース80Rの後上がり傾斜角度を変更するスイング調節ハンドル87を装着する。該調節ロッド86の前端部には、上部フレーム71を前後回動自在に取り付ける。
上記構成によれば、スイング調節ハンドル87を操作して右側走行伝動ケース80Rの後上がり傾斜角度を変更すると、右側駆動輪84Rの上下位置が変更されるため、傾斜地や畝が崩れた圃場で作業をするときは右側駆動輪84Rの上下位置を変更して機体を圃場面に対して略水平姿勢とすることができるので、玉葱の茎葉部の引き起こしや玉葱の引き抜きが確実に行われるため、抜き残した玉葱を作業者が手作業で引き抜く作業が不要となり、作業者の労力が軽減される。
また、調節ロッド86の前端部に上部フレーム71を上下回動自在に装着したことにより、スイング調節ハンドル87を操作して右側走行伝動ケース80Rを上下回動させると上部フレーム71が連動して前後回動するので、右側駆動輪84Rの上下位置に連動してゲージ輪73の接地高さを変更することができ、調節作業を容易に行えるとともに、縦引起し装置63の茎葉部の引起し高さが自動的に適切な位置に調節されるので、引抜搬送作業が能率よく行われる。
なお、前記右側駆動輪84Rは、車軸83を受けるフランジにスポークを120度ごとに配置し、該スポークを円形のリムで各々受けると共に、リムの外周にゴム等で構成するタイヤを装着して構成している。
そして、図1から図4、及び図9に示す通り、前記右側駆動輪84Rの機体内側で、且つ右側走行伝動ケース80Rとの間に、右側駆動輪84Rと略同じ径のホイールキャップ130を設け、右側駆動輪84Rの機体内側を覆わせる。該ホイールキャップ130は、車軸83に取付孔部(図示省略)を合わせて装着し、機体内側から右側駆動輪84Rの空間部に土砂や切断された茎葉部が入り込むことを防止する。なお、ホイールキャップ130は、右側駆動輪84Rのリムやスポークにフックを引っ掛けたり、ボルト等の固定部材で固定したりしてもよい。
また、前記ホイールキャップ130は、右側駆動輪84Rに装着する側の径を基準として、機体内側の右側走行伝動ケース80R側ほど小径となる構成とすることにより、円錐形となる。これにより、断面視では台形となり、機体上側と下側には、機体外側から機体内側に向かう案内傾斜部131a,131aが各々形成される。
上記のホイールキャップ130を設けたことにより、排葉搬送装置25から排出されて落下する茎葉部や、玉葱を掘り起こした際に崩れた畝の土砂が右側駆動輪84Rのスポーク等に絡み付いたり、右側駆動輪84Rに付着したりすることを防止できるので、絡み付いた茎葉部や付着した土砂の除去作業が不要となり、機体の清掃に要する時間と労力が軽減される。
加えて、切断や踏み付けにより茎葉部が傷付いた際に生じる、強い臭気や腐食性を有する液の付着を防止することができるので、付着した液の除去作業に要する時間と労力が軽減される。
また、ホイールキャップ130が断面視で台形となると共に、上部と下部に各々案内傾斜部131a,131aが形成される形状であることにより、作業中に排葉搬送装置25から排出された茎葉部はその時点で右側駆動輪84Rの上側、即ち、車軸83を中心として機体前後方向に伸びる線を中心とする機体上側半分の面に接触すると、この傾斜面131a,131aに沿って機体内側に案内され、右側駆動輪84Rから遠ざかる位置に案内されるので、茎葉部がいっそう絡み付きにくくなる。
なお、図9に示す通り、傾斜面131aは、ホイールキャップ130の円周面に連続して形成されるものであり、実際のホイールキャップ130は車軸83を中心として窄まる形状となる。
さらに、断面視で上側と下側に各々同一角度の案内傾斜部131a,131aが形成されていることにより、右側駆動輪84Rが回転していても常時茎葉部の案内作用を奏することができるので、右側駆動輪84Rの回転位置によって茎葉部が引っ掛かりやすくなることが防止される。
なお、このホイールキャップ130は、ゴム等の比較的硬度を有しながらも、加圧されると容易に変形でき、且つ加圧されなくなると元の形状に容易に戻る物質で構成すると、玉葱が接触して傷付くことが防止されると共に、畝や圃場面に接触した際にホイールキャップ130が破損することが防止される。
しかしながら、前記ホイールキャップ130の断面視における案内傾斜部131aは、機体内側に向かって茎葉部を案内する形状であるので、茎葉部は回転するホイールキャップ130にはじき飛ばされたり、風によって飛ばされたりして、玉葱が載置されている畝上に移動することがある。畝上に玉葱を載置するのは、収穫作業後に一斉に収穫する、または回収前に天日乾燥させることを目的としているので、切断された茎葉部が玉葱の上に載っていると、回収した玉葱から茎葉部を選り分ける作業が増えると共に、玉葱に太陽光や風が当たりにくくなり、天日乾燥に要する時間が長くなる問題がある。
これを防止すべく、図1から図4、及び図9に示す通り、前記右側走行伝動ケース80Rから機体内側に向けて車軸83を延設して延設部83aを形成し、該延設部83aに排葉案内ディスク132を設ける。該排葉案内ディスク132は、ホイールキャップ130と同一または類似の形状である。具体的に言えば、機体内側の径が大きく、機体外側に向かうほど小径となる円錐形状であり、断面形状が台形であり、断面視の上下には機体内側から外側に向かって下方に傾斜する案内傾斜部132a,132aが形成されている。よって、排葉案内ディスク132は、ホイールキャップ130と同一の部品を、左右対称となるように延設部83aに配置する構成としてもよい。
なお、断面視における傾斜面132aは、排葉案内ディスク132の円周面に連続して形成されるものであり、実際の排葉案内ディスク132は延設部83aを中心として窄まる形状となる。
あるいは、ホイールキャップ130と排葉案内ディスク132のどちらか一方の径を他方の径よりも小径とし、茎葉部がホイールキャップ130と排葉案内ディスク132の左右間隔部に入り込んでも抜け落ちやすい構成とすると、ホイールキャップ130と排葉案内ディスク132の間に詰まった茎葉部を除去する作業に要する時間と労力が軽減される。ホイールキャップ130は右側駆動輪84Rの径にあわせる必要があると共に、排葉案内ディスク132が設けられる右側走行伝動ケース80Rと引抜搬送装置20の左右間は狭く、且つ他の構成部品があるので、排葉案内ディスク132をホイールキャップ130よりも小径にすることが望ましい。
この排葉案内ディスク132は、ホイールキャップ130と同様に、比較的硬度を有しながら、加圧されると容易に変形し、且つ加圧されなくなると元の形状に戻るゴム等で構成するとよい。特に、排葉案内ディスク132は畝に接近する位置に配置されるので、玉葱や畝と接触する機会が多いので、玉葱の傷付き防止効果、及び排葉案内ディスク132の破損防止効果がいっそう発揮される。
さらに、排葉案内ディスク132は、玉葱が肩揃え装置51で搬送中に茎葉部を切断されて畝上に落下したとき、落下の勢いで畝溝に移動しようとする玉葱を畝内に留める落下防止板としても機能するので、畝溝に落ちた玉葱を踏み潰すことが防止され、玉葱の収穫量が減少することが防止されると共に、畝溝に落下した玉葱を拾い集める作業が不要となり、作業者の労力の軽減や、作業能率の向上が図られる。
上記に加えて、前記ホイールキャップ130を右側駆動輪84Rには固定せず、ベアリング等を介して車軸83に自由回転(フリー回転)可能に設けると共に、該車軸83の延設部83aに排葉案内ディスク132を、車軸83の回転に連動して回転するように装着してもよい。
ホイールキャップ130が右側駆動輪84Rの回転の影響を受けず、自由回転できるように設けられることにより、回転よって圃場の土砂を上方に持ち上げることを防止できるので、持ち上げた土砂が機体の各部に付着することが防止され、土砂の除去作業に要する時間と労力が軽減されると共に、土砂の詰まりによる破損が防止される。
また、機体内側に設ける排葉案内ディスク132は右側駆動輪84Rの回転駆動に連動して回転することにより、排葉搬送装置25から排出された茎葉部を排葉案内ディスク132で機体前側に案内させて圃場面に落下させることができるので、茎葉部が機体に絡み付いて残ることが防止され、除去作業に要する時間と労力の軽減が図られる。
このとき、ホイールキャップ130及び排葉案内ディスク132に排出案内される茎葉部は、右側走行伝動ケース80Rの上に移動しやすいので、該右側走行伝動ケース80Rの上面を平坦に構成する。
右側走行伝動ケース80Rは機体前側に向かう下り傾斜姿勢で設けられるので、上部を平坦に構成していると、落下した茎葉部が機体前側に向かって滑り落ちやすくなるので、茎葉部の圃場への排出が確実に行われる。
また、図10(a)及び図10(b)に示す通り、ホイールキャップ130及び排葉案内ディスク132のどちらか一方、または両方の表面に、円錐形、球形等の排葉突起135a…を無数に形成したり、無数の排葉毛体135b…を設けたりして、茎葉部がホイールキャップ130及び排葉案内ディスク132に張り付いたままになることを防止しても良い。
あるいは、図11及び図12で示す通り、前記右側走行伝動ケース80を、右側駆動輪84Rよりも機体外側に配置し、該右側駆動輪84Rを右側走行伝動ケース80の機体外側に向かって伸びる車軸83に設ける構成とし、右側駆動輪84Rと引抜搬送装置20(あるいは機体フレーム1)との左右間に、ホイールキャップ130と排葉案内ディスク132とを左右対称となるように所定間隔を空けて設ける構成とすることもできる。
該ホイールキャップ130と排葉案内ディスク132は、機体内側に向かって伸びる延設部83aに、該延設部83aの回転駆動に連動して回転するように設ける。このとき、ホイールキャップ130と排葉案内ディスク132の左右間には、延設部83aの駆動回転には連動しないカラー136を、自由回転可能に設ける。
なお、前記ホイールキャップ130と排葉案内ディスク132には、第1幅調節溝部130aと第2幅調節溝部132aを各々形成し、前記カラー136を第1幅調節溝部130aまたは第2幅調節溝部132aのいずれか一方の内部、両方の内部、または両方の外部に移動させて、ホイールキャップ130と排葉案内ディスク132との左右間隔を変更可能に構成してもよい。
上記の構成で示す通り、右側走行伝動ケース80Rが右側駆動輪84Rよりも機体外側に配置されることにより、右側走行伝動ケース80Rが茎葉部の排出案内を妨げる位置にいないので、茎葉部がホイールキャップ130と排葉案内ディスク132の左右間隔部から圃場に落下しやすくなるので、いっそう絡み付いた茎葉部の除去に要する時間と労力が軽減される。
また、カラー136を第1幅調節溝部130a及び第2幅調節溝部132aに移動させることにより、ホイールキャップ130及び排葉案内ディスク132を延設部83aに沿って左右移動させ、左右間隔が変更可能となるので、茎葉部の太さや量に合わせて左右間隔が決定でき、茎葉部がホイールキャップ130と排葉案内ディスク132の左右間隔部に詰まることが防止される。
あるいは、ホイールキャップ130と排葉案内ディスク132との左右間隔部の左右位置を調節することができるので、茎葉部を畝上から離れた位置に排出して畝上に茎葉部が乗りにくくしたり、茎葉部を右側駆動輪84Rから離れた位置に排出して右側駆動輪84Rに絡み付きにくくしたりできる。
図2及び図3で示すとおり、機体左右他側の第2分岐伝動ケース6aの左右他側端部に左側出力軸78Lを左右方向にスライド自在に設け、該第2分岐伝動ケース6aの後部に取付プレート88を設け、該取付プレート88と駆動ケース4とでトレッド調節シリンダ89の固定側89aを支持する。そして、前記左側出力軸78Lに走行駆動スプロケット79を装着し、該走行駆動スプロケット79を左側走行伝動ケース80Lの上部に内装する。さらに、該左側走行伝動ケース80Lを後上がり傾斜姿勢とし、機体前側に位置する左側走行伝動ケース80Lの下端側に走行従動スプロケット81を回転自在に内装し、該走行駆動スプロケット79と走行従動スプロケット81に走行伝動チェーン82を巻回する。また、前記走行従動スプロケット81に車軸83を装着し、該車軸83に左側駆動輪84Lを設ける。
そして、前記トレッド調節シリンダ89の移動側89bを該左側走行伝動ケース80Lの上端部に連結し、トレッド調節シリンダ89を伸張させると移動部89bと左側伝動軸78Lが左右他側方向に移動して左側走行伝動ケース80Lが機体フレーム1から離間し、右側駆動輪84Rと左側駆動輪84Lの左右間隔が広くなる構成とする。一方、前記トレッド調節シリンダ89を収縮させたときは、移動部89bと左側伝動軸78Lが左右一側方向に移動して左側走行伝動ケース80Lが機体フレーム1に接近し、右側駆動輪84Rと左側駆動輪84Lの左右間隔が狭くなる構成とする。
上記構成により、畝の左右幅に合わせて左側駆動輪84Lの左右位置を変更することができるので、畝の左右幅の異なる圃場で作業をするときに左側駆動輪84Lを畝上を移動させる必要が無く、安定した姿勢で玉葱の引抜収穫作業が行え、作業能率が向上する。
また、機体を軽トラック等の荷台に積み込むときや、倉庫等に収容する際には左右の駆動輪84L,84Rの左右間隔を限界まで狭くすることにより、機体の左右幅を短くすることができるので、機体の積み込み作業や収納作業が能率よく行える。
なお、前記右側駆動輪84Rの内周部には、隣接条から垂れ下がっている玉葱の茎葉部がスポークや車軸83に絡み付くことを防止するホイールカバーを着脱自在に設けると、茎葉部が絡み付いて隣接条の玉葱を引き抜いてしまい、引抜搬送装置20で引抜収穫できなくなることが防止され、作業能率が向上する。
土中に植生する玉葱は、苗の移植作業時の設定によりある程度決まった深さに位置するが、畝は形成作業や、その後の風雨等の影響で全体で高さが異なるので、揺動ソイラ29の上下高さを変更しないと、土が十分に解れない、根が多く残る等の問題が一部で生じる可能性がある。
上記の問題を防止すべく、図19、図20で示す通り、前記上下調節アーム111の機体前部で且つ二又の分岐支持体111aよりも後側に、揺動ソイラ29の上下位置を検知するポテンショメータ113を設けた検知回動アーム114を設け、該検知回動アーム114の回動支点である左右方向の回動軸115の下方に、圃場面に接地する接地回転体116を設ける。該接地回転体116は、接地抵抗により回転するローラ116aと、該ローラ116aが圃場の凹凸を通過する際、ローラ116aを上下動させて前記検知回動アーム114を上下回動させるスプリング116bで構成し、微細な圃場の凹凸は該スプリング116bによって無視し、大きな圃場の凹凸は該スプリング116bの伸縮によって過度の抵抗がかかり破損することを防止する構成としている。
前記ポテンショメータ113が検知する回動検知アーム114の回動角度が変化すると、角度の変化量に合わせて前記上下調節シリンダ109が伸張または収縮し、上下調節アーム111を上下回動させて揺動ソイラ29の上下位置を微調整する構成とする。
そして、前記回動プレート103の上部に、前記揺動ソイラ29の上下位置を示す上下方向のソイラ高さマーカ117を設け、前記回動検知アーム114の回動軸115の上部に、該ソイラ高さマーカ117の姿勢を支持すると共に、圃場面からの基準高さを示すインジケータ118を上下方向に設ける。該インジケータ118は、側面視で上端部を機体前側に折り曲げ部118aを形成したL字形状であり、この折り曲げ部118aにはU字形状の空間部が形成してあり、この空間部から前記ソイラ高さマーカ117の上部側が露出する構成とする。該ソイラ高さマーカ117の上部側には複数の目盛りを付しておき、前記インジケータ118の上端部から突出した長さから、作業者が揺動ソイラ29の作業深さを読み取る構成とする。
また、前記インジケータ118の上端部側に上下方向の長孔119を形成し、該長孔1
19に少なくとも2つの深さ検知センサ120d,120sを設ける。該深さ検知センサ
120d,120sは光電センサや近接センサで構成するものであり、前記インジケータ
118の前側に長孔119に沿って上下方向に移動自在に設け、該インジケータ118の
後側に深さ検知センサ120d,120sの移動を規制する蝶ボルト等の固定部材を設け
て、各々の上下位置を調節自在に配置する。
なお、一方の深さ検知センサ120dは揺動ソイラ29の作業高さが「深い」側にある
ことを検知し、他方の深さ検知センサ120sは揺動ソイラ29の作業高さが「浅い」で
あることを検知するものであるので、長孔119には深さ検知センサ120d,120s
の上下移動範囲を規制する仕切板を設けると、検知位置の設定が行いやすくなる。
また、上記では2つの深さ検知センサ120d,120sで「浅い」「深い」を検知する構成としているが、深さ検知センサを3つ以上設けて、より細かく深さを検知する構成としてもよい。
そして、前記インジケータ118の前側で且つ折り曲げ部118aの下方で、前記深さ検知センサ120d,120sが揺動ソイラ29の深度を認識する被検知リング121を前記ソイラ高さマーカ117に取り付ける。玉葱の引抜収穫作業中に、前記深さ検知センサ120d,120sのどちらかが該被検知リング121を検知すると、前記上下調節シリンダ109を所定量伸張または収縮させ、上下調節アーム111を上方または下方に回動させて、揺動ソイラ29の上下位置を調節する構成とする。
なお、走行が停止している、または引抜搬送装置20や縦引起し装置63等が停止しているときには、前記深さ検知センサ120d,120sが被検知リング121を検知しても、上下調節シリンダ109を伸縮させない構成とする。上記の判断は、走行操作レバー10や作業操作レバー11の操作位置で判断するものとする。
前記ソイラ高さマーカ117は、ワイヤ等の屈曲性のある金属を塩化ビニル等の樹脂でコーティングしたものや、ゴムや合成樹脂等で構成する弾性材料で構成し、前記インジケータ118と接触しても屈曲することで双方の破損を防止できる構成とする。また、該ソイラ高さマーカ117の上端部には、前記深さ検知センサ120d,120sのどちらかが検知状態になったときに点灯、または点滅して検知を作業者に視覚的に通知する、LED等の検知灯122を設ける。
また、該検知灯122の点灯や点滅は、前記検知回動アーム114の回動角度を検知するポテンショメータ113が、回動角度の変化を検知し、上下調節シリンダ109を伸縮させる際にも作動するものとする。このとき、検知灯122を上下2段に設け、上段が深さ検知センサ120d,120sが被検知リング122の検知時に点灯し、下段がポテンショメータ113の角度変化の検知時に点灯する構成とすると、作業者はどの高さ制御が行なわれているかを把握しやすくなる。あるいは、一つの検知灯122の点滅パターンを異ならせてもよい。
なお、該検知灯122への通電は、ソイラ高さマーカ117に沿ってケーブルを配置する方式以外に、ソイラ高さマーカ117を構成するワイヤを用いる方式としてもよい。このとき、ワイヤは絶縁性の高いゴムや合成樹脂によるコーティングまたはカバーを設けて、通電部が露出しない構成とする。
上記構成により、上下調節シリンダ109を伸縮させて揺動ソイラ29の上下位置を変更する際、作業者はインジケータ118とソイラ高さマーカ117の位置関係を見ながらどの程度上下移動させているかを把握することができるので、揺動ソイラ29の作業高さ調節が容易になり、玉葱の周辺の土を確実に解して引抜収穫しやすくすると共に、玉葱のひげ根が切断されやすくなり、収穫後の調製作業に要する時間と労力が軽減される。
また、接地回転体116を圃場面に接触させ、凹凸によりポテンショメータ113が検知する回動検知アーム114の角度が変化すると、上下調節シリンダ109が伸縮して揺動ソイラ29の上下位置を微細に変化させることにより、圃場の凹凸による揺動ソイラ29の作用位置を適切な位置に合わせることができるので、揺動ソイラ29が玉葱に接触して玉葱を傷付けることが防止され、玉葱の商品価値の低下が防止される。
一方、揺動ソイラ29が玉葱から下方に離れ過ぎることを防止できるので、収穫作業時にひげ根が切断されやすくなり、収穫後の調製作業に要する時間と労力が軽減される。
また、深さ検知センサ120d,120sのどちらか一方が被検知リング121を検知するほどの大きな凹凸があるとき、深さ検知センサ120d,120sが被検知リング121を検知すると同時に上下調節シリンダ109を伸縮させ、揺動ソイラ29の作業高さを「浅い」側、または「深い」側に移動させることができるので、大幅な揺動ソイラ29の作業高さの変更が必要な状況でも作業高さを適切な位置に自動調節できることにより、玉葱が傷付いて商品価値が低下することが防止されると共に、収穫後の調製作業が容易に行える。
なお、深さ検知センサ120d,120sが検知状態になると、ポテンショメータ113が検知する回動検知アーム114の角度変化による上下調節シリンダ109の動作に優先して、上下調節シリンダ109の伸縮が行われる制御構成とする。
さらに、深さ検知センサ120d,120sが検知状態になると、検知灯122が点灯、または点滅して検知状態を作業者が視覚的に認識できることにより、作業者は揺動ソイラ29の上下位置が自動調節されていることを把握して引抜収穫作業ができるので、上下調節レバーを不要なタイミングで操作することが無くなり、作業能率が向上する。
上記において、揺動ソイラ29の形状は正面視L字形状としているが、図21に示す通り、前記ソイラ支持アーム105に取り付ける上下方向の取付部29zと、玉葱の下方に進入して土を解すと共にひげ根を除去する左右方向の作用部29yの間に、正面視V字形状の屈曲部29xを形成する。
該屈曲部29xは、前記取付部29zから機体左右他側に向かって20〜30度傾斜する上下傾斜部29wと、該上下傾斜部29wの下端部から前記作用部29yの機体左右一側端部に向かって上方傾斜する左右傾斜部29vからなる。上記の形状は、揺動ソイラ29を曲げ加工して形成するものである。
また、揺動ソイラ29が土中に食い込みやすくすべく、平面視において揺動ソイラ29を機体外側端部から機体内側端部に向かって5度程度後退させる構成とする。この後退角は、前記左右傾斜部29vを形成する際に平面視で機体後側に端部を向けて形成する。
さらに、前記上下傾斜部29wを形成する際、上下傾斜部29wの端部が機体前側を向く方向に曲げ加工することにより、揺動ソイラ29の基部側が先行して土中に進入する構成となる。
上記構成により、揺動ソイラ29の上下傾斜部29wと左右傾斜部29vの境界、即ち屈曲部29xが部分が先行して畝に進入すると共に、作用部29yを後退姿勢で畝土内を移動するので、土の抵抗による揺動ソイラ29の解し作用やひげ根切り作用の低下が防止され、作業能率が向上すると共に、収穫後の調製作業に要する時間と労力が軽減される。
また、畝の側面下部から揺動ソイラ29を進入させることができるので、敷設されているマルチフィルムの下方から土を解すことができるので、玉葱を圃場から掘り抜いた後マルチフィルムを回収する作業が行えるようになり、作業対応性が幅広くなる。
本件玉葱収穫用の農作物収穫機について、玉葱を掘り起こすソイラの変形例を下記の通り示す。
図15及び図16に示す通り、左右の縦引起しカバー60,60上にワイヤ受けローラ139,139を設け、ソイラ揺動ケース107に張力を調節するアジャスタ140を装着し、該ワイヤ受けローラ139,139とアジャスタ140に亘って揺動ワイヤ141を無端状に巻回する。
該揺動ワイヤ141は、左右どちらか一方のワイヤ受けローラ139から他方のワイヤ受けローラ139を経て下方に向かい、下方に向かう部分でアジャスタ140を介し、ソイラ揺動ケース107の下方を左右方向に通過して上方に折り返し、ワイヤ受けローラ139に戻ってくる、ループ状に張り巡らせる。
上記構成により、揺動ワイヤ141が2条分の玉葱の下方を通過し、玉葱の周囲の土砂を揺動してほぐすことができるので、玉葱が圃場から引き抜きやすくなり、玉葱が圃場に抜き残されることが防止される。
また、アジャスタ140で揺動ワイヤ141の張力を変更することにより、圃場の土質に合わせて揺動ワイヤ141の揺動量を変更することができるので、玉葱の周囲の土砂を確実に解して確実に引抜できるようにすることができる。
そして、玉葱の周囲の土砂の解しを揺動ワイヤ141で行うことにより、簡単に交換ができるので、破損の際、交換する作業に要する時間と労力が軽減される。
なお、図17及び図18で示す通り、揺動ワイヤ141の基部を、機体左右他側のワイヤ受けローラ139に変えてワイヤ巻回ドラム142とすることにより、より長いワイヤを搭載することができるので、アジャスタ140による張力の調整範囲が広くなると共に、土砂との接触で傷んだ部分をニッパーや金切鋏等で切断し、未使用の揺動ワイヤ141を引き出して土解し作用させることができるので、交換作業がさらに容易になる。
また、前記揺動ワイヤ141は前後方向に複数本並べて配置してもよい。複数本並べることによって前後方向に土解し範囲が広くなるので、土解し作用がさらに向上し、確実に玉葱を圃場から引き抜くことができる。