JP2015140542A - 遮熱シート防火設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】火災発生時に遮熱シートの両側とガイドレールとの間を簡易な構成によって確実に遮蔽することにより、火炎、火炎熱や輻射熱に対する断熱性能を高めことができる遮熱シート防火設備を提供する。【解決手段】建築物の開口部1を遮熱シートにより覆うように設置される防火装置は、屈曲可能な耐熱性を有する遮熱シート3の左右両端に抜け止め部3aを形成し、開口部1の両側に設けたガイドレール4の空間部に内装されるとともに、遮熱シート3の厚さよりも大きく抜け止め部3aの厚さよりも小さい幅を有するガイド溝4aに沿って上下動可能に案内される。抜け止め部3aは、遮熱シート3の外端側に屈曲可能な帯状シートを重合して構成され、帯状シートの外端側のみを固着するとともに、内端側の一部がガイド溝4aの幅よりも大きくなるような自由状態に構成され、帯状シートの外端側を屈曲させることによりガイド溝4aを封止するように構成する。【選択図】図1
Description
本発明は、建築物の延焼等を防止するための防火装置に関し、詳しくは、窓等の建築物の開口部に設置されて、火災発生時の火炎熱や輻射熱を遮熱するための遮熱シートを用いた防火設備に関する。
従来から、近隣から火災が発生した場合に、延焼を阻止するための防災手段が講じられている。特に、耐火建築物、準耐火建築物や防火地域または準防火地域にある建築物においては、建築基準法、建築基準法施行令、国土交通省告示等で、延焼のおそれのある外壁の開口部について、炎を遮り延焼を防止するために、防火戸(防火設備)の使用が義務づけられている。防火設備は大別して防火サッシと防火シャッターに分けられる。通常、防火サッシに使用されるガラスは、耐火試験による加熱20分、かつ加熱中の熱膨張よって割れない低膨張防火ガラス、耐熱強化ガラスおよび耐熱結晶化ガラス、網入りガラスを用いるようになっている。しかしながら、耐熱性を有するガラスを用いて閉鎖状態を保持した場合であっても、容易に輻射熱が室内に侵入し、室内温度の上昇、カーテンや内装材の発火、発煙等、非難活動に支障をきたしている。また、サッシの多くは、構造体がアルミニウムや樹脂または木材でできているため、火災時の熱による強度の低下、変形、溶融または燃焼が生じることから、前記素材による防火設備の開発が困難を極めているのが現状である。
このような現状から、サッシ等を設けた開口部からの延焼を防止するために、防火性能を備えた防火用のシャッターを設けることが提案されている。この防火用シャッターとしては、防火防炎用の遮熱シートを用いたシャッター装置が、特開平7−301065号公報(特許文献1)、特開平11−182159号公報(特許文献2)、特開2001−204835号公報(特許文献3)、及び、特開2007−111207号公報(特許文献4)などによって種々提案されている。
上述した特許文献1乃至特許文献4は、遮熱シートを用いたシャッターを窓等に覆うことにより、延焼を防止することができるとしている。しかし、延焼による熱風圧が遮熱シートに加わる際、遮熱シートをガイドレールから引き抜く方向の外力が発生するため、このような遮熱シートを用いる場合には、遮熱シートを両側に設けたガイドレールにより案内し、遮熱シート及びガイドレールが一体となり火炎の進入を防止すべきところであるが、遮熱シート自体は防火防炎を行うことが可能であっても、遮熱シートの両側とガイドレールとの間に隙間が生じた場合には、この隙間から炎や熱風が流通することから、延焼を防止することが困難になる。このため、特許文献1乃至特許文献4においては、遮熱シートを密閉ゴムによって遮蔽することや、開閉体を設けて遮蔽すること、遮熱シートの側縁部に係止部材を取り付けて遮蔽すること、または、押さえ部材を開閉可能に設けて遮蔽することが開示されている。
しかしながら、遮熱シートを密閉ゴムによって遮蔽するものは、密閉ゴムの耐熱性などに問題があることから、十分な遮熱性能が得られない問題がある。また、開閉体を設けて遮蔽するものは、延焼時における開閉体が長年不使用の場合に動作しない恐れがある。さらに、押さえ部材を開閉可能に設けて遮蔽するものは、やはり長年不使用の場合に押さえ部材が動作しない恐れがある。これら特許文献1乃至特許文献4に開示された遮熱シートの両側とガイドレールとの間を遮蔽する手段は、いずれも遮熱シートに別途遮蔽装置を設けることから、構成が複雑であり、製造を含めたコストが高くなる問題を有してした。
本発明が解決しようとする課題は、火災発生時に遮熱シートの両側とガイドレールとの間を簡易な構成によって確実に遮蔽することにより、火炎熱や輻射熱の透過防止性能を高めることができる遮熱シート防火設備を提供することにある。
そこで、本発明による遮熱シート防火設備は、建築物の開口部を遮熱シートにより覆うように設置される防火設備であって、前記遮熱シートは、屈曲可能な耐熱性を有する無機質素材からなり、左右両端には抜け止め部が形成され、この抜け止め部は、前記開口部の両側に設けられたガイドレールの空間部に内装されるとともに、前記遮熱シートの厚さよりも大きく前記抜け止め部の厚さよりも小さい幅を有するガイド溝に沿って上下動可能に案内され、前記抜け止め部は、前記遮熱シートの外端側に屈曲可能な帯状シートを重合して構成され、前記帯状シートの外端側のみを固着するとともに、内端側の一部が前記ガイド溝の幅よりも大きくなるような自由状態に構成され、前記帯状シートの外端側を屈曲させることにより前記ガイド溝を封止することを要旨としている。
また、遮熱シートの抜け止め部は、前記遮熱シート自体の端縁を所定寸法折り返すことにより重合して帯状シートを形成し、折り返した端縁の外端側のみを固着し、内端側を自由状態とすることが望ましい。
さらに、遮熱シートは、ロール状に巻回されて開口部の上部に設置され、前記遮熱シートの前端部の左右両端をガイドレール内に内装することが望ましい。
さらにまた、ガイドレールは、開口部としての窓の室内側に設けられ、ロール状に巻回されて前記窓の上部に設置し、遮熱シートをロールカーテンとして兼用させて、前記窓を覆うように設置しても良い。
本発明によれば、遮熱シートの抜け止め部が、遮熱シートの外端側のみを固着するとともに内端側を自由状態としているので、遮熱シート自体で抜け止め部を構成することができる。この抜け止め部をガイドレールの空間部に内装し、遮熱シートが引っ張られることにより、自由状態とした内端側がガイド溝の幅よりも大きいことから離脱不能となって屈曲することから離脱が阻止されるとともに、屈曲部分がガイド溝を封止することから、火災発生時に遮熱シートの両側とガイドレールとの間を確実に遮蔽することができる。このように、抜け止め部を遮熱シートの外端側に屈曲可能な帯状シートを重合することにより構成しているので、抜け止め部をコンパクトに形成でき、しかも、コストを低減することができる。従来一般に使用されている金属製のシャッターや防火性能を有するサッシは、地震等によって建物に歪みが生じた場合には、金属製シャッターや防火サッシにも歪みが生じて動かなくなり、この歪みにより動作不良や隙間の発生、ガラスの割れ、或いは脱落が発生して防火装置としての機能を失うことになるが、遮熱シートを用いた場合は、建物に歪みが生じた場合であっても、遮熱シート自体が歪みを吸収することから、防火装置として動作させることが可能となる。また、遮熱シートを屋内に設置できるので、開口部の屋外側に設置するサッシの材質や形状が自由に選べ、従来の外部に設置するシャッターに比べ風雨による劣化が無く、点検メンテナンスも容易になる。
また、抜け止め部を遮熱シート自体の端縁を所定寸法折り返して重合することにより帯状シートを形成すると、抜け止め部を遮熱シートによって形成できるので、構成が簡易になってコストを低減することが可能となる。しかも、折り返しによって内端側を自由状態とすると、自由状態の部分をガイド溝の幅よりも大きな高さを有する顕著な略波状に形成でき、しかも、自由状態部分を屈曲したときにガイド溝を確実に封止することができる。
さらに、遮熱シートをロール状に巻回し、一般に使用されるロールカーテンと同様にコンパクトに収納することができ、しかも、遮熱シートの左右両端をガイドレールのガイド溝内に格納することにより、通常の風によって舞い上がることが防止されるので、安全性も確保することが可能となる。このように、遮熱シートをロール状に巻くと、厚く形成されている抜け止め部に円周差が生じ、巻回した状態では自由状態部分が略波状になるが、この抜け止め部がガイドレールに内装すると、略波状の部分がガイド溝の幅よりも大きいことから更に抜け難い状態となる。
さらにまた、遮熱シートをロール状に巻回すことにより、一般に使用されるロールカーテンと同様の構成として、火災発生時以外は遮熱シートをロールカーテンとして兼用させて使用することが可能となる。そして、火災発生時には、特別な訓練を必要とせずに日常使用しているロールカーテンと同様に操作して窓を覆うことにより、遮熱シート防火設備として機能させることができる。
本発明による遮熱シート防火設備は、建築物の開口部を遮熱シートにより覆うように設置される防火装置であって、前記遮熱シートは、屈曲可能な耐熱性を有する無機質素材からなり、左右両端には抜け止め部が形成され、この抜け止め部は、前記開口部の両側に設けられたガイドレールの空間部に内装されるとともに、前記遮熱シートの厚さよりも大きく前記抜け止め部の厚さよりも小さい幅を有するガイド溝に沿って上下動可能に案内され、前記抜け止め部は、前記遮熱シートの外端側に屈曲可能な帯状シートを重合して構成され、前記帯状シートの外端側のみを固着するとともに、内端側の一部が前記ガイド溝の幅よりも大きくなるような自由状態に構成され、前記帯状シートの外端側を屈曲させることにより前記ガイド溝を封止するように構成されている。
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。図1及び図2は、本発明による遮熱シート防火装置の実施例を示している。
建築物には開口部1が設けられ、この開口部1には図1及び図2において点線で示すようにサッシ2が周知の取付方法によって取り付けられている。図示のサッシ2は、アルミニウム製、木製、或いは樹脂製の一般に市販されている既製のサッシである。そして、建築物の屋外側には、防火構造の外壁が設置されている。一方、開口部1の室内側の周囲には、仕上げ用ボード等が設けられ、サッシ2を取り付けるために設けられた両側の間柱または窓枠には、遮熱シート3の上下動を案内するためのガイドレール4が左右両側に各々取り付けられている。
遮熱シート3は、シリカファイバーシート、バサルトシート、炭素繊維シート、ガラスファイバーシート、或いは、アラミド繊維シート、などの摂氏200度以上の高耐熱性を有する厚さが0.6mm〜1.5mm程度の屈曲可能な無機質素材によってシート状に形成された耐熱性を有する不燃シートから選択され、好ましくは、最も高耐熱性を有するシリカファイバーシートが好適である。シリカファイバーシートは、シリカ(Si02)を主成分とした無機質繊維のシートであり、市販品(例えば、アントジャパン株式会社製)は、シートの厚さが0.65mm〜1.1mmであり、柔軟性を有している。また、耐熱温度は、瞬間耐熱温度が約摂氏1650度、連続耐熱温度が約摂氏1000度と高耐熱性を有している。また、バサルトシートは、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄をはじめとする無機物を含む玄武岩を主成分としたシートであり、連続耐熱温度が約摂氏650度と高耐熱性を有している。その他、炭素繊維シートは、約摂氏500度、ガラスファイバーシートは、約摂氏200度、アラミド繊維シートは、約摂氏300度の連続耐熱温度を有している。
なお、遮熱シート3としては、上述した耐熱性を有する各種の不燃シート単体であっても火炎熱や輻射熱を遮断することができるが、さらに熱遮断性能を付加するには、加熱熱膨張シートを遮熱シート3に表面に貼付することが望ましい。加熱熱膨張シートとしては、商品名フィブロック(積水化学工業株式会社製)、商品名SKタイカシ−ト(エスケー化研株式会社製)、或いは、これと同等以上の膨張断熱性能を持つ加熱膨張複合材が好適である。この加熱膨張性シートは、樹脂成分に対して、熱膨張性無機物、無機充填材を含有させた素材からなり、通常の室温環境下では膨張することはないが、摂氏200度以上の加熱により5〜40倍に膨張して断熱層を形成するものである。また、加熱膨張シートの厚さは、後述するように遮熱シート3をロール状に巻くことから、約1.0mm程度が好ましい。
この遮熱シート3は、開口部1を覆うように横と縦の長さが設定されている。また、遮熱シート3は、ロール状に巻回されて、図2に示すように、開口部1の室内側の上部に設置した収納カバー5に収納されていて、駆動用チェーン5bを駆動することにより、遮熱シート3を巻き付けた巻き芯5aが回転して遮熱シート3を上下動させることができる。この構成は、一般に周知のロールカーテンと同じであり、遮熱シート3の先端を下げたときに、図3に示すように、開口部1としての窓の室内側を完全に覆うようにしている。このように構成することにより、遮熱シート3を一般のロールカーテンとして兼用させることができ、火災発生時以外のときは、ロールカーテンとして使用できる。なお、遮熱シート3の先端には、重り6が取り付けられている。この重り6は、駆動用チェーン5bを駆動して遮熱シート3を下降させたときに確実に開口部1の下端位置に到達させるためのものであり、遮熱シート3の重量が比較的大きく円滑に下降する場合には、重り6を省略しても良い。また、ロール状に巻回された遮熱シート3を収納する収納カバー5は無くても良い。さらに、ロール状に巻回された遮熱シート3は、開口部1の上部の位置であれば、壁内や天井内に納めるようにしても良い。
遮熱シート3の左右両端には、各々抜け止め部3aが形成されている。抜け止め部3aは、図4に示すように、遮熱シート3自体の端部を所定寸法折り返すことにより一体に帯状シートの部分を形成している。この折り返しによって形成する帯状シート部分の幅は、後述するガイドレール4の空間部4bの横幅よりも小さい寸法に設定され、抜け止め部3aが空間部4bを移動できるようにしている。図4は、遮熱シート3に形成される一方側の抜け止め部3aを示し、図示左方の折り返された側が外端側3bであり、右方が内端側3cである。そして、遮熱シート3の折り返しによって形成した帯状シート部分の外端側3bのみが固着され、内端側3cは自由状態として先端に至るに従って遮熱シート3の表面から離れている。固着する手段としては、耐熱性を有する糸により縫製することが望ましい。固着手段としては、他に接着剤、金具を用いても良い。このように、抜け止め部3aが遮熱シート3を折り曲げるだけの簡易な構成のため、抜け止め部3aがコンパクトに形成され、これにより、コストの低減及びスリムな視観が可能となる。
なお、図4に示した抜け止め部3aは、遮熱シート3自体の端部を折り返して帯状シートを形成するようにしたが、所定寸法の幅を有する遮熱シート3と同じ素材のシート、或いは、屈曲可能な耐熱性を有する他の素材からなる帯状シートを遮熱シート3の左右両端に各々重合させ、上述した実施例と同様に外端側のみを固着し、内端側3cを自由状態とするように構成しても良い。
ここで、抜け止め部3aにおける外端側の固着寸法L1に対して、内端側3cの自由状態の寸法L2は、図4に示すように、概ね3倍の幅に設定することが望ましい。このような比率にすることにより、図5に示すように、自由状態の部分が略波状のような大きなうねりが形成され、遮熱シート3の厚さt1よりも大きな見掛けの厚さt2に増大する。内端側3cの自由状態の部分の厚さt2は、後述するガイドレール4のガイド溝4aの幅よりも大きくなり、これにより自由状態の部分が引っ掛かり抜け止め部3aとして機能させることができる。なお、遮熱シート3の端部を折り曲げる寸法は、後述するガイドレール4の寸法により適宜に設定され、少なくとも自由状態の部分に略波状のうねりが形成される寸法とすることが望ましい。
開口部1には高さ方向の全長にわたってガイドレール4が左右両側に各々取り付けられている。このガイドレール4は、例えば耐熱性の高いステンレスからなり、断面形状が中空の四角形に形成されていて、内部に遮熱シート3の抜け止め部3aを内装するための空間部4bが形成され、左右両側のガイドレール4が対向する面にはガイド溝4aが形成されている。ガイド溝4aは、遮熱シート3の厚さt1よりも大きく、抜け止め部3aの自由状態の内端側3c部分の見掛けの厚さt2よりも小さい幅に設定されている。このように構成することにより、遮熱シート3の抜け止め部3aがガイド溝4aに案内されて上下動することができる。このとき、抜け止め部3aの内端側3cの自由状態の部分がガイド溝4aの幅よりも大きいことから、図5に示すように、抜け止め部3aがガイド溝4aから離脱することがない。
次に、本発明からなる遮熱シート防火装置の動作について説明する。火災発生時に、遮熱シート3が巻き上げられて収納カバー5に収納されている場合には、駆動用チェーン5bを駆動して一般のロールカーテンと同様に遮熱シート3を下降させ、開口部1としての窓の室内側を完全に覆う。遮熱シート3の先端側の抜け止め部3aは、予め左右両側のガイドレール4に内装されているので、先端に取り付けた重り6の重量によって円滑に下降させることができる。遮熱シート3が下降するとき、抜け止め部3aの内端側3cの自由状態の部分がガイド溝4aの幅よりも大きいことから、抜け止め部3aがガイド溝4aから離脱することなく下降する。
その後、火災による火炎熱や輻射熱によって、サッシ2のガラスや枠が損壊、焼失または溶解する。前述したように、サッシ2が耐火性能のない一般に市販されている既製のサッシの場合には、摂氏200度以上に加熱されると10分程度で焼失または溶解する。これにより、火災による火炎熱や輻射熱が直接遮熱シート3に当てられ、摂氏200度以上に加熱される。このとき、熱風により遮熱シート3が室内側に押され、抜け止め部3aがガイド溝4aから離脱しようとする。また、例えばシリカファイバーシートは、高温加熱することによって寸法が1〜7%程度縮むことが知られている。このシリカファイバーシートを使用した場合も遮熱シート3が縮むことにより、抜け止め部3aがガイド溝4aから離脱しようとする。
このとき、図6(A)に示すように、平常時には、抜け止め部3aがガイドレール4の空間部4b内に止まっていた状態から、熱風圧により遮熱シート3が押されたとき、或いは、遮熱シート3の寸法が縮んだときは、抜け止め部3aの内端側3cの自由状態部分が屈曲し、この屈曲部分によってガイド溝4aを封止する。この結果、火炎熱や輻射熱がガイドレール4との隙間から室内に流入することを阻止することができる。また、遮熱シート3は、前述したように、摂氏200度以上の高耐熱性を有していることから、火炎熱や輻射熱を遮熱シート3によって20分以上の時間にわたって遮断することができる。
以上のように、本発明からなる遮熱シート防火装置を一般のロールカーテンと同様に、開口部1の室内側に設置した場合には、抜け止め部3aを設けた遮熱シート3とガイドレール4によって室内の温度上昇を遅らせることから、余裕のある避難時間を確保することが可能となる。上述した実施例においては、サッシ2として耐火性能のない一般に市販されている既製のサッシを使用している。このため、サッシ2のみでは、都市計画法で定められた指定地域において、建築基準法で定める耐火建築制限を達成することができない。ところが、火災によってサッシ2が焼失しても、上述した遮熱シート防火設備によって、20分以上の耐火性能が得られることから、耐火建築制限の要件を達成することが実験、試験によって確認された。従って、指定地域においては、防火認定を受けた高額なサッシを使用しなくても、本発明からなる遮熱シート防火設備を設置することにより耐火建築制限の要件を達成することができる。また、出窓等の外部に設置するサッシの形状にかかわらず建築物の開口部を防火設備とすることが可能となる。
図7は、遮熱シート3の抜け止め部の変形例を示している。前述した実施例と異なる点は、遮熱シート3の端部を二重に折り曲げることにより抜け止め部30を形成したことである。この抜け止め部30は、二重に折り曲げることにより、遮熱シート3の端部が上下の遮熱シート3の間に入っている。そして、外端側30aが端部とともに固着され、内端側30bは自由状態として先端に至るに従って遮熱シート3の表面から離れ、しかも、先端は折り曲げられた部分となっている。なお、固着する手段としては、前述した実施例と同様に、耐熱性を有する糸による縫製、或いは、接着剤、金具が用いられる。
このように形成した抜け止め部30も、図7に示すように、熱風圧により遮熱シート3が押されたとき、または、火炎によってシート素材が縮んだ場合に抜け止め部30の内端側30bの自由状態部分が屈曲し、この屈曲部分によってガイド溝4aを封止し、火炎熱や輻射熱がガイドレール4との隙間から室内に流入することを阻止することができることは、前述した実施例と同様である。このように、二重折りにした場合には、抜け止め部30の内端側30bの先端が遮熱シート3の表面となっているので、長期間の使用によって先端部分のほつれが未然に防止され、耐久性を向上させる特徴がある。
図8は、ガイドレール4の変形例を示し、前述した実施例と異なる点は、ガイド溝40の形成位置をガイドレール4の幅方向の中央にしたことである。ガイド溝40の幅は、前述した実施例と同様に、遮熱シート3の厚さt1よりも大きく、抜け止め部3aの自由状態の内端側3c部分の見掛けの厚さt2よりも小さい幅に設定されている。
このように、ガイドレール4の幅方向の中央にガイド溝40を形成した場合には、熱風圧により遮熱シート3が押されたときに、図8に示すように、抜け止め部3aの内端側3cの自由状態部分と外端側3bとが、固着部分を境に両方とも屈曲し、この屈曲部分によってガイド溝40の両側に押圧されて封止するので、火炎熱や輻射熱がガイドレール4との隙間から室内に流入することを阻止する効果を高めることができる。
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。遮熱シートを構成する遮熱シートの材質、形状、寸法は、建築物の開口部に合わせて適宜の形状に変更しても良い。また、遮熱シートをロールカーテンとして兼用させる場合には、遮熱シートの表面に適宜にイラストや写真、或いは、文字を描いても良い。
本発明は、住宅、ビル、公共施設などのあらゆる建築物の開口部に適用される。
1 開口部
2 サッシ
3 遮熱シート
3a 抜け止め部
3b 外端側
3c 内端側
4 ガイドレール
4a ガイド溝
4b 空間部
2 サッシ
3 遮熱シート
3a 抜け止め部
3b 外端側
3c 内端側
4 ガイドレール
4a ガイド溝
4b 空間部
Claims (4)
- 建築物の開口部を遮熱シートにより覆うように設置される防火設備であって、
前記遮熱シートは、屈曲可能な耐熱性を有する無機質素材からなり、左右両端には抜け止め部が形成され、この抜け止め部は、前記開口部の両側に設けられたガイドレールの空間部に内装されるとともに、前記遮熱シートの厚さよりも大きく前記抜け止め部の厚さよりも小さい幅を有するガイド溝に沿って上下動可能に案内され、
前記抜け止め部は、前記遮熱シートの外端側に屈曲可能な帯状シートを重合して構成され、前記帯状シートの外端側のみを固着するとともに、内端側の一部が前記ガイド溝の幅よりも大きくなるような自由状態に構成され、
前記帯状シートの外端側を屈曲させることにより前記ガイド溝を封止することを特徴とする遮熱シート防火設備。 - 遮熱シートの抜け止め部は、前記遮熱シート自体の端縁を所定寸法折り返すことにより重合して帯状シートを形成し、折り返した端縁の外端側のみを固着し、内端側を自由状態とした請求項1に記載の遮熱シート防火設備。
- 遮熱シートは、ロール状に巻回されて開口部の上部に設置され、前記遮熱シートの前端部の左右両端をガイドレール内に内装した請求項1及び2に記載の遮熱シート防火装置。
- ガイドレールは、開口部としての窓の室内側に設けられ、ロール状に巻回されて前記窓の上部に設置し、遮熱シートをロールカーテンとして兼用させて、前記窓を覆うように設置した請求項3に記載の遮熱シート防火設備。
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---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021025303A (ja) * | 2019-08-05 | 2021-02-22 | Ykk Ap株式会社 | スクリーン装置 |
JP2021025302A (ja) * | 2019-08-05 | 2021-02-22 | Ykk Ap株式会社 | スクリーン装置 |
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2014
- 2014-01-28 JP JP2014012991A patent/JP2015140542A/ja active Pending
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JP2021025303A (ja) * | 2019-08-05 | 2021-02-22 | Ykk Ap株式会社 | スクリーン装置 |
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