JP2015139959A - 用紙綴じ装置、用紙処理装置、画像形成システムおよび画像形成装置 - Google Patents

用紙綴じ装置、用紙処理装置、画像形成システムおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】圧着綴じが施された用紙束が圧着部材に張り付いた状態で、用紙束が搬送されるのを抑制できる用紙綴じ装置、用紙綴じ装置を備えた用紙処理装置、用紙処理装置、画像形成システムおよび画像形成装置を提供する。【解決手段】一対の歯型261などの圧着部材によって用紙束を綴じる圧着綴じ方式の綴じ具210などの用紙綴じ装置において、一対の圧着部材の表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力を互いに異ならせた。これにより、用紙束が張り付く圧着部材を、表面粗さおよび/または静止摩擦係数の大きい方の圧着部材に特定でき、この特定した圧着部材側についてのみ、用紙束を圧着部材から剥がす構成を設けることで、用紙束が圧着部材に張り付いた状態で、用紙束が搬送されるのを抑制することができる。【選択図】図16

Description

本発明は、用紙綴じ装置、用紙処理装置、画像形成システムおよび画像形成装置に関するものである。
従来、画像形成システムとして、画像形成装置で画像が形成された用紙束に対して綴じ処理を施す用紙綴じ装置が設けられた用紙処理装置を備えたものが知られている。
特許文献1に記載の用紙処理装置には、金属針を用いずに用紙束を1対の凹凸形状を有する圧着部材である圧着歯で強く噛み合わせることにより用紙の繊維を絡ませて、用紙同士を圧着させることで用紙束を綴じる、圧着綴じ方式の用紙綴じ装置が設けられている。
しかしながら、一対の凹凸形状を有する圧着歯で用紙束を強く噛み合わせる際には、強い加圧力が必要であるため、圧着綴じが施された用紙束が圧着歯に張り付く場合がある。このように、用紙束が圧着歯に張り付いた状態で、用紙束が搬送されると、紙詰まりや用紙の損傷、最悪の場合には装置の破損に繋がる虞がある。
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、圧着綴じが施された用紙束が圧着部材に張り付いた状態で、用紙束が搬送されるのを抑制できる用紙綴じ装置、用紙綴じ装置を備えた用紙処理装置、用紙処理装置、画像形成システムおよび画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、一対の圧着部材によって用紙束を綴じる圧着綴じ方式の用紙綴じ装置において、前記一対の圧着部材の表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力を互いに異ならせたことを特徴とするものである。
本発明によれば、用紙が圧着部材に張り付いた状態で、用紙束が搬送されるのを抑制でき、紙詰まり、用紙破損などの発生を抑制することができる。
(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施形態に係る画像形成システムの全体構成の一例を示す概略構成図。 本実施形態に係る画像形成システムの画像形成装置の一構成例を示す概略構成図。 本実施形態に係る画像形成システムの用紙処理装置の一構成例を示す平面図。 同用紙処理装置の正面図。 用紙処理装置に受け入れた用紙を分岐する分岐爪のホームポジションを示す説明図。 用紙処理装置に受け入れた用紙を分岐路に分岐するときの分岐爪の位置を示す説明図。 (a)及び(b)はそれぞれ、初期化処理が完了した用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、用紙を受け入れているときの用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、用紙の幅方向の位置を位置決めしているときの用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、用紙の後端の位置を位置決めしているときの用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、後続の用紙を受け入れているときの用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、更に後続の用紙を受け入れているときの用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、用紙束の整合処理が完了し綴じ処理が開始する前の用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、綴じ処理が完了した用紙束の排出を開始するときの用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 (a)及び(b)はそれぞれ、綴じ処理が完了した用紙束の排出しているときの用紙処理装置の内部の様子を示す平面図及び正面図。 歯型が開いた状態の綴じ具及びその駆動機構の一例を示す説明図。 歯型が閉じた状態の綴じ具及びその駆動機構の一例を示す説明図。 綴じ具の構成及び動作の他の例を示す説明図。 剥離機構20について説明する図。 綴じ具付近の拡大図。 下側歯型部周辺の拡大図。 下側歯型部が綴じ位置に位置するときの剥がし部材との関係を説明する図。 処理用トレイを剥がし部材として用いた実施例を示す図。 搬送路で用紙を重ねることについて説明する図。 2部目以降の処理動作について説明する図。
[実施形態1]
以下、図面を参照して本発明の実施形態1を説明する。
図1(a)及び(b)はそれぞれ、本発明の実施形態1に係る画像形成システムの全体構成の一例を示す概略構成図である。図1(a)の画像形成システム100は、入力画像に基づいてシートとしての用紙に画像を形成する画像形成手段としての画像形成装置101にシート処理装置としての用紙処理装置(以下、「用紙処理装置」という。)201を組み込んだ構成例である。また、図1(b)の画像形成システム100は、画像形成装置101に用紙処理装置201を連結した構成例である。
なお、本実施形態1の画像形成装置101は、電子写真方式でトナー像からなる画像を用紙上に形成するものであるが、インクジェット方式などの他の方式で画像を形成するものであってもよい。また、本実施形態では、画像形成装置101と用紙処理装置201とを組み合わせた画像形成システムについて説明するが、本発明は、用紙処理装置201を内蔵した画像形成装置101についても適用できる。
また、本発明は、用紙処理装置201を、画像形成装置101から独立したシート処理装置として構成した場合にも適用できる。この場合は、綴じ対象のシートがセットされるカセットやトレイ、及び、綴じ処理されたシート束が出力されるトレイなどを、シート処理装置に設けてもよい。
図2は、本実施形態1に係る画像形成システム100の画像形成装置101の一構成例を示す概略構成図である。
図2において、画像形成装置101は、中間転写体を用いた間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置101のほぼ中央部には、トナー像形成手段としての作像部110が配置されている。作像部110は、所定方向に並ぶように配置された4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の作像ステーション111Y,111M,111C,111K(以下、適宜、添え字Y,M,C,Kを省略する。)を有する。
また、画像形成装置101は、作像部110の下方に設けられた記録媒体供給手段としての複数の給紙部である給紙トレイ120を備えている。また、給紙トレイ120でピックアップされた記録媒体としての用紙を2次転写部140及び定着部150に搬送する給紙搬送路(縦搬送路)130を備えている。更に、画像形成装置101は、画像(トナー像)が定着された用紙を用紙処理装置201側に搬送する分岐排紙経路160と、第一面(表面)に画像が形成された用紙を反転して第二面(裏面)に画像形成させるための両面搬送路170と、を備えている。
また、画像形成装置101は、画像読み取り手段としてのスキャナ部180と原稿供給手段としての自動原稿送り装置(ADF)185とを備えている。スキャナ部180は、原稿台であるガラス面上にセットされた画像読み取り対象物である原稿の画像を読み取って電気信号に変換する。また、自動原稿送り装置(ADF)185は、スキャナ部180で画像が読み取られる複数枚又は1枚の原稿がセットされ、各原稿をスキャナ部180の読み取り位置にあるガラス面上に送るように搬送する。
作像部110は、作像ステーション111のYMCK各色用の像担持体としての感光体ドラムを備えている。各感光体ドラムの周囲には、その外周に沿って、帯電手段としての帯電ユニットと、現像手段としての現像ユニットと、1次転写ユニットと、クリーニングユニットと、除電手段としての除電ユニットとを備えている。また、作像部110は、露光手段としての図示しない光書き込みユニットと、中間転写体としての中間転写ベルト112とを備えている。光書き込みユニットは、各作像ステーション111の下側に配置され、各色ごとに、スキャナ部180の読み取り結果から生成された画像データに基づいて、各感光体ドラムに光を照射して静電潜像を形成する。中間転写ベルト112は、作像ステーション111の上側に配置され、各感光体ドラムに形成された画像(トナー像)が1次転写ユニットによって転写される。
中間転写ベルト112は複数の支持ローラによって回転可能に支持されている。その複数の支持ローラのうちの1つの支持ローラ114は、2次転写部140で中間転写ベルト112を介して2次転写ローラ115と対向している。この2次転写部140で、中間転写ベルト112上の画像(トナー像)が用紙に2次転写される。中間転写ベルト112の上方には、交換可能なトナー収容容器116が配置されている。
なお、上記構成の画像形成装置(間接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置)の画像形成プロセスは公知であり、本発明の要旨とは直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
定着部150で定着処理された定着済みの用紙は、搬送ローラ162で搬送され、その搬送方向が搬送路切り換え部材161により切り換えられる。これにより、定着済みの用紙は、分岐排紙経路160又は両面搬送路170に搬送される。
本実施形態の用紙処理装置201は、画像が形成された用紙を含む複数の用紙の後処理として、複数の用紙からなるシート束としての用紙束を綴じる用紙綴じ手段としての搬送路綴じ機構を備えている。この搬送路綴じ機構は、用紙搬送路内で用紙を重ね合わせ整合する構成と、その重ね合わせた用紙を綴じる綴じ手段としての綴じ具とを有する。
図3及び図4はそれぞれ、本実施形態の画像形成システム100に備えた搬送路綴じ機構を有する用紙処理装置201の構成例を示す平面図及び正面図である。
用紙処理装置201は、入口センサ202、入口ローラ対203、分岐爪(切換爪)204、排紙駆動ローラ205a,排紙従動ローラ205bなどを備える。また、シフトリンク206、シフトカム207、シフトカムスタッド208、シフトホームポジションセンサ209、綴じ具210、戻しコロ211なども備える。
入口センサ202は、画像形成装置101の排紙ローラ102から用紙処理装置201に搬入された用紙の先端と後端と有無とを検知する。
入口ローラ対203は、用紙処理装置201の入口に位置し、用紙を用紙処理装置201に搬入する機能を有する。入口ローラ対203のローラニップを使用して用紙の突き当てスキュー補正も可能となっている。入口ローラ対203のいずれか一方のローラは図示しない制御可能な駆動源で駆動される。この駆動源は制御手段で制御され、これにより、駆動源による入口ローラ対203の回転駆動及び停止、並びに入口ローラ対203による用紙の搬送量が制御される。なお、制御手段は、画像形成装置101に設けてもよい。
分岐爪204は、用紙の後端を分岐路241へ導くために設けた搬送路を切換える回動可能な爪である。また、分岐爪204は、分岐路搬送面に用紙を押圧することが可能な構成となっており、この押圧により用紙を固定可能となっている。
駆動搬送部材としての排紙駆動ローラ205aは、用紙処理装置201の出口に位置し、用紙を搬送・シフト・排出する機能を有し、従動搬送部材としての排紙従動ローラ205bに当接して搬送ニップを形成する。また、排紙駆動ローラ205aは、図示しない制御可能な駆動源で駆動される。この駆動源は制御手段で制御され、これにより、駆動源による排紙駆動ローラ205aの回転駆動及び停止、並びに排紙駆動ローラ205aによる用紙の搬送量が制御される。
シフトリンク206は、排紙駆動ローラ205aの軸端に設けられており、シフトの移動力を受ける部位になっている。
シフトカム207は、シフトカムスタッド208を有し、回転をする円盤状の部品である。この部品の回転によってシフトカムスタッド208を介しシフトリンク206の長穴部と連結された排紙駆動ローラ205aをシフトさせる。
シフトカムスタッド208は、シフトリンク206の長穴部と連動し、シフトカム207の回転運動を排紙駆動ローラ205aの軸方向の直動運動に変える。
シフトホームポジションセンサ209は、シフトリンク206の位置を検出し、この検出したポジションをホームポジション(待機位置)とする。
シート処理手段としての綴じ具210は、金属針を用いないで、絞り圧着加工により用紙束を綴じる道具又は装置である。本実施形態では、表面に凹凸を有する1対の歯型で用紙束を狭持することで用紙を変形させ繊維を絡める綴じ具210を用いている。
戻しコロ211は、分岐路241に誘導されたシートを突き当て面242に向けて搬送するものである。戻しコロ211は、シートが突き当て面242に突き当たった後はシートに対してスリップすることができる程度の搬送力を有する。
用紙端検知手段としての用紙端センサ220は、用紙の側端を検出するセンサである。用紙を揃えるときに、このセンサで検知した検知位置を基準に用紙が揃えられる。
搬送路240は、受入れた用紙を搬送排出する通常の経路である。分岐路241は、用紙を重ね合わせて整合するために設けられ、用紙のスイッチバックにより後端側から搬入される搬送路である。
突き当て面242は、綴じ対象の用紙が一時的に積載される一時積載部としての綴じ処理用トレイ(ステープルトレイ)243において用紙の後端を突き当て整合する基準面である。歯型261は、例えば本実施形態では1対の凹凸が噛み合うような形状の歯型であり、用紙を狭持することで用紙を変形させ繊維を絡める。
図5及び図6はそれぞれ用紙処理装置201に受け入れた用紙を分岐する分岐爪204及びその周辺の詳細な構成例を示す説明図である。図5は分岐爪204のホームポジションを示す説明図である。また、図6は、用紙処理装置201に受け入れた用紙を分岐路241に分岐するときの分岐爪の位置を示す説明図である。
分岐爪204は、搬送路240と分岐路241とを切り換えるために回動可能に構成されている。図5に示すように、図中の右側より受け入れた用紙が抵抗無く搬送できる回転位置が、分岐爪204のホームポジションとなっている。分岐爪204は、図5に示すようにスプリング251により常時加圧されている。スプリング251は分岐爪可動レバー部204aにかけられている。分岐爪可動レバー部204aにはリンクを介して分岐ソレノイド250も連結されている。また、分岐路241の搬送面と分岐爪204は搬送路内にある用紙を狭持可能に構成されている。搬送路の切換えは、分岐ソレノイド250をONすることで分岐爪204は図6中矢印A1方向に回動し、搬送路240を閉鎖し、分岐路241へ用紙をガイドする。
次に、用紙処理装置201の綴じ動作の一例について説明する。
図7〜図15は本例の綴じ動作を実行しているときの用紙処理装置201の平面図及び正面図である。図7〜図15それぞれにおいて、分図(a)は用紙処理装置201の平面図であり、分図(b)は用紙処理装置201の正面図である。
まず、図7(a)及び(b)において、画像形成装置101から用紙の出力が開始されると、各部はホームポジションに移動し、初期化処理(イニシャル処理)を完了する。
画像形成装置101から出力される用紙Pが用紙処理装置201に搬入される前に、用紙処理装置201は、動作モードの情報と用紙Pの情報を受け取り、それらの情報に基づき、受入れ待機状態になる。なお、本実施形態における動作モードは、ストレートモード、シフトモード及び綴じモードであるが、これに限定されるものではない。
ここで、ストレートモード、シフトモードのときの用紙処理装置201の動作について、説明する。
まず、ストレートモードのときの用紙処理装置201の動作について説明する。
ストレートモードの情報と用紙Pの情報を受け取った用紙処理装置201は、ストレートモードの受入れ待機状態になる。具体的には、受け入れた用紙Pを所定の搬送方向(図中の左方向)に搬送するように、入口ローラ対203及び排紙駆動ローラ205aがそれぞれ所定の回転方向の回転を開始するのである。このような受け入れ待機状態の用紙処理装置201に画像形成装置101の排紙ローラ102の回転により用紙Pが送り込まれる。用紙処理装置201に送り込まれた用紙Pは、入口ローラ対203、排紙駆動ローラ205aと排紙従動ローラ205bとからなる排紙ローラ対により順次搬送され、排出される。そして、最終紙が排出されると、入口ローラ対203、排紙駆動ローラ205aは停止する。
次に、シフトモードにおける用紙処理装置201の動作について説明する。
シフトモードの情報と用紙Pの情報を受け取った用紙処理装置201は、シフトモードの受入れ待機状態になる。具体的には、ストレートモードと同様に、受け入れた用紙Pを所定の搬送方向(図中の左方向)に搬送するように、入口ローラ対203及び排紙駆動ローラ205aがそれぞれ所定の回転方向の回転を開始するのである。このような受け入れ待機状態の用紙処理装置201に画像形成装置101から用紙Pが送り込まれる。用紙処理装置201に送り込まれた用紙は、ストレートモードと同様、入口ローラ対203、排紙ローラ対により搬送されていく。次に、用紙の後端が入口ローラ対203を抜けたところで、シフトカム207が一定量回転し、排紙駆動ローラ205aが軸方向に移動する。このとき、用紙Pも排紙駆動ローラ205aの移動とともに移動する。用紙Pが排出されるとシフトカム207はホームポジションに復帰するべく回転し、次の用紙にそなえる。この排紙駆動ローラ205aの動作を同じ「部」の用紙が排出されるまで繰り返す。次の「部」の用紙が搬入された場合は、シフトカム207は先程とは逆回転方向に回転し、用紙は反対側に移動して排出される。
一方、綴じモードの情報と用紙Pの情報を受け取った用紙処理装置201は、綴じモードの受入れ待機状態になる。綴じモードの受入れ待機状態では、入口ローラ対203は停止し、排紙駆動ローラ205aが、図8(b)に示すように、図中矢印A5方向に回転する。また、綴じ具210は用紙Pの幅方向端部より一定量退避した待機位置(ホームポジション)に移動して待機する。このような受け入れ待機状態の用紙処理装置201に画像形成装置101から用紙Pが送り込まれる。用紙処理装置201に送り込まれた用紙は、その先端が入口センサ202で検知された後、入口ローラ対203のニップに突き当たる。先端が入口センサ202で検知してから一定距離(用紙Pの先端が入口ローラ対203のニップに突き当たって一定量の撓みを生じさせる距離)だけ用紙Pが搬送された後、入口ローラ対203が回転し始める。これにより、用紙Pのスキューが補正される。
次に、図9(a)及び(b)において、用紙Pの後端を検知した入口センサ202の検知情報を基準にして用紙Pの搬送量がカウントされる。このカウント情報に基づいて、用紙Pの後端が入口ローラ対203のニップを通過するタイミングを把握し、用紙Pの後端が入口ローラ対203のニップを通過したら、入口ローラ対203対は次の用紙受入れのために停止する。それと同時期に、シフトカム207が図9(a)中の矢印A7方向(時計方向)に回転し、用紙Pとともに排紙駆動ローラ205aは軸方向に移動を開始する。すると、用紙Pは図9(a)中の矢印A8方向に斜行しながら搬送される。その後、用紙端センサ220が用紙Pを検知すると、シフトカム207は停止した後、逆転する。このシフトカム207の逆回転は、用紙端センサ220が非検知状態になったときに停止する。以上の動作が完了し、用紙Pの後端が分岐爪204の先端を通過した所定の位置で、排紙駆動ローラ205aの図9(b)中の矢印A9方向の回転が停止する。
次に、図10(a)及び(b)において、分岐爪204が図10(b)中の矢印A10方向(時計方向)に回転し、搬送路が切り換えられる。その後、排紙駆動ローラ205aが図10(b)中の矢印A11方向(反時計方向)に逆回転し、用紙Pの後端部が分岐路241に搬入されるように用紙Pが図中矢印A12に搬送される。この搬送により、用紙Pの後端が戻しコロ211を通過すると、戻しコロ211が図10(b)中の矢印A13方向(反時計方向)に回転し、用紙Pの搬送が、戻しコロ211に受け渡される。戻しコロ211に用紙Pの搬送が受け渡されると、排紙従動ローラ205bが、図10(B)中の矢印A14方向に移動し、排紙駆動ローラ205aから離間し、搬送ニップが解除される。次に、用紙Pは、戻しコロ211の搬送により、後端が綴じ処理用トレイ243の突き当て面242に突き当てられて揃えられる。用紙Pの後端が突き当て面242に突き当たったら、戻しコロ211の回転駆動が停止する。ここで、戻しコロ211は、用紙Pが突き当たるとスリップするように弱い搬送力となるように設定されている。
次に、図11(a)及び(b)において、分岐爪204が図11(b)中の矢印A15方向(反時計方向)に回転し、分岐路241にある用紙Pの後端が分岐爪204の接触面で強力に押さえられ、待機する。後続の用紙P’が画像形成装置101から出力されてくると、1枚目の用紙Pと同様に、入口ローラ対203で用紙P’のスキュー補正を行なう動作をする。スキュー補正後、入口ローラ対203を図11(b)中の矢印A16方向に回動させるとともに排紙駆動ローラ205aを図11(b)中の矢印A17方向に回動させる。なお、このときは、図11(b)に示すように、排紙従動ローラ205bは、排紙駆動ローラ205aから離間しており、搬送ニップは解除された状態のままである。
次に、図12(a)及び(b)において、後続の用紙P’の先端が、排紙駆動ローラ205aとの対向位置を通過したタイミングで、排紙従動ローラ205bを図12(b)中の矢印A18方向へ移動させる。これにより、後続の用紙P’が、処理用トレイ243上の用紙Pを介して排紙駆動ローラ205aと排紙従動ローラ205bとで挟み込まれ、搬送ニップが形成される。搬送ニップが形成されることで、処理用トレイ243上の用紙Pに搬送力が加わる。しかしながら、処理用トレイ243上の用紙Pは、分岐爪204により強力に処理用トレイ243に押し付けられている。従って、排紙駆動ローラ205aと排紙従動ローラ205bと搬送ニップにおける搬送力で、用紙Pが搬送されることはない。その結果、搬送ニップにおいて、後続の用紙P’のみが、処理用トレイ243上の用紙Pと擦れ合いながら、搬送される。
このように、搬送ニップが再び形成された後は、先の図9〜先の図11で説明した動作と同じ動作が繰り返し行われ、処理用トレイ243上に用紙が積載されていく。以降の用紙P’’、・・・についても、前述の図9〜図12で説明したした動作が繰り返し行われ、順次用紙を狙いの位置に移動せしめ、処理用トレイ243上の用紙に重ね合わせることで整合状態の用紙束Psがスタックされる。
次に、図13(a)及び(b)において、最終紙を整合状態の用紙束Psに重ね合わせる動作が完了したら、まず、排紙従動ローラ205bを図13(b)の矢印A19方向へ移動させる。これにより、用紙束Psを排紙駆動ローラ205aと排紙従動ローラ205bとで挟み込み搬送ニップを形成する。次に、用紙束Psを一定量だけ搬送させるように排紙駆動ローラ205aを図13(b)中の矢印A20方向(時計方向)に回転して停止する。この排紙ローラ対による搬送により、用紙の後端を突き当て面242に突き当てたときに発生した撓みを無くすことができる。その後、分岐爪204は図13(b)中の矢印A21方向(時計方向)に回転して先端の向きが切り換えられ、用紙束Psにかけていた押さえ力が開放される。
次に、図14(a)及び(b)において、綴じ具210の歯型261の位置と用紙束Psの加工位置とが一致する距離分だけ、綴じ具210が図14(a)中の矢印A22方向に移動させて停止する。これにより、用紙幅方向における綴じ具210の歯型261の位置と用紙束Psの加工位置(綴じ位置)とが合わせられる。本実施形態では、綴じ具210を矢印A22に移動させずとも、綴じ具210の歯型261の位置と用紙束Psの加工位置(綴じ位置)とが合わせらている。用紙束Psの綴じ位置合わせが終了したら、綴じ具210の駆動モータ265がONされ、歯型261によって用紙束Psが加圧されて絞りが行われることで、各用紙Pの繊維が互いに絡んで用紙同士が結合され、用紙束Psが綴じられる。
次に、図15(a)及び(b)において、排紙駆動ローラ205aを図中矢印A24方向に回転し、綴じた用紙束Psを排出する。そして、用紙束Psの排出後に、シフトカム207を図15(a)中の矢印A25方向に回転してホームポジションに復帰させる。また、分岐爪204を図15(b)中の矢印A26方向に回動させて、ホームポジションに復帰させる。以上により、用紙束Psの綴じ処理の動作を完了する。
図16及び図17はそれぞれ綴じ具210の構成及び動作を示す説明図である。図16は、歯型261が開いた状態の綴じ具210及び上側歯型部261aを移動させる圧着機構269の一例を示す説明図であり、図17は、歯型261が閉じた状態の綴じ具210及びその圧着機構269の一例を示す説明図である。
図16において、歯型261は上側歯型部261aと下側歯型部261bとを有し、噛み合う形状をしている。上側歯型部261aを、綴じ位置と、退避位置との間を移動させる圧着機構269は、可動リンク部材263、加圧レバー262、カム266、駆動モータ265などを有している。
上側歯型部261aは、可動リンク部材263の先端に組み付けられており、下側歯型部261bは、上側歯型部261aと対向するように固定リンク部材264に組み付けられている。可動リンク部材263は、加圧レバー262の回動によって歯型261が互いに接離するように構成されている。
加圧レバー262は、図17中矢印A2方向に回転するカム266により、図17中矢印A3方向に回動する。このカム266は駆動モータ265より駆動力を与えられ回転し、カムホームポジションセンサ267の検知情報に基づき、その検知位置に位置するように制御される。
カムホームポジションセンサ267の検知位置をカム266のホームポジション(待機位置)とし、この位置で歯型261は開いた状態となっている。
用紙を綴じるときは、図17に示すように動作する。一対の歯型261が開いた状態で、その間に用紙Pを挿入し、駆動モータ265の回転によってカム266を図17中矢印A2方向へ回転させる。
そのカム面の変位によって加圧レバー262は図中矢印A3方向に回動する。その回転力は、てこを利用した可動リンク部材263を介して力を増し、その端部の上側歯型部261aに伝わる。
カム266が一定量だけ回転した時点で上側歯型部261aと下側歯型部261bとは噛み合い、用紙Pを狭持する。この狭持によって、用紙Pは変形加圧され、隣接した用紙同士の繊維が絡み合い綴じられる。
その後、駆動モータ265は逆回転し、カムホームポジションセンサ267の検知位置で停止する。また、加圧レバー262はバネ性を有しており過負荷が加わったときは撓み、その過負荷を逃がすようになっている。
図16及び図17で示す構成の綴じ具210において、用紙Pを変形加圧するように挾持する一対の歯型261が噛み合う力である綴じ力が変化し、用紙同士の繊維が絡み合って用紙束が綴じられるときの綴じ強度が変化する。一対の歯型261が噛み合うときの綴じ力は、カム266を介して加圧レバー262を回動させるときの回転力(トルク)、すなわち、駆動モータ265で発生するトルク(力のモーメント)によって変化する。
駆動モータ265で発生するトルクは、駆動モータ265に供給されるモータ電流に応じて変化する。したがって、駆動モータ265に供給されるモータ電流を制御することにより、本綴じモード及び仮綴じモードなどの綴じモードに応じて、綴じ具210の綴じ力を変更し、用紙束の綴じ強度を変更することができる。
一対の歯型部で用紙束を強く噛み合わせて綴じるため、圧着綴じが施された用紙束が上側歯型部261aまたは下側歯型部261bに張り付いてしまう場合がある。一対の歯型部のうち、用紙束を綴じる綴じ位置と、綴じ位置から退避した退避位置との間で移動可能な可動圧着部材である上側歯型部261aに用紙束が張り付いた場合は、以下のようにして、用紙束が上側歯型部261aから剥がれる。すなわち、上側歯型部261aに用紙束が張り付いた場合、上側歯型部261aを綴じ位置から一対の歯型261が開いた退避位置へ移動するとき、用紙束の綴じ部が上側歯型部261aとともに移動する。その結果、用紙束の綴じ部が上側歯型部261aに持ち上げられ、用紙束の綴じ部付近が湾曲する。これにより、用紙束のコシ(復元力)が、上側歯型部261aから剥がす方向に働く。また、用紙束の自重も、上側歯型部261aから剥がす方向に働く。このような用紙束の自重や用紙束のコシにより、上側歯型部261aに張り付いていた用紙束が剥がれる。よって、一対の歯型261が開いたとき、用紙束はいずれの歯型にも張り付いておらず、圧着綴じされた用紙束を、良好に搬送することができる。
一方、固定歯型部である下側歯型部261bに張り付いた場合は、上記のような用紙束のコシや用紙束の自重が働かないため、一対の歯型が開いた状態のときも、用紙束の綴じ部が、下側歯型部261bに張り付いた状態となる。その結果、圧着綴じされた用紙束を搬送するときに、紙詰まりや用紙の損傷が発生するおそれがある。このように、用紙束が、上側歯型部261aに張り付く場合は、問題が生じないが、下側歯型部261bに張り付くと、紙詰まりや用紙破損などの不具合が発生してしまう。
従来においては、下側歯型部261bと上側歯型部261aとの表面粗さは、ほぼ同じであり、用紙束が下側歯型部261bに張り付く場合があった。むしろ、用紙束の自重の影響で、上側歯型部261aよりも下側歯型部261bに張り付く可能性のほうが高かった。
そこで、本実施形態では、可動側圧着部材である上側歯型部261aの表面粗さを、下側歯型部261bの表面粗さよりも粗くした。歯型部の表面粗さが粗い方が、用紙の繊維に引っ掛かりやすくなり、用紙が張り付きやすくなる。よって、歯型を開いていく際に、張り付き力の強い上側歯型部261aに用紙束を張り付けさせることができ、下側歯型部261bに張り付くのを抑制することができる。これにより、上述したように、上側歯型部261aに張り付いた用紙束は、上側歯型部261aを退避位置へ移動させる過程で、用紙束のコシや自重で上側歯型部261aから剥がれる。これにより、紙詰まりや用紙破損が生じることなく、用紙束を良好に搬送することができる。
表面粗さは、例えば、歯型が焼結体である場合は、サイジング仕上げ度合いを変更したり、仕上げ研磨の度合いを変更したりすることにより調整することができる。なお、サイジングは、焼結体を金型に入れて再圧縮する操作のことであり、この金型の表面粗さを調整することにより、サイジング後の歯型部の表面粗さを調整することができる。下記表1は、サイジングを行わなかった場合の歯型の表面粗さ(算術平均粗さRa)とサイジングを行った場合の表面粗さと、各表面粗さの張り付き率とを示したものである。
Figure 2015139959
表1に示すように、サイジングを行わなかった方の歯型が、サイジングを行った方の歯型に比べて、張り付きやすいことがわかる。これは、サイジングを行わない歯型部の方が表面粗さRaが粗いため、用紙の繊維に引っ掛かる部分が多いため、サイジングを行った歯型に比べて張り付き発生率が高くなったと考えられる。よって、用紙束が張り付いて欲しい上側歯型部261aは、サイジングを行わず、下側歯型部261bにサイジングを行うことにより、上側歯型部261aの表面粗さRaを、下側歯型部261bの表面粗さRaよりも粗くすることができる。また、サイジングを行っていない上側歯型部261aの方が、用紙の繊維と多く引っ掛かり、張り付き力が強くなる。従って、用紙束を上側歯型部261aに張り付かせることができ、用紙束が下側歯型部261bに張り付くのを抑制することができる。
また、上側歯型部261aの用紙との静止摩擦係数を下側歯型部261bの用紙との静止摩擦係数より高くしてもよい。下記表2に示すように、用紙に対する静止摩擦係数が大きいほど、用紙束が張り付きやすいことがわかる。よって、上側歯型部261aの表面処理をニッケルメッキにし、下側歯型部261bの表面処理をフッ素コーティングにする。これにより、上側歯型部261aの静止摩擦係数を、下側歯型部261bの静止摩擦係数よりも大きくすることができる。これにより、用紙束を圧着綴じを施して、上側歯型部261aを移動させる際、上側歯型部261aと用紙との静止摩擦力の方を、下側歯型部261bと用紙との静止摩擦力よりも大きくすることができる。その結果、用紙束は、上側歯型部261aに張り付きやすくなり、下側歯型部261bに張り付くのを抑制することができる。上側歯型部261aに張り付いた場合は、上述したように、用紙束のコシや自重により上側歯型部261aから剥がれる。よって、搬送時に用紙束が、紙詰まりしたり破損したりするのを抑制することができる。
Figure 2015139959
なお、表2に示すように、静止摩擦係数を0.12以下にすれば、張り付き発生率を0%にできる。よって、一対の歯型の静止摩擦係数をいずれも0.12以下にすることにより、用紙束が歯型に張り付くことはなくなる。しかし、静止摩擦係数を0.12以下にするために用いる表面処理材料は、高価であり、上側歯型部と下側歯型部の両方に静止摩擦係数が0.12となるように表面処理を施すと、装置が高価になるという不具合が発生する。一方、本実施形態では、上側歯型部の表面処理は、安価なニッケルメッキでよい。従って、両方フッ素コーティングを行って、各歯型の静止摩擦係数を0.12にする場合に比べて、装置のコストアップを抑制することができる。
また、上側歯型部261aの表面粗さと静止摩擦係数のいずれも、下側歯型部261bよりも高くしてもよい。かかる構成としても、用紙束を、上側歯型部261aに張り付きやすくすることができ、下側歯型部261bに張り付くのを抑制することができる。
次に、綴じ具210の構成及び動作の他の例について説明する。
図18は、綴じ具210の構成及び動作の他の例を示す説明図である。
図18に示す構成においては、上側歯型部261aを固定し。下側歯型部261bを綴じ位置と綴じ位置から退避した退避位置との間で移動可能なように構成している。また、下側歯型部261bを移動させ歯型261に押圧力を付与する圧着機構269を備えている。
圧着機構269は、リンク機構270や、このリンク機構270を動作させるクランク機構271などを有している。リンク機構270とクランク機構271とは、第一節点269aで回転可能に連結されている。
リンク機構270は、第一コネクティングロッド270a及び第二コネクティングロッド270bを備えている。第一コネクティングロッド270a及び第二コネクティングロッド270bのそれぞれの一端は、第一節点269aに連結され、他端は第二節点270c及び第三節点270dにそれぞれ回転可能に連結されている。
第二節点270cは下側歯型部261bの背面に設置され、第三節点270dは下側歯型部261bの往復直線運動の延長上(仮想直線270eの延長線上)の固定部材270fに移動不能に設置されている。この仮想直線270eは、下側歯型部261bを案内する図示しないガイド部材によって下側歯型部261bが案内される軌跡に相当する。
クランク機構271は、第三コネクティングロッド271a、駆動モータ271m、回転軸271b、及び、回転軸271bに固定され一体に回転する回転ロッド271cを備えている。
第三コネクティングロッド271aは、一端が回転ロッド271cの先端部と第四節点271dに回転可能に連結され、他端が第一節点269aに同じく回転可能に連結されている。すなわち、第一節点269aには、第一コネクティングロッド270a、第二コネクティングロッド270b、及び、第三コネクティングロッド271aの一方の端部が連結されている。なお、駆動モータ271mの回転軸271bの位置は固定である。
また、第一コネクティングロッド270a及び第二コネクティングロッド270bは、下側歯型部261bが上側歯型部261a側に最大限変位したときに、仮想直線270mに一致しないような角度で連結されている。言い換えれば、第一節点269aを挟んだ両者間の角度αが180度(一直線)にならないような角度で、第一コネクティングロッド270a及び第二コネクティングロッド270bとが連結されている。
この機構では、第三コネクティングロッド271aが第一節点269aに連結され、第一節点269aは駆動モータ271mによって駆動される回転ロッド271cによって矢印D1方向または矢印D1とは反対方向に移動する。その際、矢印D1方向の第一節点269aの死点が仮想直線270eに至る直前の位置に来るようにこれらの機構の各部が配置されている。これにより、第一コネクティングロッド270a及び第二コネクティングロッド270bが一直線になることがなく、一直線になる直前の位置で最大限の押圧力が付与できるようになっている。このような構成であると、第一節点269aが常時頂角を有し、第1節点で折れ曲がった形状となっている。
駆動モータ271mが図示反時計回り方向に回転すると、第三コネクティングロッド271aが第一節点269aを図示矢印D1方向に押し、第一節点269aが図示矢印D1方向に移動する。すると、第一コネクティングロッド270aと第二コネクティングロッド270bとの角度αが広がる。
一方、第三節点270dの位置は固定されているので、これに伴って下側歯型部261bが図示矢印D2方向に移動する。そして、下側歯型部261bと上側歯型部261aとの間の用紙束を挟んで上側歯型部261a側に移動する際に用紙束PBに押圧力を付与し、圧着動作が行われることになる。第四節点271dが、最もリンク機構270側の位置(図中X1)が、下側歯型部261bの最上点となる。
リンク機構270は下側歯型部261bを変位させるように構成され、リンク機構270に駆動力を伝達する手段がクランク機構271となっている。リンク機構270は前述のように第一コネクティングロッド270a及び第二コネクティングロッド270bが伸びきる辺りでは非常に強い力が発生し、車のジャッキにも使用される。そこで、リンク機構270を駆動する際に、クランク機構271で最も力が欲しいタイミングで最大限の力が出せるように両者の関係を設定する。
また、用紙束PBを綴じる状態(下側歯型部261bの最上点)から、さらに駆動モータ271mを図中反時計回り方向に回転させる。これにより、第三コネクティングロッド271aが第一節点269aを図示矢印D1方向とは反対方向に押し、第一節点269aが図示矢印D1方向とは反対方向に移動する。すると、第一コネクティングロッド270aと第二コネクティングロッド270bとの角度αが狭まる。
一方、第三節点270dの位置は固定されているので、これに伴って下側歯型部261bが図示矢印D2方向とは反対方向、すなわち、下側歯型部261bが上側歯型部261aから離れる方向に移動する。これにより、圧着動作が解除され、上側歯型部261aと下側歯型部261bとの間の隙間が大きくなり、歯型部間から用紙束PBを取り出すことができる。第四節点271dが最もリンク機構270から離れた位置(図中X2)が、下側歯型部261bの最下点となる。この図中X2の位置がホームポジションとなり、この位置に第四節点271dを検知するセンサを設けて、駆動モータ271mの駆動を制御する。具体的には、センサが第四節点271dを検知したら、駆動モータ271mの駆動を停止する制御である。
このように、図18に示す構成においては、回転ロッド271cが一回転することにより、下側歯型部261bが綴じ位置と退避位置との間を一往復し、綴じ処理が行われる。
また、図19に示すように、綴じ位置から退避位置に下側歯型部261bが移動するときに、用紙束Psと接触し用紙束Psを下側歯型部261bから剥がす剥離機構20を、下側歯型部261bの可動範囲内に設けている。この剥離機構20は、用紙束Psの下側歯型部261bと対向する側の面と接触し、回転軸23を中心に回転可能な板状部材である剥がし部材21を有している。剥がし部材21は、ステンレス鋼板、メッキ鋼板、ABS樹脂やポリアセタール樹脂など紙搬送で一般的に用いる材質で構成されている。
また、剥離機構20は、剥がし部材21の下面に設けられた突起部21aと接触することで、剥がし部材21の回転移動を規制する回転規制部材であるストッパー22を有している。そして、剥がし部材21の突起部21aとストッパー22とが接触することで、下側歯型部261bの可動範囲よりも小さい範囲で、ストッパー22により剥がし部材21の回転移動が制限される。
また、下側歯型部261bは、回転軸23に支持された可動部材27bに設けられており、剥がし部材21の回転中心は、可動部材27bの回転軸23と同軸上にあり、下側歯型部261bの回転移動に連動して剥がし部材21も回転移動可能に構成されている。
図20は、綴じ具210付近の拡大図であり、図21は、下側歯型部261b周辺の拡大図である。
図20に示すように、処理用トレイ243の用紙幅方向一端側は、切り欠きとなっており、その切り欠きに、下側歯型部261bと剥がし部材の一部とが設けられている。また、図21に示すように、剥がし部材21には、下側歯型部261bの凹凸形状の歯部26bが進退可能な開口部21bが形成されている。
下側歯型部261bが退避位置から綴じ位置に移動するときには、下側歯型部261bの可動部材27bの上面と、剥がし部材21の下面とが接触する。そして、下側歯型部261bに剥がし部材21が押し上げられながら、下側歯型部261bの回転移動に連動して剥がし部材21も回転移動する。
図22に示すように、下側歯型部261bが綴じ位置に位置するときには、剥がし部材21の下面が下側歯型部261bの可動部材27bの上面と接触した状態で、剥がし部材21の開口部21bから下側歯型部261bの歯部26bが突き出ている。これにより、一対の歯型261によって用紙束PBを綴じることができる。
一方、下側歯型部261bが綴じ位置から退避位置に移動するときに、剥がし部材21が自重により下側歯型部261bの移動に連動して移動する途中で、剥がし部材21の突起部21aがストッパー22と接触し、剥がし部材21の回転移動が停止する。そして、下側歯型部261bが退避位置に位置するときには、剥がし部材21がストッパー22と接触した位置に位置したままとなる。
これにより、綴じ位置から退避位置に下側歯型部261bが移動するときに、圧着綴じされた用紙束Psが剥がし部材21の上面で止まる。そのため、下側歯型部261bと用紙束Psとが離間し、下側歯型部261bから用紙束Psを剥がすことができる。
よって、一対の歯型261による用紙束Psの噛み合わせを解除したときに、綴じ位置から退避位置に移動する下側歯型部261bに用紙束Psが張り付くのを抑制できる。よって、用紙束Psが下側歯型部261bに張り付いて、紙詰まりや用紙の損傷などが生じるのを抑制することができる。
また、下側歯型部261bやストッパー22と接触する位置に剥がし部材21を移動させるために、駆動源を別途で設けて剥がし部材21の回転移動を制御する必要がないため、装置の大型化や、制御が複雑になるのを抑制することができる。
また、図21に示したように、下側歯型部261bが進退可能な開口部21bを剥がし部材21に形成したことで、簡単な構成で圧着綴じ動作を妨げることなく、剥がし部材21により用紙束PBが下側歯型部261bに張り付くのを抑制することができる。
このような構成においては、用紙束Psを下側歯型部261bに確実に張り付ける必要がある。従って、この構成においては、下側歯型部261bの表面粗さを、上側歯型部261aの表面粗さよりも粗くしたり、用紙と静止摩擦係数を、上側歯型部261aより高くしたりする。これにより、用紙束Psを、下側歯型部261bに張り付かせることができ、剥がし部材21により確実に剥がすことができる。
また、上述では、綴じ位置から退避位置に移動する歯型部側に剥離機構20を設けているが、綴じ位置から退避位置に移動しない歯型部側に剥離機構20を設けてもよい。この場合、剥離機構20を綴じ位置側へ動かして歯型部を相対的に剥がし部材21の開口部21bを通すことで、歯型部に張り付いた用紙束を剥がし部材により剥がすことができる。
また、図23に示すように、処理用トレイ243に下側歯型部261bの凹凸形状の歯部26bが進退可能な開口部243aを設けてもよい。かかる構成においては、綴じ位置から退避位置に下側歯型部261bが移動するときに、圧着綴じされた用紙束Psが処理用トレイ243の上面で止まる。そのため、下側歯型部261bと用紙束Psとが離間して隙間が生じ、下側歯型部261bから用紙束Psを剥がすことができる。このように、処理用トレイ243を剥がし部材として用いることもできる。処理用トレイ243を剥がし部材として用いることにより、剥がし部材と処理用トレイとをそれぞれ設ける構成に比べて、部品点数を削減でき、装置のコストアップを抑制することができる。
また、先の図16、図17に示した構成の綴じ具210に対しても、上述したような用紙束を上側歯型部261aから剥離させる剥離機構を、上側歯型部261aの可動範囲内に設けることで、圧着綴じが施された用紙束PBが上側歯型部261aに張り付くのをより一層抑制できる。
[実施形態2]
図24に、用紙上に画像を形成する画像形成装置101と、画像形成装置101によって画像が形成された用紙の束に対して綴じ処理を施す用紙処理装置201とを備えた画像形成システムの概略図を示す。
図24を用いて、搬送路で用紙を重ねることについて説明する。
画像形成装置101から出力された用紙は用紙処理装置201に入り、搬送ローラ4、搬送ローラ5で搬送され、用紙の移動力で切換爪9を回動させ、それにより確保された搬送路を通り、搬送ローラ7、搬送ローラ8により整合ユニット18へ搬送される。
搬送された用紙は矢印B方向へ自重落下し、処理用トレイ11で搬送方向を揃えられる。予め用紙の後端をセンサS2で検知し、用紙搬送方向が揃えられ得る時間の後、整合フェンス10により幅方向が揃えられる。この動作を繰り返す事で多枚数の用紙を1枚ずつ整合する。
最終紙を整合し終わると、整合された用紙束に綴じ具12で圧着綴じを施し、整合ユニット18内の放出ベルト14が矢印C方向に回転し、それに取り付いている放出爪13により整合ユニット18から矢印D方向へ用紙束を放出する。その用紙束は排出ローラ15と従動コロ16とによりトレイ3に排出スタックされる。またトレイ3はスタック枚数に応じ上下移動する機構を持っている。
この従動コロ16は搬送ガイド板17に取り付いており、搬送する用紙束の厚みが変化しても同じ搬送力を得る事が出来るように支点17aを中心に回動可能に構成され、搬送ガイド板17の自重で排出ローラ15に加圧する構成になっている。以上が1部の場合の動作である。
これが2部以上の場合は、画像形成装置101は、先の部の最終紙と次の部の1枚目とのコピー間隔を、その他の場合と同じ間隔でコピーを連続して用紙処理装置201に送り込む。
2部目以降の処理動作を、図25(a)、図25(b)、図25(c)、図25(d)で説明する。
図25(a)の矢印方向に搬送ローラ4,5が回転し、2部目の1枚目の用紙が搬送される。センサS2がその用紙の後端を検知し、整合ユニット18が用紙を受け入れる状態ではない場合には、図25(b)の矢印方向に搬送ローラ6,7,8が逆転する。そして、切換爪9によって用紙は図25(b)に示すように搬送され、その用紙の紙端をセンサS2で検知したら停止させる。
図25(c)に示すように搬送ローラ4,5により2部目の2枚目の用紙が搬送され、その先端をセンサS2が検知すると、図25(d)の矢印方向に搬送ローラ6,7,8が回転し、2枚の用紙を重ねた状態で搬送する。このとき、それら用紙の後端をセンサS2で検知したときに、整合ユニット18が用紙を受け入れる状態にある場合は、そのまま用紙を排出する。
一方、整合ユニット18が用紙を受け入れる状態ではない場合は、1枚目の用紙と同じ動作を繰り返す。このように、2部目の2枚目以降の用紙に対して、整合ユニット18が用紙を受け入れる状態になるまで、1枚目の用紙と同じ動作を繰り返した後、2枚以上の用紙を重ねた状態で排出する。
以上の動作により、2部以上のステープル処理時に生産性を落とすこと無く、効率よく後処理を行うことができる。
また、実施形態2の綴じ具12の構成としては、実施形態1の綴じ具210と同じ構成を採用することができ、実施形態1の綴じ具を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
一対の歯型などの圧着部材によって用紙束を綴じる圧着綴じ方式の綴じ具210などの用紙綴じ装置において、一対の圧着部材の表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力を互いに異ならせた。
(態様1)によれば、一対の圧着部材の表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力を互いに異ならせることで、以下の効果を得ることができる。すなわち、用紙は、一対の圧着部材のうち、静止摩擦力が大きい方に張り付きやすい。また、一対の圧着部材のうち、表面粗さが大きい方が、用紙との引っ掛かりが大きくなり張り付きやすい。よって、用紙束が張り付く圧着部材を、表面粗さおよび/または静止摩擦係数の大きい方の圧着部材に特定できる。このように特定した圧着部材側についてのみ、用紙束を圧着部材から剥がす構成を設けることで、用紙束が圧着部材に張り付いた状態で、用紙束が搬送されるのを抑制することができる。これにより、両方の圧着部材にそれぞれ剥がす構成を設ける必要がなく、その分、装置のコストアップを抑えることができる。
(態様2)
(態様1)において、表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力が大きい方の圧着部材に張り付いた用紙を剥がす用紙剥離手段を設けた。
これにより、圧着部材に張り付いた用紙束を、用紙剥離手段により剥がすことができる。なお、用紙剥離手段の一例は、実施形態で説明したように、圧着部材を用紙束を綴じる綴じ位置と綴じ位置から退避した退避位置との間で移動させる圧着機構269などの移動手段が挙げられる。また、図19などに示した剥がし部材21も用紙剥離手段として挙げることができる。また、圧着部材に張り付いた用紙束に対して、エアーを吹き付けて剥がす構成も、剥離手段の一例として挙げることができる。
(態様3)
(態様2)において、用紙剥離手段は、表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力が大きい方の圧着部材を、他方の圧着部材とともに用紙束を綴じる綴じ位置と、該綴じ位置から退避した退避位置との間で移動させる圧着機構269などの移動手段を有する。
(態様2)によれば、実施形態1で説明したように、可動圧着部材に用紙束が張り付く。これにより、可動圧着部材が綴じ位置から退避位置へ移動する過程で、可動圧着部材に張り付いた用紙束が湾曲する。その結果、用紙束のコシにより用紙束を可動圧着部材から剥がすことができ、用紙束搬送時に用紙束が圧着部材に張り付くのを抑制できる。これにより、紙詰まりや用紙の破損が生じるのを抑制することができる。
(態様4)
(態様3)において、表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力が大きい方の圧着部材を、他方の圧着部材よりも上方に配置した。
(態様4)によれば、実施形態で説明したように、他方の圧着部材よりも上方に配置された圧着部材が移動手段により綴じ位置から退避位置へ移動する過程で、圧着部材に張り付いた用紙束が持ち上げられる。これにより、用紙束のコシと用紙束の自重とにより用紙束を、圧着部材から剥がすことができる。その結果、より良好に、可動圧着部材から用紙束を剥がすことができる。
(態様5)
(態様2)乃至(態様4)のいずれかにおいて、用紙剥離手段は、張り付いた用紙束に接触し、用紙束とともに用紙束が張り付いた圧着部材に対して相対的に移動して張り付いた用紙束を剥がす剥がし部材21を有する。
(態様5)によれば、圧着部材に張り付いた用紙束を、剥がし部材21により、確実に剥がすことができる。
(態様6)
用紙束に対して綴じ処理を施す綴じ具210などの用紙綴じ装置を少なくとも備えた用紙処理装置201などの用紙処理装置において、前記用紙綴じ装置として、(態様1)乃至(態様5)いずれかの用紙綴じ装置を用いた。
これによれば、上記実施形態について説明したように、紙詰まりや用紙束の破損を抑制することができる用紙処理装置を提供することができる。
(態様7)
用紙上に画像を形成する画像形成装置101と、画像形成装置101によって画像が形成された用紙の束に対して綴じ処理を施す綴じ具210などの用紙綴じ装置とを備えた画像形成システムにおいて、用紙綴じ装置として、(態様1)乃至(態様5)いずれかの用紙綴じ装置を用いた。
これによれば、上記実施形態について説明したように、紙詰まりや用紙束の破損を抑制することができる画像形成システムを提供することができる。
(態様8)
用紙上に画像を形成する作像部110などの画像形成手段と、画像形成手段によって画像が形成された用紙の束に対して綴じ処理を施す綴じ具210などの用紙綴じ装置とを備えた画像形成装置101などの画像形成装置において、用紙綴じ装置として、(態様1)乃至(態様4)いずれかの用紙綴じ装置を用いた。
これによれば、上記実施形態について説明したように、紙詰まりや用紙束の破損を抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
11:処理用トレイ
12:綴じ具
20:剥離機構
21:剥がし部材
21b:開口部
100:画像形成システム
101:画像形成装置
110:作像部
201:用紙処理装置
210:綴じ具
243:処理用トレイ
243a:開口部
261:歯型
261a:上側歯型部
261b:下側歯型部
特開2010−274623号公報

Claims (8)

  1. 一対の圧着部材によって用紙束を綴じる圧着綴じ方式の用紙綴じ装置において、
    前記一対の圧着部材の表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力を互いに異ならせたことを特徴とする用紙綴じ装置。
  2. 請求項1に記載の用紙綴じ装置において、
    表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力が大きい方の圧着部材に張り付いた用紙を剥がす用紙剥離手段を設けたこと特徴とする用紙綴じ装置。
  3. 請求項2に記載の用紙綴じ装置において、
    前記用紙剥離手段は、表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力が大きい方の圧着部材を、他方の圧着部材とともに用紙束を綴じる綴じ位置と、該綴じ位置から退避した退避位置との間で移動させる移動手段を有することを特徴とする用紙綴じ装置
  4. 請求項3に記載の用紙綴じ装置において、
    前記表面粗さおよび/または用紙との静止摩擦力が大きい方の圧着部材を、前記他方の圧着部材よりも上方に配置したことを特徴とする用紙綴じ装置。
  5. 請求項2乃至4いずれかに記載の用紙綴じ装置において、
    前記用紙剥離手段は、張り付いた用紙束に接触し、前記用紙束とともに該用紙束が張り付いた圧着部材に対して相対的に移動して張り付いた用紙束を剥がす剥がし部材を有することを特徴とする用紙綴じ装置。
  6. 用紙束に対して綴じ処理を施す用紙綴じ手段を少なくとも備えた用紙処理装置において、
    前記用紙綴じ手段として、請求項1乃至4いずれかに記載の用紙綴じ装置を用いたことを特徴とする用紙処理装置。
  7. 用紙上に画像を形成する画像形成装置と、
    前記画像形成装置によって画像が形成された用紙の束に対して綴じ処理を施す綴じ処理装置とを備えた画像形成システムにおいて、
    前記綴じ処理装置として、請求項1乃至5いずれかに記載の用紙綴じ装置を用いたことを特徴とする画像形成システム。
  8. 用紙上に画像を形成する画像形成手段と、
    前記画像形成手段によって画像が形成された用紙の束に対して綴じ処理を施す用紙綴じ装置とを備えた画像形成装置において、
    前記用紙綴じ装置として、請求項1乃至5いずれかに記載の用紙綴じ装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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