JP2015137301A - ホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物およびホットメルト接着フィルム - Google Patents
ホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物およびホットメルト接着フィルム Download PDFInfo
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Abstract
Description
このようなホットメルト型接着剤としては、エチレン系共重合体、スチレン系ブロック共重合体およびオレフィン系(共)重合体からなる群から選ばれる1種以上のベースポリマーと粘着付与樹脂、結晶性極性基含有化合物を含有するもの(特許文献1)、アモルファスポリα−オレフィン、粘着付与樹脂およびポリプロピレン系ワックスを必須成分とするもの(特許文献2)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合ゴムあるいはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合ゴムに、粘着付与樹脂成分およびプロセスオイルなどの液状可塑剤を添加してなるもの(特許文献3、4)、変性ポリオレフィンと粘着付与剤を配合してなるもの(特許文献5)、スチレン系ブロック共重合体と酸変性ワックスを配合してなるもの(特許文献6)、酸変性ポリプロピレンと酸変性スチレン系ブロック共重合体を配合してなるもの(特許文献7)、スチレン系ブロック共重合体と粘着付与剤、エチレン系重合体を配合してなるもの(特許文献8、9、10)などが提案されている。
しかしながら、そのようなホットメルト型接着剤を、80℃程度の実用的な耐熱性が要求される自動車内装材などに適用する場合、高温雰囲気下での表皮の浮き、剥がれなどの問題が生じる場合がある。接着時の加熱温度を比較的高温とし圧力をかけることで、樹脂基材への接着性を高めることができる場合もあるが、積層体の用途が意匠性を必要とする自動車内装、住宅内装、家電機器筐体など場合には、成形部材が損傷し、意匠性が損なわれるという問題が生じる。このようなことから、意匠性を損なわない程度の低温接着性と、実用的な耐熱性を両立可能なホットメルト型接着剤が求められている。
1)下記、(A)、(B)を含むホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。融点が100℃以上130℃未満であるエチレン−αオレフィン共重合体(A)5〜95重量部、 融点が130℃以上160℃以下であるエチレン−αオレフィン共重合体(B)5〜95重量部。(ここで、(A)と(B)を合わせて100重量部とする。)
2)(A)と(B)の合計100重量部に対し、さらに、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)1〜60重量部を含むことを特徴とする1)に記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
3)(A)と(B)の合計100重量部に対し、さらに、粘着付与剤(D)1〜60重量部を含むことを特徴とする1)または2)に記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
4)80℃における周波数10Hz、せん断モードで測定した貯蔵弾性率G’(80)が0.8MPa以上、かつ110℃における周波数10Hz、せん断モードで測定した貯蔵弾性率G’(110)が0.8MPa未満であることを特徴とする1)から3)のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
5)前記エチレン−αオレフィン共重合体(A)の引張弾性率が300MPa以上700MPa以下、前記エチレン−αオレフィン共重合体(B)の引張弾性率が10MPa以上200MPa以下であることを特徴とする、1)から4)のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
6)前記(A)および/または(B)が、(a)不飽和カルボン酸又はその誘導体および(b)芳香族ビニル単量体でグラフト変性された変性エチレン−αオレフィン共重合体であることを特徴とする、1)から5)のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
7)前記(A)および/または(B)が、エチレン−プロピレン共重合体であることを特徴とする、1)から6)のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
8)前記(A)および/または(B)中のエチレン含量が3〜20重量%であることを特徴とする、1)から7)のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
9)前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン含量が20重量%以下であることを特徴とする、1)から8)のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
10)前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、水素添加スチレン−イソプレンブロックコポリマー及び水素添加スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、水素添加スチレン−ブタジエンランダムコポリマーから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする、1)から9)のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
11)前記粘着付与剤(D)が、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂環族系石油樹脂のいずれかであることを特徴とする、1)から10)のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
12)1)から11)のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、その厚みが20〜200μmであることを特徴とするホットメルト接着フィルム。
(エチレン−αオレフィン共重合体(A)、(B))
本発明のエチレン−αオレフィン共重合体(A)は、融点が100℃以上130度未満であり、エチレン−αオレフィン共重合体(B)は、融点が130℃以上160度以下である。ここで、融点とは、示差走査型熱量計にて窒素雰囲気下にて、10℃/分での昇温後に降温過程を経た後、再び10℃/分にて昇温した際に得られる融解吸熱カーブより、観測されたピークのピークトップとして定義される温度を、融点とする。
一般に、ホットメルト接着剤は、その融点以上の温度で軟化させて接着させた後、融点以下に冷却し固化させて用いるため、接着温度と必要な耐熱温度が近い場合は、その設計が難しい。しかしながら、上記要件を満たす変性エチレン−αオレフィン共重合体を用いることで、低温加工での接着性と、得られる積層体中で接着層の耐熱性を両立させることが可能となる。
このようなエチレン−αオレフィン共重合体(A)、(B)は、上記特性を満たせば特に制約はないが、エチレン−αオレフィン共重合体(A)としては密度が0.88g/cm3〜0.90g/cm3であるエチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、エチレンーαオレフィン共重合体(B)としては、密度が0.86g/cm3〜0.88g/cm3であるエチレンとα−オレフィンとのランダム共重合体が好適に使用される。ここで、密度とは、JIS K7112に準拠して測定されたものである。
上記のようなエチレン−αオレフィンランダム共重合体を形成するα−オレフィンとしては、通常炭素数3〜20のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンが挙げられるが、グラフト変性の際、ポリオレフィン上にラジカルが発生しやすくなる点および耐熱性の観点から、プロピレンであることが好ましい。エチレン−プロピレン共重合体中のエチレンとプロピレンの含有比率としては、エチレン−αオレフィン共重合体(A)の場合はプロピレン含量が90〜97重量%、エチレン含量が3〜10重量%、エチレン−αオレフィン共重合体(B)の場合はプロピレン含量が80〜90重量%、エチレン含量が10〜20重量%、であることが接着性と耐熱性を両立し易い傾向にあるという点から好ましい。さらに、エチレン含量が上記範囲より多いと後述する変性を実施する場合にエチレン部分で架橋反応が先行し、低温接着性が低下するだけでなく、接着性フィルムとして良好な外観のものとして取得できない可能性がある。これらエチレン−αオレフィン共重合体には、上述の熱特性を損なわない範囲であれば、他のジエン、ビニルエステルなどを第3成分として共重合してもよい。これらは、粒子状のものであってもペレット状のものであってもよく、その大きさや形はとくに制限されるものではない。
変性エチレン−αオレフィン共重合体の製造には、溶融混練による方法、溶液による方法、懸濁法などの一般的なラジカルグラフト法によって行うことが出来る。この中で、経済的で、簡便かつ生産性に富む点では溶融混練法が好ましい。
変性エチレン−αオレフィン共重合体中の不飽和カルボン酸及び/またはその誘導体の含有量は、ベース樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量%であることが好ましい。ここで、前記含有量とは、ベース樹脂の主鎖に対して、グラフト共重合により導入された不飽和カルボン酸および/またはその誘導体の量である。0.01重量%より少ないと被着体の種類によっては接着性が不充分となる場合があり、5重量%より多いと溶融混練中にグラフト鎖が反応して一部架橋を起こし、成形性が劣ると同時にフィッシュアイ、ブツなどにより製品外観が悪化し、且つ、かつ接着性も低下する。
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(C)は、スチレン、その同族体もしくはその類似体を含有する熱可塑性エラストマーをいう。スチレン系熱可塑性エラストマーとして知られるものは、特に限定されることなく使用できる。スチレン、その同族体もしくはその類似体のブロックを、少なくとも一つの末端ブロックとして含み、共役ジエンもしくはその水添物のエラストマーブロックを少なくとも一つ中間ブロックとして含むブロック共重合体または、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体を挙げることができる。
本発明のスチレン系熱可塑性エラストマー(C)の好ましい具体例として、スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー、スチレン−イソプレンジブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー、水素添加スチレン−ブタジエンジブロックコポリマー、水素添加スチレン−ブタジエン−スチレントリブロックコポリマー、水素添加スチレン−イソプレンジブロックコポリマー、水素添加スチレン−イソプレン−スチレントリブロックコポリマー、水素添加スチレンーブタジエンランダムコポリマー、スチレン−イソブチレンジブロックコポリマー、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマーなどが挙げられる。さらに、スチレンブロックの中にはスチレンのほかに、スチレンとα−メチルスチレン等の芳香族系ビニル化合物の共重合体が含まれていてもよい。スチレン含量としては、1〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%であり、特に好ましくは、10〜15重量%である。20重量%よりも多いと接着強度が低下して好ましくない。また、1重量%よりも低い場合は、耐熱性の観点から好ましくない。
上述のスチレン系熱可塑性エラストマーは市販されているアサプレン、タフプレン、アサフレックス、タフテック[旭化成工業(株)製];ダイナロン、JSR−TR[JSR(株)製];クレイトン[クレイトンポリマー社製];クインタック[日本ゼオン社製];ハイブラー、セプトン[クラレ(株)製];シブスター[(株)カネカ製]を例示できる。これらの市販品は、各々単独で又は組み合わせて使用することができる。
本発明の粘着付与剤(D)としては、種々のものがあるが、例えば、石油樹脂(脂肪族系、脂環族系、芳香族系等)、テルペン樹脂(α−ピネン、β-ピネン、リモネンなどの重合体)、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、ロジン系樹脂(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、ロジンエステル等)、テルペンフェノール樹脂などが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上をあわせて用いることができる。これらの中でも、変性エチレン−αオレフィンを使用する場合、変性エチレン−αオレフィン中のエポキシ基と反応する構造を含まない脂環族系石油樹脂、テルペン樹脂(α−ピネン、β−ピネン、リモネンなどの重合体)、芳香族変性テルペン樹脂が好ましく、中でも濡れ性、ハンドリング性、耐熱性の観点から芳香族変性テルペン樹脂がより好ましく、入手のしやすさからスチレン変性テルペン樹脂が特に好ましい。
テルペンフェノール樹脂や、ロジン系樹脂は、その構造上、低酸価、低水酸基価とすることが困難であるため、溶融混練、変性樹脂中のエポキシ基と反応して、フィッシュアイ、ゲルが増加するだけでなく、樹脂組成物が増粘し、フィルム成形性が悪く傾向がある。低温加工での接着性、耐熱性、接着剤樹脂組成物のハンドリングの観点から、環球法による軟化点が90℃〜180℃、好ましくは100〜170℃、より好ましくは110〜160℃、更に好ましくは110〜140℃の範囲ものを用いることが好ましい。軟化点が90℃よりも低いものであると接着剤組成物の耐熱性が低下するとともに、スチレン系熱可塑性エラストマーやエチレン−αオレフィン共重合体との溶融混練が困難となるばかりか、接着剤樹脂組成物の常温タックが強くなりすぎてフィルム成形が困難となる。また、軟化点が180℃よりも高いものであると、低温での接着性に劣るため不適である。粘着付与剤としては、単独あるいは2種以上をあわせて用いることができる。
粘着付与剤(D)の量としては、1〜60重量部が好ましい。より好ましくは10〜55重量部であり、さらに好ましくは20〜55重量部である。1重量部より少ないと、接着強度が低調となることがあり好ましくない。また、60重量部を超える場合は、組成物の凝集力が乏しくなり、耐熱性が低下するとともに、樹脂組成物のタックが強くなりすぎて、造粒および成形時の取扱いが困難となるため、好ましくない。
(ホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物の貯蔵弾性率G’)
本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物の80℃における貯蔵弾性率G’は、好ましくは、0.8MPa以上であり、より好ましくは0.9MPa以上、さらに好ましくは1.0MPa以上である。0.8MPa未満であるものは、耐熱性の観点から不適である。
また、ホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物の110℃における貯蔵弾性率G’は、好ましくは0.8MPaであり、より好ましくは0.6MPa未満であり、さらに好ましくは0.5MPa未満である。0.8MPa以上である場合は、低温での接着の際の基材へのぬれの観点から不適である。貯蔵弾性率G’は、動的粘弾性測定装置にて、せん断モード、測定周波数10Hz、昇温速度4℃/分の条件にて測定される。
本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物の製造方法として、公知のいずれの方法を用いても良いが、均一に混合するのが容易であるという点からは、特に溶融混錬が好ましい。溶融混錬の装置としては、一軸又は多軸押出機、バンバリーミキサー、プラストミル、加熱ロールニーダー、などを使用することができる。生産性の面から減圧装置を装備した単軸あるいは二軸押出機を用いる方法が好ましい。 また、各々の材料を充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰返してもよい。
なお、本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物には必要に応じて他の熱可塑性樹脂や、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
これらの安定剤および添加剤を用いる場合は、予めスチレン系熱可塑性エラストマーまたは、エチレン−αオレフィン共重合体に添加されているものであってもよく、エチレン−αオレフィン共重合体の溶融変性の際に添加されるものであってもよく、エチレン−αオレフィン共重合体(A)、エチレン−αオレフィン共重合体(B)、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)、粘着付与剤(D)の各成分を溶融混錬する際に添加されるものであってもよく、また、接着性樹脂組成物を製造したのちに適宜の方法で添加されるものであってもよい。
本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物は、熱溶着性を有するフィルム状成形体(ホットメルト接着フィルム)にすることができる。厚みは用途に応じて適宜調整されればよいが、所望の接着性と耐熱性が得られ易いとの観点から、20〜200μm、さらには30〜100μmであることが好ましい。本発明でいう熱溶着性とは、熱で溶けて被着体と接合する性質のことである。 本発明のホットメルト接着フィルムの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば本発明の接着性樹脂組成物を溶融混練により得た後に、各種の押出成形機、射出成形機、カレンダー成形機、インフレーション成形機、ロール成形機、あるいは加熱プレス成形機などを用いてフィルム状に成形加工することが可能である。
本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物を用いれば、比較的低い処理温度で種々の被着体を接着させて多層積層体を得ることが可能になる。本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物が接着可能な材料としては、紙、木綿、麻、布、木板などのセルロース系高分子材料、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS樹脂)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(AES樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン、ポリウレタンなどのポリアミド系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の合成高分子材料、金、銀、銅、鉄、錫、鉛、アルミニウムなどの金属材料が挙げられる。被着体の材料として、異なる2種類以上の材料を混合、複合してもよい。また、積層体が本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物からなる接着層を介して、異なる2つの被着体が接着してなるものである場合、2つの被着体を構成する材料は、同じ種類の材料でも異なる種類の材料のいずれでもよい。本発明のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物は、特に被着体の表面処理をすることなく、強力な接着が可能であるが、必要に応じて、プラズマやレーザーなどによる表面改質、表面酸化、エッチングなどの表面処理等を実施してもよい。
真空成形、真空圧空成形、ホットスタンプ成形を用いる場合、表皮材の成形品への追従性から、接着フィルムの厚みは、25μm〜100μmが好ましく、30μm〜75μmの厚みがより好ましい。25μm未満であると、成形品への接着面積が乏しくなり、接着強度が不充分なものとなり好ましくなく、100μmを超えると熱伝導性が低下し、表皮材加熱時に所定時間内で充分軟化せず、接着強度が低下する。また、この厚みとすることで、外観の良好な積層体が得られるだけでなく、積層体を高温雰囲気下に置いた場合に表皮材、成形品が膨張、収縮することによって生じる、表皮材のめくれ、横ずれなどの外観不良の発生を抑えることができる。真空圧空成形で得られた積層体は、表皮材が成形品端部から裏面にかけて巻き込んでいることにより、より高温雰囲気下での外観維持が可能である。
グラフト量の測定については、得られた変性エチレン−プロピレン共重合体ペレットを110℃に加熱したキシレンに溶解した後、そのキシレン溶液をN,N−ジメチルホルムアミド中に滴下し再沈殿物させ、得られた再沈殿物について滴定を行うことにより得た。滴定は、電位差滴定装置(京都電子工業(株)製、AT−700)を用いて、JIS K7236に準拠して、過塩素酸による滴定でエポキシ基の定量をすることで行った。
示差走査型熱量計((株)島津製作所製、DTG−50)を用い、試料を窒素雰囲気下、220℃まで、10℃/分で昇温させた後、40℃まで降温した後、220℃まで再度10℃/分で昇温下時に得られた融解吸熱カーブより、観測されたピークのピークトップとして定義される温度を融点とした。
6mm×5mm×2mmの角柱状試験片を用いてせん断モード、測定周波数 10Hz、昇温速度4℃/分、測定温度範囲−70〜150℃の条件にて動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製、DVA−200)にて測定を実施し、80℃および110℃の貯蔵弾性率G’をそれぞれ記録した。
ラミネーター(フジプラ株式会社製、LAMIPACKER LPD3204)を用いて、厚み0.3mmのABS樹脂シート上に接着フィルムをラミネートして接着剤付表皮材とした後、この表皮材を、真空ラミネーター((株)エヌピーシー製、Module Laminator LM−50x50−S)を用いて、PP基材と接着した。真空ラミネーターの条件は、以下の様に調整した。
温度:150℃、圧力:2気圧、真空時間:6秒、プレス時間:16秒、保持時間:0秒
このとき、接着剤層の温度は、114〜118℃の範囲まで上昇した。
(耐熱クリープ試験)また同様に、上記の25mm幅にカットした積層体を、基材が水平方向となるようにオーブン内に固定し、加飾フィルムの一端に100gの分銅を取り付け、80℃の雰囲気中で24時間経過後の剥離の状況を評価した。その際、分銅と接着端面を結ぶ直線と基材のなす角度は90度となる。試験は、N=5で実施した。評価基準としては、×:N=5ともに剥離距離が10mm以上(評価不良)、○:N=5ともに剥離距離が10mm未満(評価良)で判定した。
加熱プレス機((株)神藤金属工業所製:製品名圧縮成型機NSF−50)にて、所定の加熱温度(200℃、5MPa)の条件で加熱プレスをして、接着性樹脂組成物の約2mm厚のシートを得た。これをJIS K7113で規定される2(1/3)号ダンベルの大きさに切削し、オートグラフ((株)島津製作所製:AGS−X)を用い、下記条件にて応力−ひずみを調べ、規程された2点のひずみε1=0.0005、およびε2=0.0025に対応する応力をそれぞれσ1およびσ2とするとき、応力の差(σ2−σ1)をひずみの差(ε2−ε1)で除した値を引張弾性率とし、三回の測定の平均値を採用した。
試験温度:23℃、試験速度:1mm/min、初期チャック間距離:27mm
密度測定器(ミラージュ貿易(株):比重計ED−120T)にて、樹脂ペレットの密度をJIS K7112のA法(水中置換法)に準拠して測定を行った。測定は三回行い、その平均値を採用した。
エチレン−プロピレン共重合体(ダウ・ケミカル日本(株)製:Versify3000;融点118℃、密度0.891g/cm3、引張弾性率440MPa、エチレン含量5%)100部、1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(1分間半減期175℃)0.5部をシリンダー温度200℃、回転数150rpmに設定した二軸押出機(46mmφ、L/D=60、(株)神戸製鋼所製、製品名HYPERKTX46)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりメタクリル酸グリシジル3部、スチレン3部加え溶融混練して変性エチレン−プロピレン共重合体A1を得た。得られた変性エチレン−プロピレン共重合体A1中のメタクリル酸グリシジルのグラフト量は、0.8wt%であった。
上記製造例で得た変性エチレン−αオレフィン共重合体A1と、下記実施例で使用したエチレン−αオレフィン共重合体B1の物性(密度、融点、引張弾性率、グラフト量、エチレン含量)を表1に示した。
(1)ホットメルト型接着フィルムの製造
(実施例1)
製造例1で得られた変性エチレン−プロピレン共重合体A1、10部と、未変性エチレン−プロピレン共重合体B1(ダウ・ケミカル日本(株)製:Versify4301)90部を、シリンダー温度180℃に設定した二軸押出機(44mmφ、L/D=38.5、(株)日本製鋼所製、製品名TEX44XCT)で溶融混練して、接着性樹脂組成物を得た。この接着樹脂組成物をTダイによって厚み60μmのフィルム状に成形し、ホットメルト型接着フィルムを得、上記接着評価と耐熱試験の項目に従って評価した結果を表2に記載した。
(比較例1)
製造例1で得られた変性エチレン−プロピレン共重合体A1、100部をTダイによって厚み60μmのフィルム状に成形し、ホットメルト型接着フィルムを得、上記接着評価と耐熱試験の項目に従って評価した結果を表2に記載した。
(比較例2)
未変性エチレン−プロピレン共重合体B1(ダウ製:Versify4301)をTダイによって厚み60μmのフィルム状に成形し、ホットメルト型接着フィルムを得、上記接着評価と耐熱試験の項目に従って評価した結果を表2に記載した。
Claims (12)
- 下記、(A)、(B)を含むホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
5〜95重量部の、融点が100℃以上130℃未満であるエチレン−αオレフィン共重合体(A)、 95〜5重量部の、融点が130℃以上160℃以下であるエチレン−αオレフィン共重合体(B)(ここで、(A)と(B)を合わせて100重量部とする)。 - (A)と(B)の合計100重量部に対し、さらに、スチレン系熱可塑性エラストマー(C)1〜60重量部を含むことを特徴とする請求項1に記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- (A)と(B)の合計100重量部に対し、さらに、粘着付与剤(D)1〜60重量部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系接着樹脂組成物。
- 80℃における周波数10Hz、せん断モードで測定した貯蔵弾性率G’(80)が0.8MPa以上、かつ110℃における周波数10Hz、せん断モードで測定した貯蔵弾性率G’(110)が0.8MPa未満であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 前記エチレン−αオレフィン共重合体(A)の引張弾性率が300MPa以上700MPa以下、前記エチレン−αオレフィン共重合体(B)の引張弾性率が10MPa以上200MPa以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 前記(A)および/または(B)が、(a)不飽和カルボン酸又はその誘導体および(b)芳香族ビニル単量体でグラフト変性された変性エチレン−αオレフィン共重合体であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 前記(A)および/または(B)が、エチレン−プロピレン共重合体であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 前記(A)および/または(B)中のエチレン含量が3〜20重量%であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン含量が20重量%以下であることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、水素添加スチレン−イソプレンブロックコポリマー及び水素添加スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、水素添加スチレン−ブタジエンランダムコポリマーから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 前記粘着付与剤が、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂環族系石油樹脂のいずれかであることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1から11のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤用ポリオレフィン系樹脂組成物からなり、その厚みが20〜200μmであることを特徴とするホットメルト接着フィルム。
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