JP2015136326A - 離型油用油脂組成物とそれを用いた離型油 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布性が良好で、液ダレを抑制することができ、離型性に優れ、焼き色の良好な食品を得ることができ、繰り返し使用した際にも劣化臭が生じにくい離型油用油脂組成物とそれを用いた離型油を提供する。【解決手段】ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有する離型油用油脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、パン類や菓子類等を焼成等によって製造する工程において、生地を入れる型に塗布して使用される離型油用油脂組成物とそれを用いた離型油に関する。
パン類や菓子類等、特に、生地に澱粉や蛋白質、糖分等が含まれる食品の製造において、食品生地を焼成又は蒸成することによって食品を製造する工程では、生地を型から取り出す際に生地の型への付着を抑制して離型性を向上させるために離型油が使用されている。
この離型油は、離型性の他に、型に離型油を塗布する際に塗りやすいこと、具体的には塗りムラが生じにくく、刷毛等で塗布する際には延びが良いことが求められる。焼き型に均一に塗布できることは、加熱時に焼き型と食品生地の界面で均質な油膜を保持することにも繋がる。
また離型油を型に塗布した後、液ダレが少なく付着性が良いことが求められる。液ダレが多く、付着性が悪いと、型の側面から離型油が流れ落ちてしまう。このため、離型に必要な油脂量が不足し、生地が型に付着して離型性が悪くなったり、流れ落ちた離型油が型の底部や四隅に溜まる油だまりを発生し、食品の商品価値を損なったり、作業性が悪くなったりする。
また焼成品の状態が良いこと、例えばパンの焼き色が、フライ様(フライしたように端が油っぽく、油脂による色付きがあること)のないことが求められる。
そして離型油は、繰り返し使用した際に劣化臭が生じないことが求められる。例えば、離型油に炭素数14以下の脂肪酸を多く含有すると、油脂が劣化した際に遊離脂肪酸を発生させ、劣化臭、すなわち石鹸臭の原因となる。
製パンにおいては、離型油は、発酵工程と焼成工程に次のように使用されている。
発酵工程では、中種法の中種発酵、フロアタイム、ストレート法のフロアタイム(発酵)にボックスオイルとして離型油が使用される。中種法、ストレート法の発酵工程では、ボックスと呼ばれる容器や、ステンレス製ボールやトレイ等の容器の全体にボックスオイルを塗り、生地を入れ、容器に生地が入った状態で発酵室に入れ、中種法では、28℃で4時間、ストレート法では27℃で100分程度発酵させる。
その間に生地は膨張するため側面に塗布した離型油が多量に流れ落ちると膨張した生地と容器との間の離型油が不足するため、発酵が終わった生地を取り出すときに生地がボックスに付着しやすくなる。また液ダレによって型の底部や四隅に離型油が溜まると、繰り返し使用した場合は臭いの原因となり、掃除するにも大変な作業となる。
また焼成工程では、食型に入れたり、天板にのせたりする際に離型油が使用される。ここではパン生地が付着しないよう、全面に離型油が塗布される。生地を型に入れ、この状態でホイロに入れ、38℃で40〜45分程度置く間に徐々に発酵させる。
このホイロにおいても発酵時に、側面に塗布した離型油が流れ落ちると、生地が食型に付着しやすくなり離型性が悪くなる。また、流れた離型油が食型の底部や四隅に溜まり(油だまり)、焼成したときにパンの表面(クラスト)がフライ様となり、商品価値を損なう。またボックス等の容器と同様に食型は繰り返し使用されるため、油だまりが残存していると、油脂の劣化が起こり、油脂の臭いが生地に付着し、風味を損ねてしまう。
従来、離型油は型への塗布性、離型性等を考慮し、液状油にワックスや極度硬化油を添加した油脂組成物が使用されている。また繰り返し使用する際の安定性等を向上させるために中鎖トリグリセリド(MCT)や、MCTにラウリン系油脂を添加した油脂組成物、MCTをエステル交換した油脂組成物等も使用されている。
しかし、MCTは融点が低く、パン等の製造では型への塗布後に発酵室やホイロで温度の高い状態に長時間曝されるため、塗布した離型油が流れ落ちて型の隅に油だまりを生じ、焼成したパンの表面(クラスト)がフライ様となり商品価値を損なうという問題があった。
従来、離型油に使用される油脂組成物として、次のような技術が提案されている。
特許文献1には、中鎖飽和脂肪酸トリグリセリド10〜90質量%と、構成脂肪酸中にモノ不飽和脂肪酸を50%以上含有し多価不飽和脂肪酸を35%以下含有する融点15℃以下の油脂90〜10質量%とをエステル交換して得られる液状油組成物が提案されている。しかし液状であるため油だまりを抑制できず、油だまりが生じると焼成した食品がフライ様になって商品価値が低下する。
特許文献2には、油脂の構成脂肪酸としての炭素数14以下の脂肪酸含量が、油脂中の構成脂肪酸全量に対して82%以上である食用油脂を用いる技術が提案されている。しかし炭素数14以下の脂肪酸量が多いため、繰り返し使用する場合に遊離して脂肪酸となりやすく、これにより劣化臭を生じると、食品の風味が低下しやすくなる。
特許文献3には、直接β結晶である油脂としてパーム系油脂のエステル交換油脂を用いる技術が提案されている。
特開2001−181674号公報 特開2007−306840号公報 特開2007−252203号公報
しかしながら、特許文献3で使用されているパーム系油脂のエステル交換油脂、例えばパームステアリンのような硬質油のエステル交換したものは、型に離型油を塗布する際に延びが悪いため塗りにくく、塗りムラが生じてしまい、塗布性に劣る。また離型性も未だ満足できるものではなく更に改良の余地があった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、塗布性が良好で、液ダレを抑制することができ、離型性に優れ、焼き色の良好な食品を得ることができ、繰り返し使用した際にも劣化臭が生じにくい離型油用油脂組成物とそれを用いた離型油を提供することを課題としている。
前記の課題を解決するために、本発明の離型油用油脂組成物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有することを特徴としている。
この離型油用油脂組成物は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.1〜2.5であることが好ましい。
この離型油用油脂組成物は、全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量が0.5〜12質量%であることが好ましい。
この離型油用油脂組成物は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計割合が5〜70質量%であることが好ましい。
本発明の離型油は、前記の離型油用油脂組成物を含有する。
本発明によれば、塗布性が良好で、液ダレを抑制することができ、離型性に優れ、焼き色の良好な食品を得ることができ、繰り返し使用した際にも劣化臭が生じにくい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の離型油用油脂組成物は、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有することを特徴としている。
このパーム系油脂にラウリン系油脂を組み合わせたエステル交換油脂を使用することで、離型性に優れた離型油用油脂組成物を得ることができる。
そしてパーム系油脂にラウリン系油脂を組み合わせたこのエステル交換油脂は、他の油脂との相溶性が良く、例えば硬い油脂だけで固まることが抑制され、経時による2不飽和トリグリセリド及び3不飽和トリグリセリド等の低融点トリグリセリドである液状油が流れ出るのを抑制できる。そのため長時間に渡り型に入れたときに液状油が固液分離して流れ出し、離型性が低下することを抑制でき、また型の底部や四隅に油だまりを生じて焼成品の表面がフライ様の外観になることが抑制され、焼き色の良好な食品を得ることができる。
エステル交換油脂の原料であるラウリン系油脂は、全構成脂肪酸中のラウリン酸含有量が30質量%以上、好ましくは40〜55質量%、より好ましくは45〜50質量%である。このようなラウリン系油脂としては、パーム核油、ヤシ油、これらの分別油、硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。これらのうち、ヤシ油に比べて融点が高く、高融点のエステル交換油脂を容易に得ることができる点を考慮すると、パーム核油及びその分別油や硬化油が好ましい。硬化油としては、部分硬化油、低温硬化油、又は完全水素添加した極度硬化油を用いることができるが、極度硬化油を用いるとトランス酸量を低減することができる。
ラウリン系油脂は、ヨウ素価が2以下であることが好ましい。ヨウ素価が2以下のラウリン系油脂を用いると、他の油脂に対して核となりやすく、核発生を誘発するため固化が遅れるのを抑制でき、塗布性が向上する。ヨウ素価が2以下のラウリン系油脂としては、極度硬化油を用いることができる。
エステル交換油脂の原料であるパーム系油脂は、全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量が35質量%以上である。パーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油、これらの硬化油、エステル交換油脂等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部(パームステアリン等)、軟質部(パームオレイン、パームダブルオレイン等)、中融点部(PMF等)等を用いることができる。パーム系油脂として硬化油を使用する場合、部分硬化油、低温硬化油、極度硬化油等を用いることができるが、中でも極度硬化油が好ましい。
パーム系油脂は、極度硬化油をラウリン系油脂及びパーム系油脂の合計量に対して20〜60質量%の範囲内で含有することが好ましい。
ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換反応には、エステル交換触媒として化学触媒や酵素触媒が用いられる。化学触媒としてはナトリウムメチラートや水酸化ナトリウム等が用いられ、酵素触媒としてはリパーゼ等が用いられる。リパーゼとしてはアスペルギルス属、アルカリゲネス属等のリパーゼが挙げられ、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体上に固定し固定化したものを用いても、粉末の形態として用いても良い。また位置選択性のあるリパーゼ、位置選択性のないリパーゼのいずれも用いることができるが、位置選択性のないリパーゼを用いることが好ましい。エステル交換触媒として化学触媒や位置選択性のない酵素触媒を用いた場合、ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換反応が完了すると、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)とのエステル交換油脂中における質量比(SUS/SSU)が0.45〜0.55となる。
エステル交換に化学触媒を用いる場合、触媒を油脂質量の0.05〜0.15質量%添加し、減圧下で80〜120℃に加熱し、0.5〜1.0時間攪拌することでラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。また酵素触媒を用いる場合、リパーゼ等の酵素触媒を油脂質量の0.01〜10質量%添加し、40〜80℃でエステル交換反応を行うことによりエステル交換反応が平衡状態となって完了し、エステル交換油脂を得ることができる。エステル交換反応はカラムによる連続反応、バッチ反応のいずれの方法で行うこともできる。エステル交換反応後、必要に応じて脱色、脱臭等の精製を行うことができる。
ラウリン系油脂における全構成脂肪酸中のラウリン酸の割合、パーム系油脂における全構成脂肪酸中の炭素数16以上の脂肪酸含有量、エステル交換反応の終了は、ガスクロマトグラフ法により確認することができる。
エステル交換油脂は、ラウリン系油脂5質量%以上80質量%以下と、パーム系油脂20質量%以上95質量%以下とをエステル交換して得られたものであることが好ましく、ラウリン系油脂5質量%以上30質量以下とパーム系油脂70質量%以上95%以下であることがより好ましく、ラウリン系油脂が10質量%以上30質量%未満とパーム系油脂70質量%超90質量%以下であることが更に好ましい。ラウリン系油脂とパーム系油脂をこの質量範囲で使用すると、離型油用油脂組成物における炭素数14以下の飽和脂肪酸量を前記の範囲内にすることが容易である。
本発明の離型油用油脂組成物は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.1〜2.5であることが好ましい。この範囲内であると、液ダレが抑制されて、例えば製パン等で長時間に渡り型に入れた場合にも、型の側面から離型油が流れ落ちにくく離型性が向上する。また離型油が流れ落ちにくいため、型の底部や四隅に油だまりを生じて焼成品の表面がフライ様の外観になることが抑制され、焼き色の良好な食品を得ることができる。特にSUS/SSUが2.5以下であると、長時間に渡り型に入れたときに油脂が固液分離し、液状油が流れ出て油だまりを生じることを抑制できる。
本発明の離型油用油脂組成物は、炭素数14以下の飽和脂肪酸量が0.5〜12質量%であることが好ましい。この範囲内であると、型に離型油を塗布する際に塗りムラが生じにくく、刷毛等で塗布する際には延びが良く、塗布性が良好である。更に繰り返し使用した際の油脂の遊離脂肪酸に起因する劣化臭が抑制され、焼成した食品の風味を損なうことがない。また離型性も良好である。炭素数14以下の飽和脂肪酸量が0.5質量%以上であると離型性が良好であり、12質量%以下であると塗布性が向上し、繰り返し使用した際の劣化臭も抑制できる。
本発明の離型油用油脂組成物は、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計割合が油脂全体の質量に対して5〜70質量%であることが好ましい。この範囲内であると、型に離型油を塗布する際に塗りムラが生じにくく、刷毛等で塗布する際には延びが良く、塗布性が良好である。更に型の底部や四隅に油だまりを生じて焼成品の表面がフライ様の外観になることが抑制され、焼き色の良好な食品を得ることができる。更に繰り返し使用した際の油脂の遊離脂肪酸に起因する劣化臭が抑制され、焼成した食品の風味を損なうことがない。また離型性も良好である。この合計割合が5質量%以上であると油だまりを抑制することができ、この合計割合が70質量%以下であると塗布性が向上し、離型性も良好で、繰り返し使用した際の劣化臭も抑制できる。本発明の全体的な効果を考慮すると、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計割合は、より好ましくは15〜60質量%、更に好ましくは20〜60質量%である。
本発明の離型油用油脂組成物におけるエステル交換油脂の含有量は、組成物全量に対して3〜90質量%が好ましく、5〜75質量%がより好ましく、10〜70質量%が更に好ましい。
本発明の離型油用油脂組成物は、第1の油脂成分としてのエステル交換油脂に加えて次の第2の油脂成分及び第3の油脂成分の少なくともいずれかを配合することが好ましい。
第2の油脂成分は、構成脂肪酸の総炭素数が46であるトリグリセリドと構成脂肪酸の総炭素数が48であるトリグリセリドとの合計割合が1〜25質量%の範囲内である油脂であり、パーム系油脂や、ラード、乳脂、ヤシ油、パーム核油、及びこれらの分別油や部分硬化油、菜種部分硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
この第2の油脂成分は、本発明の離型油用油脂組成物のSUS/SSUや2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計割合を調整し、本発明の効果を高めることができる。
これらの中でも、パーム系油脂及びラードから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ここでパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別油、及びこれらの硬化油、エステル交換油脂等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。パーム分別油としては、硬質部(パームステアリン等)、軟質部(パームオレイン、パームダブルオレイン等)、中融点部(PMF等)等を用いることができる。この第2の油脂成分のパーム系油脂は、相溶性等の点から、ヨウ素価45〜65のパーム系油脂を使用することが好ましく、このようなパーム系油脂としては、パーム油、パーム分別軟質油、パーム分別中融点油、及びこれらのエステル交換油脂等が挙げられる。
本発明の離型油用油脂組成物における第2の油脂成分の含有量は、離型油用油脂組成物全量に対して3〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。
第3の油脂成分は、液状油であり、ここで液状油は5℃で流動状を呈する油脂であり、菜種油、大豆油、コーン油、米油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、中鎖トリグリセリド (MCT)等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
この第3の油脂成分は、5℃で流動状を呈する液状油脂を含有することが塗布性が良好となるので好ましい。
本発明の離型油用油脂組成物における第3の油脂成分の含有量は、離型油用油脂組成物全量に対して5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%がより好ましい。
本発明の離型油用油脂組成物は、以上の油脂成分の他に、その他の油脂成分、例えば、植物油脂の極度硬化油等を適宜の量で配合することができる。植物油脂の極度硬化油としては、ヤシ極度硬化油、パーム極度硬化油、パーム核極度硬化油、菜種極度硬化油等が挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
本発明の離型油用油脂組成物は、これを単独で用いて離型油として使用することができるが、本発明の効果を損なわない範囲内において、離型性や粘性等を考慮して、レシチン、食用ワックス、植物ステロール、乳化剤、消泡剤、酸化防止剤、澱粉類等の他の添加成分を適宜の量、例えば離型油全量に対して好ましくは10質量%以下、より好ましくは6質量%以下の量で配合し、これを離型油として使用することができる。
本発明の離型油は、前記の各成分を配合し常法により均一に混合することによって製造することができる。混合は各成分が均一に溶解するように加熱下で攪拌することによって行うことができ、その後冷却することにより本発明の離型油を調製することができる。
本発明の離型油は、パン類や菓子類等、特に、生地に澱粉や蛋白質、糖分等が含まれる食品の製造において、型、天板等に塗布することによって使用される。特に、食品生地を焼成又は蒸成することによって食品を製造する工程に好適である。
本発明の離型油の塗布方法としては、特に限定されず、刷毛、モップ、布等による塗布、スプレー等による噴霧等が挙げられる。製菓・製パンで使用される離型油は、刷毛やモップ等を使用し塗布する固形状タイプ、スプレー使用の液状タイプに大別されるが、本発明の離型油はいずれにも好適に使用できる。
また、その塗布量については、特に限定されず、従来と同様の量を考慮して適宜の量とすることができる。
本発明の離型油を製パンに使用する場合の一例について説明すると、生地をボックス等の容器に入れ、発酵させる際のボックスオイルとして、また成型後、型詰、ホイロ、焼成工程において、食型に入れたり天板にのせたりする際の離型油として使用できる。
生地をボックス等の容器に入れて発酵させる際のボックスオイルとして本発明の離型油を使用する場合では、ボックスの全体に本発明の離型油を塗布し、生地を入れて、ボックスに生地が入った状態で、例えば27℃で100分程度発酵させるが、本発明の離型油は塗布性が良好で、液ダレが少なく型への付着性が良好で、離型性が良好である。すなわち生地が膨張する際にも離型油が流れ落ちにくく、発酵が終わった状態では、塗布後に離型油が流れ落ちにくいため発酵が終わった生地を取り出すときに生地がボックスに付着することを抑制できる。また底部や四隅に離型油が溜まって繰り返し使用した場合に臭いの原因となることが抑制され、清掃作業も軽減できる。
型詰、ホイロ、焼成工程で本発明の離型油を使用する場合では、パン生地が付着しないよう、食型の全面に離型油を塗布した後、生地を食型に入れ、この状態でホイロに入れて例えば38℃で40分間放置し徐々に発酵させる。その時に側面の離型油が流れ落ちにくいため、離型性が良好で、また離型油が底部や四隅に溜まって焼成品がフライ様の外観となることなく、焼き色の良好な食品を得ることができる。
またボックスや食型を繰り返し使用しても、油だまりが少ないため油脂の劣化が起こりにくく、油脂の臭いが生地に付着して風味を損ねることも抑制できる。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1と表2における各成分の配合量は質量部を示す。
(1)測定方法
各油脂のヨウ素価は基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」で測定した。
油脂組成物における全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)で測定した。
油脂組成物における2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの合計割合、3飽和トリグリセリドの含有量、2飽和トリグリセリドと3飽和トリグリセリドとの質量比は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「暫7-2003 2位脂肪酸組成」)で測定し、それぞれ脂肪酸量を用いて計算にて求めた。
油脂組成物における対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−1996 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」と「暫7-2003 2位脂肪酸組成」)により求めたSUS型トリグリセリドとSSU型トリグリセリドの質量より算出した。
(2)油脂組成物の調製
(エステル交換油脂1〜3)
エステル交換油脂1〜3は次の方法で調製した。表1に示す割合でラウリン系油脂(A1)とパーム系油脂(A2)とを混合して110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、更に脱臭を行ってエステル交換油脂を得た。
エステル交換油脂2、3は、エステル交換油脂1の製法に準じて調製した。
エステル交換に用いたラウリン系油脂(A1)、パーム系油脂(A2)を以下に示す。
ラウリン系油脂(A1)
パーム核極度硬化油:ラウリン酸含有量45.7質量%(ヨウ素価2)
パーム系油脂(A2)
パーム油:C16以上の脂肪酸含有量97.9質量%(ヨウ素価53)
パーム極度硬化油:C16以上の脂肪酸含有量97.9質量%(ヨウ素価2)
パーム分別硬質油:C16以上の脂肪酸含有量98.8質量%(ヨウ素価32)
パーム分別軟質油:C16以上の脂肪酸含有量97.7質量%(ヨウ素価56)
得られたエステル交換油脂1〜3の分析結果を表1に示す。
Figure 2015136326
(油脂組成物)
表2に示す配合比にてエステル交換油脂を含む各油脂を混合し、実施例及び比較例の離型油用油脂組成物を得た。
(3)評価
実施例及び比較例の各試料について次の評価を行った。
(離型油の製造)
離型油用油脂組成物95質量部に大豆レシチン5質量部を添加し、70℃に調温してプロペラ撹拌機で均一に撹拌し、離型油を製造した。
〈離型油の配合〉
油脂組成物 95質量部
大豆レシチン 5質量部
得られた離型油を用いて次の評価を行った。
以下の配合でストレート法によりパン生地を5kg作製した。その後ステンレス製ボール(外径×深さ64×23cm)に上記離型油2gを刷毛で塗付し、生地を入れ、フロアタイムとして温度27℃、湿度80%の発酵室で100分発酵させた。
その後生地を320gで分割し、ベンチタイムを20分とった後に、ロール状に成形し、上記で得た離型油を刷毛で塗布しておいた食パン用焼き型(ワンローフ型)に生地を入れ、ホイロ温度38℃、湿度80%で45分発酵させ、温度200℃のオーブンにて25分焼成して食パンを製造した。
〈パンの配合〉
強力粉 100質量部
砂糖 10質量部
食塩 2質量部
全卵 20質量部
マーガリン※1 15質量部
脱脂粉乳 3質量部
イースト 5質量部
イーストフード 0.1質量部
水 45質量部
※1 マーガリン:ミヨシ油脂製「パンテオンフレッシュ」
〈パンの製造工程〉
ミキシング 低速4分 中低速2分 マーガリン投入 低速2分
中低速2分
捏上温度 28℃
フロアタイム 発酵室温27℃ 湿度80% 100分
分割 生地320g
ベンチタイム 発酵室温27℃ 湿度80% 20分
成型 生地320gをロール状にしてワンローフ型に一本詰める
ホイロ 38℃ 湿度80% 45分
焼成 200℃ 25分
[塗布性]
ワンローフ型に刷毛で離型油を1.5g塗布する際の塗布性を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:非常に延びが良くムラがない。
○:延びが良くムラがない。
△:延びは良いが若干のムラがある。
×:延びが悪くムラがある。
[発酵時の離型性]
フロアタイム終了後、発酵室からステンレス製ボールを取り出し、30cmの高さより反転したときの生地の落下(離型)とステンレス製ボールへの生地の付着状態を目視により評価した。
◎:落下し、ボールへの付着は殆どない。
○:落下し、ボールへの付着は若干ある。
△:落下し、ボールへの付着がある。
×:落下しない、もしくは落下しボールへの付着が非常に多い。
[焼成時の離型性]
窯から取り出した焼き型を反転させ離型させた。反転し型からパンが離型しない場合、型を30cmの高さより落下させ衝撃を加え、落下した回数とパン生地の焼き型への付着状態を目視により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:反転後離型、もしくは落下1回目で離型し、焼き型への付着は殆どない。
○:落下2〜3回目で離型し、焼き型への付着は少々ある。
△:落下4〜6回目で離型し、焼き型への付着は少々ある。
×:落下7〜10回目で離型し、焼き型への付着が多い。あるいは10回落下させても
パンは離型しない。
[焼成品の状態]
上記で焼成したパンの焼き色を目視により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:きれいな焼き色であり、フライ様とはなっていない。
○:きれいな焼き色であり、ほとんどフライ様とはなっていない。
△:若干フライ様に端が油っぽくなっている。
×:フライ様に端が油っぽくなっている。
[液ダレ(油だまり)]
スプレーガン(アネスト岩田製エアーレスユニットALS122型)を使用し、NT2505ノズルを装着し使用圧力1〜2kg/cm2で離型油を、垂直に立てかけた6取天板に横方向50cmより1秒間噴霧して、30分後の液ダレの状況を目視により以下の基準で評価した。
評価基準
◎:液ダレがなく付着性は良好である。
○:液ダレが若干ある。
△:液ダレがある。
×:液ダレが多く下に溜まる。
[劣化臭]
離型油をビーカーに入れ、60℃で1ヶ月保管した後の臭いを以下の基準で評価した。
評価基準
◎:石鹸臭は全くしない。
○:ほとんど石鹸臭はしない。
△:若干石鹸臭がある。
×:強い石鹸臭がある。
以上の評価の結果を表2に示す。また油脂組成物の分析値も表2に併せて示した。
Figure 2015136326

Claims (5)

  1. ラウリン系油脂とパーム系油脂とのエステル交換油脂を含有する離型油用油脂組成物。
  2. 構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドのうち、対称型トリグリセリド(SUS)と非対称型トリグリセリド(SSU)との質量比(SUS/SSU)が0.1〜2.5である請求項1に記載の離型油用油脂組成物。
  3. 全構成脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸量が0.5〜12質量%である請求項1又は2に記載の離型油用油脂組成物。
  4. 構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を2個、不飽和脂肪酸(U)を1個含む2飽和トリグリセリドと、構成脂肪酸として飽和脂肪酸(S)を3個含む3飽和トリグリセリドとの合計割合が5〜70質量%である請求項1から3のいずれかに記載の離型油用油脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の離型油用油脂組成物を含有する離型油。
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