JP2015135128A - クイックコネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】リテーナの脚部の経時変化の抑制と、パイプが正規位置に挿入されていない状態でのリテーナの押し込み方向への移動を規制できるクイックコネクタを提供する。【解決手段】抜止脚部32は、リテーナ30が初期位置に位置し、且つ、パイプ3がコネクタ本体10の正規位置に挿入された状態において、リテーナ30に押し込み荷重が加えられる場合に、環状突部3aの外周面にガイドされることで一対の抜止脚部32,32を拡開変形させると同時に、一対の抜止脚部32,32の拡開変形によってリテーナ30の初期位置から確認位置への移動規制を解除するガイド突起44を備える。【選択図】図1A

Description

本発明は、環状突部を有するパイプを連結するクイックコネクタに関するものである。
特開2004−003588号公報(特許文献1)、特開2011−174508号公報(特許文献2)、特表2008−512607号公報(特許文献3)および特開2006−183833号公報(特許文献4)に記載のコネクタは、コネクタ本体とリテーナとを備える構成であり、作業者がリテーナをコネクタ本体に対して押し込み操作することで、リテーナがパイプの環状突部に係止してパイプを抜け止めする。リテーナの押し込み操作を可能にするには、パイプがコネクタ本体の正規位置に挿入されていることが要件となる。つまり、上記コネクタは、リテーナの押し込み操作によって、パイプの正規位置への挿入を確認できる。
特許文献1,2に記載のコネクタでは、リテーナが初期位置(押し込み前の位置)に位置する状態において、パイプが正規位置に位置することによって、リテーナの脚部がパイプの環状突部によって拡開変形する。リテーナの脚部の拡開変形によって、リテーナが押し込み操作可能となる。特許文献3,4に記載のコネクタでは、リテーナが初期位置に位置する状態において、パイプが正規位置に位置することによって、リテーナの脚部がパイプの環状突部によって軸方向に押し付けられて軸方向に撓み変形する。リテーナの脚部の撓み変形によって、リテーナが押し込み操作可能となる。
特開2004−003588号公報 特開2011−174508号公報 特表2008−512607号公報 特開2006−183833号公報
しかし、上記コネクタでは、パイプが正規位置に挿入された後に、リテーナが押し込み操作される前において、リテーナの脚部は拡開変形した状態または軸方向に撓み変形した状態となる。仮に長時間に亘って上記状態が継続された場合に、リテーナの脚部が経時変化するおそれがある。そうすると、パイプが正規位置に位置しない状態であっても、リテーナが初期位置から押し込み方向へ移動可能となるおそれがある。
通常は、作業者の迅速な作業により上記問題が生じることは回避されるが、より安全性を高めるために、リテーナが初期位置に位置する状態において、パイプが正規位置に挿入された場合に、リテーナの脚部の変形量が小さいことが望まれる。
一方、リテーナが初期位置に位置する状態で、且つ、パイプがコネクタ本体に挿入されていない状態においては、リテーナがコネクタ本体に係止されることで、リテーナの初期位置から押し込み方向への移動が規制される必要がある。そこで、パイプが正規位置に挿入された時にリテーナの脚部の変形量を大きくすることで、パイプが挿入されていない状態においてリテーナが初期位置からの移動が確実に規制される。
つまり、パイプが正規位置に挿入された状態においてリテーナの脚部の経時変化を抑制するためには、当該状態におけるリテーナの脚部の変形量を小さくすることが求められる。一方、パイプが正規位置に挿入されていない状態においてリテーナの押し込み方向への移動を確実に規制するためには、リテーナによるコネクタ本体との規制解除に必要なリテーナの脚部の変形量を大きくすることが求められる。
本発明は、パイプが正規位置に挿入された状態においてリテーナの脚部の経時変化を抑制すると共に、パイプが正規位置に挿入されていない状態においてリテーナの押し込み方向への移動を確実に規制できるクイックコネクタを提供することを目的とする。
<第一手段>
上記課題を解決するために、リテーナが初期位置に位置し、且つ、パイプが正規位置に挿入された状態において、リテーナに押し込み荷重が加えられることによって、リテーナの一対の抜止脚部が拡開変形することとした。
すなわち、第一手段に係るクイックコネクタは、環状突部を有するパイプを挿入可能なコネクタ本体と、前記パイプが前記コネクタ本体の軸方向の正規位置に位置する状態において、前記コネクタ本体の軸方向に交差する方向への押し込み操作により前記コネクタ本体に対して初期位置から確認位置へ移動するリテーナであり、前記確認位置にて前記環状突部に軸方向に係止することで前記パイプを抜け止めする一対の抜止脚部を備える前記リテーナと、を備える。
前記一対の抜止脚部は、前記リテーナが初期位置に位置する状態で且つ拡開変形していない状態において、前記コネクタ本体に対して押し込み方向に係止されることで前記リテーナの前記初期位置から前記確認位置への移動を規制される。
前記一対の抜止脚部のそれぞれの抜止脚部は、前記リテーナが前記初期位置に位置し、且つ、前記パイプが前記コネクタ本体の正規位置に挿入された状態において、前記リテーナに押し込み荷重が加えられる場合に、前記環状突部の外周面にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させると同時に、前記一対の抜止脚部の拡開変形によって前記リテーナの前記初期位置から前記確認位置への移動規制を解除するガイド突起を備える。
前記ガイド突起は、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記環状突部の外周面によるガイドの解放により、前記一対の抜止脚部の拡開変形を復帰させる。
リテーナに押し込み荷重が加えられた場合に、リテーナの一対の抜止脚部のガイド突起が環状突部にガイドされることを利用して、一対の抜止脚部が拡開変形する。そのため、リテーナが初期位置に位置し、且つ、パイプが正規位置に挿入された状態において、リテーナに押し込み荷重が加えられていなければ、一対の抜止脚部の拡開変形量が小さくなるか、もしくは、拡開変形量が全くない状態になる。従って、一対の抜止脚部の経時変化が抑制される。
さらに、パイプが正規位置に位置する状態においてリテーナに押し込み荷重が加えられることで、一対の抜止脚部が拡開変形するため、一対の抜止脚部による移動規制のために必要な変形量は十分に大きくなる。従って、パイプが正規位置に挿入されていない状態において、リテーナの押し込み方向への移動は確実に規制される。
<第一手段の実施態様>
上記手段に係るクイックコネクタの好適な実施態様について以下に説明する。すなわち、上記手段に係るクイックコネクタは、以下の好適な態様に限定されるものではない。
前記それぞれの抜止脚部は、前記リテーナが前記初期位置に位置する状態において、前記環状突部との当接に伴って前記一対の抜止脚部を拡開変形させることにより前記パイプの通過を許容し、前記パイプが前記正規位置に到達すると前記一対の抜止脚部の拡開変形量を減少させることで前記環状突部に軸方向に係止して前記パイプを抜け止めする仮抜止部と、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記環状突部に軸方向に係止して前記パイプを抜け止めする本抜止部と、を備えるようにしてもよい。
一対の抜止脚部は、環状突部が仮抜止部を通過する際に拡開変形する。続いて、パイプが正規位置に到達すると、一対の抜止脚部の拡開変形量が一気に減少する。つまり、パイプが挿入され始めて正規位置に到達した時には、一対の抜止脚部の拡開変形の復帰に伴う音が発生する。この音によって、作業者は、パイプが正規位置に挿入されたことを確認できる。
また、前記それぞれの抜止脚部は、前記リテーナが前記初期位置に位置し、且つ、前記パイプが前記コネクタ本体に挿入されていない状態において、前記ガイド突起より前記それぞれの抜止脚部の先端側に、前記リテーナの前記初期位置から前記確認位置への移動を規制する押込規制突起を備えるようにしてもよい。
つまり、ガイド突起と押込規制突起とが、それぞれの抜止脚部に設けられる。これにより、パイプがコネクタ本体に挿入されていない状態におけるリテーナの確認位置への移動規制と、ガイド突起が環状突部にガイドされる状態におけるリテーナの確認位置への移動許容とが、容易に且つ確実に実行される。
また、前記ガイド突起は、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記環状突部に対して前記リテーナの引き抜き方向に係止するようにしてもよい。つまり、リテーナが確認位置に位置する状態において、ガイド突起がリテーナの引き抜き方向の動作を規制する。従って、リテーナが確認位置に位置する状態において、リテーナが容易に引き抜かれることが防止される。
また、前記ガイド突起は、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記環状突部の外周面にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、且つ、前記リテーナを前記確認位置から前記初期位置へ移動させるようにしてもよい。
つまり、リテーナが確認位置から初期位置へ移動する際において、ガイド突起が、一対の抜止脚部の拡開変形をガイドする。従って、ガイド突起は、リテーナが初期位置から確認位置へ移動する際、および、確認位置から初期位置へ移動する際の両者において、一対の抜止脚部の拡開変形をガイドする。これにより、抜止脚部が容易な構成となる。
また、前記それぞれの抜止脚部は、前記リテーナが前記初期位置に位置し、且つ、前記パイプが前記コネクタ本体の正規位置に挿入された状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記コネクタ本体にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、前記一対の抜止脚部の拡開変形によって前記仮抜止部と前記環状突部との係止が解除され、前記コネクタ本体から前記パイプの引き抜きを許容する第一リリース用ガイド部を備えるようにしてもよい。
上記構成においては、リテーナの引き抜き操作によって第一リリース用ガイド部がコネクタ本体にガイドされることで、仮抜止部と環状突部との係止が確実に解除される。つまり、作業者は、リテーナによりパイプを係止する場合にはリテーナに押し込み荷重を加え、パイプを引き抜く状態にするにはリテーナに引き抜き荷重を加える。これにより、作業者は、リテーナの操作を容易に把握できる。
また、前記それぞれの抜止脚部は、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記コネクタ本体にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、且つ、前記リテーナを前記確認位置から前記初期位置へ移動させる第二リリース用ガイド部を備えるようにしてもよい。
このような構成であっても、リテーナの引き抜き操作によって第二リリース用ガイド部がコネクタ本体にガイドされることで、リテーナが確認位置から初期位置へ確実に移動される。
また、前記リテーナは、前記一対の抜止脚部とは独立した脚部であって、前記コネクタ本体に対する前記リテーナの姿勢を規制する姿勢用脚部を備えるようにしてもよい。これにより、リテーナが初期位置から確認位置へ移動する際、確認位置から初期位置へ移動する際、および、初期位置からリリース状態へ移動する際において、リテーナの姿勢が維持される。従って、リテーナによる確認動作およびリリース動作が確実に行われる。
<第二手段>
ここで、上述した第一手段に係るクイックコネクタの実施態様の中の一部を独立して抽出することができる。抽出した第二手段に係るクイックコネクタは、以下のとおりである。
第二手段に係るクイックコネクタは、環状突部を有するパイプを挿入可能なコネクタ本体と、前記パイプが前記コネクタ本体の軸方向の正規位置に位置する状態において、前記コネクタ本体の軸方向に交差する方向への押し込み操作により前記コネクタ本体に対して初期位置から確認位置へ移動するリテーナであり、前記確認位置にて前記環状突部に軸方向に係止することで前記パイプを抜け止めする一対の抜止脚部を備える、前記リテーナと、を備える。
前記一対の抜止脚部のそれぞれの抜止脚部は、前記リテーナが前記初期位置に位置する状態において、前記環状突部との当接に伴って前記一対の抜止脚部を拡開変形させることにより前記パイプの通過を許容し、前記パイプが前記正規位置に到達すると前記一対の抜止脚部の拡開変形量を減少させることで前記環状突部に軸方向に係止して前記パイプを抜け止めする仮抜止部と、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記環状突部に軸方向に係止して前記パイプを抜け止めする本抜止部と、前記リテーナが前記初期位置に位置し、且つ、前記パイプが前記コネクタ本体の正規位置に挿入された状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記コネクタ本体にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、前記一対の抜止脚部の拡開変形によって前記仮抜止部と前記環状突部との係止が解除され、前記コネクタ本体から前記パイプの引き抜きを許容する第一リリース用ガイド部とを備える。
上記構成においては、リテーナの引き抜き操作によって第一リリース用ガイド部がコネクタ本体にガイドされることで、仮抜止部と環状突部との係止が確実に解除される。つまり、作業者は、リテーナによりパイプを係止する場合にはリテーナに押し込み荷重を加え、パイプを引き抜く状態にするにはリテーナに引き抜き荷重を加える。これにより、作業者は、操作を容易に把握できる。
<第三手段>
また、上述した第一手段に係るクイックコネクタの実施態様の中の他の一部を独立して抽出することができる。抽出した第三手段に係るクイックコネクタは、以下のとおりである。
第三手段に係るクイックコネクタは、環状突部を有するパイプを挿入可能なコネクタ本体と、前記パイプが前記コネクタ本体の軸方向の正規位置に位置する状態において、前記コネクタ本体の軸方向に交差する方向への押し込み操作により前記コネクタ本体に対して初期位置から確認位置へ移動するリテーナであり、前記確認位置にて前記環状突部に軸方向に係止することで前記パイプを抜け止めする一対の抜止脚部を備える、前記リテーナと、を備える。
前記一対の抜止脚部のそれぞれの抜止脚部は、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記コネクタ本体にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、且つ、前記リテーナを前記確認位置から前記初期位置へ移動させる第二リリース用ガイド部を備える。
このような構成であっても、リテーナの引き抜き操作によって第二リリース用ガイド部がコネクタ本体にガイドされることで、リテーナが確認位置から初期位置へ確実に移動される。
クイックコネクタ1とパイプ3とを連結する前の状態であって、リテーナ30が初期位置に位置する状態のクイックコネクタ1およびパイプ3の斜視図である。 図1Aに示すクイックコネクタ1およびパイプ3の軸方向断面図である。 クイックコネクタ1とパイプ3とを連結した状態であって、リテーナ30が確認位置に位置する状態のクイックコネクタ1およびパイプ3の斜視図である。 図2Aに示すクイックコネクタ1およびパイプ3の軸方向断面図である。 コネクタ本体10の正面図である。 図3Aにおける“3B”方向矢視図である。 図3Aにおける“3C”方向矢視図である。 図3Bにおける“3D−3D”断面図である。 図3Aにおける“3E−3E”断面図である。 図3Aにおける“3F−3F”断面図である。 図3Aにおける“3G−3G”断面図である。 リテーナ30の正面図である。 図4Aにおける“4B”方向矢視図である。 図4Aにおける“4C”方向矢視図である。 図4Aにおける“4D”方向矢視図である。 図4Aにおける“4E”方向矢視図である。 図4Bにおける“4F−4F”断面図である。 図4Fにおける“4G−4G”断面図である。 図4Fにおける“4H−4H”断面図である。 (パイプ挿入前状態)パイプ3をクイックコネクタ1に挿入する前の状態であり、リテーナ30が初期位置に位置する状態を示し、図1Bにおけるクイックコネクタ1の“5A−5A”断面図である。 図5Aと同様の状態を示し、図1Bにおける “5B−5B”断面図である。 図5Aと同様の状態を示し、図1Bにおける “5C−5C”断面図である。 (パイプ挿入完了状態)パイプ3をクイックコネクタ1の正規位置に挿入された状態であり、リテーナ30が初期位置に位置する状態を示し、図1Bにおけるクイックコネクタ1およびパイプ3の“5A−5A”に相当する位置の断面図である。 図6Aと同様の状態を示し、図1Bにおける“5B−5B” に相当する位置の断面図である。 図6Aと同様の状態を示し、図1Bにおける“5C−5C” に相当する位置の断面図である。 (確認状態)リテーナ30を初期位置から確認位置へ移動させた状態を示し、図2Bにおけるクイックコネクタ1およびパイプ3の“7A−7A”断面図である。 図7Aと同様の状態を示し、図2Bにおける “7B−7B”断面図である。 図7Aと同様の状態を示し、図2Bにおける “7C−7C”断面図である。 (リリース状態)リテーナ30初期位置からリリース位置へ移動させた状態を示し、図2Bにおけるクイックコネクタ1およびパイプ3の“7A−7A”に相当する位置の断面図である。 図6Aと同様の状態を示し、図2Bにおける“7B−7B” に相当する位置の断面図である。 図6Aと同様の状態を示し、図2Bにおける“7C−7C” に相当する位置の断面図である。
<第一実施形態>
(1.クイックコネクタ1の概要)
本実施形態のクイックコネクタ1の概要について、図1A、図1Bおよび図2A、図2Bを参照して説明する。クイックコネクタ1は、例えば自動車の燃料配管を構成するために用いられる。つまり、クイックコネクタ1は、例えば燃料を流通させるための流路を形成する。クイックコネクタ1の一端側には、樹脂チューブ(図示せず)の端部が外装され、クイックコネクタ1の他端側には、パイプ3の端部が挿入される。このようにして、樹脂チューブとパイプ3とを連結する。
ここで、パイプ3は、図1Aおよび図1Bに示すように、例えば金属製の筒状に形成されており、先端から軸方向に距離を隔てた位置に径方向外側に突出形成された環状突部3a(フランジ部、ビードとも称する)を備える。以下の説明において、パイプ3の環状突部3aより先端側の小径部位は、先端部3bとする。
また、以下の説明において、軸方向とは、クイックコネクタ1にパイプ3が挿入された状態におけるパイプ3の軸方向である。下方向とは、パイプ3の軸方向から見た場合に、リテーナ30の押し込み方向であり、上方向とは、リテーナ30の引き抜き方向(反押し込み方向)である。左右方向とは、パイプ3の軸方向から見た場合に、上下方向に直交する方向である。
クイックコネクタ1は、コネクタ本体10と、リテーナ30と、シールユニット70とを備える。
コネクタ本体10は、例えばガラス繊維強化ポリアミド製であって、貫通した流路を有するように成形される。図1に示すコネクタ本体10は、L字状に貫通形成される形状を示すが、この他に、直線状に貫通形成されるようにしてもよい。また、コネクタ本体10は、一体成形される場合に限られず、複数の部品を結合することにより形成してもよい。
図1Aおよび図1Bに示すように、コネクタ本体10は、チューブ接続部11とパイプ挿入部12とを備える。チューブ接続部11は、コネクタ本体10の一端側(図1Bの左下側)に設けられ、チューブ接続部11には樹脂チューブ(図示せず)が外装される。チューブ接続部11の外周面は、樹脂チューブを嵌め込んだ状態で抜けないようにするために、流路に沿った方向に段状に形成される。
パイプ挿入部12は、コネクタ本体10の他端側(図1Bの右側)に設けられ、図2Aおよび図2Bに示すように、パイプ3の先端部3bおよび環状突部3aの部位を挿入可能である。パイプ挿入部12の内周側には、図1Bおよび図2Bに示すように、シールユニット70が配置される。シールユニット70は、例えば、フッ素ゴム製の環状シール部材71,72と、環状シール部材71,72の軸方向の間に挟まれるようにして樹脂製のカラー73と、環状シール部材71,72およびカラー73をコネクタ本体10に位置決めする樹脂製のブッシュ74とから構成される。シールユニット70の内周側には、図2Bに示すように、パイプ3の先端部3bが挿入される。
リテーナ30は、例えばガラス繊維強化ポリアミド製である。リテーナ30は、作業者による径方向(コネクタ本体10におけるパイプ挿入軸方向に交差する方向)への押し込み操作および引き抜き操作によって、コネクタ本体10に移動可能に設けられる。パイプ3がコネクタ本体10の正規位置に挿入された場合に、リテーナ30が図1Aおよび図1Bに示す初期位置から図2Aおよび図2Bに示す確認位置へ移動可能となる。従って、作業者は、リテーナ30が押し込み操作できる場合には、パイプ3が正規位置に挿入されたことを確認できる。
さらに、リテーナ30が確認位置へ押し込み操作された状態において、リテーナ30は、パイプ3の環状突部3aに軸方向に係止して、リテーナ30はパイプ3を抜け止めする。つまり、作業者は、リテーナ30を押し込み操作することによって、パイプ3が正規位置に挿入され、かつ、パイプ3がリテーナ30によって抜止されていることを、確認することができる。
(2.コネクタ本体10のパイプ挿入部12の詳細構成)
コネクタ本体10のパイプ挿入部12の詳細構成について、主として図3A〜図3Gを参照して説明する。パイプ挿入部12は、筒部21と、開口端座部材22と、上部連結部材23と、下部連結部材24と、一対の引抜被係止部25,25と、一対の押込被係止部26,26と、一対のレール溝27,27とを備える。
筒部21の内周面は、図3Dおよび図3Eに示すように、パイプ3の挿入側に対して奥側に位置する小径部21aと、小径部21aよりパイプ3の挿入側に小径部21aより大径のシールユニット配置部21bとを備える。小径部21aには、パイプ3の先端部3bが挿入され、小径部21aは、図2Bに示すように、環状突部3aの挿入不能な径に形成される。シールユニット配置部21bは、シールユニット70(図1B、図2Bに示す)を位置決めできるように形成される。
開口端座部材22は、図3A〜図3Eに示すように、筒部21から軸方向に距離を隔てて同軸状に設けられている。さらに、開口端座部材22には、図3C〜図3Eに示すように、開口孔22aが形成されている。開口孔22aは、図2Bに示すように、パイプ3の環状突部3aを通過可能な大きさに形成される。
上部連結部材23は、図3A〜図3B、図3Dに示すように、筒部21の上部と開口端座部材22の上部とを連結する。下部連結部材24は、図3A、図3D〜図3Eに示すように、筒部21の下部と開口端座部材22の下部とを軸方向に連結する部位である。ここで、上部連結部材23および下部連結部材24は、パイプ3の環状突部3aに対して軸方向に干渉しない位置に設けられている。
一対の引抜被係止部25,25は、図3Gに示すように、上部連結部材23の左右端から下方向に向かってそれぞれ遠ざかるように円弧状に延出されている。それぞれの引抜被係止部25,25の先端(図3Gの下端)の外周側には、先端側ほど幅が薄くなるように、テーパ部25a,25aが形成される。
一対の引抜被係止部25,25は、図3A〜図3B、図3F〜図3Gに示すように、上部連結部材23のうち軸方向中央より筒部21側に設けられている。つまり、一対の引抜被係止部25,25と開口端座部材22との軸方向間には、隙間が形成されている。
一対の押込被係止部26,26は、図3Gに示すように、下部連結部材24の左右端から上方向に向かってそれぞれ遠ざかるように円弧状に延出されている。一対の押込被係止部26,26は、一対の引抜被係止部25,25と軸方向同位置に設けられている。つまり、一対の押込被係止部26,26と開口端座部材22との軸方向間には、隙間が形成されている。図3Gに示すように、押込被係止部26,26の先端(上端)は、引抜被係止部25,25の先端(下端)との間に、上下方向の隙間が形成されている。
一対の引抜被係止部25,25および一対の押込被係止部26,26は、パイプ3の環状突部3aに対して軸方向に干渉しない位置に設けられている。そして、後述するリテーナ30が初期位置に位置する場合に、それぞれの引抜被係止部25,25の先端が、リテーナ30の一対の抜止脚部32,32における押込規制突起45に対して引き抜き方向に係止する。リテーナ30が初期位置に位置する場合に、それぞれの押込被係止部26,26の先端が、リテーナ30の一対の抜止脚部32,32における押込規制突起45に対して押し込み方向に係止する。
一対のレール溝27,27は、図3A〜図3B、図3E〜図3Fに示すように、筒部21の端部外周から側方に張り出すように、且つ、一対の引抜被係止部25,25および一対の押込被係止部26,26より軸方向奥側に設けられる。一対のレール溝27,27は、上下方向に延びるように形成される。一対のレール溝27,27は、後述するリテーナ30の一対の姿勢用脚部33,33を上下方向にガイドする。
(3.リテーナ30の詳細構成)
次に、リテーナ30の詳細構成について、図4A〜図4Hを参照して説明する。リテーナ30は、図4Bおよび図4Cに示すように、逆U字形状に形成される。リテーナ30は、基部31と、一対の抜止脚部32,32と、一対の姿勢用脚部33,33と、一対のリリース用操作部34,34とを備える。
基部31は、図4B、図4Dに示すように、逆U字形状の頂部に位置し、ほぼ平板状に形成される。基部31の軸方向奥側の下面には、図4E〜図4Fに示すように、切欠31aが形成される。切欠31aは、リテーナ30が確認位置に位置する状態において、コネクタ本体10と基部31との間に隙間を形成する。例えば、切欠31aは、作業者がマイナスドライバーなどの治具を挿入して、リテーナ30を引き抜くために用いられる。
一対の抜止脚部32,32は、図4Bおよび図4Cに示すように、基部31の左右両端に拡開変形可能に設けられる。一対の抜止脚部32,32のそれぞれの抜止脚部32は、脚部本体41と、仮抜止部42と、本抜止部43と、ガイド突起44と、押込規制突起45とを備える。
脚部本体41,41は、図4Aおよび図4Cに示すように、基部31の左右両側から下方に延び、軸方向に所定幅を有する。脚部本体41の軸方向幅は、コネクタ本体10のレール溝27と開口端座部材22との軸方向隙間と同程度である。
仮抜止部42,42は、図4B、図4C、図4E、図4Fに示すように、それぞれの脚部本体41,41の軸方向挿入側端(図4Fの右側)、且つ、脚部本体41,41の先端側から、内側(脚部本体41,41の対向側)に張り出すように設けられる。仮抜止部42,42の軸方向奥側の面42b,42b(図4Fの左面、図4Cに図示される面)は、平面状(軸に直交する面状)に形成されている。一方、仮抜止部42,42の軸方向挿入側の面42a,42a(図4Fの右面、図4Bに図示される面)は、対向する側に向かって、薄くなるように傾斜している。仮抜止部42,42は、リテーナ30が初期位置に位置する状態において、パイプ3の環状突部3aの通過を許容すると共に、通過した環状突部3aに対して軸方向に係止可能である。
本抜止部43,43は、図4B、図4C、図4E、図4Fに示すように、それぞれの脚部本体41,41の軸方向挿入側端(図4Fの右側)、且つ、脚部本体41,41の基部31側から、内側(脚部本体41,41の対向側)に張り出すように設けられる。本抜止部43,43と仮抜止部42,42とが、同一平面上に連続的な平板状の部材を構成する。本抜止部43,43は、リテーナ30が確認位置に位置する状態において、パイプ3の環状突部3aに対して軸方向に係止可能である。
ガイド突起44,44は、図4C、図4F、図4Gに示すように、仮抜止部42,42および本抜止部43,43の軸方向奥側の面に設けられ、脚部本体41,41から内側に張り出すように設けられる。ガイド突起44,44は、仮抜止部42,42と本抜止部43,43との境界位置に設けられ、内側ほど尖った形状に形成される。さらに詳細には、ガイド突起44,44の下面および上面は、それぞれ、環状突部3aの外周面に対応する円弧凹状に形成される。
つまり、ガイド突起44,44によって、本抜止部43,43の軸方向奥側の面には、パイプ3の環状突部3aに対応する円形の座面43a,43aが形成される。ただし、円形の座面43a,43aの中央には、パイプ3の環状突部3a以外の小径部位を通過可能な貫通孔が設けられる。また、ガイド突起44,44によって、仮抜止部42,42の軸方向奥側の面には、パイプ3の環状突部3aに対応する座面42b,42bが形成される。ただし、当該座面42b,42bの中央には、パイプ3の環状突部3a以外の小径部位を通過可能な貫通孔が設けられる。
押込規制突起45,45は、図4C、図4E、図4F、図4Hに示すように、それぞれの脚部本体41,41の軸方向奥側端(図4Fの左側)、且つ、脚部本体41,41の先端側から、内側(脚部本体41,41の対向側)に張り出すように設けられる。押込規制突起45,45は、爪形状に形成される。つまり、押込規制突起45,45は、ガイド突起44,44より脚部本体41,41の先端側に設けられる。
押込規制突起45,45の上面側には、引抜被係止部25,25の先端の外周側に形成されるテーパ部25a,25aに係合するテーパ部45a,45a(第一リリース用ガイド部)が形成される。押込規制突起45のテーパ部45aの長さは、引抜被係止部25のテーパ部25aの長さより長い。さらに、押込規制突起45,45の下端面には、押込被係止部26,26の先端に引っかかるように、小突起45b,45bが設けられる。
一対の姿勢用脚部33,33は、図4Aおよび図4Cに示すように、基部31の左右両側から下方に延びる。一対の姿勢用脚部33,33は、一対の抜止脚部32,32から僅かな隙間を介して軸方向奥側に設けられる。つまり、一対の姿勢用脚部33,33は、一対の抜止脚部32,32とは独立した脚部である。一対の姿勢用脚部33,33の軸方向幅は、一対の抜止脚部32,32の軸方向幅より小さい。一対の姿勢用脚部33,33は、コネクタ本体10のパイプ挿入部12の一対のレール溝27,27に挿入され、コネクタ本体10に対するリテーナ30の姿勢を規制する。
一対のリリース用操作部34,34は、図4A〜図4Dに示すように、一対の脚部本体41,41の上端から、外側(脚部本体41,41の反対向側)に張り出すように設けられる。一対のリリース用操作部34,34は、作業者が指を引っかけて引き抜くことができるように形成される。
(4.動作説明)
次に、クイックコネクタ1にパイプ3の挿入から、リテーナ30による完全な係止状態までの動作、および、リテーナ30による完全な係止状態からパイプ3を引き抜くまでの動作について説明する。
(4−1.パイプ挿入前状態)
パイプ挿入前状態について、図1A〜図1B、図5A〜図5Cを参照して説明する。パイプ挿入前状態とは、図1A〜図1B、図5A〜図5Cに示すように、リテーナ30をコネクタ本体10に対して初期位置に位置し、且つ、パイプ3がコネクタ本体10に挿入される前の状態である。
リテーナ30は、コネクタ本体10の筒部21と開口端座部材22との軸方向間の上方から装着される。つまり、図5A〜図5Cに示すように、リテーナ30の一対の抜止脚部32,32および一対の姿勢用脚部33,33が、コネクタ本体10の上部連結部材23を跨ぐように挿入される。
図1Aに示すように、姿勢用脚部33が、コネクタ本体10のレール溝27に挿入され、抜止脚部32が、レール溝27と開口端座部材22との軸方向隙間に位置する。つまり、姿勢用脚部33は、拡開変形を規制されるのに対して、抜止脚部32は、拡開変形を許容される。
ここで、図5A、図5Bに示すように、抜止脚部32のうち仮抜止部42、本抜止部43およびガイド突起44の軸方向位置には、引抜被係止部25および押込被係止部26は存在しない。従って、仮抜止部42、本抜止部43およびガイド突起44は、引抜被係止部25および押込被係止部26に対して、押し込み方向および引き抜き方向に何ら係止されない。
一方、抜止脚部32のうち押込規制突起45の軸方向位置には、引抜被係止部25および押込被係止部26が存在する。図5Cに示すように、リテーナ30の初期位置において、押込規制突起45は、引抜被係止部25の先端(下端)と押込被係止部26の先端(上端)との上下方向隙間から内側に進入した状態となる。従って、リテーナ30は、パイプ挿入前状態においては、初期位置に位置する状態で且つ拡開変形していない状態となる。ここで、押込規制突起45は、引抜被係止部25に対して引き抜き方向に係止される。一方、押込規制突起45は、押込被係止部26に対して押し込み方向に係止される。
ただし、押込規制突起45のテーパ部45aが、引抜被係止部25のテーパ部25aに係止される。そのため、作業者がリテーナ30に引き抜き荷重を加えると、押込規制突起45のテーパ部45aが引抜被係止部25のテーパ部25aにガイドされて、一対の抜止脚部32,32が拡開変形する。ただし、押込規制突起45の最先端が引抜被係止部25の先端に係止されることで、リテーナ30に引き抜き荷重が加えられた場合に、一対の抜止脚部32,32の所定量以上の拡開変形が規制される。
また、押込規制突起45の小突起45bが押込被係止部26の先端に係止されることで、リテーナ30に押し込み荷重が加えられた場合に、一対の抜止脚部32,32の拡開変形が規制される。
上記状態において、図5Aに示すように、一対の抜止脚部32,32の仮抜止部42,42の薄い部位が、パイプ3の環状突部3aの進入位置に位置する。つまり、仮抜止部42,42は、パイプ3の環状突部3aに対して当接可能な位置に位置する。
(4−2.パイプの挿入開始から挿入完了状態)
次に、パイプ3がコネクタ本体10に挿入されて、パイプ3が正規位置に到達するまでの状態について、図6A〜図6Cを参照して説明する。パイプ3の先端部3bがコネクタ本体10に挿入され、環状突部3aが仮抜止部42に当接するまでの間は、リテーナ30は拡開変形しない。
パイプ3がさらに軸方向奥側へ挿入されることで、環状突部3aが仮抜止部42の軸方向挿入側の面42aに当接し且つ押し付ける。この押し付けに伴って、一対の抜止脚部32,32が拡開変形する。そうすると、仮抜止部42はパイプ3の環状突部3aの通過を許容するため、パイプ3がさらに軸方向奥側へ挿入される。
パイプ3の環状突部3aが仮抜止部42を通過すると、環状突部3aがガイド突起44の存在する位置に到達する。仮抜止部42の軸方向奥側の座面42bの部位に、環状突部3aが位置する。当該位置が、パイプ3の正規位置である。パイプ3が正規位置に到達すると、座面42bによる空間によって、一対の抜止脚部32,32の拡開変形量が一気に減少する。
一対の抜止脚部32,32の拡開変形量が減少する間、リテーナ30は、パイプ3およびコネクタ本体10によって何ら規制されていない。そのため、パイプ3が挿入され始めて正規位置に到達した時には、一対の抜止脚部32,32の拡開変形の復帰に伴う音が発生する。特に、リテーナ30が何ら規制されていないため、リテーナ30の振動によって、高周波の音(高い音)が発生する。この音によって、作業者は、パイプ3が正規位置に挿入されたことを確認できる。
上述したように、パイプ3が正規位置に到達すると一対の抜止脚部32,32の拡開変形量が減少する。つまり、この状態において、仮抜止部42が、環状突部3aに軸方向に係止する。従って、仮抜止部42が、パイプ3を抜け止めする。
上述したように、パイプ3が正規位置に位置する状態において、図6Bに示すように、環状突部3aの軸方向位置には、ガイド突起44が存在する。そのため、リテーナ30は、パイプ3が挿入される前の状態(図5A〜図5C参照)に比べて、パイプ3が挿入された状態(図6A〜図6C参照)のときには、上方に位置する。従って、リテーナ30の押込規制突起45の小突起45bが、押込被係止部26に係止されない位置に位置する。
(4−3.確認状態)
次に、リテーナ30が初期位置から確認位置へ移動される状態について、図2A〜図2B、図6B、図7A〜図7Cを参照して説明する。図6Bに示すように、パイプ3が正規位置に位置する状態において、環状突部3aとガイド突起44との位置関係から、リテーナ30の押込規制突起45の小突起45bは、押込被係止部26に係止されない位置に位置する。
この状態で、作業者がリテーナ30に押し付け荷重を加えた場合には、ガイド突起44の下面が環状突部3aの外周面にガイドされることで、一対の抜止脚部32,32は、下方へ移動しながら拡開変形する。同時に、一対の抜止脚部32,32の拡開変形によってリテーナ30の押込規制突起45と押込被係止部26との係止が解除される。従って、リテーナ30の初期位置から確認位置への移動規制が解除される。
作業者がリテーナ30に押し付け荷重を加え続けることにより、リテーナ30は、図7A〜図7Cに示すように、確認位置へ到達する。このとき、ガイド突起44は、環状突部3aの外周面によるガイドの解放により、一対の抜止脚部32,32の拡開変形が復帰する。そして、環状突部3aは、本抜止部43の軸方向奥側の座面43aの部位に位置する。
つまり、リテーナ30が確認位置に位置する状態において、図7Bに示すように、ガイド突起44は、環状突部3aに対してリテーナ30の引き抜き方向に係止する。従って、ガイド突起44がリテーナ30の引き抜き方向の動作を規制する。その結果、リテーナ30が確認位置に位置する状態において、リテーナ30が容易に引き抜かれることが防止される。
リテーナ30が確認位置に位置する状態において、パイプ3の環状突部3aは、本抜止部43に軸方向に係止される。本抜止部43は、仮抜止部42より基部31側に位置する。従って、一対の抜止脚部32,32が所定量だけ拡開変形した状態において、本抜止部43の部位における拡開変形量は、仮抜止部42の部位における拡開変形量より小さくなる。そのため、本抜止部43の拡開変形量が最大となる状態において、本抜止部43が環状突部3aに軸方向に係止する状態を設計することが可能となる。つまり、環状突部3aが本抜止部43に軸方向に係止することで、確実に、パイプ3が抜け止めされる。
ここで、リテーナ30が初期位置から確認位置へ移動する際において、姿勢用脚部33がレール溝27にガイドされる。そのため、リテーナ30の姿勢は、コネクタ本体10に対して規制される。その結果、リテーナ30による確認動作が確実に行われる。
(4−4.リリース状態)
保守などにおいてクイックコネクタ1からパイプ3を引き抜く場合が生じる。図7A〜図7Cに示すようにリテーナ30が確認位置に位置する状態において、作業者は、リリース用操作部34に指を引っかけて、リテーナ30に引き抜き荷重を加えてリテーナ30を引き抜く。
ここで、図7Bに示すように、ガイド突起44は、環状突部3aに対してリテーナ30の引き抜き方向に係止する。従って、リテーナ30が確認位置に位置する状態において、リテーナ30に引き抜き荷重が加えられる場合に、ガイド突起44の上面が環状突部3aの外周面にガイドされることで、一対の抜止脚部32,32は、上方へ移動しながら拡開変形する。作業者がリテーナ30に引き抜き荷重を加え続けることで、リテーナ30は確認位置(図7A〜図7C参照)から初期位置(図6A〜図6C参照)に移動する(一次リリース)。
仮に、作業者がリリース用操作部34の引っかけのみによりリテーナ30を引き抜くことが困難な場合には、作業者は、マイナスドライバーなどの治具を基部31の切欠31a(図2B、図4E、図4F参照)に挿入して、リテーナ30をコネクタ本体10から引き離すことができる。
リテーナ30が初期位置へ移動したとしても、仮抜止部42が環状突部3aに軸方向に係止する。そのため、この状態では、作業者は、パイプ3をコネクタ本体10から引き抜くことはできない。
そこで、リテーナ30が初期位置に位置する状態において、作業者がリリース用操作部34に指を引っかけて、リテーナ30にさらなる引き抜き荷重を加える。そうすると、図8B〜図8Cに示すように、リテーナ30の押込規制突起45のテーパ部45aがコネクタ本体10の引抜被係止部25のテーパ部25aにガイドされて、一対の抜止脚部32,32が拡開変形する。一対の抜止脚部32,32の拡開変形によって、図8Aに示すように、仮抜止部42による環状突部3aの係止が解除される。この状態で、作業者は、パイプ3をコネクタ本体10から引き抜くことが可能となる。
ここで、リテーナ30が確認位置から初期位置へ移動する際、および、リテーナ30が初期位置から引き抜き荷重を加えられる際において、姿勢用脚部33がレール溝27にガイドされる。そのため、リテーナ30の姿勢は、コネクタ本体10に対して規制される。その結果、リテーナ30によるリリース動作が確実に行われる。
(5.本実施形態の効果)
リテーナ30が初期位置に位置する状態で、且つ、パイプ3が正規位置に位置する状態において、リテーナ30に押し込み荷重が加えられた場合に、リテーナ30の一対の抜止脚部32,32のガイド突起44が環状突部3aにガイドされることを利用して、一対の抜止脚部32,32が拡開変形する。そのため、リテーナ30が初期位置に位置し、且つ、パイプ3が正規位置に挿入された状態において、リテーナ30に押し込み荷重が加えられていなければ、一対の抜止脚部32,32の拡開変形量が小さくなるか、もしくは、拡開変形量が全くない状態になる。従って、一対の抜止脚部32,32の経時変化が抑制される。
さらに、パイプ3が正規位置に位置する状態においてリテーナ30に押し込み荷重が加えられることで、一対の抜止脚部32,32が拡開変形するため、一対の抜止脚部32,32による移動規制のために必要な変形量は十分に大きくなる。従って、パイプ3が正規位置に挿入されていない状態において、リテーナ30の押し込み方向への移動は確実に規制される。
また、ガイド突起44と押込規制突起45とが、それぞれの抜止脚部32に設けられる。これにより、パイプ3がコネクタ本体10に挿入されていない状態におけるリテーナ30の確認位置への移動規制と、ガイド突起44が環状突部3aにガイドされる状態におけるリテーナ30の確認位置への移動許容とが、容易に且つ確実に実行される。
また、ガイド突起44は、リテーナ30が初期位置から確認位置へ移動する際、および、確認位置から初期位置へ移動する際の両者において、一対の抜止脚部32,32の拡開変形をガイドする。これにより、抜止脚部32,32が容易な構成となる。
また、抜止脚部32の押込規制突起45は、テーパ部45aを備える。リテーナ30が初期位置に位置する状態においてリテーナ30の引き抜き操作によって、テーパ部45a(第一リリース用ガイド部)が引抜被係止部25のテーパ部25aにガイドされることで、仮抜止部42と環状突部3aとの係止が確実に解除される。つまり、作業者は、リテーナ30によりパイプ3を係止する場合にはリテーナ30に押し込み荷重を加えるのに対して、パイプ3を引き抜く状態にするにはリテーナ30に引き抜き荷重を加える。これにより、作業者は、リテーナ30の操作を容易に把握できる。
<他の実施形態>
上記実施形態においては、それぞれの抜止脚部32が、ガイド突起44と押込規制突起45とを備える。この他に、ガイド突起44と押込規制突起45とが別々の脚部に設けられ、ガイド突起44を備える脚部と押込規制突起45を備える脚部とが連動して動作可能な構成を採用することもできる。
上記実施形態においては、リテーナ30が確認位置から初期位置へ移動する際に、ガイド突起44が環状突部3aにガイドされることで、一対の抜止脚部32,32が拡開変形する。この他に、リテーナ30が確認位置から初期位置へ移動する際に、ガイド突起44とは異なるリテーナ30の部位(例えば押込規制突起45)(第二リリース用ガイド部)が、コネクタ本体10の部位(例えば押込被係止部26)にガイドされることで、一対の抜止脚部32,32が拡開変形するようにしてもよい。
1:クイックコネクタ、 3:パイプ、 3a:環状突部、 10:コネクタ本体、 25:引抜被係止部、 25a:テーパ部、 26:押込被係止部、 27:レール溝、 30:リテーナ、 31:基部、 32:抜止脚部、 33:姿勢用脚部、 34:リリース用操作部、 41:脚部本体、 42:仮抜止部、 42a:仮抜止部の軸方向挿入側の面、 42b:仮抜止部の軸方向奥側の座面、 43:本抜止部、 43a:本抜止部の軸方向奥側の円形の座面、 44:ガイド突起、 45:押込規制突起、 45a:テーパ部、 45b:小突起

Claims (10)

  1. 環状突部を有するパイプを挿入可能なコネクタ本体と、
    前記パイプが前記コネクタ本体の軸方向の正規位置に位置する状態において、前記コネクタ本体の軸方向に交差する方向への押し込み操作により前記コネクタ本体に対して初期位置から確認位置へ移動するリテーナであり、前記確認位置にて前記環状突部に軸方向に係止することで前記パイプを抜け止めする一対の抜止脚部を備える前記リテーナと、
    を備えるクイックコネクタであって、
    前記一対の抜止脚部は、前記リテーナが初期位置に位置する状態で且つ拡開変形していない状態において、前記コネクタ本体に対して押し込み方向に係止されることで前記リテーナの前記初期位置から前記確認位置への移動を規制され、
    前記一対の抜止脚部のそれぞれの抜止脚部は、
    前記リテーナが前記初期位置に位置し、且つ、前記パイプが前記コネクタ本体の正規位置に挿入された状態において、前記リテーナに押し込み荷重が加えられる場合に、前記環状突部の外周面にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させると同時に、前記一対の抜止脚部の拡開変形によって前記リテーナの前記初期位置から前記確認位置への移動規制を解除するガイド突起を備え、
    前記ガイド突起は、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記環状突部の外周面によるガイドの解放により、前記一対の抜止脚部の拡開変形を復帰させる、
    クイックコネクタ。
  2. 前記それぞれの抜止脚部は、
    前記リテーナが前記初期位置に位置する状態において、前記環状突部との当接に伴って前記一対の抜止脚部を拡開変形させることにより前記パイプの通過を許容し、前記パイプが前記正規位置に到達すると前記一対の抜止脚部の拡開変形量を減少させることで前記環状突部に軸方向に係止して前記パイプを抜け止めする仮抜止部と、
    前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記環状突部に軸方向に係止して前記パイプを抜け止めする本抜止部と、
    を備える、
    請求項1に記載のクイックコネクタ。
  3. 前記それぞれの抜止脚部は、
    前記リテーナが前記初期位置に位置し、且つ、前記パイプが前記コネクタ本体に挿入されていない状態において、前記ガイド突起より前記それぞれの抜止脚部の先端側に、前記リテーナの前記初期位置から前記確認位置への移動を規制する押込規制突起を備える、
    請求項1又は2に記載のクイックコネクタ。
  4. 前記ガイド突起は、前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記環状突部に対して前記リテーナの引き抜き方向に係止する、請求項1〜3の何れか一項に記載のクイックコネクタ。
  5. 前記ガイド突起は、
    前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記環状突部の外周面にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、且つ、前記リテーナを前記確認位置から前記初期位置へ移動させる、
    請求項4に記載のクイックコネクタ。
  6. 前記それぞれの抜止脚部は、
    前記リテーナが前記初期位置に位置し、且つ、前記パイプが前記コネクタ本体の正規位置に挿入された状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記コネクタ本体にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、前記一対の抜止脚部の拡開変形によって前記仮抜止部と前記環状突部との係止が解除され、前記コネクタ本体から前記パイプの引き抜きを許容する第一リリース用ガイド部を備える、
    請求項2に記載のクイックコネクタ。
  7. 前記それぞれの抜止脚部は、
    前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記コネクタ本体にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、且つ、前記リテーナを前記確認位置から前記初期位置へ移動させる第二リリース用ガイド部を備える、
    請求項1〜4の何れか一項に記載のクイックコネクタ。
  8. 前記リテーナは、
    前記一対の抜止脚部とは独立した脚部であって、前記コネクタ本体に対する前記リテーナの姿勢を規制する姿勢用脚部を備える、
    請求項1〜7の何れか一項に記載のクイックコネクタ。
  9. 環状突部を有するパイプを挿入可能なコネクタ本体と、
    前記パイプが前記コネクタ本体の軸方向の正規位置に位置する状態において、前記コネクタ本体の軸方向に交差する方向への押し込み操作により前記コネクタ本体に対して初期位置から確認位置へ移動するリテーナであり、前記確認位置にて前記環状突部に軸方向に係止することで前記パイプを抜け止めする一対の抜止脚部を備える、前記リテーナと、
    を備えるクイックコネクタであって、
    前記一対の抜止脚部のそれぞれの抜止脚部は、
    前記リテーナが前記初期位置に位置する状態において、前記環状突部との当接に伴って前記一対の抜止脚部を拡開変形させることにより前記パイプの通過を許容し、前記パイプが前記正規位置に到達すると前記一対の抜止脚部の拡開変形量を減少させることで前記環状突部に軸方向に係止して前記パイプを抜け止めする仮抜止部と、
    前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記環状突部に軸方向に係止して前記パイプを抜け止めする本抜止部と、
    前記リテーナが前記初期位置に位置し、且つ、前記パイプが前記コネクタ本体の正規位置に挿入された状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記コネクタ本体にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、前記一対の抜止脚部の拡開変形によって前記仮抜止部と前記環状突部との係止が解除され、前記コネクタ本体から前記パイプの引き抜きを許容する第一リリース用ガイド部と、
    を備える、
    クイックコネクタ。
  10. 環状突部を有するパイプを挿入可能なコネクタ本体と、
    前記パイプが前記コネクタ本体の軸方向の正規位置に位置する状態において、前記コネクタ本体の軸方向に交差する方向への押し込み操作により前記コネクタ本体に対して初期位置から確認位置へ移動するリテーナであり、前記確認位置にて前記環状突部に軸方向に係止することで前記パイプを抜け止めする一対の抜止脚部を備える、前記リテーナと、
    を備えるクイックコネクタであって、
    前記一対の抜止脚部のそれぞれの抜止脚部は、
    前記リテーナが前記確認位置に位置する状態において、前記リテーナに引き抜き荷重が加えられる場合に、前記コネクタ本体にガイドされることで前記一対の抜止脚部を拡開変形させ、且つ、前記リテーナを前記確認位置から前記初期位置へ移動させる第二リリース用ガイド部を備える、
    クイックコネクタ。
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