JP2015130884A - 改良ルシフェラーゼ・アッセイ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の方法は、化合物の干渉からルシフェラーゼ酵素活性を実質的に保護するのに充分な量の耐性増大物質とルシフェラーゼを接触させることを含み、耐性増大物質を使用しないアッセイに比べて干渉を少なくとも約10%低下させる。
【選択図】なし
Description
本出願は、いずれもその全容を本願明細書に援用する、2002年12月23日に出願された米国仮出願第60/436,173号;2003年1月31日に出願された同第60/444,264号;および2003年2月13日に出願された同第60/447,334号の優先権の特典を主張するものである。
生物学的、生物医学的および薬剤科学の進展によって、過去とは比較にならないレベルまで研究および診断のペースが加速してきている。全ゲノムの配列が早急かつ首尾よく利用可能になるにつれて、大規模な小分子ライブラリーの構築、薬剤開発の推進能力、臨床診断試験、および還元主義から全体系的手法までの基本的研究全てにおいて、高スループット分析を容易にするアッセイが早急に必要とされている。単独のプロセスに対する分子の影響に関して、もはや分子を個々に分析する必要はない。その代りに、適切で、迅速で、信頼性が高く、かつ正確なアッセイが利用可能であれば、いくつかの生物系に対する多くの分子の影響について同時に研究することが可能である。
1実施形態では、酵素活性はサンプル中に含まれる。1態様では、サンプルは精製された酵素、部分的に精製された酵素、粗精製の酵素または酵素の混合物でもよく、細胞溶解物、組織ホモジェネート、または細胞内分画でもよい。
1態様では、プロテアーゼは、例えばトリプシン、トリプシナーゼ、またはカスパーゼであってよい。他の態様では、カスパーゼは、カスパーゼ−3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、またはカスパーゼ−9を含むことが可能である。他の態様では、発光基質は、プロテアーゼの基質でありかつルシフェラーゼの基質前駆体である任意の覆面基質(masked substrate)、例えばアミノ修飾されたアミノルシフェリン、あるいはそのカルボキシル保護誘導体などを含むことが可能である。
1実施形態では、耐性増大物質はTergitol(登録商標)、Thesit(登録商標)、またはChaps(登録商標)界面活性剤を含む。
他の実施形態では、基質およびATPまたはADPを、順次または同時に加える。
さらに他の実施形態では、工程(b)と(c)を同時に行う。
本発明はキットも提供し、該キットは、例えば(a)試験化合物による干渉からルシフェラーゼ活性を実質的に保護するための耐性増大物質、(b)任意選択のルシフェラーゼ酵素、(c)任意選択のバッファー試薬、および(d)キットを使用するための説明書を備える。1実施形態では、本発明のキットはATPおよびマグネシウムイオンをさらに備える。他の実施形態では、本発明のキットは、ルシフェリン、細胞溶解物質、および/またはATP抽出物質をさらに備える。
別途定義しない限り、すべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。別途示さない限り、引用したすべての特許文献および刊行物は、その全容が本願明細書に援用される。
本明細書で使用する用語「ルシフェラーゼ」は、発光反応を触媒する1つまたは複数のオキシゲナーゼを指す。したがって、ルシフェラーゼとは、生物発光を生み出す反応を触媒する酵素または発光タンパク質を指す。本発明のルシフェラーゼは、組換え体でも天然に存在するルシフェラーゼでもよいし、あるいはその変異体または突然変異体、例えば突然変異誘発によって生成された、熱安定性など天然に存在するタンパク質とは異なる1つまたは複数の性質を有する変異体であってよい。天然に存在するルシフェラーゼの非限定的な例には、海洋節足動物の間で見られるルシフェラーゼ、ホタル・ルシフェラーゼ、コメツキムシ・ルシフェラーゼ、および鉄道虫(railroad worm )ルシフェラーゼがある。ルシフェラーゼ発光タンパク質の1つの非限定的な例は、エクオリン発光タンパク質である。
「アミノ酸配列の同一性の割合(%)」は、2つの配列が最適にアラインされているとき、重複する領域内において一方の配列中のアミノ酸残基のうち第2の配列中のアミノ酸残基と(に対して)同一であるものの割合として定義される。アミノ酸の同一性の割合を決定するためには、配列を局部的にアラインし、必要な場合はギャップを導入して配列同一性の最高の割合を得る。配列同一性を計算するとき、保存的置換は数えない。配列同一性を決定するためのアミノ酸配列アラインメント手法は当業者にはよく知られている。BLASTソフトウェア(米国メリーランド州ベテスダ所在の米国国立生命工学情報センター(National Center for Biotechnology Information )から入手可能)などの、公的に利用可能なコンピュータ・ソフトウェアを使用して、ペプチド配列のアラインすることが可能である。当業者は、2つのアミノ酸配列の最適なアラインメントを得るのに必要とされる任意のアルゴリズムおよびパラメータを含めて、アラインメントを測定するための適切なアルゴリズムおよびパラメータを決定することが可能である。
アミノ酸配列の同一性(%)=(X/Y)・100
(式中、Xは、配列アラインメント用のプログラムまたはアルゴリズムによって、最適にアラインされたAとBにおいて同一として一致するものとして記録されたアミノ酸残基の数であり、Yはアラインされたアミノ酸部位の総数である)。
本発明の1実施形態では、本発明は、ルシフェラーゼ、化合物の干渉に関する耐性を改良するための耐性増大物質、および/または1以上の任意選択のATPase阻害剤を含んでなる性質を有する組成物を提供する。耐性増大物質は、スクリーニング中の1つまたは複数の試験化合物による干渉に対するルシフェラーゼ・アッセイの耐性を改善する、界面活性剤または金属イオン封鎖剤など1つまたは複数の物質を含む。一部の耐性増大物質、例えば界面活性剤は、抗酵素分解剤として、あるいはATPase阻害剤として作用することも可能である。耐性増大物質はATPase阻害剤として作用しないが、ATPase阻害が望ましい場合、特に細胞溶解物を有するサンプルを使用する場合、1つまたは複数のATPase阻害剤を含めてもよい。本発明は、これらの新規の組成物を使用して、単一工程または多工程プロトコルとして測定される、サンプル中の生成物または生物特異的事象の発生を検出する方法をさらに提供する。好ましくは、本発明の組成物とサンプルとの組合せから生じる発光は長い持続時間を有する、すなわち、組成物をサンプルと組合せた直後の発光に対して減少は約50%未満である。本発明の方法は、ルシフェラーゼを用いてサンプルに対する化合物の影響または生物特異的事象の発生を検出する時間および労力を大幅に縮小する。
その触媒生成物が光を含むルシフェラーゼ酵素は、高い感度、検出可能な生成物を提供し、ATPまたは他の分子(ルシフェリンまたはルシフェリン誘導体など)の容易な測定を可能にする。しかしながら、任意の発光生成酵素を、本発明の方法および組成物において使用することが可能である。
基質を酸化する際に光子を放出する任意のルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ断片、またはそれらの変異体を、本発明で使用することが可能である。熱安定性、化学的安定性、およびシグナル安定性などの、他の望ましい特徴も企図される。さらに、ルシフェラーゼを他のアミノ酸配列と融合させることが可能であり、かつ本発明における機能性を保つようにすることも可能である。このような酵素はin vitroで合成してもよいし、あるいは他の生物から単離してもよい。
本明細書で使用する「化学的に安定なルシフェラーゼ」とは、一般にATPaseを阻害し、LucPpyなどの化学的に安定でないルシフェラーゼの機能を害する化合物の存在下または条件下において、活性を維持するルシフェラーゼと定義する。同定した上記のルシフェラーゼLucPpe2m78(配列番号1)、LucPpe2m90(配列番号2)、LucPpe2m133(配列番号3)およびLucPpe2m146(配列番号4)は、ATPase阻害剤に対して高い化学的安定性を有することが、本明細書に記載されている。
いくつかの実施形態では、発光を生成する熱に安定なルシフェラーゼ、または検出可能なシグナルを生成するその他の熱に安定なATP依存性酵素を本発明の方法に使用すること、特にATP検出の直前に熱処理するサンプル中で使用することが可能である。熱に安定なポリペプチドは、他のタンパク質を失活または変性させる温度において活性状態を維持する。LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133およびLucPpe2m146酵素は、天然に見られるルシフェラーゼ、または天然から単離したポリヌクレオチドにコードされたルシフェラーゼと比較して、高い熱安定性を示す。
本発明をキットとして供給するとき、組成物の異なる構成要素を別個の容器中にパッケージし、使用前に混合することが可能である。本発明の異なる構成要素が、これらのパーツのサブセットを構成してもよく、本発明の適用を容易にする、あるいは保存寿命を延ばす任意の方法で組み合わせることが可能である。
ATP依存性反応を触媒し発光を生成するすべてのルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ変異体、ルシフェラーゼ断片および変異体ルシフェラーゼ断片について、本発明における使用が企図される。いくつかの実施形態ではルシフェリンが排除され、例えば、ユーザが彼/彼女の選択でルシフェリンを供給することが可能であり、あるいはルシフェリンを別途提供することも可能である。提供されるルシフェリンの種類は様々でよいが、提供されるルシフェラーゼの種類に適した基質でなければならない。
発光アッセイによって、生物学的または生物化学的プロセスと光の出力との間の相関関係が与えられる。化合物による干渉は、相関関係をある程度妨害したり変化させたりする可能性がある。本発明の「耐性増大物質」は、ルシフェラーゼのアッセイ系における干渉化合物の影響を最小限に、干渉化合物のない系に対して少なくとも約10%、好ましくは約30、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99、および最も好ましくは約100%にすることによって、ルシフェラーゼ活性を実質的に保護することが可能であり、アッセイを相関関係に近づける。これらの耐性増大物質には、界面活性剤(例えばカチオン性、アニオン性、非イオン性、および/または両性イオン性)、および非界面活性剤があるが、これらに限定されない。非界面活性剤の耐性増大物質の例には、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、およびシクロデキストリンがあるが、これらに限定されない。個々のルシフェラーゼ・アッセイに適した、個々の耐性増大物質の選択および使用量は、既知のルシフェラーゼ阻害剤を含むルシフェラーゼ・アッセイにおいて様々な濃度の物質を滴定すること、およびこのようなアッセイから得た発光を、耐性増大物質を使用しないかあるいは少量使用する第2のアッセイと比較することを含めた、いくつかの方法によって決定することが可能である。任意の適切な一般的ルシフェラーゼ阻害剤を、耐性増大物質を同定しスクリーニングするための、標準阻害剤として使用することが可能である。以下の例は、いくつかの耐性増大物質をスクリーニングし、該物質をスクリーニングするための標準として周知の一般的なルシフェラーゼ阻害剤であるイソリクイリチゲニン(isoliquirtigenin)を使用するための代表的手法を提示する。
サンプルのATP濃度を測定するときに特に有用な1実施形態では、本発明のキットは、他の機能的要素、例えばバッファー、消泡剤、酵素安定化剤などを任意選択で含む溶液中に、1つまたは複数のATPase阻害剤を含む要素からなる。この要素は、作業溶液として、あるいは濃縮物として、供給することが可能である。ATPase阻害剤要素(例えばCTAB)を単独でパッケージ化することも可能である。ATPase阻害剤は、本明細書で前に記載したATPase阻害剤のいずれであってもよい。この要素は、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応を害する可能性がある金属イオンをキレート化する物質(例えばEDTA、EGTA)、マグネシウム(硫酸塩または塩化物などの塩として供給されることが好ましい;あるいは他の機能的に同等なカチオン)、消泡剤、およびATP生成酵素の阻害剤(例えばNaF)を、さらに含むことが可能である。作業溶液のpHを維持するバッファー、例えばクエン酸もしくはMES(例えばナトリウムまたは遊離酸もしくは遊離塩基などの塩として供給することが可能である)、または任意の他の適切なバッファーを使用することが可能である。キットの目的に応じて、教示書、ならびに標準または対照の役割を果たしうる物質もキットに含めることが可能である。
一部のサンプル中には、キナーゼなどの酵素が活性を有し、ATPの連続的な生成が可能である場合がある。ATP濃度は特定の時点で測定されるので、このような酵素活性が調べられていない状態である場合、ATP濃度が過大評価されることになる。このようなATP生成活性(ATP生成終了時に分析することが望ましい)に対抗するために、ATP生成の阻害剤を使用することが可能である。ATP生成終了時に分析するときは、キナーゼ反応の不活化が有利である可能性がある。何故なら不活化によって、より安定した発光シグナルが確実になるからである。個々の阻害剤の作用は完全には理解されていないかもしれないが、それらの有用性が排除されるものではない。有用な化合物の例にはNaFがあり、NaFは少なくとも1mM、好ましくは2mM〜100mM、あるいはこの中の任意の増分の濃度で有用であり、2mMが最も好ましい。しかしながら、阻害剤がルシフェラーゼに対して本発明の有用性から外れるような悪影響を与えない場合は、任意のこのような阻害剤を使用することが可能である。当業者は、阻害剤が新規であろうとよく知られていようと、このような阻害剤の適切な濃度の測定の仕方を知っているであろう。ATP生成酵素の他の阻害剤には、バナジン酸、パラニトロフェニルホスフェートおよびジクロロ酢酸(キークル(Kiechle )他、1980年)があるが、これらに限定はされない。
作業溶液の適切なpHを保ち、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応を害さない任意のバッファーが企図される。好ましいpH範囲は、約pH4.5〜約pH9.0、より好ましくは約pH6.0〜約pH8.0である。P−450活性を測定するためには、ルシフェラーゼ・アッセイは約pH8.4で行われる。MESおよびクエン酸バッファー以外に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、Tris、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、ホウ酸、および当業者に知られている任意の他のバッファーなどの、他のバッファーが適切である可能性がある。適切なバッファーの選択は、pH緩衝能力および、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応との相互作用に依存する。
消泡剤は、特に発光を定量する用途において、泡が生物発光の検出に干渉するのを防ぐために望ましい。MAZU(登録商標)(BASF)などの物質は、有機系またはシリコーン系であってよい。消泡剤の選択は、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応に干渉せずに泡を除去する能力に依存する。
必要であれば、例えば甲虫のルシフェラーゼ−ルシフェリン反応では、カチオンが含まれてもよいが、該反応はATPだけでなく、マグネシウムイオンにも依存する。このような例においてルシフェラーゼ活性を確実にするために、マグネシウムを外から供給することが可能である。硫酸マグネシウム以外に、塩化マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの、他のマグネシウム塩が企図される。いずれの場合も、マグネシウム錯体が解離して、Mg2+イオンをルシフェラーゼが利用できるようになるとともに、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応には干渉しないはずである。当業者は、他のカチオンが、マグネシウムの代わりに機能的でありうることを理解している。他のカチオンには、カルシウムおよびマンガンがある。
8.安定化剤
非イオン性界面活性剤および低濃度の両性イオン性界面活性剤の作用に対して耐性がある一方で(シンプソン(Simpson )およびハモンド(Hammond )、1991年)、天然のホタル・ルシフェラーゼは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、CTAB(セチルトリメチルアンモニウム)、DTAB(ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド)、および塩化メチルベンゼトニウムなどの、カチオン性界面活性剤によって失活する(シンプソンおよびハモンド、1991年)。高いルシフェラーゼの安定性が望ましい場合、安定化剤をキット中に与えることが可能である。
キット中に含めることが可能な他の物質には、ルシフェラーゼ反応から生じる発光の時間を増大することが知られている物質、例えばコエンザイムA(CoA)や、ジチオトレイトールおよびβメルカプトエタノールなどのチオール試薬(ウッド(Wood)の米国特許第5,283,179号、1994年;ウッド(Wood)、米国特許第5,650,289号、1997年)、シグナルを延長させるためのEDTAなどの金属イオン・キレート剤、およびプロテアーゼ阻害剤(シェムラー(Schemrer)、米国特許第5,618,682号、1997年;シャイラー(Scheirer)、米国特許第5,866,348号、1999年)または高濃度の塩(バンルーン(Van Lune)およびトレアービール(Trer Wiel )、国際公開公報第00/18953号、2000年)などがある。
キットは、細胞の生存能、細胞毒性、細胞増殖、またはATP濃度の測定などの、特定の試験の実施を容易にするための試薬を別の容器中に含むことも可能である。例えば、標準曲線を決定するため、または内部対照として使用するために、ATPを提供することが可能である。さらに、ルシフェリンの標準曲線を決定できるように、ルシフェリンを供給することが可能である。キットは、膜、フィルターまたはスワブなどサンプル収集用の要素を供給することが可能である。
キット中に含まれる試薬は、種々の要素の寿命が保たれ、容器の材料に吸着したり同材料によって変化したりしないように、任意の種類の容器中に供給することが可能である。例えば、密閉ガラスアンプルは、窒素などの中性の不活性ガス下でパッケージ化された凍結乾燥ルシフェラーゼまたはバッファーを含むことが可能である。アンプルは、ガラス、有機ポリマー(例えばポリカーボネート、ポリスチレンなど)、セラミック、金属、または試薬を収容するために一般に使用される任意の他の材料などの、任意の適切な材料から構成されていればよい。適切な容器の他の例には、アンプルと同様の耐性増大物質から製造することが可能な単純なボトル、およびアルミニウムまたは合金などの箔で内側が裏打ちされた包装材料などがある。スクリュー状の先端部を有するプラスチック製容器、またはゴム製ストッパーを有するガラス製容器も使用することが可能である。他の容器には、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジなどがある。容器が滅菌されたアクセス・ポートを有していてもよく、例えば、皮下注射針で貫通可能なストッパーを有するボトルなどである。他の容器は、容易に除去可能な膜によって隔離された2つの区画を有し、膜を除去することによって成分を混合することが可能である。除去可能な膜は、ガラス製、プラスチック製、ゴム製などであってよい。
キットに教示書を含めることも可能である。教示書は紙または他の素材の上に印刷されていてもよいし、かつ/あるいはフロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープなどの読み取り可能な電子媒体として供給することも可能である。詳細な教示は、キットと物理的に関連していなくてもよく;その代りに、キットの製造業者または流通業者が指定したインターネットのウェブ・サイトをユーザに対して示してもよいし、あるいは電子メールとして供給してもよい。好ましい実施形態では、教示書は、ルシフェラーゼと耐性増大物質を組み合わせてから試薬組成物をサンプルに加えること、または耐性増大物質と非発光反応を組み合わせてからルシフェラーゼをこの反応物に加えることをユーザに教示する。
発光を測定し、それによって試薬組成物の活性を決定するためには、試薬組成物をサンプルと組み合わせた後の目的の時点で、ルシフェラーゼ反応によって生じた相対光度単位(RLU)値を測定すればよい。例えば、耐性増大物質を含む要素を、ルシフェラーゼを含む要素に加えることによって試薬組成物を作製した直後(0〜10分後)に、既知濃度のATP(キナーゼ活性を測定する場合)または基質(プロテアーゼまたはP−450活性を測定する場合)を試薬組成物と組み合わせたサンプルから生成する発光を測定することによって、RLU値を得ることが可能である。この値は、その条件下における100%の活性(非阻害状態)であるとみなされる。ルシフェラーゼを阻害することが知られている化合物(例えばイソリクイリチゲニン)とルシフェラーゼ反応を組み合わせた後に、発光の強度が低下する場合、耐性増大物質によって与えられる相対的な保護は、非阻害状態の発光に対する強度の相対的近似性と同等である。例えばイソリクイリチゲニンが、耐性増大物質の不在下で反応の発光を200倍阻害するが、ある化合物の存在下では発光を100倍しか阻害しない場合は、その化合物は耐性増大物質であり、50%の相対的保護をもたらすということである。
ルシフェラーゼ反応は、光の生成(「発光」)をもたらす。ユーザはサンプルの反応を肉眼によって簡単に調べて、光の生成を確認することが可能である。しかしながら、さらに感度の良い装置によって、微弱なシグナルを検出するだけでなく、光シグナルを定量することも可能である。光以外の生成物を、該生成物の性質に従って測定する反応も企図される。本発明は、発光シグナルをもたらす任意のアッセイに役立つ可能性がある。このような生成物に適した装置および方法は、当業者には明らかであろう。
本発明は、ATPまたはルシフェリンのレベルを効果的かつ正確に検出し定量するために使用する方法、組成物およびキットを対象とする。
本発明の方法、組成物およびキットによって、サンプル中のATP(またはルシフェラーゼ基質として機能しうるATP類似体)および酵素活性(例えばキナーゼ、プロテアーゼ、またはチトクロムP−450活性)を、さらには1つまたは複数の試験化合物の存在下において、簡単に定性的または定量的に検出することが可能となる。好ましい実施形態において、本発明を使用してサンプル中で発光を生成させる簡単な定性実験では、耐性増大物質は干渉化合物の影響を最小限にし、発光が調査対象の生物学的または生化学的プロセスとより密接な相関関係となるようにする。LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133またはLucPpe2m146などのルシフェラーゼと、場合により1つまたは複数のATPase阻害剤とを含む試薬組成物を使用して、発光を生成させる。さらに、試薬組成物は、1つまたは複数の以下の構成要素:凍結乾燥調製物から再構成可能であるルシフェリン(あるいは、適切なルシフェリン類似体基質)、ATPase阻害剤、終点測定用のキナーゼなどのATP生成酵素の阻害剤、2価カチオン(例えばマグネシウム)、酵素安定化剤、およびバッファーをさらに含むことが可能である。
生成物または副生成物としてATPを有するキナーゼ活性などを有するATP生成酵素の阻害剤は、試薬組成物中に組み入れてもよいし、あるいは後で試薬組成物の使用に組み入れるために別の容器中に入れておいてもよく、キナーゼ活性の終点測定が望ましい場合には後者を使用する。有効な阻害剤の一例はNaFである(ボスチック(Bostick )他、1982年)。このような組成物は、少なくとも0.5mM、好ましくは少なくとも1mM、より好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mM、あるいはこの中の任意の増分の濃度でNaFを含み、2mMが最も好ましい。ATP生成酵素の他の阻害剤には、バナジン酸、AMP、DAPP(ボスチック他、1982年)およびジクロロ酢酸(キークル(Kiechle )他、1980年)などの、他のキナーゼ阻害剤がある。
本発明の組成物、方法、およびキットによって、ユーザは、発光量を定量することによって、サンプル中のキナーゼにより消費されたATPの量を検出し定量することにより、キナーゼ活性を検出し定量することが可能である。本発明を目的のサンプルおよび既知量のATPを含むサンプル(対照)に適用する。ATP濃度未知のサンプルに本発明を適用することから生じたシグナルは、内部対照(既知量のATPをサンプルに加え、その後の発光を測定する)、またはATP濃度既知のいくつかのサンプルの発光を測定してグラフにプロットすることにより作製した外部標準曲線によって生じたシグナルと関連付ける。このような方法は当業者に知られている。(モーヤー(Moyer )およびヘンダーソン(Henderson )、1983年;ロナー(Ronner)他、1999年;スタンリー(Stanley )、1989年;ウッド(Wood)他、1989年)。
本発明の組成物、方法、およびキットを適用して、化合物、例えば無機物、小分子、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、脂質、ステロイド、汚染物質、発癌物質、または薬剤などの、サンプルと接触させたときの生物特異的事象に対する影響を測定することが可能である(アイギンガー(Aiginger)他、1980年;アンドレオッティ(Andreotti )他、1995年;ブラッドベリー(Bradbury)他、2000年;クリー(Cree)およびアンドレオッティ(Andreotti )、1997年;クローチ(Crouch)他、1993年;カンガス(Kangas)他、1984年)。これらの化合物は化合物ライブラリーに分類整理されていてもよいし、あるいは単独で試験されてもよい。本発明のこのような適用例では、ATP代謝または酵素機能に対するその影響が既知である対照化合物とサンプルとを接触させる対照例を利用する。ルシフェラーゼと化合物が一緒に存在して、化合物自体はルシフェラーゼ活性に直接影響を与えないことが確実なサンプルが対照例に含まれることも好ましい。
この実施例では、ルシフェラーゼ・レポーターを用いるアッセイを使用して、既知のP450酵素阻害剤がルシフェラーゼ阻害剤でもあるかどうか、およびいくつかの界面活性剤の耐性増大効果を使用して、このような潜在的なルシフェラーゼ阻害剤に対してルシフェラーゼを防御することが可能であるかどうかを評価した。細胞調節または酵素調節に関して研究中の化合物が、ルシフェラーゼを用いる細胞または酵素のレポーター・アッセイ系におけるルシフェラーゼ反応にも影響を与えるであろうという、若干の懸念が存在する。このことが真実であれば、例えば阻害剤のスクリーニング・アッセイについては、誤った「的中」が増大すると予想される。2つの潜在的なルシフェラーゼ阻害剤、エモジン(emodin)とチロホスチン(tyrphostin)AG494を、「薬理活性化合物ライブラリー(Library of Pharmaceutically Active Compounds)」(LOPAC)スクリーニングから同定した。この2つの化合物は、ある種のチトクロムP450酵素の潜在的な阻害剤である。この実験の目的は、エモジンおよびチロホスチンAG494がルシフェラーゼ反応の阻害剤でもあるかどうか決定することと、これらの化合物によって引き起こされたルシフェラーゼに対する何らかの阻害を界面活性剤の存在によって軽減することが可能であるどうかをさらに決定することであった。ルシフェラーゼ活性は、ルシフェリンの存在下で、化合物の存在下または不在下、および2つの異なる濃度の5つの異なる界面活性剤の不在下または存在下でアッセイした。
2/0.2%のTOMAH
3/2%のTOMAH
4/0.2%のTergitolNP9
5/2%のTergitolNP9
6/0.2%のThesit
7/2%のThesit
8/0.2%のCHAPS
9/2%のCHAPS
10/0.2%のTritonX−100
11/2%のTritonX−100
界面活性剤の最終濃度は、0%、0.1%または1%のいずれかとなる。最後に、50マイクロリットルの各ルシフェリン阻害剤混合物を、50マイクロリットルの各ルシフェリン検出試薬と3連で、白色の照度計用96ウェル・プレート上で組み合わせ、混合し、BMG Fluostar(商標)照度計(BMG社)で読み取った。これらの結果はRLUおよび対照に対する割合(%)で表し、図1に示す。
この実施例では、市販のライブラリーであるLOPAC(商標)ライブラリー(薬理活性化合物ライブラリー、米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマコーポレーション(Sigma Corp. )から入手可能)のスクリーニングを実施し、薬剤化合物から受ける可能性のある阻害に対して、細胞系または無細胞系のルシフェラーゼ・アッセイにおけるルシフェラーゼ反応を保護する際の耐性増大物質の効果を決定した。LOPACライブラリーは、その薬理活性が既知の640種の化合物を含む。このライブラリーは、開発中のスクリーニング・プロトコルを実証するために一般的に使用されている。
1/界面活性剤なし
2/0.2%のTergitolNP9
3/2%のTergitolNP9
最終的な界面活性剤濃度は、0.1%または1%界面活性剤となる。
この実験では、いくつかの耐性増大物質を、既知のルシフェラーゼ阻害剤であるイソリクイリチゲニン(ILT)(100μM、シグマ・ケミカル(Sigma Chemical))からルシフェラーゼを保護する能力に関して評価した。ILTをルシフェラーゼ反応に加え、耐性増大物質と見込まれる物質を、ルシフェラーゼを阻害から保護する能力に関して評価した。
(L1−L2)/(L3−L4)
(式中、L1は、阻害剤および耐性増大物質の存在下の発光を表し;L2は阻害剤存在下で耐性増大物質不在下の発光を表し;L3は阻害剤および耐性増大物質の不在下の発光を表し;かつL4は阻害剤存在下で耐性増大物質不在下の発光を表す)。
1.生細胞を含まないアッセイ・サンプル中の非発光酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、
(a)化合物および発光分子を提供する工程であって、該発光分子が非発光酵素の基質でありかつルシフェラーゼ酵素の基質前駆体であることを特徴とする工程と、
(b)該化合物と該非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、
(c)該第1の反応混合物と、ルシフェラーゼ、該発光分子および耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、該化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、
(d)該第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、
(e)該検出した発光と、該化合物を含まないかまたは異なる濃度で該化合物を含む同様の反応混合物の発光とを比較することによって、非発光酵素活性に対する該化合物の影響について(該影響が存在する場合には)決定する工程と
を含む方法。
2.生細胞を含まないアッセイ・サンプル中の非発光酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、
(a)化合物および発光分子を提供する工程であって、該発光分子が非発光酵素の基質でありかつルシフェラーゼ酵素の基質前駆体であることを特徴とする工程と、
(b)該化合物と該非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、
(c)該第1の反応混合物と、該発光分子とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程と、
(d)該第2の反応混合物と、ルシフェラーゼおよび耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第3の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、該化合物の干渉から該ルシフェラーゼの活性を実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、
(e)該第3の反応混合物中の発光を検出する工程と、
(f)該検出した発光と、該化合物を含まないかまたは異なる濃度で該化合物を含む同様の反応混合物の発光とを比較することによって、非発光酵素活性に対する該化合物の影響ついて(該影響が存在する場合には)決定する工程と
を含む方法。
3.生細胞を含まないアッセイ・サンプル中の非発光酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、
(a)発光分子および試験用の化合物を提供する工程であって、該発光分子が非発光酵素の基質でありかつルシフェラーゼ酵素の基質前駆体であることを特徴とする工程と、
(b)該化合物、該発光分子、および非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、
(c)該第1の反応混合物と、ルシフェラーゼを含む試薬組成物および耐性増大物質とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、該化合物の干渉から該ルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、
(d)該第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、
(e)該検出した発光と、該化合物を含まないかまたは異なる濃度で該化合物を含む同様の反応混合物の発光とを比較することによって、非発光酵素活性に対する該化合物の影響について(該影響が存在する場合には)決定する工程と
を含む方法。
4.生細胞を含まないアッセイ・サンプル中の非発光酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、
(a)試験用の化合物、非発光酵素の基質、非発光酵素、およびATPまたはADPを提供する工程と、
(b)該化合物、該基質、ATPまたはADP、および非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、
(c)該第1の反応混合物と、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよび耐性増大物質を含む試薬組成物を接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、該化合物の干渉から該ルシフェラーゼの活性を実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、
(d)該第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、
(e)該検出した発光と、該化合物を含まないかまたは異なる濃度で該化合物を含む同様の反応混合物の発光とを比較することによって、非発光酵素活性に対する該化合物の影響について(該影響が存在する場合には)決定する工程と
を含む方法。
5.生細胞を含まないサンプル中のATP生成酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、
(a)ADPおよび試験用の化合物を提供する工程と、
(b)該化合物、ADPおよびサンプルを接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、
(c)該第1の反応混合物と、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよび耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、該化合物の干渉から該ルシフェラーゼの活性を実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、
(d)該第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、
(e)該検出した発光と、該化合物を含まないかまたは異なる濃度で該化合物を含む同様の反応混合物の発光とを比較することによって、非発光酵素活性に対する該化合物の影響について(該影響が存在する場合には)決定する工程と
を含む方法。
6.前記工程を順次実施することを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の方法。
7.工程(b)と(c)を同時に行うことを特徴とする上記1〜5のいずれか1項に記載の方法。
8.工程(b)、(c)、および(d)を同時に行うことを特徴とする上記2に記載の方法。
9.工程(c)と(d)を同時に行うことを特徴とする上記2に記載の方法。
10.前記耐性増大物質が界面活性剤または非界面活性剤を含む、上記1〜5のいずれか1項に記載の方法。
11.前記耐性増大物質がカチオン性、アニオン性、非イオン性、または両性イオン性界面活性剤を含む、上記10に記載の方法。
12.前記界面活性剤がTergitol(登録商標)、Brij35(登録商標)、Brij58(登録商標)、TritonX−100(登録商標)、TritonX−305(登録商標)、TritonN101(登録商標)、Chaps(登録商標)、Chapso(登録商標)、Bigchap(登録商標)、Thesit(登録商標)、PluronicL64(登録商標)、Rhodasurf870(登録商標)、ChemalLA−9(登録商標)、Sulfonyl465(登録商標)、デオキシコレート、CTAB、PierceC08(登録商標)、またはPierceC10(登録商標)界面活性剤を含む、上記11に記載の方法。
13.前記非界面活性剤がポリエチレングリコール、ポリビニルピリジン、クラウンエーテル、およびシクロデキストリンを含む、上記10に記載の方法。
14.前記非発光酵素がプロテアーゼである、上記1〜5のいずれか1項に記載の方法。
15.前記プロテアーゼがトリプシン、トリプシナーゼ、またはカスパーゼである、上記14に記載の方法。
16.カスパーゼがカスパーゼ−3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、またはカスパーゼ−9を含む、上記15に記載の方法。
17.前記発光基質がアミノ酸またはペプチドでアミノ修飾されたアミノルシフェリン、あるいはそのカルボキシル保護誘導体を含む、上記14に記載の方法。
18.前記非発光酵素がチトクロムP−450酵素である、上記2または3に記載の方法。
19.前記発光基質がD−ルシフェリン誘導体である、上記18に記載の方法。
20.前記耐性増大物質がTergitol(登録商標)界面活性剤である、上記18に記載の方法。
21.前記Tergitol(登録商標)界面活性剤がTergitolNP−9(登録商標)界面活性剤である、上記20に記載の方法。
22.前記非発光酵素がキナーゼである、上記4に記載の方法。
23.前記界面活性剤がTergitol(登録商標)、Thesit(登録商標)、またはChaps(登録商標)界面活性剤である、上記22に記載の方法。
24.前記化合物と酵素を第1の所定時間接触させてから、前記基質およびATPまたはADPと接触させる、上記4に記載の方法。
25.前記基質およびATPまたはADPを、順次または同時に加える、上記24に記載の方法。
26.前記ATP生成酵素がキナーゼまたはホスファターゼである、上記5に記載の方法。
27.前記耐性増大物質がTergitol(登録商標)、Thesit(登録商標)、またはChaps(登録商標)界面活性剤を含む、上記26に記載の方法。
28.生細胞を含まないアッセイ・サンプル中のキナーゼ酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、
(a)試験用の化合物、キナーゼ基質、キナーゼ酵素、およびATPまたはADPを提供する工程と、
(b)該化合物、該基質、ATPまたはADP、およびキナーゼ酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、
(c)該第1の反応混合物と、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよび耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、該化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、
(d)該第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、
(e)該検出した発光と、該化合物を含まないかまたは異なる濃度で該化合物を含む同様の反応混合物の発光とを比較することによって、キナーゼ酵素活性に対する該化合物の影響について(該影響が存在する場合には)決定する工程と
を含む方法。
29.前記キナーゼ酵素がプロテインキナーゼである、上記28に記載の方法。
30.前記耐性増大物質がTergitol(登録商標)、Thesit(登録商標)、またはChaps(登録商標)界面活性剤を含む、上記29に記載の方法。
31.前記化合物とキナーゼ酵素を第1の所定時間接触させてから、前記基質およびATPまたはADPと接触させる、上記28に記載の方法。
32.前記基質およびATPまたはADPを、順次または同時に加える、上記28に記載の方法。
33.前記工程を順次実施することを特徴とする上記28に記載の方法。
34.工程(b)と工程(c)を同時に行うことを特徴とする上記28に記載の方法。
Claims (9)
- 無細胞環境下において、目的の酵素に対する試験化合物の効果をスクリーニングする方法であって、
(a)ルシフェラーゼ酵素を界面活性剤と接触させて第1の反応混合物を形成する工程と、
(b)前記試験化合物と前記目的の酵素とを含有する第2の反応混合物に前記第1の反応混合物を接触させる工程と、
を備え、前記第1の反応混合物中の界面活性剤は、前記試験化合物による阻害から前記ルシフェラーゼ酵素のルシフェラーゼ酵素活性を保護して、前記界面活性剤がないときと比べてその阻害の程度を少なくとも10%抑えるのに十分な量であることを特徴とする方法。 - 前記界面活性剤は、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤または両性イオン界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記界面活性剤は、Tergitol(登録商標)、Brij35(登録商標)、Brij58(登録商標)、TritonX−100(登録商標)、TritonX−305(登録商標)、TritonN101(登録商標)、Chaps(登録商標)、Chapso(登録商標)、Bigchap(登録商標)、Thesit(登録商標)、PluronicL64(登録商標)、Rhodasurf870(登録商標)、ChemalLA−9(登録商標)、Sulfonyl465(登録商標)、デオキシコレート、CTAB、PierceC08(登録商標)、またはPierceC10(登録商標)界面活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記界面活性剤はTergitol(登録商標)NP−9である、請求項3に記載の方法。
- 無細胞環境下において、非発光酵素に対する試験化合物の影響を決定する、以下の(a)〜(c)の工程を含む方法。
(a)前記試験化合物と非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を形成する工程。
(b)ルシフェラーゼ酵素と、前記非発光酵素の基質であってかつ前記ルシフェラーゼ酵素の基質前駆体である発光分子と、界面活性剤とを含有する試薬組成物に前記第1の反応混合物を接触させて、第2の反応混合物を形成する工程。ただし、前記試薬組成物中の界面活性剤は、前記試験化合物による阻害から前記ルシフェラーゼ酵素のルシフェラーゼ酵素活性を保護して、界面活性剤がないときと比べてその阻害の程度を少なくとも10%抑えるのに十分な量である。
(c)前記第2の反応混合物中の発光を検出することにより、前記非発光酵素に対する前記試験化合物の影響をもしあれば決定する工程。 - 無細胞環境下において使用され、かつ試験化合物による干渉からルシフェラーゼ活性を保護するためのキットであって、
(a)界面活性剤と、
(b)ルシフェラーゼ酵素と、
(c)バッファー試薬と、
(d)キットを使用するための説明書と
を備えたキット。 - ATPをさらに備えた請求項6に記載のキット。
- 前記界面活性剤は、Tergitol(登録商標)、Brij35(登録商標)、Brij58(登録商標)、TritonX−100(登録商標)、TritonX−305(登録商標)、TritonN101(登録商標)、Chaps(登録商標)、Chapso(登録商標)、Bigchap(登録商標)、Thesit(登録商標)、PluronicL64(登録商標)、Rhodasurf870(登録商標)、ChemalLA−9(登録商標)、Sulfonyl465(登録商標)、デオキシコレート、CTAB、PierceC08(登録商標)、またはPierceC10(登録商標)界面活性剤を含む、請求項6に記載のキット。
- ルシフェラーゼ基質または基質前駆体をさらに含む、請求項6に記載のキット。
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