JP5155515B2 - トランスフェラーゼ酵素活性を検出する方法 - Google Patents

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Description

[発明の分野]
本発明は概して酵素学および分子生物学の分野に関する。特に、本発明は、トランスフェラーゼ活性の検出および定量化を改善する方法、組成物ならびにキットに関する。
[関連出願の相互参照]
この非仮出願は、「トランスフェラーゼ酵素活性を検出する方法(METHOD FOR DETECTING TRANSFERASE ENZYMATIC ACTIVITY) 」という表題で2002年9月6日に出願された米国特許仮出願第60/408,662号に対する優先権の利益を主張する。
[発明の背景]
生物学的、生物医学的および薬学的科学の向上は、これまでとは無比の研究および診断学の基盤を促進してきた。全ゲノム配列が迅速かつ相次いで入手可能となりつつあるのに伴って、小分子の巨大ライブラリーの構築、ならびに医薬品開発、臨床診断試験および基礎研究を還元主義から全システム的アプローチまで移行させることができるには、ハイスループット解析を容易とするアッセイが望まれる。分子はもはや、単独のプロセスに対する影響に関して個々に分析する必要はなく、代わりに、幾つかの生物学的システムに対する多くの分子の影響を同時に研究することができ、適切な場合には、迅速で信頼性が高く、かつ正確なアッセイが利用可能である。
その生理学的意義、多様性および遍在性に起因して、トランスフェラーゼ、特にキナーゼは、生化学および医学研究において最も重要かつ広範囲に研究されている酵素ファミリーの1つとなっている。研究により、タンパク質キナーゼおよび脂質キナーゼは、シグナル伝達、転写調節、細胞運動性、細胞分裂、ならびに薬物、毒素および病原体に対する細胞応答を含む多くの細胞機能の重要な調節因子であることが示されている。
プロテインキナーゼは、多種多様な細胞事象の調節において極めて重要な役割を果たす。これらの酵素は、リン酸残基を細胞内ポリペプチド内のある特定のアミノ酸に転移させることにより作用して、これらのタンパク質基質の活性化を引き起こし、細胞の成長、分化および分裂を含む活性化制御の事象のカスケードを発動させる。プロテインキナーゼは、腫瘍生物学の分野で広く研究されている。細胞において制御されたキナーゼ活性が欠如すると、腫瘍の形成につながると考えられている。医薬品業界は、多種多様の腫瘍の治療を支援すべく、これらのキナーゼを標的とする薬物を絶えず探索している。細胞機能の調節に関与するプロテインキナーゼは、少なくとも1200個存在する。それらのプロテインキナーゼは、細胞膜酵素およびサイトゾル酵素のいずれとしても見出され、セリン、スレオニンおよびチロシンアミノ酸残基をリン酸化する。これらの基質特異性に基づいて、キナーゼは、2つの群、すなわちセリン/スレオニンキナーゼおよびチロシンキナーゼに分けられる。
セリン/スレオニンキナーゼとしては、サイクリックAMPおよびサイクリックGMP依存性プロテインキナーゼ、カルシウムおよびリン脂質依存性プロテインキナーゼ、カルシウムおよびカルモジュリン依存性プロテインキナーゼ、カゼインキナーゼ、細胞分裂周期プロテインキナーゼ等が挙げられる。これらのキナーゼは通常、細胞質内に存在するか、または(おそらくアンカータンパク質により)細胞の特定の画分に結合している。
チロシンキナーゼは、チロシン残基をリン酸化する。これらの特殊なキナーゼは、ごく
少量しか存在しないが、細胞調節において等しく重要な役割を果たす。これらのキナーゼとしては、srcファミリーのプロテインキナーゼのような幾つかの可溶性酵素、および上皮成長因子レセプター、インスリンレセプターおよび血小板由来成長因子レセプターのような成長因子に関するレセプターなどが挙げられる。研究により、多くのチロシンキナーゼが、細胞の外側に位置するレセプタードメインおよび内側に位置するキナーゼドメインを有する膜貫通タンパク質であることが示されている。
脂質キナーゼもまた細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たし、4つの主要クラスに類別されている。例示的な脂質キナーゼとしては、PI3キナーゼ、およびホスファチジルイノシトール4−キナーゼが挙げられる。
キナーゼ活性を測定し、また潜在的なキナーゼ阻害剤を検出するのに使用される現行タイプのアッセイは、扱いにくく、かつ費用がかかる。これらのアッセイとしては、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)アッセイ、蛍光偏光(FP)アッセイ、およびシンチレーション近接アッセイ(SPA)のような放射能に基づくアッセイが挙げられる。
キナーゼ活性を検出するのに使用されるFRETアッセイは、2つの連結された蛍光分子を有するタンパク質基質を利用する。2つの分子は密接に近接しており、一定の距離で隔てられている。ある分子(供与体:ドナー)中の励起電子のエネルギーは、共鳴により隣接分子(受容体:アクセプタ)へ受け渡される。より高いエネルギー供与体であるフルオロフォアが、より低いエネルギー受容体分子へ直接エネルギーを移動させる能力は、受容体分子の増感蛍光を引き起こし、同時に供与体の蛍光を消光する。この場合、供与体の蛍光は、受容体に近接していることにより「消光」され、供与体のエネルギーは、非放射性様式で受容体へ受け渡される。エネルギー移動の効率は、フォースター(Forster )の方程式に従って、供与体のクロモフォアと受容体のクロモフォアとの間の距離に依存する。多くの場合、FRETは100オングストロームを上回る距離では観察されないので、FRETの存在は、密接に近接していることを示す良好な指標である。
FRETが有用であるためには、受容体分子の蛍光は、供与体の蛍光と有意に異なっていなくてはならない。FRETベースの有用なタンパク質基質には、2つのフルオロフォア間のペプチドリンカーを切断することが可能であるエンドペプチダーゼに対して特異性を有するペプチドリンカーを介して隔てられた2つの蛍光分子が挙げられる。ペプチドがリン酸化されると、該酵素はこのタンパク質を切断し得ないか、あるいは低い割合でしかタンパク質を切断できず、2つの蛍光分子が密接に近接した状態に保たれる結果、消光が起きる。他方、タンパク質がリン酸化されない場合は、エンドペプチダーゼはタンパク質基質を切断し、2つの蛍光分子が放出される結果、消光が軽減され、2つの蛍光分子は別個に蛍光を発する。FRETアッセイには、これらの要件を満たすように慎重に設計しなければならないペプチド基質が必要である。すなわち、ペプチド基質は、エンドペプチダーゼに必要とされる酵素認識部位を含有しなくてはならず、2つのフルオロフォア間の距離は、FRETが起きうる範囲内でなくてはならず、蛍光分子は、供与体の蛍光が有意に消光され、供与体由来のバックグラウンドの蛍光が最低限になるような方法で対にしなくてならない。さらに、出発物質(「消光された」基質)の蛍光は、生成物(「放出された」消光されていない生成物)と有意に異なっていなくてはならない。これらの要件により、FRETベースのアッセイは、扱いにくく、かつ費用がかかってしまう。
FPアッセイは、蛍光標識分子への、抗体、キレート原子等のような高親和性結合試薬の結合に基づいている。例えば、リン酸化された蛍光標識ペプチドに結合するが、リン酸化されていない蛍光標識ペプチドには結合しない抗体をキナーゼアッセイに使用することができる。蛍光標識が平面偏光により励起されると、該蛍光標識は励起状態の間中(励起状態の持続期間はフルオロフォアによって様々であり、フルオレセインに関しては4ナノ秒である)定常状態を維持する限り、同じ偏光平面において光を放出する。しかしながら、励起された蛍光標識が、励起状態の間に偏光平面から外れて回転または傾斜する場合、光は、初期の励起状態の平面とは異なる平面において放出される。偏光を用いてフルオロ
フォアを励起する場合、放出光の強度は、偏光平面(励起平面)に平行した平面および偏光平面に垂直な平面の両方でモニタリングすることができる。放出光の強度が平行な平面から垂直な平面まで移動する度合いは、蛍光標識分子の移動性に関連する。蛍光標識分子が大きい場合、例えば蛍光標識分子が結合試薬と結合している場合、蛍光標識分子は励起状態の間にあまり移動せず、放出された光は励起平面に関して高度に偏光されたままである。蛍光標識分子が小さい場合、例えば結合試薬が蛍光標識分子に結合していない場合、蛍光標識分子はより迅速に回転または傾斜し、生じた放出光は励起平面に対して減偏光される。したがって、FPアッセイは、蛍光標識分子に対して高度に特異的に結合することが可能な高親和性結合試薬、例えば抗体を要する。抗体を使用する場合、ペプチドのような特定の蛍光標識分子と結合する抗体についての最適化が必要とされるが、これには時間および費用がかかる。さらに、FPアッセイには、リン酸化タンパク質および他の反応構成成分、例えば脂質および界面活性剤が、偏光を妨害する可能性が存在する。
放射性標識を使用するキナーゼアッセイとしては、SPAが挙げられる。SPAでは、修飾リガンド特異的分子またはリガンド捕捉性分子を、放射性標識した分子により励起されるとエネルギーを放出する物質を含浸させた固相支持体粒子またはビーズであるフルオロミクロスフェアに結合させる。リン酸化されていないペプチドと混合された状態の、放射標識されたホスホペプチドのような修飾リガンドに添加されると、ホスホペプチドのみがフルオロミクロスフェア上に捕捉され、結合したあらゆる放射標識ペプチドが、放出される放射エネルギーによりフルオロミクロスフェアが活性化されて光エネルギーを放出するのに十分なだけ近接することになる。フルオロミクロスフェアの濃度が最適化されれば、標的に結合した放射標識リガンドからのシグナルのみが検出され、結合したリガンドと遊離状態のリガンドとを分離する必要がなくなる。放出される光エネルギーのレベルを、液体シンチレーションカウンターで測定してもよく、該レベルはリガンドが標的に結合する程度の指標である。しかしながら、SPAには放射標識リガンドが必要であり、放射標識リガンドには廃棄費用がかかり、健康を害する可能性がある。さらに、SPAでは、フルオロミクロスフェアを重力または遠心分離により沈める必要があり、アッセイにさらなる工程と時間を追加される。
生物発光または化学発光のいずれかによる発光検出に基づく他の方法が、キナーゼ活性を検出するために開発されてきた。一般に、これらの方法は、特異的な基質および抗体(レーヘル(Lehel )他、1977年)、マイクロチップおよび蛍光標識プローブの使用(コーエン(Cohen )他、1999年)、試料中の基質濃度(ユー(Eu)他、1999年)、複数の工程および試薬の使用(クラウチ(Crouch)他、特許文献1)を利用するか、あるいは特定のキナーゼに限定される(サラ−ニュービー(Sala-Newby)他、1992年)。
リン酸化事象は非常に多くの細胞機能および疾患に関与するので、トランスフェラーゼ活性、特にキナーゼ活性を同定することは非常に重要である。したがって、プロテインキナーゼ活性を検出するが、高価な、または非常に特殊な出発物質を大量に必要とせず、迅速に結果が得られかつハイスループットスクリーニングに改めることができる酵素アッセイが必要とされる。さらに、キナーゼの活性化因子および阻害剤を迅速に同定するアッセイが必要とされる。さらに、かかるアッセイを実施するためのキットを提供することも望ましい。本発明に関連する方法、システムおよびキットは、1つまたは複数のキナーゼのエフェクター、モジュレーター、エンハンサーおよび阻害剤の迅速な検出および分析を可能にするためのハイスループットシステムに使用され得る。さらに、本発明は、特別に標識された基質または抗体を必要とせずに、スクリーニングを完了させることを可能にする

米国特許第6,599,711号
本発明の目的は、トランスフェラーゼ酵素活性を検出する方法を提供することである。
[発明の概要]
本発明は、試料中のトランスフェラーゼ活性の検出に使用される方法、組成物およびキットに関する。本明細書中に記載する方法は、均質で、迅速で、高感度で、簡素で、かつ非放射性である。上記方法は、利便性が高く、任意の器具基盤とともに使用することができる。必要とされる試薬を、比較的容易に設計することができ、容易に合成可能である。上記方法は、迅速な開発時間および低費用のアッセイを提供する。
本発明の一実施形態では、試料のキナーゼ活性を検出する方法が提供される。好ましい実施形態では、試料を、キナーゼ基質、ならびに少なくとも1つのリン酸基供与体(具体的にはATP)およびリン酸基受容体基質または酵素自体(自己リン酸化)と接触させて、反応混合物を形成する。試料中のキナーゼ活性またはキナーゼ活性に対する化合物の影響は、試料中のATPレベルの減少または増加をもたらすことになる。その後、発光レポーターを反応混合物と接触させる。ATPは、発光レポーター化合物と相互作用して、存在するATPの量に正比例する発光シグナルを生じる。次に、レポーター化合物の発光出力を検出するが、通常は相対発光量(relative light unit :「RLU」)として求められる。本発明の利点は、キナーゼ活性検出方法をマルチウェルプレート中の単一ウェル中で実施することができるので、同方法がハイスループットスクリーニング方法として使用するのに適切なものとなることである。本発明の方法を、ATPおよびキナーゼ基質の量を変更することにより最適化してもよい。さらに、反応温度を上昇させることにより、キナーゼ活性を向上させることができる。
本発明の方法は、広範囲にわたるATP濃度、概して約1〜約100μMのATPでキナーゼ活性を検出するのに利用することができる。本発明の方法は、低濃度レベルのATP、概して5μM未満のATPで、より好ましくは、約1〜約3μMのATPの範囲で、キナーゼ活性を検出するのに使用可能である。
本発明の別の実施形態では、キナーゼ活性を検出する方法は、試料を、キナーゼ基質、少なくとも1つのリン酸基供与体(具体的には、ATP)およびリン酸基受容体と、キナーゼがキナーゼ基質と相互作用する機会を十分とする第1の既定期間の間、接触させることを含む。次に、得られたキナーゼ反応混合物を、組成物(「試薬組成物」)と、第2の既定期間の間、接触させる。試薬組成物は、生物発光酵素、発光原性分子およびトランスフェラーゼクエンチング剤を含む。その後、得られた反応混合物内に生じた発光が続いて検出される。発光は、ルシフェラーゼのような生物発光酵素による発光原性分子の発光性化合物への変換により生じる。この方法を用いて、キナーゼ反応の個別の終点を測定することができる。該試薬組成物は、単一工程において、トランスフェラーゼ活性のクエンチングまたは終結と、存在するATP量に正比例する発光シグナルの発生とを同時に行うことを可能にする。
上記方法は、均質性であり、プロテインキナーゼおよび脂質キナーゼのような各種トランスフェラーゼ、ならびにアミノ酸、ペプチド、タンパク質(融合タンパク質および他のキナーゼを含む)、糖および脂質のような基質に使用することができる。試薬は強健であり、生じる発光は、ルシフェラーゼを用いるATP検出用の他の試薬よりもライブラリー
化合物による干渉の影響を受けにくい。さらに、試薬組成物は、単一試料における長期間にわたるトランスフェラーゼ活性の測定、ならびにハイスループット方式の多くの試料における長期間にわたるトランスフェラーゼ活性の測定を容易とし、その結果、試薬インジェクターを備えたルミノメータの必要性を排除し、複数の試料のバッチ様式での処理を可能にする。
概して、上記方法は、ルシフェラーゼのような生物発光酵素(例えば、配列番号1〜4に例示されるが、これらに限定されない)、ルシフェリンまたはルシフェリン誘導体のような発光原性基質、および1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤を含む組成物(「試薬組成物」)を試料に添加することと、発光を検出することとを含む。同方法においては、試薬組成物の活性は、安定性が強化されており[すなわち、該試薬組成物は、少なくとも1時間は、(試薬組成物を試料と合わせたときの発光により測定される場合)少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約60%の活性を維持することが可能であり、さらに一層好ましくは、少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、さらにより好ましくは少なくとも4時間、試薬組成物の創出時、すなわち直後(0〜10分)の試薬組成物の活性に対して、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上の活性を維持することが可能である]、ルシフェラーゼ酵素は、トランスフェラーゼクエンチング剤と組み合わせられ、ここでトランスフェラーゼクエンチング剤は、トランスフェラーゼクエンチング剤の非存在下での試料のトランスフェラーゼ活性に対して、少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは99%またはそれ以上、試料に内在するトランスフェラーゼ活性を減少させるのに十分な濃度で、試薬組成物中に存在する。試薬組成物は、1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤を含む溶液を、凍結乾燥したルシフェラーゼに添加することにより、使用前に混合されてもよい。
安定性の損失は、活性の不可逆的損失として定義される。試薬組成物は、時間とともに安定性を損失し、失われる活性の量は、個々のルシフェラーゼ、トランスフェラーゼクエンチング剤、および存在する場合には、使用される酵素安定化剤に依存して様々である。試薬組成物の安定性は、約20℃〜約37℃の温度範囲で実証可能であることが好ましい。本発明の方法は、任意の量のATPを含有する試料とともに使用可能であるが、非飽和量(すなわち、発光がATPの濃度に直線的に比例する範囲)のATPを含有する試料を使用することが好ましい。
ルシフェラーゼ反応により発生する発光は、通常ルミノメータで検出されるが、他の検出手段を使用してもよい。バックグラウンドレベルよりも大きい光の存在は、試料中にATPが存在することを示す。発光のバックグラウンドレベルは、通常、試料が存在するのと同じマトリックス中で、試料の非存在下で測定される。適切な対照反応は、当業者により容易に設計される。本発明の組成物および方法で使用される好ましいルシフェラーゼは、安定なシグナルを発生する。すなわち、好ましいルシフェラーゼは、ルシフェラーゼ反応における発光の持続期間が長く、このことはルシフェラーゼ反応が開始された時点での発光に対して、1時間当たりの発光の損失が50%未満と定義される。本発明の好ましいルシフェラーゼは、同ルシフェラーゼをトランスフェラーゼクエンチング剤と組み合わせた後1時間、より好ましくは2時間、最も好ましくは4時間以上、長期間にわたって試料を複数回分析すること、または長期間にわたって多くの試料を分析することを可能にする。任意選択で、本発明の組成物および方法で使用されるルシフェラーゼは、熱安定性が高い特性を有していてもよい。
発光量を定量することは、試料中のATP量も定量することでもある。ATPの定量により、トランスフェラーゼ活性の定量が可能となる。例えば、試験試料の発光量を、対照
試料の発光量と、あるいは既知量のATPならびに同じルシフェラーゼ、基質および反応条件(すなわち、温度、pH等)を用いることで決定した標準曲線と比較すれば、ATP定量値が求められる。当然のことであるが、定量化には、バックグラウンド値を差し引くことが含まれる。ある試料の発光を、別の試料の発光と比較すれば、試料中に存在するATPの絶対量を知る必要なくATP定量値が求められる(例えば、試験化合物の存在下または非存在下での試料の比較)。当業者であれば多くのそのような実験を容易に設計することができる。
トランスフェラーゼクエンチング剤の例としては、界面活性剤、好ましくは陽イオン性界面活性剤[例えば、DTAB(臭化ドデシルトリメチルアンモニウム)、CTAB(セチルトリメチルアンモニウム)およびBDDABr(臭化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム)]、陰イオン性界面活性剤(例えば、SDSおよびデオキシコール酸塩)および両性イオン性界面活性剤(例えば、スルホベタイン3‐10)のような荷電した基を有する界面活性剤が挙げられる。上記方法を容易とするために、ルシフェラーゼ用の基質、例えばルシフェリンを試薬組成物に含めてもよい。試薬組成物の他の実施形態は、NaF、バナデートおよびパラニトロフェニルホスフェートのようなトランスフェラーゼ阻害剤をさらに含む。試薬組成物のさらに他の実施形態は、緩衝剤およびマグネシウムをさらに含む。当業者には、他の陽イオン(例えば、マンガンおよびカルシウム)がマグネシウムに代わる適切な代用物であり得ることが既知である。
反応組成物はまた、酵素安定剤を含んでもよい。酵素安定剤は、分解からルシフェラーゼを安定化する任意の化合物であり得る。適切な酵素安定剤としては、タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはゼラチン)または界面活性剤(好ましくは、非イオン性界面活性剤、最も好ましくはTHESIT(登録商標))が挙げられる。酵素安定剤のさらなる例は、2003年2月13日に出願された、「改善されたルシフェラーゼを用いるアッセイ(IMPROVED LUCIFERASE-BASED ASSAYS)」という表題の米国仮特許出願第60/447,334号(その全体を参照により本明細書に援用する)に記載されている。
さらに、本発明は、トランスフェラーゼ活性に対する小分子(有機分子および無機分子ならびに合成分子および天然に存在する分子を含む)の影響を決定するのに有用であり、ひいてはその小分子が薬剤として機能し得るかどうかの評価を可能にする。したがって、本発明はまた、第1の試料をある濃度の化合物と接触させ、その後該第1の試料を本発明の試薬組成物と接触させること、および第1の試料中の発光量を検出して、トランスフェラーゼを含有する第2の試料中の発光量と比較することにより、トランスフェラーゼ酵素を含有する第1の試料における化合物の影響を決定する方法に関する。第2の試料を、化合物を含まない第1の試料と接触させる濃度未満の濃度の化合物と接触させてもよい。第1の試料から検出される発光量が第2の試料と比較して少なければ、該化合物が阻害剤を含むことを示す可能性がある。このようにして、阻害試薬が発見され得る。同様に、本発明は、酵素活性を増強する試薬、すなわち、トランスフェラーゼ活性を高める化合物を発見するのに有用である。上述の例を使用して、第2の試料から検出される発光量が第1の試料と比較して少なければ、その化合物がトランスフェラーゼ増強剤を含むことを示す可能性がある。本発明は、同濃度の種々の化合物のトランスフェラーゼ活性に対する影響を比較するのに有用である。本発明はまた、種々のタイプのトランスフェラーゼに対する化合物の影響を比較するのにも有用である。当業者であれば、本発明が役立つ多くの他のそのようなアッセイを開発し得る。
本発明はまた、本発明の要素を集めてキットにする。かかるキットは、試料中のトランスフェラーゼ活性を検出および定量化するように、あるいはトランスフェラーゼ活性に対
する化合物の影響を決定するように設計される。キットは、複数の目的が実現され得るように多機能性であり得る。一実施形態では、試料中のトランスフェラーゼ活性を検出するのに使用されるキットは、1つの容器中に凍結ルシフェラーゼを含み、別の容器が1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤を含んだ再構成用緩衝剤を含んでいてもよい。トランスフェラーゼクエンチング剤は、非界面活性剤のトランスフェラーゼ阻害剤または界面活性剤、好ましくは陽イオン性界面活性剤(好ましくは、DTABまたはBDDABr)、陰イオン性界面活性剤(好ましくは、SDSまたはデオキシコール酸)または両性イオン性界面活性剤(好ましくは、スルホベタイン3‐10)を含むイオン性基を有する界面活性剤、あるいはそれらの組合せであり得る。
キットはまた、ルシフェリンのようなルシフェラーゼ基質を供給してもよい。キットはまた、マグネシウム、あるいはマンガンまたはカルシウムのような他の陽イオンを供給し得る。例えば、試料中のATPを定量するのに使用されるキットの実施形態において、既知濃度のATPによる対照実験の使用を容易にするために、そのようなキットの中にATPの入った容器が供給されてもよい。キットはまた、試料中のトランスフェラーゼ活性を消光する化合物(例えば、NaF)を供給し得る。キットはまた、酵素安定化剤、例えばBSAまたはゼラチンあるいはTHESIT(登録商標)を供給し得る。キットはまた、1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼ酵素(例えば、キナーゼ)、トランスフェラーゼ基質およびリン酸基供与体(例えば、ATP)およびトランスフェラーゼ反応を支持するための任意の緩衝剤を供給し得る。
キットの好ましい実施形態が含有する構成成分は、組み合わせたときに、(i)試薬組成物を試料と合わせた際の発光により検出される場合、試薬組成物が構築された直後(すなわち、ルシフェラーゼを含む構成成分を、トランスフェラーゼクエンチング剤を含む構成成分と組み合わせた0〜10分後)の試薬組成物の活性に対して、少なくとも約1時間(好ましくは、少なくとも2時間、より好ましくは4時間)、少なくとも約30%(好ましくは、少なくとも約60%、さらにより好ましくは、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%)の活性を維持し、かつ(ii)トランスフェラーゼクエンチング剤の非存在下での試料に内在するトランスフェラーゼ活性に対して、同試料のトランスフェラーゼ活性の少なくとも約25%または少なくとも約30%(好ましくは、少なくとも40%、さらにより好ましくは、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこの中の任意の増分)を減少させる試薬組成物を生成する構成成分である。
トランスフェラーゼクエンチング剤を含む構成成分は、2つ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤を含んでもよいが、その場合2つ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤は、それらを組み合わせた効果により、トランスフェラーゼクエンチング剤の非存在下での試料に内在するトランスフェラーゼ活性に対して、同試料のトランスフェラーゼ活性の少なくとも約25%または少なくとも約30%(好ましくは、少なくとも約40%、さらにより好ましくは、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこの中の任意の増分)が減少するような濃度で試薬組成物中に存在する。
最も好ましくは、キットは、緩衝界面活性剤溶液を含む容器を含み、該緩衝界面活性剤溶液は、約pH6.0〜約pH8.0の範囲のpHであり、該緩衝界面活性剤溶液は、試薬組成物中の濃度が約0.05%〜約2%(w/v)の範囲であるDTABを含み、また任意選択で試薬組成物中の濃度が約1mM〜約20mMの範囲であるNaFを含み、また任意選択で試薬組成物中の濃度が約1%〜約5%の範囲であるTHESIT(登録商標)を含む。キットはさらに、凍結乾燥したルシフェラーゼ、好ましくは配列番号1、2、3または4、最も好ましくは配列番号2または4の配列を有するルシフェラーゼを含む別個の容器を含む。好ましくは、緩衝界面活性剤溶液と組み合わさって試薬組成物となるルシフェラーゼは、1μg/ml以上の濃度、より好ましくは80μg/ml以上の濃度である。好ましくは、凍結乾燥したルシフェラーゼを含む容器はさらに、凍結乾燥したルシフェリンを含む。任意選択で、キットはさらに、ATPを測定する目的でキットを使用するための指示書を含む。
[発明の詳細な説明]
本発明は、ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ基質、および1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤を含む、安定性の高い特性を有する組成物を提供する。本発明はさらに、トランスフェラーゼの阻害工程ならびにルシフェラーゼおよび基質の添加工程を単一工程とし、同工程に続いて生じた発光を検出することでATPを検出することにより、上記の新規組成物を使用して試料中のトランスフェラーゼ活性を測定する方法を提供する。好ましくは、本発明の組成物と試料との組合せから生じる発光は、持続期間が長い。すなわち、該発光は組成物を試料と組み合わせた直後の発光に対して、1時間当たり約50%未満しか減少しない。本発明の処理方法は、ルシフェラーゼを添加する前にトランスフェラーゼ活性を別個に阻害する必要性を排除することにより、試料中のトランスフェラーゼ活性のルシフェラーゼによる検出の時間と労力を有意に減少させる。
現在使用されているキナーゼ検出方法には変法が複数存在し、それらはすべて、段階的様式で行われる。そのような方法のあるものは、試料に内在するトランスフェラーゼ活性を(例えば、試料pHを高めることにより)不活性化し、続いてトランスフェラーゼクエンチング剤を中和することにより、試料の環境をトランスフェラーゼ阻害に好都合かつルシフェラーゼ活性に不都合な環境からルシフェラーゼ活性に好都合な環境に変換した後、ルシフェラーゼを添加して発光を測定するものもある。試料の環境をルシフェラーゼ酵素の添加と同時にルシフェラーゼ活性に好都合なものに変換する、類似の方法が存在する。同一の環境において内在性のトランスフェラーゼ活性を不活性化し、かつルシフェラーゼ活性を許容することが可能な組成物または方法を提供するATP検出系は存在しない。また、同一の環境において細胞を溶解するか、または細胞ATPを抽出し、試料に内在するトランスフェラーゼ活性を阻害し、かつルシフェラーゼ活性を許容することが可能な組成物または方法を提供するATP検出系は存在しない。したがって、ATPを検出するために発光を使用する現行のアッセイは、時間を消費する一連の工程を必要とするという点で不利な立場にある。
好ましい実施形態では、本発明は、発光測定の前の、試料中のキナーゼ活性を測定するために必要な操作を単一工程に減少させる。本発明の単一工程の方法では、ATP依存性の生物発光酵素(例えば、ルシフェラーゼ)の必須の構成成分のすべて(例えば、生物発光酵素、発光原性基質およびトランスフェラーゼクエンチング剤)が試薬組成物内に含まれており、一度に試料に添加される。幾つかの実施形態では、試薬組成物の構成成分は、酵素安定化剤である。
A.定義
別記しない限り、技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。引用する特許および刊行物はすべて、別記しない限り、その全体が参照により本明細書に援用される。
遺伝学に関するデメレク(Demerec )他(1966)の用語法の推奨が、本明細書中に適応される。遺伝子(および関連核酸)と該遺伝子がコードするタンパク質とを区別するために、遺伝子に関する略記は、イタリック体の(または下線を付した)文字で示すのに対して、タンパク質に関する略記は、大文字で始め、イタリック体としない。したがって、lucまたはLucは、ルシフェラーゼポリペプチドすなわちLucをコードするルシフェラーゼヌクレオチド配列を指す。
「単離」または「精製」ルシフェラーゼとは、同定され、その自然環境の構成成分から分離および/または回収されたルシフェラーゼである。
本明細書中で使用する場合の「試料」という用語は、その最も広い意味で使用される。試料は、本発明を用いて分析されるトランスフェラーゼ活性を有する可能性がある組成物である。試料は、任意選択で増殖培地または細胞溶解物中にトランスフェラーゼ活性を含有することが既知であるか、またはトランスフェラーゼ活性を含有する可能性があることが多いが、試料はまた、トランスフェラーゼ活性を含有する可能性がある固体表面(例えば、スワブ、膜、フィルター、粒子)であってもよい。かかる固体試料に関しては、該固体を本発明の試薬組成物に、あるいは本発明の試薬組成物が添加される別の水溶液に添加することにより、水性試料が作製される。
本明細書中で使用する場合、「検出」という用語は、試料中の構成成分の有無を定量的または定性的に決定することを指す。
「アミノ酸配列同一性の割合(%)」は、2つの配列を最適に整列させたときに、重なり合う領域において一方の配列中のアミノ酸残基が第2の配列中のアミノ酸残基に同一である割合として定義される。アミノ酸配列同一性の割合を決定するために、配列を局所的に整列させて、必要であればギャップを導入して配列同一性の割合を最大にする。保存的置換は、配列同一性を算出する場合には計数されない。同一性の割合を決定するためのアミノ酸配列の整列(アラインメント)の手法は、当業者に既知である。BLASTソフトウェア(NCBI:www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/ )のような公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、ペプチド配列を整列させる。当業者であれば、2つのアミノ酸配列を最適に整列させるのに必要とされる任意のアルゴリズムおよびパラメータを含む、アラインメントを測定するための適切なアルゴリズムおよびパラメータを決定することができる。
アミノ酸配列を整列させたならば、あるアミノ酸配列Aの、あるアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性の割合(あるアミノ酸配列Aが、あるアミノ酸配列Bに対してある特定の割合(%)のアミノ酸配列同一性を有するか、あるいは含む、と言い換えることもできる)は、以下:
アミノ酸配列同一性(%)=(X/Y)・100
(ここで、Xは、配列アラインメントプログラムまたはアルゴリズムによるAとBの最適なアラインメントにおいて一致するものとしてスコア付けされたアミノ酸残基数であり、Yは、整列させたアミノ酸位置の総数である)
のように算出することができる。
本明細書中で使用する場合、「発光」という用語は、生物発光(すなわち、生物により生じる光)、化学発光(化学反応が進行した場合に生じる光)、および電気化学発光を包含する。関与する酵素が、光を発生する目的で自然選択により生物において進化してきたか、あるいは関与する酵素が、かかる酵素の突然変異誘導体である場合、発光反応は、「生物発光反応」とも呼ばれ、関与する酵素は、「生物発光酵素」とも呼ばれる。生物発光酵素の例としては、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、ウミボタルルシフェラーゼ、エクオリン発光タンパク質、オベリン発光タンパク質等が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用する場合「発光原性分子」という用語は、化学または生化学反応により光を創出することが可能な分子(例えば、ルシフェリン、セレンテラジン、またはそれらの機能性類縁体)を指す。概して、発光原性分子は、高エネルギー分子種(例えば、安定化ジオキセタン)であるか、あるいは化学反応により高エネルギー分子種に転換されるかのいずれかである。化学反応は通常、酸素、スーパーオキシドまたはペルオキシドによる酸化である。各場合において、発光原性分子内のエネルギーが、化学反応により放出さ
れる。このエネルギーの少なくとも一部は光の光子として放出されるが、エネルギーは、熱など他の形態でも放出され得る。光を生じない発光原性分子は、多くの場合「ダークパスウェイ(dark pathways )」と称される代替様式によりそれらのエネルギーを分散する。
本明細書中で使用する場合「ルシフェリン誘導体」という用語は、D−ルシフェリンの実質的な構造を有する発光原性分子または化合物のタイプを指し、ルシフェラーゼ基質である。
本明細書中で使用する場合「トランスフェラーゼ」という用語は、ある分子から別の分子へと、リン酸基、アセチル基またはメチル基のような化学的部分もしくは化学基の転移または除去を触媒する酵素を指す。
「トランスフェラーゼクエンチング剤」という用語は、試料中のトランスフェラーゼ酵素活性を、直接的または間接的な不活性化、阻害、変性あるいは隔絶など(これらに限定されない)任意のメカニズムにより実質的に減少または停止させることが可能である分子、化合物または物質を指す。
B.試薬組成物
本発明の試薬組成物は、1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤、好ましくは界面活性剤、および非内在性のATP依存性生物発光酵素を含み、ここで該組成物は、酵素をトランスフェラーゼクエンチング剤と組み合わせた直後(0〜10分)の酵素活性と比較して、少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間、より好ましくは少なくとも約4時間、少なくとも約30%の酵素活性を維持することが可能であり、かつ、1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤は、トランスフェラーゼクエンチング剤の非存在下での試料に内在するトランスフェラーゼ活性に対して、試料に内在するトランスフェラーゼ活性を総計で少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%、あるいはその中の任意の増分だけ減少させるのに十分な濃度で組成物中に存在する。本発明の好ましい実施形態では、非内在性のATP依存性酵素は、ルシフェラーゼである。
1.ルシフェラーゼ
その触媒生成物に光が含まれるルシフェラーゼ酵素は、感度、すなわち検出可能な生成物を提供し、ATPの容易な測定を可能にする。しかしながら、ATP依存性の任意の発光性酵素を本発明の方法および組成物において使用可能である。
最も基本的なレベルでは、ルシフェラーゼは、その発光を生じる能力により定義される。より具体的には、ルシフェラーゼとは、基質であるルシフェリンの酸化を触媒することによりオキシルシフェリンおよび光子を生じる酵素である。
今日までに、5つの部類のルシフェラーゼが同定されている( ジョーンズ(Jones )他、1999; トムソン(Thomson )他、1997) 。これらのうちで、一般的なホタル(ホタル科(Lampyridae))のルシフェラーゼのような甲虫ルシフェラーゼは、特有の進化的起源を有する独特の部類を形成している( マッケルロイ(McElroy )他、1969; ホワイト(White )他、1969; ホワイト(White )他、1975) 。甲虫ルシフェラーゼは、文献中ではホタルルシフェラーゼと称されることが多いが、ホタルルシフェラーゼは実際には甲虫ルシフェラーゼ類の亜群である。甲虫ルシフェラーゼは、甲虫自体のランタンから、あるいは当該技術分野で既知のタンパク質発現系から精製され得る( ボールドウィン(Baldwin )およびグリーン(Green )、2000;ベニー(Beny)およびドリボ(Dolivo)、1976;ブランキーニ(Branchini )他、1980;フィリッポバ(Filippova )他、1989) 。
甲虫ルシフェラーゼ、特に北アメリカホタルのフォチナス・ピラリス(Photinus pyralis)が当該技術分野で知られている。P.ピラリスのルシフェラーゼ(LucPpy)は、遺伝子のヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質から算出する場合、Mが61kDaでおよそ550個のアミノ酸から構成されている。しかしながら、フォツリス・ペンシルバニカ(Photuris pennsylvanica)ホタルルシフェラーゼ(LucPpe2;545アミノ酸;GenBank 2190534( イ(Ye)他、1997) )のような他のホタルルシフェラーゼが望ましい。LucPpe2に由来する突然変異ルシフェラーゼ(例えば、LucPpe2m78(78−0B10としても知られる)、配列番号1;LucPpe2m90(90−1B5としても知られる)、配列番号2;LucPpe2m133(133−1B2としても知られる)、配列番号3;LucPpe2m146(146−1H2としても知られる)、配列番号4)が好ましいが、本明細書中に記載する限定を満たす任意のルシフェラーゼを、本発明の組成物、方法およびキットで使用可能である。LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133、およびLucPpe2m146を作製する方法は、PCT/US99/30925に開示されている。
本発明においては一般に単離および/または精製されたルシフェラーゼが用いられる。ルシフェラーゼの自然環境由来の混入成分は、ルシフェラーゼに関する診断または治療上の用途を通常妨害すると思われる物質であり、酵素、ホルモンおよび他のタンパク質様または非タンパク質様物質が挙げられるであろう。純度を確認するための一技法は、クマシーブルー染色または銀染色を用いて非還元あるいは還元条件下でSDS−PAGE分析を適用することである。単離ルシフェラーゼには、組換え細胞内にあるままの状態のルシフェラーゼが含まれる。というのも、ルシフェラーゼの自然環境の構成成分のうち少なくとも1つは存在しないと思われるからである。ルシフェラーゼは、ルシフェラーゼを産生する生物学的検体から、または所望のルシフェラーゼをコードする外来ポリヌクレオチド(例えば、78−0B10、90−1B5、133−1B2、または146−1H2をコードするヌクレオチド(それぞれ、配列番号5〜8))を発現する細胞から単離することができる。かかる技法は、当該技術分野で既知である。
天然に存在する甲虫ルシフェラーゼの基質は、ホタルルシフェリン、すなわち多環複素環式有機酸であるD‐(−)‐2‐(6’‐ヒドロキシ‐2’‐ベンゾチアゾリル)‐Δ‐チアゾリン‐4‐カルボン酸(ルシフェリン)である。ルシフェリンは、天然物から(例えば、ホタルから)単離してもよいし、または合成してもよい。合成ルシフェリンは、天然に存在するルシフェリンと同じ構造を有していてもよいし、または類似の機能を有する限りは誘導体化してもよい( ボーイ(Bowie )他、1973; ブランキーニ(Branchini )、2000; クレイグ(Craig )他、1991; ミスカ(Miska )およびガイガー(Geiger)、19 87; ヤン(Yang)およびトマソン(Thomason)、1993) 。ルシフェリンの誘導体の例
としては、D‐ルシフェリンメチルエステル、D‐ルシフェリル‐L‐フェニルアラニン、D‐ルシフェリル‐L‐Nα‐アルギニン、D‐ルシフェリン‐O‐硫酸、およびD‐ルシフェリン‐O‐リン酸( ミスカ(Miska )およびガイガー(Geiger)、1987) 、試料中の構成成分により加水分解またはエステラーゼ作用を受けてルシフェリンになるルシフェラーゼのエステル( クレイグ(Craig )他、1991; ヤング(Yang)およびトマソン(Thomason)、1993) が挙げられる。有用なルシフェリン類縁体の他の例としては、ナフチルルシフェリンおよびキノリルルシフェリンが挙げられるが、これらは、それぞれ緑色および赤色のスペクトルの光を放出する( ブランキーニ(Branchini )、1989) 。ルシフェリンの商業的供給元は複数存在する(例えば、米国ウィスコンシン州マディソン所在のプロメガ株式会社(Promega Corp. );米国オレゴン州ユージーン所在のモレキュラー・プローブス(Molecular Probes))。
甲虫ルシフェラーゼに触媒される発光反応(ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応)には
、ホタルルシフェリン、アデノシン三リン酸(ATP)、マグネシウムおよび分子状酸素が関与する。初期反応では、ホタルルシフェリンおよびATPが反応して、無機ピロリン酸塩が放出されてルシフェリルアデニル酸を形成する。ルシフェリルアデニル酸は、ルシフェラーゼの触媒部位にしっかりと結合されたままである。この形態の同酵素が分子状酸素に暴露されると、酵素に結合しているルシフェリルアデニル酸が酸化されて、電気的に励起状態のオキシルシフェリンを生じる。励起状態の酸化ルシフェリンは、基底状態に戻る際に光を放出する。
Figure 0005155515
この反応におけるATPの機能は、ATP類縁体(例えば、dATP)により実施され得ると考えられる。同様に、他のイオン(例えば、Mn2+またはCa2+)がマグネシウムイオンの代替物として作用しうると考えられる。さらに、酸素がこの反応の反応物であるので、この反応を嫌気性条件下で実施するべきではない。しかしながら、一般に、本発明を実施する際に、空気中に存在する酸素に加えて酸素を供給する必要はない。反応溶液中に十分な酸素が存在する場合、反応を密閉容器中で行うことができる。
たいていのルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応は、短命の光の閃光を発生する。しかしながら、本発明の条件下で本発明に使用するのに好ましい幾つかのルシフェラーゼ(例えば、LucPpe2m146およびLucPpe2m90ルシフェラーゼ)は、試薬組成物を試料と合わせた後、1時間当たりの発光の損失が50%未満の、「グロータイプ」の発光シグナルを生じる。
本発明の試薬組成物中で使用する場合に発光を生じる能力を保持し、かつ試薬組成物が本発明の安定性要件を満たすのを妨害しない任意のルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ変異体、ルシフェラーゼフラグメント、または変異ルシフェラーゼフラグメントを本発明で使用することができる。
完全長のルシフェラーゼ変異体は、天然の配列を有する完全長ルシフェラーゼ配列と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97
%、98%のアミノ酸配列同一性、最も好ましくは少なくとも約99%アミノ酸配列同一性を有し、発光を生じる能力を保持するものであろう。通常、変異ルシフェラーゼフラグメントは、長さが少なくとも約50アミノ酸、多くの場合、長さが少なくとも約60アミノ酸、より多くの場合、長さが少なくとも約70、80、90、100、150、200、300、400、500または550アミノ酸またはそれ以上であり、発光を生じる能力を保持している。ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼフラグメント、ルシフェラーゼ変異体または変異ルシフェラーゼフラグメントを、他の非ルシフェラーゼアミノ酸配列と融合させ、かつ本発明における機能を維持した状態にしてもよい。
本発明の組成物および方法において使用される完全長の甲虫ルシフェラーゼ、甲虫ルシフェラーゼのフラグメント、甲虫ルシフェラーゼの変異体、および甲虫ルシフェラーゼ酵素の変異フラグメントは、天然の供給源から精製してもよいし、あるいは(1)化学合成、(2)ルシフェラーゼの酵素(プロテアーゼ)消化、および(3)組換えDNA法を含む複数の技法により調製してもよい。化学合成法は、特異的部位を切断するためにプロテアーゼを使用する方法のように、当該技術分野で既知である。ルシフェラーゼタンパク質のセグメントを産生するために、ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼ変異体を作製した後、大腸菌のような宿主生物中で発現させることができる。当業者には、エンドヌクレアーゼ消化またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような方法により、特定のフラグメントを無制限に作製することが可能である。好ましくは、ルシフェラーゼフラグメントは、天然のルシフェラーゼと少なくとも1つの生物活性ならびに触媒活性を共有するが、活性のレベルは天然のルシフェラーゼのレベルとは異なっていてもよい。
任意のタイプのアミノ酸置換、挿入または欠失、あるいはそれらの組合せを用いて、変異ルシフェラーゼを生成し得る。しかしながら、保存的アミノ酸置換を有するルシフェラーゼは、活性を保持している可能性がより高い。有用な保存的置換を表Aの「好ましい置換」に示す。ある種類のアミノ酸を同じタイプの別のアミノ酸で置き換える保存的置換は、その置換によりルシフェラーゼ活性が損なわれない場合、本発明の範囲内にある。
Figure 0005155515
(1)β‐シートまたはα‐ヘリックス構造のようなポリペプチド骨格の構造、(2)電荷または(3)疎水性、あるいは(4)標的部位の側鎖の嵩高さに影響を及ぼす非保存的置換は、ルシフェラーゼ機能を変えるおそれがある。残基は、表Bに示されるように、側鎖の一般的な特性に基づいた群に類別される。非保存的置換には、これらの群のうちの1つに属するあるものを、別の群に変更することを伴う。
Figure 0005155515
変異ルシフェラーゼ遺伝子または遺伝子フラグメントは、オリゴヌクレオチドを介した(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャニング、およびPCR突然変異誘発などの当該技術分野で既知の方法を用いて作製することができる。部位特異的突然変異誘発( カーター(Carter)、1986; ゾラー(Zoller)およびスミス(Smith )、1987) 、カセット突然変異誘発、制限選択突然変異誘発(restriction selection mutagenesis;ウェルズ(Wells )他、1985) または他の既知の技法を、クローニングしたDNAに実施して、ルシ
フェラーゼ変異体のDNAを産生することができる( オーズベル(Ausubel )他、1987; サンブルック(Sambrook)、1989) 。
2.好ましいルシフェラーゼ
本発明の好ましいルシフェラーゼは、ATPに依存し、かつ光子を放出する触媒活性を有する。本発明の好ましいルシフェラーゼは、トランスフェラーゼクエンチング剤の存在下で、同じ反応条件におけるP.ピラリスのルシフェラーゼ(LucPpy)の化学的安定性レベルに対して、高い化学的安定性を有する。本発明の組成物および方法で使用する好ましいルシフェラーゼは安定なシグナルを生じる。すなわち該ルシフェラーゼは、ルシフェラーゼ反応が開始された時点の発光に対して、1時間当たりの発光の損失が50%未満と定義されるように、ルシフェラーゼ反応における発光の持続期間が長い。本発明の好ましいルシフェラーゼは、ルシフェラーゼをトランスフェラーゼクエンチング剤と合わせた1時間後、より好ましくは2時間後、最も好ましくは4時間以上後に、長期間にわたって試料を複数回分析すること、または長期間にわたって多くの試料を分析することを可能にする。任意選択で、本発明の組成物および方法で使用されるルシフェラーゼは、高い熱安定性を有していてもよい。好ましいルシフェラーゼの例は、LucPpe2m146(配列番号4)である。本発明で有用な酵素のさらなる例としては、LucPpe2m78(配列番号1)、LucPpe2m90(配列番号2)およびLucPpe2m133(配列番号3)が挙げられるが、これらに限定されない。
例示したルシフェラーゼ、LucPpe2m78(配列番号1)、LucPpe2m90(配列番号2)、LucPpe2m133(配列番号3)およびLucPpe2m146(配列番号4)は、P.ペンシルバニカの突然変異体(T249M)から生成された。このタンパク質をコードする核酸配列を、回帰的突然変異誘発(recursive mutagenesis )などの突然変異誘発法に供し、続いて熱安定性、シグナル安定性および基質結合に関してスクリーニングしたが、ウッド(Wood)およびホール(Hall)の文献(国際公開第9914336号パンフレット、1999年)に十分に記載されている。
(化学的安定性)
本明細書中で使用する場合、「化学的に安定なルシフェラーゼ」とは、一般にトランスフェラーゼを阻害し、かつLucPpyのような化学的に安定ではないルシフェラーゼの機能を妨害する化合物の存在下または条件下で、活性を保持するルシフェラーゼを定義する。上記のように特定されるルシフェラーゼの例[(LucPpe2m78(配列番号1)、LucPpe2m90(配列番号2)、LucPpe2m133(配列番号3)およびLucPpe2m146(配列番号4)]は、トランスフェラーゼクエンチング剤に対して高い化学的安定性を有することが、本明細書に示されている。
したがって、好ましいルシフェラーゼとしては、トランスフェラーゼクエンチング剤の非存在下での試料に内在するトランスフェラーゼ活性に対して、全体として少なくとも約25%(好ましくは、少なくとも約30%、さらにより好ましくは少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%またはこの中での任意の増分)の割合で、同試料のトランスフェラーゼ活性を減少させるのに十分な量のトランスフェラーゼクエンチング剤、好ましくは界面活性剤、例えば陽イオン性界面活性剤(好ましくは、DTABまたはBDDABr)、陰イオン性界面活性剤(好ましくは、デオキシコール酸塩またはSDS)または両性イオン性界面活性剤(好ましくは、スルホベタイン3−10)またはそれらの組合せと接触させてから、少なくとも1時間(好ましくは少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも4時間)後に、発光により測定される場合に少なくとも約30%(好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%)の酵素活性を維持するルシフェラーゼが挙げられる。
酵素の化学的安定性を、長期間にわたるその活性の減衰の割合により示すことも可能である。例えば、トランスフェラーゼクエンチング剤およびルシフェラーゼを混合することにより試薬組成物を創出した直後(0〜10分)、続く幾つかの時点において、試薬組成物を分割した一部を試料に添加し、その直後に相対発光量(rlu)測定値を得る。これらの測定値をグラフにして、長期間にわたる試薬組成物中の酵素活性の減衰の動向を決定し得る。
化学的に安定な好ましいルシフェラーゼ(例えば、Ppe2m78、Ppe2m90、Ppe2m133、およびPpe2m146)はまた、複数の界面活性剤を含む溶液中でも活性を保持する。具体的には、少なくとも0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、最も好ましくは0.3%または1.0%のBDDABr、タウロコール酸もしくはタウロリトコール酸、またはDTABとともに、0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、最も好ましくは0.25%のCHAPS(3‐([3‐コラミドプロピル]ジメチルアンモニオ)‐1‐プロパンスルホネート)を含有する溶液、あるいは少なくとも0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、最も好ましくは0.3%または1.0%のBDDABr、DTABまたはCHAPSとともに、0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、最も好ましくは1.0%のタウロコール酸またはタウロリトコール酸を含有する溶液である。複数の界面活性剤を含む他の溶液で、その中でLucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133およびLucPpe2m146が活性を保持するものとしては、少なくとも0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、最も好ましくは1.0%のBDDABr、DTAB、またはCHAPSを含む0.01%、好ましくは0.05%、最も好ましくは0.1%のTRITON X‐100溶液、あるいは少なくとも0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、最も好ましくは0.3%または1.0%のBDDABr、DTAB、またはCHAPSを含む0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、最も好ましくは1.0%のタウロコール酸またはタウロリトコール酸溶液、あるいは少なくとも0.05%、好ましくは0.1%、0.2%、最も好ましくは0.3%または1.0%のBDDABr、DTAB、またはCHAPSを含む0.05%、0.1%、2.0%、4.0%、好ましくは2%のポリエチレングリコール400ドデシルエーテル(THESIT)溶液が挙げられる。
(熱安定性)
幾つかの実施形態では、発光を生じる熱に安定なルシフェラーゼ、または検出可能なシグナルを生じる熱に安定な他のATP依存性酵素は、特にATP検出の直前に熱で処理される試料において望ましい。熱に安定なポリペプチドは、他のタンパク質が不活性化または変性する温度で活性状態のままである。LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133およびLucPpem146酵素は、天然に見出されるか、または天然物から単離されるポリヌクレオチドにコードされるルシフェラーゼと比較して、高い熱安定性を示す。
(シグナル安定性)
本発明の組成物および方法で使用する好ましいルシフェラーゼは、安定なシグナルを生じる。すなわち、かかるルシフェラーゼは、ルシフェラーゼ反応で使用する場合に、ルシフェラーゼ反応を開始した時点での発光に対して、1時間当たりの発光の損失が50%未満と定義される高い持続期間を有する発光を生じる。この特性をシグナル安定性と称する。本発明の好ましいルシフェラーゼにより、ルシフェラーゼをトランスフェラーゼクエンチング剤と組み合わせた少なくとも1時間後、より好ましくは少なくとも2時間後、最も
好ましくは少なくとも4時間以上後に、長期間にわたり試料を複数回分析することや長期間にわたり多くの試料を分析することが可能になる。試料中に存在するATPの量を安定化するトランスフェラーゼクエンチング剤(および、任意選択でキナーゼ阻害剤)の存在下でルシフェラーゼが持続期間の長い発光を生じることが可能であるような、試薬組成物におけるルシフェラーゼおよびトランスフェラーゼクエンチング剤の組合せは、長期間にわたりATPを検出および定量化する信頼性が高くかつ効率的な方法をもたらす。
3.他の望ましいルシフェラーゼ
ATP依存性の様式で基質の酸化時に光子を放出し、かつ化学的に安定である、すなわち本発明のトランスフェラーゼクエンチング剤の存在下で活性を保持する任意のルシフェラーゼ、ルシフェラーゼフラグメント、またはそれらの変異体が本発明で使用され得る。望ましいが必須ではない他の特性(例えば、熱安定性およびシグナル安定性)も意図される。さらに、ルシフェラーゼを別のアミノ酸配列に融合させて、本発明における機能は維持するようにしてもよい。かかる酵素は、in vitroで合成してもよいし、他の生物から単離してもよい。
他のルシフェラーゼは、細菌、単細胞藻類、腔腸動物門、甲虫(P.ペンシルバニカ以外)、魚類および他の生物において見出される。化学的には、ルシフェラーゼはすべて、分子状酸素と種々のルシフェリンとの発エルゴン反応に関与し、光子発生をもたらす( ヘースティングス(Hastings)、1996; ヘースティングス(Hastings)およびウィルソン(Wilson)、1976; ウィルソン(Wilson)およびヘースティングス(Hastings)、1998; ウッド(Wood)他、1989) 。好ましくは、他のルシフェラーゼがルシフェリンの酸化に関してATPに依存性であるか、あるいは、生物発光発生がATPに依存するように反応条件を操作すべきである。当業者であれば、ルシフェラーゼルシフェリン反応に関するATP依存性を確認することができる。
甲虫由来のルシフェラーゼ以外のルシフェラーゼを使用するには、酸化時に、化学的かつ電気的に不安定な中間体または検出可能な酵素産物を生成する適切なルシフェリン分子を必要とする。他の基質、ならびに検出可能な酵素産物を産生する他のATP依存性酵素を使用してもよい。検出可能な産物としては、光子、放射性標識産物、不溶性または可溶性のクロモゲン、あるいは視覚的にまたは装置を使用して検出することができる他の産物が挙げられる。
C.キット
本発明がキットとして供給される場合、組成物の種々の構成成分を別個の容器に包装して使用前に混合すればよい。構成成分をこのように個別に包装することにより、ルシフェラーゼ−ルシフェリン活性を損失せずに長期間保管することが可能になる。しかしながら、キットの各種パーツを混合することにより「試薬組成物」を形成する場合、試薬組成物は、ルシフェラーゼ(配列番号1〜4に例示されるが、これらに限定されない)、および1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤を含み、ここで試薬組成物の活性は、安定性が高く[すなわち、試薬組成物が、(試薬組成物を試料と組み合わせる際の発光による測定される場合)、試薬組成物の活性が最初に創出される際、すなわち、ルシフェラーゼ酵素を最初にトランスフェラーゼクエンチング剤と組み合わせた0〜10分後の試薬組成物の活性に対して、少なくとも1時間、少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約60%の活性を維持すること、さらにより好ましくは、少なくとも1時間、さらに好ましくは少なくとも2時間、さらにより好ましくは少なくとも4時間、少なくとも70%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上の活性を維持することが可能である]、かつトランスフェラーゼクエンチング剤は、トランスフェラーゼクエンチング剤の非存在下で試料に内在するトランスフェラーゼ活性に対して、少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、さらにより好ましくは少なくとも約40%、50%
、60%、70%、80%、90%、95%または99%、あるいはそれ以上、同トランスフェラーゼ活性を減少させるのに十分な濃度で試薬組成物中に存在する。操作用資料、ならびに標準物質または対照としての役割を果たし得る物質もまた、キットの目的に応じて、キット中に納められてもよい。
1.試薬組成物
好ましい一実施形態では、本発明の試薬組成物の構成成分は、使用直前に混合される2つのパーツ、すなわち(1)ルシフェラーゼを含むパーツ、および(2)1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤を含むパーツとして供給することができる。かかる実施形態の例を表Cに示し、その他は実施例に示している。ルシフェラーゼ構成成分は、ルシフェリンをさらに含んでもよく、好ましくは凍結乾燥物とする。ルシフェラーゼ構成成分は任意選択で、凍結乾燥用の賦形剤、タンパク質(ルシフェラーゼ)安定化剤、マグネシウム(または代替の陽イオン)、およびマグネシウムキレート剤(または代替の陽イオンキレート剤)を含む。トランスフェラーゼクエンチング剤構成成分は、緩衝液、二価陽イオン金属キレート剤、マグネシウム(または代替の陽イオン)、消泡剤、および酵素安定化剤(例えば、THESIT)をさらに含んでもよい。本発明の種々の構成成分は、これらのパーツのサブセットを含んでもよく、本発明の適用を容易にするか、または保管寿命を延長させる任意の様式で組み合わせることができる。
Figure 0005155515
2.ルシフェラーゼ‐ルシフェリン構成成分
ATP依存性反応を触媒し、かつ発光を発生するルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ変異体、ルシフェラーゼフラグメントおよび変異ルシフェラーゼフラグメントはすべて、本発明で使用することが意図される。一部の実施形態には、ルシフェリンを含めず、例えば、使用者が、使用者の選択したルシフェリンを供給できるようにするか、あるいはルシフェリンを別個に提供してもよい。提供されるルシフェリンのタイプは様々であり得るが、提供されるルシフェラーゼのタイプに合った基質でなくてはならない。
一実施形態では、キットは、無水調製物としてルシフェラーゼを供給する。ルシフェラーゼの無水調製物を凍結乾燥してもよいが、その場合水分を真空下で除去するか、凍結して乾燥させるか、結晶化するか、あるいはルシフェラーゼを不活性化しない任意の他の方法により水分を除去する。調製物の嵩を増し、かつルシフェラーゼを安定化する賦形剤、
例えば血清アルブミンまたはPrionex(登録商標)を含めうる。他の実施形態では、ルシフェラーゼを、グリセロールを含む水性組成物または酵素が安定である他の溶媒中に懸濁させてもよい。当業者であれば、本発明の組成物および方法において作用する各種成分の量を容易に決定することができる。
3.トランスフェラーゼクエンチング剤構成成分
好ましい一実施形態では、キットは、溶液中に1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤と、任意選択で緩衝液、消泡剤、酵素安定化剤等のような他の機能的構成成分を含有する構成成分を含む。この構成成分は、実操作用の溶液として供給されてもよいし、濃縮物として供給されてもよい。トランスフェラーゼクエンチング剤は、本明細書中で上述した任意のものであってよい。この構成成分は、ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応を妨害する可能性のある金属イオンをキレート化する作用物質(例えば、EDTA、EGTA)、マグネシウム(好ましくは硫酸塩または塩化物のような塩として供給されるもの、あるいは他の機能的に等価な陽イオン)、消泡剤、およびATP生成酵素の阻害剤(例えば、NaF)をさらに含んでもよい。実操作用の溶液のpHを維持する緩衝剤、例えばクエン酸塩またはMES(ナトリウムなどの塩または遊離の酸もしくは塩基として供給すればよい)、あるいは任意の他の適切な緩衝液を使用してもよい。
(トランスフェラーゼクエンチング剤)
本発明の一態様は、トランスフェラーゼクエンチング剤、好ましくはトランスフェラーゼを阻害する界面活性剤、より好ましくは荷電基を有する界面活性剤、例えば、陽イオン性界面活性剤(好ましくは、DTABまたはBDDABr)、陰イオン性界面活性剤(好ましくは、デオキシコール酸塩またはSDS)または両性イオン性界面活性剤(好ましくは、スルホベタイン3‐10)である。かかる阻害剤は、ルシフェラーゼがルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応のために試料中のATPを利用するのが可能となる前に、試料に内在するトランスフェラーゼによりATPがアデノシン二リン酸(ADP)およびアデノシン一リン酸(AMP)へと処理されるのを防止する。トランスフェラーゼクエンチング剤は、直接的または間接的にトランスフェラーゼを不活性化し得る。トランスフェラーゼクエンチング剤は、トランスフェラーゼの活性部位のいずれかに結合することによって基質の結合を防止してもよいし、例えば変性作用を有する界面活性剤などによりトランスフェラーゼを変性させてもよいし、あるいはトランスフェラーゼクエンチング剤がトランスフェラーゼをその基質から選択的に分離してもよい。
本発明の一実施形態は、トランスフェラーゼクエンチング剤として作用するDTABまたはBDDABrのような陽イオン性界面活性剤を使用する。しかしながら、他の陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤(例えば、SDSおよびデオキシコール酸)および両性イオン性界面活性剤(例えば、スルホベタイン3‐10)のような他のトランスフェラーゼクエンチング剤も考えられる。
DTABまたはBDDABrに関して、試薬組成物中の濃度は、好ましくは約0.02%〜約5.0%の範囲であり、より好ましくは約0.05%、さらに好ましくは約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%および1.5%、最も好ましくは試薬組成物中で終濃度約1.0%である。
他の非陽イオン性界面活性剤のトランスフェラーゼクエンチング剤が試薬組成物中に含まれることも考えられるが、該トランスフェラーゼクエンチング剤の要件は、DTABのように、試薬組成物中に存在する場合に、好ましくは試料中の内在性トランスフェラーゼ活性の少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、より好ましくは少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、最も好ましくは100%を阻害し、ここで試薬組成物は、ルシフェラーゼをトランスフェラーゼクエンチング剤と合わせた直後の試薬組成物の活性と比較して、少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間、試薬組成物を試料と組み合わせた後の発光により測定する場合、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、より好ましくは少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、最も好ましくは約100%の活性を維持することが可能である。トランスフェラーゼクエンチング剤として機能する可能性のある安定な非陽イオン性界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤(好ましくは、SDSおよびデオキシコール酸)、両性イオン性界面活性剤(好ましくは、スルホベタイン3‐10)が挙げられる。特定のトランスフェラーゼクエンチング剤の濃度は、使用する阻害剤、および幾分は分析される試料に依存して様々となろう。当業者であれば、試薬組成物
中に含めるのに適したトランスフェラーゼクエンチング剤の濃度を決定する方法に精通しており、例えば、長期間にわたってルシフェリン‐ルシフェラーゼ由来のシグナルを検査して、様々な濃度のトランスフェラーゼクエンチング剤候補を有する試料を、既知のトランスフェラーゼクエンチング剤を含有しない試料と比較してもよい。
トランスフェラーゼクエンチング剤はまた、単独で、あるいは界面活性剤と併用して使用され得るトランスフェラーゼ活性の非界面活性剤系阻害剤を包含する。有効な阻害剤の例は、NaFである( ボスティック(Bostick )他、1982) 。かかる組成物は、少なくとも0.5mM、好ましくは少なくとも1mM、より好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、953、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mMまたはこの中での任意の増分の濃度でNaFを含み、2mMが最も好ましい。ATP生成酵素の他の阻害剤としては、他のキナーゼ阻害剤、例えば、バナジン酸塩、AMP、DAPP( ボスティック(Bostick )他、1982) 、ジクロロ酢酸( キークル(Kiechle )他、1980) 、スタウロスポリン、UCN−01、およびカルフォスチンC( タマオキ(Tamaoki )、199 1) が挙げられる。一般に、任意の
適切な非界面活性剤系阻害剤は、トランスフェラーゼクエンチング剤として、および本発明の有用性をなくすような不都合な影響をルシフェラーゼに及ぼさない限りにおいて任意の適切な濃度で使用してもよい。当業者であれば、阻害剤が新規であろうと、既知であろうと、かかる阻害剤の適切な濃度を決定する方法がわかるであろう。
本発明の方法において機能的なトランスフェラーゼクエンチング剤に関する最も好ましい濃度、さらに濃度範囲は、種々のクエンチング剤に関して多様であることが十分理解されよう。例えば、本発明の方法で機能的なSDS界面活性剤濃度は、約0.002%である。例えば、2001年3月9日に出願された「ATPの検出方法(METHOD FOR DETECTION OF
ATP) 」という表題のUS20030104507A1として公開された米国特許出願第09/813,279号(これは、その全体が参照により本明細書に援用される)における実施例および3を参照されたい。本発明で使用する界面活性剤および/または非界面活性剤系阻害剤に関する機能的濃度範囲は、本明細書中に開示する方法を用いて当業者により容易に決定され得る。
本発明で有用なある濃度のあるトランスフェラーゼクエンチング剤は、水性溶液中に不溶であってもよいし、あるいは低溶解性でもよい。これらの化合物は、まず有機溶液(例えば、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミド)中に溶解させてから、本発明の組成物および方法で使用するための試薬組成物へと希釈してもよい。
(緩衝液)
実操作用の溶液に適切なpHを維持し、かつルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応を妨害しない任意の緩衝液が意図される。好ましいpH範囲は、約pH4.5〜約pH9.0、より好ましくは約pH6.0〜約8.0である。MESおよびクエン酸緩衝物のほかに、他の緩衝液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス、N‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン‐N’‐(2‐エタンスルホン酸)(HEPES)、ピペラジン‐1,4‐ビス(2‐エタンスルホン酸)(PIPES)、ホウ酸塩、および当業者に既知の他の任意の緩衝液が適切であり得る。適切な緩衝液の選択は、pH緩衝能力およびルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応との相互作用に依存する。
(消泡剤)
消泡剤は、特に発光を定量化する用途において、泡が生物発光の検出を妨害するのを防ぐために望ましい。MAZU(登録商標)のような試薬は、有機性であっても、あるいはシリコーンベースであってもよい。消泡剤の選択は、ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応を妨害せずに泡を排除するそれらの能力に依存する。
(マグネシウム)
甲虫ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応は、ATPだけでなく、マグネシウムイオンにもまた依存性である。ルシフェラーゼ活性を保証するために、マグネシウムを外から供給する。硫酸マグネシウムのほかに、塩化マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、炭酸マグネシウム等のようなマグネシウムの他の塩が考えられる。いずれの場合にも、マグネシウム錯体は、Mg2+イオンがルシフェラーゼに利用可能となるように解離しなくてはならず、ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応を妨害してはならない。当業者であれば、他の陽イオンがマグネシウムに代わって機能し得ることを認識するであろう。これらの陽イオンとしては、カルシウムおよびマンガンが挙げられる。
(安定化剤)
非イオン性界面活性剤および低濃度の両性イオン性界面活性剤の作用に対して耐性である( シンプソン(Simpson )およびハモンド(Hammond )、1991) のに対して、天然のホタルルシフェラーゼは、陽イオン性界面活性剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、CTAB(セチルトリメチルアンモニウム)、DTAB(臭化ドデシルトリメチルアンモニウム)、および塩化メチルベンゼトニウムにより不活性化される( シンプソン(Simpson )およびハモンド(Hammond )、1991) 。
安定化剤は、ルシフェラーゼを分解から安定化する任意の化合物であり得る。適切な安定化剤としては、タンパク質(例えば、ウシ血清アルブミンまたはゼラチン)または界面活性剤(好ましくは、非イオン性界面活性剤、最も好ましくはTHESIT)が挙げられる。
(他の試薬)
キット中に包含され得る他の試薬としては、ルシフェラーゼ反応に起因する発光の持続期間を高めることが知られている物質、例えば、補酵素A(CoA)、チオール試薬(例えば、ジチオスレイトールおよびβメルカプトエタノール)(ウッド(Wood)、米国特許第5,283,179号、1994年;ウッド(Wood)、米国特許第5,650,289号、1997年)、シグナルを延長させるための金属イオンキレート剤(例えば、EDTA)およびプロテアーゼ阻害剤(シェイラー(Scheirer)、米国特許第5,618,682号、1997年;シェイラー(Scheirer)、米国特許第5,866,348号、199
9年)、あるいは高濃度の塩(バン・ルーン(Van Lune)およびトレル・ウィール(Trer
Wiel )、国際公開第00/18953号パンフレット、2000年)が挙げられる。
(他のキット内容物)
キットはまた、特定の試験(例えば、細胞生存率、細胞毒性、細胞増殖、またはATP濃度の決定)の実行を容易とする別個の容器に入った試薬を含んでもよい。例えば、標準曲線を決定するため、または内部対照として使用できるようにATPを供給してもよい。トランスフェラーゼ阻害剤または活性化剤であることが既知である物質を、トランスフェラーゼ活性の検出において陽性対照として使用するために、あるいはトランスフェラーゼ活性に対する化合物の影響を測定するために含めることもできる。キットが、マルチウェルプレートおよび/または1つ以上のトランスフェラーゼ酵素を供給してもよい。キットは、任意選択でトランスフェラーゼの基質、緩衝剤およびトランスフェラーゼの活性化補助因子を含んでもよい。
4.容器またはうつわ
キットに含まれる試薬は、種々の構成成分の寿命が維持され、かつ容器の材料により吸着または変更されないような任意の種類の容器に入れて供給することができる。例えば、密封ガラスアンプルに、中性の非反応性ガス(例えば、窒素)下で包装された凍結乾燥ルシフェラーゼまたは緩衝液を含めてもよい。アンプルは、ガラス、有機ポリマー(例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン等)、セラミック、金属または試薬を保持するのに通常使用される任意の他の材料のような任意の適切な材料から構成され得る。適切な容器の他の例としては、アンプルと同様の物質から製造され得る簡単な瓶、ならびにアルミニウムまたは合金などの箔で内部が裏打ちされていてもよい包装材料が挙げられる。他の容器としては、試験管、バイアル、フラスコ、瓶、シリンジ等が挙げられる。容器は、皮下注射針で突き刺すことができるストッパーを有する瓶のような滅菌アクセス口を有していてもよい。他の容器は、除去して構成成分を混合させることができる、容易に除去可能な膜により隔てられた2つの区画を有してもよい。除去可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴム等であり得る。
5.操作用資料
キットを、操作用資料とともに供給することもできる。指示書を、紙または他の物質上に印刷してもよいし、かつ/または電子的に読取り可能な媒体(例えば、フロッピーディスク、CD‐ROM、DVD‐ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープ等)として供給してもよい。詳細な指示書を物理的にキットに付随させなくてもよく、代わって、使用者が、キットの製造業者または販売業者により指定されるインターネットウェブサイトへと案内されてもよいし、あるいは電子メールとして供給されてもよい。好ましい実施形態では、指示書により、使用者は、ルシフェラーゼをトランスフェラーゼクエンチング剤と合わせてから試薬組成物を試料に添加するように指示される。
D.試薬組成物の活性
発光を測定し、それにより試薬組成物の活性を決定するためには、試薬組成物を試料と合わせた後の所定の時点でのルシフェラーゼ反応により生成される相対発光量(rlu)値を測定すればよい。例えば、トランスフェラーゼクエンチング剤を含む構成成分を、ルシフェラーゼを含む構成成分に添加することにより、試薬組成物を創出した直後に(0〜10分)、試薬組成物と組み合わせた既知濃度のATPを有する試料から生じた発光を測定することにより、rlu値を得ることができる。このrlu値を、その条件下での100%の活性(時間0)とみなす。トランスフェラーゼクエンチング剤を含む構成成分を、ルシフェラーゼを含む構成成分と合わせることにより試薬組成物を生成した後、試薬組成物が、好ましくは室温(約20℃〜約25℃)〜約37℃の温度範囲で2時間放置されてから時間0のときのアッセイと同一の条件下で発光が測定され、かつ得られたrlu値が
時間0で得られるrlu値の60%を上回る場合、該試薬組成物は、その活性の少なくとも60%を2時間保持したことになる。
本発明の試薬組成物は、配合されたとき(時間0)、すなわち、トランスフェラーゼクエンチング剤を含む構成成分を、ルシフェラーゼを含む構成成分に添加した時間あるいはその直後(0〜10分後)の同試薬組成物の活性に対して、少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、試薬組成物を試料と合わせた後の発光により測定される場合、その活性の30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはこの中での任意の増分、最も好ましくは100%を保持する。
好ましい一実施形態では、試薬組成物の実操作用ストックは、約0.02%(好ましくは、約0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.5%、9%、9.5%、10%およびこの中の任意の増分、最も好ましくは約1%)の濃度でDTABまたはBDDBrを含み、かつ配合の少なくとも1時間(好ましくは、少なくとも2時間)後に活性の少なくとも約30%(好ましくは、少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%)を保持する。
別の好ましい実施形態では、試薬組成物は、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%もしくは1.0%またはこの中での任意の増分の濃度のスルホベタイン、0.001%、0.002%、0.003%、0.004%もしくは0.005%またはこの中での任意の増分の濃度のSDS、あるいは0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%またはこの中での任意の増分の濃度のデオキシコール酸を含み、かつ配合の少なくとも1時間(好ましくは、少なくとも2時間)後に活性の少なくとも約30%(好ましくは、少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%)を保持する。
E.ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応の産物の検出および定量化
甲虫ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応は、光の発生(「発光」)をもたらす。本発明は、発光を測定することによるATP測定のためのアッセイを提供する。使用者は、単に試料の反応を目で検査して、光の産生を確認してもよい。しかしながら、より高感度の計測により、微光シグナルの検出だけでなく、光シグナルの定量化も可能となる。産物の性質に応じて、光ではない産物が測定される反応も考えられる。ATP測定のためのシグナルを生じるあらゆるアッセイが、本発明の利益を享受し得る。かかる産物に適切な機器および方法は当業者には明らかであろう。
光が検出される場合すべてにおいて、ルミノメータのような特殊な機器により、ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応の光産物を読取ることができる。ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応により放出される波長の光を検出することができる任意の機器を使用可能である。かかる機器は、1つずつ試料を読取ってもよいし、あるいはハイスループットスクリーニングでは、マイクロウェルプレートのウェル(6、24、48、96、384、1536等のウェル形式)に収容された多くの試料を読取ってもよい。明らかに、放出される光を測定するのに使用される装置は、本発明を限定しない。使用することができる他の装置としては、シンチレーションカウンター( グエン(Nguyen)他、1988) または発光に高感度であるように創作または適応させてある機器(例えば、光度計)( ピッチオロ(Picciolo)他、1977) が挙げられる。写真フィルムまたはX線フィルムもまた、発光を検出するのに使用可能である。さらに、使用者が目視で試料を検査して、発光を定性的に評価して
もよい。
F.ATP依存性ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応に関する使用
甲虫ルシフェラーゼ‐ルシフェリン反応はATP依存性であるため、ルシフェラーゼを使用して、ATPに関してアッセイすることができる。反応は非常に高感度であり、10−16モルまたはそれ未満という少量のATPを含有する試料中でATPを検出することが可能である。この感度を利用して、細胞生存率、ならびに外来物質が細胞の代謝および生存率に対して与える影響を理解することができる。細胞に関して述べれば、ATPは、細胞代謝にエネルギーを供給し、ATPの存在は活発に代謝している細胞に関連し、そのような細胞は「生存」している。
本発明は、ルシフェリンを酸化する甲虫ルシフェラーゼのATP依存性を利用し、細胞のATPレベルを効率的かつ正確に検出および定量化するのに使用される方法、組成物ならびにキットに関する。
本発明は、ルシフェラーゼおよび少なくとも1つのトランスフェラーゼクエンチング剤を含む単一組成物(試薬組成物)を試料に添加した後、発光を検出することを含む。任意選択で、キナーゼ阻害剤またはATPの蓄積を防止する化合物が試薬組成物中に存在していてもよい。さらに、細胞溶解剤(例えば、THESITのようなポリオキシエチレン)またはATP抽出剤が組成物中に存在していてもよい。試薬組成物の添加と、続く発光の読取りとを含むこの単一工程は、ATPに関するアッセイにおける大きな向上を表す。
1.ATPの検出
本発明の方法、組成物およびキットは、試料中のATP(またはルシフェラーゼ基質として機能しうるATP類縁体)の簡単な定性的または定量的検出を提供する。好ましい実施形態では、本発明を用いて試料中で発光を生じさせる簡単な定性的実験により、ATPの存在が示される。発光は、LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133またはLucPpe2m146のようなルシフェラーゼ、および1つまたはそれ以上のトランスフェラーゼクエンチング剤を含む試薬組成物を用いて発生させる。さらに、試薬組成物は、1つまたはそれ以上の以下の構成成分、すなわち、ルシフェリン(凍結乾燥させた調製物から再構成させてもよい)(あるいは、適切なルシフェリン類縁体基質)、トランスフェラーゼクエンチング剤(複数可)、キナーゼのようなATP消費酵素の阻害剤(複数可)、二価陽イオン(例えば、マグネシウム)、酵素安定化剤、緩衝剤、細胞溶解剤、細胞ATP抽出剤、または外部から添加されたATPをさらに含んでもよい。
試料は、ATPまたはATP類縁体を含有すると思われる任意のもの、例えば、細胞溶解産物、無傷の細胞、生検材料、食品、飲料、表面(例えば、動物、植物または無生物の表面)上でこすりとったスワブ等であり得る。試料の他の例としては、ATP濃度既知の組成物が挙げられる。細胞または細胞溶解産物は、任意の生物体(原核生物または真核生物)由来であってもよい。原核生物の細胞の例としては、大腸菌(E. coli) 、緑膿菌(P. aeruginosa) 、枯草菌(B. subtilis) およびネズミチフス菌(S. typhimurium)が挙げられる。真核生物の細胞は、植物、動物、真菌、昆虫等、あるいはかかる生物の培養細胞由来であってもよい。例としては、シロイヌナズナ(A. thaliana) およびアブラナ属(Braccica)、コナミドリムシ属(Chlamydomonas) およびボルボックス属(Volvox)の生物種(植物)、ホモサピエンス(H. sapiens)およびハツカネズミ属(Mus) の生物種(動物)、サッカロミセス属(Saccharomyces) (特に、セレビシエ(cerevisiae)およびポンベ(pombe) )およびパンカビ属(Neurospora)の生物種(真菌)、キイロショウジョウバエ(D. melanogaster) および線虫(C. elegans)(昆虫)、任意の植物由来のin vitroで培養したカルス細胞、任意の生物由来のin vitroで培養した一次細胞(例えば、げっ歯類由来
の臓器外植片など)、哺乳類の細胞株(例えば、マディン・ダービィ(Madin-Darby) イヌ腎臓(MDCK)およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)、ならびに昆虫の細胞株(例えば、Z細胞)が挙げられる。これらの例は、単なる例として与えられるものであり、限定することを意味しない。
細胞溶解産物は、もはや認識可能な細胞構築物の原型へと組織化されはしない細胞構成成分を含む。細胞溶解産物は、可溶性構成成分および不溶性構成成分を有してもよく、それらのいずれかを溶解産物を使用する前に除去してもよい。溶解産物は、超音波処理、ダウンス(dounce)型ホモジナイザー、乳鉢と乳棒、凍結融解を繰り返す処理、または細胞の物理的一体性を崩壊する任意の他の装置もしくはプロセスを用いた物理的破壊、あるいはLucPpe2m146がその中で活性を保持する界面活性剤のような界面活性剤(例えば、両性イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、または陽イオン性界面活性剤DTABもしくはCTAB)による溶解を含む任意の手段により調製され得る。好ましくは、細胞溶解産物は、細胞を収集した時点でのATP濃度の完全性が保存されるような方法で調製される。試料中のATPを正確に検出するために、細胞内のATPを分解する酵素またはATPを生成する酵素を阻害することが好ましい。かかる阻害剤の非存在下では、ATP濃度の決定が不正確となるリスクが生じる。DTABのような阻害剤は、トランスフェラーゼを不活性化するのに対して、NaFのような他の分子は、ATPを生成する酵素の活性を不活性化する。NaFが有効である細胞種(例えば、リンパ系細胞)にとって、NaFはキナーゼ(複数可)を阻害するように作用する可能性が仮定されているが、十分に理解はされていない。
2.ATPの定量化
本発明の組成物、方法およびキットは、使用者が発光量を定量化することにより試料中のATP量を定量化するのを可能にする。本発明を、目的の試料と、また既知量のATPを含有する試料(対照)とに適用する。本発明をATP濃度未知の試料に適用することから発生するシグナルを、内部対照(既知量のATPを試料に添加して、その結果生じる発光を測定すること)、またはATP濃度既知の幾つかの試料の発光を測定して、当該発光を図にプロットすることにより作成される外部標準曲線により得られるシグナルに相関させる。かかる方法は、当業者に既知である( モイヤー(Moyer )およびヘンダーソン(Henderson )、1983; ロナー(Ronner)他、1999; スタンリー(Stanley )、1989; ウッド(Wood)他、1989) 。
3.トランスフェラーゼ活性に対する化合物の影響
本発明の組成物、方法およびキットは、試料と接触させたときのトランスフェラーゼ活性に対する、無機物質、小有機物質、ペプチド、タンパク質およびポリペプチドのような化合物の影響を測定するために適用することができる( アイギンガー(Aiginger)他、1980; アンドレオッチ(Andreotti )他、1995; ブラッドベリー(Bradbury )他、2000; クリー(Cree)およびアンドレオッチ(Andreotti )、1997; クラウチ(Crouch)他、1993; カンガス(Kangas)他、1984) 。トランスフェラーゼ活性に対する化合物の影響を決定することにより、潜在的な薬学組成物の有効性の指標を評価することができる。トランスフェラーゼ活性の阻害剤は、特に当該阻害剤が、迅速に分裂する細胞を選択的に死滅させる場合、癌細胞の治療に有用であり得る。別の場合には、トランスフェラーゼ阻害剤の影響が望ましくなければ他の何らかの有用性を備えた化合物でも否定されることもありうる。これらの化合物は、化合物ライブラリーに列挙されてもよいし、あるいは単独で試験されてもよい。本発明をこのように適用する場合には対照試料を用意し、対照においては試料をトランスフェラーゼ活性に対するその影響が既知である対照物質と接触させる。また好ましくは、対照試料としては、化合物自体がルシフェラーゼ活性に直接影響を及ぼしていないことを保証するために、ルシフェラーゼおよび化合物が一緒に存在する試料も含める。
以下の実施例は、限定することなく本発明を説明するためのものである。
[実施例]
(脂質依存性セリン/スレオニンキナーゼの活性の決定)
市販のプロテインキナーゼC(「PKC」)を、96ウェルプレート中で滴定した(n=2)。キナーゼ反応は、図に示した量のPKC(プロメガ(Promega )、カタログ番号V5621)を用いて、20mM トリス‐HCl(pH 7.5)、10mM MgCl、0.1mg/mlウシ血清アルブミン(「BSA」)、250μM EGTA、400μM CaCl、0.32mg/mlのホスファチジルセリン、0.032mg/mlのジアセチルグリセロール、10μM ビオチン化ペプチド(AAKIQASFRGHMARKK)および1μM ATP中で実施した。最終的なキナーゼ反応容量は、50μlであった。90分のキナーゼ反応後に、20mM クエン酸、55mM MES、10.5mM 硫酸マグネシウム、0.6mM CDTA、225mM カリウム緩衝液(pH6.0)、1mM NaF、0.0125μM ピロリン酸ナトリウム、0.5% DTAB、1.0% Thesit、0.1% Mazu DF 204、2.5mM ルシフェリンおよび0.2%の2‐(N‐モルホリノ)エタンスルホン酸を含有する発光緩衝液試薬(pH6.0+0.15)に10μg/ml[正確でない可能性あり]の熱安定性ホタルルシフェラーゼレポーター146−1H2(配列番号4および配列番号8を参照)を含めたもの50μlを各ウェルに添加して、10分間インキュベートしてから発光を読取った。図1は、本発明の方法を用いて、セリン/スレオニンキナーゼのキナーゼ活性を測定して、信頼性の高い滴定曲線が得られることを明らかに示している。
(チロシンキナーゼの活性の決定)
市販のLckを96ウェルプレート中で滴定した(n=2)。Lckは、Srcファミリーの非レセプター型チロシンキナーゼをコードする遺伝子ファミリーである。キナーゼ反応は、図に示した量のLck(アップステート(Upstate )、カタログ番号14−442)を用いて、8mM イミダゾール塩酸塩(pH 7.3)、8mM β‐グリセロリン酸塩、200μM EGTA、20mM MgCl、1mM MnCl、0.1mg/mlのBSA、250μM ビオチン化ペプチド基質(AEEEIGELEA)および3μM ATP中で実施した。最終的なキナーゼ反応容量は、50μlであった。60分のキナーゼ反応後に、実施例1に記載した発光緩衝液試薬50μlを各ウェルに添加して、10分間インキュベートさせた後に、発光を読取った。図2は、本発明の方法を用いて、安定した滴定曲線が得られることを明らかに示している。
(サイクリックAMP依存性セリン/スレオニンプロテインキナーゼの活性の決定)
市販のプロテインキナーゼA(「PKA」)を、96ウェルプレート中で滴定した(n=8)。キナーゼ反応は、図に示した量のPKA(プロメガ(Promega )、カタログ番号V5161)を用いて、40mM トリス‐HCl(pH 7.5)、20mM MgCl、0.1mg/mlのBSA、5μM ケムプチド(LRRASLG)および1μM
ATP中で実施した。最終的なキナーゼ反応容量は、50μlであった。20分のキナーゼ反応後に、実施例1に記載した発光緩衝液試薬50μlを各ウェルに添加して、10分間インキュベートさせた後に、発光を読取った。図3は、本発明の方法を用いて、信頼性の高い滴定曲線が得られることを明らかに示している。
(スタウロスポリンにより誘導されるプロテインキナーゼA阻害の決定)
96ウェルプレートに入れた市販のPKAの阻害を、スタウロスポリンにより誘導した(n=4)。キナーゼ反応は、図4に示した量のスタウロスポリン(カルビオケム(Calbiochem)、カタログ番号569397)を用いて、40mM トリス‐HCl(pH 7.5)、20mM MgCl、0.1mg/mlのBSA、5μM ケムプチド(LRRASLG)および1μM ATP中で実施した。最終的なキナーゼ反応容量は、50μlであった。20分のキナーゼ反応後に、実施例1に記載した発光緩衝液試薬50μlを各ウェルに添加して、10分間インキュベートさせた後に、発光を読取った。図4は、本発明の方法を用いて、IC50を容易かつ確実に得ることができることを明らかに示している。さらに、本発明により確定したIC50値は、プロテインキナーゼ阻害に関する十分確立されたアッセイを用いて得られる値と一致する。
(PKIにより誘導されるプロテインキナーゼA阻害の決定)
cAMP依存性プロテインキナーゼペプチド阻害剤(PKI)は、96ウェルプレート中でPKAの阻害を誘導した(n=4)。キナーゼ反応は、図に示した量のPKI(プロメガ(Promega )、カタログ番号V5681)を用いて、40mM トリス‐HCl(pH 7.5)、20mM MgCl、0.1mg/mlのBSA、5μM ケムプチド(LRRASLG)および1μM ATP中で実施した。最終的なキナーゼ反応容量は、50μlであった。0.5U/ウェルのPKAを反応に利用した。20分のキナーゼ反応後に、実施例1の発光緩衝液試薬50μlを各ウェルに添加して、10分間インキュベートさせた後に、発光を読取った。図5は、本発明の方法を用いて、IC50を容易かつ確実に得ることができることを明らかに示している。さらに、本発明を用いて測定したIC50は、プロテインキナーゼ阻害に関する十分確立されたアッセイを用いて得られる値と一致する。
(本発明のキナーゼアッセイのZ’解析)
本発明のアッセイは、マルチウェルプレートを用いるハイスループットスクリーニングで容易に使用することができる。アッセイの再現性および有効性の一般的な指標は、Z’因子またはZ’解析である。容認されるZ’値は、通常0.5以上である。本実施例においては、96ウェルプレート中でのPKAアッセイ(n=32)のZ’解析を行った。キナーゼ反応は、PKAなし(白抜き丸)、0.25U/ウェルのPKA(黒塗り丸)、あるいは0.5U/ウェルのPKA(白抜き四角)のいずれかの条件で、40mM トリス‐HCl(pH 7.5)、20mM MgCl、0.1mg/mlのBSA、5μM
ケムプチド(LRRASLG)および1μM ATP中で実施した。「U/ウェル」は、1ウェル当たりのキナーゼのユニット数である。最終的なキナーゼ反応容量は、50μlであった。20分のキナーゼ反応後に、実施例1の発光緩衝液試薬50μlを各ウェルに添加して、10分間インキュベートさせた後に、発光を読取った。実線は、各々のデータ組の平均値であり、破線は、各々のデータ組の平均値±3SDである。Z’値は、0.5U/ウェルのPKAに関しては0.93であり、0.25U/ウェルのPKAに関しては0.92であった。図6は、本発明の方法のアッセイの再現性を明らかに示している。
(ハイスループットスクリーニングにおいて阻害剤を同定する際の本発明の有用性の判定)
ハイスループットスクリーニングとしての本発明の有用性をさらに実証するために、アッセイバリデーションならびにハイスループットスクリーニング用の薬理学的に活性な化合物のLOPACライブラリー(LOPAC Libray of Pharmacologically Active Compounds for Assay Validation and High Throughput Screening) (シグマ(Sigma )、カタログ番号SC001)由来の8個(80)の化合物を96ウェルプレートに包含させた。キナ
ーゼ反応は、10μMの各ライブラリー化合物の存在下で、40mM トリス‐HCl(pH 7.5)、20mM MgCl、0.1mg/mlのBSA、5μM ケムプチド(LRRASLG)、1μM ATPおよび0.5U/ウェルのPKA中で実施した。最終的なキナーゼ反応容量は、50μlであった。20分のキナーゼ反応後に、発光緩衝液試薬50μlを各ウェルに添加して、10分間インキュベートさせた後に、発光を読取った。
6個の「ヒット」、すなわち陽性の化合物が同定された(RLU>40,000)。図7において、陽性化合物は、左から右へ、HA‐1004塩酸塩、H‐7二塩酸塩、H‐8二塩酸塩、およびH‐9二塩酸塩、U‐73122およびGW5074である。最初の4個の化合物は、PKAの既知の阻害剤である。したがって、キナーゼ阻害剤は、本発明の方法を用いて、容易にかつ迅速に同定することができることが、図7に示す結果から明らかである。さらなる陽性化合物に関して述べれば、U‐73122は、ホスホリパーゼC、A2の既知の阻害剤であり、GW5074は、cRaf1キナーゼの既知の阻害剤である。これらの2つのさらなる化合物もまたPKAの阻害剤であることを確認するために、これらの化合物それぞれを、PKAを用いて滴定して、それらのIC50値を決定することができる。
(キナーゼシグナルの安定性の判定)
上述のように、本発明は、使用者に、長期間にわたる安定な発光読み出しを提供して、ウェル‐プレートを大量に用いることを可能にする。この実施例では、市販のPKAを96ウェルプレートで評価した(n=32)。キナーゼ反応は、PKAなし、0.25U/ウェルのPKA、あるいは0.5U/ウェルのPKAのいずれかの条件で、40mM トリス‐HCl(pH 7.5)、20mM MgCl、0.1mg/mlのBSA、5μM ケムプチド(LRRASLG)および1μM ATP中で実施した。最終的なキナーゼ反応容量は、50μlであった。20分のキナーゼ反応後に、実施例1の発光緩衝液試薬50μlを各ウェルに添加して、10分間インキュベートさせた後に、図に示した時間において発光を読取った。4時間でのシグナルの損失は、25%未満であった。図8は、発光シグナルが長期間にわたって非常に安定であるため、本発明の方法が自動化した手法において非常に有用なものとなることを示している。
Figure 0005155515
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本発明による、96ウェルプレートにおけるプロテインキナーゼC(「PKC」)の滴定実験(n=2)の結果を示す図。 本発明による、96ウェルプレートにおけるLckの滴定実験(n=2)の結果を示す図。 本発明による、96ウェルプレートにおけるPKAの滴定実験(n=8)の結果を示す図。 本発明による、スタウロスポリンで誘導したPKA阻害の実験の結果を示す図。 本発明による、96ウェルプレートにおけるcAMP依存性プロテインキナーゼペプチド阻害剤(「PKI」)で誘導したPKA阻害(n=4)の結果を示す図。 本発明による、96ウェルプレートにおけるPKAを用いたプロテインキナーゼ活性のZ’解析(n=32)を示す図。 本発明による、既知のPKA阻害剤を用いたプロテインキナーゼ阻害スクリーニング実験の結果を示す図。 本発明による、長期間にわたって測定する場合のPKAアッセイのシグナル安定性の結果を示す図。

Claims (33)

  1. 無細胞試料においてキナーゼの酵素活性を測定する方法であって、
    (a)界面活性剤、D‐ルシフェリンまたはD−ルシフェリン誘導体、および化学的に安定なルシフェラーゼを含む一つの混合試薬であって、前記界面活性剤が前記化学的に安定なルシフェラーゼの活性に影響を及ぼすことなくキナーゼ活性を選択的に停止させることを特徴とする一つの混合試薬を供給すること、
    (b)キナーゼ、ATP、およびキナーゼの基質を含む第1の反応混合物を、第1の既定期間の間、トランスフェラーゼ反応を起こさせるのに有効な条件下でインキュベートすること、
    (c)該第1の反応混合物を該一つの混合試薬と接触させて第2の反応混合物を形成し、該第2の反応混合物を、第2の既定期間の間、キナーゼの酵素活性を停止すると同時に生物発光反応を起こさせるのに有効な条件下でインキュベートすること、および
    (d)該第2の反応混合物の発光を測定することによりキナーゼ活性を決定すること
    を含む方法。
  2. 無細胞試料において、化合物を、キナーゼの酵素活性に対する該化合物の影響に関してスクリーニングする方法であって、
    (a)スクリーニングするための化合物を供給すること、
    (b)界面活性剤、D‐ルシフェリンまたはD−ルシフェリン誘導体、および化学的に安定なルシフェラーゼを含む一つの混合試薬であって、前記界面活性剤が前記化学的に安定なルシフェラーゼの活性に影響を及ぼすことなくキナーゼ活性を選択的に停止させることを特徴とする一つの混合試薬を供給すること、
    (c)キナーゼ、ATP、キナーゼの基質および該化合物を含む第1の反応混合物を、第1の既定期間の間、トランスフェラーゼ反応を起こさせるのに有効な条件下でインキュベートすること、
    (d)該第1の反応混合物を該一つの混合試薬と接触させて第2の反応混合物を形成し、該第2の反応混合物を、第2の既定期間の間、キナーゼの酵素活性を停止すると同時にATP依存性生物発光反応を起こさせるのに有効な条件下でインキュベートすること、および
    (e)化合物を含まない対照混合物に対して、該第2の反応混合物の発光を測定および比較することにより、キナーゼ活性に対する該化合物の影響を決定すること
    を含む方法。
  3. 無細胞試料において、複数の化合物を、キナーゼの酵素活性に対する該化合物の影響を決定するために迅速にスクリーニングするハイスループットスクリーニング方法であって、
    (a)スクリーニングするための複数の化合物を供給すること、
    (b)界面活性剤、D‐ルシフェリンまたはD−ルシフェリン誘導体、および化学的に安定なルシフェラーゼを含む一つの混合試薬であって、前記界面活性剤が前記化学的に安定なルシフェラーゼに影響を及ぼすことなくキナーゼ活性を選択的に停止させることを特徴とする一つの混合試薬を供給すること、
    (c)キナーゼ、ATP、キナーゼ基質および少なくとも1つの化合物を含む複数の第1の反応混合物を、第1の既定期間の間、トランスフェラーゼ反応を起こさせるのに有効な条件下でインキュベートすること、
    (d)該第1の反応混合物を、第2の既定期間の間、キナーゼの酵素活性を停止すると同時にATP依存性生物発光反応を起こさせるのに有効な条件下で該一つの混合試薬と接触させて複数の第2の反応混合物を形成すること、および
    (e)化合物を含まない少なくとも1つの対照混合物に対して、該第2の反応混合物の発光を測定および比較することにより、キナーゼ活性に対する該化合物の影響を決定すること
    を含む方法。
  4. キナーゼの酵素活性は、プロテインキナーゼ活性、脂質キナーゼ活性、ポリヌクレオチドキナーゼ活性、または糖キナーゼ活性を含む、請求項3に記載の方法。
  5. ナーゼは、Ser/Thrプロテインキナーゼ、プロテインチロシンキナーゼ、または脂質依存性プロテインキナーゼを含む、請求項に記載の方法。
  6. Ser/Thrプロテインキナーゼは、cAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)、カルシウムおよびリン脂質依存性プロテインキナーゼ(PKC)、cGMP依存性プロテインキナーゼ(PKG)、カルシウムおよびカルモジュリン依存性プロテインキナーゼ(CaM KII)または二重特異性プロテインキナーゼを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 二重特異性プロテインキナーゼは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)またはマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)を含む、請求項6に記載の方法。
  8. プロテインチロシンキナーゼは、ラウス肉腫関連プロテインキナーゼ(Src)、成長因子レセプター、またはSrcファミリープロテインチロシンキナーゼを含む、請求項5に記載の方法。
  9. Srcファミリープロテインチロシンキナーゼは、Src、Lck、Fyn、またはLynを含む、請求項8に記載の方法。
  10. 成長因子レセプターは、上皮成長因子レセプター(EGFR)、血小板由来成長因子レセプター(PDGFR)またはSteel成長因子レセプター(c‐KIT)を含む、請求項8に記載の方法。
  11. 脂質依存性プロテインキナーゼは、I型ホスホイノシチド3‐OHホスファチジルイノシトールキナーゼ(PI3K)を含む、請求項5に記載の方法。
  12. 界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、または両性イオン性界面活性剤を含む、請求項1、2または3のいずれかに記載の方法。
  13. 陽イオン性界面活性剤は、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、または臭化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 陽イオン性界面活性剤は、臭化ドデシルトリメチルアンモニウムである、請求項12に記載の方法。
  15. 陰イオン性界面活性剤は、SDSまたはデオキシコール酸塩を含む、請求項12に記載の方法。
  16. 両性イオン性界面活性剤は、スルホベタイン3‐10を含む、請求項12に記載の方法。
  17. キナーゼ自体がリン酸化されるか、またはキナーゼ基質がリン酸化される、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法。
  18. 化合物がキナーゼの酵素活性を高める、請求項2または3のいずれか1項に記載の方法。
  19. 化合物がキナーゼの酵素活性を阻害する、請求項2または3のいずれか1項に記載の方法。
  20. 無細胞試料においてキナーゼの酵素活性を測定するためのキットであって、
    (a)化学的に安定なルシフェラーゼの活性に影響を及ぼすことなくキナーゼ活性を選択的に停止させる1つまたはそれ以上の界面活性剤を含む再構成緩衝液、
    (b)D‐ルシフェリンまたはD−ルシフェリン誘導体と化学的に安定なルシフェラーゼとを含む組成物、および
    (c)該キットを使用するための指示書
    を含むキット。
  21. 前記キナーゼ活性は、プロテインキナーゼ活性、脂質キナーゼ活性、ポリヌクレオチドキナーゼ活性、または糖キナーゼ活性を含む、請求項20に記載のキット。
  22. ナーゼは、Ser/Thrプロテインキナーゼ、プロテインチロシンキナーゼ、または脂質依存性プロテインキナーゼを含む、請求項20に記載のキット。
  23. Ser/Thrプロテインキナーゼは、cAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)、カルシウムおよびリン脂質依存性プロテインキナーゼ(PKC)、cGMP依存性プロテインキナーゼ(PKG)、カルシウムおよびカルモジュリン依存性プロテインキナーゼ(CaM KII)または二重特異性プロテインキナーゼを含む、請求項22に記載のキット。
  24. 二重特異性プロテインキナーゼは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)またはマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)を含む、請求項23に記載のキット。
  25. プロテインチロシンキナーゼは、ラウス肉腫関連プロテインキナーゼ(Src)、成長因子レセプター、またはSrcファミリープロテインチロシンキナーゼを含む、請求項22に記載のキット。
  26. Srcファミリープロテインチロシンキナーゼは、Src、Lck、Fyn、またはLynを含む、請求項25に記載のキット。
  27. 成長因子レセプターは、上皮成長因子レセプター(EGFR)、血小板由来成長因子レセプター(PDGFR)またはSteel成長因子レセプター(c‐KIT)を含む、請求項25に記載のキット。
  28. 脂質依存性プロテインキナーゼは、I型ホスホイノシチド3‐OHホスファチジルイノシトールキナーゼ(PI3K)を含む、請求項22に記載のキット。
  29. 界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、または両性イオン性界面活性剤を含む、請求項20に記載のキット。
  30. 陽イオン性界面活性剤は、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、または臭化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムを含む、請求項29に記載のキット。
  31. 陽イオン性界面活性剤は、臭化ドデシルトリメチルアンモニウムである、請求項30に記載のキット。
  32. 陰イオン性界面活性剤は、SDSまたはデオキシコール酸塩を含む、請求項29に記載のキット。
  33. 両性イオン性界面活性剤は、スルホベタイン3‐10を含む、請求項29に記載のキット。
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