JP5620632B2 - ルシフェラーゼ酵素活性を保護する方法、非発光酵素に対する試験化合物の影響を決定する方法、及びキット - Google Patents

ルシフェラーゼ酵素活性を保護する方法、非発光酵素に対する試験化合物の影響を決定する方法、及びキット Download PDF

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Description

本発明は概して、生物発光に関する。より詳細には本発明は、化合物ライブラリーの高スループット・スクリーニング用のルシフェラーゼ・アッセイの精度を「誤った的中」の数を減らすことによって改善するための、方法、組成物、およびキットに関する。本発明は、細胞系または無細胞系においてある種の生物特異的反応の発生または生成物を定量するために生物発光を使用するアッセイおよび試験用キットに、非常によく適している。
(相互参照)
本出願は、いずれもその全容を本願明細書に援用する、2002年12月23日に出願された米国仮出願第60/436,173号;2003年1月31日に出願された同第60/444,264号;および2003年2月13日に出願された同第60/447,334号の優先権の特典を主張するものである。
(発明の背景)
生物学的、生物医学的および薬剤科学の進展によって、過去とは比較にならないレベルまで研究および診断のペースが加速してきている。全ゲノムの配列が早急かつ首尾よく利用可能になるにつれて、大規模な小分子ライブラリーの構築、薬剤開発の推進能力、臨床診断試験、および還元主義から全体系的手法までの基本的研究全てにおいて、高スループット分析を容易にするアッセイが早急に必要とされている。単独のプロセスに対する分子の影響に関して、もはや分子を個々に分析する必要はない。その代りに、適切で、迅速で、信頼性が高く、かつ正確なアッセイが利用可能であれば、いくつかの生物系に対する多くの分子の影響について同時に研究することが可能である。
無細胞環境中のある種の生物特異的事象、例えば酵素阻害の発生を決定するため、あるいは細胞の生存能力を評価するための、有効で、信頼が高く、かつ正確なアッセイを使用して、潜在的な新しい薬剤物質を早急に発見し、細胞に対するこのような物質の細胞毒性または細胞増殖効果を決定することが可能である。例えば、薬剤学的な癌研究は、癌細胞の主な特徴である急速に分裂する細胞を選択的に殺傷する化合物を同定しようと試みることが多い。化合物ライブラリーの高スループット・スクリーニングを、有効な細胞生存能力アッセイと併用して、潜在的な制癌剤のような化合物を即座に同定することが可能である。細胞の生存能力に対する候補化合物の有効性は、ATPを検出することによってアッセイすることが可能である。なぜなら、ATP生成は代謝が活発な生細胞においてのみ実現し;残留ATPは壊死性細胞死によってすぐに分解されるからである。その全容を本願明細書に援用する、「改良型ATP検出法(Improved Method for detection of ATP)」という表題の、2001年3月19日に出願された特許文献1(譲受人:プロメガ(Promega ))を参照のこと。他の例では、薬剤開発の過程において進展すべき潜在的な薬剤化合物の同定を、チトクロムP−450酵素活性に対するこれらの化合物の影響を決定することによって行うことが可能である。その全容を本願明細書に援用する、「チトクロムP−450活性を測定するためのルシフェラーゼを用いる方法およびプローブ(Luminescence-based methods and probes for measuring cytochrome P-450 activity )」という表題の、2003年9月19日に出願された特許文献2(譲受人:プロメガ)を参照のこと。最後の例では、プロテアーゼが、血液凝固、炎症、生殖、繊維素溶解、および免疫応答を含めた多様な生理学的プロセスに関与する巨大で重要な酵素群に相当する。プロテアーゼ阻害剤を同定することは、特定のプロテアーゼの活性の変化によって引き起こされるか、あるいは該変化によって特徴付けられる病状を、調査、治療または管理するために有用である可能性がある。その全容を本願明細書に援用する、「プロテアーゼの生物発光アッセイ(Bioluminescent Protease Assay )」という表題の、2002年2月1日に出願された特許文献3(譲受人:プロメガ)を参照のこと。これらと同様のアッセイ系は、細胞環境中の細胞の生存能または増殖に対する、あるいは生物特異的反応の発生に対する物質の評価を容易にするだけでなく、数千の化合物を迅速に試験することが可能な高スループット・スクリーニングをも可能にし、新たな薬剤の発見を合理化する。
分子事象を定性的または定量的に調べるためにレポーター分子または標識を使用することは、医学的診断、産業環境中の毒素および他の物質の検出、ならびに生物学、生物医学および生物化学の基礎および応用研究のために使用されるアッセイでは、充分に確立されている。このようなアッセイ系におけるレポーター分子または標識には、放射性同位体、蛍光物質、ルシフェラーゼなどの光生成酵素を含めた酵素がある。いかなるレポーター分子系においても望ましい特徴には、安全、迅速かつ信頼性高く適用および検出することが挙げられる。発光系が最も望ましい。なぜならそれらは、特に安全で感度がよいからである。
光を放出する系は周知であり、多くの発光生物、例えばある種の細菌、原生動物、腔腸動物、軟体動物、魚類、ヤスデ、ハエ、真菌、ぜん虫、甲殻類、および甲虫などから単離されている。甲虫、特にPhotinus属、Photuris属およびLuciola属のホタル、ならびPyrophorus属のコメツキムシから単離された酵素は、レポーター系における広範囲の用途が見出されている。多くのこれらの生物では、酵素触媒による酸化還元が起こり、この酸化還元において自由エネルギーの変化が用いられて分子が高エネルギー状態まで励起される。励起された分子が自然に基底状態に戻るとき、可視光が放出される。この放出された光は「生物発光」または「発光」と呼ばれる。キナーゼ活性、P−450活性、およびプロテアーゼ活性を調査または測定するために、発光ルシフェラーゼ・アッセイが開発されている。例えば、いずれもプロメガ・コーポレイション(PromegaCorporation )所有の、2003年9月19日に出願された特許文献2(P−450活性);2001年3月19日に出願された特許文献1(キナーゼ活性);および2002年2月1日に出願された特許文献3(プロテアーゼ活性)を参照のこと。
遺伝的レポーター系は、真核生物の遺伝子発現および細胞生理を研究するために広く使用されている。適用例には、受容体活性、転写因子、細胞内シグナル、mRNAプロセシングおよびタンパク質のフォールディングの研究が挙げられる。現在、広く様々な広範囲の異なる種由来のルシフェラーゼ遺伝子、特にPhotinus pyralis(北アメリカの一般的なホタル)、Pyrophorus plagiophthalamus(ジャマイカのコメツキムシ)、Renilla reniformis(ウミシイタケ)、およびいくつかの細菌(例えばXenorhabdus luminescensおよびVibrio属の細菌種)のルシフェラーゼ遺伝子が、非常に一般的な発光レポーター遺伝子である。発光レポーター遺伝子のアッセイの概要に関しては、非特許文献1を参照のこと。ホタル・ルシフェラーゼは、ATP濃度の一般的なレポーターでもあり、そのレポーターとしての役割で、バイオマスを検出するために広く使用されている。ルシフェラーゼの様々な他のレポーター用途については、前記学術文献中に記載されている。他の酵素をある種の合成基質と混合させて、例えばアルカリホスファターゼをアダマンチルジオキセタンと混合させて、またはホースラディッシュペルオキシダーゼをルミノールと混合させて、発光を生み出すことも可能である。
ルシフェラーゼ遺伝子は、発光アッセイが非放射性であり、感度が良く、かつ極めて直線範囲が広いために、遺伝的レポーターとして広く使用されている。例えば、わずか10−20モルほどのホタル・ルシフェラーゼを検出することが可能である。したがって、ルシフェラーゼの遺伝子活性のアッセイは、原核および真核細胞培養物、トランスジェニック植物および動物、ならびに無細胞発現系を含めた、ほぼ全ての生物学的実験系において使用される。同様に、ATPのルシフェラーゼ・アッセイは非常に感度がよく、10−16モル未満のATPの検出を可能にしている。
ルシフェラーゼは、酵素特異的なルシフェリンと呼ばれる基質の酸化によって光を生成する。ホタル・ルシフェラーゼおよびすべての他の甲虫ルシフェラーゼに関しては、光の生成はマグネシウムイオン、酸素、およびATPの存在下で行われる。ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼを含めた、花中類のルシフェラーゼに関しては、必要とされるのはルシフェリンと酸素のみである。一般に、遺伝子活性の発光アッセイでは、反応基質および他の発光活性化試薬が、レポーター酵素を発現している疑いのある生物系中に導入される。その結果生成した発光が存在する場合、該発光は照度計または任意の適切な放射エネルギー測定装置を使用して測定される。このアッセイは非常に迅速で感度がよく、早急かつ容易に遺伝子発現データを提供し、放射性試薬は必要としない。遺伝子活性以外のレポーター・アッセイも同様に行われる。
ホタル・ルシフェラーゼを使用する従来型の遺伝子活性アッセイは、コエンザイムA(CoA)をアッセイ試薬中に含めて酵素の回転率(ターンオーバー)を高め、したがって発光強度を高めることによって、さらに改善されてきている。(プロメガのルシフェラーゼ・アッセイ試薬、カタログ番号E1500、米国ウィスコンシン州マディソン所在のプロメガ・コーポレイション;1994年2月1日に発行された特許文献4を参照のこと。)この試薬を使用して、照度計またはシンチレーション・カウンターでルシフェラーゼ活性を容易に測定することが可能である。CoAを加えて持続的に発光させることによって改変されたルシフェラーゼ反応により、遺伝的に改変された細胞または組織中のルシフェラーゼ発現を定量するための非常に高感度で迅速なアッセイがもたらされる。
デュアル・レポーターは、実験精度を改善するために一般的に使用される。用語「デュアル・レポーター」は、1つの系の中で2つの別個のレポーター酵素を同時に発現および測定することを指す。遺伝子のレポーター実験では、現時点でデュアル・レポーター・アッセイが有効な例としては、2つの異なるレポーター遺伝子を同時に発現するように遺伝子操作した個々の細胞または細胞集団(培養物中に分散した細胞、分離組織、または動物全体など)が挙げられる。最も多いのは、1つのレポーター遺伝子の活性が特定の実験条件の影響を表し、第2のレポーター遺伝子の活性が内部対照を提供して、該内部対照によってすべての実験値群を正規化することが可能なものである。内部対照の活性に対して実験レポーターの活性を正規化することによって、細胞の生存能力またはトランスフェクション効率の違いにより引き起こされる実験の変動が最小限になる。ピペッティング容量、細胞溶解の効率、およびアッセイ効率の違いなどその他の変動要因は、効率良く排除することが可能である。したがって、デュアル・レポーター・アッセイにより、本質とは無関係な影響を減少させることによって、実験データにより信頼性の高い解釈を与えることが可能となることが多い。
遺伝子のレポーター実験では、現時点でデュアル・レポーター・アッセイが有効な例としては、2つの異なるレポーター遺伝子を同時に発現するように遺伝子操作した個々の細胞または細胞集団(培養物中に分散した細胞、分離組織、または動物全体など)が挙げられる。最も多いのは、1つのレポーター遺伝子の活性が特定の実験条件の影響を表し、第2のレポーター遺伝子の活性が内部対照を提供して、該内部対照によってすべての実験値群を正規化することが可能なものである。
酵素のデュアル・レポーター技術が有効な可能性のある無細胞の再構築系は、実験用および対照のレポーター酵素をコードする独立の遺伝物質を、同時に翻訳して、または転写と翻訳とを連結させて得られた細胞溶解物である。1つのサンプル中から実験値と対照値の両方を二重報告(デュアル・レポート)するために、イムノ・アッセイを同様に設計することが可能である。
現在、ホタル・ルシフェラーゼ(luc)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ガラクトシダーゼ(lacZ)、β−グルクロニダーゼ(GUS)、ならびに分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)およびウテロフェリン(Uf;酸性ホスファターゼ)などの、様々なホスファターゼをコードする遺伝子が組み合わされて、遺伝子活性の共同レポーターとして使用されている。以下の参照文献には、これらの様々なレポーター遺伝子が遺伝子活性を二重報告するために組合せ形式で使用される代表例が提供されている:lucおよびGUS(レッキー、エフ(Leckie, F.)ら、1994年);lucおよびCATならびにlucおよびlacZ(ジェイン、ブイ、ケイ(Jain, V.K.)およびマグラス、アイ、ティー(Magrath, I.T. )、1992年);CATおよびlacZ(フラナガン、ダブリュー、エム(Flanagan, W.M.)他、1991年);SEAPおよびUf(コンデプジ(Kondepudi )ら、1994年)。プロメガのDual−Luciferase(登録商標)レポーターアッセイシステムならびにプロメガのpGL3ルシフェラーゼ・レポーター・ベクター(米国ウィスコンシン州マディソン所在のプロメガ・コーポレイションから入手可能)、ならびにその全容を本願明細書に援用する、特許文献5および特許文献6(譲受人:プロメガ・コーポレイション)も参照のこと。
米国特許出願第09/813,279号明細書 米国特許出願第10/665,314号明細書 米国仮出願第60/353,158号明細書 米国特許第5,283,179号明細書 米国特許第5,744,320号明細書 米国特許第5,670,356号明細書 ブロンシュタイン(Bronstein )ら、1994年、アナリティカル・バイオケミストリー誌(Anal. Biochem.)、第219巻、p.73‐82
ATPなどの生成物または生物特異的事象、例えばカスパーゼまたはP−450活性の阻害または活性化の発生を、酵素アッセイまたは単独/デュアル・レポーター・アッセイのいずれかの形式で検出する目的で、ルシフェラーゼをサンプルと組み合わせる場合、高スループットの薬剤スクリーニングに使用される化学ライブラリー中の1つまたは複数の化合物が、ルシフェラーゼと悪い方向に相互作用し、したがってアッセイに干渉する可能性がある。例えば、カスパーゼ・アッセイでは、カスパーゼのみを阻害する化合物は発光の減少をもたらし、ルシフェラーゼ活性のみを阻害する化合物(やはり発光を減少させる)と容易には区別されないと思われる。特に高スループット・スクリーニング手法において使用する場合、化合物による干渉に関して改善された耐性を備えたルシフェラーゼ・アッセイが必要とされている。
本発明は、特に化合物ライブラリーの高スループット・スクリーニングにおいて、1つまたは複数の化合物による干渉に関して高い耐性を有する、改良されたルシフェラーゼ・アッセイ用の方法、組成物およびキットを提供する。本発明の組成物は、ルシフェラーゼおよび耐性増大物質を含んでなり、耐性増大物質はスクリーニング・アッセイ中にルシフェラーゼを阻害あるいはルシフェラーゼと相互作用する1つまたは複数の化合物による干渉からルシフェラーゼ活性を実質的に保護する。特にサンプルが細胞溶解物またはATPase活性を有する酵素混合物を含む場合は、任意選択でATPase阻害剤を使用することが可能である。耐性増大物質は、界面活性剤であることが好ましい。本発明の改良型組成物は、サンプル中の精製酵素、酵素混合物、細胞溶解物または抽出物、および/または組織ホモジェネートに対する1つまたは複数の化合物の影響を決定するためにアッセイ試薬の構成成分としてルシフェラーゼを使用する任意のアッセイにおいて有用である。例えば、改良型組成物は、サンプル中に含まれるキナーゼ酵素活性、プロテアーゼ活性、P−450酵素活性、およびATPを使用または生成する酵素の活性に対する、1つまたは複数の化合物の影響を決定するための方法に使用することが可能である。
本発明は、ルシフェラーゼ・アッセイにおいて、化合物の干渉に対するルシフェラーゼ酵素活性の耐性を増大させるための方法を提供する。1実施形態では、本発明の方法は、化合物の干渉からルシフェラーゼ活性を実質的に保護するのに充分な量の耐性増大物質と、ルシフェラーゼ酵素を接触させることを含む。
本発明は、非発光酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、(a)化合物および発光分子を提供する工程であって、前記発光分子が前記非発光酵素の基質でありかつルシフェラーゼ酵素の基質前駆体であることを特徴とする工程と、(b)化合物と非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、(c)第1の反応混合物と、ルシフェラーゼ、発光分子および耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、(d)第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、(e)第2の反応混合物と対照反応混合物の発光を測定し比較することによって、化合物と非発光酵素との相互作用の結果生じる非発光酵素活性に対する化合物の影響について(該影響が存在する場合には)決定する工程とを含む方法も提供する。本発明の1実施形態では、これらの工程を順次実施する。本発明の他の実施形態では、工程(b)と(c)を同時に行う。
さらに、本発明は、非発光酵素活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、(a)化合物および発光分子を提供する工程であって、前記発光分子が前記非発光酵素の基質でありかつルシフェラーゼ酵素の基質前駆体であることを特徴とする工程と、(b)化合物と非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、(c)第1の反応混合物と発光分子を接触させて、第2の反応混合物を生成する工程と、(d)第2の反応混合物と、ルシフェラーゼおよび耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第3の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、(e)第3の反応混合物中の発光を検出する工程と、(f)第3の反応混合物と対照反応混合物の発光を測定し比較することによって、化合物と非発光酵素との相互作用の結果生じる非発光酵素活性に対する化合物の影響について(該影響が存在する場合には)決定する工程とを含む方法を提供する。本発明の1実施形態では、これらの工程を順次実施する。本発明の他の実施形態では、工程(b)と(c)、または工程(c)と(d)、または工程(b)〜(d)を同時に行う。
さらに、本発明は、非発光酵素活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、(a)試験用の化合物と、発光分子、非発光酵素、ルシフェラーゼ、および耐性増大物質を含む試薬組成物とを提供する工程であって、前記発光分子が非発光酵素の基質でありかつルシフェラーゼ酵素の基質前駆体であることと、前記耐性増大物質は、化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するのに有効な量存在することとを特徴とする工程と、(b)最終反応混合物中の発光を検出する工程と、(c)最終反応混合物と対照反応混合物の発光を測定し比較することによって、化合物と非発光酵素との相互作用の結果生じる非発光酵素活性に対する化合物の影響について(該影響が存在する場合には)決定する工程とを含む方法を提供する。
さらに、本発明は、非発光酵素活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、(a)発光分子および試験用の化合物を提供する工程であって、前記発光分子が非発光酵素の基質でありかつルシフェラーゼの基質前駆体であることを特徴とする工程と、(b)化合物、発光分子、および非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、(c)第1の反応混合物と、ルシフェラーゼを含む試薬組成物、および耐性増大物質とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、(d)第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、および(e)第2の反応混合物と対照反応混合物の発光を測定し比較することによって、化合物と非発光酵素との相互作用の結果生じる非発光酵素活性に対する化合物の影響を(該影響が存在する場合には)決定する工程とを含む方法を提供する。本発明の1実施形態では、これらの工程を順次実施する。本発明の他の実施形態では、工程(b)と(c)を同時に行う。
本発明は、非発光酵素活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、(a)試験用の化合物、非発光酵素の基質、非発光酵素、およびATPまたはADPを提供する工程と、(b)化合物、基質、ATPまたはADP、および非発光酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、(c)第1の反応混合物と、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、および耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、(d)第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、(e)第2の反応混合物と対照反応混合物の発光を測定し比較することによって、化合物と非発光酵素との相互作用の結果生じる非発光酵素活性に対する化合物の影響を(該影響が存在する場合には)決定する工程とを含む方法も提供する。本発明の1実施形態では、これらの工程を順次実施する。本発明の他の実施形態では、工程(b)と(c)を同時に行う。
本発明は、サンプル中のATP生成酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、(a)ADPおよび試験用の化合物を提供する工程と、(b)化合物、ADPおよびサンプルを接触させて第1の反応混合物を生成する工程と、(c)第1の反応混合物と、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、および耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、(d)第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、(e)第2の反応混合物と対照反応混合物の発光を測定し比較することによって、化合物とATP生成酵素の相互作用の結果生じるATP生成酵素活性に対する化合物の影響を(該影響が存在する場合には)決定する工程とを含む方法をさらに提供する。本発明の1実施形態では、これらの工程を順次実施する。本発明の他の実施形態では、工程(b)と(c)を同時に行う。
本発明は、サンプル中のATP生成酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、(a)試験用の化合物を提供し、該化合物と、ADP、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、および耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させる工程であって、前記耐性増大物質が、化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、(b)第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、(c)第2の反応混合物と対照反応混合物の発光を測定し比較することによって、化合物とATP生成酵素の相互作用の結果生じるATP生成酵素活性に対する化合物の影響を(該影響が存在する場合には)決定することを含む方法をさらに提供する。
特定の実施形態では、本発明の耐性増大物質は界面活性剤、例えばカチオン性、アニオン性、非イオン性、または両性イオン性界面活性剤を含むことが可能である。他の実施形態では、耐性増大物質は、非界面活性剤、例えばポリエチレングリコール、ポリビニルピリジン、クラウンエーテル、およびシクロデキストリンを含むことが可能である。さらに他の実施形態では、界面活性剤はTergitol(登録商標)、Brij35(登録商標)、Brij58(登録商標)、TritonX−100(登録商標)、TritonX−305(登録商標)、TritonN101(登録商標)、CHAPS(登録商標)、Chapso(登録商標)、Bigchap(登録商標)、Thesit(登録商標)、PluronicL64(登録商標)、Rhodasurf870(登録商標)、ChemalLA−9(登録商標)、Sulfonyl465(登録商標)、デオキシコレート、CTAB、PierceC08(登録商標)、またはPierceC10(登録商標)界面活性剤を含むことが可能である。
他の実施形態では、本発明の方法は、発光と酵素の濃度または活性とを関連付ける工程をさらに含む。
1実施形態では、酵素活性はサンプル中に含まれる。1態様では、サンプルは精製された酵素、部分的に精製された酵素、粗精製の酵素または酵素の混合物でもよく、細胞溶解物、組織ホモジェネート、または細胞内分画でもよい。
他の実施形態では、本発明の方法における非発光酵素は、プロテアーゼであってよい。1態様では、プロテアーゼは、例えばトリプシン、トリプシナーゼ、またはカスパーゼであってよい。他の態様では、カスパーゼは、カスパーゼ−3、カスパーゼ7、カスパーゼ8、またはカスパーゼ−9を含むことが可能である。他の態様では、発光基質は、プロテアーゼの基質でありかつルシフェラーゼの基質前駆体である任意の覆面基質(masked substrate)、例えばアミノ修飾されたアミノルシフェリン、あるいはそのカルボキシル保護誘導体などを含むことが可能である。
さらに他の実施形態では、非発光酵素はチトクロムP−450酵素であってよく、発光基質はD−ルシフェリン誘導体であってよく、耐性増大物質はTergitol(登録商標)界面活性剤、例えばTergitolNP−9(登録商標)界面活性剤であってよい。
さらに他の実施形態では、非発光酵素はキナーゼであってよく、界面活性剤はTergitol(登録商標)、Thesit(登録商標)、またはCHAPS(登録商標)界面活性剤であってよい。
他の実施形態では、本発明の方法において化合物と酵素を第1の所定時間接触させてから、基質およびATPまたはADPと接触させることが可能である。1態様では、基質およびATPまたはADPを、順次または同時に加える。
さらに他の実施形態では、ATP生成酵素はキナーゼまたはホスファターゼであってよく、耐性増大物質はTergitol(登録商標)、Thesit(登録商標)、またはCHAPS(登録商標)界面活性剤を含む。
本発明は、生細胞を含まないアッセイ・サンプル中のキナーゼ酵素の活性に対する化合物の影響を決定する方法であって、(a)試験用の化合物、キナーゼ基質、キナーゼ酵素、およびATPまたはADPを提供する工程と、(b)化合物、基質、ATPまたはADP、およびキナーゼ酵素を接触させて、第1の反応混合物を生成する工程と、(c)第1の反応混合物と、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよび耐性増大物質を含む試薬組成物とを接触させて、第2の反応混合物を生成する工程であって、前記耐性増大物質が、化合物の干渉からルシフェラーゼの活性を実質的に保護するのに有効な量存在することを特徴とする工程と、(d)第2の反応混合物中の発光を検出する工程と、(e)検出した発光を、化合物を含まない、あるいは異なる濃度の化合物を含む同様の反応混合物の発光と比較することによって、キナーゼ酵素活性に対する化合物の影響を(該影響が存在する場合には)決定することを含む方法をさらに提供する。
特定の実施形態では、キナーゼ酵素はプロテインキナーゼである。
1実施形態では、耐性増大物質はTergitol(登録商標)、Thesit(登録商標)、またはChaps(登録商標)界面活性剤を含む。
他の実施形態では、化合物とキナーゼ酵素を第1の所定時間接触させてから、基質およびATPまたはADPと接触させる。
他の実施形態では、基質およびATPまたはADPを、順次または同時に加える。
さらに他の実施形態では、これらの工程を順次実施する。
さらに他の実施形態では、工程(b)と(c)を同時に行う。
本発明はキットも提供し、該キットは、例えば(a)試験化合物による干渉からルシフェラーゼ活性を実質的に保護するための耐性増大物質、(b)任意選択のルシフェラーゼ酵素、(c)任意選択のバッファー試薬、および(d)キットを使用するための説明書を備える。1実施形態では、本発明のキットはATPおよびマグネシウムイオンをさらに備える。他の実施形態では、本発明のキットは、ルシフェリン、細胞溶解物質、および/またはATP抽出物質をさらに備える。
本発明のこれらの実施形態および他の実施形態は、以下の詳細な説明に照らしてみると明らかになるであろう。
(発明の詳細な説明)
A.定義
別途定義しない限り、すべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。別途示さない限り、引用したすべての特許文献および刊行物は、その全容が本願明細書に援用される。
デメレック(Demerec )ら(1966年)が推奨する遺伝学に関する命名法を本明細書に適用する。遺伝子(および関連核酸)とそれらがコードするタンパク質とを区別するために、遺伝子に関する略語はイタリック体(または下線付き)の文字で示し、一方タンパク質に関する略語は大文字で始め、イタリック体では示さない。したがって、lucまたはLUCは、ルシフェラーゼ・ポリペプチドまたはLucをコードする、ルシフェラーゼ・ヌクレオチド配列を指す。
「単離」または「精製」ルシフェラーゼとは、ルシフェラーゼが天然の状態にある環境の構成要素から、同定かつ分離および/または回収されたルシフェラーゼを意味する。
本明細書で使用する用語「ルシフェラーゼ」は、発光反応を触媒する1つまたは複数のオキシゲナーゼを指す。したがって、ルシフェラーゼとは、生物発光を生み出す反応を触媒する酵素または発光タンパク質を指す。本発明のルシフェラーゼは、組換え体でも天然に存在するルシフェラーゼでもよいし、あるいはその変異体または突然変異体、例えば突然変異誘発によって生成された、熱安定性など天然に存在するタンパク質とは異なる1つまたは複数の性質を有する変異体であってよい。天然に存在するルシフェラーゼの非限定的な例には、海洋節足動物の間で見られるルシフェラーゼ、ホタル・ルシフェラーゼ、コメツキムシ・ルシフェラーゼ、および鉄道虫(railroad worm )ルシフェラーゼがある。ルシフェラーゼ発光タンパク質の1つの非限定的な例は、エクオリン発光タンパク質である。
本明細書で使用する用語「サンプル」は、その広義の意味で使用され、純粋な酵素、部分的に精製された酵素、もしくは粗精製の酵素、または酵素の混合物、細胞溶解物、細胞内分画、あるいは組織ホモジェネートを含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する用語「検出」は、試験化合物のサンプルに対する影響を定量的あるいは定性的に決定することを指す。
「アミノ酸配列の同一性の割合(%)」は、2つの配列が最適にアラインされているとき、重複する領域内において一方の配列中のアミノ酸残基のうち第2の配列中のアミノ酸残基と(に対して)同一であるものの割合として定義される。アミノ酸の同一性の割合を決定するためには、配列を局部的にアラインし、必要な場合はギャップを導入して配列同一性の最高の割合を得る。配列同一性を計算するとき、保存的置換は数えない。配列同一性を決定するためのアミノ酸配列アラインメント手法は当業者にはよく知られている。BLASTソフトウェア(米国メリーランド州ベテスダ所在の米国国立生命工学情報センター(National Center for Biotechnology Information )から入手可能)などの、公的に利用可能なコンピュータ・ソフトウェアを使用して、ペプチド配列のアラインすることが可能である。当業者は、2つのアミノ酸配列の最適なアラインメントを得るのに必要とされる任意のアルゴリズムおよびパラメータを含めて、アラインメントを測定するための適切なアルゴリズムおよびパラメータを決定することが可能である。
アミノ酸配列がアラインされると、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列が所与のアミノ酸配列Bと(に対して)同一である割合(あるいは、所与のアミノ酸配列Bと(に対して)ある割合のアミノ酸配列の同一性を有する、または含む所与のアミノ酸配列Aの、アミノ酸配列の同一性の割合と表すこともできる)は、以下のように計算することが可能である:
アミノ酸配列の同一性(%)=(X/Y)・100
(式中、Xは、配列アラインメント用のプログラムまたはアルゴリズムによって、最適にアラインされたAとBにおいて同一として一致するものとして記録されたアミノ酸残基の数であり、Yはアラインされたアミノ酸部位の総数である)。
B.方法、組成物およびキット
本発明の1実施形態では、本発明は、ルシフェラーゼ、化合物の干渉に関する耐性を改良するための耐性増大物質、および/または1以上の任意選択のATPase阻害剤を含んでなる性質を有する組成物を提供する。耐性増大物質は、スクリーニング中の1つまたは複数の試験化合物による干渉に対するルシフェラーゼ・アッセイの耐性を改善する、界面活性剤または金属イオン封鎖剤など1つまたは複数の物質を含む。一部の耐性増大物質、例えば界面活性剤は、抗酵素分解剤として、あるいはATPase阻害剤として作用することも可能である。耐性増大物質はATPase阻害剤として作用しないが、ATPase阻害が望ましい場合、特に細胞溶解物を有するサンプルを使用する場合、1つまたは複数のATPase阻害剤を含めてもよい。本発明は、これらの新規の組成物を使用して、単一工程または多工程プロトコルとして測定される、サンプル中の生成物または生物特異的事象の発生を検出する方法をさらに提供する。好ましくは、本発明の組成物とサンプルとの組合せから生じる発光は長い持続時間を有する、すなわち、組成物をサンプルと組合せた直後の発光に対して減少は約50%未満である。本発明の方法は、ルシフェラーゼを用いてサンプルに対する化合物の影響または生物特異的事象の発生を検出する時間および労力を大幅に縮小する。
一般に、本発明の方法は、ルシフェラーゼ(以下に記載する配列番号1〜4で例示されるがこれらに限定されない)、耐性増大物質、および/または1以上の任意選択のATPase阻害剤(耐性増大物質がATPase阻害活性を有さない場合)を含む組成物(「試薬組成物」)をサンプルに加えること、ならびに発光を検出することを含み、該試薬組成物の活性によりルシフェラーゼ阻害剤に対する耐性が高まっている(すなわち、該試薬組成物は、耐性増大成分が含まれない試薬組成物より少なくとも10%、発光シグナルが阻害されるのを保護することが可能である)ことを特徴とする。耐性増大物質は、少なくとも30%、50%、60%、70%、80%、90%、99%またはそれを超えて、発光シグナルを保護することが好ましい。試薬組成物は、1つまたは複数の任意選択のATPase阻害剤を含む溶液を凍結乾燥ルシフェラーゼに加えることによって、使用前に混合することが可能である。
前述のように、本発明は、長時間の発光を生み出す環境において実施することが可能である。安定性の消失は、活性の不可逆的な消失として定義される。本発明の試薬組成物は時間と共に安定性を失い、活性消失の量は、個々のルシフェラーゼ、耐性増大物質、任意選択のATPase阻害剤、および存在する場合は使用する酵素安定化剤に応じて変わる。場合によっては、耐性増大物質が酵素を安定化させる能力を有し、別個の酵素安定化剤の代わりに使用することも可能である。試薬組成物の安定性は、約20℃〜約37℃の温度範囲で実証可能であることが好ましい。本発明の方法は、任意の量のATPを含むサンプルと共に使用することが可能であるが、非飽和量のATP(すなわち、発光がATPの濃度と直線的に比例する範囲のATP)を含むサンプルを、ATPレベルを検出するために設計されたアッセイにおいて使用することが好ましい。プロルシフェリン誘導体を使用するチトクロムP−450アッセイまたはプロテアーゼ・アッセイなどの、ルシフェリンのレベルを測定するアッセイに関しては、飽和レベルのATPを使用することが望ましい。なぜなら、ATPではなくルシフェリンのレベルが測定されるからである。
ルシフェラーゼ反応により生じる発光は、一般的には照度計を用いて検出されるが、他の検出手段を使用することも可能である。バックグラウンドのレベルを超える光が存在することによって、サンプル中にATPが存在することが示される。バックグラウンドのレベルの発光は、一般にサンプルが入っているのと同じ媒体中で、ただしサンプルの不在下で測定される。適切な対照反応は、当業者により容易に設計される。本発明の組成物および方法において使用される、好ましいルシフェラーゼは、安定したシグナルを生成する。すなわち好ましいルシフェラーゼは、ルシフェラーゼ反応において長時間の発光(ルシフェラーゼ反応開始時の発光に対し、1時間当たりの発光の消失が50%未満として定義される)を生み出す。本発明の好ましいルシフェラーゼは、1つのサンプルを長時間にわたって複数回分析すること、または多くのサンプルを長時間にわたって分析することを可能にするが、ここで長時間とは、ルシフェラーゼを試薬組成物と組み合わせた1時間後、より好ましくは2時間後、および最も好ましくは4時間あるいはそれ以上後である。場合によっては、本発明の組成物および方法において使用されるルシフェラーゼは、高い熱安定性を有する。
放射された光の量を定量することによって、サンプル中のATPの量も定量され、したがって、光を使用して生細胞を定量することが可能である。例えば、試験サンプルから放射された光の量を、対照サンプルから放射された光の量と比較すると、または既知量のATPおよび同じルシフェラーゼ、基質、ならびに反応条件(すなわち、温度、pHなど)を使用して決定された標準曲線と比較すると、定量的なATP値が得られる。定量にはバックグラウンド値を差し引くことが含まれることは当然である。サンプル中に存在するATPの絶対量を知る必要はなく、1サンプルから放射された発光を他のサンプルから放射された発光と比較する場合、例えば試験化合物の存在下または不在下のサンプルを比較する場合、定性的なATP値が得られる。多くのこのような実験は、当業者であれば容易に設計可能である。
ATPase阻害剤の例には、界面活性剤、好ましくは帯電基を有する界面活性剤、例えばカチオン性界面活性剤[例えば、DTAB(ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド)、CTAB(セチルメチルアンモニウム)およびBDDABr(ベンジルジメチルドデシルアンモニウムブロミド)]、アニオン性界面活性剤(例えば、SDSおよびデオキシコレート)、および両性イオン性界面活性剤(例えば、スルホベタイン3−10)]などがある。本発明の方法を容易にするために、ルシフェリンなどのルシフェラーゼの基質を試薬組成物中に含めることが可能である。試薬組成物の他の実施形態は、経時的にサンプル中のATPレベルが増大するのを妨げる化合物をさらに含むことが可能である。サンプル中のATPレベルの増大を妨げる化合物には、NaF、バナジウム酸(塩)およびパラ−ニトロフェニルリン酸がある。試薬組成物のさらに他の実施形態は、バッファーおよびマグネシウムをさらに含む。当業者であれば承知していることであるが、マンガンおよびカルシウムなどの他のカチオンがマグネシウムの適切な代替となりうる。
反応組成物は、任意選択の酵素安定化剤を含むことも可能である。酵素安定化剤は、分解からルシフェラーゼを安定させる任意の化合物であってよい。適切な酵素安定化剤には、タンパク質(ウシ血清アルブミンまたはゼラチンなど)、または界面活性剤(好ましくは非イオン性界面活性剤、最も好ましくはTHESIT)がある。
さらに本発明は、小分子(有機分子および無機分子、ならびに合成分子および天然に存在する分子を含む)の、無細胞酵素アッセイに対する影響を測定するのに有用であり、したがって、該小分子が薬剤として機能しうるかどうかを評価し得る。本発明は、小分子または化合物の無細胞酵素に対する影響を決定する方法に関する。当業者であれば、そのような、本発明が役に立つ多くの他のアッセイを開発することが可能である。
本発明はさらに、本発明の要素を集めてキットとする。このようなキットは、サンプル中の化合物の影響または生物学的事象の発生を決定するため、例えば、化合物の酵素に対する影響を決定するために設計される。2つ以上の目的を実現することが可能であるように、キットが多機能性であってもよい。1実施形態では、キットは1つの容器中に凍結乾燥ルシフェラーゼを含み、別の容器には、1以上の耐性増大物質、および/または1以上のATPase阻害剤を含んだ再構成用バッファーを含む。耐性増大物質および/またはATPase阻害剤は、すでに開示した物質および界面活性剤、例えばDTAB、BDDABr、SDS、デオキシコレート、またはスルホベタイン3−10、あるいはこれらの組合せから選択することが可能である。
本発明のキットによって、ルシフェラーゼ基質、例えばルシフェリン、セレンテラジン、またはこれらの機能的誘導体などを供給することも可能である。本発明のキットによって、マグネシウム、あるいはマンガンまたはカルシウムなどの他のカチオンを供給することも可能である。例えばサンプル中のATPを定量するために使用するキットの実施形態においては、既知濃度のATPを用いる対照実験の使用を容易にするために、ATPの入った容器を当該キット内に供給することも可能である。キットによって、サンプル中のATPの量が時間と共に増大するのを妨げる化合物(例えばNaF)を供給することも可能である。キットによって、ATPase阻害剤(例えば、TCA、DMSA、CTAB、エタノールなど)を供給することも可能である。キットによって、バッファーを供給することも可能である。キットによって、酵素安定化剤、例えばBSAまたはゼラチンまたはTHESITを供給することも可能である。
本発明のキットは、組み合わせると試薬組成物が得られるいくつかの構成要素を含むことが可能であり、該試薬組成物は(i)該試薬組成物をサンプルと組み合わせた時に発光によって検出され、該試薬組成物を構築した直後(すなわち、ルシフェラーゼを含む構成要素を、耐性増大物質および任意選択のATPase阻害剤を含む構成要素と組み合わせた0〜10分後)に対して少なくとも約30%の(好ましくは少なくとも約60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、95%、99%の)活性を少なくとも約1時間(好ましくは少なくとも2時間、より好ましくは4時間)維持し、かつ(ii)サンプル内在性のATPase活性を、ATPase阻害剤の不在下でのサンプルのATPase活性と比較して、少なくとも約25%または少なくとも約30%(好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいはこの中の任意の増分)低下させる。
ATPase阻害剤を含む構成要素は2つ以上のATPase阻害剤を含むことが可能であり、これらの阻害剤は、その組合せ効果によって、ATPase阻害剤の不在下でのサンプルのATPase活性と比較して、サンプル内在性のATPase活性を、少なくとも約25%または少なくとも約30%(好ましくは少なくとも約40%、さらにより好ましくは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいはこの中の任意の増分)低下させるような濃度で試薬組成物中に存在し、このとき試薬組成物が与えられる。
好ましくは、キットは緩衝界面活性剤溶液を含む容器を備え、前記緩衝界面活性剤溶液はpHが約pH6.0〜約pH9.0の範囲にある。本発明の1実施形態では、前記緩衝界面活性剤溶液は、試薬組成物中における濃度が約0.05%〜約2%(w/v)の範囲であるDTABを含み、任意選択で、試薬組成物中における濃度が約1mM〜約20mMの範囲であるNaFを含み、任意選択で、試薬組成物中における濃度が約1%〜約5%の範囲であるTHESIT、すなわち耐性増大非イオン性界面活性剤物質を含む。キットは、凍結乾燥ルシフェラーゼ、好ましくは配列番号1、2、3、または4、最も好ましくは配列番号2または4の配列を有するルシフェラーゼを含む別の容器をさらに備える。好ましくは、ルシフェラーゼは、緩衝界面活性剤溶液と組み合わせて試薬組成物を作製すると濃度が1μg/ml以上、より好ましくは80μg/ml以上である。凍結乾燥ルシフェラーゼを含む容器は、凍結乾燥ルシフェリンをさらに含むことが好ましい。本発明のキットは、任意選択で、ATPを測定する目的でキットを使用するための教示書をさらに含む。
好ましい実施形態では、本発明は、1つまたは複数の試験化合物の存在下におけるサンプル中の酵素(例えばキナーゼ)活性を決定するために発光測定前に必要とされる操作を減らして単一工程とする。本発明の単一工程のATPアッセイでは、酵素、基質、耐性増大物質、およびATPase阻害剤などの、ATP依存性酵素(例えばルシフェラーゼ)の必要な構成要素のすべてが試薬組成物中に含まれ、1度にサンプルに加えられる。いくつかの実施形態では、試薬組成物の1構成要素として酵素安定化剤が含まれる。
本発明の他の実施形態では、サンプル中のルシフェリンのレベルを検出し定量することによって、好ましくは高スループット・スクリーニング形式で、酵素、例えばプロテアーゼの活性に対する1つまたは複数の化合物の影響を決定するための方法、組成物およびキットが提供される。該方法は、ルシフェラーゼ酵素、化合物の干渉に関する耐性を改善するための耐性増大物質、およびルシフェラーゼの基質前駆体であるプロテアーゼ基質、例えばアミノ修飾されたアミノルシフェリン、あるいはそのカルボキシル保護誘導体などを含む組成物(「試薬組成物」)をサンプルに加える工程と、ルシフェラーゼにより基質由来のアミノルシフェリンを発光化合物に変換することによってサンプル中に生じた発光を、検出する工程とを含む。これらの覆面ルシフェラーゼ基質はプロテアーゼによって切断されて覆面が外される。例えば、アミノ修飾されたアミノルシフェリン、またはその誘導体は、アミノルシフェリンのアミノ基にプロテアーゼ基質が共有結合しており、プロテアーゼはこの共有結合またはペプチド結合においてその基質を切断し、ルシフェラーゼの基質であるアミノルシフェリンを放出することが可能である。その全容を本願明細書に援用する、「プロテアーゼの生物発光アッセイ(Bioluminescent protease assay )」という表題の2002年2月1日に出願された米国特許出願第60/353,158号(譲受人:プロメガ・コーポレイション(Promega Corp. ))は、プロテアーゼ活性を決定するためのルシフェラーゼ・アッセイおよび有用なプロテアーゼ基質を記載している。
本発明の1態様では、1つまたは複数の化合物の存在下におけるプロテアーゼ活性、例えばカスパーゼ、トリプシンまたはトリプターゼの活性を決定するための感度のよい発光法が提供される。例えば本発明により、1つまたは複数の化合物の存在下における1つまたは複数のカスパーゼの活性を決定するための発光アッセイ法が提供される。該方法は、1つまたは複数のカスパーゼを有する疑いのあるサンプルと、甲虫ルシフェラーゼおよびアミノ修飾された甲虫アミノルシフェリンまたはそのカルボキシル保護誘導体、ならびに耐性増大物質を含む混合物とを接触させる工程を含み、前記アミノルシフェリンまたはその誘導体のアミノ基が、同アミノルシフェリンとのペプチド結合を介してカスパーゼの基質またはそのカルボキシル保護誘導体と共有結合するように修飾されていることを特徴とする。基質中に認識部位を有するカスパーゼがサンプルに含まれていれば、該基質とアミノルシフェリンを連結するペプチド結合部位においてその基質は切断され、混合物中にルシフェラーゼの基質であるアミノルシフェリンが生成する。次いで発光を検出する。本発明の方法は、発光とプロテアーゼ濃度またはプロテアーゼ活性とを関連付ける工程をさらに含むが、すなわち、発光の増大は、プロテアーゼの濃度または活性の増大と関連がある。本明細書で定義するように、基準的な基質の「機能的同等物」という用語は、基準的な基質の配列に対して1つまたは複数のアミノ酸置換を有する基質であり、その機能的に同等な基質は、基準的な基質とほぼ同じ効率で、同じプロテアーゼによって認識され切断される。好ましくは、2002年2月1日に出願された米国特許出願第60/353,158号に記載の発光基質を使用する方法に関しては、プロテアーゼ・アッセイの感度の増大は、少なくとも1つの基質分子またはその機能的同等物と共有結合した蛍光物質を含む複合体を使用する類似のアッセイの感度より、少なくとも2倍、より好ましくは3、4、5、6、7、8、9、または10倍、あるいはそれを超えて、例えば少なくとも15、20、25、30、40、50、100、200、500、または1000倍以上高い。したがって、本発明の方法は、サンプル中の5uU未満、あるいはそれ未満、例えば1uU未満、0.5uU未満または0.2uU未満のカスパーゼを検出することが可能である。本明細書で使用される場合、検出限界とは、バックグラウンド・ノイズよりも3SD(SD:標準偏差)だけ高いことを意味する(「ノイズ」とは、バックグラウンド値の1SDであり、バックグラウンドとはカスパーゼを含まない対照である)。
アミノルシフェリンまたはローダミン−110のいずれかと結合させたカスパーゼ3および7の基質を使用して、アミノルシフェリン系基質の検出限界は精製カスパーゼ0.2〜0.5uUであり、ローダミン−110系基質の検出限界は10uUであることが見出された。アミノルシフェリン系基質を用いたカスパーゼ発現細胞の検出限界は、1時間当たり細胞15個であり、一方ローダミン−110系基質の検出限界は、1時間当たり細胞150個であることも見出された。本発明の方法は、精製された酵素、部分的に精製された酵素、あるいは粗精製の酵素調製物を含むサンプルと共に使用することが可能である。
本発明は、アスパラギン酸を含む基質を特異的に切断するプロテアーゼの活性を検出するための発光アッセイ法も提供する。この方法は、1つまたは複数のアスパラギン酸特異的プロテアーゼを有し、かつ1つまたは複数の化合物を含むサンプルと、ルシフェラーゼ、耐性増大物質、およびアミノ修飾されたアミノルシフェリンまたはそのカルボキシル保護誘導体を含む混合物とを接触させる工程を含み、アミノルシフェリンまたはその誘導体のアミノ基が、該アミノルシフェリンまたはそのカルボキシル保護誘導体とのペプチド結合を介して基質と共有結合するように修飾されていることを特徴とする。アスパラギン酸を認識部位とするプロテアーゼは、アスパラギン酸を含む基質とアミノルシフェリンとを連結するペプチド結合部位において基質を切断し、混合物中にアミノルシフェリン、すなわちルシフェラーゼの基質を生成する。次いでサンプル中の発光を検出する。アスパラギン酸を含む基質を特異的に切断する好ましいプロテアーゼには、カスパーゼ、例えばカスパーゼ1〜14のいずれか1つがあるが、これらに限定はされない。好ましい基質はX−X−X−D(式中XはY、D、L、V、I、A、W、またはPであり;XはVまたはEであり;かつXは任意のアミノ酸である)を含んでなり、例えばDEVD、WEHD、VDVAD、LEHD、VEID、VEVD、VEHD、IETD、AEVD、LEXD、VEXD、IEHD、またはPEHDを含む基質である。
本発明は、1つまたは複数の化合物の存在下におけるトリプシン活性またはトリプターゼ活性を決定するための発光アッセイ法も提供する。この方法は、トリプシンまたはトリプターゼおよび1つまたは複数の試験化合物を有するサンプルと、ルシフェラーゼおよびアミノ修飾されたアミノルシフェリンまたはそのカルボキシル保護誘導体、ならびに耐性増大物質を含む混合物とを接触させる工程を含み、アミノルシフェリンまたはその誘導体のアミノ基が、該アミノルシフェリンまたはそのカルボキシル保護誘導体とのペプチド結合を介してトリプシンまたはトリプターゼの基質と共有結合するように修飾されていることを特徴とする。次いで発光を検出する。発光アッセイは、少なくとも1つの基質分子またはその機能的同等物と共有結合した蛍光物質を含む複合体を用いる相応のアッセイよりも感度が高いことが好ましい。トリプシンに関しては、アルギニンおよびリシンが機能的に同等な基質である。なぜならトリプシンは、ほぼ同じ効率でこれらの残基の後のペプチド結合を切断するからである。トリプシンまたはトリプターゼ用の本発明の発光基質を使用する方法を用いると、アッセイの感度の増大は、少なくとも1つの基質分子またはその機能的同等物と共有結合した蛍光物質を含む複合体を使用するアッセイの感度より、少なくとも2倍、より好ましくは3、4、5、6、7、8、9、または10倍、あるいはそれを超えて、例えば少なくとも15、20、25、30、40、50または100倍以上高い。トリプシンの基質を使用して、リシル−アミノルシフェリン基質の検出限界が3.0pgであり、一方アルギニン−ローダミン−110系基質の検出限界は12〜30pgであることが見出された。したがって、アミノ修飾されたアミノルシフェリン基質を使用するトリプシン・アッセイは、2つの機能的に同等なトリプシン基質と共有結合したローダミン−110を含む複合体を用いる相応のアッセイより、少なくとも4倍感度がよい。
1つまたは複数の試験化合物の存在下でアルギニンまたはリシンを含む基質を特異的に切断するプロテアーゼの活性を決定するための発光アッセイ法をさらに提供する。この方法は、アルギニンまたはリシンを含む基質に特異的な1つまたは複数のプロテアーゼ、および1つまたは複数の試験化合物を有するサンプルと、ルシフェラーゼ、耐性増大物質、ならびにアルギニンまたはリシンを含む基質とペプチド結合によって共有結合したアミノ修飾されたアミノルシフェリンまたはそのカルボキシル保護誘導体を含む混合物とを接触させる工程を含む。次いでサンプル中の発光を検出する。このアッセイは、該基質または該基質の機能的同等物と共有結合した蛍光物質を含む複合体を用いる相応のアッセイよりも感度が高いことが好ましい。トリプターゼは、アナフィラキシー反応およびアレルギー性鼻炎などのアレルギー反応を含めた炎症状態と関係がある活性化肥満細胞から放出され、かつ便中のトリプシンはのう胞性線維症の指標である可能性があるので、本発明の方法は、抗炎症療法に役立つ可能性がある試験化合物をスクリーニングするのに非常に有用である。
本発明の方法において有用なキットも想定される。このようなキットは、本発明のアミノ修飾されたアミノルシフェリンまたはカルボキシル保護誘導体、およびそれらを使用するための教示書、ルシフェラーゼ、耐性増大物質、さらに任意選択で発光反応用のバッファーも含むことが可能である。
本発明の他の実施形態では、1つまたは複数の試験化合物の存在下でP−450活性を測定するための方法が提供される。1つまたは複数のP−450酵素および1つまたは複数の試験化合物を含む反応混合物を調製し、所定の時間インキュベートする。その後、この混合物を発光分子と接触させ、所定の時間インキュベートする。チトクロムP−450は、第1の反応において発光分子を代謝して生物発光酵素の基質とする。次いで反応混合物を、ルシフェラーゼおよび耐性増大物質と接触させる。次いで生物発光酵素は、第2の発光反応において基質に作用する。アッセイ混合物から生じた発光の量を対照混合物と比較して測定することによって、チトクロムP−450活性が間接的に決定される。対照には、P450酵素を水またはP−450バッファーに置き換えるか、組換えP−450膜調製物をP−450酵素が含まれない類似の調製物に置き換えるか、NADPHを除去するか、またはルシフェリン基質を加える前にP−450酵素を熱変性させることが必要であろう。所定の時間インキュベーションした後に、あるいは反応開始時から連続的に、発光を測定することが可能である。その全容を本願明細書に援用する、「チトクロムP−450活性を測定するための発光を用いる方法ならびにプローブ(Luminescence-based methods and probes for measuring cytochrome P-450 activity )」という表題の、2003年9月19日に出願された米国特許出願第10/665,314号(譲受人:プロメガ・コーポレイション(Promega Corp. ))、およびその開示のその全容を本願明細書に援用する、2003年9月19日に出願された米国特許出願第10/665,314号には、P−450活性および有用な発光基質を決定するためのルシフェラーゼ・アッセイが記載されている。
P−450活性は、P450基質またはP450基質/生物発光酵素の基質前駆体である発光分子、例えば甲虫ルシフェリンまたはルシフェリン誘導体などを使用して、決定することが可能である。本明細書で使用する用語「ルシフェリン誘導体」は、D−ルシフェリンの実質的な構造を有するある種の発光性の分子または化合物であって、恐らく1つまたは複数のチトクロムP450酵素の基質でありかつルシフェラーゼの基質前駆体であると思われるものを指す。チトクロムP450の存在下で、該化合物はルシフェラーゼの基質であるルシフェリンへと代謝される。予めP450により代謝されない場合、該化合物の一部は、ルシフェリンを伴う反応を阻害する能力を有することから示されるように、ルシフェラーゼと結合する可能性はあるが、該化合物が光生成反応における基質として代謝回転されることはない。いかなる作用理論によっても縛られずに、これらの化合物はルシフェラーゼの競合阻害剤である可能性が最も高いと考えられる。有用なD−ルシフェリン誘導体は、全容が本願明細書に援用される2003年9月19日に出願された米国特許出願第10/665,314号明細書中に開示されている。
本発明の他の実施形態では、チトクロムP450酵素の活性を測定するための方法が提供される。P450基質でありかつ生物発光酵素の基質前駆体である発光分子を、1つまたは複数のチトクロムP450酵素および生物発光酵素と、同時あるいは段階的に、所定の時間接触させることが可能である。P450の存在下では、第1の反応において発光分子が生物発光酵素の基質へと代謝される。次いで生物発光酵素が第2の発光反応において基質に作用する。反応混合物から生じた発光の量を対照(例えばP450酵素を含まないもの)と比較して測定することによって、チトクロムP450活性を決定することが可能である。P450反応が起きるためには、一般にP450リダクターゼ、NADPHおよびMg+2が反応系中に存在する。同様に、一般にホタル・ルシフェラーゼの活性にはATPおよびMg+2の存在が必要とされるが、ウミシイタケ・ルシフェラーゼの活性には必要とされない。任意の適切な濃度の発光分子を、反応混合物中に使用すればよい。本発明を実施する際に、発光分子の濃度は一般に約10nM〜1mMの範囲、好ましくは特定のP450アイソフォームによる基質用量に対する応答の直線範囲内、最も好ましくはその特定の基質/P450アイソフォーム反応のKm、または同反応のVmaxである。
天然のセレンテラジンおよびセレンテラジン誘導体(セレンテラジンと総称する)である発光分子を使用して、P450活性を測定することも可能である。セレンテラジンは、広く様々な生物発光タンパク質、特に海洋生物ルシフェラーゼによる作用を受けると発光することが知られている。海洋生物ルシフェラーゼの例には、ウミシイタケ・ルシフェラーゼ、エクオリン、ガウシア属(Gaussia )のルシフェラーゼ、発光エビ(Oplophorus)ルシフェラーゼ、およびウミホタル(Cypridina )ルシフェラーゼがある。有用なセレンテラジンは、その開示のその全容を本願明細書に援用する、2001年11月2日に出願された米国特許出願第10/053,482号に開示されているがこれらに限定はされない。セレンテラジンは、米国ウィスコンシン州マディソン所在のプロメガ・コーポレイション、および米国オレゴン州ユージーン所在のモレキュラー・プローブス・インコーポレイティッドから入手可能である。セレンテラジンは、例えばシモムラ(Shimomura )他、バイオケミカル・ジャーナル誌(Biochem. J. )第261巻,p.913〜20、1989年;イノウエ(Inouye)他、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ誌(Biochem. Biophys. Res. Comm.)第233巻、p.349〜53、1997年;およびテラニシ(Teranishi )他、アナリティカル・バイオケミストリー誌(Anal. Biochem.)第249巻:p.37〜43、1997年に記載されているように合成することも可能である。
これらのセレンテラジンに対し、P450は2つのうち一方の方法で作用する。1つの反応経路では、発光分子はP450基質でありかつ生物発光酵素の基質前駆体であり、特徴的なセレンテラジンの化学発光(生物発光酵素、例えばウミシイタケ型ルシフェラーゼ不在下での発光)は示さない。第1の反応における発光分子のP450による代謝の結果、ウミシイタケ・ルシフェラーゼの基質が生成する。次いで第2の発光反応において該基質にウミシイタケ・ルシフェラーゼが作用する。次いでP450活性が、反応混合物の発光を対照反応混合物と比較して測定することによって確認される。第2の反応経路では、セレンテラジンまたはセレンテラジン誘導体は化学発光を示し、かつウミシイタケ型ルシフェラーゼの基質である。このような発光分子がP450により代謝される結果、化学発光およびウミシイタケ型ルシフェラーゼによる活性が消失する。いずれの型の反応経路においても、P450単独の作用による化学発光の変化によって直接的に、あるいはウミシイタケ型ルシフェラーゼ由来の生物発光の変化によって間接的に、P450活性を検出することが可能である。有用なセレンテラジンは、その開示の全容を本願明細書に援用する、2001年11月2日に出願された米国特許出願第10/053,482号、ならびにその開示の全容を本願明細書に援用する、2003年9月19日に出願された米国特許出願第10/665,314号に開示されているが、それらに限定はされない。
本発明の他の態様では、1つまたは複数の試験化合物の存在下でP−450活性を決定するための方法が提供される。この方法に従い、1つまたは複数のP−450酵素、1つまたは複数の試験化合物、および発光分子を含む反応混合物を調製し、所定の時間インキュベートする。次いで反応混合物を所定の時間インキュベートする。P−450酵素は発光分子を代謝して生物発光酵素の基質へと転換する。その後、第2の反応混合物を、所定の時間ルシフェラーゼおよび耐性増大物質と接触させる。ルシフェラーゼ酵素は、第2の発光反応において基質に作用する。次いで、反応混合物から生じた発光の量を対照(例えばP450酵素を含まないもの)と比較して測定することによって、チトクロムP450活性を間接的に決定する。試験化合物がチトクロムP−450の代わりに、あるいはチトクロムP−450以外に、ルシフェラーゼと直接相互作用する場合、耐性を増大させる構成要素によって、チトクロムP450活性のさらに正確な定量が可能となる。
本発明のさらに他の実施形態では、好ましくは高スループット・スクリーニング形式で、ATP生成酵素の活性に対する1つまたは複数の化合物の影響を測定するための、方法、組成物およびキットが提供される。この方法は、ADP、ATP生成酵素、および化合物を含むサンプルに、ルシフェラーゼ酵素、化合物の干渉に関する耐性を改善するための耐性増大物質、および場合によってはATPase阻害剤を含む組成物(「試薬組成物」)を加える工程と、ルシフェラーゼにより基質(ルシフェリン)を発光化合物に変換することによってサンプル中に生じた発光を検出する工程とを含む。代表的なATP生成酵素には、ホスホグリセリン酸キナーゼまたはホスホピルビン酸キナーゼがあるが、これらに限定はされない。その全容を本願明細書に援用する、2001年5月22日に発行された米国特許第6,235,480号(譲受人:プロメガ・コーポレイション)を参照すると、ATP生成酵素の活性を決定するためのルシフェラーゼ・アッセイが記載されている。本発明の試薬組成物は、化合物の干渉に関する耐性を改善するための耐性増大物質、および/または1つまたは複数の任意選択のATPase阻害剤(好ましくは界面活性剤)、および非内在性のATP依存性酵素を含み、この組成物は、該酵素をATPase阻害剤と組み合わせた直後(0〜10分後)のその活性と比較して、少なくとも約30%の酵素活性を少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間、より好ましくは少なくとも約4時間維持することが可能であり、1つまたは複数のATPase阻害剤が、サンプル内在性のATPase活性を、ATPase阻害剤の不在下におけるサンプル内在性のATPase活性と比較して、少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいはこの中の任意の増分だけ、全体的に低下させるのに充分な濃度で組成物中に存在することを特徴とする。本発明の好ましい実施形態では、非内在性のATP依存性酵素は、ルシフェラーゼである。
好ましい実施形態では、本発明の試薬組成物の構成要素は、使用直前に混合される2つの部分:(1)ルシフェラーゼを含む部分、および(2)1つまたは複数の化合物からの干渉に対するルシフェラーゼの耐性を改善するための耐性増大物質、および1つまたは複数の任意選択のATPase阻害剤を含む部分、として供給することが可能である。耐性増大物質がATPase阻害活性を有していてもよく、したがって、別個のATPase阻害剤の代わりに使用することが可能である。細胞溶解サンプルの場合ATPase阻害剤が存在することが望ましい。ルシフェラーゼ要素はルシフェリンをさらに含むことが可能であり、凍結乾燥されていることが好ましい。ルシフェラーゼ要素は、凍結乾燥用の賦形剤、タンパク質(ルシフェラーゼ)安定化剤、マグネシウム(または他のカチオン)、およびマグネシウム・キレート剤(または他のカチオン・キレート剤)を任意選択で含む。ATPase阻害剤要素は、バッファー、2価カチオン金属キレート剤、マグネシウム(または他のカチオン)、消泡剤、抗ATP生成酵素剤(例えばNaF)、酵素安定化剤(例えばTHESIT)、およびサンプル中に存在するATPの量を安定化させるATPase阻害剤(および場合によってはキナーゼ阻害剤)が存在する場合に細胞内ATPを長時間検出および定量するための信頼性のある有効な方法をもたらす物質をさらに含むことが可能である。
C.ルシフェラーゼ
その触媒生成物が光を含むルシフェラーゼ酵素は、高い感度、検出可能な生成物を提供し、ATPまたは他の分子(ルシフェリンまたはルシフェリン誘導体など)の容易な測定を可能にする。しかしながら、任意の発光生成酵素を、本発明の方法および組成物において使用することが可能である。
その最も基本的なレベルにおいて、ルシフェラーゼは発光を生成する能力により定義される。より詳細には、ルシフェラーゼとは、基質であるルシフェリンの酸化を触媒することによってオキシルシフェリンおよび光子を生成する酵素である。
今日までに、5分類のルシフェラーゼが同定されている(ジョーンズ(Jones )他、1999年;トムソン(Thomson )他、1997年)。これらの中で、一般的なホタル(ホタル科(Lampyridae))のルシフェラーゼなどの、甲虫ルシフェラーゼは、固有の進化起源を有する、異なる分類を形成する(マッケルロイ(McElroy )他、1969年;ホワイト(White )他、1969年;ホワイト他、1975年)。甲虫ルシフェラーゼは、文献中ではホタル・ルシフェラーゼと呼ばれることが多い;しかしながら、ホタル・ルシフェラーゼは実際には、甲虫ルシフェラーゼ類の亜群である。甲虫ルシフェラーゼは、甲虫のランタン自体から、あるいは当分野でよく知られているタンパク質発現系から、精製することが可能である(バルドウィン(Baldwin )およびグリーン(Green )、2000年;ベニー(Beny)およびドリボ(Dolivo)、1976年、ブランチニ(Branchini )他、1980年;フィリポバ(Filippova )他、1989年)。
甲虫ルシフェラーゼ、特に北アメリカ産ホタルPhotinus pyralis由来のホタル・ルシフェラーゼは、当分野でよく知られている。P.pyralisルシフェラーゼ(LucPpy)は、その遺伝子のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質としての計算によれば、61kDaの約550アミノ酸からなる。ホタル・ルシフェラーゼの他の例は、Photuris pennsylvanicaのホタル・ルシフェラーゼ(LucPpe2;545アミノ酸、GenBank2190534、(イェー(Ye)他、1997年))である。LucPpe2に由来する突然変異ルシフェラーゼ(例えばLucPpe2m78(78−OB1Oとしても知られている)、配列番号1;LucPpe2m90(90−1B5としても知られている)、配列番号2、LucPpe2m133(133−1B2としても知られている)、配列番号3、LucPpe2m146(146−1H2としても知られている)、配列番号4)を、本発明の方法において使用することが可能である。さらに、本明細書で述べる制約に見合う任意のルシフェラーゼを、本発明の組成物、方法およびキットにおいて使用することが可能である。LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133、およびLucPpe2m146を作製する方法は、PCT/US99/30925に開示されている。
いくつかの実施形態では、単離および/または精製されたルシフェラーゼを本発明において使用することが可能である。ルシフェラーゼの天然における環境から混入する要素は、ルシフェラーゼの診断上または治療上の用途を一般に妨害すると思われる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性物質が挙げられる。純度を確かめるための1つの技法は、クーマシーブルーまたは銀染色を使用して、非還元または還元条件下においてSDS−PAGE分析を施すことである。単離ルシフェラーゼには、組換え細胞内に存在する状態(in situ)のルシフェラーゼが含まれる。なぜなら、ルシフェラーゼの天然における環境のうち少なくとも1つの要素が存在しないからである。ルシフェラーゼを生成する生物試料から、あるいは所望のルシフェラーゼをコードする外来ポリヌクレオチド(例えば、78−OB10、90−1B5、133−1B2、または146−1H2をコードするヌクレオチド;それぞれ配列番号5〜8)を発現する細胞から、ルシフェラーゼを単離することが可能である。このような技法は、当業者にはよく知られている。
甲虫ルシフェラーゼの天然に存在する基質は、ホタル・ルシフェリン、すなわち多環複素環式有機酸のD−(−)−2−(6’−ヒドロキシ−2’−ベンゾチアゾリル)−Δ−チアゾリン−4−カルボン酸(ルシフェリン)である。ルシフェリンは天然から(例えばホタルから)単離してもよいし、合成してもよい。合成ルシフェリンは、天然に存在するルシフェリンと同じ構造を有していてもよいし、同様に機能する限りは誘導体化してもよい(ボーイ(Bowie )他、1973年、ブランチニ(Branchini )、2000年;クライグ(Craig )他、1991年;ミスカ(Miska )およびゲイガー(Geiger)、1987年;ヤン(Yang)およびトマソン(Thomnason )、1993年)。ルシフェリンの誘導体の例には、D−ルシフェリンメチルエステル、D−ルシフェリル−L−フェニルアラニン、D−ルシフェリル−L−Nα−アルギニン、D−ルシフェリン−OサルフェートおよびD−ルシフェリン−O−ホスフェート(ミスカおよびゲイガー、1987年)、サンプル中の構成成分により加水分解またはエステラーゼ作用を受けてルシフェリンになる、ルシフェラーゼのエステル(クライグ他、1991年;ヤンおよびトマソン、1993年)がある。有用なルシフェリン類似体の他の例には、それぞれ緑色および赤色の光スペクトルで光を発する、ナフチル−およびキノリルルシフェリンがある(ブランチニ(Branchini )他、1989年)。ルシフェリンの商業的供給元は複数存在する(例えば、米国ウィスコンシン州マディソン所在のプロメガ・コーポレイション、米国オレゴン州ユージーン所在のモレキュラー・プローブス)。
甲虫ルシフェラーゼに触媒される発光反応(ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応)には、ホタル・ルシフェリン、アデノシン三リン酸(ATP)、マグネシウム、および分子状酸素が関与する。最初の反応では、ホタル・ルシフェリンとATPが反応して、無機ピロリン酸が除かれたルシフェリルアデニレートを形成する。ルシフェリルアデニレートは、ルシフェラーゼの触媒部位と強く結合したままの状態である。この形態の酵素が分子状酸素に曝されると、酵素に結合しているルシフェリルアデニレートが酸化されて、電気的に励起された状態のオキシルシフェリンが生成する。励起状態の酸化ルシフェリンは、基底状態に戻るときに光を放出する。
この反応におけるATPの機能は、ATP類似体(例えばdATP)によって行うことが可能であると企図される。他のイオン(例えばMn2+またはCa2+)が、マグネシウムイオンの代わりとして働くことが可能であることも企図される。さらに、酸素はこの反応の反応物であるので、反応は嫌気的条件下で実施するべきではない。しかしながら、本発明を実施する際に、空気中に存在する酸素を越えて酸素を与えることは一般に必要ではない。反応溶液中に充分な酸素が存在すれば、反応を密閉容器中で行うことが可能である。
大部分のルシフェラーゼ−ルシフェリン反応は、短命の閃光を生じる。しかしながら、本発明の方法で使用することが可能ないくつかのルシフェラーゼ、例えばLucPpe2m146およびLucPpe2m90ルシフェラーゼは、本発明の条件下において、試薬組成物をサンプルと組み合わせた後に、1時間当たりの発光の損失が50%未満の、「グロー型」の発光シグナルを生成する。
本発明の試薬組成物中で使用する場合に発光を生み出す能力を保持し、かつ試薬組成物が本発明の安定性要件を満たすのを妨げない、任意のルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ変異体、ルシフェラーゼ断片、または変異ルシフェラーゼ断片を、本発明において使用することが可能である。
完全長のルシフェラーゼ変異体は、天然の配列を有する完全長ルシフェラーゼ配列と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、好ましくは少なくとも約81%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%のアミノ酸配列同一性、および最も好ましくは少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有し、発光を生み出す能力を保持するであろう。通常、変異ルシフェラーゼ断片は、少なくとも約50アミノ酸長であり、少なくとも約60アミノ酸長であることが多く、少なくとも約70、80、90、100、150、200、300、400、500または550アミノ酸長以上であることがさらに多く、発光を生み出す能力を保持している。ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ断片、ルシフェラーゼ変異体または変異ルシフェラーゼ断片を、ルシフェラーゼではない他のアミノ酸配列と融合させ、かつ本発明における機能を維持させることも可能である。
本発明の組成物および方法において使用する、完全長ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ断片、ルシフェラーゼ変異体、および変異ルシフェラーゼ酵素の断片は、天然の供給源から精製してもよいし、いくつかの技法、すなわち(1)化学合成、(2)ルシフェラーゼの酵素(プロテアーゼ)による消化、および(3)組換えDNA法などによって調製してもよい。化学合成法は、プロテアーゼを使用して特定の部位を切断する方法と同様に、当分野ではよく知られている。ルシフェラーゼタンパク質のセグメントを生成するために、ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼ変異体のセグメントを作製し、次いで大腸菌などの宿主生物体中で発現させることが可能である。エンドヌクレアーゼ消化またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの方法によって、当業者は、特定の断片を無制限に供給させることが可能である。ルシフェラーゼ断片は、少なくとも1つの生物学的活性、および触媒活性を天然のルシフェラーゼと共有することが好ましいが、活性のレベルは天然のルシフェラーゼの活性レベルと異なっていてもよい。
任意の種類のアミノ酸置換、挿入もしくは欠失、またはこれらの組合せを使用して、変異体ルシフェラーゼを生成することが可能である。しかしながら、保存的アミノ酸置換(同類アミノ酸置換)を有するルシフェラーゼが活性を保持している可能性がより高い。有用な保存的置換を、表A「好ましい置換」中に示す。ある分類のアミノ酸が同じ分類の他のアミノ酸と置換される保存型の置換は、その置換がルシフェラーゼ活性を害さない場合、本発明の範囲内に入る。
Figure 0005620632
(1)ポリペプチド骨格の構造、例えばβ−シート構造もしくはαらせん構造など、(2)電荷または(3)疎水性、あるいは(4)標的部位の側鎖の嵩、に影響を与える非保存的置換は、ルシフェラーゼ機能を変化させる可能性がある。残基は、表Bに示す共通の側鎖の性質に基づいて、いくつかの群に分けられる。非保存的置換は、これらの群の1つのメンバーを他の群のメンバーと交換することを伴う。
Figure 0005620632
変異体ルシフェラーゼ遺伝子または遺伝子断片は、オリゴヌクレオチドを仲介した(部位指定)突然変異誘発法、アラニン・スキャニング、およびPCR突然変異誘発法などの、当分野で知られている方法を使用して作製することが可能である。部位指定突然変異誘発(カーター(Carter)、1986年;ゾラー(Zoller)およびスミス(Smith )、1987年)、カセット突然変異誘発、制限酵素部位選択突然変異誘発(ウェルズ(Wells )他、1985年)、または他の知られている技法をクローニングされたDNAに使用して、ルシフェラーゼ変異体DNAを生成することが可能である(アウスベル(Ausubel )他、1987年;サムブルック(Sambrook)1989年)。
1.選択したルシフェラーゼ
基質を酸化する際に光子を放出する任意のルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ断片、またはそれらの変異体を、本発明で使用することが可能である。熱安定性、化学的安定性、およびシグナル安定性などの、他の望ましい特徴も企図される。さらに、ルシフェラーゼを他のアミノ酸配列と融合させることが可能であり、かつ本発明における機能性を保つようにすることも可能である。このような酵素はin vitroで合成してもよいし、あるいは他の生物から単離してもよい。
天然に存在するルシフェラーゼは、例えば細菌、単細胞緑藻、腔腸動物、甲虫(P.pennsylvanica以外)、魚類、および他の生物において見出すことが可能である。化学的には、すべてのルシフェラーゼが、分子状酸素と様々なルシフェリンとの発エルゴン反応を伴い、その結果光子を生成する(ハスティングス(Hastings)、1996年;ハスティングス(Hastings)およびウィルソン(Wilson)、1976年;ウィルソン(Wilson)およびハスティングス(Hastings)、1998年、ウッド(Wood)他、1989年)。
甲虫由来のルシフェラーゼ以外のルシフェラーゼを使用するには、酸化の際に化学的かつ電気的に不安定な中間体または検出可能な酵素生成物を生成する、適切なルシフェリン分子が必要である。他の基質、および検出可能な酵素生成物を生成する他のATP依存性酵素を使用することも可能である。検出可能な生成物には、光子、放射標識生成物、不溶性もしくは可溶性の色原体、または肉眼もしくは装置を使用することによって検出することが可能なその他の生成物がある。
いくつかの実施形態では、本発明のルシフェラーゼは、ATP依存的で光子を放出する触媒活性を有する。他の実施形態では、本発明のルシフェラーゼは、ATPase阻害剤の存在下において、同じ反応条件下でのP.pyralisルシフェラーゼ(LucPpy)の化学的安定性のレベルと比較して高い化学的安定性を有する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物および方法において使用するルシフェラーゼは安定したシグナルを生成する。すなわち該ルシフェラーゼはルシフェラーゼ反応において長時間の発光を生成し、長時間の発光とはルシフェラーゼ反応開始時の発光に対して、1時間当たりの発光の消失が50%未満であるとして定義される。さらに他の実施形態では、本発明のルシフェラーゼによって、ルシフェラーゼ反応が開始された1時間後、より好ましくは2時間後、最も好ましくは4時間以上後に、経時的に1サンプルを多数回分析すること、または経時的に多くのサンプルを分析することが可能になる。場合によっては、本発明の組成物および方法において使用するルシフェラーゼは、熱安定性を高めたものである。ルシフェラーゼに一例は、LucPpe2m146(配列番号4)である。本発明において有用な酵素の他の例には、LucPpe2m78(配列番号1)、LucPpe2m90(配列番号2)、およびLucPpe2m133(配列番号3)があるが、これらに限定はされない。
ルシフェラーゼLucPpe2m78(配列番号1)、LucPpe2m90(配列番号2)、LucPpe2m133(配列番号3)およびLucPpe2m146(配列番号4)は、P.pennsylvanicaの突然変異体(T249M)から作製した。このタンパク質をコードする核酸配列に反復(recursive )突然変異誘発を含む突然変異誘発法を施してから、熱安定性、シグナル安定性、および基質結合性に関してスクリーニングしたが、これはウッド(Wood)およびホール(Hall)(国際公開公報第9914336号、1999年)に全容が記載されている。
2.化学的に安定なルシフェラーゼ
本明細書で使用する「化学的に安定なルシフェラーゼ」とは、一般にATPaseを阻害し、LucPpyなどの化学的に安定でないルシフェラーゼの機能を害する化合物の存在下または条件下において、活性を維持するルシフェラーゼと定義する。同定した上記のルシフェラーゼLucPpe2m78(配列番号1)、LucPpe2m90(配列番号2)、LucPpe2m133(配列番号3)およびLucPpe2m146(配列番号4)は、ATPase阻害剤に対して高い化学的安定性を有することが、本明細書に記載されている。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明のルシフェラーゼは、サンプル内在性のATPase活性を全体で少なくとも約25%(好ましくは少なくとも約30%、さらにより好ましくは少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、あるいはこの中の任意の増分)低下させるのに充分な量のATPase阻害剤、好ましくは界面活性剤、例えばカチオン性界面活性剤(好ましくはDTABまたはBDDABr)、アニオン性界面活性剤(好ましくはデオキシコレートまたはSDS)、または両性イオン性界面活性剤(好ましくはスルホベタイン3−10)、あるいはこれらの組合せと接触させた後に、少なくとも約1時間(好ましくは少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも4時間)、発光によって測定される酵素活性を、ATPase阻害剤の不在下でのサンプルのATPase活性と比較して少なくとも約30%(好ましくは少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、99%)維持するルシフェラーゼを含む。
酵素の化学的安定性は、酵素活性の経時的な低下率によって示すことも可能である。例えば、ATPase阻害剤とルシフェラーゼを混合することによって試薬組成物を作製した直後(0〜10分後)と、その後いくつかの時点で、試薬組成物の等分試料をサンプルに加え、その直後に相対光度単位(rlu)の測定値を得る。これらの測定値をグラフ化して、経時的に試薬組成物の酵素活性の低下の傾向を決定することが可能である。
化学的に安定なルシフェラーゼ(例えばPpe2m78、Ppe2m90、Ppe2m133、およびPpe2m146)は、複数の界面活性剤の溶液中でも活性を保持している。具体的には、0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、最も好ましくは0.25%のCHAPS(3−([3−コルアミドプロピル]ジメチルアンモニオ)−1−プロパンスルホネート)を、少なくとも0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、および最も好ましくは0.3%または1.0%のBDDABr、タウロコール酸またはタウロリトコール酸、またはDTABとともに含む溶液、あるいは0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、最も好ましくは1.0%のタウロコール酸またはタウロリトコール酸を、少なくとも0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、および最も好ましくは0.3%または1.0%のBDDABr、DTAB、またはCHAPSとともに含む溶液である。その他の複数の界面活性剤溶液であって、該溶液中でLucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133およびLucPpe2m146が活性を保持する溶液には、0.01%、好ましくは0.05%、最も好ましくは0.1%のTRITON X−100を、少なくとも0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、0.5%、最も好ましくは1.0%のBDDABr、DTAB、またはCHAPSとともに含む溶液、あるいは0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、最も好ましくは1.0%のタウロコール酸またはタウロリトコール酸を、少なくとも0.01%、好ましくは0.05%、0.1%、0.2%および最も好ましくは0.3または1.0%のBDDABr、DTAB、またはCHAPSとともに含む溶液;あるいは0.05%、1.0%、2.0%、4.0%、好ましくは2%のポリエチレングリコール400ドデシルエーテル(THESIT)を、少なくとも0.05%、好ましくは0.1%、0.2%および最も好ましくは0.3%または1.0%のBDDABr、DTAB、またはCHAPSとともに含む溶液がある。
3.熱に安定なルシフェラーゼ
いくつかの実施形態では、発光を生成する熱に安定なルシフェラーゼ、または検出可能なシグナルを生成するその他の熱に安定なATP依存性酵素を本発明の方法に使用すること、特にATP検出の直前に熱処理するサンプル中で使用することが可能である。熱に安定なポリペプチドは、他のタンパク質を失活または変性させる温度において活性状態を維持する。LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133およびLucPpe2m146酵素は、天然に見られるルシフェラーゼ、または天然から単離したポリヌクレオチドにコードされたルシフェラーゼと比較して、高い熱安定性を示す。
D.キット
本発明をキットとして供給するとき、組成物の異なる構成要素を別個の容器中にパッケージし、使用前に混合することが可能である。本発明の異なる構成要素が、これらのパーツのサブセットを構成してもよく、本発明の適用を容易にする、あるいは保存寿命を延ばす任意の方法で組み合わせることが可能である。
以下の項は、キットの構成要素のいくつかの例を提供することを目的とする。当業者は、本発明のキット中に与えられる実際の構成要素が、どの特定のアッセイを実施するかに応じて変わることを理解しているであろう。
1.ルシフェラーゼ−ルシフェリン構成要素
ATP依存性反応を触媒し発光を生成するすべてのルシフェラーゼ、ルシフェラーゼ変異体、ルシフェラーゼ断片および変異体ルシフェラーゼ断片について、本発明における使用が企図される。いくつかの実施形態ではルシフェリンが排除され、例えば、ユーザが彼/彼女の選択でルシフェリンを供給することが可能であり、あるいはルシフェリンを別途提供することも可能である。提供されるルシフェリンの種類は様々でよいが、提供されるルシフェラーゼの種類に適した基質でなければならない。
1実施形態では、キットは無水調製物としてルシフェラーゼを供給する。ルシフェラーゼの無水調製物は、真空下で水を除去して凍結乾燥してもよいし、結晶化してもよいし、氷結乾燥してもよいし、あるいはルシフェラーゼを失活させずに水を除去する任意の他の方法で調製可能である。血清アルブミンまたはPrionex(R)などの、調製物に嵩を与えルシフェラーゼを安定化させる賦形剤も含まれてよい。他の実施形態では、グリセロールまたはその中でルシフェラーゼが安定な他の溶媒を含む水性組成物に、ルシフェラーゼを懸濁させることが可能である。当業者は、本発明の組成物および方法において適切に機能する様々な構成成分の量を容易に決定することが可能である。
2.耐性増大物質
発光アッセイによって、生物学的または生物化学的プロセスと光の出力との間の相関関係が与えられる。化合物による干渉は、相関関係をある程度妨害したり変化させたりする可能性がある。本発明の「耐性増大物質」は、ルシフェラーゼのアッセイ系における干渉化合物の影響を最小限に、干渉化合物のない系に対して少なくとも約10%、好ましくは約30、50、60、70、80、90、95、96、97、98、99、および最も好ましくは約100%にすることによって、ルシフェラーゼ活性を実質的に保護することが可能であり、アッセイを相関関係に近づける。これらの耐性増大物質には、界面活性剤(例えばカチオン性、アニオン性、非イオン性、および/または両性イオン性)、および非界面活性剤があるが、これらに限定されない。非界面活性剤の耐性増大物質の例には、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、およびシクロデキストリンがあるが、これらに限定されない。個々のルシフェラーゼ・アッセイに適した、個々の耐性増大物質の選択および使用量は、既知のルシフェラーゼ阻害剤を含むルシフェラーゼ・アッセイにおいて様々な濃度の物質を滴定すること、およびこのようなアッセイから得た発光を、耐性増大物質を使用しないかあるいは少量使用する第2のアッセイと比較することを含めた、いくつかの方法によって決定することが可能である。任意の適切な一般的ルシフェラーゼ阻害剤を、耐性増大物質を同定しスクリーニングするための、標準阻害剤として使用することが可能である。以下の例は、いくつかの耐性増大物質をスクリーニングし、該物質をスクリーニングするための標準として周知の一般的なルシフェラーゼ阻害剤であるイソリクイリチゲニン(isoliquirtigenin)を使用するための代表的手法を提示する。
本発明を実施する際に、1つまたは複数の耐性増大物質をルシフェラーゼ・アッセイに使用して、酵素または細胞活性に対する1つまたは複数の化合物の影響を決定することが可能である。試薬中に存在する耐性増大物質の量は、スクリーニング中、1つまたは複数の化合物による干渉からルシフェラーゼの活性を少なくとも実質的に保護するために有効であるような量である。スクリーニング中、特に高スループット・スクリーニング中、1つまたは複数の化合物に対するルシフェラーゼの耐性を増大させるように機能する限りは、任意の適切なカチオン性、アニオン性、両性イオン性、または非イオン性界面活性剤を本発明において使用することが可能である。例えば、界面活性剤の適切な例には、Tergitol(非イオン性);Brij35(非イオン性);Brij58(非イオン性);TritonX−100(非イオン性);TritonX−305(非イオン性);TritonN101(非イオン性);Chaps(両性イオン性);Chapso(両性イオン性);Bigchap(非イオン性);Thesit(非イオン性);PluronicL64(非イオン性);Rhodasurf870;ChemalLA−9;Sulfonyl465;デオキシコレート(アニオン性);およびCTAB(カチオン性);PierceCO8;PierceC10;およびTergitol(登録商標)、例えばTergitolNP−9(登録商標)があるが、これらに限定はされない。1つまたは複数の試験化合物の存在下における酵素活性を決定するための、ルシフェラーゼ・アッセイに関しては、Tergitol(P−450およびキナーゼ活性用)、Thesit(キナーゼ用)、CHAPS(キナーゼ活性用)が好ましい。
3.ATPase阻害剤構成要素
サンプルのATP濃度を測定するときに特に有用な1実施形態では、本発明のキットは、他の機能的要素、例えばバッファー、消泡剤、酵素安定化剤などを任意選択で含む溶液中に、1つまたは複数のATPase阻害剤を含む要素からなる。この要素は、作業溶液として、あるいは濃縮物として、供給することが可能である。ATPase阻害剤要素(例えばCTAB)を単独でパッケージ化することも可能である。ATPase阻害剤は、本明細書で前に記載したATPase阻害剤のいずれであってもよい。この要素は、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応を害する可能性がある金属イオンをキレート化する物質(例えばEDTA、EGTA)、マグネシウム(硫酸塩または塩化物などの塩として供給されることが好ましい;あるいは他の機能的に同等なカチオン)、消泡剤、およびATP生成酵素の阻害剤(例えばNaF)を、さらに含むことが可能である。作業溶液のpHを維持するバッファー、例えばクエン酸もしくはMES(例えばナトリウムまたは遊離酸もしくは遊離塩基などの塩として供給することが可能である)、または任意の他の適切なバッファーを使用することが可能である。キットの目的に応じて、教示書、ならびに標準または対照の役割を果たしうる物質もキットに含めることが可能である。
本発明の1態様は、ATPase阻害剤、好ましくはATPaseを阻害する界面活性剤、より好ましくは帯電基を含む界面活性剤、例えばカチオン性界面活性剤(好ましくはDTABまたはBDDABr)、アニオン性界面活性剤(好ましくはデオキシコレートまたはSDS)、または両性イオン性界面活性剤(好ましくはスルホベタイン3−10)である。このような阻害剤は、ルシフェラーゼがルシフェラーゼ−ルシフェリン反応のためにサンプル中のATPを利用することが可能になる前に、サンプル内在性のATPaseによってATPがアデノシン2リン酸(ADP)とアデノシン1リン酸(AMP)とに処理されてしまうのを妨げる。ATPase阻害剤は、直接的または間接的にATPaseを失活させることが可能である。ATPase阻害剤は、ATPaseの活性部位のいずれかに結合することによって基質の結合を妨げることや、変性作用を有する界面活性剤などによってATPaseを変性させることが可能であり、あるいはATPaseをその基質から選択的に隔離することが可能である。
本発明の1実施形態は、ATPase阻害剤として作用するDTABまたはBDDABr界面活性剤などのカチオン性界面活性剤を使用する。しかしながら、他のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤(例えばSDSおよびデオキシコレート)および両性イオン性界面活性剤(例えばスルホベタイン3−10)などの、他のATPase阻害剤も企図される。
DTABまたはBDDABrに関しては、試薬組成物中の濃度は、試薬組成物中に約0.02%〜約5.0%の範囲、より好ましくは約0.05%、さらにより好ましくは約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%および1.5%、ならびに最も好ましくは約1.0%の最終濃度であることが好ましい。
試薬組成物中に含めるための他の非カチオン性界面活性剤ATPase阻害剤が企図される;その要件は、DTABなどの阻害剤が試薬組成物中に存在するとき、サンプル内在性のATPase活性を少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、より好ましくは少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および最も好ましくは約100%阻害し、このとき前記試薬組成物が、該試薬組成物をサンプルと組み合わせた後に発光によって測定すると、ルシフェラーゼをATPase阻害剤と組み合わせた直後の試薬組成物の活性と比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、より好ましくは少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、および最も好ましくは約100%の活性を少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも2時間保つことが可能であることである。ATPase阻害剤として機能する適切な非カチオン性界面活性剤と考えられるものには、アニオン性界面活性剤(好ましくはSDSおよびデオキシコレート)、両性イオン性界面活性剤(好ましくはスルホベタイン3−10)がある。個々のATPase阻害剤の濃度は、使用する阻害剤、およびある程度は分析するサンプルに応じて変わるであろう。当業者は、試薬組成物中に含めるATPase阻害剤の適切な濃度を測定するための方法を熟知しており;例えば、ルシフェリン−ルシフェラーゼ由来のシグナルを経時的に調べ、様々な濃度の候補ATPase阻害剤を有するサンプルと、既知のATPase阻害剤を全く含まないサンプルとを比較すればよい。
本発明の方法において機能的な最も好ましい濃度、あるいは濃度範囲ですら、異なる界面活性剤に応じて変わるであろうことは、充分に予想される。例えば、本発明の方法において機能的なSDS濃度は、約0.002%である。本発明で使用する界面活性剤に関する機能的な濃度の範囲は、本明細書で開示する方法を使用して、当業者により容易に測定することが可能である。
いくつかのATPase阻害剤は、本発明において有用なある濃度において、水溶液に不溶であるか、あるいは溶解度が低い可能性があるも考えられる。これらの化合物を、本発明の組成物および方法において使用するために、有機溶液(例えば、ジメチルスルホキシドまたはジメチルホルムアミド)中に最初に溶かしてから試薬組成物中で希釈することが可能である。
4.ATP生成酵素の阻害剤
一部のサンプル中には、キナーゼなどの酵素が活性を有し、ATPの連続的な生成が可能である場合がある。ATP濃度は特定の時点で測定されるので、このような酵素活性が調べられていない状態である場合、ATP濃度が過大評価されることになる。このようなATP生成活性(ATP生成終了時に分析することが望ましい)に対抗するために、ATP生成の阻害剤を使用することが可能である。ATP生成終了時に分析するときは、キナーゼ反応の不活化が有利である可能性がある。何故なら不活化によって、より安定した発光シグナルが確実になるからである。個々の阻害剤の作用は完全には理解されていないかもしれないが、それらの有用性が排除されるものではない。有用な化合物の例にはNaFがあり、NaFは少なくとも1mM、好ましくは2mM〜100mM、あるいはこの中の任意の増分の濃度で有用であり、2mMが最も好ましい。しかしながら、阻害剤がルシフェラーゼに対して本発明の有用性から外れるような悪影響を与えない場合は、任意のこのような阻害剤を使用することが可能である。当業者は、阻害剤が新規であろうとよく知られていようと、このような阻害剤の適切な濃度の測定の仕方を知っているであろう。ATP生成酵素の他の阻害剤には、バナジン酸、パラニトロフェニルホスフェートおよびジクロロ酢酸(キークル(Kiechle )他、1980年)があるが、これらに限定はされない。
5.バッファー
作業溶液の適切なpHを保ち、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応を害さない任意のバッファーが企図される。好ましいpH範囲は、約pH4.5〜約pH9.0、より好ましくは約pH6.0〜約pH8.0である。P−450活性を測定するためには、ルシフェラーゼ・アッセイは約pH8.4で行われる。MESおよびクエン酸バッファー以外に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、Tris、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、ホウ酸、および当業者に知られている任意の他のバッファーなどの、他のバッファーが適切である可能性がある。適切なバッファーの選択は、pH緩衝能力および、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応との相互作用に依存する。
6.消泡剤
消泡剤は、特に発光を定量する用途において、泡が生物発光の検出に干渉するのを防ぐために望ましい。MAZU(登録商標)(BASF)などの物質は、有機系またはシリコーン系であってよい。消泡剤の選択は、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応に干渉せずに泡を除去する能力に依存する。
7.カチオン
必要であれば、例えば甲虫のルシフェラーゼ−ルシフェリン反応では、カチオンが含まれてもよいが、該反応はATPだけでなく、マグネシウムイオンにも依存する。このような例においてルシフェラーゼ活性を確実にするために、マグネシウムを外から供給することが可能である。硫酸マグネシウム以外に、塩化マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、臭化マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの、他のマグネシウム塩が企図される。いずれの場合も、マグネシウム錯体が解離して、Mg2+イオンをルシフェラーゼが利用できるようになるとともに、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応には干渉しないはずである。当業者は、他のカチオンが、マグネシウムの代わりに機能的でありうることを理解している。他のカチオンには、カルシウムおよびマンガンがある。
いくつかの適用例では、内在性マグネシウムは充分であるはずであり、このような場合は外部からのマグネシウムは不要であると思われる。
8.安定化剤
非イオン性界面活性剤および低濃度の両性イオン性界面活性剤の作用に対して耐性がある一方で(シンプソン(Simpson )およびハモンド(Hammond )、1991年)、天然のホタル・ルシフェラーゼは、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、CTAB(セチルトリメチルアンモニウム)、DTAB(ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド)、および塩化メチルベンゼトニウムなどの、カチオン性界面活性剤によって失活する(シンプソンおよびハモンド、1991年)。高いルシフェラーゼの安定性が望ましい場合、安定化剤をキット中に与えることが可能である。
安定化剤は、分解からルシフェラーゼを安定させる、任意の化合物であってよい。適切な安定化剤には、タンパク質(ウシ血清アルブミンまたはゼラチンなど)または界面活性剤(好ましくは非イオン性界面活性剤、最も好ましくはTHESIT)がある。
9.他の物質
キット中に含めることが可能な他の物質には、ルシフェラーゼ反応から生じる発光の時間を増大することが知られている物質、例えばコエンザイムA(CoA)や、ジチオトレイトールおよびβメルカプトエタノールなどのチオール試薬(ウッド(Wood)の米国特許第5,283,179号、1994年;ウッド(Wood)、米国特許第5,650,289号、1997年)、シグナルを延長させるためのEDTAなどの金属イオン・キレート剤、およびプロテアーゼ阻害剤(シェムラー(Schemrer)、米国特許第5,618,682号、1997年;シャイラー(Scheirer)、米国特許第5,866,348号、1999年)または高濃度の塩(バンルーン(Van Lune)およびトレアービール(Trer Wiel )、国際公開公報第00/18953号、2000年)などがある。
10.他のキット要素
キットは、細胞の生存能、細胞毒性、細胞増殖、またはATP濃度の測定などの、特定の試験の実施を容易にするための試薬を別の容器中に含むことも可能である。例えば、標準曲線を決定するため、または内部対照として使用するために、ATPを提供することが可能である。さらに、ルシフェリンの標準曲線を決定できるように、ルシフェリンを供給することが可能である。キットは、膜、フィルターまたはスワブなどサンプル収集用の要素を供給することが可能である。
11.容器類
キット中に含まれる試薬は、種々の要素の寿命が保たれ、容器の材料に吸着したり同材料によって変化したりしないように、任意の種類の容器中に供給することが可能である。例えば、密閉ガラスアンプルは、窒素などの中性の不活性ガス下でパッケージ化された凍結乾燥ルシフェラーゼまたはバッファーを含むことが可能である。アンプルは、ガラス、有機ポリマー(例えばポリカーボネート、ポリスチレンなど)、セラミック、金属、または試薬を収容するために一般に使用される任意の他の材料などの、任意の適切な材料から構成されていればよい。適切な容器の他の例には、アンプルと同様の耐性増大物質から製造することが可能な単純なボトル、およびアルミニウムまたは合金などの箔で内側が裏打ちされた包装材料などがある。スクリュー状の先端部を有するプラスチック製容器、またはゴム製ストッパーを有するガラス製容器も使用することが可能である。他の容器には、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジなどがある。容器が滅菌されたアクセス・ポートを有していてもよく、例えば、皮下注射針で貫通可能なストッパーを有するボトルなどである。他の容器は、容易に除去可能な膜によって隔離された2つの区画を有し、膜を除去することによって成分を混合することが可能である。除去可能な膜は、ガラス製、プラスチック製、ゴム製などであってよい。
12.教示書
キットに教示書を含めることも可能である。教示書は紙または他の素材の上に印刷されていてもよいし、かつ/あるいはフロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープなどの読み取り可能な電子媒体として供給することも可能である。詳細な教示は、キットと物理的に関連していなくてもよく;その代りに、キットの製造業者または流通業者が指定したインターネットのウェブ・サイトをユーザに対して示してもよいし、あるいは電子メールとして供給してもよい。好ましい実施形態では、教示書は、ルシフェラーゼと耐性増大物質を組み合わせてから試薬組成物をサンプルに加えること、または耐性増大物質と非発光反応を組み合わせてからルシフェラーゼをこの反応物に加えることをユーザに教示する。
E.試薬組成物の活性
発光を測定し、それによって試薬組成物の活性を決定するためには、試薬組成物をサンプルと組み合わせた後の目的の時点で、ルシフェラーゼ反応によって生じた相対光度単位(RLU)値を測定すればよい。例えば、耐性増大物質を含む要素を、ルシフェラーゼを含む要素に加えることによって試薬組成物を作製した直後(0〜10分後)に、既知濃度のATP(キナーゼ活性を測定する場合)または基質(プロテアーゼまたはP−450活性を測定する場合)を試薬組成物と組み合わせたサンプルから生成する発光を測定することによって、RLU値を得ることが可能である。この値は、その条件下における100%の活性(非阻害状態)であるとみなされる。ルシフェラーゼを阻害することが知られている化合物(例えばイソリクイリチゲニン)とルシフェラーゼ反応を組み合わせた後に、発光の強度が低下する場合、耐性増大物質によって与えられる相対的な保護は、非阻害状態の発光に対する強度の相対的近似性と同等である。例えばイソリクイリチゲニンが、耐性増大物質の不在下で反応の発光を200倍阻害するが、ある化合物の存在下では発光を100倍しか阻害しない場合は、その化合物は耐性増大物質であり、50%の相対的保護をもたらすということである。
本発明を実施する際には、ATPなどの生成物、あるいは酵素阻害または酵素活性などの生物特異的事象の発生を検出する目的で、試薬組成物を一般にサンプルと組み合わせる。典型的には、試薬組成物はルシフェラーゼと、ルシフェラーゼを阻害するかあるいはルシフェラーゼと相互作用する可能性がある1つまたは複数の化合物による干渉からルシフェラーゼ活性を保護するための耐性増大物質とを含む。通常は周囲の酸素で充分である。実施するアッセイの種類に応じて、任意選択の成分が試薬組成物中に含まれてよい。ATPの検出および/またはATP検出の定量のためのアッセイ用には、試薬組成物に、ATP依存性ルシフェラーゼ、耐性増大物質、(飽和濃度または準飽和濃度の)ルシフェリン、および2価カチオン(好ましくはMg+2)を含む。バッファー、ならびにATPaseおよび/または酵素安定化剤などの他の適切な補助的要素も存在してよい。
ルシフェリンの検出に基づくアッセイ用には、ATP依存性またはATP非依存性のルシフェラーゼが、一般的に使用される。したがって、1工程アッセイに関する本発明の1実施形態では、試薬組成物は、ATP依存性ルシフェラーゼ、ルシフェラーゼの基質前駆体、耐性増大物質、(飽和濃度または準飽和濃度の)ATP、および2価カチオン(好ましくはMg+2)を含む。2工程アッセイに関する本発明の他の実施形態では、試薬組成物はATP依存性ルシフェラーゼ、ATP、および2価カチオンを含む。ルシフェラーゼの基質前駆体は試薬組成物とは別個にしておいて、試薬組成物を加える前にサンプルに加える。他の実施形態では、試薬組成物は、ATP非依存性ルシフェラーゼおよび耐性増大物質、ならびにセレンテラジンまたはセレンテラジン誘導体などのルシフェラーゼ基質前駆体を含む。ATP非依存性ルシフェラーゼに関しては、ATPは必要とされない。2工程アッセイに関する本発明の他の実施形態では、試薬はATP非依存性ルシフェラーゼ、ATP、および2価カチオンを含む。ルシフェラーゼの基質前駆体は試薬組成物とは別個にしておいて、試薬組成物を加える前にサンプルに加える。バッファー、ならびにATPase阻害剤および/または酵素安定化剤などの、他の適切な補助的要素も存在してよい。
F.ルシフェラーゼ反応の生成物の検出および定量
ルシフェラーゼ反応は、光の生成(「発光」)をもたらす。ユーザはサンプルの反応を肉眼によって簡単に調べて、光の生成を確認することが可能である。しかしながら、さらに感度の良い装置によって、微弱なシグナルを検出するだけでなく、光シグナルを定量することも可能である。光以外の生成物を、該生成物の性質に従って測定する反応も企図される。本発明は、発光シグナルをもたらす任意のアッセイに役立つ可能性がある。このような生成物に適した装置および方法は、当業者には明らかであろう。
光を検出するすべての場合において、照度計などの特別な装置で、ルシフェラーゼ−ルシフェリン反応の光の生成を読み取ることが可能である。ルシフェラーゼ反応によって発せられる波長の光を検出することが可能な任意の装置を使用することが可能である。このような装置は1つずつサンプルを読み取るものでもよいし、あるいは高スループット・スクリーニングにおいて、マイクロウェル・プレート(ウェル数が6、24、48、96、384、1536などのウェル形式)のウェル中に収容された多数のサンプルを読み取るものでもよい。発光を測定するために使用される装置が、本発明を限定しないことは明らかである。使用することが可能である他の装置には、シンチレーション・カウンター(ヌグエン(Nguyen)他、1988年)、または測光器などの、発光を感知するように発明または適合された装置がある(ピクシオロ(Picciolo)他、1977年)。写真用フィルムまたはX線フィルムを使用して発光を検出することも可能である。さらに、ユーザがサンプルを肉眼によって調べて、発光を定性的に評価することが可能である。
G.ルシフェラーゼ反応用の用途
本発明は、ATPまたはルシフェリンのレベルを効果的かつ正確に検出し定量するために使用する方法、組成物およびキットを対象とする。
本発明は、ルシフェラーゼ、および耐性増大物質を含む単一の組成物(試薬組成物)を加えること、次いで発光を検出することを含む。本発明の耐性増大物質を加えることによって、標的とする活性または要素(例えばCYP450、プロテアーゼ、キナーゼ、ATPレベル)に対して試験される化合物のルシフェラーゼに対する影響を最小限とし、その結果発光が標的とする活性または要素のレベルとより密接な相関関係となるようにすることができる。
1.生成物の検出
本発明の方法、組成物およびキットによって、サンプル中のATP(またはルシフェラーゼ基質として機能しうるATP類似体)および酵素活性(例えばキナーゼ、プロテアーゼ、またはチトクロムP−450活性)を、さらには1つまたは複数の試験化合物の存在下において、簡単に定性的または定量的に検出することが可能となる。好ましい実施形態において、本発明を使用してサンプル中で発光を生成させる簡単な定性実験では、耐性増大物質は干渉化合物の影響を最小限にし、発光が調査対象の生物学的または生化学的プロセスとより密接な相関関係となるようにする。LucPpe2m78、LucPpe2m90、LucPpe2m133またはLucPpe2m146などのルシフェラーゼと、場合により1つまたは複数のATPase阻害剤とを含む試薬組成物を使用して、発光を生成させる。さらに、試薬組成物は、1つまたは複数の以下の構成要素:凍結乾燥調製物から再構成可能であるルシフェリン(あるいは、適切なルシフェリン類似体基質)、ATPase阻害剤、終点測定用のキナーゼなどのATP生成酵素の阻害剤、2価カチオン(例えばマグネシウム)、酵素安定化剤、およびバッファーをさらに含むことが可能である。
サンプルは、例えばキナーゼ、プロテアーゼ、またはP450酵素活性などの、高スループット・スクリーニング手法において1つまたは複数の化合物に対する感受性を有しうる生物活性を含む疑いがある任意のサンプルでよい。サンプルには、1つまたは複数の酵素を含む溶液、細胞溶解物、飲料、および動物、植物、または無生物体の表面などの表面を拭いたスワブなどがある。サンプルの他の例には、既知ATP濃度の組成物、または任意の生物(原核生物または真核生物)由来の細胞の溶解物がある。原核細胞の例には、大腸菌、緑膿菌(P. aeruginosa )、枯草菌(B. subtilis )、およびサルモネラ菌(S. typhimurium)がある。真核細胞は、植物、動物、真菌、昆虫など、またはこのような生物由来の培養細胞に由来するものであってよい。いくつかの例には、シロイヌナズナ(A.thaliana)およびブラシカ属(Brassica)、クラミドモナス属(Chlamydomonas )、およびボルボックス属(Volvox)の生物(植物)、ヒト(H. sapiens)およびハツカネズミ属(Mus )の生物(動物)、サッカロマイセス属(Saccharoymyces)の生物(特にセレビシエ(cerevisae )およびポンベ(pombe ))およびニューロスポラ属(Neurospora)の生物(真菌)、キイロショウジョウバエ(D. melanogaster )および線虫(C. elegans)(昆虫)、任意の植物由来のin vitro培養したカルス細胞、任意の生物(例えばげっ歯類由来の臓器移植片など)由来のin vitro培養した細胞、Madin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)およびチャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物の細胞系、およびsf9細胞などの昆虫細胞系がある。これらの例は単に例として与えられるものであり、限定を意味するものではない。
細胞溶解物は、もはや組織化されて認識可能な完全な細胞構造となることのない細胞構成成分を含む。細胞溶解物は可溶性成分および不溶性成分を有する可能性があり、これらのいずれかを、該溶解物を使用する前に除去することも可能である。超音波処理、ダンス(Dounce)型ホモジナイザー、乳鉢と乳棒、凍結−解凍サイクルを使用する物理的破壊、または細胞の物理的完全性を破壊する任意の他の装置または処理、または両性イオン性および非イオン性界面活性剤、もしくは例えばDTABまたはCTABなどのカチオン性界面活性剤など、界面活性剤による溶解を含めた任意の手段によって、溶解物を調製することが可能である。細胞溶解物は、細胞をハーベストした時点のATP濃度の完全性が保たれるように生成されることが好ましい。サンプル中のATPを正確に検出するために、細胞のATPを分解すると思われる酵素、またはATPを生成すると思われる酵素を阻害することが好ましい。このような阻害剤の不在下では、ATP濃度が不正確に決定されるリスクが高い。DTABなどの阻害剤はATPaseを不活性化し、一方NaFなどの他の分子は、ATP生成酵素の活性を不活性化する。まだ完全に理解されたわけではないが、NaFが有効な種類の細胞(例えばリンパ球細胞)に関しては、NaFはキナーゼを阻害するために作用している可能性があると仮定されている。
1つまたは複数の酵素を含む溶液は、精製酵素、未精製酵素、半精製酵素、可溶化した酵素、部分的に可溶化した酵素、または膜結合酵素を含むが、これらに限定はされない。
生成物または副生成物としてATPを有するキナーゼ活性などを有するATP生成酵素の阻害剤は、試薬組成物中に組み入れてもよいし、あるいは後で試薬組成物の使用に組み入れるために別の容器中に入れておいてもよく、キナーゼ活性の終点測定が望ましい場合には後者を使用する。有効な阻害剤の一例はNaFである(ボスチック(Bostick )他、1982年)。このような組成物は、少なくとも0.5mM、好ましくは少なくとも1mM、より好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mM、あるいはこの中の任意の増分の濃度でNaFを含み、2mMが最も好ましい。ATP生成酵素の他の阻害剤には、バナジン酸、AMP、DAPP(ボスチック他、1982年)およびジクロロ酢酸(キークル(Kiechle )他、1980年)などの、他のキナーゼ阻害剤がある。
2.キナーゼ活性の検出および定量
本発明の組成物、方法、およびキットによって、ユーザは、発光量を定量することによって、サンプル中のキナーゼにより消費されたATPの量を検出し定量することにより、キナーゼ活性を検出し定量することが可能である。本発明を目的のサンプルおよび既知量のATPを含むサンプル(対照)に適用する。ATP濃度未知のサンプルに本発明を適用することから生じたシグナルは、内部対照(既知量のATPをサンプルに加え、その後の発光を測定する)、またはATP濃度既知のいくつかのサンプルの発光を測定してグラフにプロットすることにより作製した外部標準曲線によって生じたシグナルと関連付ける。このような方法は当業者に知られている。(モーヤー(Moyer )およびヘンダーソン(Henderson )、1983年;ロナー(Ronner)他、1999年;スタンリー(Stanley )、1989年;ウッド(Wood)他、1989年)。
3.化合物の影響
本発明の組成物、方法、およびキットを適用して、化合物、例えば無機物、小分子、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、脂質、ステロイド、汚染物質、発癌物質、または薬剤などの、サンプルと接触させたときの生物特異的事象に対する影響を測定することが可能である(アイギンガー(Aiginger)他、1980年;アンドレオッティ(Andreotti )他、1995年;ブラッドベリー(Bradbury)他、2000年;クリー(Cree)およびアンドレオッティ(Andreotti )、1997年;クローチ(Crouch)他、1993年;カンガス(Kangas)他、1984年)。これらの化合物は化合物ライブラリーに分類整理されていてもよいし、あるいは単独で試験されてもよい。本発明のこのような適用例では、ATP代謝または酵素機能に対するその影響が既知である対照化合物とサンプルとを接触させる対照例を利用する。ルシフェラーゼと化合物が一緒に存在して、化合物自体はルシフェラーゼ活性に直接影響を与えないことが確実なサンプルが対照例に含まれることも好ましい。
以下の実施例は、限定ではなく本発明を例示することを目的とする。
[ルシフェラーゼ阻害剤に対する界面活性剤の耐性増大効果]
この実施例では、ルシフェラーゼ・レポーターを用いるアッセイを使用して、既知のP450酵素阻害剤がルシフェラーゼ阻害剤でもあるかどうか、およびいくつかの界面活性剤の耐性増大効果を使用して、このような潜在的なルシフェラーゼ阻害剤に対してルシフェラーゼを防御することが可能であるかどうかを評価した。細胞調節または酵素調節に関して研究中の化合物が、ルシフェラーゼを用いる細胞または酵素のレポーター・アッセイ系におけるルシフェラーゼ反応にも影響を与えるであろうという、若干の懸念が存在する。このことが真実であれば、例えば阻害剤のスクリーニング・アッセイについては、誤った「的中」が増大すると予想される。2つの潜在的なルシフェラーゼ阻害剤、エモジン(emodin)とチロホスチン(tyrphostin)AG494を、「薬理活性化合物ライブラリー(Library of Pharmaceutically Active Compounds)」(LOPAC)スクリーニングから同定した。この2つの化合物は、ある種のチトクロムP450酵素の潜在的な阻害剤である。この実験の目的は、エモジンおよびチロホスチンAG494がルシフェラーゼ反応の阻害剤でもあるかどうか決定することと、これらの化合物によって引き起こされたルシフェラーゼに対する何らかの阻害を界面活性剤の存在によって軽減することが可能であるどうかをさらに決定することであった。ルシフェラーゼ活性は、ルシフェリンの存在下で、化合物の存在下または不在下、および2つの異なる濃度の5つの異なる界面活性剤の不在下または存在下でアッセイした。
最初に、3つのルシフェリン阻害剤の2×混合物を調製した。各混合物には、100mMのKPO、20nMのルシフェリン、0.1mg/mlのコントロールSf9ミクロゾーム膜(米国マサチューセッツ州ベッドフォード所在のビーディー、ゲンテスト(BD Gentest)から入手可能;これらの膜は、P−450酵素が存在しない状態で目的のP450アッセイのアッセイ条件を模倣するために使用したが、これは、一般にP450がsf9細胞のミクロゾーム膜で組換えにより発現されるからである)、±10uMのエモジンまたは10uMのチロホスチンAG494を含めた。阻害剤を含まない対照混合物も調製した。
第2に、11種類の2×ルシフェリン検出試薬を、UltraGlo(登録商標)ルシフェラーゼ(100マイクログラム/ml、プロメガ・コーポレイション(Promega Corp. )から入手可能)、ATP(400μM)、および賦形剤(0.4%Prionex(登録商標)(スイス国バーゼル所在のペンタファーム(Pentapharm))を含む凍結乾燥塊から、バッファー(200mMのトリシン、pH8.4、20mMのMgSO)を使用して再構成した。最終的な2×反応混合物には、以下のうち1つが含まれるものとした:
1/界面活性剤なし
2/0.2%のTOMAH
3/2%のTOMAH
4/0.2%のTergitolNP9
5/2%のTergitolNP9
6/0.2%のThesit
7/2%のThesit
8/0.2%のCHAPS
9/2%のCHAPS
10/0.2%のTritonX−100
11/2%のTritonX−100
界面活性剤の最終濃度は、0%、0.1%または1%のいずれかとなる。最後に、50マイクロリットルの各ルシフェリン阻害剤混合物を、50マイクロリットルの各ルシフェリン検出試薬と3連で、白色の照度計用96ウェル・プレート上で組み合わせ、混合し、BMG Fluostar(商標)照度計(BMG社)で読み取った。これらの結果はRLUおよび対照に対する割合(%)で表し、図1に示す。
図1は、ルシフェラーゼ阻害剤であるチロホスチンまたはエモジンの存在下での標準的なルシフェラーゼ系反応における、界面活性剤によるルシフェラーゼに対する阻害の軽減を示す。図1aは、対照(界面活性剤なし)のRLU値を、0.1または1%のTomah、Tergitol(NP9)、Thesit、CHAPS、またはTritonX−100を含む反応混合物に対して、rlu値の関数として比較するものである。図1bは、対照の、0.1または1%のTomah、Tergitol、Thesit、CHAPS、またはTritonX−100を含む反応混合物に対する相対的割合(%)を比較分析するものである。
[耐性増大物質を使用する、誤った的中例発生の最小化]
この実施例では、市販のライブラリーであるLOPAC(商標)ライブラリー(薬理活性化合物ライブラリー、米国ミズーリ州セントルイス所在のシグマコーポレーション(Sigma Corp. )から入手可能)のスクリーニングを実施し、薬剤化合物から受ける可能性のある阻害に対して、細胞系または無細胞系のルシフェラーゼ・アッセイにおけるルシフェラーゼ反応を保護する際の耐性増大物質の効果を決定した。LOPACライブラリーは、その薬理活性が既知の640種の化合物を含む。このライブラリーは、開発中のスクリーニング・プロトコルを実証するために一般的に使用されている。
LOPACの640種の化合物のスクリーニングから、189種の化合物が、3つ全てのチトクロムP450アイソフォーム(CYP1A2、CYP1A1、CYP2C9)からの発光を、未処理対照より10%を越えて阻害する化合物として同定された。これらはルシフェラーゼ阻害剤である可能性があると判断された。3つのCYP450反応のいずれか1つが見かけ上阻害されない場合は、ルシフェラーゼ検出系の阻害については除外され得る。189種の化合物に関して、結果の解釈として3つの可能性が存在した。1つめは、該化合物が真のP450阻害剤であること;2つめは、該化合物はルシフェラーゼを阻害しており、それらは誤った的中例であるということ;3つめは、該化合物がCYP450およびルシフェラーゼを阻害しているということである。これらの可能性を見極めるために、ルシフェリンの存在下、いずれのP450酵素も用いずに、該化合物をスクリーニングした。ある化合物が依然として的中となる場合、その化合物はルシフェラーゼを阻害している。
最初に、白色の照度計用96ウェル・プレートの2連ウェルにおいて、実施例1に記載したのと同様に、10uMの各化合物、40nMのルシフェリン、および100mMのKPOを含む2×ルシフェリン−化合物混合物を50マイクロリットル調製した。それぞれのプレートには、化合物を添加しない(媒体のみの)対照ウェルも2連で含めた。
第2に、実施例1に記載したのと同様に、それぞれの反応用に2×ルシフェリン検出試薬を3連で調製した。この2×試薬には、以下のものをさらに含む:
1/界面活性剤なし
2/0.2%のTergitolNP9
3/2%のTergitolNP9
最終的な界面活性剤濃度は、0.1%または1%界面活性剤となる。
最後に、50マイクロリットルの各ルシフェリン−阻害剤混合物を、白色の照度計用96ウェル・プレート上において、50マイクロリットルのそれぞれのルシフェリン検出試薬と2連で組み合わせ、混合し、室温で15分間放置し、次いでBMGのFluostar(商標)照度計で読み取る。
化合物が対照の平均±3×標準偏差(SD)(99%信頼区間)より高いか、あるいは低い場合、化合物は「的中」であるとみなされる。添付のグラフ(図2a〜2d)では、菱形プロットはそれぞれ1つの化合物を表し、中央の線は対照(阻害剤なし)の平均を表し、中央の線の外側の2本の線は、対照の平均±3×SDを表す。
いずれの界面活性剤も存在しない条件では、5つの化合物がルシフェラーゼの阻害剤として同定された。したがって、目的の酵素(チトクロムP450など)も含むスクリーニングでは、これらの物質は、「誤った」的中例として同定されると思われる。しかしながら0.1%Tergitolの存在下では、誤った的中例は4つだけである。最後に、1%Tergitolの存在下では、わずかに1つの的中例だけが残り、他の4例はもはやルシフェラーゼを阻害しないか、あるいはほとんど阻害しない。
図2a〜dに示す結果から、界面活性剤などの耐性増大物質の存在下で薬剤ライブラリーをスクリーニングすると有利であることが実証されている。なぜなら耐性増大物質は、誤った的中例の数を最小限にするのを手助けするからである。
[ホタルおよびウミシイタケのルシフェラーゼの阻害に対する界面活性剤および非界面活性剤の耐性増大効果]
この実験では、いくつかの耐性増大物質を、既知のルシフェラーゼ阻害剤であるイソリクイリチゲニン(ILT)(100μM、シグマ・ケミカル(Sigma Chemical))からルシフェラーゼを保護する能力に関して評価した。ILTをルシフェラーゼ反応に加え、耐性増大物質と見込まれる物質を、ルシフェラーゼを阻害から保護する能力に関して評価した。
基本的なホタル・ルシフェラーゼ反応混合物には、pH8.0の20mMのHEPES(シグマ・ケミカル)、6.4mMの硫酸マグネシウム(フィッシャー・サイエンティフィック(Fisher Scientific ))、20mMのジチオスレイトール(シティ・ケミカル(City Chemical ))、0.63mMのコエンザイムA(ファルマシア・バイオケミカル(Pharmacia Biochemical ))、0.4mMのEDTA(シグマ・ケミカル)、4.0μMのルシフェリン(プロメガ・バイオサイエンシズ(PromegaBiosciences ))、0.56mMのATP(ファルマシア・バイオケミカル)、および1.3×10−6mg/mlのホタル・ルシフェラーゼ(QuantiLum(登録商標)、プロメガ・コーポレイション)を含めた。
基本的なウミシイタケ・ルシフェラーゼ反応混合物には、pH7.4の100mMのリン酸カリウム・バッファー(シグマ・ケミカル)、500mMの塩化ナトリウム(フィッシャー・サイエンティフィック)、1.0mMのEDTA(シグマ・ケミカル)、200nMのセレンテラジン(プロメガ・バイオサイエンシズ)、0.1%のゼラチン(シグマ・ケミカル)および0.12nmol/mlのウミシイタケ・ルシフェラーゼ(ケミコン・ケミカルズ(ChemiCon Chemicals))を含めた。
ILTをジメチルスルホキシド(シグマ・ケミカル)に溶かして100mMとした。ILTを1:1000に希釈し、保護物質を反応混合物に希釈してからルシフェラーゼを加えることによって反応を開始させた。
それぞれのサンプルの反応体積は100μlであった。ルシフェラーゼを反応混合物に加えて反応混合物を混合した直後に、ターナー・バイオシステムズ(Turner Biosystems )のVeritas(商標)照度計においてサンプル当たり0.5秒間の発光を積分した。すべての測定は3連で行った。
それぞれの化合物によって与えられる相対的保護は、以下の式によって表されるように、保護物質の存在下で生じた発光と不在下で生じた発光との間の差を全体の阻害量で割って算出される:
(L1−L2)/(L3−L4)
(式中、L1は、阻害剤および耐性増大物質の存在下の発光を表し;L2は阻害剤存在下で耐性増大物質不在下の発光を表し;L3は阻害剤および耐性増大物質の不在下の発光を表し;かつL4は阻害剤存在下で耐性増大物質不在下の発光を表す)。
したがって耐性増大物質の不在下での相対的保護は0%であり、阻害剤の不在下での相対的保護は100%である。阻害剤または耐性増大物質のいずれも不在の場合に発光を生成するために使用した反応混合物には、反応を比較すべき阻害剤を溶解するために使用した溶媒をさらに含めた。
Figure 0005620632
上記のデータ中に見られるように、阻害剤からルシフェラーゼを保護する化合物は、容易に決定することが可能である。さらに、耐性増大物質の有効性は均一ではなく、また耐性増大物質の濃度は得られる保護のレベルに影響を与える。
ここでは本発明をある程度特定して記載し例示してきたが、当業者は、本発明の精神から逸脱することなく本明細書で開示してきた範囲内で作製可能な、変形、追加および省略を含めた様々な変更形態を理解するであろう。したがって、これらの変更形態も本発明に含まれ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に法律上一致し得る最大限広義の解釈によってのみ限定されると考えられる。
潜在的なルシフェラーゼ阻害剤であるチロホスチンAG494またはエモジンの存在下での標準的なルシフェラーゼ反応における、界面活性剤によるルシフェラーゼ阻害の軽減を示す図。0.1%または1%のTomah、Tergitol、Thesit、CHAPS、またはTritonX−100を含む反応混合物に対して、対照(界面活性剤なし)のRLUを相対光度単位の値の関数として比較する図。 潜在的なルシフェラーゼ阻害剤であるチロホスチンAG494またはエモジンの存在下での標準的なルシフェラーゼ反応における、界面活性剤によるルシフェラーゼ阻害の軽減を示す図。0.1%または1%のTomah、Tergitol、Thesit、CHAPS、またはTritonX−100を含む反応混合物に対する、対照の相対的割合(%)を比較分析する図。 既知の薬剤ライブラリーを標準的なルシフェラーゼ反応を使用してスクリーニングする際の、界面活性剤Tergitolによるルシフェラーゼ阻害の軽減を示す図。対照(界面活性剤なし)のRLUと反応混合物とを比較する図。ライブラリー中の5つの薬剤化合物が、Tergitolの不在下でルシフェラーゼ酵素を阻害することが見出された。 既知の薬剤ライブラリーを標準的なルシフェラーゼ反応を使用してスクリーニングする際の、界面活性剤Tergitolによるルシフェラーゼ阻害の軽減を示す図。図2aを再度示し、0.1%のTergitolの存在下におけるRLUを比較する図。 既知の薬剤ライブラリーを標準的なルシフェラーゼ反応を使用してスクリーニングする際の、界面活性剤Tergitolによるルシフェラーゼ阻害の軽減を示す図。図2aを再度示し、1%のTergitolの存在下におけるRLUを比較する図。 既知の薬剤ライブラリーを標準的なルシフェラーゼ反応を使用してスクリーニングする際の、界面活性剤Tergitolによるルシフェラーゼ阻害の軽減を示す図。前記5つの薬剤阻害剤のうち4つに対するTergitolの劇的な影響を示す棒グラフ。

Claims (2)

  1. 試験化合物をスクリーニングする無細胞環境下において試験化合物による阻害からルシフェラーゼ酵素活性を保護する方法であって、該方法は、
    (a)ルシフェラーゼ酵素を界面活性剤と接触させて第1の反応混合物を形成する工程と、
    (b)試験化合物を含有する第2の反応混合物に前記第1の反応混合物を接触させる工程とを備え、
    前記第1の反応混合物中の界面活性剤は、前記試験化合物による阻害から前記ルシフェラーゼ酵素のルシフェラーゼ酵素活性を保護して、界面活性剤がないときと比べてその阻害の程度を少なくとも10%抑えるのに十分な量であり、前記界面活性剤が、Tergitol(登録商標)NP−9、TritonX−100(登録商標)、Chaps(登録商標)、Thesit(登録商標)、デオキシコレート及びCTABから選択されることを特徴とする方法。
  2. 前記界面活性剤はTergitol(登録商標)NP−9である、請求項1に記載の方法。
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