JP6579539B2 - 光識別方法、物質の検出方法、レポーターアッセイ方法、キット、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害方法及び装置 - Google Patents

光識別方法、物質の検出方法、レポーターアッセイ方法、キット、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害方法及び装置 Download PDF

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本発明は、光識別方法、物質の検出方法、レポーターアッセイ方法、キット、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害方法及び装置に関する。
発光タンパク質であるルシフェラーゼは、発光活性を測定するという簡便さと、高感度であることから、遺伝子発現や酵素活性、ATP等の定量に広く用いられている。
正確な発光活性測定には、内在する比較標準(内部標準)が必要となる。そのためには、同時に複数の発光活性を測定できるアッセイ系であることが望ましい。そのような要求を満たす技術としてデュアルルシフェラーゼアッセイがあり、既存のデュアルルシフェラーゼアッセイとしては以下の手法のものが知られている。
従来のデュアルルシフェラーゼアッセイでは、基質が異なる2種類のルシフェラーゼを用いた方法(Dual−Luciferase reporter assay:DLRA、又はデュアルシーパンジー発光キットとして販売されている。)があり、遺伝子発現定量等に広く用いられている(非特許文献1)。図7左は、DLRAの手順を説明する模式図である。
また、発光波長帯が異なる2種類のシフェラーゼを用いた方法もある。これは、マルチカラールシフェラーゼを用い、発光測定時に偏光フィルターを切り替えることによって、例えば、緑色発光と赤色発光を独立に測定することが可能であり、上記DLRAとは異なり、同一の発光基質(D−ルシフェリン)を用いることが可能である。これは、Dual−color luciferase assay(DCLA)又はマルチカラールックレポーターアッセイシステムと称され、市販されており、遺伝子発現定量等に広く用いられている(非特許文献2)。図7右は、DCLAの手順を説明する模式図である。
Matsuo N, Minami M, Maeda T, Hiratsuka K, Dual luciferase assay for monitoring gene expression in higher plants., Plant Biotechnology, 18, 71-75, 2001 Ogura R, Matsuo N, Wako N, Tanaka T, Ono S, Hiratsuka K, Multi-color luciferases as reporters for monitoring transient gene expression in higher plants. Plant Biotechnol. 22, 151-155. 2005
上記に挙げたDLRAでは、例えば、ホタルルシフェラーゼ(firefly luciferase: Fluc)とウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla luciferase: Rluc)の基質特異性と反応条件の差異を利用しており、一般的には、ルシフェリン添加によるFluc活性を測定後、続いてRlucの基質であるセレンテラジン添加と同時にFlucが不活性化される反応条件にすることで、Rluc活性を測定している。したがって、この方法では、異なる2種類の発光基質と、それらに対応する緩衝液を準備する必要がある。
上記に挙げたDCLAでは、マルチカラールシフェラーゼを用いて、発光測定時に偏光フィルターを切り替えることによって、例えば緑色発光と赤色発光を独立に測定することが可能であり、DLRAとは異なり、同一の発光基質(D−ルシフェリン)を用いることが可能である。しかし、DCRAでは変更フィルターを装備した測定器を準備する必要がある、また、偏光フィルターの介在によって、発光活性の定量限界は大きく低下する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、従来法であるDLRAよりも簡便で、DCLAよりも高感度にルシフェラーゼアッセイを行うことを可能とする光識別方法の提供を課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の特徴を有する識別方法、物質の検出方法、レポーターアッセイ方法、キット、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害方法及び装置を提供する。
[1]以下の工程;
第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含む測定対象物の、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとを反応させ、前記測定対象物から発せられた光の発光量L1を測定する第1測定工程、
前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤と前記測定対象物とを接触させて、前記第1ルシフェラーゼと前記ルシフェリンとの反応によって生じる発光量を低下させ、測定対象物から発せられた発光量L2を測定する第2測定工程、
前記発光量L1の値と、前記発光量L2の値とに基づいて、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光A、及び前記第2発光物質により生じた光Bを識別する識別工程、
を含むことを特徴とする光識別方法。
[2]前記第2発光物質がルシフェリンであり、前記測定対象物が、第1ルシフェリン、第1ルシフェラーゼ、前記ルシフェリン、及び前記ルシフェリンと反応させる第2ルシフェラーゼを含む、前記[1]に記載の光識別方法。
[3]前記ルシフェリンが前記第1ルシフェリンと同じ物質である前記[2]に記載の光識別方法。
[4]前記阻害剤非存在下における、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aの発光量を発光量A1とし、
前記阻害剤存在下における、前記第1ルシフェラーゼと前記ルシフェリンの反応により生じた光Aの発光量を発光量A2とし、
前記阻害剤非存在下における、前記第2ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Bの発光量を発光量B1とし、
前記阻害剤存在下における、前記第2ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aの発光量を発光量A2としたときに、
光Aの発光量の低下率(A2/A1)と、光Bの発光量の低下率(B2/B1)との比が1.1倍以上である前記[2]又は[3]に記載の光識別方法。
[5]前記第1ルシフェリンが、D−ルシフェリン又はその類縁体である前記[1]〜[4]のいずれか一つに記載の光識別方法。
[6]前記第1ルシフェラーゼがFluc、Luc2、SLO、SLG又はCBRである前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の光識別方法。
[7]前記測定対象物が細胞であり、測定対象物の前記細胞から発せられた光を、細胞非破壊的に測定する前記[1]〜[6]のいずれか一つに記載の光識別方法。
[8]前記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の光識別方法を用いることを特徴とする物質の検出方法。
[9]前記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の光識別方法を用いることを特徴とするレポーターアッセイ方法。
[10]第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含む前記測定対象物が、遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子が導入され、前記第1ルシフェラーゼを発現している組み換え細胞又はその抽出物を含むことを特徴とする前記[9]に記載のレポーターアッセイ方法。
[11]前記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の光識別方法、前記[8]に記載の物質の検出方法、又は、前記[9]又は[10]に記載のレポーターアッセイ方法を行うためのキットであって、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤を備えることを特徴とするキット。
[12]下記一般式(1)で表される化合物又はその塩であることを特徴とするルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤。
Figure 0006579539
[式(1)中、
はCH又はNを表し、Rはハロゲン原子を表し、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。
nはRの数を表し、0〜3のいずれかの整数であり、nが2以上のとき、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。mはRの数を表し、0〜2のいずれかの整数であり、mが2のとき、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[13]下記一般式(2)で表される化合物又はその塩であることを特徴とするルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤。
Figure 0006579539
[式(2)中、
はCH又はNを表し、Rはハロゲン原子を表し、Rは単結合又は2価の連結基を表し、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。
pはRの数を表し、0〜3のいずれかの整数であり、pが2以上のとき、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。qはRの数を表し、0〜2のいずれかの整数であり、qが2のとき、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[14]ルシフェラーゼとルシフェリンとの反応を阻害する前記[12]又は[13]に記載のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤用いることを特徴とするルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害方法。
[15]前記[1]〜[7]のいずれか一つに記載の光識別方法を行うための装置であって、(a)前記測定対象物から発せられた光の発光量を測定する測定手段と、(b)前記測定手段によって測定された前記発光量L1の値と、前記測定手段によって測定された前記発光量L2の値とに基づいて、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光A、及び前記第2発光物質により生じた光Bを識別するための算出手段と、を備えることを特徴とする装置。
本発明の光識別方法によれば、同一測定対象物中の第1発光物質である第1ルシフェリン由来の光と、第2発光物質由来の光とを識別することができる。
また、該光識別方法を用いたレポーター遺伝子アッセイ方法によれば、従来のDLRAよりも簡便で、従来のDCLAよりも高感度にルシフェラーゼアッセイを行うことが可能となる。
また、該光識別方法を用いた物質の検出方法によれば、従来のDLRAよりも簡便で、従来のDCLAよりも高感度に物質を検出することが可能となる。
また、本発明によれば、ルシフェラーゼ阻害活性を有するルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤を提供でき、上記光識別方法に用いることができる。
本実施形態における光識別方法の手順を説明するための模式図である。 本実施形態における光識別方法の変形例の手順を説明するための模式図である。 本発明に係る装置の構成の一例を示す模式図である。 実施例における、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応の、阻害剤による阻害の結果を示すグラフである。 実施例における、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応の、阻害剤による阻害の結果を示すグラフである。 実施例において、2種類のルシフェラーゼを発現するホウレンソウ細胞での2種類のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応による発光を識別し、内部標準で正規化されたプロモーター活性の値を算出した結果を示すグラフである。 従来の2種類のルシフェラーゼを用いたルシフェラーゼアッセイの手順を説明するための模式図である。
<光識別方法>
本発明の光識別方法は、
以下の工程;
第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含む測定対象物の、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとを反応させ、前記測定対象物から発せられた光の発光量L1を測定する第1測定工程、
前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤と前記測定対象物とを接触させて、前記第1ルシフェラーゼと前記ルシフェリンとの反応によって生じる発光量を低下させ、測定対象物から発せられた発光量L2を測定する第2測定工程、
前記発光量L1の値と、前記発光量L2の値とに基づいて、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光A、及び前記第2発光物質により生じた光Bを識別する識別工程、を含む。
(第1測定工程)
本実施形態の光識別方法は、第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質であるルシフェリン、前記ルシフェリンと反応させる第2ルシフェラーゼを含む測定対象物の、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとを反応させ、前記測定対象物から発せられた光の発光量L1を測定する第1測定工程を含む。
図1は、本発明に係る第1実施形態における光識別方法の手順を模式的に示した図である。本実施形態の測定対象物、第1発光物質である第1ルシフェラーゼとしてFlucを、第1ルシフェリンとしてD−ルシフェリンを、第2ルシフェラーゼとしてCBG(Click Beetle Green)を含む。また、本実施形態においては、前記ルシフェリンと前記第1ルシフェリンとは同じ物質であり、Fluc(第1ルシフェラーゼ)及びCBG(第2ルシフェラーゼ)ともにD−ルシフェリンと反応して、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応による発光が生じる。Flucと反応したD−ルシフェリンが第1発光物質であり、CBGと反応したD−ルシフェリンが第2発光物質である。
本実施形態において、測定対象物は細胞抽出物の調整物である。細胞抽出物の由来となる細胞には、細胞内で発現させたFluc及びCBGが含まれている。当該細胞抽出物、D−ルシフェリン、及びバッファーを混合し、Fluc、CBG及びD−ルシフェリンを含む液である第1測定工程の測定対象物を得る。第1測定工程の測定対象物は、後述する阻害剤を含まない液であり、発光量L1の測定は、阻害剤非存在下における測定となる。
次いで、第1測定工程の測定対象物から発せられた光の発光量L1を測定する。発光量の測定は、公知のルミノメーターを用いて行うことができる。第1測定工程の測定対象物中では、FlucとD−ルシフェリンの反応により光Aが生じ、CBGとD−ルシフェリンの反応により光Bが生じている。阻害剤非存在下における、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aの発光量を発光量A1とし、阻害剤非存在下における、前記第2ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Bの発光量を発光量B1とすると、第1測定工程の測定対象物から発せられた光の発光量L1の値は、発光量L1 = 発光量A1 + 発光量B1である。
(第2測定工程)
本実施形態の光識別方法は、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤と前記測定対象物とを接触させて、前記第1ルシフェラーゼと前記ルシフェリンとの反応によって生じる発光量を低下させ、測定対象物から発せられた発光量L2を測定する第2測定工程を含む。
図1に示すように、本実施形態では、第1測定工程の測定対象物である液に、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤を添加し、第2測定工程の測定対象物を得る。第2測定工程の測定対象物は、阻害剤を含む液であり、発光量L2の測定は、阻害剤存在下における測定となる。
次いで、第2測定工程の測定対象物から発せられた光の発光量L2を測定する。発光量の測定は、公知のルミノメーターを用いて行うことができる。
阻害剤存在下における、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aの発光量を発光量A2とし、阻害剤存在下における、前記第2ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Bの発光量を発光量B2とすると、第2測定工程の測定対象物から発せられた光の発光量L2の値は、発光量L2 = 発光量A2 + 発光量B2である。
阻害剤は、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害するので、第2測定工程の測定対象物から発せられた光の発光量L2は、第1測定工程の測定対象物から発せられた光の発光量L1よりも低下している。本実施形態では、阻害剤として、FlucとD−ルシフェリンの反応を阻害する阻害剤を用い、該阻害剤は発光量A2の値をA1の1/10にする作用がある場合を例示する(図1)。
なお、本実施形態においては、第1測定工程に用いられた第1測定工程の測定対象物に阻害剤を添加して第2測定工程の測定対象物を得たが、第2測定工程の測定対象物に含まれる第1測定工程の測定対象物の要素は、必ずしも第1測定工程を経たものでなくともよい。
例えば、第1測定工程で測定する第1測定工程の測定対象物の液と、第1測定工程の測定対象物の組成であって第1測定工程で測定しない液との、2つの液を予め用意しておき、第1測定工程で測定しない液に阻害剤を添加して、これを第2測定工程の測定対象物としてもよい。
なお、本実施形態においては、第1測定工程に用いられた第1測定工程の測定対象物に阻害剤を添加して第2測定工程の測定対象物を得たために、第1測定工程の後に、第2測定工程を行った。しかし、必ずしも、第1測定工程の後に、第2測定工程を行う必要は無く、第1測定工程の前に、第2測定工程を行なってもよく、第1測定工程と同時に第2測定工程を行なってもよい。
(識別工程)
本実施形態の光識別方法は、前記発光量L1の値と、前記発光量L2の値とに基づいて、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光A、及び前記第2ルシフェラーゼと第1ルシフェリンの反応により生じた光Bを識別する識別工程、を含む。
ここで、光を識別するとは、測定対象物から光Aと光Bとを区別せずに検出した場合であっても、前記発光量L1の値と、前記発光量L2の値とに基づいて、検出された発光量のうち、光A由来の発光量と光B由来の発光量とを算出することにより、光Aと光Bを識別することである。
光A由来の発光量と光B由来の発光量との算出には、阻害剤による光Aの発光量の低下率(A2/A1)が予め既知である必要がある。
光Aの発光量の低下率を求めるには、第2発光物質を含まないこと以外は同様の条件で、前記第1測定工程及び前記第2測定工程を行えばよい。この場合、測定対象物から発せられる光は光Aのみに由来するものであるので、阻害剤非存在下での発光量A1及び阻害剤存在下での発光量A2を測定し、発光量の低下率(A2/A1)を求めればよい。
なお、本実施形態では、阻害剤Aが第1ルシフェラーゼと第1ルシフェリンとの反応のみを阻害し、第2ルシフェラーゼと第1ルシフェリンとの反応は阻害しない場合を示している。しかし、本発明に用いられる阻害剤としては、第1ルシフェラーゼと第1ルシフェリンとの反応のみならず、第2発光物質の発光量を変化させるものであってもよく、例えば、第1ルシフェラーゼと第1ルシフェリンとの反応のみならず、第2ルシフェラーゼと第1ルシフェリンとの反応を阻害するものであってもよい。
この場合も、阻害剤による第2発光物質の発光量の変化率が予め既知である必要がある。例えば、第2発光物質が第2ルシフェラーゼと反応する第1ルシフェリンであり、阻害剤が第2ルシフェラーゼと第1ルシフェリンの反応を阻害する場合には、光Bの発光量の低下率(B2/B1)が予め既知である必要がある。
光Bの発光量の低下率を求めるには、第1発光物質及び第1ルシフェリンを含まないこと以外は同様の条件で、前記第1測定工程及び前記第2測定工程を行えばよい。この場合、測定対象物から発せられる光は光Bのみに由来するものであるので、阻害剤非存在下での発光量B1及び阻害剤存在下での発光量B2を測定し、発光量の低下率(B2/B1)を求めればよい。
光Aの発光量の低下率(A2/A1)がx%であり、光Bの発光量の低下率(B2/B1)がy%であるとすると、下記式(I)で示されるように、L1 = A1 + B1、L2 = x/100A1+y/100B1となり、A1及びB1を計算できる。
Figure 0006579539
阻害剤による光Aの発光量の低下率(A2/A1)や光Bの発光量の低下率(B2/B1)の差は、阻害剤の特異性を反映している。発光量の低下率は、同様の反応条件下においてほぼ一定であるので、これらの低下率についての情報が既知であれば、本発明の光識別方法を行う際に、これらの低下率を改めて求める必要はない。
光Aの発光量の低下率(A2/A1)と、光Bの発光量の低下率(B2/B1)との比の値は、大きいほうが好ましい。これは、阻害剤の効果が誤差範囲内となるおそれが低減され、光分離の精度をより向上させることができる。光Aの発光量の低下率(A2/A1)と、光Bの発光量の低下率(B2/B1)との比は、1.1倍以上、1.5倍以上、2倍以上、2.5倍以上、3倍以上、3.5倍以上、4倍以上、4.5倍以上、5倍以上、5.5倍以上、6倍以上、6.5倍以上が好ましく、7倍以上、7.5倍以上、8倍以上、8.5倍以上がより好ましく、9倍以上、9.5倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上がさらに好ましい。
なお、上記発光量を発光強度として、本発明の光識別方法を行ってもよい。発光量はRLU(relative light unit)として測定されたものであってもよい。
(発光物質)
ルシフェラーゼは生物発光を触媒する酵素の総称であり、ルシフェリンは、ルシフェラーゼと反応して光を生み出す化合物の総称である。
これまでに様々な種類のルシフェラーゼ及びルシフェリンが発見されており、代表的なルシフェラーゼとしては、ウミシイタケルシフェラーゼ(Rluc)、ホタルルシフェラーゼ(Fluc)、ヒカリコメツキ(Click beetle)由来の緑色発光タンパク質(CBG:Click Beetle Green)及び赤色発光タンパク質(CBR:Click Beetle Red)が挙げられる。代表的なルシフェリンとしては、ウミシイタケルシフェリン、ホタルルシフェリン、セレンテラジン等が挙げられる。
ルシフェラーゼには、基質特性がある。特定のルシフェラーゼと反応して光を生み出すルシフェリンは、当業者によって適宜選択することができる。
ルシフェラーゼは、天然に存在する天然型のタンパク質であっても、天然型とは異なるアミノ酸配列、修飾、付加等を有する突然変異型又は人為的改変型のタンパク質であってもよい。ルシフェリンは、ルシフェラーゼと反応して光を生み出すものであれば、天然に存在する天然型の化合物であっても、天然型とは異なる構造を有する化合物であってもよい。
本明細書中において前記第1ルシフェラーゼとは、ルシフェラーゼのうち、阻害剤によってルシフェラーゼとルシフェリンとの反応が阻害されるルシフェラーゼである。本明細書中において、第1発光物質である第1ルシフェリンとは、前記第1ルシフェラーゼと反応して光を生み出す化合物である。第1ルシフェリンは、D−ルシフェリン又はその類縁体であることが好ましい。D−ルシフェリンの類縁体は、D−ルシフェリンを基質とするルシフェラーゼが反応して光を生み出す化合物が好ましく、D−ルシフェリンの類縁体としては、例えば、アカルミネ(登録商標)が挙げられる。第1ルシフェラーゼは、D−ルシフェリン又はその類縁体を基質とするルシフェラーゼであることが好ましい。
前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aは、第1ルシフェリンから発生られた光そのものに限定されない。同じく、第2発光物質により生じた光Bは、第2発光物質から発生られた光そのものに限定されない。例えば、光Aとしては、生物発光共鳴エネルギー移動(Bioluminescence resonance energy transfer:BRET)により生じたものであってもよく、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光がエネルギー転移して生じた光も包含される。
第2発光物質は、光を発する物質であれば特に制限されない。第2発光物質として用いられる物質としては、フルオロセイン、ローダミン、シアニン等の蛍光色素、緑色蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光タンパク質、イクオリン等の発光タンパク質、ルシフェリン等を挙げることができる。
本発明の光識別方法で用いられる第2発光物質がルシフェリンであり、前記測定対象物が、第1ルシフェリン、第1ルシフェラーゼ、前記ルシフェリン、及び前記ルシフェリンと反応させる第2ルシフェラーゼを含む場合、上記第1実施形態で説明したように、前記ルシフェリンが前記第1ルシフェリンと同じ物質であることが好ましい。
従来用いられてきたDLRAでは、例えば、ホタルルシフェラーゼ(firefly luciferase:Fluc)とウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla luciferase: Rluc)を用い、基質特異性と反応条件の差異を利用するので、異なる2種類の発光基質と、それらに対応する緩衝液を準備する必要がある。
一方、本実施形態の光識別方法では、適切なルシフェラーゼ及びルシフェリンを選択することにより、第1ルシフェラーゼ及び第2ルシフェラーゼをともに第1ルシフェリンと反応させることが可能であるので、ルシフェラーゼの反応条件を変更することなく、第1ルシフェラーゼと第1ルシフェリン及び第2ルシフェラーゼと第1ルシフェリンの両方の反応を同一反応系で行うことができる。そのため、緩衝液を変更する必要もなく、より簡便にルシフェラーゼアッセイを行うことができる。
共通のルシフェリンと反応する第1ルシフェラーゼ、第2ルシフェラーゼ及びルシフェリンの組合せとしては、種々の組み合わせが例示できるが、D−ルシフェリンと反応するルシフェラーゼとしては、例えば、Fluc、CBR、CBG、SLG(緑色発光ルシフェラーゼ)、SLO(橙色発光ルシフェラーゼ)、及びSLR(赤色発光ルシフェラーゼ)からなる群から、それぞれ異なるものをそれぞれ第1ルシフェラーゼ及び第2ルシフェラーゼとして選択すればよい。
(測定対象物)
本発明の光識別方法に係る測定対象物は、第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含むものであれば特に制限されないが、好ましい測定対象物として、細胞又は、細胞由来の物質が挙げられる。細胞を測定対象とすることは、細胞の集合である細胞集団、組織、器官、又は生物個体を測定対象とすることを包含する。細胞としては、例えば、植物細胞、植物体、動物細胞、昆虫細胞、酵母、真菌などの真核細胞であり、単細胞生物、微生物等も含む。細胞由来の物質としては、細胞抽出物、細胞培養上清、それらの調整物等が挙げられる。
測定対象物中には、第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質が均一に含まれていなくともよい。例えば、測定対象物が個体である場合、個体を構成する一部の細胞にのみ第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質が含まれていてもよい。他の例としては、個体を構成する一部の細胞にのみ第1ルシフェラーゼ及び第1発光物質である第1ルシフェリンが含まれており、さらに前記部分とは異なる部分に第2発光物質が含まれていてもよい。
本発明の光識別方法は、測定対象物が細胞であって、測定対象物の細胞から発せられた光を、細胞非破壊的に測定してもよい。
上記に挙げたDLRAでは、例えば、ホタルルシフェラーゼ(firefly luciferase:Fluc)とウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla luciferase: Rluc)を用い、Flucに対する基質としてホタルルシフェリンを用い、Rlucに対する基質としてはセレンテラジンを用いる場合がある。しかし、セレンテラジンは比較的高分子なため、細胞への浸透が起こり難い。そのため、細胞内で発現させたRlucとセレンテラジンとを反応させるため、測定対象物としては細胞を破壊して得た細胞抽出物としなければならない。
一方、本発明の光識別方法では、上述のように第1ルシフェラーゼ及び第2ルシフェラーゼは、同一種のルシフェリンを用いて反応系を構築することも可能であるため、細胞浸透性に劣るルシフェリンを選択しなければならない必要性を低くすることができる。
例えば、上記第1実施形態では、細胞抽出物の調整物を測定対象物としていたが、上記第1実施形態では、細胞浸透性に優れるホタルルシフェリンのみを発光基質として用いているため、測定対象物を細胞とし、測定対象物の細胞から発生られた光を細胞非破壊的に測定することも可能である。また、後述する本発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤が、細胞浸透性に優れていることによっても、測定対象物の細胞から発生られた光を細胞非破壊的に測定することを可能とする。
<物質の検出方法>
本発明の物質の検出方法は、本発明の光識別方法を用いるものである。検出とは、測定及び定量を含む。本発明の光識別方法は、従来ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応を利用して行われてきた物質の検出方法に幅広く用いることができる。
例えば、ホタルルシフェラーゼとホタルルシフェリンの発光反応は、ATP存在下でのみ生じる反応であるので、本発明の光識別方法を用いれば、測定対象物中のATPの存在を検出することができる。検出対象をATPとする場合、本発明の物質の検出方法の一実施形態としては、
以下の工程;
検出対象であるATPを含み得る被験試料、第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含む測定対象物の、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとを反応させ、前記測定対象物から発せられた光の発光量L1を測定する第1測定工程、
前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤と前記測定対象物とを接触させて、前記第1ルシフェラーゼと前記ルシフェリンとの反応によって生じる発光量を低下させ、測定対象物から発せられた発光量L2を測定する第2測定工程、
前記発光量L1の値と、前記発光量L2の値とに基づいて、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光A、及び前記第2発光物質により生じた光Bを識別する識別工程、
を含むものとすることができる。
また、ATPと同様に、ATPase等の酵素活性の測定、ATPを生産する細胞の測定、微生物の測定等を行うことができる。
本発明の物質の検出方法では、例えば、第1発光物質又は第2発光物質を標準物質(コントロール)としてもよいため、簡便で高精度に物質を検出することが可能となる。
上記に挙げたATP以外にも、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応に必須な要素が反応系に存在することを検出検出対象とすることができる。ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応に必須な要素としては、ATPの他、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、Mg2+、酸素が挙げられる。
測定対象の物質がルシフェリン−ルシフェラーゼ反応に必須な上記要素を反応系に生じさせることを利用して、物質の検出を行ってもよい。例えば、検出対象の酵素が触媒する反応によってルシフェラーゼの基質となるルシフェリンが産生されるような反応系を測定対象物中に構築すれば、該酵素の存在を検出することが可能である。
本発明の光識別方法は、他のルシフェラーゼアッセイ方法と組み合わせて用いることができる。例えば、本発明の光識別方法に加えて、DLRAを行うことを例示できる。例えば、本発明の光識別方法において反応させる第1ルシフェラーゼとは異なるルシフェリンを基質とする第3ルシフェラーゼが測定対象物に含有されており、本発明の光識別方法を行った測定対象物に、第3ルシフェラーゼ用の反応溶液及び第3ルシフェラーゼと反応させるルシフェリンを添加し、第3ルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させる。
図2には、第3ルシフェラーゼとしてRlucを用いる場合を例示する。このようにして、識別して検出可能な光の種類を増やすことができる。
<レポーターアッセイ方法>
本発明のレポーターアッセイ方法は、本発明の光識別方法を用いるものである。レポーターアッセイは、レポーターからのシグナルを介して、遺伝子の発現、遺伝子調節、細胞応答等を検出する手法である。本発明の光識別方法は、従来ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応を利用して行われてきたレポーターアッセイに幅広く用いることができる。
例えば、本発明の光識別方法における前記測定対象物が、遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子が導入され、前記第1ルシフェラーゼを発現している組み換え細胞又はその抽出物を含むものであってもよい。ここで、遺伝子調節領域とは、下流に連結された遺伝子の転写を制御可能な配列であればよく、例えば、プロモーター、エンハンサー、ホルモン応答配列等である。
ルシフェラーゼ遺伝子は、天然に存在する天然型の塩基配列を有するものであっても、天然型とは異なる塩基酸配列、修飾、付加等を有する突然変異型又は人為的改変型の塩基配列を有するものであってもよい。例えば、Luc2は、ホタルルシフェラーゼの哺乳類細胞での発現効率化を目的としてコドンが最適化されている。ルシフェリンについても、天然に存在する天然型の化合物であっても、ルシフェラーゼと反応して光を生み出すものであれば、天然型とは異なる構造を有する化合物であってもよい。
組み換え細胞となる細胞としては、特に制限されず、植物細胞、動物細胞、昆虫細胞、酵母、真菌などの真核細胞が好ましく、植物細胞であることがより好ましい。植物細胞の形質転換体を得る場合、融合遺伝子が導入される細胞としては、植物体に再生可能なあらゆる種類の形態の植物細胞を含めることができる。例えば、培養細胞、プロトプラスト、苗条原基、多芽体、毛状根、カルス等が挙げられる。また、形質転換される植物種としては、特に限定されるものではなく、単子葉植物でも双子葉植物でもよいが、農作物あるいは園芸用作物であることが好ましい。たとえば、イネ、オオムギ、コムギ、ライムギ、トウモロコシ、サトウキビなどの穀類、じゃがいも、さつまいもなどの根茎又は塊根を形成する作物、インゲンマメ、ソラマメ、エンドウなどのマメ科植物、ピーナッツ、ごま、ナタネ、綿実、ヒマワリ、サフラワーなどの種子作物、リンゴ、メロン、ブドウなどの果実を有する作物、トマト、ナスなどの作物、各種花卉植物であることが好ましい。植物の形質転体は、所定の再生工程を実施することで細胞を植物体に変換することができる。再生の方法は、植物の種類によって異なるが、各種公知の方法を使用できる。
また、組み換え細胞としては、特に限定しないで全ての種類、形態の細胞を包含し、各種細胞の他、動植物個体、その動植物個体を構成しうる真核細胞、およびその一部である組織や器官ならびに生殖細胞を含む。また、ウイルス粒子も包含する。さらに、また植物個体の一部であるその繁殖媒体(種子、根茎、果実、切穂等)も包含する。
検出対象物は第2発光物質を含む。第2発光物質としては、光を発する物質であれば特に制限されず、上記<光識別方法>において説明したものを同様に用いることができる。
本発明のレポーターアッセイ方法において、前記測定対象物は、例えば、遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子が導入され、さらに、遺伝子調節領域の下流にレポーター遺伝子が連結された融合遺伝子が導入され、前記第1ルシフェラーゼ及び前記レポーター遺伝子を発現している組み換え細胞又はその抽出物を含むものであってもよい。
レポーター遺伝子としては、GFP等の蛍光タンパク質、ルシフェラーゼが挙げられ、ルシフェラーゼであることが好ましい。ルシフェラーゼとしては、上記と同様のものが挙げられる。
よって、前記検出対象物は、遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子が導入され、さらに、遺伝子調節領域の下流に前記第2ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子が導入され、前記第1ルシフェラーゼ及び前記第2ルシフェラーゼを発現している組み換え細胞又はその抽出物を含むものであってもよい。遺伝子調整領域としては、上記と同様のものが挙げられる。以下に本発明のレポーターアッセイ方法の実施態様の一例を示す。
まず、遺伝子発現量を測定したい目的遺伝子の遺伝子調節領域を第1ルシフェラーゼ遺伝子の上流に連結し、第1ルシフェラーゼ融合遺伝子を得る。第1ルシフェラーゼ融合遺伝子は、該遺伝子を測定対象物の細胞内で発現可能な発現ベクターとして構築されていてもよい。同様に、内部コントロールとしたい遺伝子の遺伝子調節領域を第2ルシフェラーゼ遺伝子の上流に連結し、第2ルシフェラーゼ融合遺伝子を得る。第2ルシフェラーゼ融合遺伝子は、該遺伝子を測定対象物の細胞内で発現可能な発現ベクターとして構築されていてもよい。
前記発現ベクターは、染色体外で自律複製できるものの他、染色体組込み型ベクターとして構築されていてもよい。また、形態としては、線状の断片、プラスミド、コスミド、ファージ、ウイルス、トランスポゾン、酵母人工染色体(YAC)や植物人工染色体(PAC)、哺乳類人工染色体(MAC)等を採ることができる。これらの中でも、プラスミドベクターが好ましい。
第1ルシフェラーゼ融合遺伝子及び第2ルシフェラーゼ融合遺伝子を細胞に導入する。当該融合遺伝子の細胞への導入方法は、常法により行えばよく、エレクトロポレーション、遺伝子銃等の物理的手段、アグロバクテリウム法等による生物的手段を用いることが挙げられる。必要により細胞をインキュベートし、第1ルシフェラーゼ及び第2ルシフェラーゼを発現させる。
次いで、該細胞を前記第1ルシフェラーゼ及び第2ルシフェラーゼと反応するルシフェリンを含む溶液に浸し、細胞内にルシフェリンを導入する。このようにして、第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質であるルシフェリン、前記ルシフェリンと反応させる第2ルシフェラーゼを含む測定対象物である細胞を得ればよい。
次いで、本発明の光識別方法に係る第1測定工程、第2測定工程及び識別工程を行い、第1ルシフェリンの反応により生じた光Aと第2ルシフェリンにより生じた光Bを識別する。光Aは目的遺伝子の遺伝子発現を表し、光Bは内部コントロールの遺伝子の遺伝子発現を表す。
なお、上述の例では、レポーターアッセイの検出の対象は目的遺伝子の発現量であり、目的遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結される場合を例示したが、例えば、上述の目的遺伝子の調節領域に代えて、各種細胞応答又はシグナル伝達に係る因子の遺伝子調節領域とすることで、細胞応答、シグナル伝達等の細胞情報を取得することができる。細胞情報の例としては、免疫応答、アポトーシス、細胞毒性、細胞増殖、細胞分化、細胞周期等が挙げられる。
本発明の物質のレポーターアッセイ方法では、例えば、第1発光物質又は第2発光物質を標準物質(コントロール)としてもよいため、簡便で高精度に物質を検出することが可能となる。
本発明のレポーターアッセイ方法は、他のルシフェラーゼアッセイ方法と組み合わせて用いることができる。例えば、本発明の光識別方法を用いた本発明のレポーターアッセイ方法に加えて、DLRAを行うことを例示できる。例えば、本発明の光識別方法において反応させる第1ルシフェラーゼとは異なるルシフェリンを基質とする第3ルシフェラーゼが測定対象物に含有されており、本発明の光識別方法を行った測定対象物に、第3ルシフェラーゼ用の反応溶液及び第3ルシフェラーゼと反応させるルシフェリンを添加し、第3ルシフェラーゼとルシフェリンとを反応させる。
図2には、第3ルシフェラーゼとしてRlucを用いる場合を例示する。このようにして、識別して検出可能な光の種類を増やすことができる。
(スクリーニング方法)
更には、本発明のレポーターアッセイ方法を用いることで、化合物の細胞に与える影響を評価することや、生理活性物質、薬物等のスクリーニングを行うことも可能である。
以下に、免疫応答に係る生理活性物質のスクリーニングを行う場合について説明する。
例えば、まず、細胞に免疫応答関連因子の遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子を導入し、さらに、内部コントロールとする遺伝子の遺伝子調節領域の下流に前記第2ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子を導入し、前記第1ルシフェラーゼ及び前記第2ルシフェラーゼを発現している組み換え細胞を用意する。続いて、生理活性物質であることが疑われる被験物質と当該組み換え細胞とを接触させ、ルシフェリンと当該組み換え細胞とを接触させる。被験物質としては特に制限はなく、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、低分子化合物、合成化合物、等が挙げられる。被験物質と細胞との接触は、被験物質を含む被験試料と細胞との接触であってもよい。被験試料としては特に制限はなく、例えば、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液等である。被験物質が免疫応答に係る生理活性物質である場合には、第1ルシフェラーゼが細胞内に発現が誘導され、ルシフェリンは第1ルシフェラーゼ及び第2ルシフェラーゼと反応する。
次いで、本発明の光識別方法に係る第1測定工程、第2測定工程及び識別工程を行い、第1ルシフェリンの反応により生じた光Aと第2ルシフェリンにより生じた光Bを識別する。光Aは免疫応答関連因子の遺伝子発現を表し、光Bは内部コントロールの遺伝子の遺伝子発現を表す。そして、例えば、予め被験物質の非存在下で同様のアッセイを行って光A及び光Bの発光量を取得しておき、被験物質の存在下と非存在下での光A及び光Bの発光量の変化に基づいて、被験物質が免疫応答に係る生理活性物質であるかを判別して被験物質を選択すればよい。例えば、被験物質を組み換え細胞と接触させない場合の光Bの発光量により補正した後の光Aの発光量と比較して、光Bの発光量により補正した後の光Aの発光量を増加させる被験物質を、免疫応答に係る生理活性物質の候補として選択すればよい。
<キット>
本発明のキットは、本発明の光識別方法、本発明の物質の検出方法、又は、本発明のレポーターアッセイ方法を行うためのキットであって、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤を備えるものである。
当該阻害剤は、本発明の光識別方法に係る第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害するものであればよく、上述の<光識別方法>で説明した阻害剤を好適なものとして例示できる。
本発明のキットは、上記阻害剤の他に、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応のためのバッファー及び試薬類、反応容器および取扱い説明書を備えていてもよい。
バッファーは、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応の反応系となる液のpHを、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応に適したpHに保つ役割を有する。バッファーの種類は、反応させるルシフェリン、ルシフェラーゼの種類及び測定対象物の種類にあわせて当業者が適宜選択することができる。バッファーにはルシフェリン等の試薬が予め含まれていてもよい。
本発明のキットは、遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子を備えていてもよく、遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子、及び遺伝子調節領域の下流に前記第2ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子を備えていてもよい。融合遺伝子は、該遺伝子を測定対象物の細胞内で発現可能な発現ベクターとして構築されていてもよい。
或いは、本発明のキットは、検出対象の遺伝子の遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子を構築するためのベクターを備えていてもよく、検出対象の遺伝子の遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子を構築するためのベクター、及び検出対象の遺伝子の遺伝子調節領域の下流に前記第2ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子を構築するためのベクターを備えていてもよい。遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子を構築するためのベクターの一例としては、第1ルシフェラーゼタンパク質をコードする第1ルシフェラーゼ遺伝子を含むものであり、第1ルシフェラーゼ遺伝子の上流に検出対象の遺伝子の遺伝子調節領域を挿入することにより、融合遺伝子を構築することができる。
また、本発明のキットは、免疫応答、アポトーシス、細胞毒性、細胞増殖、細胞分化、細胞周期等の細胞情報を取得するために用いられる試薬類をさらに備えていてもよい。
<ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤>
本発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤は、下記一般式(1)で表される化合物若しくはその塩、又は下記一般式(2)で表される化合物若しくはその塩である。
Figure 0006579539
Figure 0006579539
[式(1)中、
はCH又はNを表し、Rはハロゲン原子を表し、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。
nはRの数を表し、0〜3のいずれかの整数であり、nが2以上のとき、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。mはRの数を表し、0〜2のいずれかの整数であり、mが2のとき、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。]
の前記ハロゲン原子は、F,Cl, Br, I等の周期表において第17族に属する元素である。
の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を例示できる。Rの炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数1〜3が好ましく、炭素数1又は2がより好ましい。
[式(2)中、
はCH又はNを表し、Rはハロゲン原子を表し、Rは単結合又は2価の連結基を表し、Rは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。
pはRの数を表し、0〜3のいずれかの整数であり、pが2以上のとき、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。qはRの数を表し、0〜2のいずれかの整数であり、qが2のとき、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。]
の前記ハロゲン原子は、F,Cl, Br, I等の周期表において第17族に属する元素である。
の2価の連結基としては、アルキレン基、NHを含む2価の連結基又はこれらの組合せが挙げられる。Rがアルキレン基である場合、炭素数1〜3が好ましく、炭素数1〜2がより好ましい。
がNHを含む2価の連結基である場合、NHを含む2価の連結基としては、−NH−、−C−NH−等が挙げられる。
の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を例示できる。Rの炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数1〜3が好ましく、炭素数1又は2がより好ましい。
一般式(1)で表される化合物において、XがNである場合、下記一般式(1−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006579539
[式中、R及びRは、前記一般式(1)におけるものと同じである。]
がClであり、Rがメチル基である場合、前記一般式(1−1)で表される化合物としては、下記式(1−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006579539
一般式(2)で表される化合物において、XがCHである場合、下記一般式(2−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006579539
[式中、R、R及びRは、前記一般式(2)におけるものと同じである。]
がClであり、Rが−C−であり、Rがメチル基である場合、前記一般式(2−1)で表される化合物としては、下記式(2−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006579539
上記一般式(1)で表される化合物は、ルシフェラーゼとルシフェリンとの反応を阻害することができ、本発明の光識別方法における、第1ルシフェラーゼと第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤として、好適に用いることができる。
上記一般式(1)で表される化合物が反応を阻害する前記第1ルシフェリンとしては、D−ルシフェリン又はその類縁体であることが好ましい。
本発明の光識別方法において、前記第2発光物質がルシフェリンであり、前記測定対象物が、第1ルシフェリン、第1ルシフェラーゼ、前記ルシフェリン、及び前記ルシフェリンと反応させる第2ルシフェラーゼを含み、前記ルシフェリンが前記第1ルシフェリンと同じ物質であるとき、上記一般式(1)で表される化合物が反応を阻害する前記第1ルシフェリンとしては、D−ルシフェリン又はその類縁体であることが好ましい。このとき、光Aの発光量の低下率(A2/A1)と、光Bの発光量の低下率(B2/B1)との比の値を大きくするとの観点から、第1ルシフェラーゼとしては、Luc2、Fluc又はCBRが好ましく、第2ルシフェラーゼとしては、CBG又はSLRが好ましい。
上記一般式(2)で表される化合物は、ルシフェラーゼとルシフェリンとの反応を阻害することができ、本発明の光識別方法における、第1ルシフェラーゼと第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤として、好適に用いることができる。
上記一般式(2)で表される化合物が反応を阻害する前記第1ルシフェリンとしては、D−ルシフェリン又はその類縁体であることが好ましい。
本発明の光識別方法において、前記第2発光物質がルシフェリンであり、前記測定対象物が、第1ルシフェリン、第1ルシフェラーゼ、前記ルシフェリン、及び前記ルシフェリンと反応させる第2ルシフェラーゼを含み、前記ルシフェリンが前記第1ルシフェリンと同じ物質であるとき、上記一般式(2)で表される化合物が反応を阻害する前記第1ルシフェリンとしては、D−ルシフェリン又はその類縁体であることが好ましい。このとき、光Aの発光量の低下率(A2/A1)と、光Bの発光量の低下率(B2/B1)との比の値を大きくするとの観点から、第1ルシフェラーゼとしては、CBRが好ましく、第2ルシフェラーゼとしては、Luc2、Fluc、CBG又はSLRが好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物又は上記一般式(2)で表される化合物は、比較的低分子なため、細胞への浸透が起こり易い。そのため、本発明の光識別方法に、これらの化合物を用いることにより、測定対象物の細胞から発生られた光を細胞非破壊的に測定することができる。
発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤は、本発明の光識別方法における、第1ルシフェラーゼと第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤として、好適に用いることができるので、デュアルルシフェラーゼアッセイ用試薬として用いることができる。また、後述する色調制御方法において、発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤は、色調制御試薬として好適に用いることができる。
<ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害方法>
本発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害方法は、本発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤を用いる。
例えば、第1ルシフェラーゼ、及び第1発光物質である第1ルシフェリンを含む反応系に、本発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤を添加することで、第1ルシフェラーゼと第1発光物質である第1ルシフェリンとの反応を阻害することができる。
また、第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含む反応系に、本発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤を添加することで、第1ルシフェラーゼと第1発光物質である第1ルシフェリンとの反応を阻害することができる。
このとき、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aと、前記第2発光物質により生じた光Bの発光波長が異なっている場合、本発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤を添加することで、反応系から発せられた光の色調を、阻害剤存在下と阻害剤非存在下とで変化させることができる。
本発明のルシフェリン−ルシフェラーゼ反応阻害剤を用いた色調制御方法としては、例えば、第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含み、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aと、前記第2発光物質により生じた光Bの発光波長が異なる反応液に、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤を接触させて、前記反応液から発せられる光の色調を変化させる色調制御方法とすることができる。
<装置>
本発明の装置は、本発明の光識別方法を行うための装置であって、
(a)前記測定対象物から発せられた光の発光量を測定する測定手段と、(b)前記測定手段によって測定された前記発光量L1の値と、前記測定手段によって測定された前記発光量L2の値とに基づいて、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光A、及び前記第2発光物質により生じた光Bを識別するための算出手段と、を備えるものである。測定手段は、前記測定対象物から発せられた光の発光量又は発光強度を測定するものであってもよい。
図3は、本発明の装置の構成を模式的に示す図である。装置1は、測定手段10と、算出手段20を備えている。測定手段10は、測定対象物から発せられた光の発光量又は発光量を測定するものであり、例えば光検出器、光センサーである。なお、測定対象物は本発明の装置の構成要素ではない。測定手段10は、第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含む測定対象物の、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとを反応させ、前記測定対象物から発せられた光の発光量L1を測定可能である。また、測定手段10は、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤と前記測定対象物とを接触させて、前記第1ルシフェラーゼと前記ルシフェリンとの反応によって生じる発光量を低下させ、測定対象物から発せられた発光量L2を測定可能である。
測定手段10によって測定された発光量L1の値及び発光量L2の値は、算出手段20によって、測定された発光量のうち、光A由来の発光量と光B由来の発光量とが算出され、光Aと光Bを識別することが可能である。算出手段は、例えばコンピュータである。光A由来の発光量と光B由来の発光量の算出方法については、上述した<光識別方法>における(識別工程)で説明したものが挙げられる。
本発明の装置は、測定対象物を支持する支持部、測定対象物に阻害剤を接触させるために測定対象物に阻害剤を添加する阻害剤添加ノズル、阻害剤を保持しており前記ノズルへと阻害剤を供給する阻害剤保持部、発光量L1、発光量L2、第1ルシフェラーゼと第1ルシフェリンの発光量の低下率等を記憶する記憶手段等をさらに備えていてもよい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<各種ルシフェラーゼに対する反応阻害−(1)>
反応容器にルシフェラーゼ含有溶液(RLL extract)2.5μL、測定バッファー50μL、阻害剤のDMSO溶液3μLを加えて混合し反応溶液を調製した。ルシフェラーゼ含有溶液(RLL extract)のルシフェラーゼは、TnT(登録商標) Coupled Reticulocyte Lysate Systems(プロメガ社製)によって、添付の説明書に沿って合成した。測定バッファーは、Dual luciferase Assay kit(プロメガ社製)に添付のLARIIバッファーを用いた。LARIIバッファーには、D−ルシフェリンが含有されている。ルシフェラーゼは、Luc2、Fluc、CBR、CBGの計4種を用意し、阻害剤を含まないコントロールの反応溶液(阻害剤(−))を含め、計5種の反応溶液を用意した。阻害剤は、上記式(1−2)で表される化合物である。各反応溶液中の阻害剤の終濃度は、いずれも2mMとなるように調整した。反応溶液中でのルシフェリン−ルシフェラーゼ反応により生じた発光をルミノメーター(AB−2270、アトー社製)により測定した。
測定結果を図4に示す。図4のグラフは、阻害剤(−)の反応溶液から得られた発光の発光量を1とした相対発光活性を示す。阻害剤は緑色発光型ルシフェラーゼであるCBGの発光活性にはあまり影響せず、CBGの発光活性は0.8程度となったが、阻害剤はLuc2及びFlucの発光活性を0.3程度に低下させ、CBRの発光活性を0.1程度に低下させた。
<各種ルシフェラーゼに対する反応阻害−(2)>
反応容器にルシフェラーゼ含有溶液(RLL extract)2.5μL、測定バッファー50μL、阻害剤のDMSO溶液3μLを加えて混合し反応溶液を調製した。ルシフェラーゼ含有溶液(RLL extract)のルシフェラーゼは、TnT(登録商標) Coupled Reticulocyte Lysate Systems(プロメガ社製)によって、添付の説明書に沿って合成した。測定バッファーは、Dual luciferase Assay kit(プロメガ社製)に添付のLARIIバッファーを用いた。LARIIバッファーには、D−ルシフェリンが含有されている。ルシフェラーゼは、Luc2、Fluc、CBR、CBGの計4種を用意し、阻害剤を含まないコントロールの反応溶液(阻害剤(−))を含め、計5種の反応溶液を用意した。阻害剤は、上記式(2−2)で表される化合物である。各反応溶液中の阻害剤の終濃度は、いずれも100μMとなるように調整した。反応溶液中でのルシフェリン−ルシフェラーゼ反応により生じた発光をルミノメーター(AB−2270、アトー社製)により測定した。
測定結果を図5に示す。図5のグラフは、阻害剤(−)の反応溶液から得られた発光の発光量を1とした相対発光活性を示す。阻害剤は緑色発光型ルシフェラーゼであるCBGの発光活性にはほとんど影響せずにCBGの発光活性は1程度のままであった。阻害剤はLuc2及びFlucの発光活性を0.8程度に低下させ、CBRの発光活性を0.1程度に低下させた。
<ホウレンソウへの一過性遺伝子導入>
光によって誘導されることが知られている光誘導性プロモーターCAB1について、異なる光条件下での該プロモーター活性を確認した。
まず、光誘導性プロモーターCAB1とCBGとの融合遺伝子(CAB−CBG)、カリフラワーモザイクウイルス35SプロモーターCaMV−35SとCBRとの融合遺伝子(35S−CBR)、及びCaMV−35SとCBGの融合遺伝子(35S−CBG)をOgura et al., Plant Biotechnology 22(2), 151-155 (2005)(非特許文献2)に記載の方法により作製した。
CAB1プロモーターが遺伝子発現量を測定したい目的遺伝子のプロモーターであり、35Sプロモーターは、内部コントロールとなるプロモーターである。
続いて、遺伝子銃によりこれらの融合遺伝子をホウレンソウ細胞に同時に導入した。導入条件はOgura et al., Plant Biotechnology 22(2), 151-155 (2005) (非特許文献2)に準拠する。融合遺伝子の導入された細胞を明条件処理群と暗条件処理群とに分け、明条件処理群は12時間の連続白色照明下(50 μmolm−2 sec−1)で処理し、暗条件処理群は12時間の連続暗期で処理した。Dual luciferase Assay kit(プロメガ社製)に添付のPLBバッファーを用い、細胞抽出液を作製した。
細胞抽出液は、
・CAB−CBG及び35S−CBR導入細胞・明条件下、
・CAB−CBG及び35S−CBR導入細胞・暗条件下、
・35S−CBG及び35S−CBR導入細胞・明条件下、
・35S−CBG及び35S−CBR導入細胞・暗条件下、
の計4種を得た。
反応容器に上記の各細胞抽出液10μL、測定バッファーを加え、反応溶液とした。測定バッファーは、Dual luciferase Assay kit(プロメガ社製)に添付のLARIIバッファーを用いた。LARIIバッファーには、D−ルシフェリンが含有されている。各反応溶液から発せられた発光量(発光量L1)をルミノメーター(AB−2270、アトー社製)により測定した。次いで、各反応溶液に阻害剤を添加し、各反応溶液から発せられた発光量(発光量L2)を、ルミノメーターを用いて発光を測定した。阻害剤は、上記式(1−2)で表される化合物である。
CBRとD−ルシフェリンとの反応による発光の発光量の、阻害剤による低下率が10%、CBGとD−ルシフェリンとの反応による発光の発光量の、阻害剤による低下率が100%(阻害なし)として、各反応液中の阻害剤非存在下におけるCBRとD−ルシフェリンとの反応による発光量、及びCBGとD−ルシフェリンとの反応による発光の発光量をそれぞれ求めた。
結果を図6に示す。図6のグラフは、各反応液中の阻害剤非存在下におけるCBGとD−ルシフェリンとの反応による発光の発光量の値を、CBRとD−ルシフェリンとの反応による発光量の値で除算した値である。
図6のグラフ中、
・CAB−CBG及び35S−CBR導入細胞・明条件下処理の細胞抽出物を含む反応溶液に対する上記値を「CAB1−Light」、
・CAB−CBG及び35S−CBR導入細胞・暗条件下処理の細胞抽出物を含む反応溶液に対する上記値を「CAB1−Dark」、
・35S−CBG及び35S−CBR導入細胞・明条件下処理の細胞抽出物を含む反応溶液に対する上記値を「35S−Light」、
・35S−CBG及び35S−CBR導入細胞・暗条件下処理の細胞抽出物を含む反応溶液に対する上記値を「35S−Dark」と表記した。
このようにして、内部標準によって正規化されたプロモーター活性の値を算出できた。図6のグラフから、光誘導性プロモーターCAB1の活性が、暗条件下よりも明条件下で高められていることが読み取れる。
以上のことから、測定対象物の細胞抽出物からCBRとD−ルシフェリンとの反応による光とCBGとD−ルシフェリンとの反応による光とを区別せずに検出した場合であっても、発光量L1の値と、発光量L2の値とに基づいて両光を識別でき、2種類のルシフェラーゼを用いたレポーターアッセイを実施可能であることが実証された。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本発明は、ルシフェラーゼ発光を利用したあらゆる活性評価に応用可能である。ルシフェラーゼレポーターを用いたデュアルルシフェラーゼ法等による遺伝子発現定量技術のほか、酵素活性定量技術あるいは微生物検出技術等への応用があり、それらを利用した創薬技術等への応用も考えられる。
また、多色ルシフェラーゼの組成を変化させずに,ルシフェラーゼ発光の色調を変化させる一般的手法としても用いることが出来る。
1…装置、10…測定手段、20…算出手段

Claims (10)

  1. 以下の工程;
    第1ルシフェラーゼ、発光量の測定対象であり発光量測定時に前記第1ルシフェラーゼと反応して光Aを発する第1発光物質である第1ルシフェリン、及び発光量の測定対象であり発光量測定時に光Bを発する第2発光物質(ただし、蛍光物質を除く)を含む測定対象物(ただし、前記第2発光物質がルシフェリンであり、前記測定対象物が、第1ルシフェリン、第1ルシフェラーゼ、前記ルシフェリン、及び前記ルシフェリンと反応させる第2ルシフェラーゼを含むとき、前記第1ルシフェラーゼと前記第2ルシフェラーゼとは異なる。)の、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとを反応させ、前記測定対象物から発せられた光の発光量L1を測定する第1測定工程、
    前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンとの反応を阻害する阻害剤と前記測定対象物とを接触させて、前記第1ルシフェラーゼと前記ルシフェリンとの反応によって生じる発光量を低下させ、測定対象物から発せられた発光量L2を測定する第2測定工程、
    前記発光量L1の値と、前記発光量L2の値と、予め取得された前記阻害剤による前記第1発光物質である第1ルシフェリンの発光量の低下率と、予め取得された前記阻害剤による前記第2発光物質の発光量の低下率と、に基づいて、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aの発光量、及び前記第2発光物質により生じた光Bの発光量を算出し、前記光Aの発光量と前記光Bの発光量とを識別する識別工程、
    を含む(ただし、前記第1ルシフェリンの発光量の低下率と前記第2発光物質の発光量の低下率とが同一となる阻害剤を用いる場合を除く。)ことを特徴とする光識別方法。
  2. 前記第2発光物質がルシフェリンであり、前記測定対象物が、第1ルシフェリン、第1ルシフェラーゼ、前記ルシフェリン、及び前記ルシフェリンと反応させる第2ルシフェラーゼを含む、請求項1に記載の光識別方法。
  3. 前記ルシフェリンが前記第1ルシフェリンと同じ物質である請求項2に記載の光識別方法。
  4. 前記阻害剤非存在下における、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aの発光量を発光量A1とし、
    前記阻害剤存在下における、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光Aの発光量を発光量A2とし、
    前記阻害剤非存在下における、前記第2ルシフェラーゼと前記ルシフェリンの反応により生じた光Bの発光量を発光量B1とし、
    前記阻害剤存在下における、前記第2ルシフェラーゼと前記ルシフェリンの反応により生じた光Bの発光量を発光量B2としたときに、
    光Aの発光量の低下率(A2/A1)と、光Bの発光量の低下率(B2/B1)との比が1.1倍以上である請求項2又は3に記載の光識別方法。
  5. 前記第1ルシフェリンが、D−ルシフェリン、又はD−ルシフェリンを基質とするルシフェラーゼと反応して光を生み出すことのできる化合物であるD−ルシフェリン類縁体である請求項1〜4のいずれか一項に記載の光識別方法。
  6. 前記第1ルシフェラーゼがFluc、Luc2、SLO、SLG又はCBRである請求項1〜5のいずれか一項に記載の光識別方法。
  7. 前記測定対象物が細胞であり、測定対象物の前記細胞から発せられた光を、細胞非破壊的に測定する請求項1〜6のいずれか一項に記載の光識別方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光識別方法を用いることを特徴とするレポーターアッセイ方法。
  9. 第1ルシフェラーゼ、第1発光物質である第1ルシフェリン、及び第2発光物質を含む前記測定対象物が、遺伝子調節領域の下流に前記第1ルシフェラーゼ遺伝子が連結された融合遺伝子が導入され、前記第1ルシフェラーゼを発現している組み換え細胞又はその抽出物を含むことを特徴とする請求項8に記載のレポーターアッセイ方法。
  10. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光識別方法を行うための装置であって、(a)前記測定対象物から発せられた光の発光量を測定する測定手段と、(b)前記測定手段によって測定された前記発光量L1の値と、前記測定手段によって測定された前記発光量L2の値とに基づいて、前記第1ルシフェラーゼと前記第1ルシフェリンの反応により生じた光A、及び前記第2発光物質により生じた光Bを識別するための算出手段と、を備えることを特徴とする装置。
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