JPH07203995A - 細胞内atpの測定方法 - Google Patents

細胞内atpの測定方法

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JPH07203995A
JPH07203995A JP2381094A JP2381094A JPH07203995A JP H07203995 A JPH07203995 A JP H07203995A JP 2381094 A JP2381094 A JP 2381094A JP 2381094 A JP2381094 A JP 2381094A JP H07203995 A JPH07203995 A JP H07203995A
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atp
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cyclodextrin
luminescent
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JP2381094A
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Yasushi Haketa
靖 羽毛田
Tatsuo Nishino
達夫 西野
Hiroshi Tsunoda
浩 角田
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Toa Electronics Ltd
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Toa Electronics Ltd
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 界面活性剤を含んだ抽出試薬により細胞を含
む試料から細胞内ATPを抽出し、これにルシフェラー
ゼとルシフェリンによる生物化学発光法を適用して細胞
内ATPを測定するに際し、抽出試薬による生物化学発
光の酵素反応の阻害を抑制することができ、且つ細胞内
ATPの抽出能力を低下することがない細胞内ATPの
測定方法を提供することである。 【構成】 α−シクロデキストリン等のシクロデキスト
リンは、界面活性剤を含む抽出試薬の抽出能力を低下さ
せず、且つ酵素反応の阻害を抑制する特性を有するの
で、これを抽出試薬による酵素反応阻害に対する抑制試
薬として使用した。 【効果】 シクロデキストリンの使用により目的の効果
を得ることができ、又測定試料の稀釈を要しないので、
測定感度を向上する等の効果もある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生物化学発光法を利用
した細胞内ATPの測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大腸菌、酵母菌、乳酸菌及びその他の生
細胞数の測定は、食品衛生、バイオ、臨床検査、医学、
超純水、環境などの分野において非常に重要である。一
般に、細胞数の測定は、成長培地中のコロニーの計測、
血球計算盤による顕微鏡下の計測、濁度測定などによっ
て行なわれている。
【0003】成長培地中のコロニー計測による方法は、
高感度である、生細胞のみを測定できる、選択培地を用
いれば微生物細胞種が同定できる等の点で優れている。
しかし、細胞の培養を必要とするので、測定に通常1日
以上の時間を要し、迅速に結果を得たい場合には適さな
い。
【0004】血球計算盤による方法は、顕微鏡を用いる
ために操作が煩雑である、自動化が困難である等の欠点
を有している。
【0005】濁度測定による法は、迅速で自動化が容易
である点で優れているが、感度が低い、生細胞と死細胞
の細胞数が区別ができない、発酵乳などベースの濁度が
高い試料には適用できない等の問題点を有している。
【0006】ところで、上記分野における細胞数測定に
は、迅速且つ高感度の測定が要求される。例えば食品衛
生の分野では、製品出荷のために製品の微生物汚染の検
査は必要不可欠である。従来、この検査はコロニー計測
法によって行なわれているが、検査に1日以上を要する
ために、結果が出るまで製品を倉庫に保管しておかねば
ならない。このため流通効率の点で問題があるだけでな
く、牛乳などの製品では保管時間が長くなるにつれて微
生物汚染の可能性が高くなる。又食品で汚染を問題にす
る微生物濃度は総じて低濃度であるので、高感度な検査
が要求される。
【0007】上記の要求を満たす微生物濃度測定法とし
て、生きた微生物中に必ず存在するアデノシン3リン酸
(ATP)を生物化学発光法を用いて測定する方法が知
られている。この方法は微生物に含まれるATP濃度が
微生物濃度に比例することを利用しており、測定時間が
短く、高感度であるために非常に有効な方法である。
【0008】生物化学発光法による測定では、蛍発光の
基質であるルシフェリンとその酵素のルシフェラーゼが
用いられる。この方法を用いて微生物細胞のATP濃度
を測定するには、細胞中に含まれるATPを抽出する必
要がある。
【0009】細胞のATP抽出法としては、トリクロロ
酢酸(TCA)の水溶液を微生物に加えて抽出する方法
(TCA法)、界面活性剤水溶液で抽出する方法(界面
活性剤法)、90℃のトリス緩衝液で抽出する方法(ト
リス緩衝液法)、エタノールを用いる方法(エタノール
法)、リゾチームなどの溶菌酵素を用いる方法(酵素
法)等がある。
【0010】しかしながら、TCA法、エタノール法、
界面活性剤法は、生物化学発光の酵素反応を阻害する場
合が多い上に、稀釈やpH調整などの前処理を必要と
し、操作が煩雑で感度を低下させる場合が多い。トリス
緩衝液法は抽出溶液を90℃の高温に熱する必要があ
り、操作面での煩わしさがある。酵素法は抽出に時間が
かかり、試薬が高価で不安定という問題もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上、いずれの方法も
一長一短があり、場合に応じて使い分けているのが現状
であるが、比較的多用されているのが界面活性剤法であ
る。一般に陽イオン性界面活性剤を用いる。
【0012】この方法は、上述したように、生物化学発
光の酵素反応を阻害する場合が多く、その阻害度合は界
面活性剤の濃度が高いほど大きくなる。抽出能力は界面
活性剤濃度が高いほど大きくなるので、界面活性剤濃度
が低いと酵素反応の阻害を小さくできるが、抽出能力が
不十分となる。従って界面活性剤法では酵素反応を阻害
せず、抽出能力が高い方法が望まれている。
【0013】従って本発明の目的は、界面活性剤を含ん
だ抽出試薬により細胞を含む試料から細胞内ATPを抽
出し、これにルシフェラーゼとルシフェリンによる生物
化学発光法を適用して細胞内ATPを測定するに際し、
抽出試薬による生物化学発光の酵素反応の阻害を抑制す
ることができ、且つ細胞内ATPの抽出能力を低下する
ことがない細胞内ATPの測定方法を提供することであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
細胞内ATPの測定方法にて達成される。要約すれば本
発明は、細胞を含む試料をATP抽出試薬と接触して試
料の細胞内ATPを抽出し、次いで抽出試料にルシフェ
ラーゼとルシフェリンによる生物化学発光法を適用し
て、試料の細胞内ATPを測定する方法において、前記
抽出試料をシクロデキストリンを含む酵素反応阻害抑制
試薬と接触した後、抽出試料に前記生物化学的発光法を
適用することを特徴とする細胞内ATPの測定方法であ
る。ATP抽出試薬は界面活性剤を含む。
【0015】以下、本発明について詳述する。
【0016】本発明は、界面活性剤を含んだ抽出試薬に
よる細胞内ATPの抽出と、これへの生物化学発光法の
適用とによって細胞内ATPを測定する方法において、
抽出試薬の抽出能力を低下させず、且つ酵素反応の阻害
を抑制することが可能な酵素反応阻害抑制試薬(抑制試
薬)を発見したことによって達成されたものである。即
ち、界面活性剤は細胞からATPを抽出するために使用
されるが、生物化学発光の酵素反応を阻害する場合が多
く、本発明の特徴は、この阻害を抑制するために、シク
ロデキストリンを含んだ抑制試薬を接触させることにあ
る。
【0017】生物化学発光法を用いた細胞内ATPの測
定は、細胞を含んだ試料を界面活性剤を含んだ抽出試薬
と接触させて、細胞内ATPを細胞外に抽出した後、抽
出したATPを蛍発光の基質であるルシフェリンと酵素
であるルシフェラーゼを含んだ発光試薬と接触し、ルシ
フェリン、ルシフェラーゼ及びATPによる酵素反応に
より生物化学発光させ、その生成した光を測定する方法
が一般的である。本発明では、このとき、シクロデキス
トリンを含んだ抑制試薬を発光試薬に添加するか、試料
又は抽出試薬を抑制試薬に接触した後、発光試薬と接触
させることにより、界面活性剤による生物化学発光の酵
素反応を抑制することが可能である。
【0018】これらの試薬の接触操作は、手操作による
方法、ポンプ等の装置による方法、フローインジェクシ
ョン分析法(FIA法)又はこれらを組合せた方法等に
より行なうことができ、発光量の測定は、バッチ式又は
FIA法などの流れを利用した分析法で行なうことがで
きる。FIA法においては、キャリヤ液に抑制試薬を添
加することによっても本発明の目的を達成することが可
能である。
【0019】上述のいかなる方法によらず、抑制試薬を
接触さる工程は、抽出したATPを発光試薬と接触させ
るのと同時か、発光試薬と接触させる以前が、生物化学
発光の酵素反応の阻害を抑制する点で好ましい。
【0020】抽出試薬に用いる界面活性剤には、アルキ
ルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、塩化ベン
ゼトニウム、セチルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、Triton X−100(商品名)等を好適に使
用することができる。抑制試薬に用いるシクロデキスト
リンとしては、界面活性剤の種類、濃度により、α−シ
クロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シク
ロデキストリンのいずれか1種又は複数種を選択して使
用することができる。
【0021】本発明の具体例について説明する。
【0022】
【実施例】
実施例1 先ず、抽出試薬の化学発光反応阻害に対するシクロデキ
ストリンの抑制効果を示す試験について述べる。発光の
測定にはバッチ式の生物化学発光測定装置を使用した。
抽出試薬の界面活性剤にはドデシルジメチルベンジルア
ンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)を使用
し、又抑制試薬にはα−シクロデキストリンを使用し
た。
【0023】上記の塩化ベンザルコニウムは殺菌剤とし
て知られており、細胞の細胞壁に作用してATPなどの
比較的小さい分子を透過させる能力を有している。従っ
てATPを抽出する能力は非常に高く、抽出試薬として
優れている。ATPの抽出は、抽出試薬の一定量に細胞
を懸濁させた懸濁液を一定量加えて撹拌することにより
成し遂げられる。十分な抽出能力を発現させるために
は、懸濁液と抽出試薬を混合したときの混合液に対し、
塩化ベンザルコニウム濃度が0.05%以上になるよう
にすることが好ましい。しかしながら、塩化ベンザルコ
ニウムが0.05%以上の濃度では、生物化学発光によ
りATP濃度を測定する工程で酵素反応を著しく阻害す
るため、抽出後に緩衝液などにより稀釈することが必要
になる。
【0024】本発明では、α−シクロデキストリンを含
んだ抑制試薬を加えるので、抽出後に希釈等をすること
なく、上記の阻害を抑制することが可能である。
【0025】測定操作は以下の通りである。100nm
ol/lのATP標準液をキュベットに100μl入
れ、0.1%塩化ベンザルコニウムと1mMのEDTA
をpH7.75HEPES緩衝液に溶解した抽出試薬
(これを抽出試薬Aとする)を100μl加えて撹拌
し、ATPを抽出する。更に2%のα−シクロデキスト
リンと1mMのEDTAをpH7.75HEPES緩衝
液に溶解した抑制試薬(これを抑制試薬aとする)を5
0μl加えて撹拌した後、蛍のルシフェリン、ルシフェ
ラーゼを含んだ発光試薬(東亜電波工業製ATPA−1
L1)を100μl加えて撹拌する。そしてキュベット
を生物化学発光測定装置にセットし、生物化学発光反応
によって生じた光を測定し発光量を求める。発光量はキ
ュベットをセットした後、5秒後から始めて0.1秒間
隔で発光を30秒間計測し、これを積算して求めた。
【0026】抽出試薬Aと抑制試薬aに加えたEDTA
は、細胞を抽出試薬に接触したときにATPを分解する
アルカリフォスフォターゼなどの酵素作用を抑制する目
的で使用している。pH7.75HEPES緩衝液は、
生物化学発光法を用いてATPを測定する酵素を至適状
態に保つために必要である。
【0027】表1にATP測定に対する発光量と相対発
光量を示す。比較のために、上記の抑制試薬aの組成か
らα−シクロデキストリンを除いたもの(抑制試薬b)
と、1mMのEDTAをpH7.75HEPES緩衝液
に溶解した試薬(抽出試薬B)を用いた場合を試した。
【0028】
【表1】
【0029】ブランクとして使用した抑制試薬bと抽出
試薬Bの組合せでは、α−シクロデキストリンと界面活
性剤を含んでいないので、生物化学発光の酵素反応に対
する阻害はないと考えられる。そこでこれを基準に選ん
で相対発光量100%とする。表1に示されるように、
本発明による抑制試薬aと抽出試薬Aの組合せでは、相
対発光量は抑制試薬bと抽出試薬Bの組合せのときの9
2%であり、発光反応の阻害が抑制されている。α−シ
クロデキストリンを含まない抑制試薬bと抽出試薬Aの
組合せの場合には、相対発光量は僅か2.7%であり、
発光反応の阻害が極めて大きいことが分かる。
【0030】以上のように、α−シクロデキストリンを
含んだ抑制試薬を添加することにより、生物化学発光の
酵素反応に対する阻害をほぼ抑制できることが確認され
た。
【0031】次に、本発明法による微生物細胞内ATP
の測定を、従来法による測定と比較して示す。従来法
は、ATPの抽出にトリクロロ酢酸(TCA)を用いる
TCA抽出法に依った。TCA抽出法は一般に微生物か
らATPを抽出する場合に用いられる方法で、ATPの
抽出能力に非常に優れている。測定試料には乳酸菌懸濁
液を用いた。
【0032】TCA抽出液による微生物中のATPの測
定操作は以下の通りである。乳酸菌懸濁液の試料100
μlに5%のトリクロロ酢酸溶液を0.9ml加えて6
0秒間撹拌し、乳酸菌からATPを抽出する。この試料
を50μl分取し、pH7.75HEPES緩衝液9.
95mlを加えて良く撹拌する。この試料100μlを
キュベットに取り、発光試薬100μlを添加撹拌し、
前述の生物化学発光測定装置にセットし、発光量を求め
る。そして既知濃度のATP標準液100μlについて
生物化学発光測定装置で測定した発光量と比較して、A
TP濃度を求めた。
【0033】上記のpH7.75HEPES緩衝液を加
えて撹拌する操作は、トリクロロ酢酸が生物化学発光の
酵素反応を大きく阻害するので、これを防ぐために必要
である。しかし、試料溶液がトリクロロ酢酸と緩衝液に
より大きく稀釈(本例では2000倍に稀釈)されてし
まい、測定感度の低下が起こり、TCA抽出法の問題点
になっている。
【0034】本発明による抑制試薬aを用いた微生物細
胞内ATPの測定操作は以下の通りである。乳酸菌懸濁
液の試料100μlをキュベットに入れ、抽出試薬Aを
100μl加えて60秒間撹拌し、乳酸菌からATPを
抽出する。更に抑制試薬aを50μl加えて撹拌した
後、発光試薬100μlを加えて撹拌し、生物化学発光
測定装置にキュベットをセットし、生物化学発光反応に
よって生じた光の発光量を測定する。発光量は、上述し
たように、キュベットをセットした後、5秒後から始め
て0.1秒おきに発光を30秒間計測し、これを積算し
て求めた。抑制試薬bと抽出試薬A、抑制試薬bと抽出
試薬Bの組合せについても同様な操作をして、発光量を
測定した。そして既知濃度のATP標準液100μlに
ついて生物化学発光測定装置で測定した発光量と比較し
て、ATP濃度を求めた。これらの結果及びTCA抽出
法による結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】表2に示されるように、本発明による抑制
試薬aと抽出試薬Aの組合せでは、TCA法による測定
値とほぼ同等な結果が得られているが、α−シクロデキ
ストリンを加えない抑制試薬bと抽出試薬Aの組合せで
は、発光の酵素反応が阻害されるので、TCA法に比べ
ると低いATP濃度しか得られない。又抑制試薬bと界
面活性剤を含まない抽出試薬Bの組合せでは、抽出が全
く起こらないために、ATP濃度の測定値がゼロとなっ
ている。以上のように、本発明に基づくシクロデキスト
リンを含んだ抑制試薬aと抽出試薬Aの組合せが優れた
結果を示した。
【0037】この本実施例よる測定では、試料溶液は抽
出試薬と抑制試薬の添加によりわずか2倍強にしか希釈
されない。抑制試薬を添加しない場合、従来の方法であ
ると試料溶液の20倍以上の稀釈が必要であり、TCA
法に至っては2000倍もの稀釈が必要であることを考
慮すると、本発明の方法は感度の点で非常に有利とな
る。
【0038】上記において、塩化ベンザルコニウムの濃
度は、抽出試薬1容に対し微生物を含んだ試料1容とい
う条件では0.1%以上が好ましいが、微生物濃度が低
濃度である場合には必ずしも0.1%以上である必要は
なく、塩化ベンザルコニウムの濃度を適宜低くすること
ができる。塩化ベンザルコニウムの濃度は、抽出を行な
う細胞の種類によっても使い分けることが好ましい。
【0039】抑制試薬に添加するα−シクロデキストリ
ンの濃度は、抽出を行なった試料1容に対して、添加試
薬0.5容積という条件では2%以上好ましいが、塩化
ベンザルコニウム濃度が0.1%以下の場合には必ずし
も2%以上である必要はない。α−シクロデキストリン
濃度はある程度高いほど発光反応の阻害を抑制する効果
が大きいが、必要以上に高いと逆に酵素反応を阻害する
ので、適当な濃度を使用するのが好ましい。塩化ベンザ
ルコニウム、α−シクロデキストリンの濃度は、上述の
例に限られず、試料、抑制試薬、抽出試薬、発光試薬の
使用量や種類により適切に設定する必要がある。
【0040】α−シクロデキストリンの代わりにβ−シ
クロデキストリンを用いても同様な効果がある。又α−
シクロデキストリンとβ−シクロデキストリンの混合液
を抑制試薬として用いても良い。γ−シクロデキストリ
ンも抽出試薬に対する阻害抑制効果があるが、塩化ベン
ザルコニウムに対しては抑制効果が小さいので、この場
合には適さない。
【0041】抑制試薬、抽出試薬に添加するEDTA及
びpH緩衝液は必ずしも両試薬に入れる必要はなく、い
ずれか一方に添加すれば良い。抽出時間が短い場合には
必ずしもEDTAの添加は必要ではなく、pH緩衝液は
測定したい試料のpHが中性付近であれば使用する必要
はない。
【0042】ATPの抽出に要する時間は微生物の種類
により異なるが、大腸菌、乳酸菌、一般細菌では10秒
以上、酵母菌の場合には30秒以上が好ましい。抽出を
行なってから試料を放置しておくとATP濃度は少しず
つ低下するので、発光量の測定は抽出後5分以内に行な
うことが好ましく、特にEDTAを含んでいない抽出試
薬を使用する場合には、抽出が完了してからすぐに測定
するのが好ましい。又この例では試薬の添加を手操作に
より行なっているが、ポンプや自動シリンジを利用して
試薬を自動的に添加しても良く、これにより更に簡便に
細胞内ATPを測定することができる。
【0043】実施例2 本実施例では、発光試薬に抑制試薬を添加する場合につ
いて示す。抽出試薬の界面活性剤として塩化ベンゼトニ
ウムを、抑制試薬としてβ−シクロデキストリンをそれ
ぞれ使用した。測定装置はバッチ式の生物化学発光測定
装置を用いた。
【0044】又蛍のルシフェラーゼ、ルシェフェリンを
含んだ発光試薬(東亜電波工業製ATPA−1L1)に
抑制試薬の0.3%のβ−シクロデキストリンを添加し
た発光試薬(発光試薬X)と、0.1%塩化ベンゼトニ
ウムと1mMのEDTAをpH7.75HEPES緩衝
液に溶解した抽出試薬(抽出試薬C)を使用した。
【0045】測定操作は次の通りである。100nmo
l/lのATP標準液100μlをキュベットに入れ、
抽出試薬Cを100μl加えて撹拌し、ATPを抽出す
る。次に本発明に基づく発光試薬Xを100μl加えて
撹拌し、生物化学発光測定装置にキュベットをセット
し、生物化学発光反応によって生じた光の発光量を測定
する。発光量はキュベットをセットした後、5秒後から
始めて0.1秒間隔で発光を30秒間計測し、これを積
算して求めた。
【0046】表3には、各発光試薬と抽出試薬のATP
測定に対する発光量と相対発光量を示した。比較のため
に、上記の発光試薬組成からβ−シクロデキストリンを
除いたもの(発光試薬Y)と、1mMのEDTAをpH
7.75HEPES緩衝液に溶解した抽出試薬(前述の
抽出試薬B)を用いた場合についても示した。
【0047】
【表3】
【0048】発光試薬Yと抽出試薬Bの組合せでは、β
−シクロデキストリンと界面活性剤を含んでいないため
に発光反応への阻害はなく、相対発光量は100%と考
えられる。本発明による発光試薬Xと抽出試薬Cの組合
せでは、表3に示されるように、相対発光量は発光試薬
Yと抽出試薬Bの組合せの場合の84%であり、大きな
阻害はない。一方、β−シクロデキストリンを含まない
従来法に基づく発光試薬Yと抽出試薬Cの組合せでは、
相対発光量は11%と低く阻害が大きいことが分かる。
以上のように、発光試薬にβ−シクロデキストリンを加
えても、本発明の効果が得られることが分かる。
【0049】次に本発明による微生物細胞内ATP測定
を、従来法による測定との比較において示す。試料は酵
母菌懸濁液を用いた。従来法は、実施例1と同様、AT
Pの抽出にTCA抽出法を用いる方法で、その微生物細
胞内ATPの測定操作は実施例1で説明した通りであ
る。
【0050】本発明による発光試薬Xを用いた微生物細
胞内のATPの測定操作は以下の通りである。酵母菌懸
濁液の試料100μlをキュベットに入れ、抽出試薬C
を100μl加えて30秒間撹拌し、酵母菌からATP
を抽出する。更に発光試薬を100μl加えて撹拌し、
生物化学発光測定装置にキュベットをセットし、生物化
学発光反応によって生じた光の発光量を測定する。発光
量はキュベットをセットした後、5秒後から始めて0.
1秒おきに発光を30秒間計測し、積算して求めた。
【0051】発光試薬Yと抽出試薬C、発光試薬Yと抽
出試薬Bの組合せについても同様な操作により発光量を
測定した。そして既知濃度のATP標準液100μlに
ついて生物化学発光測定装置で測定した発光量と比較し
て、ATP濃度を求めた。これら及びTCA法による結
果を表4に示す。
【0052】
【表4】
【0053】表4に示されるように、本発明に基づく発
光試薬Xと抽出試薬Cの組合せでは、TCA法による測
定値と同等な結果が得られている。これに対し、β−シ
クロデキストリンを加えない発光試薬Yと抽出試薬Cの
組合せでは、発光の酵素反応の阻害を防止できないため
に、TCA法に比べ低いATP濃度しか得られない。又
界面活性剤を含まない抽出試薬Bを使用した場合には、
ほとんど抽出が起こらないために、ATPの測定値がほ
ぼゼロとなっている。従って本発明に基づく発光試薬X
と抽出試薬Cの組合せが優れていることは明らかであ
る。
【0054】界面活性剤の濃度とシクロデキストリンの
濃度及び抽出時間については、実施例1と同様な注意が
必要である。β−シクロデキストリンの代わりにγ−シ
クロデキストリンを用いても同様な効果がある。又β−
シクロデキストリンとγ−シクロデキストリンの混合液
を抑制試薬として用いても良い。α−シクロデキストリ
ンの阻害抑制効果は塩化ベンゼトニウムに対しては小さ
いので、他の抽出試薬に対しては使用できるが、この場
合には適さない。
【0055】実施例3 本実施例においても、発光試薬に抑制試薬を添加して使
用した。界面活性剤としてTritonX−100を、
抑制試薬としてγ−シクロデキストリンを使用した。測
定装置はこれまでと同様、バッチ式の生物化学発光測定
装置である。
【0056】TritonX−100は、ほとんどの微
生物細胞に対しATP抽出能力を示さず、動物の体細胞
のみからATPを抽出する能力があることが知られてい
る。そのために動物細胞と微生物細胞のATPを別々に
測定したい場合に使用されることがあるが、塩化ベンザ
ルコニウムなどの陽イオン性界面活性剤と同様に生物化
学発光反応を阻害するため、同様にATP測定感度の低
下などの問題を有している。
【0057】本実施例では、蛍のルシフェラーゼ、ルシ
フェリンを含んだ発光試薬(東亜電波工業製ATPA−
1L1)に抑制試薬の0.5%のγ−シクロデキストリ
ンを添加した発光試薬(発光試薬Z)と、0.1%Tr
itonX−100と1mMのEDTAをpH7.75
HEPES緩衝液に溶解した抽出試薬(抽出試薬D)を
使用した。比較のために、上記の発光試薬組成からγ−
シクロデキストリンを除いた発光試薬(前述の発光試薬
Y)と、1mMのEDTAをpH7.75HEPES緩
衝液に溶解した抽出試薬Bを用いた場合についても試験
した。
【0058】阻害抑制の測定は実施例2と同様な方法で
行なった。表5には各発光試薬と抽出試薬のATP測定
に対する発光量と相対発光量を示した。
【0059】
【表5】
【0060】発光試薬Yと抽出試薬Bの組合せでは、γ
−シクロデキストリンと界面活性剤を含んでいないため
発光反応への阻害がなく、相対発光量は100%と考え
られる。本発明による発光試薬Zと抽出試薬Cの組合せ
の場合の相対発光量は、表5に示されるように、発光試
薬Yと抽出試薬Bの組合せの場合の95%であり、ほと
んど阻害はない。γ−シクロデキストリンを含まない従
来法に基づく発光試薬Yと抽出試薬Dの組合せでは、相
対発光量は35%と低く、阻害が大きいことが分かる。
以上のように、発光試薬にγ−シクロデキストリンを加
えることによっても、本発明の効果が得られることが分
かる。
【0061】次に本発明による動物体細胞内ATPの測
定を従来法との比較において示す。試料はマウスの肺細
胞懸濁液を用いた。従来法は、これまでと同様、TCA
抽出法によるATPの抽出を行なう方法である。TCA
抽出法及び本発明による発光試薬Zと抽出試薬Dを用い
た細胞内ATPの測定操作は、実施例2で説明した通り
である。
【0062】発光試薬Yと抽出試薬D、発光試薬Yと抽
出試薬Bの組合せについても同様な操作により発光量を
測定し、既知濃度のATP標準液100μlについて生
物化学発光測定装置で測定した発光量と比較して、AT
P濃度を求めた。これらの結果を表6に示す。
【0063】
【表6】
【0064】表6に示されるように、本発明に基づく発
光試薬Zと抽出試薬Dの組合せでは、TCA法による測
定値と同等な結果が得られているが、γ−シクロデキス
トリンを加えない発光試薬Yと抽出試薬Dの組合せで
は、発光の酵素反応を阻害するためにTCA法に比べる
と低いATP濃度しか得られない。又界面活性剤を含ま
ない抽出試薬Bでは全く抽出が起こらないために、AT
P濃度の測定値はほぼゼロとなっている。本発明に基づ
く発光試薬Zと抽出試薬Dの組合せが優れていることは
明らかである。
【0065】上記において、界面活性剤の濃度とシクロ
デキストリンの濃度及び抽出時間については、実施例1
と同様な点を注意することが必要である。γ−シクロデ
キストリンの代わりにβ−シクロデキストリンを用いて
も同様な効果がある。β−シクロデキストリンとγ−シ
クロデキストリンの混合液を抑制試薬として用いても良
い。又α−シクロデキストリンの阻害抑制効果は、他の
抽出試薬に対しては有効であるが、Triton X−
100に対しては小さいのでこれには適さない。
【0066】実施例4 本実施例では、FIA法(フローインジェクション分析
法)によるATP測定装置を使用し、これに本発明を適
用して細胞中のATP濃度を測定する方法について説明
する。測定装置の一例を図1に示す。
【0067】本装置は、ルシェフェラーゼとルシフェリ
ンを含んだ発光試薬2の輸送ポンプ8及び流路21と、
発光試薬用キャリヤ液1の輸送ポンプ7及び流路26
と、キャリヤ液1及び発光試薬2のインジェクタ13及
び混合器16と、細胞を含んだ試料溶液4の輸送ポンプ
10及び流路22と、試料溶液用キャリヤ液3の輸送ポ
ンプ9及び流路27と、キャリヤ液3及び試料溶液4の
インジェクタ14及び混合器17と、キャリヤ液1、キ
ャリヤ液3、発光試薬2及び試料溶液4の混合器18及
び混合流路28と、化学発光検出器19と、そしてコン
ピュータ20とを備えてなっている。
【0068】上記の測定装置により試料溶液4のATP
濃度を測定するには、発光試薬2をポンプ8により流路
21を通って輸送してインジェクタ13に導入し、AT
Pを含んだ試料溶液4をポンプ10により流路22を通
って輸送してインジェクタ14に導入する一方、キャリ
ヤ液1をポンプ7によりインジェクタ13に送液し、キ
ャリヤ液3をポンプ9によりインジェクタ14に送液す
る。これによってキャャリヤ液1で発光試薬2を流路2
6に注入し、同時にキャリヤ液3で試料溶液4を流路2
7に注入する。流路26に注入された発光試薬2は混合
器16でキャリヤ液1と混合され、その発光試薬2を含
んだキャリヤ液1を流路26を通って混合流路28に導
入する。同様に、流路27に注入された試料溶液4を混
合器17でキャリヤ液3と混合し、その試料溶液4を含
んだキャリヤ3液を流路27を通って混合流路28に導
入する。これによって混合流路28において発光試薬2
を含んだキャリヤ液1及び試料溶液4を含んだキャリヤ
3液を一緒に合せ、混合器18で発光試薬2及び試料溶
液4を混合して、生物化学発光反応を行なわせる。
【0069】そしてその反応により発生した光を化学発
光検出器19で検出し、電気信号に変換してコンピュー
タ20に送り、コンピュータ20で信号の積分値を計算
し発光量を求める。求めた発光量と試料溶液4のATP
濃度は比例するので、予め既知量のATP標準液につい
て測定して求めた発光量と、試料溶液4の発光量をコン
ピュータ20で比較計算することにより、試料溶液4の
ATP濃度が求まり、ATP濃度が測定される。
【0070】上記において、細胞を含んだ試料溶液4の
ATP濃度を測定装置で測定する前に、試料溶液4中の
細胞内ATPは抽出試薬により抽出する必要がある。こ
のときATPを抽出した試料溶液を従来法で測定する
と、抽出試薬の界面活性剤により生物化学発光の酵素反
応が阻害され、定量的な測定結果が得られない。これに
対し、本発明では、シクロデキストリンを含んだ抑制試
薬を例えばキャリヤ液1又はキャリヤ液3に添加するの
で、生物化学発光反応の阻害を抑制して定量的な結果を
得ることができる。
【0071】上記の測定装置において、抽出試薬の界面
活性剤としてセチルトリメチルアンモニウムクロライド
を、抑制試薬のシクロデキストリンとしてα−シクロデ
キストリンを使用した例を、以下に詳しく説明する。
【0072】キャリヤ液1及びキャリヤ液3は、0.5
%α−シクロデキストリン、15mM硫酸マグネシウム
と1mMのEDTAをpH7.75HEPES緩衝液に
溶解した溶液(キャリヤ液u)を使用した。この方法で
はキャリヤ液が抑制試薬を兼ねていることになる。蛍の
ルシフェラーゼ、ルシフェリンを含んだ発光試薬(東亜
電波工業製ATPA−1L1)(発光試薬Y)を使用し
た。抽出試薬は0.1%セチルトリメチルアモニウムク
ロライドと1mMのEDTAをpH7.75HEPES
緩衝液に溶解した溶液(抽出試薬E)を使用した。比較
のために、上記キャリヤ液からα−シクロデキストリン
を除いた溶液(キャリヤ液v)と、抽出試薬Eからセチ
ルトリメチルアンモニウムクロライドを除いた溶液(前
出の抽出試薬B)を用いた場合について検討した。上記
試薬を用いたATP測定に対する阻害の度合の測定操作
を以下に示す。
【0073】100mmol/lのATP標準液1ml
と抽出試薬Eの1mlをキュベットに入れ30秒間撹拌
し、試料溶液4とした。キャリヤ液1とキャリヤ液3を
流速1ml/分でインジェクタ13、14に送液し、5
0μlの発光試薬2と50μlの試料溶液4を流路2
6、27に注入し、上記操作により発光量を求める。混
合器16、17、18には内径0.5mm、外径1.6
mm、長さ1mのテフロンチューブをコイル状に巻いた
ものを使用した。
【0074】キャリヤ液1、3がキャリヤ液vであり、
これと抽出試薬E又は塩化ベンザルコニウムを含まない
抽出試薬Bを使用した場合についても、同操作により1
0mmol/lのATP標準液を測定した。各キャリヤ
液と抽出試薬のATP測定に対する発光量と相対発光量
を表7に示す。
【0075】
【表7】
【0076】キャリヤ液vと抽出試薬Bの組合せでは、
α−シクロデキストリンと界面活性剤を含んでいないた
め発光反応への阻害はなく、相対発光量は100%と考
えられる。本発明によるキャリヤ液uと抽出試薬Eの組
合せでは、キャリヤ液vと抽出試薬Bの組合せと比較し
た相対発光量は94%であり、阻害がほとんどない。α
−シクロデキストリンを含まない従来法に基づくキャリ
ヤ液vと抽出試薬Eの組合せでは相対発光量は25%と
低く、阻害が非常に大きいことが分かる。以上のよう
に、キャリヤ液1、3にα−シクロデキストリンを加え
ることにより、酵素反応の阻害を抑制する効果があるこ
とは明確である。
【0077】次に本実施例による微生物細胞内ATP測
定を従来法との比較において示す。測定試料には大腸菌
懸濁液を用いた。従来法は、ATPの抽出にトリクロロ
錯塩によるTCA抽出法を使用する方法で、これまでの
例と同じである。
【0078】TCA法による微生物中のATPの測定操
作は以下の通りである。試料20μlに5%のTCA溶
液を1.8ml加えて60秒間撹拌し、大腸菌からAT
Pを抽出する。この試料から200μlを分取し、pH
7.75HEPES緩衝液3.8mlに加えて良く撹拌
し、試料溶液4とする。キャリヤ液1とキャリヤ液3に
キャリヤ液vを用い流速1ml/分で送液し、50μl
の発光試薬2と50μlの試料溶液4を注入し、上記操
作により発光量を求める。
【0079】本実施例によるキャリヤ液uと抽出試薬E
の組合せの他に、比較のために、キャリヤ液uと抽出試
薬E、キャリヤ液vと抽出試薬Bの組合せについても前
述の操作により発光量を測定し、既知濃度のATP標準
液50μlをATP測定装置で測定したときの発光量と
比較してATP濃度を求めた。試料溶液4、発光試薬組
成、混合器の条件は上記と同じである。それらの結果を
表8に示す。
【0080】
【表8】
【0081】表8に示されるように、本発明に基づくキ
ャリヤ液uと抽出試薬Eの組合せでは、TCA法による
測定値と同等な結果が得られているが、シクロデキスト
リンを加えないキャリヤ液vと抽出試薬Eの組合せで
は、発光試薬の酵素反応を阻害するためにTCA法に比
べると低いATP濃度しか得られない。又キャリヤ液v
と界面活性剤を含まない抽出試薬Bでは全く抽出が起こ
らないために、ATP濃度の測定値はほぼゼロとなって
いる。以上のように、本発明に基づくキャリヤ液uと抽
出試薬Eの組合せが明らかに優れている。
【0082】上記において、界面活性剤の濃度とシクロ
デキストリンの濃度は、界面活性剤とシクロデキストリ
ンの種類によって異なるので、実施例1で説明したよう
な点に留意することが必要である。
【0083】又本実施例のようなFIA法によるATP
測定装置を使用する場合、シクロデキストリンを必ずし
もキャリヤ液1とキャリヤ液3の両方に添加する必要は
なく、キャリヤ液1もしくはキャリヤ液3だけにシクロ
デキストリンを加えることによっても本発明の目的は達
成され、同様な効果が得られる。
【0084】又実施例1のように抑制試薬としてシクロ
デキストリンを加えて試料溶液4を作成する方法や、実
施例2のように発光試薬にシクロデキストリンを添加す
る方法を用いれば、キャリヤ液にはシクロデキストリン
を添加する必要はない。
【0085】α−シクロデキストリンの代わりにβ−シ
クロデキストリンの混合液を抑制試薬として用いても良
い。γ−シクロデキストリンの阻害抑制効果は、セチル
トリメチルアンモニウムクロライドに対しては小さいの
で、この場合には使用に適さない。
【0086】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、AT
P抽出試薬の界面活性剤による生物化学発光の酵素反応
の阻害に対し、シクロデキストリンを含む抑制試薬を用
いたので、酵素反応の阻害を抑制して発光させることが
でき、その発光を検出することによりATP濃度を正確
に測定することができる。又測定試料の稀釈を必要とし
ないために、測定感度の向上を図ることができ、抽出能
力を低下させることなもなく、操作面でも一層簡単なA
TP測定方法を構築することができる。従って食品衛
生、バイオなどの微生物検査に際し多大な威力を発揮す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で使用したFIA法によるA
TP測定装置を示す構成図である。
【符号の説明】
1、3 キャリヤ液 2 発光試薬 4 試料溶液 7、8、9、10 輸送ポンプ 13、14 インジェクタ 16、17、18 混合器 19 化学発光検出器 20 コンピュータ 21、22 流路 26、27、28 流路

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞を含む試料をATP抽出試薬と接触
    して試料の細胞内ATPを抽出し、次いで抽出試料にル
    シフェラーゼとルシフェリンによる生物化学発光法を適
    用して、試料の細胞内ATPを測定する方法において、
    前記抽出試料をシクロデキストリンを含む酵素反応阻害
    抑制試薬と接触した後、抽出試料に前記生物化学発光法
    を適用することを特徴とする細胞内ATPの測定方法。
  2. 【請求項2】 ATP抽出試薬が界面活性剤を含む請求
    項1の測定方法。
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