JP2015126771A - トイレットペーパー及びその製造方法 - Google Patents
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(1)本発明のトイレットペーパーは、2プライのトイレットペーパーであって、18g/m2以上23g/m2以下の1プライ当たりの坪量と、5.0以上6.5以下の比容積と、4プライでの90gf/25mm以上130gf/25mm以下の縦方向の湿潤引張り強度と、を有し、1ロールの巻長が30m以上であり、JIS P 8113に規定される縦方向の乾燥引張り強度をDMDT、横方向の乾燥引張り強度をDCDTで表したとき、2プライにおけるDMDT/DCDT=2.0以上3.5以下であることを特徴とする。
クレープ率(%)=100×{(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))}÷リール速度(m/分)
本実施形態に係るトイレットペーパーにおいて、シャワートイレに適した乾燥強度、一定の湿潤強度を確保するため、パルプに対して0.01重量%以上0.10重量%以下の一時的湿潤紙力増強剤を抄紙工程で添加することが好ましい。一時的湿潤紙力増強剤を添加して抄造し、坪量を18g/m2以上の2プライとすることにより、水分を拭き取る際、シャワートイレにて付与した水分量程度では破れたりせず、十分な吸水能力を持ち、廃棄時に水洗トイレでの水流で崩壊させることができる。
本実施形態に係るトイレットペーパーの坪量は、JIS P 8124に基づいて測定され、トイレットペーパー200のシート1枚当たり、18g/m2以上23g/m2以下である。坪量が18g/m2未満であると、温水洗浄用として必要な吸水性と湿潤強度を確保しにくくなり、一方、23g/m2を超えると、紙質が硬く拭き取りに適さないものとなる。
比容積とは、密度(緊度)の逆数をいう。すなわち、比容積とは一定質量に対する容積のことで、嵩(かさ)ともいわれ、体積や厚み、高さなど嵩張り状態(bulky)の目安となり、次式で求められる。
比容積(cm3/g)=厚さ(mm)×1000/坪量(g/m2)
本実施形態に係るトイレットペーパーの1枚当たりの比容積は、5.0cm3/g以上6.5cm3/g以下である。比容積が5.0cm3/g未満であると、ふんわり感が乏しく、バルク(嵩高さ)が低下して水分の吸収能力に劣る。一方、比容積が6.5cm3/gを超えると、バルク(嵩高さ)は高くなるが、平滑性が劣り、触感が悪くなるとともに一定の巻径範囲内(110mm以下)での巻長が制限される場合がある。
本実施形態に係るトイレットペーパーの乾燥引張り強度は、JIS P 8113の引張試験方法に基づいて測定される。縦方向の乾燥引張り強度をDMDT、横方向の乾燥引張り強度をDCDTで表したとき、2プライにおけるDMDT/DCDTは2.0以上3.5以下であり、好ましくは2.0以上3.0以下である。これらの比は、トイレットペーパーの縦横の強度比を表しており、上記比が3.5を超えるとシートが縦方向に裂けやすくなり、使い勝手が悪くなる。
本実施形態に係るトイレットペーパーは温水シャワートイレに適用するため、一定の湿潤強度を要求される。本発明のトイレットペーパーにおいて、4プライ当たり、90gf/25mm以上130gf/25mm以下の縦方向の湿潤引張り強度を有する。上記引張り強度は、旧JIS S 3104に基づいて湿潤時の縦方向引張り強度を測定した数値である。90gf/25mm未満であると、温水洗浄用として破れたり、柔らかすぎたりして使用感が劣り、一方、130gf/25mmを超えると、水にほぐれにくく、トイレットペーパーが剛直になり、柔らかさ、手触り感の点で劣る。
本実施形態に係るトイレットペーパーは、温水での洗浄後、余分な水分を拭き取るため、吸水度が2秒以下である。トイレットペーパーの吸水度が2秒を超えると、トイレットペーパーとしての吸水性が劣化する。上記吸水度は、旧JIS S 3104に従い、温度23±1℃、湿度50±2%の状態で、0.1ml(2プライの場合)の精製水を滴下し、水滴がトイレットペーパー製品に吸収される時間(秒)を測定した数値である。
本実施形態に係るトイレットペーパーは、JIS P 4501で規定される試験方法に基づくほぐれやすさ試験における秒数で表し、その値が30秒以上90秒以下であり、好ましくは40秒以上70秒以下である。30秒未満であると、温水シャワートイレで使用した際に、拭き取り操作をするとほぐれたトイレットペーパーが皮膚に付着するおそれが高まり、90秒を超えると、トイレに流した際に、配管の詰まりが起きやすくなる。なお、この秒数における上限値は、トイレットペーパーの一般的な上限値であるが、下限値に関してはシャワートイレに適するための数値範囲であり、一般的な数値よりも高めである。
本発明の実施形態に係るトイレットペーパーをティシューソフトネス測定装置TSA(Tissue
Softness Analyzer)により測定したとき、TSA上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度TS750が20dBV2rms以上35dBV2rms以下であり、好ましくは25dBV2rms以上30dBV2rms以下である。TS750が35dBV2rmsより高いと平滑性に劣り、20dBV2rmsより低いと平滑性のみが際立ち、良好な触感が得られない場合がある。
実施例1〜6において、公知の方法によりパルプ繊維に市販の一時的湿潤紙力増強剤を添加して抄紙し、形成されたシート(ウェブ、湿紙)をヤンキードライヤーで乾燥され、さらにドクターブレードによりドクターポケット角度80°にて、クレープ処理されながらヤンキードライヤーから剥がし、1次原紙ロールを作成した。次いで、2本の1次原紙ロールを2枚重ねに積層して2次原紙ロールを作成し、2次原紙ロールをトイレットロール加工機にてシングルエンボスを施し、紙管に巻き取り、所定幅に切断してトイレットペーパーを作成した。
(測定条件)
坪量、厚さ、乾燥引張強度、ほぐれやすさ及びティシューソフトネス測定装置TSAによる測定は、JIS P 8111に規定される温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。
紙の坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定し、シート1枚当たりに換算した。
紙厚は、シックネスゲージ(尾崎製作所ダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。紙厚の測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径29mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、1回の測定は試料を10枚重ねて行い、紙厚は測定を10回繰り返して得られる平均値とした。
比容積は、シート1枚当たりの厚さをシート1枚当たりの坪量で割り、単位g当たりの容積cm3で表した。
巻長は、表1の測定値となるよう製造工程において規定し、紙管に巻き上げてトイレットペーパーとした。
クレープ率は次式より算出した。
クレープ率(%)=100×{(ヤンキードライヤー速度(m/分)−リール速度(m/分))÷リール速度(m/分)
縦方向及び横方向の乾燥時引張り強度は、JIS P 8113の規定に準拠して測定した。またこの測定結果に基づいて乾燥時引張り強度の縦横比を算出した。
縦方向の湿潤引張り強度は、旧JIS S 3104の規定に準拠して測定した。
吸水度(秒)は、旧JIS S3104の規定に準拠し、温度20±1℃、湿度50±2%の条件で、2プライの場合、約10mmの高さから蒸留水を0.1ml滴下し、水滴がシートに接触したときから、完全にシートに吸収されて反射光が消えるまでの時間を0.1秒単位で測定した。
ほぐれやすさ(秒)はJIS P−4501「トイレットペーパー」に記載されるほぐれやすさ試験法の規定に準拠して測定した。
TS7及びTS750の測定は、上記ティシューソフトネス測定装置TSAを用いて行った。測定条件も上記のとおりである。
柔らかさについて、モニター20人による官能評価によって行った。評価基準は5点満点とし、評価が4点以上であれば、その特性に優れるとした。
11 ヤンキードライヤーフード
12 ドクターブレード
13 クレープ付与ウェブシート
15 リールドラム
16 リール
20 ドクターポケット角度
30 ドクターブレード角度
200 トイレットペーパー原紙
201 ベースプレート
203 振動センサ
204 ブレード付きロータ
205 試料台
206 サンプル
208 固定リング
209 モータ
210 ティシューソフトネス測定装置TSA
P1 TS7のピーク
P2 TSA750のピーク
Claims (7)
- 2プライのトイレットペーパーであって、
18g/m2以上23g/m2以下の1プライ当たりの坪量と、
5.0以上6.5以下の比容積と、
4プライでの90gf/25mm以上130gf/25mm以下の縦方向の湿潤引張り強度と、を有し、
1ロールの巻長が30m以上であり、
JIS P 8113に規定される縦方向の乾燥引張り強度をDMDT、横方向の乾燥引張り強度をDCDTで表したとき、2プライにおけるDMDT/DCDT=2.0以上3.5以下であることを特徴とするトイレットペーパー。 - シングルエンボスが付与されることを特徴とする請求項1に記載のトイレットペーパー。
- パルプに対して0.01重量%以上0.10重量%以下の一時的湿潤紙力増強剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のトイレットペーパー。
- 吸水度が2秒以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のトイレットペーパー。
- JIS P 4501に規定される、ほぐれやすさ試験の結果が30秒以上90秒以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のトイレットペーパー。
- ティシューソフトネス測定装置TSAにより、試料台に設置した前記トイレットペーパーに対し、ブレード付きロータを100mNの押し込み圧力として上から押し込み、回転数2.0/secで回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したとき、前記TSA上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度であるTS750が20dBV2rms以上35dBV2rms以下であり、6500Hzを含むスペクトルの極大ピークの強度であるTS7が10dBV2rms以上14dBV2rms以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のトイレットペーパー。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載のトイレットペーパーの製造方法であって、
ドクターポケット角度が80度以上のドクターブレードにより、ヤンキードライヤー面からシートを剥がし、前記シートに25%以上30%以下のクレープ率を付与する工程と、
前記シートを2枚に積層し巻き取る工程と、
積層シートにエンボスを付与して前記積層シートを紙管に対して30m以上巻き付ける工程と、
を有することを特徴とするトイレットペーパーの製造方法。
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