JP2019115667A - 積層紙、積層紙の製造方法、及び、積層紙の製造装置 - Google Patents

積層紙、積層紙の製造方法、及び、積層紙の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】付加価値の高い機能を備え、また、従来よりも性能を飛躍的に向上した積層紙の提供。【解決手段】積層紙は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、一対のクレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとしての不織布とからなり、クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造としている。クレープ紙のクレープ率は、20%〜30%の範囲内に設定すると共に、前記熱融着部列の幅方向の熱融着部間隔は、10mm〜25mmの範囲内に設定している。幅方向の熱融着部間隔の範囲内で、クレープ紙のクレープ率の増加に比例して幅方向の熱融着部間隔を増加する。【選択図】図1

Description

本発明は、紙おしぼり、手拭き、体拭き、ペーパタオル等に使用可能な積層紙、その積層紙の製造方法、及び、その積層紙の製造装置に関し、特に、クレープ紙と熱融着性シートを積層して熱融着する積層紙、その積層紙の製造方法、及び、その積層紙の製造装置に関するものである。
従来の紙おしぼり等に使用可能な積層紙に関する発明として、本発明者の発明乃至考案に係る特許文献1に係る発明、及び、特許文献2に係る発明がある。これらの発明では、クレープを有する吸湿紙と熱融着性シート(合成繊維を混抄した吸湿紙または不織布)とを積層して、吸湿紙のクレープと略直交する方向に延びるようヒートセット部乃至ヒートシール部を形成し、それらを熱融着して一体化している。これらの発明は、肌触りが良く、外観及び使用感にも優れた積層紙を提供することができ、また、積層紙のヒートシールを低温で行うことができ、加工が容易になり、製造コストを低減することができる。
また、上記のような優れた効果を有する従来の積層紙を更に改良した本発明者の発明として、特許文献3に記載の発明及び特許文献4に記載の発明がある。これらの発明は、特に、クレープ紙及び熱融着性シートのヒートシール部の融着強度を大幅に向上し、かつ、全体のボリューム感を増大して外観を更に向上して積層紙を提供することができる。即ち、これらの発明に係る積層紙は、融着面積を少なくしても十分な融着強度を得ることができ、全体のボリューム感も増大することができる。
特公平4−24480号公報 実公平4−15116号公報 特開平11−342090号公報 特開2003−39581号公報
上記特許文献1〜特許文献4の発明は、いずれも、積層紙を紙おしぼり等に具体化した場合に、その肌触りや外観や使用感を大幅に向上することができ、また、積層紙を構成する吸湿紙と熱融着性シートとの間の融着強度を大幅に向上し、かつ、全体のボリューム感を大幅に増大することができるという、主に機能に関する効果を発揮しており、商品としての大きな利点をもたらすものである。一方、本発明者は、素材としての積層紙を紙おしぼり等の最終製品へと加工する過程で、或いは、加工した後の段階で、従来の積層紙に対して更に付加価値の高い機能を付与することに着想し、また、積層紙としての性能を従来よりも飛躍的に向上できる新規な積層紙及びその製造方法について模索した。そして、本発明者は、このように付加価値の高い機能を備え、また、従来よりも性能を飛躍的に向上した積層紙、その積層紙を製造するための製造方法、並びに、その積層紙を製造するための製造装置、或いは、その製造方法で使用する製造装置について研究開発を継続し、試行錯誤を重ねた結果、本発明に相当した。
即ち、本発明は、付加価値の高い機能を備え、また、従来よりも性能を飛躍的に向上した積層紙、積層紙の製造方法、及び、積層紙の製造装置の提供を課題とする。
本発明の第1の観点に係る積層紙は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、前記一対のクレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとしての不織布とからなり、前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、前記クレープ紙のクレープ率は、20%〜30%の範囲内に設定すると共に、前記熱融着部列の幅方向の熱融着部間隔は、10mm〜25mmの範囲内に設定し、前記幅方向の熱融着部間隔の範囲内で、前記クレープ紙のクレープ率の増加に比例して前記幅方向の熱融着部間隔を増加する。
本発明の第2の観点に係る積層紙は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、前記一対のクレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとしての不織布とからなり、前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、前記クレープ紙のクレープ率が20%〜26%の範囲内の場合、前記熱融着部列の幅方向の熱融着部間隔は、10mm〜15mmの範囲内に設定し、前記クレープ紙のクレープ率が26%〜30%の範囲内の場合、前記熱融着部列の幅方向の熱融着部間隔は、15〜25mmの範囲内に設定し、前記幅方向の熱融着部間隔の範囲内で、前記クレープ紙のクレープ率の増加に比例して前記幅方向の熱融着部間隔を増加する。
本発明の積層紙、積層紙の製造方法、及び、積層紙の製造装置によれば、付加価値の高い機能を備え、また、従来よりも性能を飛躍的に向上した積層紙を提供することができる。
図1は本発明の実施の形態1に係る積層紙(印刷部を有する積層紙)の第1の具体例(模様部を有する積層紙)を示す平面図である。 図2は本発明の実施の形態1に係る積層紙を図1のA−A線で切り取った部分で拡大して示す平面図であり、(a)は実施の形態1に係る積層紙の乾燥状態を示し、(b)は実施の形態1に係る積層紙の含水時の膨潤状態を示す。 図3は本発明の実施の形態1に係る積層紙の第2の具体例(広告部を有する積層紙)を示す平面図である。 図4は本発明の実施の形態1に係る積層紙を示す側面図である。 図5は本発明の実施の形態1に係る積層紙を横方向に切断して示す断面図であり、一点鎖線の円内に印刷層を設けた部位を拡大して示す。 図6は本発明の実施の形態2に係る積層紙(印刷部を有する積層紙)を横方向に切断して示す断面図であり、一点鎖線で示す円形部分(印刷層を設けた部分)を拡大して示す。 図7は本発明の実施の形態3に係る積層紙(複数層の中間層シートを有する積層紙)を横方向に切断して示す拡大断面図である。 図8は本発明の実施の形態4に係る積層紙(非透水性中間層シートを有する積層紙)を横方向に切断して示す拡大断面図である。 図9は本発明の実施の形態5に係る積層紙の製造装置(ヒートシールローラー型積層紙製造装置)を概略的に示す側面図である。 図10は本発明の実施の形態5に係る積層紙の製造装置のヒートシールローラを概略的に示す側面図であり、線状熱圧着凸部の説明のため一点鎖線で示す円形部分を拡大して示す。 図11は本発明の実施の形態5に係る積層紙の製造装置を線状熱融着部の形成工程を説明するための説明図であり、ヒートシールローラ部分を側面視により示す説明図である。 図12は本発明の実施の形態5に係る積層紙の製造装置を線状熱融着部の形成工程を説明するための説明図であり、図11に対応するヒートシールローラを端面で切断してその内部構造を断面にて示す説明図である。 図13は本発明の実施の形態5に係る積層紙の製造装置のヒートシールローラの線状熱圧着凸部の構成を示す説明図であり、上側の図は一対のヒートシールローラの一部を示す斜視図であり、中央の図は一対のヒートシールローラの線状熱圧着凸部が互いに噛合して積層紙の原料シートを圧接する状態を説明するため上側の図の一点鎖線で示す円形部分を拡大した上で横断面として示す断面図であり、下側の図は一対のヒートシールローラの線状熱圧着凸部の形状を説明するため中央の図の中央側の一点鎖線で示す円形部分を拡大して示す断面図である。 図14は本発明の実施の形態1に係る積層紙において、クレープ率に応じて線状熱融着部間の幅を変更する場合の例を示し、(a)は第1のクレープ率に対応して隣接する線状熱融着部間の間隔(幅)を第1の幅とした場合を示す積層紙の一部の拡大平面図であり、(b)は第2のクレープ率に対応して隣接する線状熱融着部間の間隔(幅)を第2の幅とした場合を示す積層紙の一部の拡大平面図である。 図15は本発明の実施の形態5に係る積層紙の製造装置を使用した積層紙の製造方法の好適な具体例を説明するためのグラフであり、(a)は積層紙の製造装置による積層紙の原料シートの送給速度と積層紙の製造装置のヒートシールローラの熱圧着温度との間の関係を示す説明図、(b)積層紙の製造装置のヒートシールローラの熱圧着温度と積層紙の原料シートの原紙の厚み(原紙厚)との間の関係を示す説明図、(c)は積層紙の製造装置による積層紙の原料シートの送給速度と積層紙の原料シートの原紙厚との間の関係を示す説明図、(d)は積層紙の製造装置のヒートシールローラの熱圧着温度と積層紙の原料シートの不織布の厚み(不織布厚)との間の関係を示す説明図である。 図16は本発明の実施の形態6に係る積層紙の製造装置(高周波ミシン型積層紙製造装置)を概略的に示す側面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
実施の形態1(印刷部を不織布に設けてなる積層紙)
[積層紙の全体構成]
実施の形態1の積層紙は、図1〜図5に示すように、印刷部を有する積層紙10に具体化される。まず、積層紙10の全体構成について説明すると、図1に示すように、積層紙10の平面視(又は底面視)では、積層紙10は、所定の外形輪郭(典型的には、長方形状等の矩形状)を有するシート状に形成されている。一方、積層紙10の側面視(又は横断面視)では、図4の側面図に示すように、積層紙10は、一対の外層を構成する外層シートとしてクレープ紙1と、前記一対の外層間に介装配置される中間層を構成する中間層シートとしての不織布2とからなる積層構造を有している。また、積層紙10は、前記一対のクレープ紙1の一方及び他方を、それぞれ、不織布2の一方面及び他方面に対して同一箇所で熱融着することで、前記積層構造を維持している。即ち、積層紙10は、熱融着部列11(第1の熱融着部列11A及び第2の熱融着部列11B)をそれぞれ構成する第1の熱融着部11a及び第2の熱融着部11bの各箇所で、一対のクレープ紙1をそれぞれ不織布2に熱融着することで、一対のクレープ紙1を不織布2に対してそれぞれ同一箇所で熱融着している。
[熱融着部]
熱融着部11について詳細に説明すると、積層紙10は、破線状をなす熱融着部列11を、積層紙10の長さ方向(製造時の原紙供給方向であって、図1中の上下方向)の全体に延びるよう形成して1列の熱融着部11列を構成している。また、積層紙10は、多数列の熱融着部列11を、一定間隔を置いて互いに平行となるよう、積層紙10の幅方向(製造時の原紙供給方向と直交する方向であって、図1中の左右方向)の全体にわたって連続的に並設配置している。これにより、積層紙10は、隣接する熱融着部列11の間に、それぞれ、直線帯状をなす非融着部12を有している。即ち、積層紙10は、多数列の非融着部12を、一定間隔を置いて互いに平行となるよう、幅方向の全体にわたって連続的に並設配置している。積層紙10において、前記多数列の熱融着部列11は、第1の熱融着部11aを積層紙10の長さ方向に一定間隔を置いて直線状に配置してなる第1の列の熱融着部列11Aと、第2の熱融着部11bを積層紙10の長さ方向に一定間隔を置いて直線状に配置してなる第2の列の熱融着部列11Bとから構成されている。即ち、第1の熱融着部11aからなる第1の列の熱融着部列11Aと、第2の熱融着部11bからなる第2の列の熱融着部列11Bとが、積層紙10の幅方向に一定間隔で交互に並設配置されている。また、図2に示すように、第1の熱融着部11aは、積層紙10において、所定長さで所定幅を有する直線線分状の融着部分を構成しており、このような一定長さで一定幅の第1の熱融着部11aを長さ方向に一定間隔で直線的に配置することにより、破線状の第1の列の熱融着部列11Aが構成される。第2の熱融着部11bは、第1の熱融着部11aと同一長さで同一幅の直線線分状の融着部分を構成しており、このような一定長さで一定幅の第2の熱融着部11bを長さ方向に一定間隔で直線的に配置することにより、第1の列の熱融着部列11Aと同様の破線状をなす第2の列の熱融着部列11Bが構成される。そして、第1の列の熱融着部列11Aの第1の熱融着部11aと、第2の列の熱融着部列11Bの第2の熱融着部11bとは(即ち、隣接する列の熱融着部列11A,11Bは)、第1の列の熱融着部列11Aの第1の熱融着部11aの長さ方向の中心位置が、第2の列の熱融着部列11Bの隣接する第2の熱融着部11bの間の間隙の中間位置にくるよう、積層紙10の長さ方向における位置を互いにずらして配置されている。
[非融着部]
図4に示すように、積層紙10は、隣接する2本の熱融着部列11間に1本の直線帯状をなす非融着部12を形成しているが、この非融着部12は、積層紙10への含水後に膨張して膨張部を構成するようになっている。詳細には、非融着部12は、図1及び図2に示すように、(積層紙10の含水後に幅広の膨張部を構成することになる)幅広膨張部12aと、(積層紙10の含水後に幅狭の膨張部を構成することになる)幅狭膨張部12bとから構成されている。より詳細には、幅広膨張部12aは、それぞれ、隣接する第1の列の熱融着部列11Aと第2の列の熱融着部列11Bとが重複しない範囲(非重複範囲)に、当該非重複範囲の長さで当該非重複範囲の幅を有する略矩形状部分として、積層紙10に設けられている。例えば、図2では、幅広膨張部12aは、左から2列目の第1の列の熱融着部列11Aの第1の熱融着部11aと、左から3列目の第2の列の熱融着部列11Bの第2の熱融着部11bとが、互いに重複していない長さ方向中間部の範囲において、この第1の列の熱融着部列11Aにおいて上下に隣接する第1の熱融着部11aの末端間(一端と他端との間)の長さ範囲で、かつ、この第1の列の熱融着部列11Aの右側縁から第2の列の熱融着部列11Bを挟んで対向する別の第1の列の熱融着部列11A(図2の場合、左から4列目の第1の列の熱融着部列11A)の左側縁までの幅範囲にわたり、略矩形状となって設けられている。一方、幅狭膨張部12bは、それぞれ、隣接する第1の列の熱融着部列11Aと第2の列の熱融着部列11Aとが重複する範囲(重複範囲)に、当該重複範囲の長さで当該重複範囲の幅を有する小さい略矩形状部分として、積層紙10に設けられている。例えば、図2では、幅狭膨張部12bは、左から2列目の第1の列の熱融着部列11Aの第1の熱融着部11aと、左から3列目の第2の列の熱融着部列11Bの第2の熱融着部11bとが、互いに重複する長さ方向端部の範囲において、第1の列の熱融着部列11Aの第1の熱融着部11aの一端(例えば、上端)から、これに隣接する第2の列の熱融着部列11Bの第2の熱融着部11bの他端(下端)までの長さ範囲で、かつ、この第1の列の熱融着部列11Aの右側縁から第2の列の熱融着部列11Bの左側縁までの幅範囲にわたり、略矩形状となって設けられている。
[非融着部(膨張部)の皺]
積層紙10において、前記非融着部12では外層のクレープ紙1と中間層の不織布2とは全く接合されておらず、クレープ紙1の非融着部12は、熱融着部列11の熱融着部11a,11bの拘束を受けない部分(即ち、不織布2に対して固着されない部分)として、不織布2に対して厚み方向等に移動して変形自在となっている。特に、非融着部12のうち熱融着部列11に近接する部分(即ち、熱融着部列11との境界部分)では、クレープ紙1の移動可能な量は相対的に小さいが、非融着部12のうち熱融着部列11からの離間量が大きい部分(即ち、隣接する熱融着部列11間の中央部分)では、クレープ紙1の移動可能な量は相対的に大きくなり、隣接する熱融着部列11間の中央位置でクレープ紙1の移動可能な量が最大となる。また、積層紙10において、両外層となるクレープ紙1の各々の非融着部12(即ち、各幅広膨張部12a及び各幅狭膨張部12b)では、それぞれ、積層紙10の初回の含水前には、クレープ紙1の本来の固有の小皺である多数のクレープ皺が表れている。このクレープ皺は、積層紙10の幅方向(及び、クレープ紙1の幅方向)に延びる小皺であり、クレープ紙1の製造時に形成されるものである。
一方、積層紙10に初回の含水を行った後は、クレープ紙1の各々の非融着部12(幅広膨張部12a及び幅狭膨張部12b)では、前記クレープ紙1がクレープ皺を介して膨張することにより、即ち、小皺であるクレープ皺が水分で膨張することにより、図2に示すように、前記クレープ紙1の本来のクレープ皺とは異なる皺(クレープ皺よりも大寸法となる皺、以下、「膨張皺」という。)が形成される。この場合、クレープ紙1では、隣接する複数のクレープ皺が水分で膨張して一体化し、それら複数のクレープ皺に相当する一つの膨張皺が形成され、かつその膨張皺部分では、その膨張皺の元となったクレープ皺はその全部又は一部が消失すると考えることができる。また、このクレープ紙1の膨張皺は、前記幅広膨張部12aでは、幅広膨張部12aの幅方向の略全体に延びる大きな皺(以下、「膨張大皺」という。)となり、前記幅狭膨張部12bでは、幅狭膨張部12bの幅方向の略全体に延びる中間程度の大きさの皺(以下、「膨張中皺」という。)となり、膨張大皺及び膨張中皺のいずれも前記クレープ皺よりは大きな皺となる。なお、図14に、これらの膨張大皺12aw及び膨張中皺12bwの例を示す。更に、クレープ紙1の非融着部12では、全てのクレープ皺が前記膨張大皺又は膨張中皺に変形するわけではなく、一部のクレープ皺は、そのまま(本来の小皺の状態で)クレープ紙1に残存する。加えて、本発明者は、積層紙10において、クレープ紙1の非融着部12では、幅広膨張部12aの膨張大皺には2種類の膨張大皺が存在することに想到した。即ち、本発明者は、前記膨張大皺として、前記クレープ皺のうち一部のクレープ皺が消失することなく膨張大皺と共に残存(即ち、混在)した第1の種類の膨張大皺(以下「大小混合皺」という。)と、前記クレープ皺が完全に消失した第2の種類の膨張大皺(以下「完全大皺」という。)とが存在するとの知見を得ている。同様に、本発明者は、積層紙10において、クレープ紙1の非融着部12では、幅狭膨張部12bの膨張中皺には2種類の膨張中皺が存在することに想到した。即ち、本発明者は、前記膨張中皺として、前記クレープ皺のうち一部のクレープ皺が消失することなく膨張中皺と共に残存(即ち、混在)した第1の種類の膨張中皺(以下「中小混合皺」という。)と、クレープ皺が完全に消失した第2の種類の膨張中皺(以下「完全中皺」という。)とが存在するとの知見を得ている。更にまた、積層紙10では、クレープ紙1において、これらの膨張大皺、膨張中皺、大小混合皺、中小混合皺、完全大皺、及び、完全中皺は、含水後に積層紙10が乾燥した後でも、基本的に、そのままの状態で残存する。
これにより、含水後の積層紙10では、含水時及び含水後の乾燥時の両者において、前記膨張大皺、膨張中皺、大小混合皺、中小混合皺、完全大皺、及び、完全中皺が混在し、特に、前記膨張大皺と大小混合皺と完全大皺の組、並びに、膨張中皺と中小混合皺と完全中皺の組が、前記幅広膨張部12aと幅狭膨張部12bとにそれぞれ交互に存在して、積層紙10の両面の全体にわたってバランスよくボリューム感を増大するという特有の効果を発揮する。
[熱融着部の寸法及び熱融着部間の間隔]
積層紙10において、前記各列の熱融着部列11は、一定長さで一定幅の直線線分状の第1の熱融着部11aを長さ方向に一定間隔で破線状に配置することで構成され、また、一定長さで一定幅の直線線分状の第2の熱融着部11bを、前記第1の熱融着部11aに対して位置をずらして(即ち、各第2の熱融着部11bの中間位置が第1の熱融着部11a間の間隔の中間位置と合致するような位置にくるよう)長さ方向に一定間隔で破線状に配置することで構成されている。また、第1の熱融着部11a及び第2の熱融着部11bの長さ及び幅は、それぞれ同一に設定されているため、第1の熱融着部11a及び第2の熱融着部11bは、上記のように長さ方向に位置をずらして配置される点を除き、同一構成となる。一方、積層紙10において、第1の熱融着部11a及び第2の熱融着部11bの長さ及び幅は、所定長及び所定幅に設定されている。即ち、各第1の熱融着部11a及び各第2の熱融着部11bの長さ及び/又は幅は、積層紙10の使用時の1枚の外形寸法等に応じて適宜設定される(即ち、積層紙10の用途に応じて決定される縦寸法及び横寸法等に応じて適宜設定される)。
具体的には、例えば、積層紙10を紙おしぼりの用途に使用する場合、各熱融着部11a,11bの長さは、35mm〜45mmの範囲内の任意の値に設定され、好ましくは、38mm〜42mmの範囲内の任意の値に設定され、より好ましくは、約40mmの値に設定されている。また、各熱融着部11a,11bの幅は、1.5mm〜2.5mmの範囲内の任意の値に設定され、好ましくは、約2mmの値に設定されている。そして、各熱融着部11a,11bの長さと幅の比(アスペクト比)は、13:1〜23:1の範囲内の任意の比に設定することが好ましく、約20:1に設定することが更に好ましい。即ち、各熱融着部11a,11bは、幅を長さの約5%に設定する(或いは、長さを幅の約20倍に設定する)ことが好ましい。更に、積層紙10の各列の熱融着部11において、長さ方向に隣接する熱融着部11A,11b間の間隔(以下、「長さ方向の熱融着部間隔」という。)は、18mm〜22mmの範囲内の任意の値に設定され、好ましくは、約20mmの値に設定されている。各熱融着部11a,11bの長さと熱融着部間隔の比は、2:1に設定することが好ましい。即ち、各列の熱融着部11は、長さ方向の熱融着部間隔を熱融着部11a,11bの長さの約50%に設定する(或いは、熱融着部11a,11bの長さを熱融着部間隔の約2倍に設定する)ことが好ましい。こうすると、熱融着部列11によるクレープ紙1と不織布2との一体的接合力を良好に維持する一方で、非融着部12によるクレープ1の膨張率を最大限に高め、積層紙10のボリューム感を最も良好な状態に維持することができる。
[熱融着部の端部形状]
更に、各熱融着部11a,11bは、その長さ方向両端部を平面半円状の湾曲形状としている。これにより、各熱融着部の端部を矩形とする場合(即ち、端部の隅角が直角の隅角となる場合)に比べ、クレープ紙1が各熱融着部11a,11bの端部から不織布2に対して剥離することを効果的に防止することができる。また、後述するように、この場合、積層紙の製造装置において熱融着部の形成手段を構成するヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の長さ方向両端部も、対応する平面半円状の湾曲形状となるため、各熱圧着面の端部を矩形とする場合(即ち、端部の隅角が直角の隅角となる場合)に比べ、ヒートシールローラの熱圧着面による熱融着部の形成時に熱圧着面からの押圧力を受けるクレープ紙1の原料シートが、熱圧着面の端部で過大な圧力集中を受けて破損したりすることがなく、製造歩留まりを向上したり、積層紙10の品質を向上したりすることができる。(即ち、後述するように、熱圧着面の端部が直角の隅角となる場合は、熱圧着面が湾曲形状の場合と比較して、その隅角でクレープ紙1の原料シートに応力が集中して、その隅角部分で原料シートが破損する可能性が大きくなる。)
[クレープ紙のクレープ率]
積層紙10において、クレープ紙1のクレープ率は、20%〜40%の範囲内の任意の値に設定されており、好ましくは、20%〜30%の範囲内の任意の値に設定されており、より好ましくは、約30%の値に設定されている。即ち、クレープ紙1のクレープ率が20%より小さいと、不織布2に積層及び接合されて積層紙10を構成した後、積層紙10に含水したときに、クレープ紙1が十分に膨張又は膨潤しない可能性が大きい。一方、クレープ1のクレープ率が40%より大きいと、クレープ紙1の原料シートの製造時(即ち、抄紙時)に、抄紙機で原料シートを抄紙することが困難になる。
[クレープ紙のクレープ率と熱融着部の配置間隔]
また、図14に示すように、積層紙10において熱融着部列11の配置間隔LW1,LW2(即ち、隣接する熱融着部列11の幅方向中心線の間の間隔、以下、「幅方向の熱融着部間隔」という。)は、クレープ紙1のクレープ率の範囲に応じた所定範囲内の任意の値に設定されている。具体的には、クレープ紙1のクレープ率が20%〜26%の範囲内の値の場合、幅方向の熱融着部間隔は、(相対的に小寸法となる)第1の幅方向の熱融着部間隔LW1として、10mm〜15mmの範囲内の任意の値に設定することが好ましく(即ち、下限値を10mmとし、上限値を15mmとすることが好ましく)、また、この幅方向の熱融着部間隔の範囲内で、クレープ率の増加に比例して幅方向の熱融着部間隔を増加することが好ましい。また、クレープ紙1のクレープ率が26%〜30%の範囲内の値の場合、幅方向の熱融着部間隔は、(相対的に大寸法となる)第2の幅方向の熱融着部間隔LW2として、15〜25mmの範囲内の任意の値に設定することが好ましく(即ち、下限値を15mmとし、上限値を25mmとすることが好ましく)、また、この幅方向の熱融着部間隔の範囲内で、クレープ率の増加に比例して幅方向の熱融着部間隔を増加することが好ましい。積層紙10において幅方向の熱融着部間隔LW1,LW2が前記下限値より小さいと、積層紙10に含水したときに、クレープ紙1が十分に膨張又は膨潤しない可能性が大きい。一方、積層紙10において幅方向の熱融着部間隔LW1,LW2が前記上限値より大きいと、積層紙10への含水時に、前記膨張大皺や膨張中皺等が所期の膨張率よりも過大に膨張又は伸長して、それら膨張大皺や膨張中皺等に弛みが生じて、積層紙10の品質を低下する恐れがある。例えば、積層紙10において幅方向の熱融着部間隔LW1,LW2を30mm以上(即ち、25mmを大きく超える値、具体的には、25mmの125%以上となるような値)とすると、積層紙10への含水時に、前記膨張大皺や膨張中皺等が膨張又は伸長しすぎて弛んだ状態となることを、本発明者は実験により確認している。即ち、前記クレープ紙1のクレープ率を上記範囲の最大値である30%としても、積層紙10において幅方向の熱融着部間隔LW1,LW2を30mm以上の値とすると、積層紙10への含水時に、前記膨張大皺や膨張中皺等が膨張又は伸長しすぎて弛んだ状態となる。
[印刷部としての模様部]
図1に示すように、積層紙10は、印刷部の第1の具体例としての模様部13を有する積層紙10として具体化することができる。詳細には、模様部13は、例えば、図2に示すように、同一モチーフの単位模様13a,13bを積層紙10の全面又は一定範囲にわたって配設してなる構成とすることできる。図2では、例えば、単位模様13aは、所定種類の花の花冠(花弁の集合体)のモチーフで所定寸法の模様を構成している一方、単位模様13bは、単位模様13aと同一の花冠のモチーフで、単位模様13aよりも大きな寸法の模様を構成している。なお、模様部13の構成は、図2のものに限定されることなく、任意の模様を使用した構成とすることができる。即ち、模様部13は、図2の単位模様13a,13bとは異なるモチーフの単位模様を使用することもでき、また、同一モチーフの単位模様を使用したもの以外に、各種のモチーフの単位模様を組み合わせてなる任意の模様とすることもできる。或いは、模様部13は、図2のような個別の単位模様を使用した構成以外にも、格子模様、市松模様等、繰返しの絵柄からなる模様を使用した構成とすることもできる。或いは、模様部13は、積層紙10の本来の素地色(特に、クレープ紙1の素地色)と異なる任意の単色を積層紙10の全面に印刷してなる単色模様(全面単色模様)としたり、積層紙10の本来の素地色と異なる任意の単色を積層紙10の一部の範囲に印刷してなる単色模様(一部単色模様)としたりすることもできる。或いは、模様部13は、2色以上の別個の色を積層紙10の全面又は一部の範囲にランダムに印刷してなる模様(以下、「複数色模様」という。)としたりすることもできる。要するに、模様部13は、通常の積層紙10の素地色と異なる任意の色を積層紙10に印刷することで、積層紙10に別個の視覚的効果を付与できるものであれば、任意の構成とすることができる。
[印刷部としての広告部]
また、図3に示すように、積層紙10は、印刷部の第2の具体例としての広告部14を有する積層紙10として具体化することができる。詳細には、広告部14は、例えば、外枠14aの内側範囲に広告枠14bと広告枠14cとを有する構成とすることができる。この場合、広告部14は、例えば、広告枠14bに特定の広告内容のタイトルやコピー等を印刷し、広告枠14cにその広告内容の詳細(商品説明文や商品に対応する絵柄等)を印刷した構成とすることができる。なお、図3において、広告部14の外枠14a、広告枠14b、及び、広告枠14cは、それぞれ、破線により外形線が描画されているが、これはあくまで、外枠14a、広告枠14b、及び、広告枠14cの範囲を説明するための方便であり、(無論、それらをあえて描画することも可能であるが)通常は、積層紙10に外枠14a、広告枠14b、及び、広告枠14cの外形線が描画されることはない。また、広告部14の外枠14aも、広告内容の一例を示すために便宜上設けたものであり、外枠14aを設けることなく、全てを広告枠14a,14bとして具体化することもできる。また、広告枠14a,14bの数も、1枠としたり、2枠以上の任意の枠数としたりすることもできる。更に、広告部14の構成は、図2のものに限定されることなく、任意の構成とすることができる。即ち、広告部14は、通常のチラシや販促品等の広告用印刷媒体に印刷される広告内容であれば、任意の広告内容やコンテンツを任意の表現態様や表現形式で印刷したものとして構成することができる。また、広告部14に印刷する内容やコンテンツとしては、会社名、ロゴマーク、ブランド等、任意のものを印刷することができる。更に、印刷部を備えた積層紙10は、例えば、小売店舗のセール情報や会社のキャンペーン情報等の各種情報を告知したり広告したりする目的で大量に配布される紙おしぼり等のノベルティグッズに適用したり、オリンピックや博覧会等の各種イベント(催事)を告知したり周知させたりする目的で大量に配布される紙おしぼり等のノベルティグッズに適用したりすることもできる。
[印刷部の構造]
次に、積層紙10の印刷部の構造について説明する。図5、図6、図7、図8の具体例に示すように、積層紙10は、外層シートとしてのクレープ紙1の外面以外の面であって積層紙10の内部に配置される一つの面に、所定の印刷インキを使用して印刷部を印刷してなることを一つの主要な特徴の一つとしている。これに加えて、積層紙10は、積層紙10の乾燥時においても前記印刷部が積層紙10の外層シートのクレープ紙1を透過して外部から視認され、かつ、積層紙10への含水時には前記印刷部の前記外層シートとしてのクレープ1からの透過度が増大して外部からの視認性が増加するよう、前記外層シートとしてのクレープ紙1のうち、少なくとも前記印刷部が設けられる側の外層シートとしてのクレープ紙1の厚み(坪量)を設定し、また、必要に応じて、厚みと共に材質(紙質)をも設定したことを別の主要な特徴としている。具体的には、実施の形態1では、積層紙10は、外層としての一対のクレープ紙1と、前記一対のクレープ紙1の間に積層状態で配設される1枚以上の不織布2とからなる複数層構造(三層以上の複数層構造)の積層構造を有し、その内部の面として(即ち、積層紙10の内部の面として)、外層シートとしての一方のクレープ紙1に対向する不織布2の面に、前記印刷部を設け、前記クレープ紙1を前記不織布2に対して前記熱融着部1により熱融着及び圧着して接着したことを特徴としている。
[不織布に設けた印刷部]
例えば、印刷部は、図5に示すように、中間層シートとしての不織布2の一方の面(厚み方向の一側面)に設けられた印刷層2aからなる。即ち、積層紙10の不織布2は、印刷部を印刷可能な素材からなる中間層シートとして構成され、不織布2の一方の面に所定の印刷用インキを使用して所望の模様部13や広告部14を印刷により設けることで、印刷部が構成されている。なお、印刷層2aは、図5では、説明の便宜上、不織布2の一方の面上に薄い層状となって描画されているが、実際は、印刷層2aを構成する印刷用インキが、印刷時に、不織布2の一方の面から不織布2の内部に浸透して印刷部の所定の模様等を構成するため、不織布2の内部に印刷用インキが完全に浸透して不織布2の一方の面に印刷用インキによる層が形成されない場合もあり、或いは、不織布2の内部に一部の印刷用インキが浸透する一方で不織布2の一方の面に残りの印刷用インキによる層が形成される場合もある。また、不織布2の内部に印刷用インキが完全に浸透した後に不織布2の他方の面から露出して、不織布2の他方の面にも印刷用インキによる層が形成される場合もある。いずれにしても、積層紙10の印刷部は、印刷面となる不織布2の一方の面において最も高い濃度で描画され、印刷層2aとして視認される。即ち、上述した各種の積層紙10の模様部13や広告部14は、その模様の構成や広告内容等に合わせて、任意の印刷用インキを使用して任意の印刷方法により、不織布2の一方の面に印刷することで設けられる。
[印刷層の構成(印刷インキ及び印刷方法)]
ここで、積層紙10の印刷部の印刷層2aは、不織布2の一方の面に、任意の印刷方法により任意の印刷用インキを使用して形成されるが、好ましくは、印刷部は、印刷方法としてはフレキソ印刷技術を使用して形成した印刷部とし、また、印刷用インキとして水性インキ又はUV(紫外線硬化型)インキを使用して形成した印刷部とする。詳細には、フレキソ印刷は、直接転写方式の凸版印刷の一種であり、版の素材にゴムや合成樹脂を使用し、また、印刷インキとして水性インキやUVインキからなる液状インキを使用するものであるが、積層紙10の印刷部の印刷層2aは、水性インキ又はUVインキの濃度を調整したうえで、不織布2の一方の面に所定の模様部13又は広告部14を印刷して、印刷部を構成している。そして、積層紙10は、この印刷部を有する不織布2を、一対のクレープ紙1の間に介装し、熱融着部列11により相互に熱融着して一体化することで形成されている。この積層紙10は、前記印刷部の印刷対象を、表面が微細な凹凸面となる不織布2とした場合であっても、フレキソ印刷の弾性及び形状追従性を有する版により、印刷部として、所望の模様部13や広告部14を鮮明に印刷することができる。その結果、印刷部を有する不織布2を使用して製造した積層紙10では、特にその湿潤状態で、印刷部が、クレープ紙1を介して、外部から良好な印刷品質で視認される。また、この積層紙10は、不織布2の印刷部の印刷インクが水性インキ又はUVインキからなるため、印刷インクが有機溶剤を含有しないことになる。その結果、印刷部を有する不織布2を使用して製造した積層紙10は、有機溶剤を使用した印刷インキのように有機溶剤の揮発等による影響を受けることがなく、特に、紙おしぼり等の衛生用品に適用された場合に、使用者や環境に優しい商品となる。なお、積層紙10の不織布2への印刷では、例えば、7色まで印刷可能なフレキソ印刷機を使用すると共に、各色の印刷インキの濃度を調整する。
[不織布の材質]
一方、図5に示す実施の形態1に係る積層紙10は、前記中間層シートとしての不織布2を、印刷部を印刷可能な材質で、かつ、外層シートとしてのクレープ紙を前記線状の熱融着部で確実に熱融着して接着可能な材質の不織布としている。これにより、積層紙10の一方の面側(典型的には、積層紙10を紙おしぼりに適用した場合に、紙おしぼりの外面側の露出する積層紙の一方の面側、即ち、紙おしぼりの表面側)に配置されることになる不織布2の一方の面に、模様部13や広告部14を印刷により設けることができ、かつ、不織布2の両面に一対の外層となるクレープ紙1を良好に接着して、複層構造(図5の場合は三層構造)の積層紙10を形成することができる。
[不織布の厚み]
また、積層紙10では、上記のように、中間層シートとしての不織布2は、印刷部を印刷可能とする印刷性と、クレープ紙を熱融着可能とする熱融着性の両方の性質を備えた材質とする必要があるが、この印刷性及び熱融着性の双方の特性を兼備するために、厚みを所定範囲内の任意の値とした不織布を使用することが好ましい。具体的には、例えば、従来の不織布製紙おしぼりは、原料シートとして、坪量45〜70g/cm2でシート状にした不織布を使用する。一方、本実施の形態の積層紙10は、原料シートとして一対のクレープ紙1及び不織布2を使用することに加え、不織布2として、坪量15〜25g/mの範囲内の任意の値の厚みを有する不織布を使用することが好ましく、坪量18〜22g/mの範囲内の任意の値の厚みを有することがより好ましく、坪量18〜20g/mの範囲内の任意の値の厚みを有することが更に好ましく、坪量20g/mの厚みとすることが最も好ましい。即ち、積層紙10において、不織布2の厚みが坪量25g/mよりも大きいと、積層紙10が柔軟性に欠ける可能性があり、例えば、積層紙10を紙おしぼり等に適用したときに、積層紙10の使用者に硬い手触り感を与える可能性がある。また、不織布2の厚みが坪量25g/mよりも大きいと、強度が必要以上に高くなり、不要なコスト高騰の原因となる。更に、積層紙10の製造工程中、例えば、一対のヒートシールローラにより不織布2にクレープ紙1を熱融着する工程において、加熱源を有するヒートシールローラから一方のクレープ紙1を介して不織布2に熱を伝達する場合に、不織布2の厚みが増大する分、熱の伝達効率が低下するため、一方のクレープ紙1と不織布2の一方の面との間の熱融着が良好に行える場合でも、他方のクレープ紙1と不織布の他方の面との間の熱融着が十分に行われず、他方のクレープ紙1に対する不織布2の接着力が不足する可能性がある。一方、不織布2の厚みが坪量15g/mよりも小さいと、不織布2に含有される熱融着力発現のための材料である熱可塑性樹脂の量が相対的に減少し、不織布2の両面にクレープ紙1を熱融着するときに十分な熱融着力が得られない可能性があり、また、積層紙10の全体のコシが弱くなって、例えば、積層紙10を紙おしぼり等に適用したときに、積層紙10の使用者の使用感に悪影響を与える可能性がある。
[不織布の原料繊維]
更に、不織布2としては、上記の印刷性及び熱融着性を兼備するために厚みを上記の所定範囲内の値とした場合において、特に、厚みを上記の所定範囲内の下限値側の値とした場合(例えば、厚みを坪量15g/m、坪量18g/m等の値とした場合)、芯鞘構造複合繊維からなる不織布を使用することが好ましい。即ち、不織布2の厚みが相対的に小さくなる場合(即ち、上記の所定範囲内の下限値側の値となる場合)、このように相対的に厚みの小さい不織布だと、積層紙10の全体のコシが弱くなる可能性が大きくなるが、芯鞘構造複合繊維からなる不織布を使用することで、不織布2にクレープ紙1を熱融着するときに、芯鞘構造複合繊維の鞘部が所定の加熱温度で軟化又は溶融して、クレープ紙1に対して熱融着による接着力を発現する一方で、芯鞘構造複合繊維の芯部が軟化又は溶融せずにそのまま残存して、不織布2自体の強度やコシを維持するため、最終的に積層紙10全体の強度やコシも維持することができ、薄手の不織布2で積層紙10のボリューム感を維持することもできる。
[クレープ紙の厚み]
積層紙10では、クレープ紙1は、所定の透過率(透過度)を達成するための所定範囲内の任意の値の厚みを有している。具体的には、不織布2の一方の面(即ち、印刷部を設ける側の面)に重ねて接合される一方のクレープ紙1は、積層紙10の乾燥状態で、クレープ紙1を介して不織布2の印刷部の少なくとも一部が視認可能となるような透過率(或いは、不織布2の印刷部の少なくとも一部が半透明状態で視認可能となるような透過率)であって、かつ、少なくとも積層紙10の含水による湿潤状態で、クレープ紙1を介して不織布2の印刷部の全体が鮮明な状態で視認される透過率(或いは、不織布2の印刷部の全体がほぼ透明状態で視認可能となるような透過率)となるよう、その厚みを設定している。一方、不織布2の他方の面に重ねて接合される他方のクレープ紙1は、通常は、一方のクレープ紙1と同様の厚みに設定されるが、異なる厚みに設定することもできる。他方のクレープ紙1を一方のクレープ紙1と同様の厚みとした場合でも、不織布2の厚みを上記の所定範囲内とすると、積層紙10の乾燥状態で、他方のクレープ紙1を介して不織布2の印刷部の少なくとも一部が(一方のクレープ紙1の側よりは鮮明度は低いものの)やはり視認可能となり、かつ、積層紙10の含水による湿潤状態で、他方のクレープ紙1を介して不織布2の印刷部の全体が(一方のクレープ紙1の側よりは鮮明度は低いものの)ある程度鮮明な状態で視認される。いずれにしても、積層紙10では、クレープ紙1は、所定の光透過率(光透過度と同義、以下、単に「透過率」という。)を達成するための所定範囲内の任意の値の厚みに設定されており、これにより、一方のクレープ紙1の側から視認しても、他方のクレープ紙の側から視認しても、積層紙10の乾燥状態で、クレープ紙1を介して不織布2の印刷部の少なくとも一部が視認可能となり、かつ、積層紙10の含水による湿潤状態で、クレープ紙1を介して不織布2の印刷部の全体が程度の差はあれ鮮明な状態で視認されるという特有の効果が発揮される。
詳細には、積層紙10において、クレープ紙1の厚みは、坪量で、20〜50g/mの範囲内の任意の値に設定され、より好ましくは、20〜40g/mの範囲内の任意の値に設定され、更に好ましくは、30〜40g/mの範囲内の任意の値に設定され、より更に好ましくは、30〜35g/mの範囲内の任意の値に設定され、一層更に好ましくは、30〜33g/mの範囲内の任意の値又は33〜35g/mの範囲内の任意の値に設定され、最も好ましくは、約33g/mの値又は約35g/mの値に設定されている。例えば、クレープ紙1の厚みは、坪量で、35g/m、27g/m、又は、23g/mの値に設定することができる。本発明者は、クレープ紙1のクレープ皺とクレープ紙1の厚みとの関係について鋭意研究を重ねた結果、クレープ紙1の厚みが上記範囲外となると、積層紙10のクレープ紙1に要求される所望の物性を確保できないという知見を得た。即ち、クレープ紙1の厚みが、坪量で20g/m以下では、クレープ紙の製造装置を使用してクレープ紙1を製造するときに、クレープ紙1の原料シート(クレープを形成していない状態の紙シート)の送給速度を増加したときに、原料シートにクレープを形成することができないという知見を得た。一方、クレープ紙1の厚みが、坪量で50g/mを超えると、積層紙10を形成すべく、クレープ紙1を不織布2に積層して熱融着部11で不織布2に対して熱融着しようとしたときに、前記ヒートシールローラの圧着面からの熱が厚肉となるクレープ紙1に遮られて不織布2まで十分に到達せず、不織布2の接着材としての熱可塑性樹脂が十分に溶融せず、クレープ紙1に対する所期の接着力を発現できず、クレープ紙1を不織布2に接着できない可能性がある。
また、クレープ紙1の厚みが坪量で40g/mを超えると、クレープ紙の製造装置による製造時に、クレープ紙を製造するために原料シートの送給速度を極端に低速にする必要が生じて、製造効率が低下する可能性があるため、この点からは、クレープ紙1の厚みの上限を40g/mとすることが好ましい。また、クレープ紙1の厚みが坪量で35g/mを超えると、クレープ紙の製造装置による製造時に、原料シートの送給速度を低速にしても、クレープ紙の製造装置の性能によってはクレープ紙の製造自体が困難になる可能性があるため、この点からは、クレープ紙1の厚みの上限を35g/mとすることが好ましい。
[積層紙の全体の厚み(クレープ紙と不織布の合計厚み)]
上記のとおり、積層紙10の構成要素であるクレープ紙1及び不織布2は、それぞれ、所定の範囲内の任意の値の厚みを有するよう構成され、積層紙10の全体の厚みは、前記クレープ紙1の厚み及び不織布2の厚みにより決定されるが、好ましくは、積層紙10の全体の厚みは、各クレープ紙1の厚みを坪量で35g/mとし、不織布2の厚みを坪量で20g/mとすることで、全体の厚みを(35+20+35=)90g/mとすることが、最も好ましい。クレープ紙1の厚みをこの値(35g/m)とすると共に、不織布2の厚みをこの値(20g/m)とし、積層紙10の全体の厚みをこの値(90g/m)とすると、積層紙10の製造時に積層紙10の原料シート(即ち、1対のクレープ紙原料シートの間に1枚の不織布原料シートを介装してなる原料シート)を所定の送給位置で切断する(即ち、積層紙10の原料シートを使用目的に応じて所定の長さに切断する)ときに、切断を最も良好に行うことでき、製造効率を向上すると共に、歩留まりを向上することができる。
[印刷部を有する積層紙の効果]
このように、印刷部を備えた積層紙10は、模様部13や広告部14等の印刷部が、クレープ紙1を通して半分浮き出たような外観及び見た目となるため、独特の意匠的効果を発揮することができる。具体的には、積層紙10の乾燥状態では、乾燥したクレープ紙1の透過率(透過度)が相対的に低くなるため、印刷部の模様や広告は、クレープ紙1を介して不鮮明な状態ではあるが、ある程度は視認可能な状態となっているが、積層紙10の含水による湿潤状態では、湿潤したクレープ紙1の透過率(透過度)が相対的に高くなるため、印刷部の模様や広告は、クレープ紙1を介して鮮明な状態で視認されると共に、クレープ紙1の存在により、積層紙10から浮き出たような印象で視認されるという特有の効果が発揮される。
[不織布に設けた場合の印刷部の効果]
また、上記のように、積層紙10は、上記のように構成したため、従来にない模様部13や広告部14を印刷した印刷部を備えることができる。よって、例えば、従来のカラー紙おしぼり(全面を単色で色付けした紙おしぼり)のように、単に、おしぼりの原料シートの原料繊維(パルプ等)に色付けしたものと比較すると、積層紙10は、印刷部としての模様部13や広告部14により、非常に意匠性に富む製品となる。また、積層紙10は、印刷部を設けた不織布2を一対のクレープ紙1の間に挟持して形成されるため、印刷部の模様や広告が、外部から視認したときに柔らかい印象を看者に与え、独特の視覚的効果を発揮する。特に、積層紙10を主要用途である紙おしぼり等の衛生紙用品に適用した場合、通常は、衛生紙用品としての積層紙10は、含水して湿潤状態とした後で使用者に提供され、その湿潤状態の積層紙10により使用者が手や体の一部の汚れ等を拭き取ることになる。この場合、積層紙10の印刷部の印刷インキが水分により溶解してクレープ紙1から外部に溶出し、使用者の手や体に付着等しないようにする必要がある。しかし、従来のカラー紙おしぼりでは、その全体を所定の単色の印刷インキで色付けしているため、その印刷インキがカラー紙おしぼりの表面に露出する構成となる。したがって、従来のカラー紙おしぼりは、含水による湿潤状態で、表面に露出する印刷インキが溶解して使用者の手や肌等に触れないよう、印刷インキを有機溶剤タイプの印刷インキとする必要があり、上記のように、有機溶剤の揮発成分等による影響を否定できない。
一方、本実施の形態の積層紙10は、上記のように、フレキソ印刷を利用して水性インキ又はUVインキにより印刷部を不織布2に形成し、かつ、不織布2の両面をそれぞれクレープ紙1により完全に被覆するため、印刷部の印刷インキが積層紙10の表面で直接露出することはなく、必ず、クレープ紙1により遮蔽された状態を維持する。したがって、積層紙10は、印刷部を設けているにもかかわらず、含水時の湿潤状態で使用しても、使用者の手や肌に直接印刷インキが接触しない構成となっており、使用者に対して安全で無害な積層紙10として提供できると共に、環境に優しい積層紙として提供することができ、また、そのために、従来のカラー紙おしぼりのように有機溶剤タイプの印刷インキを使用する必要がないという利点を有する。なお、積層紙10の印刷部の印刷インキとしての水性インキとしては、顔料タイプの水性インキとすることが好ましく、こうすると、積層紙10の含水時の湿潤状態において、不織布2の印刷部の印刷インキが、容易に溶解して外部に溶出することを効果的に防止することができる。
[印刷部を有する積層紙の製造方法(不織布原料シートの幅寸法)]
次に、印刷部を有する積層紙10の製造方法について説明する。一般に、不織布は、天然繊維(パルプ)や合成繊維からなる所定の原料繊維から、乾式法、湿式法、又は、スパンボンド法等の所定のウエブ形成方法によりウエブ(フリースとも呼ばれる)を製造し、そのウエブの繊維間を、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、又は、水流絡号法等の所定の結合方法により結合して製造される。一方、本実施の形態の積層紙10は、不織布2として、前記芯鞘構造複合繊維からなる不織布を使用することが好ましいが、更に、不織布2としては、前記サーマルボンド法の一種であるエアスルー法により繊維間を結合して製造した不織布(以下、説明の便宜上、「エアスルー系不織布」という。)を使用することが更に好ましい。このエアスルー系不織布は、伸長性や柔軟性に富み、柔らかい感触を使用者に与えて肌触り感が良い等の利点があり、また、不織布2としてクレープ紙1を熱融着した後に、クレープ紙1が前記するときにも、良好な接着力の発現を可能にする。また、詳細については後述の積層紙の製造装置及び積層紙の製造方法の項で説明するが、積層紙10の製造においては、一対のクレープ紙1の原料シート(以下、「クレープ紙原料シート」という。)の間に不織布2の原料シート(以下、「不織布原料シート」という。)を挟んで三層構造(3枚重ね)の原料シート(以下「積層原料シート」という。)を構成する。そして、その積層原料シートを例えば一対のヒートシールローラ間に送給して、一対のヒートシールローラにより一対のクレープ紙原料シートをそれぞれ不織布原料シートに熱融着して一体化することで、最終的な積層紙を製造する。このとき、クレープ紙原料シート及び不織布原料シートは、通常、所定幅の同一幅となる幅方向寸法(例えば、1200mmの幅方向寸法)を有している。特に、不織布原料シートの幅方向寸法がクレープ紙原料シートの幅方向寸法よりも小さいと、積層原料シートの幅方向端部においてクレープ紙原料シートを不織布原料シートに熱融着できない部分が発生することになるため、不織布原料シートの幅方向寸法が、クレープ紙原料シートの幅方向寸法より小さくなることは好ましくない。
[不織布の材質に応じた不織布原料シートの幅方向寸法の設定]
一方、上記のように、不織布2に印刷部を設ける場合、予め、不織布原料シートを所定の印刷装置に送給して、その原料シートに所定の印刷部を印刷することになるが、本発明者は、このとき、不織布として前記エアスルー系不織布を使用した場合、その弾性が大きいことに起因すると考えられるが、不織布原料シートが印刷時の熱により収縮するとの知見を得たため、この影響を考慮した積層紙の発明について鋭意研究を続けた結果、以下の構成に想到した。即ち、積層紙10に印刷部を形成する場合、例えば、フレキソ印刷を使用して印刷部を形成する場合、幅1200mmの不織布原料シート2に印刷部を印刷すると、印刷後は、不織布原料シートの幅が1200mmから1150mmへと収縮する(即ち、元の幅の約96%の幅へ収縮する)、或いは、他の条件では不織布原料シートの幅が1300mmから1200mmへと収縮する(即ち、元の幅の約92%の幅へ収縮する)との知見を本発明者は得た。本発明者は、印刷時の不織布原料シートの収縮を考慮して、不織布原料シートを幅方向に(収縮する分だけ)伸長した状態で印刷することも試行したが、この場合、不織布原料シートに所期の印刷を行うことが困難になるとの知見を得た。したがって、印刷部を有する積層紙10の製造方法においては、不織布原料シートとして、不織布原料シートへの印刷時の収縮を補償するため、その収縮率に応じて、実際に得るべき積層紙10の幅よりも所定割合だけ大きな寸法の幅を有する不織布原料シートを使用する(即ち、収縮率に応じた収縮寸法を補償する幅となるよう不織布原料シートの幅寸法を設定する)。
本発明者は、実験により、例えば、幅1200mmの不織布原料シートを使用して、この不織布原料シートに前記印刷部を印刷した場合、この不織布原料シートは、印刷後に収縮して、その幅が1150mmの幅(即ち、印刷前の幅より50mm小さい幅、或いは、印刷前の幅より約4%小さい幅)になることを確認している。したがって、本実施の形態の積層紙の製造では、収縮後に必要な寸法より約4%(約4.12%)寸法の大きい原紙としての不織布を使用する。例えば、積層紙の原料シートの幅が1200mmとなる場合、クレープ紙原料シートの幅は、同一の1200mmとするが、不織布原料シートの幅は、1200mmよりも約4%大きい幅(例えば、1250mmの幅)とする。
[不織布原料シートの幅寸法設定による特有の効果]
上記のように幅方向寸法を設定した(即ち、不織布原料シートの印刷時の収縮率を補償するように幅方向寸法を設定した)不織布原料シートを使用した積層紙の製造方法によれば、不織布原料シートの幅が、前記印刷部の印刷工程の後に、積層紙原料シートの所定幅(即ち、クレープ紙原料シートの所定幅)と同一幅となる。例えば、積層紙原料シートの所定幅(即ち、クレープ紙原料シートの所定幅)が1200mmの場合、不織布原料シートの幅も、同一幅である約1200mmの幅(即ち、印刷前の幅より50mm小さい幅、或いは、印刷前の幅より約4%小さい幅)になる。したがって、この印刷後の不織布原料シート(幅約1200mm)を、一対のクレープ紙原料シート(幅1200mm)の中間に積層して構成した三層構造の積層紙原料シートは、一対の外層としてのクレープ紙原料シートと、中間層としての不織布原料シートとが、全て、同一幅となり、円滑に幅1200mmの積層紙原料シートとして積層紙の製造工程に提供することができ、製造後の積層紙10も、所望幅である1200mmの幅を有することになる。
実施の形態2(印刷部をクレープ紙に設けてなる積層紙)
[積層紙の全体構成及びクレープ紙の構成]
図5に示すように、実施の形態1の例では、積層紙10は、1対のクレープ紙1と1枚の不織布2とからなる三層構造(3枚のシートの重ね合わせ構造)となり、かつ、中間層シートとしての不織布2の表面に印刷部の印刷層2aを設けた構成となっているが、図6に示すように、実施の形態2の三層構造の積層紙10では、外層シートとしてのクレープ紙1の内面に印刷部の印刷層1aが設けられている。即ち、実施の形態2では、積層紙10は、外層シートとしての一対のクレープ紙1と、前記一対のクレープ紙1の間に積層状態で配設される1枚以上の中間層シートとしての不織布2とからなる複数層構造(三層以上の複数層構造)を有し、その内部の面として(即ち、積層紙10の内部の面として)、外層シートとしての一方のクレープ紙1の内面に前記印刷部を設け、前記クレープ紙1を前記不織布2に対して前記熱融着部1により熱融着及び圧着して接着したことを特徴としている。なお、クレープ紙1の内面とは、外層シートとしての一対のクレープ紙1の間に1枚(又は2枚以上)の中間層シートとしての不織布2を挟んで重ね合わせ、積層構造の積層紙10を構成したときに、積層紙10の積層構造の内側(即ち、不織布2と対面する側)に来る面をいう。ここで、クレープ紙1の両面は、一方の面が平滑度の高い(即ち、相対的に滑らかな面で手触り感の良い)表面となっており、他方の面が平滑度の低い(即ち、相対的に粗い面でざらざらとして手触りのある)裏面とからなっているが、実施の形態2の積層紙10では、クレープ紙1の前記表面側を内面側として、上記の積層構造を構成することが好ましい。
[クレープ紙の内面(表面)への印刷による特有の効果]
実施の形態2の積層紙10によれば、一対のクレープ紙1の間に不織布2を介装して、前記熱融着部1により、不織布2に対してクレープ紙1をそれぞれ熱融着して固定するときに、クレープ紙1が不織布2に対してより確実かつ強固に接着されることを、本発明者は実験により確認している。これに加え、実施の形態2のように、クレープ紙1の内面に印刷部の印刷層1aを設ける場合、印刷層1aを設ける(即ち、印刷インキによる印刷を施す)クレープ紙1の内面が、平滑度の高い前記表面となるため、所望の模様部13や広告部14の印刷をより良好な状態で行うことができ、印刷品質をより向上することができる。また、実施の形態2では、印刷部がクレープ紙1の内面に設けられるため、印刷部が、使用者の手指や肌(皮膚)に接触することがないため、印刷インキに直接接触することに関する使用者の不安感をなくし、また、印刷インキに起因する健康上の問題を確実に防止することができる。なお、積層紙10に印刷部を設ける場合、実施の形態2のように、積層紙10の外層となるクレープ紙1に印刷部を設けるより、実施の形態1のように、積層紙10の中間層(即ち、内層)となる不織布2に印刷部を設ける方が、印刷品質の点では好ましい。
[クレープ紙、不織布、及び積層紙の各厚み]
実施の形態2の積層紙10の場合、クレープ紙1の厚み、不織布2の厚み、及び、積層紙10の全体の厚みは、実施の形態1の場合と同様に設定することができる。
実施の形態3(着色部を中間層シートに設けてなる積層紙)
[積層紙の全体構成及び中間層シートとしての非透過性シートの構成]
図5に示すように、実施の形態1の例では、積層紙10は、三層構造で、かつ、中間層シートとしての不織布2の表面に印刷部を設けた構成となっており、図6に示すように、実施の形態2では、積層紙10は、三層構造で、かつ、外層シートとしてのクレープ紙1の内面に印刷部を設けた構成となっているが、実施の形態3では、図7に示すように、実施の形態3の三層構造の積層紙10は、中間層シートを合成樹脂フィルム製の非透過性シート5(例えば、非透水性シート又は耐水シート)により構成し、この非透過性シート5の表面に印刷部の印刷層5aを設けている。即ち、実施の形態3では、積層紙10は、外層シートとしての一対のクレープ紙1と、前記一対のクレープ紙1の間に積層状態で配設される1枚の中間層シートとしての非透過性シート5とからなる複数層構造(三層構造)を有し、その内部の面として(即ち、積層紙10の内部の面として)、前記非透過性シート5の表面に前記印刷部を設け、前記クレープ紙1を前記非透過性シート5に対して前記熱融着部1により熱融着及び圧着して接着したことを特徴としている。前記非透過性シート5としては、例えば、一般的にビニルシート又はビニルフィルムと呼ばれるものの他、ポリ塩化ビニル樹脂製の樹脂フィルムや樹脂シート、ポリオレフィン樹脂製(ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製等)の樹脂フィルムや樹脂シート等を好適に使用することができる。また、非透過性シート5の厚みは、例えば、0.1mm〜0.2mmの範囲内の所定厚みとすることが好ましい。なお、前記非透過性シート5としての非透水性シートは、水分の透過を遮断することを主機能とするが、非透過性シートは、油分の透過を遮断する非透過性シート(以下、「非透油性シート」という。)により構成してもよい。また、本願書類中では、単に「非透過性シート」という場合は、前記非透水性シートの他に前記非透油性シートも含み、また、他の液体や一部の気体の透過をも遮断するものも含む。即ち、本発明において、非透過性シートとは、前記中間層シートとして、水分及び/又は油分の透過を遮断する合成樹脂製のシート状又はフィルム状をなすものであればよい。
[非透過性シートによる特有の効果]
実施の形態3の積層紙10によれば、中間層シートとしての非透水性シートや非透油性シートを含む非透過性シート5が、水分や油分の透過を遮断するため、積層紙10を、紙おしぼりのような代表的な製品のほか、水分や油分が付着した物体や物品を一時的又は長期的に包装するための包装紙等に適用することができ、積層紙10としての用途を大きく拡大することができる。
[実施の形態1〜3の積層紙の発明の範囲]
ところで、上記実施の形態1〜3の積層紙10の発明は、積層紙10の内面側(中間層シート又は外層シートの内面)に印刷部を設けた点に主要な特徴がある。即ち、実施の形態1〜3の積層紙10の発明は、このような印刷部を備える限りにおいて、印刷部以外の構成(熱融着部等の構成)を上記実施の形態のものと異なる構成とすることができる。即ち、積層紙10は、外層シートと中間層シートとからなる複数層構造を有し、その内面側に前記印刷部を備える限りにおいて、熱融着部の構成や他の要素又は部分の構成を任意の構成とすることができる。例えば、本発明の印刷部を備える積層紙は、熱融着部列を、上記実施の形態1のような破線状とする以外に、他の構成の波線状としたり、点線状としたり、一点鎖線や二点鎖線等の鎖線からなる鎖線状としたりすることもでき、或いは、ジグザグ状、千鳥状等の線状とすることもでき、更には、実線からなる直線状とすることもでき、或いは、ドット状の熱融着部を散在させた積層紙に具体化することもできる。しかし、積層紙の含水後に積層紙の全体にわたって十分な膨張効果を得て使用時のボリューム感を出すためには、熱融着部列は、上記実施の形態のように、破線状(又は鎖線状)の直線状とすることが好ましい。
[印刷部を設けない積層紙の発明]
一方、上記実施の形態1で説明した積層紙10の構成のうち、以下の構成は、その構成単独でも従来技術から見て新規性及び進歩性を備えている。即ち、上記のように印刷部を備える積層紙の発明(以下、「第1の積層紙の発明」という。)の他、不織布の厚みを前記所定範囲内の厚みとし、かつ、クレープ紙の厚みを前記所定範囲内の厚みとする積層紙の発明(以下、「第2の積層紙の発明」という。)、並びに、前記幅方向の熱融着部間隔をクレープ紙のクレープ率に応じて前記所定範囲内とする積層紙の発明(以下、「第3の積層紙の発明」という。)は、その発明自体でも(即ち、印刷部を備えない場合でも)、従来技術から見て新規性及び進歩性を備えている。
[第2の積層紙の発明(クレープ紙の厚み範囲及び不織布の厚み範囲)]
具体的には、前記第2の積層紙の発明は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、前記クレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとからなり、前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、更に、前記クレープ紙は、20〜50g/mの範囲内の厚みを有し、かつ、前記不織布は、坪量で、15〜25g/mの範囲内の厚みを有することを特徴とする。
[第3の積層紙の発明(クレープ紙のクレープ率と幅方向の熱融着部間隔)]
また、前記第3の積層紙の発明は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、前記クレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとからなり、前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、更に、隣接する前記熱融着部列の幅方向中心線の間の間隔である幅方向の熱融着部間隔を、前記クレープ紙のクレープ率の範囲に応じた所定範囲内の任意の値に設定し、前記クレープ紙のクレープ率が20%〜26%の範囲内の場合、前記幅方向の熱融着部間隔は、10mm〜15mmの範囲内に設定し、前記クレープ紙のクレープ率が26%〜30%の範囲内の場合、前記幅方向の熱融着部間隔は、15〜25mmの範囲内に設定したことを特徴とする。
実施の形態4(改良不織布を中間層シートに有する積層紙)
[不織布の構成]
本発明の積層紙は、中間層シートとしての不織布の構成に特徴を備えるものとして、以下のように具体化することもできる。詳細には、実施の形態4の積層紙では、不織布は、伸縮率の高い不織布からなり、具体的には、後述するように、いわゆる芯鞘構造繊維を使用して製造された不織布からなる。即ち、従来の不織布は、いわゆるパルプ不織布からなり、木質パルプを粉砕して得た線維状物をウエブ状に集積して互いに接合し、シート状部とすることで製造している。また、従来の紙おしぼりは、一般には、不織布から製造され、この不織布として、坪量45〜70g/cm2でシート状にしたものを使用している。
[本発明の不織布の種類(製法による種類)]
これに対し、例えば、図5の断面図を使用して説明すると、実施の形態4の積層紙10は、中間層シートとして、空気を含むエアスルータイプ(サーマルボンドにより製造したもの)の不織布を使用することができる。こうすると、積層紙10が、全体として厚みがある一方で伸縮性に富む構造となると共に、手触り感が良く、かつ、熱融着性を有する構造となる。更に、実施の形態4の積層紙の不織布は、いわゆる芯鞘構造複合繊維を原料として製造した不織布からなる。この芯鞘複合繊維は、短繊維の合成繊維で、PE/PP、PE/PETの複合繊維)を、乾式法等で製造する不織布のウエブ(フリースと呼ばれることもある繊維の集積層)の原料繊維とする共に、繊維同士の結合方法としては、サーマルボンド法のうち、エアスルー法を使用する(即ち、熱風をウエブの厚み方向に表面から裏面へと通過させることにより、複合繊維の鞘部分の樹脂を溶融して繊維間を接着する)ことにより接着したものである。また、この芯鞘構造繊維は、外側の鞘がPE(ポリエチレン)で、内側(中心部)の芯がPET(ポリエチレンテレフタレート)となっている繊維である。この不織布は、繊維間結合に接着剤を使用しないためソフトな風合いを有するが、吸水性はないため、実施の形態1〜3の積層紙10のように、不織布2に印刷部を設けた場合、積層紙10に含水したときに、不織布2が含水により表面の印刷層2aの印刷インキに水分を供給することがない。したがって、この積層紙10は、不織布2の印刷部の印刷品質を良好に維持することができるという追加の特有の効果を発揮する。また、この不織布は、鞘部分のPEが低温で軟化して、前記積層紙10の熱融着部11によりクレープ紙1を良好に接着することができる一方で、芯部分のPETが繊維自体の強度を維持して不織布の全体の強度を維持する。即ち、この不織布は、芯鞘構造の鞘部分が接着力を発現し、クレープ紙に対する接着剤として機能する一方で、芯部分が強度維持に貢献する。
なお、この不織布の芯鞘構造繊維の材料としては、ポリエチレン(PE)は、融点約120℃近辺のもの(即ち、融点95〜130度又は114〜126℃の低密度PE、融点120〜140℃又は126〜137℃の高密度PE)を使用することができ、通常は、低密度PEを使用するが、融点が約120℃近辺となる密度のPEを使用すればよい。一方、ポリプロピレン(PP)は、融点約140℃近辺のもの(即ち、低融点型となるPP)を使用することができる。なお、PPには、共重合のランダムPP、共重合のブロックPP、単独重合のホモPPの3種類があるが、ホモPPは、160〜165℃の融点を有し、ブロックPPで合成融点が140〜150℃(或いは、160〜165℃)となるため、ブロックPPの場合、低融点側のものを使用する。また、最も融点の低いランダムPPは、約135〜145℃の融点のもの、或いは、135〜150℃の融点のものを使用することができる。本実施の形態では、不織布の原料繊維のPPとしては、ランダムPPを使用することができ、この場合、ランダムPPの融点は125℃の低融点となる。
[不織布の種類(融点による種類)]
本発明の積層紙において、中間層シートとしての不織布を任意の不織布とした場合、融点の関係でクレープ紙が良好に接着しない不織布もある。したがって、積層紙10の不織布2としては、積層紙の製造装置における熱融着部列11による熱融着時の所定の加熱温度で、クレープ紙1が不織布2の熱融着成分(例えば、芯鞘構造繊維の鞘部分のPE等)によって不織布2に確実に接着するような融点を有する不織布を使用する。特に、実施の形態1〜3の積層紙10を含め、本発明の積層紙は、線状の熱融着部列のみの接着力によって一対のクレープ紙を不織布に接着する構造のため、かかる少ない接着面積で十分なクレープ紙と不織布との間で十分な接合力が得られるよう、不織布の種類を選定している。このような不織布としては、ポリエステル系複合繊維としての芯鞘型複合繊維であって、不織布用熱融着繊維を使用して製造された不織布を使用することができる。例えば、この場合の不織布としては、繊度2.2dtex、カット長5mm又は10mm、鞘成分軟化点約110℃の芯鞘型複合繊維により製造した不織布を使用したり、繊度1.7dtex、カット長5mm、鞘成分軟化点約110℃の芯鞘型複合繊維により製造した不織布を使用したり、繊度2.2dtex、カット長5mm、鞘成分軟化点約130℃の芯鞘型複合繊維により製造した不織布を使用したりすることができる。或いは、上記の芯鞘型複合繊維の2種類以上を適宜混合して原料繊維とした不織布を使用してもよい。
実施の形態5(積層紙の製造装置)
上記実施の形態1〜3の積層紙10の発明を含め、本発明の積層紙は、以下に説明する積層紙の製造装置を使用して製造することが好ましい。
[製造装置の構成]
図9に示すように、実施の形態5の積層紙の製造装置は、並設した3個の支持ローラ51,52,53に、それぞれ、前記一対のクレープ紙の一方のクレープ紙の原料シート(クレープ紙原料シート)となるロール状クレープ紙21と、前記不織布の原料シート(不織布原料シート)となるロール状不織布22と、前記一対のクレープ紙の他方のクレープ紙の原料シート(クレープ紙原料シート)となる他方のロール状クレープ紙23とを、それぞれ、回転供給自在に支持している。また、一方のロール状クレープ紙21、ロール状不織布22、及び、他方のロール状クレープ紙23から引き出された一方のクレープ紙1、不織布2、及び、他方クレープ紙1は、それぞれ、積層した状態で(即ち、三層の積層状態で)積層紙10の原料シート(積層紙原料シート)を構成する。この積層紙原料シートは、第1の案内ローラ61により折り返され、一方の圧着ローラとしての第1のヒートシールローラ70と他方の圧着ローラとしての第2のヒートシールローラ80との間に案内及び導入される。なお、前記積層紙原料シートは、前記第1の案内ローラ61から第2のヒートシールローラ80を折り返して、第2の案内ローラ62により案内されて、前記第1のヒートシールローラ70と第2のヒートシールローラ80との間に挿入される。この第1のヒートシールローラ70と第2のヒートシールローラ80との間に挿入される前の段階の積層紙原料シートは、クレープ紙1と不織布2とが熱融着されていない状態の熱融着前積層紙10Xとなっている。
次に、これら第1及び第2のヒートシールローラ70,80間で、積層状態のクレープ紙1及び不織布2が熱融着され、前記熱融着部11を有する積層紙10が形成される。この熱融着後の段階の積層紙原料シートは、クレープ紙1と不織布2とが熱融着された状態の熱融着後積層紙10Yとなっている。そして、第1及び第2のヒートシールローラ70,80から導出された長尺状の(切断前の原紙としての)熱融着後積層紙10Yは、第3の案内ローラ63及び第4の案内ローラ64により折り返され、巻取ローラ55に案内される。巻取ローラ55は、熱融着後積層紙10Yを巻き取って、ロール状積層紙10Rとする。このロール状積層紙10Rは、巻取ローラ55から取り外されて、紙おしぼり等の原紙として使用される。なお、第4の案内ローラ64と巻取ローラ55との間には、スリッタが配置され、熱融着後積層紙10Rを幅方向に複数に切断し、所定幅の積層紙10を複数並設して巻取りローラに巻き取るようになっている。
[ヒートシールローラ]
次に、第1及び第2のヒートシールローラ70,80について、図10〜図13にしたがって詳細に説明する。図10は、図9の第1及び第2のヒートシールローラ70,80を上面側から見た状態を示し、第1及び第2のヒートシールローラ70,80は、軸心が互いに平行となるよう、熱融着前積層紙10Xの供給方向の前後に並設して対向配置されている。また、第1及び第2のヒートシールローラ70,80は、同一の所定のローラ長L(例えば、1200mm〜1500mmの範囲内の任意の値の軸長)を有するとともに、同一の所定のローラ径D(例えば、180mm〜300mmの範囲内の任意の値の直径)を有している。
[第1のヒートシールローラ]
図9及び図10に示すように、第1のヒートシールローラ70は、前記所定のローラ径Dの円筒状に形成され、その周面に、一定幅のリング凹溝状をなす非圧着部71と、一定幅の破線凸リング状(又は破線凸条状)をなす熱圧着凸部72とを、その軸心方向に1つおきとなるよう互いに平行に並設配置している。図11に示すように、非圧着部71の各々は、第1のヒートシールローラ70の周面に沿って周方向に円弧状面として断続的に延びると共に、幅方向においては平坦面となる圧着面72aを有している。詳細には、熱圧着凸部72の各々は、第1のヒートシールローラ70の周面に沿って周方向に所定長さだけ直線的に延びる(熱圧着凸部72の周面としての)熱圧着面72aを、第1のヒートシールローラ70の周方向に一定間隔を置いて連続的に配置している。熱圧着凸部72の熱圧着面72aは、長さ方向には円弧状面(曲面)となるが、その円弧長は、前記熱融着部列11の第1の熱融着部11a又は第2の熱融着部11bの長さと同一長さに設定されている。また、熱圧着凸部72の熱圧着面72aは、幅方向には平坦面状となるが、その幅は、前記熱融着部列11の第1の熱融着部11a又は第2の熱融着部11bの幅と同一幅に設定されている。更に、各列の熱圧着凸部72の隣接する熱圧着面72aの間の間隙の間隔は、前記熱融着部列11の隣接する第1の熱融着部11a又は第2の熱融着部11bの間の間隙の間隔と同一寸法に設定されている。
このように、第1のヒートシールローラ70は、破線凸リング状をなす熱圧着凸部72を周方向の全周に形成して、前記積層紙10の1列の熱融着部列11を形成するよう構成している。また、第1のヒートシールローラ70は、多数列の熱圧着凸部72を、前記積層紙10の多数列の熱融着部列11の幅方向の配置間隔と同一の一定間隔を置いて互いに平行となるよう、その軸心方向の全体にわたって連続的に並設配置している。これにより、第1のヒートシールローラ70は、隣接する熱圧着凸部72の間に、それぞれ、リング凹溝状をなす非圧着部71を有することになる。また、第1のヒートシールローラ70は、多数列の非圧着部71を、前記積層紙10の非融着部12と同一の一定間隔を置いて互いに平行となるよう、軸心方向の全体にわたって連続的に並設配置している。更に、第1のヒートシールローラ70において、隣接する列の熱圧着凸部72の熱圧着面72aは、一方の熱圧着凸部72の熱圧着面72aの長さ方向の中心位置が、他方の熱圧着凸部72の隣接する熱圧着面72aの間の間隙の中間位置にくるよう、第1のヒートシールローラ70の周方向における位置を互いにずらして配置されている。これにより、図11及び図12及び図13に示すように、熱圧着凸部72は、前記積層紙10の第1の列の熱融着部列11Aに対応する第1の列の熱圧着凸部72Aと、第2の列の熱融着部列11Bに対応する第2の列の熱圧着凸部72Bとから構成される。そして、第1の列の熱圧着凸部72Aは、第1の列の熱融着部列11Aの第1の熱融着部11aに対応して、熱圧着面72aを第1のヒートシールローラ70の周方向に配置し、第2の列の熱圧着凸部72Bは、第2の列の熱融着部列11Bの第2の熱融着部11bに対応して、熱圧着面72aを第1のヒートシールローラ70の周方向に配置している。
また、図10に示すように、熱融着凸部72の熱圧着面72aは、平面視で直線的に伸びる(第2のヒートシールローラ70の周方向においてはその周面に沿って曲線的に延びる)直線細帯部72xと、直線細帯部72xの長さ方向両端の半円状の湾曲部72yとから構成される。これにより、ヒートシールローラ70の熱圧着凸部72の熱圧着面72aにより、積層紙原料シートのクレープ紙原料シートを不織布原料シートに熱圧着及び熱融着して得られる積層紙10の熱融着部列11の熱融着部11a,11bの各々は、各熱圧着面72aの外形に対応して、図1及び図2、並びに、図14に示すように、積層紙10の長さ方向に直線的に伸びる直線細帯状部分と、直線細帯状部分の長さ方向両端の半円状部分とから構成される。更に、図13に示すように、各熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅方向両側では、一対の側面72bが、熱圧着面72aと直交して延びている。
[第2のヒートシールローラ]
一方、図9及び図10に示すように、第2のヒートシールローラ80は、前記所定のローラ径Dの円筒状に形成され、その周面に、一定幅のリング凹溝状をなす非圧着部81と、一定幅の凸リング状(又は凸条状)をなす熱圧着凸部82とを、その軸心方向に1つおきとなるよう互いに平行に並設配置している。図11に示すように、非圧着部81の各々は、第2のヒートシールローラ80の周面に沿って周方向に円弧状面として連続的に(即ち、第2のヒートシールローラ80の周面の全周にわたって)延びると共に、幅方向においては平坦面となる(熱圧着凸部82の周面としての)圧着面82aを有している。熱圧着凸部82の熱圧着面82aは、長さ方向には円弧状面(曲面)となる。また、熱圧着凸部82の熱圧着面82aは、幅方向には平坦面状となるが、その幅は、前記熱融着部11の第1の熱融着部11a又は第2の熱融着部11bの幅よりも大きな幅(即ち、第1のヒートシールローラ70の熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅よりも大きな幅)に設定されている。
このように、第2のヒートシールローラ80は、第1のヒートシールローラ70の熱圧着凸部72と対向する位置に、それぞれ、凸リング状をなす熱圧着凸部82を周方向の全周にわたって形成している。これにより、第1のヒートシールローラ70の熱圧着凸部72と第2のヒートシールローラ80の熱圧着凸部82との間で、前記熱融着前積層紙10Xを挟持し、熱圧着凸部72の熱圧着面72aと熱圧着凸部82の熱圧着面82aとの間で、熱融着前積層紙10Xのクレープ紙1を不織布2に熱圧着及び熱融着することで、前記積層紙10の熱融着部列11を形成するようになっている。
更に、図13に示すように、第2のヒートシールローラ80の熱圧着凸部82の熱圧着面82aの幅は、第1のヒートシールローラ70の熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅よりも一定寸法だけ大きな幅に設定され、熱圧着凸部72の熱圧着面72aと熱圧着凸部82の熱圧着面82aとを対向して(積層紙10の熱融着部11の厚み分の隙間を置いて)略密接状態で配置したときに、熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅方向両側で、それぞれ、熱圧着凸部82の熱圧着面82aの幅方向両端部の一定幅部分が露出するようになっている。これにより、熱圧着凸部72の熱圧着面72aと熱圧着凸部82の熱圧着面82aとの間で、熱融着前積層紙10Xのクレープ紙1を不織布2に熱圧着及び熱融着するときに、熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅方向両端縁は、熱圧着凸部82の熱圧着面82aの上に配置されることになり、熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅方向両端縁から熱融着前積層紙10Xに加わる外力(特に、せん断力)を大きく低減することができる。即ち、仮に、熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅と熱圧着凸部82の熱圧着面82aの幅とを同一幅とした場合は、熱圧着凸部72の熱圧着面72aと熱圧着凸部82の熱圧着面82aとの間で、熱融着前積層紙10Xのクレープ紙1を不織布2に熱圧着及び熱融着するときに、熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅方向両端縁が、熱圧着凸部82の熱圧着面82aの幅方向両端縁と同一位置に配置されることになり、熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅方向両端縁から熱融着前積層紙10Xに加わる外力(特に、せん断力)が大きくなるため、熱融着前積層紙10X(特に、クレープ紙1)の一部を切断又は破損等する可能性がある。しかし、図13に示すように、第2のヒートシールローラ80の熱圧着凸部82の熱圧着面82aの幅を、第1のヒートシールローラ70の熱圧着凸部72の熱圧着面72aの幅よりも一定寸法だけ大きな幅に設定すると、このような不具合を確実に防止することができる。なお、第2のヒートシールローラ80の熱圧着凸部82の熱圧着面82aの幅方向両側では、一対の側面82bが、熱圧着面82aと所定角度で傾斜して(鈍角となるような傾斜角度で)延びている。このように、積層紙の製造装置では、熱圧着凸部72,82の熱圧着面72a,82aは、上側のヒートシールローラ70の熱圧着面72aよりも、下側のヒートシールローラ80の熱圧着面80を幅広とし、かつ、下側のヒートシールローラ80の熱圧着凸部92の幅方向両端縁部のコーナー部をカットして(切り欠いて)、テーパー状(面取り状)又はアール状(湾曲面取り状)等のカット形状とすることが好ましい。
[ローラ長及びローラ径]
ヒートシールローラ70,80のローラ長Lは、1200mm〜1500mmの範囲とすることが好ましい。ヒートシールローラ70,80のローラ径Dを1200mm未満の値とすると、生産性を低下する可能性がある。一方、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lを1500mmを超える値とすると、後述するクラウン現象の問題が発生する可能性がある。また、ヒートシールローラ70,80のローラ径Dは、180mm〜300mmの範囲とすることが好ましい。ヒートシールローラ70,80のローラ径Dを180mm未満の値とすると、熱圧着凸部72,82による熱融着前積層紙10Xの熱融着部部分の圧着力が不足する可能性がある。一方、ヒートシールローラ70,80のローラ径Dを300mmを超える値とすると、コスト高の問題が発生する。
[ヒートシールローラのローラ径とローラ長と熱圧着時の押圧力との関係]
前記ヒートシールローラ70,80による熱融着前積層紙10Xの熱圧着動作では、ヒートシールローラ70,80のローラ径D及びローラ長Lにより、熱圧着凸部72,82から熱融着前積層紙10Xの熱融着部部分に加わる押圧力が変化するとの知見を本発明者は得ている。また、本発明者は、ヒートシールローラ70,80による熱融着前積層紙10Xの熱圧着動作では、熱圧着凸部72,82から熱融着前積層紙10Xの熱融着部部分に加える押圧力(以下、「熱圧着時押圧力」という。)は、熱融着部11,11bを確実に形成するためには、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lを小さいものとした場合でも、少なくとも2〜3気圧以上の値とする必要があるとの知見を得ている。また、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lが1400mmの場合、熱圧着時押圧力は、5.5〜7.0気圧の範囲内とすることが好ましい。即ち、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lが1400mmの場合、ヒートシールローラ70,80による熱圧着時に、熱融着前積層紙10Xは、5気圧〜7気圧の圧力までは十分な耐久性を有するため、前記熱圧着時押圧力としてはこの範囲が最適である。熱圧着時押圧力を7気圧以上とすると、熱融着前積層紙10Xが破損する(例えば、熱圧着凸部72の熱圧着面72aの隅角部等に対応する一部で断裂する)可能性がある。
また、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lが1400mmの場合に、熱圧着時押圧力を7気圧以上とすると、ヒートシールローラ70,80に、いわゆるクラウン現象(ヒートシールローラ70,80が径方向に湾曲してヒートシールローラ70,80間に隙間が生じる現象)が発生する可能性もある。このクラウン現象が発生した場合、ヒートシールローラ70,80が径方向に湾曲して、ヒートシールローラ70,80間に正面視で太鼓状の隙間が発生することになる。この場合にヒートシールローラ70,80間に発生する径方向の隙間間隔は微小間隔ではあるが、ヒートシールローラ70,80の長さ方向においては大きな範囲が湾曲して、その大きな範囲で微小間隔の隙間が発生することになる。したがって、このクラウン現象によるヒートシールローラ70,80間の隙間は、1mm以下の微小隙間ではあるが、積層紙原料シート(熱融着前積層紙10X)の厚みが1mm以下と薄いため、ヒートシールローラ70,80の熱圧着面72a,82aが熱融着前積層紙10Xから浮いた状態となり、それらの間に隙間が発生する可能性があり、この場合は、ヒートシールローラ70,80の熱圧着面72a,82aにより熱融着前積層紙10Xの熱融着部部分を圧着することができないことになる。
したがって、このようなクラウン現象の問題を回避するためには、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lが1400mmの場合、上記のように、熱圧着時押圧力は、5.5〜7.0気圧の範囲内とすることが好ましい。ヒートシールローラ70,80のローラ長Lを1400mmとした場合において、熱圧着時押圧力を5.5気圧未満とすると、熱圧着凸部72,82により熱融着前積層紙10Xを熱融着部を安定して形成できない可能性がある(即ち、熱融着部の接着力が不足する可能性がある)。一方、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lを1400mmとした場合において、熱圧着時押圧力を7気圧を超える値とすると、過度な圧力が熱融着前積層紙10Xの熱融着部に加わり、熱融着部が接着時に硬化する可能性がある。また、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lを1200mmとした場合、熱圧着時押圧力は4.5気圧とすることも可能である。また、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lを1500mmとした場合、熱圧着時押圧力は7.5〜8.0気圧の範囲とすることも可能である。ヒートシールローラ70,80のローラ長Lを1500mmとした場合において、熱圧着時押圧力を7.5気圧未満とすると、熱圧着凸部72,82により熱融着前積層紙10Xを熱融着部を安定して形成できない可能性がある(即ち、熱融着部の接着力が不足する可能性がある)。一方、ヒートシールローラ70,80のローラ長Lを1500mmとした場合において、熱圧着時押圧力を8気圧を超える値とすると、過度な圧力が熱融着前積層紙10Xの熱融着部に加わり、熱融着部が接着時に硬化する可能性がある。
[ヒートシールローラの温度制御]
積層紙の製造装置では、熱融着前積層紙10Xの熱融着部で外層シートとしてのクレープ紙と中間層シート(不織布や非透過性シート等)とを確実に熱融着するため、ヒートシールローラ70,80の熱圧着時の温度(以下、「熱圧着温度」という。)は、175〜200℃の範囲内に設定し、かつ、温度分布がヒートシールローラ70,80の長さ方向の全体にわたって一定となるよう、温度制御することが好ましい。ヒートシールローラ70,80の熱圧着温度が175℃以下では、熱融着前積層紙10Xの熱融着部でクレープ紙と不織布とを確実に熱融着により確実に接着させることができず、一方、熱圧着温度が200℃以上では、中間層シートの熱癒着性樹脂(PP(ポリプロピレン),PE(ポリエチレン)等)が硬化劣化したり、不織布等の中間層シート自体が硬化して、熱融着性の繊維材料(熱融着性の合成樹脂繊維)が融着機能を発揮しなくなる(即ち、これにより、クレープ紙の融着による接着が不可能となる)可能性がある。また、図15(a)に示すように、ヒートシールローラ70,80の熱圧着温度は、ヒートシールローラ70,80の回転速度(即ち、熱融着前積層紙10Xの供給速度、換言すれば、熱融着部の長さ方向での形成速度)に比例して増減するよう、積層紙の製造装置でヒートシールローラ70,80の温度制御及び回転制御を行うことが好ましい。
[ヒートシールローラの回転制御]
積層紙の製造装置では、熱融着前積層紙10Xの熱融着部で外層シートとしてのクレープ紙と中間層シート(不織布や非透過性シート等)とを確実に熱融着するため、ヒートシールローラ70,80が、上記の設定範囲内の熱圧着温度に到達してから、ヒートシールローラ70,80を回転開始して、熱融着前積層紙10Xの熱融着部の形成を実行する。また、ヒートシールローラ70,80の熱圧着温度は上記設定範囲で一定となるよう制御するが、ヒートシールローラ70,80の回転速度は、積層紙原料シートの厚み(即ち、熱融着前積層紙10Xの厚み)に応じて増減変更して制御することが好ましい。即ち、図15(c)に示すように、ヒートシールローラ70,80の回転速度は、熱融着前積層紙10Xの厚み(原紙厚)に比例して増減するよう、積層紙の製造装置でヒートシールローラ70,80の回転制御を行うことが好ましい。この場合も、ヒートシールローラ70,80の熱圧着温度は一定に維持し、原紙厚に応じてヒートシールローラ70,80の回転速度(原紙の送給速度)を増減変更する。同様に、図15(d)に示すように、ヒートシールローラ70,80の回転速度は、熱融着前積層紙10Xの不織布原料シートの厚み(不織布厚)に比例して増減するよう、積層紙の製造装置でヒートシールローラ70,80の回転制御を行うこともできる。この場合も、ヒートシールローラ70,80の熱圧着温度は一定に維持し、不織布厚に応じてヒートシールローラ70,80の回転速度(原紙の送給速度)を増減変更する。更に、図15(b)に示すように、ヒートシールローラ70,80の熱圧着温度は、熱融着前積層紙10Xの不織布の厚み(不織布厚)に比例して増減するよう、積層紙の製造装置でヒートシールローラ70,80の温度制御を行うこともできる。この場合も、ヒートシールローラ70,80の回転速度は一定に維持し、不織布厚に応じてヒートシールローラ70,80の熱圧着温度を増減変更する。ここで、ヒートシールローラにより熱圧着速度(単位時間当たりの、熱融着前積層紙10Xに形成される熱融着部列の長さ)は、例えば、20m/分とすることが好ましい。
[均一温度制御]
積層紙の製造装置は、上記のとおり、ヒートシールローラ70,80の熱圧着温度を、ヒートシールローラ70,80の全体にわたった均一な温度分布となるよう温度制御し、熱融着部での接着むらが発生しないようにしているが、この温度制御のための構成として、図12に示す構成を採用することができる。詳細には、ヒートシールローラ70,80は、それぞれ、図11に示すように、周壁と一対の側壁73,83により両端を閉塞した円筒状となっているが、これにより、図12に示すように、ヒートシールローラ70,80の内部には、それぞれ、密閉空間70S,80Sが形成されている。このヒートシールローラ70,80の内部空間70S、80Sは、真空状態に維持された密閉空間となっている。そして、積層紙の製造装置は、ヒートシールローラ70,80の内部空間70S、80Sに、それぞれ、外部の水供給手段を接続し、この水供給手段からヒートシールローラ70,80の内部空間70S、80Sに、それぞれ、水分を供給すると共に、ヒートシールローラ70,80の加熱時に、その水分を加熱して得た水蒸気を利用して、ヒートシールローラ70,80の温度を一定に維持するようになっている。例えば、積層紙の製造装置は、予め、ヒートシールローラ70,80の内部空間70S、80Sに所定量の水を貯留しておき、ヒートシールローラ70,80の加熱時に、その水分を加熱して得た水蒸気を利用して、ヒートシールローラ70,80の温度を一定に維持するようにしたり、或いは、ヒートシールローラ70,80の動作時に、内部空間70S,80Sに飽和水蒸気又は過熱水蒸気を供給して、その水蒸気を利用して、ヒートシールローラ70,80の温度を一定に維持するようになっている。この場合、高温水蒸気(例えば飽和水蒸気)をヒートシールローラ70,80の内面に薄い層状又は膜状となるように付着させ、その層状又は膜状の水蒸気により、ヒートシールローラ70,80の全体を均一な温度に維持するようになっている。そして、積層紙の製造装置は、ヒートシールローラ70,80による熱圧着動作開始までに、ヒートシールローラ70,80を所定の加熱手段により加熱して前記熱圧着温度まで温度上昇する。例えば、積層紙の製造装置は、ヒートシールローラ70,80の内部に誘導コイルを巻き回して配設し、誘導コイルに交流電流を出力してヒートシールローラ70,80に渦電流を誘導発生させることで、ヒートシールローラをジュール発熱により前記所定の熱圧着温度まで加熱して、その所定温度を一定に維持するよう制御する。そして、この誘導加熱手段による誘導加熱に加えて、前記水蒸気による温度一定化動作により、それぞれ、ヒートシールローラ70,80を、その周方向の全体及び長さ方向の全体にわたって、(特に、全ての熱圧着凸部72,82の熱圧着面72a,82aの全面にわたって)前記所定の熱圧着温度が均一かつ均等に維持されるように制御している。これにより、ヒートシールローラ70,80の熱圧着凸部72,83の熱圧着面72a,82aの温度分布が、全面で絶対的に同一(均一)に維持される。なお、ヒートシールローラ70,80の加熱手段(加熱ヒーター)は、上記のような電気式の構成(例えば、前記誘導加熱手段のような誘導加熱式の構成)とすることが好ましい。こうすると、加熱手段をオイルヒータ式とした場合のような油漏れの恐れを回避することができ、また、オイルヒータ式に比較して、加熱手段自体によってもヒートシールローラ70,80の温度分布の一定化に寄与することができる。
また、積層紙の製造装置は、ヒートシールローラ70,80の熱圧着時押圧力を、特に、熱圧着凸部72の熱圧着面72aと熱圧着凸部82の熱圧着面82aとの間の対向面の全面にわたって一定となるよう制御している。このように、積層紙の製造装置は、ヒートシールローラ70,80の温度分布の制御と、圧力分布の制御とを同時に行うことが好ましく、こうすることで、積層紙10の熱融着部列11の各熱融着部11a,11bにおける接着むらを極力なくすことができる。
[積層紙の製造方法]
上記実施の形態1〜3の積層紙10の発明を含め、本発明の積層紙は、以下に説明する積層紙の製造方法により製造することが好ましい。なお、この積層紙の製造方法には、実施の形態5の積層紙の製造装置を好適に使用することができる。
実施の形態6(積層紙の製造装置の別例)
実施の形態5の積層紙の製造装置では、積層紙10の熱融着部列11の形成のための手段(以下、「熱融着手段」という。)として、一対のヒートシールローラ70,80による熱圧着の構成を採用しているが、積層紙10の熱融着部列11の形成のための熱融着手段としては、この構成以外にも、高周波溶着や超音波溶着によりクレープ紙を不織布等の中間層シートに対して(中間層シートの熱融着成分の融着動作によって)接着する構成を採用することができる。これら高周波溶着や超音波溶着を利用した熱融着手段によれば、熱融着による接着温度の調整が容易で、素材の多様性があり、また、融点の低い熱可塑性樹脂フィルムのシートで安価な素材が利用できる可能性もある。例えば、図16に示す積層紙の製造装置は、熱融着手段に、高周波溶着手段としての高周波ミシンを設けている。この実施の形態6の積層紙の製造装置は、図9に示す実施の形態5の積層紙の製造装置の一対のヒートシールローラ70,80を、高周波ミシン100に置き換えた点を除き、基本的には、実施の形態5の積層紙の製造装置と同様の構成であり、一対のクレープ紙1の間に不織布2を介装した三層構造(3枚合わせの構造)の熱融着前積層紙10Xを、案内ローラ61,62により高周波ミシン100に案内して送給し、高周波ミシン100により、熱融着間積層紙10の所定位置で熱融着部列11を形成した後、その熱融着後積層紙10Yを案内ローラ63,64により案内して巻取ローラ55に巻き取るようになっている。
[高周波ミシン]
高周波ミシン100は、第1の溶着ローラ101と、第2の溶着ローラ102とを対向配置し、これら第1の溶着ローラ101と第2の溶着ローラ102との間に、熱融着前積層紙10Xを挟持して高周波溶着し、前記熱融着部列11を形成するようになっている。このとき、第1の溶着ローラ101と第2の溶着ローラ102に加える(熱溶着のための)高周波電流は、上記実施の形態5の積層紙の製造装置及び積層紙の製造方法で述べたように、原紙厚や不織布厚等の諸条件に応じて、一定の温度制御となるよう、各種制御を行うことが好ましい。
[本発明の別の観点]
なお、本発明は、以下に記載する積層紙、積層紙の製造方法、又は積層紙の製造装置の発明として把握することもできる。
まず、本発明の第1の観点に係る積層紙は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、前記クレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとからなり、前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造としている。また、本発明の積層紙は、前記中間層シート、又は、前記クレープ紙の内面に印刷部を設け、前記クレープ紙の厚みを、前記クレープ紙を湿潤状態としたときに前記印刷部が前記クレープ紙を介して外部から視認できるような厚みに設定している。
本発明の第2の観点に係る積層紙の製造方法は、請求項1の積層紙の製造方法であって、前記中間層シートは不織布からなり、前記不織布の原料シートとなる不織布原料シートへの前記印刷部の印刷時の収縮を補償するため、その収縮率に応じて、実際に得るべき積層紙の幅よりも所定割合だけ大きな寸法の幅を有する不織布原料シートを使用する。
本発明の第3の観点に係る積層紙の製造装置は、第1の観点の積層紙の製造装置であって、前記熱融着部列を形成するための対をなす第1及び第2のヒートシールローラを備え、前記第1のヒートシールローラは、前記熱融着部に対応する凸条状の熱圧着凸部を有すると共に、前記熱圧着凸部の周面を熱圧着面とし、前記第2のヒートシールローラは、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部と対向する凸条状の熱圧着凸部を有すると共に、前記熱圧着凸部の周面を前記第1のヒートシールローラの熱圧着面と対向する熱圧着面とし、前記第2のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅は、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅よりも一定寸法だけ大きな幅に設定されている。
また、別の観点の本発明の積層紙は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、前記クレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとからなり、前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、前記外層シートとしての一方のクレープ紙に対向する前記中間層シートの面に印刷部を設け、前記クレープ紙の厚みを、前記クレープ紙を湿潤状態としたときに前記中間層シートの面に設けた印刷部が前記クレープ紙を介して外部から視認できるような厚みに設定し、前記クレープ紙の乾燥状態においても前記中間層シートに設けた印刷部が前記クレープ紙を透過して外部から視認され、かつ、前記クレープ紙の含水時には前記前記中間層シートに設けた印刷部の前記クレープからの透過度が増大して、前記中間層シートに設けた印刷部の前記クレープ紙を介した外部からの視認性が増加するよう、前記クレープ紙のうち、少なくとも前記中間層シートにおいて前記印刷部が設けられる側のクレープ紙の厚みを設定したものである。なお、本発明の積層紙は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、前記クレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとからなり、前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、かつ、前記中間層シート、又は、前記クレープ紙の内面に印刷部を設け、前記クレープ紙の厚みを、前記クレープ紙を湿潤状態としたときに前記印刷部が前記クレープ紙を介して外部から視認できるような厚みに設定したものとして構成することもできる。
また、別の観点の本発明の積層紙の製造方法は、上記別の観点の積層紙の製造方法であって、前記中間層シートは不織布からなり、前記不織布として、外側の鞘がポリエチレンで内側の芯がポリエチレンテレフタレートとなっている芯鞘構造複合繊維をエアスルー法により接着剤を使用することなく繊維間結合して製造した非吸水性のエアスルー系不織布を使用し、前記印刷部は、印刷方法としてフレキソ印刷技術を使用し、印刷用インキとして水性インキ又は紫外線硬化型インキを使用して形成し、前記不織布の原料シートとなる不織布原料シートへの前記印刷部の印刷時の収縮を補償するため、その収縮率に応じて、実際に得るべき積層紙の幅よりも所定割合だけ大きな寸法の幅を有する不織布原料シートを使用して前記不織布への前記印刷部の印刷を行う。なお、本発明の積層紙の製造方法は、前記中間層シートは不織布からなり、前記不織布の原料シートとなる不織布原料シートへの前記印刷部の印刷時の収縮を補償するため、その収縮率に応じて、実際に得るべき積層紙の幅よりも所定割合だけ大きな寸法の幅を有する不織布原料シートを使用するものとして構成することもできる。
本発明の別の観点に係る積層紙の製造装置は、上記別の観点の積層紙の製造装置であって、前記熱融着部列を形成するための対をなす第1及び第2のヒートシールローラを備え、前記第1のヒートシールローラは、前記熱融着部に対応する凸条状の熱圧着凸部を有すると共に、前記熱圧着凸部の周面を熱圧着面とし、前記第2のヒートシールローラは、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部と対向する凸条状の熱圧着凸部を有すると共に、前記熱圧着凸部の周面を前記第1のヒートシールローラの熱圧着面と対向する熱圧着面とし、前記第2のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅は、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅よりも一定寸法だけ大きな幅に設定されている。
或いは、本発明は、以下に記載する積層紙、積層紙の製造方法、又は積層紙の製造装置の発明として把握することもできる。
まず、本発明は、一対の外層シートとしてのクレープ紙と、前記クレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとからなり、前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、前記中間層シート、又は、前記クレープ紙の内面に印刷部を設け、前記クレープ紙の厚みを、前記クレープ紙を湿潤状態としたときに前記印刷部が前記クレープ紙を介して外部から視認できるような厚みに設定したことを特徴とする積層紙として把握することもできる。
また、上記発明は、更に、前記中間層シートが、前記印刷部を印刷可能な材質で、かつ、前記外層シートとしてのクレープ紙を前記熱融着部列で熱融着して接着可能な材質の不織布からなり、前記印刷部は、前記外層シートとしての一方のクレープ紙に対向する前記不織布の面に設けられることを特徴とする積層紙として把握することもできる。
また、上記発明は、更に、前記印刷部が、前記外層シートとしての一方のクレープ紙の内面に設けられることを特徴とする積層紙として把握することもできる。
また、上記発明は、前記中間層シートが、水分及び/又は油分の透過を遮断する合成樹脂製の非透過性シートからなり、前記印刷部は、前記中間層シートとしての非透過性シートに設けられることを特徴とする積層紙として把握することもできる。
また、上記発明は、前記不織布が、坪量で、15〜25g/mの範囲内の厚みを有することを特徴とする積層紙として把握することもできる。
また、上記発明は、前記クレープ紙が、20〜50g/mの範囲内の厚みを有することを特徴とする積層紙として把握することもできる。
また、上記発明は、隣接する前記熱融着部列の幅方向中心線の間の間隔である幅方向の熱融着部間隔を、前記クレープ紙のクレープ率の範囲に応じた所定範囲内の任意の値に設定し、前記クレープ紙のクレープ率が20%〜26%の範囲内の場合、前記幅方向の熱融着部間隔は、10mm〜15mmの範囲内に設定し、前記クレープ紙のクレープ率が26%〜30%の範囲内の場合、前記幅方向の熱融着部間隔は、15〜25mmの範囲内に設定したことを特徴とする積層紙として把握することもできる。
また、本発明は、上記発明の積層紙の製造方法であって、前記中間層シートは不織布からなり、前記不織布の原料シートとなる不織布原料シートへの前記印刷部の印刷時の収縮を補償するため、その収縮率に応じて、実際に得るべき積層紙の幅よりも所定割合だけ大きな寸法の幅を有する不織布原料シートを使用することを特徴とする積層紙の製造方法として把握することもできる。
また、本発明は、上記発明の積層紙の製造装置であって、前記熱融着部列を形成するための対をなす第1及び第2のヒートシールローラを備え、前記第1のヒートシールローラは、前記熱融着部に対応する凸条状の熱圧着凸部を有すると共に、前記熱圧着凸部の周面を熱圧着面とし、前記第2のヒートシールローラは、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部と対向する凸条状の熱圧着凸部を有すると共に、前記熱圧着凸部の周面を前記第1のヒートシールローラの熱圧着面と対向する熱圧着面とし、前記第2のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅は、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅よりも一定寸法だけ大きな幅に設定されていることを特徴とする積層紙の製造装置として把握することもできる。
本発明の積層紙は、積層紙の製造方法、及び積層紙の製造装置は、紙おしぼり製品の用途に好適に適用することができ、紙おしぼり製品の場合、2つ折り、3つ折り、4つ折り、観音折等の紙おしぼり製品に適用することができるが、これ以外にも、ロール状の原紙をそのまま製品化して、自動紙おしぼり製造機の原紙の用途に使用することもでき、また、紙おしぼり製品以外にも、介護や看護等の目的で使用される衛生用品等に応用することもできる。
1:クレープ紙、2:不織布(熱融着性シート)
10,40,50,60,70,80:積層紙
11,12,41,42,51,61,82:熱融着部
11a,12a,41a,42a,51a,61a,82a:長点
11b,12b,41b,42b,51b,61b,82b:非融着部
30:第2のヒートシールローラ(ヒートシールローラ)
31:第1のヒートシール部(ヒートシール部)
32:第2のヒートシール部(ヒートシール部)
31a,32a:押圧突起、31b,32b:非押圧部

Claims (19)

  1. 一対の外層シートとしてのクレープ紙と、
    前記一対のクレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとしての不織布とからなり、
    前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、
    前記クレープ紙のクレープ率は、20%〜30%の範囲内に設定すると共に、前記熱融着部列の幅方向の熱融着部間隔は、10mm〜25mmの範囲内に設定し、
    前記幅方向の熱融着部間隔の範囲内で、前記クレープ紙のクレープ率の増加に比例して前記幅方向の熱融着部間隔を増加することを特徴とする積層紙。
  2. 一対の外層シートとしてのクレープ紙と、
    前記一対のクレープ紙の間に積層状態で配設される熱融着性の中間層シートとしての不織布とからなり、
    前記クレープ紙のクレープ皺の延びる方向と直交する方向に延びる線状の熱融着部列により、前記クレープ紙を前記中間層シートに熱融着して積層構造とし、
    前記クレープ紙のクレープ率が20%〜26%の範囲内の場合、前記熱融着部列の幅方向の熱融着部間隔は、10mm〜15mmの範囲内に設定し、
    前記クレープ紙のクレープ率が26%〜30%の範囲内の場合、前記熱融着部列の幅方向の熱融着部間隔は、15〜25mmの範囲内に設定し、
    前記幅方向の熱融着部間隔の範囲内で、前記クレープ紙のクレープ率の増加に比例して前記幅方向の熱融着部間隔を増加することを特徴とする積層紙。
  3. 前記熱融着部列は、一定長さで一定幅の直線線分状の第1の熱融着部を長さ方向に一定間隔で破線状に配置すると共に、前記第1の熱融着部と同一の一定長さで一定幅の直線線分状の第2の熱融着部を、前記第1の熱融着部に対して、各第2の熱融着部の中間位置が第1の熱融着部間の間隔の中間位置と合致するような位置にくるよう位置をずらして配置することで構成され、
    前記各熱融着部の長さは、35mm〜45mmの範囲内に設定され、
    前記各熱融着部の幅は、1.5mm〜2.5mmの範囲内に設定され、
    前記各熱融着部の長さと幅の比であるアスペクト比は、13:1〜23:1の範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の積層紙。
  4. 前記各熱融着部列において、長さ方向に隣接する前記熱融着部間の間隔である熱融着部間隔は、18mm〜22mmの範囲内に設定され、
    前記各熱融着部の長さと前記熱融着部間隔の比は、2:1に設定されていることを特徴とする請求項3記載の積層紙。
  5. 前記熱融着部列は、一定長さで一定幅の直線線分状の第1の熱融着部を長さ方向に一定間隔で破線状に配置すると共に、前記第1の熱融着部と同一の一定長さで一定幅の直線線分状の第2の熱融着部を、前記第1の熱融着部に対して、各第2の熱融着部の中間位置が第1の熱融着部間の間隔の中間位置と合致するような位置にくるよう位置をずらして配置することで構成され、
    前記熱融着部列の各熱融着部は、その長さ方向両端部を平面半円状の湾曲形状としていることを特徴とする請求項1又は2記載の積層紙。
  6. 前記クレープ紙の厚みは、坪量で、20〜50g/mの範囲内に設定され、
    前記不織布の厚みは、坪量で、15〜25g/mの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の積層紙。
  7. 前記不織布は、外側の鞘がポリエチレンで内側の芯がポリエチレンテレフタレートとなっている芯鞘構造複合繊維をエアスルー法により接着剤を使用することなく繊維間結合して製造した非吸水性のエアスルー系不織布であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の積層紙。
  8. 前記不織布は、坪量で、20g/mの厚みを有し、
    前記各クレープ紙は、坪量で、35g/mの厚みを有し、
    全体の厚みは、坪量で、90g/mとされていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の積層紙。
  9. 前記不織布は、坪量で、20g/mの厚みを有し、
    前記各クレープ紙は、坪量で、20〜35mの範囲内の厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項記載の積層紙。
  10. 請求項3又は5記載の積層紙の製造装置であって、
    前記熱融着部列を形成するための対をなす第1及び第2のヒートシールローラを備え、
    前記第1のヒートシールローラは、前記熱融着部に対応する凸条状の熱圧着凸部を有すると共に、前記熱圧着凸部の周面を熱圧着面とし、
    前記第2のヒートシールローラは、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部と対向する凸条状の熱圧着凸部を有すると共に、前記熱圧着凸部の周面を前記第1のヒートシールローラの熱圧着面と対向する熱圧着面とし、
    前記第2のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅は、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅よりも一定寸法だけ大きな幅に設定され、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面と前記第2のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面とを対向して略密接状態で配置したときに、前記第1のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅方向両側で、それぞれ、前記第2のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅方向両端部の一定幅部分が露出するようになっていることを特徴とする積層紙の製造装置。
  11. 前記第2のヒートシールローラの熱圧着凸部の熱圧着面の幅方向両側では、一対の側面が、前記熱圧着面と鈍角となるような所定の傾斜角度で傾斜して延びていることを特徴とする請求項10記載の積層紙の製造装置。
  12. 前記熱圧着融着凸部の熱圧着面は、前記熱融着部に対応して、平面視で直線的に延びる直線細帯部と、前記直線細帯部の長さ方向両端の半円状の湾曲部とから構成されることを特徴とする請求項10又は11記載の積層紙の製造装置。
  13. 請求項10から12のいずれか1項記載の積層紙の製造装置を使用した積層紙の製造方法であって、
    前記第1及び第2のヒートシールローラのローラ長は、1200mm〜1500mmの範囲内に設定され、
    前記ヒートシールローラのローラ径Dは、180mm〜300mmの範囲内に設定され、
    前記熱圧着凸部から熱融着前積層紙の熱融着部部分に加える押圧力である熱圧着時押圧力は、2気圧以上の値に設定されていることを特徴とする積層紙の製造方法。
  14. 前記熱圧着時押圧力は、前記ヒートシールローラのローラ長Lが1400mmの場合、5.5〜7.0気圧の範囲内に設定され、前記ヒートシールローラのローラ長Lを1500mmの場合、7.5〜8.0気圧の範囲内に設定されることを特徴とする請求項13記載の積層紙の製造方法。
  15. 前記ヒートシールローラの熱圧着時の温度である熱圧着温度は、175〜200℃の範囲内に設定され、
    前記熱圧着温度が前記ヒートシールローラの回転速度に比例して増減するよう、前記ヒートシールローラの温度制御及び回転制御を行うことを特徴とする請求項13又は14記載の積層紙の製造方法。
  16. 前記ヒートシールローラの熱圧着温度を一定に維持すると共に、前記ヒートシールローラの回転速度が熱融着前積層紙の厚みである原紙厚に比例して増減するよう、前記原紙厚に応じて前記ヒートシールローラの回転速度を増減変更して回転制御することを特徴とする請求項13又は14記載の積層紙の製造方法。
  17. 前記ヒートシールローラの熱圧着温度を一定に維持すると共に、前記ヒートシールローラの回転速度が熱融着前積層紙の不織布原料シートの厚みである不織布厚に比例して増減するよう、前記不織布厚に応じて前記ヒートシールローラの回転速度を増減変更して回転制御することを特徴とする請求項13又は14記載の積層紙の製造方法。
  18. 前記ヒートシールローラの回転速度を一定に維持すると共に、前記ヒートシールローラの熱圧着温度が熱融着前積層紙の不織布原料シートの厚みである不織布厚に比例して増減するよう、前記不織布厚に応じて前記ヒートシールローラの熱圧着温度を増減変更して温度制御することを特徴とする請求項13又は14記載の積層紙の製造方法。
  19. 前記ヒートシールローラの内部には、それぞれ、密閉空間が形成されると共に、前記ヒートシールローラの内部空間は、真空状態に維持された密閉空間となっており、
    前記ヒートシールローラの内部空間に、それぞれ、外部の水供給手段を接続し、この水供給手段から前記ヒートシールローラの内部空間に、それぞれ、水分を供給すると共に、前記ヒートシールローラの加熱時に、その水分を加熱して得た高温水蒸気を前記ヒートシールローラの内面に薄い層状又は膜状となるように付着させ、その層状又は膜状の水蒸気により、前記ヒートシールローラの全体を、その周方向の全体及び長さ方向の全体にわたって均一な温度に維持し、全ての前記熱圧着凸部の熱圧着面の全面にわたって、前記熱圧着温度が均一かつ均等に維持されるように制御することを特徴とする請求項13又は14記載の積層紙の製造方法。
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